改造人間 立花響のシンフォギア   作:一種の信者

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159話 敵はシンフォギア装者⁉ 乗っ取られた特異災害対策起動部二課

 

 

 

 

「~♪」

「随分と機嫌が良いな」

「久しぶりに親御さんに甘えてたんだろ」

「そ、そんな事ないよ……でも久しぶりに一緒に寝ちゃったな」

「……だから、時間が掛かったのか」

 

 最初は鼻歌を歌っていた並行世界の響。

 その様子にジト目で口を開く翼とクリス。

 

 彼女たちは予定より遅れてこの世界に戻った。

 理由は響が母親と寝落ちし連絡も無かった所為だ。

 結局、翼とクリスは待ちくたびれ響は平謝りしてこの世界に来たのだ。

 

「本当に翼さんとクリスちゃん、ごめん……」

「……まったく、連絡の一つも入れろよ」

「私達がどれだけ待ってたと思う?」

 

 並行世界の響の謝罪に二人はそう言うが、そこまで怒ってる訳では無い。

 ただ、やはり連絡の一つ位は欲しかったと思っても居る。

 

 連絡があれば自分たちだけ先に行き、並行世界の響が遅れて到着でもそこまで問題はない。

 本来なら、ほぼ同時に戻る筈だったアナザー調とアナザー切歌ももう戻ってるだろうと溜息を吐く翼。

 

 兎に角、こっちの特異災害の本部である潜水艦に入り司令部に行く三人。

 心なしか、雰囲気に違和感を感じつつ司令部の扉まで来る。

 

「こっちの師匠にも遅れた事を謝らないとな……」

「……お前から言えよ」

 

 取り敢えずは予定時間を越えて謝罪しようとする並行世界の響。

 意地悪な表情で響をからかうクリス。

 翼が呆れた表情をし響が扉を開けようとした。

 

 瞬間

 

ドカーン

 

「えっ!?」

「!?」

「はっ!?」

 

 並行世界の響たち三人が目も丸くして驚く。

 今まさに司令部の扉が開こうとした瞬間、何かが扉を突き破り通路側に何かが転がる。

 いきなりの事で驚く並行世界の響たち。

 

「う……うう……」

「ちょっと待てよ、アレは」

「切歌ちゃん!?」

 

 扉を破って司令部出て来たのが暁切歌だ、服装からしてアナザー切歌だろう。

 並行世界の響が直ぐに駆け寄り解放する中、並行世界の翼と並行世界のクリスは何があったのか考える。

 

「如何言う事だよ、おい!」

「答えは……この中だ!」

 

 状況が読めない並行世界のクリスだが、答えは直ぐ近くにあると並行世界の翼が司令部の中に入る。

 何時もなら、何人もの職員が仕事をし源十郎がモニターや報告書を読み、助っ人に来ている並行世界のシンフォギア装者がソファーに座って喋ってる姿がある。

 

「!?」

「……本当に如何言う事だよ」

「翼さん! クリスちゃん! どうしたの……!?」

 

 司令部の中を覗いた並行世界の翼が絶句し、並行世界のクリスは未だに状況が分からない。

 負傷し気絶したアナザー切歌を背負い翼たちの見ている光景を覗き込む並行世界の響。

 

 中には、何時もの司令部より薄暗く、カップが足元に転がり片目を開いて「……逃げ……て……」と言う白衣を着たアナザー調とシンフォギアを纏った此方の世界の翼とクリスに子供マリアを始めとした並行世界の装者たちだった。

 そして、本部のモニターにはデカデカとゲルショッカーのシンボルが映っており源十郎がそれを黙って見ている。

 

「あの……皆、何でシンフォギアを……」

 

 呆然とする並行世界の翼とクリスを横にしてアナザー切歌を背負ってる響が皆に聞く。

 何時もなら会話する筈の皆が黙って並行世界の響たちを見る。

 この言い知れぬ恐怖に翼たちも冷や汗を流す。

 

