改造人間 立花響のシンフォギアIF 1話 「だから、私はショッカーに忠誠を誓った」
私は呪われている
比喩じゃなく本気だ。ツヴァイウイングのライブに行ってノイズの襲撃に巻き込まれ生き残った。その結果待っていたのは世間のバッシングだった
10万人の熱気に包まれた会場はノイズの襲撃により阿鼻叫喚に陥り12874人の被害を出した。しかし、ノイズに殺されたのは三分の一で残りは逃げ出す時の混乱で発生したものだった。週刊誌の根も葉もない情報に世間は私達を叩き始めた。国が被災者や遺族にお金を出したのも不味かったかも知れない
「ねえ、立花さん国からお金貰ったんでしょ?ちょっと恵んでよ」
「立花さんってあの会場で生き残ったんでしょ?何人殺したの?」
「人殺し!お前なんかが生きてて何で〇〇くんが!」
元は仲の良かったクラスメイトすらこんなんだ。机の暴言の落書きに教科書を破かれたりトイレに行けば上からの水。私は完全に虐められるようになってしまった。先生も相談してもろくに止めようともしない。家には「盗人」とか「人殺し」の張り紙を張られ窓も石をぶつけられ何度も割られる。当然辛かったけど私にはまだ家族と親友の小日向未来が居る。こんな事でへこたれやしない
『生きるのを諦めるな!!』
「へいき、へっちゃら!」
あのライブの時に私を助けてくれた人の言葉を思い出し私はお父さんの座右の銘を口にする。暫くすれば何時もの日常に戻る。…そう信じてた…信じていた
そうあの日までは、
ある日の夜、寝ていた私はトイレの為に階段を下りていた
「もう限界なんだ…」
電気の着いた居間からお父さんの声がした。何処か悲痛に満ちていた事に気になった私は聞き耳を立ててしまった。中にはお父さんとお母さんにお婆ちゃんが居るみたい
「あなた…」
「会社じゃ厄介者、同僚たちも僕を煙たがっている。アイツが…響が生きてるからって取引も取り消しだ!こんな事なら響もあの会場で」
「洸さん、そんな事を言ってはいけないよ」
「じゃあ、如何言えば!?近隣住民も僕らを邪魔者扱いしてるのは知ってるんだぞ!!」
お父さんの怒鳴り声に私は部屋に帰った。トイレに行きたい事も忘れ私は布団の中で震えていた
「大丈夫…大丈夫…暫くしたらお父さんも何時もの優しいお父さんに戻る…」
時間が経てば何時もの家族に戻れる。私は本気でそう考えていた。けどそれは最悪な形で裏切られた
「お母さん?お婆ちゃん?」
数日後、私は目を覚まして一階に降りた。何時もなら朝ごはんの準備をしているお母さんやテレビを見ているお婆ちゃんが居る筈だけど今日は珍しくいない。買い物かと考えて居たらテーブルの上に紙が置いていた。誰かの書置きだった
「!?」
何処に買い物に行ったのかと紙に目を通した私の心臓が止まりかけた
『限界です、探さないでください』
それは紛れもなくお母さんの字だった。家の中を探すと政府からの見舞金の入った通帳が無くなっており食料もそんなにない。私は家族に捨てられた
「そう、そんな事が」
「ごめんね、未来。…突然来ちゃって」
家族が居なくなった私は街中を必死で探し回った。無駄な事だと分かっていても探さずには居られなかった。多分、お父さんもお母さんも、もうこの街には居ない。警察に頼ろうかとも思ったが見つかった所で如何接すればいいのか分からない。街中を彷徨っていた私の足は自然と未来の家に来ていた。
そして、未来に全部話した。家族も居なくなった私にはもう未来しかいない。たった一人の親友に私は頼りたかった。一緒に居れば勇気が湧いてくる、私の陽だまり
「取り合えず、この話は内密にした方がいいね」
「うん、分かった」
「大丈夫だよ、響。私もついてるんだから」
未来が私を抱きしめてくれる。未来の暖かさが私にはありがたかった。未来さえ居てくれれば私は前に進める。そう思っていた
一週間後、私は何とか日常を過ごしていた。お父さんもお母さんもお婆ちゃんも誰も連絡してくれ無いけど私はまだ元気だよ。学校では相変わらずだし家にも投石がくるけど、へこたれるもんか。一応、家に置いてあったお金と私の僅かな貯金で生活してるけど節約すれば一月は生きていけると思う。早くアルバイトを探さないと…未来ならアルバイトの情報とか知っているかな?もう直ぐ、学校も終わるし近くのスーパーで特売品を買わないと。あ、その前に未来に呼ばれてたんだ、場所は屋上だっけ?
「アグッ!?」
屋上に着いた途端、私は後ろから押され地面に倒される。見ると私を虐めてるグループが居る。如何して此処に!?
