改造人間 立花響のシンフォギア   作:一種の信者

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IF 3話 私達はショッカー

 

 

 

あたし等が何したって言うんだ。囚人みたいな鉄球を足に付けられて、檻に入れられて外には覆面や顔をペイントした全身タイツの男たちが見張っている。檻の中にはあたし等のクラスメイト達ばかりだ。先公は隙をみて男達に立ち向かおうとして化け物に殺された。あんなバスに乗ったのがあたし等の運の尽きだ

 

 

2週間前、あたし等は校外学習の名目でバスに乗っていた。如何にも急に決まった学習らしくて先公も寝耳に水だったようで前日に慌てていた。面倒くさいしサボろうとしたが出席するだけでも結構な単位が貰えるらしくクラスメイト全員が参加。勉強を名目にしてるけど中にはあたし等みたいな単位目的の不良もそこそこいた。バスの中では駄弁ったりトランプしたり窓の外を眺めたりしていて偶に先公が注意したりしてそれなりに楽しくやっていた

 

「あれ?」

 

最初に異変に気付いたのは窓の外を眺めていた陰キャの男子だ。…正直名前も覚えてないけど、そいつが初めに気付いた

 

「ねえ、これ道違ってない!?」

 

最初は何の事だか分からなかった。あたし等は学習する場所には初めて行くから道なんか知らない。でもあたし等以外にその場所を知っている連中は違った

 

「本当だ、こんな道知らないぞ!」

「あそこに行くのにこんな道通らないよ!」

「運転手さん、道が違うよ!」

 

先公が運転手に道が違うと訴えるが運転手はシカトしてその進む。この時点であたし等は嫌な予感を感じていた

 

「おい、聞いてるのかよ!」

 

「フハハハハ、間違っては居ない。お前達が行き着く先は地獄なのだ」

 

不良の男子生徒の声にやっと運転手がやっと口を開いたけど地獄!あの運転手、なに考えてんだ!?バスが古いトンネルの中でやっと止まった。まさか此処が地獄なんて言わねえよな?

 

「ヴェ、ヴァヴァー、お前達をこれより地獄に招待してやろう」

「きゃあ!!」

「ば、化け物だ!!」

 

運転手があたし達の前に立って帽子を取った瞬間、其処には頭がキノコで顔がキノコの裏みたいな怪物になった!皆、窓から逃げようとするけどどの窓も開かない。不良が足で窓を蹴破ろうとするがビクともしない。そしてキノコ男の口から煙みたいな物を出し吸い込んでいった皆が次々と倒れる

 

「安心しろ、貴様たちを運んだ後はバスの中に灰をぶちまける。これで世間はお前達が死んだと思うだろう。」

 

キノコ男の言葉が聞こえたけどあたしの意識も直ぐになくなった

 

 

 

 

そして、あたし等は何処か分からない場所の施設で強制労働をさせられていた。確かに此処は地獄だった、荷物運びや穴掘りの過酷な労働に休憩も食事もろくに与えられず2週間近く経ち、あたし等は限界が近かった。如何やら向こうもそれに気付いたようだ

 

『ショッカー組織の中にあって、君たちは選ばれた改造人間にもなれず、また戦闘員、技術員など適応しない人間たちとして死刑囚になった!』

 

赤い光の点滅と共にあたし等を死刑囚って言いやがって…でもこいつ等ならやりかねえ。先公もあたし等の目の前で殺された。…死にたくないよ…

 

『だが、偉大なる支配者ショッカーは、君たちに最後のチャンスを与えるだろう。これより諸君を監房から移動させる。そこで我々が指定する相手を殺せ。それが出来た時、諸君等を解放し今後一切危害を加えない事を約束しよう』

 

あたし等に何か殺させようってか?くそ!こんな時、あの人殺しが居りゃそいつに押し付けてやったのに!