「それは、お前たちを殺す為だ、ムヒョオオオオォォォォォッッッ!!」

 

 突然の男の声に翼たちはビクッとなると声のした本部の天井を見る。

 天井には大の字で張り付く異形の怪物が居りそのまま天井から降りて来て翼たちの前に立ち塞がる。

 

「ゲルショッカーの改造人間!」

「何で本部に怪人が居るんだ!?」

 

「俺の名はムカデタイガー! 特異災害の本部は我々が頂戴したのだッ!!」

 

「本部が乗っ取られた!?」

 

Imyuteus amenohabakiri tron

Killiter Ichaival tron

 

 ムカデタイガーが響たちに特異災害対策機動部二課の本部を乗っ取った事を知り驚く並行世界の響。

 半面、状況を理解した並行世界の翼とクリスは直ぐに聖詠を歌いシンフォギアを纏う。

 即座にアームドギアを出してムカデタイガーに向ける。が、

 

「……チッ!」

「……予想はしていたが……」

 

 並行世界の翼が舌打ちをし、クリスが額の汗が流れる。

 視線の先にはムカデタイガーを守る様に大人セレナと天羽奏が立ち塞がり、響たちを取り囲むようにセレナやアナザー翼とアナザークリスが移動し逆にアームドギアを向ける。

 

「み……皆……」

 

「ムヒョオオオオォォォォォッ! これでお前たちは攻撃は封じた、尤も攻撃してきても良いぞ」

 

 セレナや天羽奏を盾にしたムカデタイガーはそう言うと、翼とクリスは歯噛みする。

 平然と並行世界のシンフォギア装者たちを人質として使い、自分たちの攻撃を封じる。

 反対に、ゲルショッカーは自由に動ける。

 

 セレナと奏を盾にしたまま翼たちに近づくムカデタイガーと他の並行世界のシンフォギア装者たち。

 反対に、ムカデタイガーの圧に後ろへ下がる並行世界の翼たち。

 そうして、並行世界の響たちはアッサリと通路まで戻る。

 

「……う……うう……」

「! 翼さん、クリスちゃん! 一旦此処は退こう!」

「それしかないか」

「ちくしょう!」

 

 並行世界の翼たちの不利や胸に抱えているアナザー切歌の弱々しい声に一時撤退を提案する並行世界の響。

 悔しいが仲間を攻撃できない並行世界の翼とクリスはその提案に乗り特異災害対策機動部二課本部から逃げようと通路を逆走しようとする。

 

 しかし、

 

『ギーッ!』

 

「ゲルショッカー戦闘員!?」

「なんて数だよ!」

「相手にする余裕なんてないよ!」

 

 並行世界の響たちの行く手を阻むゲルショッカー戦闘員が現れる。

 それも一体や二体ではない、かなりの数の戦闘員が居た。

 普段ならともかく、背後には自分たちを追うムカデタイガーと操られたシンフォギア装者たちが迫り戦ってる余裕はない。

 更には、負傷して未だに目覚めないアナザー切歌を並行世界の響が抱えてるので余計に余裕がない。

 

 そうしてる内にムカデタイガーに追いつかれてしまう。 ……かに見えた。

 

「皆さん、目を閉じてください!」

 

「「「!?」」」

 

 突如、男性の声が響くと共に何処からともなく小さい丸いボールのような物が転がる。

 瞬間、小さな丸いボールが光り輝く。

 

「閃光手榴弾!?」

 

 ムカデタイガーがその光が閃光手榴弾である事に気付くが、突然の強烈な光に身動きが取れない。

 数秒、もっと短いかもしれない時間が経ち閃光が治まると並行世界の響とアナザー切歌の姿は何処にも無い。

 

「並行世界の立花響どもは何処に行った!? 探せ、まだ遠くには行っていない筈だ!」

「ギーッ!」

 