「アハハ、コイツびっくりしてるよ」
「うける~!」
「本当によく学校に来れるよね」
屋上の地面に倒れた私を見てイジメグループが笑う。悔しくて悲しい、このグループの中には私の友達も居たのに!
「気が済んだ?私はあんた達に「アンタ、親に見捨てられたんでしょ」かま…!?」
グループのリーダー格の娘の言葉に私は固まった。その話は未来にしかしてない筈なのに!?私は言葉も出ず茫然としてしまった。私の頭は疑問が駆け回ってパンク寸前だ
「如何して知ってるかって顔をしてるね。これを見なよ」
グループリーダーが一冊の雑誌を私に投げ渡す。その雑誌は今日発売の有名なゴシップ系の雑誌だ。私もライブに行く前に何度か読んだ事がある。表紙には…!「天誅!!人の命を奪った少女の末路」と載っていた。イジメグループがニヤニヤする中、私は恐る恐るページを開き絶望した
内容は私が両親に捨てられてお金を持ち逃げされただの、行きづりのオジサンやホームレスに体を売ってご飯を貰ってるだの酷い内容だった。極め付けは私の顔写真がそのまま載っていた事だ。これじゃあもう外を歩けない。…それにこの写真は未来と一緒に撮った…
「如何して…如何して…こんな…」
「ん~~、まだ分かんないかな」
大人が頭の悪い子供に勉強を教えるようにリーダー格の娘が私に視線を合わせ残酷な言葉を口にする
「あんたは、
…理解出来なかった。違う私が理解を拒んだ。未来が私を売った?…ありえない、ありえない、ありえない、ありえない、ありえない、ありえないアリエナイアリエナイアリエナイアリエナイアリエナイアリエナイアリエナイアリエナイアリエナイアリエナイアリエナイアリエナイアリエナイアリエナイアリエナイアリエナイアリエナイアリエナイアリエナイアリエナイ…ありえない!!
きっと、こいつ等が未来を脅して聞き出したんだ!そうだ、そうに決まってる!!
「嘘だ!未来と私は親友なんだ!適当な事を言うな!!」
私の怒りの声にグループは心底つまらなそうに見ていた。人が怒ってるのにその態度はなんなんだ!絶対に許「小日向、アンタの勝ちよ」さな…え?
「やったー、私の勝ち!約束通りケーキ奢ってね♪」
「はいはい、まさかコイツがここまでアンタを信じるなんてね」
突然、現れた未来がイジメグループのリーダーとハイタッチしている。意味が分からない、如何して未来がイジメグループと仲良くしてるの?何で私以上に仲良くしてるの?
「…未来」
「あ、響、私を信じてくれてありがとう♪おかげで賭けに勝ったよ」
「…賭け?」
「うん、みんなと一つ賭けをしてたんだ。雑誌を見せられた響が最後まで私を信じていてくれるか。をね」
「あたし等は、小日向が裏切ったって泣き叫ぶと思ったのにね。大損だよ」
私の中の何かが音を立てて崩れていく気がする。とても大事なものが…
「私、響と友達ごっこしてるから、ある程度性格を把握してるもん」
「友達…
嘘だよね、未来。周りに合わせて言ってるだけだよね?未来と私は昔からの親友だよね
「親友?何それ。鈍いな響、雑誌に載ってる情報は私が売ったのに」
「!…そんな、未来が内密にしろって」
「それはね、出回った情報なんて大して価値は無いの。知ってる人は少なければ少ない程高く買い取ってくれるんだよ。ほら見て響、雑誌社からこんなに謝礼を貰ったんだよ。いやぁ、今月厳しかったから助かるよ」
「…私達、親友だよね…」
「うん、楽しかったよ。響との友情ごっこ」
「友情ごっこ?」
「うん。友情ごっこ。良い暇潰しになったし…あ、でももう私に話し掛けないでね。響は有名人になったんだから」
未来の目は…本気だった。本気で私とは友情ごっこって言っていた。未来と親友だと思っていたのは…自分だけだった。響の中に何かが完全に壊れてしまった
「やべ、雨降りそうだ。小日向、そんな奴に構ってないでもう行くぞ」
「はいはい~、ねえついでに駅前のカフェも奢ってよ」
「ええ!?あそこ高いんだよ…」
未来はもう私に目もくれずイジメグループと楽しそうに屋上から出て行った。私は雑誌を持ったまま茫然としていた。その内、雨がぱらつき徐々に本降りになっていく。体が濡れて来るが今の私には如何でもいい。未来は私とは友達ごっこだと言っていた。親友でも何でもなかった。未来が私の相手をしていたのはただの暇潰し。それなのに私は未来を親友だとのぼせあがっていただけだ
「…お父さんもお母さんもお婆ちゃんも…未来も…皆、私から離れていった。違う、ゴミのように捨てられた…嫌だよ…こんなのってあんまりだよ…私が何したっていうの…私が信じていたもの全て私を裏切った…ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
激しい雨に雷が鳴り響き私の慟哭が搔き消される。構うもんかもう如何でもいい、私の大事な物なんて何処にも無い。激しい憎悪が私から滲みだす。許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない……お父さんもお母さんもお婆ちゃんも未来も全てが!