 一瞬にして並行世界の響たち4人が消えた事でムカデタイガーはゲルショッカー戦闘員たちに探すよう命令する。

 しかし、特異災害対策機動部二課本部の何処を探しても並行世界の響たちを発見する事が出来なかった。

 

 その並行世界の響たちはと言うと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 とある日本家屋。

 周辺では黒服たちが周囲を監視してる。

 その部屋の中では「シャカシャカ」という音が響く。

 其処に並行世界の響たちが座り、その横にはアナザー切歌が横になっている。

 

「…………」

「……えっと……」

「……チッ」

 

 並行世界の翼は黙って正座し、並行世界の響はまだ状況が呑み込めず、並行世界のクリスは目の前の相手に舌打ちをする。

 三人の前には茶筅でお茶をたてる風鳴訃堂が居るのだ。

 

「果敢無き哉……飲め」

 

 たて終わったお茶を並行世界の翼に渡す訃堂。

 並行世界の翼は手慣れた様子で受け取ると作法にのっとりお茶を飲む。

 

「結構なお手前で」

「うむ」

 

「……『うむ』じゃねえ! 一体どうなってんだよ、おい!」

「ク、クリスちゃん!?」

 

 少し離れてただけで占領された特異災害に洗脳された仲間たち、脱出出来たと思えば訃堂の茶会に強制参加で並行世界のクリスの堪忍袋がとうとう爆発した。

 怒号に近い声に並行世界のクリスの声に並行世界の響はドン引きする。

 その様子に並行世界の翼は溜息をつき、訃堂は内心「若いな」と思いつつも並行世界のクリスの言葉が終ったところで口を開く。

 

「……喝ッ!!」

 

「「!?」」

 

 訃堂が目を見開き大声を出すと共に懐から小刀を並行世界の響たちの方に投げる。

 小刀は並行世界の響とクリスの間を通り抜ける。

 

「……ふぁっ」

「な、何しやがるクソ爺「ギッ!」ッ……!」

 

 突然の事に起こる並行世界のクリスだったが背後からの声に驚き並行世界の響と共に振り返る。

 其処には、訃堂が投げた小刀が突き刺さり絶命したゲルショッカー戦闘員がいた。

 

「なっ」

「何時の間に!」

「……つけられてたな、あの忍びめ」

 

 絶命したゲルショッカー戦闘員の体が消滅していく。

 訃堂が呟く忍び、それは特異災害のエージェントであり並行世界の響たちを助けた緒川の事だ。

 

 そうして、改めて並行世界の響たちは訃堂に視線を向ける。

 

「先日未明にゲルショッカーの怪人が特異災害の本部に侵入した。 その怪人には洗脳能力があり愚息を含め丸ごと乗っ取られたという事だ」

「また、洗脳持ちの怪人かよ」

「アッサリと乗っ取られたのか」

「……そう言えば、もう一人の私は?」

 

 訃堂が簡単な説明で特異災害に何が起こったか話す。

 嫌な予感はしていた並行世界の響たちだが、予想通りゲルショッカーの所為だ。

 訃堂の言葉が正しいのなら源十郎もこの世界の翼とクリスに並行世界のシンフォギア装者たちも怪人に洗脳されてしまっている。

 

 しかし、そこで並行世界の響は気付いた。

 この世界の自分も操られているなら司令部に居る筈なのに姿を見ていない事に。

 だからこそ、並行世界の響はこの世界の自分の事を聞いたのだ。

 

「あれなら……」

 

「……私ならここだよ」

 

 訃堂が何か言いかけた時、部屋の外から声がする。

 すると、襖が開くと包帯に巻かれた響が未来の肩を借りて其処にいたのだ。

 無傷、とは言えない姿ではあるが生きてる姿にホッとする響たち。

 

「もう一人の私、良かった!」

「未来も無事だったか」

 

 並行世界の響とクリスが響と未来に駆け寄り喜び合う。

 微笑ましい光景とも言えるが並行世界の翼と訃堂が咳をし注目を集める。

 

「それで、立花。 ある程度想像できるが何があったか話してくれ」

「はい……」

 

 並行世界の翼の言葉に響は頷き、自身に何があったのか話す。

 響の説明では、シミュレーションルームで翼たち怪人と戦う連携をしていたが、途中で指令である源十郎が通信で翼とクリスを呼び出し暫く一人でシミュレーションルームの怪人と戦っていた。

 そうして2時間程経って翼たちが戻ってきたがシンフォギアを纏い攻撃してきて何とか本部から逃げ出すも並行世界のシンフォギア装者も響を襲い崖にまで追い詰められてしまう。

 その追い詰められた響の前にゲルショッカーの改造人間 ムカデタイガーが現れ洗脳で皆を操ってるとネタばらしして響が洗脳を解こうとムカデタイガーに挑むが敗北して崖下に落ちてしまう。

 

「崖下に!?」

「よく無事だったな」

「……寸前で緒川さんに助けてもらったんです」

「また、緒川さんか」

「私も緒川さんに助けられて……」

「凄いね」

「でも、あの人怪我してなかったか?」

「儂が依頼した」

 

 色々と動いている緒川だが先日にイノカブトンの角えぐりで負傷しまだ完治してない。

 しかし、子飼いの職員との定期連絡が消えた事で訃堂がリハビリ中の緒川に命令して調査させたのだ。

 その過程で、本部に居た未来を訃堂の屋敷に避難させ負傷した響を救助し、ゲルショッカーに占領された本部に並行世界の響たちを脱出させたのだ。

 口には出さないが響たちは緒川の心配もあった。

 

「戻りました!」

『!?』

「うむ、話せ」

 

 その時、緒川が響たちの背後から現れそれに驚く響たちだが訃堂は動じる事も無く報告を促す。

 直後に、響たちの居る和室の電気が消えると上から白い紙……ペーパースクリーン降りていく。

 

「うわ……」

「こんな機能が……」

「この屋敷なんなんだよ……」

 

 翼も知らない実家の機能に舌を巻き、クリスが呆れるように呟く。

 そうして、その紙に光が集まり映像が映し出される。

 

「指令達は予想通りゲルショッカーの改造人間に操られてます、恐らくコイツが首謀者の怪人ムカデタイガーかと。

 更にはブラック将軍と共に別の二体の怪人も居ます」

 

 そう言って、ペーパースクリーンに本部で何かしているブラック将軍の姿とそれに従っている三体の怪人が映る。

 一体は勿論、ムカデタイガーだが残りの二体は並行世界の響は知らない。

 一体は、魚の様な顔と背中に甲羅を持つ怪人。もう一体は、白い体に紫色の網目状に体の一部にキノコが生えた怪人だ。

 

「また、三体の怪人だと!?」

「ムカデタイガー以外にも二体……」

「未知の能力を持つ怪人が三体か……一体は洗脳能力持ちだろうが……」

「……ムカデタイガーは洗脳だけじゃないよ、左腕のパンチは私も力負けしたから……」

「オマケに洗脳されたシンフォギア装者たちも敵だろうな」

 

「それから更に悪い情報が……どうやらゲルショッカーは、洗脳した指令たちに「ゲルパー薬」なる物を摂取させるそうです」

 

 三体の怪人にもウンザリだと言うのに今度は洗脳されてるとはいえ翼やクリス、並行世界のシンフォギア装者も敵になる可能性が高い。

 

「ゲルパー薬?」

「……どこかで聞いた事があるような……」

 

「アナタたちも知ってる筈ですよ、一度摂取すると三時間ごとに飲まないと死ぬクスリの事を……」

 

「ウェル博士!?」

 