「でも…もう如何でもいいかな」
私の口元が何時の間にか笑っていた。なんだか本当に笑えそう。笑った後は何時の間にか布団に入っていて今までの事が全て夢だったらと私は自分の頬を抓る
「痛い…アハ…アハハハ…あははははははハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハはっははっはっはっはハはっはっはハハハハハはっは!!」
現実だ。夢なんかじゃない現実だ!私はひたすら笑い声を出し続ける。何も面白くないのに…むしろ泣きたいくらいなのに…私壊れちゃったのかなそれならそれでもいいかな、私はもう誰にも必要とされてないし。復讐とかも面倒だ
『生きるのを諦めるな!!』
うるさい。私はもう誰からも必要とされてないんだ。家族は私を捨てて行方を晦ませて、未来はお金で私を売った。もう私には何もない
「このまま死んじゃえば「うおおおおおおおお」?」
変な声がして振り返ると大きな蜘蛛が居た。幻覚かな?それとも化け物?ノイズの新種?もうどうでもいいや。私は意識を手放した。出来れば来世はもう少しまともな人生がいいな
でも私は死ななかった。死なせて貰えなかった。今、私は丸い台の上に縛り付けられている。周りは薄暗くよく見えない。体の方をみるとシーツが被せてあるが感覚からして裸だろう。もしかして、あの記事を鵜吞みにした奴が私を攫ったんだろうか?処女のまま乱暴にされたくはないけど…もうどうでもいいかな。最後に男の人の役に立てるならこの体がどうなろうと…
『目が覚めたか立花響。ようこそ我がショッカーに来てくれた』
何処からともなく男の声がする。姿は見えない…それから気になるのは、
「…ショッカー?」
会社の名前かな?そういう企画ものがあるって昔、酔っぱらったお父さんが言っていたような
「これより君は「あの~」改…ん?」
話してる最中だけど私は如何しても言わなきゃいけない事がある
「私…初めてなんです。だから優しくしてくれると嬉しいんですけど」
「…何か勘違いしとるな貴様」
声の主が呆れたように言う。エッチな事を覚悟したのに…。その後、顔にペイントされた科学者と外が黒く中が赤いマントをした白髪交じりのお爺さんがショッカーの説明をしてくれた
ショッカー、それは世界のあらゆる所に網が貼られる悪の組織だ。
ショッカーの狙いは世界各国の人間を改造し、その意のままに動かして世界征服を計画する恐るべき団体なのである。
「世界…征服…」
まるで昔のアニメみたいだなと思いつつも実感がわかない。でも世界征服か
『人殺し!お前なんかが生きてて何で〇〇くんが!』
『限界です、探さないでください』
『楽しかったよ、響との友情ごっこ』
…こんな世界無くなってしまえばいいんだ!
『世界は改造人間が動かしその改造人間を支配するのが私だ。世界は私の意のままになる。そしてお前はショッカーに選ばれたのだ』
選ばれた?…私、必要とされてるんだ。…皆から捨てられた私は誰か…ショッカーに必要とされてるんだ
「これより、お前は改造人間となりショッカーの一員になって貰う。拒否しても「なります」無…なんだと?」
途中で顔をペイントした科学者の人が喋ってたけど私は思わず口にした
「私もショッカーの一員になります!いえ、入れてください!」
私の決意を聞いた人達は沈黙するけど白髪交じりのお爺さんが笑みを浮かべて私に近づいて来た
「面白い、お前は改造人間になって何がしたい?」
私のやりたい事?そんな事決まっている!
「復讐したい奴らが…いるんです。その為だったら私の全部を貴方達に差し出します!」
「そうか、なら喜ぶがいい!貴様はこの私、死神博士自らが改造手術をしてやろう!」
白髪交じりのお爺さん…死神博士が高笑いをする。それにしても改造人間か、どうせもう外を出歩けないんだ。こんな世界を破壊してショッカーの物にしてやる!
『フフフ…面白い娘だ。私の事は首領と呼ぶがいい。活躍次第では貴様を大幹部にしてやろう。ただし失敗すれば死だ!』
死か…どうでもいいや。そんな事より、ショッカーの役に立てば私は私でいられるんだ。あははははハハハハハハハハハハハハハハハ!!
その日、一人の少女は悪魔たちに魂を売り渡した。そして世界は動き出す。
この世界の未来は普通に性格が悪いです。
原作との相違点は父親だけでなく母親とお婆ちゃんも失踪。未来が真ゲス化。響が悪に堕ちるのも仕方ない。グレ響より酷い事に。
ジャスラックが動くまで本編が進まない。ジャスラックと違ってNTはデータが見つからないしか出てこなくて上手く動かせん。
此方の感想もお待ちしてます。