 ゲルパー薬の事を聞いて聞いた覚えのある言葉だと考える並行世界の響とクリス。

 そして、部屋の奥の方から声がして襖が開くと響たちの知る人物、ウェル博士が現れたのだ。

 てっきり、ゲルショッカーが本部を占領した際、源十郎たちと共に捕まったかと思っていた響たちは普通に驚く。

 

「ウェル博士、よく無事で……」

「そっちのお爺さんに呼び出されてて難を逃れたんですよ」

 

 なんとウェル博士は、偶々訃堂に呼び出されゲルショッカーの手を逃れていた。

 運が良いのか悪いのか、代わりに訃堂の長期の面接を受けさせられたが。

 

「それより、三時間ごとに接種って……!」

「あの時のゲルショッカー戦闘員か!」

「ゲルショッカーにコピーされた馬鹿みたいになるのか!?」

 

 此処にきてウェル博士の説明に響たちも思い出す。

 ガニコウモルとの戦いの後に急に苦しみ燃え尽きた戦闘員やゲルショッカーにコピーされ使い捨てられた偽物の響を。

 あの戦闘員もまた、三時間ごとの薬を求めていた。

 つまり、源十郎や翼たちがそれを摂取すると…………。

 

「早く助けに行かないと!」

「……仮に助けれてもゲルパー薬を摂取した後では……」

 

 ゲルショッカーの裏切り防止や機密保持の為のゲルパー薬。

 仮に助けて皆を取り戻してもゲルパー薬を接署させられていたら三時間ごとに飲まないと死んでしまう。

 それでは生き地獄と同じだと判断した並行世界の響が急ぎ助けようと言う。

 並行世界の翼やクリスも助けに行くこと自体反対はしない。

 が、

 

「敵の戦力はムカデタイガーを含む三体の怪人……」

「……ついでに洗脳されたアイツ等もな……」

「ええと、奏さんにセレナちゃんが二人で……」

「こっちの世界の翼さんとクリスちゃんも……」

「……調は? 調はどうなったデスか?」

 

 響たちがゲルショッカーの戦力を数えていると途中で意識を取り戻していたアナザー切歌が自分の相棒であるアナザー調の事を聞く。

 

「……残念ですが調さんもムカデタイガーの能力で……」

「そう……デスか」

 

 しかし、緒川の言葉で表情を曇らせる。

 アナザー切歌とてある程度は想像していたが……。

 

「向こうの月読もゲルショッカーの手に落ちたか」

「戦力は圧倒的に向こうが上回ってるな……」

 

 ただでさえ、勝って来たとは言え数に勝る響たちが少数の怪人に苦戦していたのだ。

 それが、翼やクリスだけでなく並行世界のシンフォギア装者が洗脳され向こうに渡ってしまった。

 対してこちらは並行世界の響と翼にクリス、負傷してるこの世界の響と同じく負傷している切歌だけだ。

 もはや数の利はない。

 これには並行世界の響といえど不安を抱える。

 

「……フン、そんな事だろうと思っておったわ」

 

 その時、訃堂が並行世界の響たちを見て呆れるように言う。

 その言葉に皆が不動に視線を合わせる。

 

「……簡単に言うな、クソ爺」

「何か手を考えてるんですか? お爺様」

「当然よ、少し手間取ったがな」

 

 そう言って肩を鳴らした不動。

 そうしてまたもや別の襖が開くと三人の少女が入ってくる。

 

「っと言う訳で私たちも加勢するわ!」

「するデース!」

「……手伝う」

 

「マリア!?」

「調ちゃんと切歌ちゃんも!?」

 

 新たに現れた協力者。

 それは、この世界の「ショッカー事変」により拘束されたマリアたちだった。

 

「おお、話に聞いた通り響さんが二人居るデス!」

「……そっくり」

「マリア、君が如何して此処に……」

「風鳴不動が一時的に釈放させたのよ、敵は怪人だけじゃなくて並行世界の私達も居るんでしょ?」

 

 実は、訃堂は子飼いである特異災害の職員との連絡が途絶えた際、政治家や官僚の伝手を使いマリアたちを一時的に釈放させていたのだ。

 そして当然……

 

「……受け取れ」

 

 不動が何処からともなく三つの子袋を取り出しマリアたちに投げる。

 子袋はマリア、調、切歌の手に渡り中から赤い水晶のような物を取り出した。

 そう、彼女たちが使っていたギアだ。

 

「……アガートラーム」

「シュルシャガナ」

「イガリマが帰って来たデース!」

 

 自信のギアに再び触れたマリアたちは嬉しそうに自身のギアの名を呼ぶ。

 これもまた、念のためにと本部とは別の場所に保管していたギアを訃堂が無理矢理用意させたのだ。

 この時、並行世界の翼は改めて護国の鬼である祖父が未だに絶大な力を持っていた事に冷や汗を流す。

 

「おおー! もう一人の私でデース!」

「インチキ博士から聞いていたデスが、本当にそっくりデス!」

 

 ギアを渡され少し落ち着いた時、アナザー切歌はこの世界の切歌に反応する。

 お互い互いの顔を見つめ合い鏡越しのように動きをシンクロさせる。

 そして、

 

「「デース! デスデスデスデスデスデスデスデスデスデス…………」」

 

「……おい、共鳴し出したぞ」

「前も同じような事が無かったか?」

「……私達もやる?」

「絶対嫌」

 

 二人の切歌は謎の共鳴をして呆れる並行世界の翼とクリス。

 奇妙な光景と言えるが、重かった部屋の空気が幾分か軽くなった気がする翼たち。

 

「マリアさんたちも手伝って貰えるなら……」

「勝率は上がるが……」

「まだ数がな……」

「なら、僕の一族も動かしましょう。陽動に徹すれば十分戦力になります、兄上や捨くんにももう動いてもらってます」

 

 マリアたちが救援に入るという事で、戦力の差を大分埋められるがそれでもゲルショッカーの戦力は侮れないと並行世界の翼が言う。

 ならばと緒川が自身の一族も動かす事を提案する。

 

 そして、訃堂が自身の命である群蜘蛛を持ち立ち上がる。

 

「折れた群蜘蛛の修繕も終わった、奴等で試し切りも良かろう」

「お爺様!?」

「爺も来るのかよ!?」

 

 訃堂の予想外の言葉に並行世界の翼たちも驚く。

 その反応を無視して訃堂は鞘に収まっていた日本刀、群蜘蛛を抜き身構える。

 

「もしも、愚息が間に合わずゲルパー薬を飲んでいれば介錯も必要だろう」

 

 その言葉に翼たちは確信した。

 間に合わなければ源十郎たちの首を刎ねるつもりだと。

 こうして、響たちは懐かしい者がおっかない戦力が味方となる。

 

 響たちの反撃が今始まった。

 

 

 

 

 

 




パラッパッパパ~!
この世界のマリアたちが仲間になった。
緒川が増援を呼んだ。
訃堂が無理矢理仲間になった。

並行世界の響たちが緒川に救われ訃堂の居る風鳴家に連れてかれました。
尚、本部に居た未来と崖から落ちた響も救って兄妹にも援護を要請してます。
働きすぎです。 傷もまだ完治してない。

訃堂が仲間になりました。恐らく操られた源十郎が相手でしょう。
XV以上の激しい戦いになりそうです。

作中、響が遅れたと文句を言われてますが予定通りに戻っていればアナザー調と共に毒を盛られムカデタイガーの餌食にされてました。

洗脳ですが、能力を使ったムカデタイガーが死ぬまで洗脳は解けません。
原作でもそうでした。
尚、アナザー切歌が洗脳されなかったのはアナザー切歌の肉体は生身ではなく体はアンドロイドだった為、毒の入った飲み物を飲まなかった、或いは飲んでも効果が無かったからです。
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