 

「出ろ!」

 

黒タイツ野郎が檻を開けて出るよう促す。一人、また一人と檻から出て男たちの後に付いて行く。逃げるチャンスは無いかと探っては見たが似たような通路ばかりで慣れてないと完全に迷う造りだ。あたし等はあいつ等に従うしかない

そして、あたし等はある部屋に連れてこられた。体育館並みの広さの部屋の中心にポツンと誰かが立っている。後ろを向いてるけど体の形から女だとは分かる。それにしてもあの恰好ってコスプレ?あのキノコ男よりかはマシだけど

 

「イーッ!準備完了しました!」

「そう」

 

黒い男の報告を聞いて女がこっちに振り向いた。そして私達は唖然とした

 

「おい、あれって」

「響?」

「立花じゃんか」

 

あの屋上でのやり取りの後に失踪した立花響だった。なんでアイツが此処に?

 

「おいおい、何だよ。なんでお前が此処に居るんだ!?」

 

あたしの頭が混乱してるとクラスきっての不良の奴が人殺しに近づく。アイツって確か、人殺しが失踪した後に体育倉庫で襲う計画を立ててたのにとか大声で言ってた奴じゃん

 

「お前が俺らを此処に連れて来…」

 

不良が力なく倒れる。あの人殺しが拳を突き出してたけど何が起こったのかアタシ達には分からなかった

 

「ヒィ!?」

 

一人のクラスメイトが悲鳴を出す。視線を動かすと悲鳴を上げたクラスメイトの前に不良の首が転がってる!

 

「人殺し!]

 

誰かの叫びであたし達はパニックになった。それにも関わらずあの人殺しは平然の顔をしている

 

「…よく見たら私の元クラスメイトみたいだね。散々私のことを人殺しって言っておいて今更言うかな?」

 

アイツ、今あたし達の事に気付いた!ゆっくりと近づいてくる!嫌だ、嫌だ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

囚人どもが蜘蛛の子を散らすように逃げる。逃げ場など何処にもないというに。既に扉も閉められ脱出は不可能。一人、また一人と響に殺されていく

 

「だが、これでは訓練にならんな。やはり武器を持たせるべきだったか」

 

ただ逃げる相手だけでは訓練にはならん。武器を持たせ抵抗出来るようにするべきだったか。それにしても以前に攫った連中が響のクラスメイトとはな、偶然かそれとも必然か

 

 

ショッカーが響のクラスメイトを攫ったのはほぼ偶然だった。適当な学校のクラスに校外学習で誘い出しバス諸共捕獲する作戦は過去にも何度かやっている。残ったバスに灰を撒いておけば世間はノイズに殺されたと思い警察も捜査を打ち切る。

 

 

そうこうしてる内に残りは一人。後の人間は響に八つ裂きにされていた。響には人体を溶かす液体もガスも無く火炎や吹雪を出せもしない。純粋な力のみが響に与えられたものだった。部屋の中には引き千切られた人体や握り潰した人体がそこら辺に転がる。見れば最後の一人の女が残り、響はその女の首を握り落ち上げる。そのまま首を圧し折るのかと思ったが何か喋っている。興味の出た俺はその声を聞いてみた

 

 

 

「ねえ、未来は何処に居るの?」

「助けて…助けて、殺さないで!」

「聞こえてないの?私は未来は何処だって聞いてるの!?」

「こ。小日向は一月前に親の仕事の都合で引っ越した!何処に引っ越したかは私も知らないんだ!お願!…」

 

 

 

聞きたい情報を聞いて響はかつてクラスメイトだった女の首を圧し折り持ち上げていた女を捨てた。しかし、小日向未来か。人間を止めてもこだわるとはな、まだまだ小娘といったところか

 

「お父さん、終わったよ」

 

小娘の声に振り向くと響が笑みを浮かべている。訓練所から何時の間にか簡易指令室に移動していた。改めて訓練所を見ると戦闘員が訓練所に散らばった血肉の清掃にはいる

 

「ふん、よくやったぞ響」

「うん。……」

 

俺の誉め言葉の後に何かを期待してる顔をしている。やれやれと思いつつ俺は手を伸ばし響の頭を撫でる。…撫で心地いいな、コイツの頭

 

「ん」

 

幸せそうな顔をしおって、本当に犬みたいな奴だ。…それにしても、何時の間にかお父さんと呼ばれてるな俺。まぁ、ショッカーの為だ、父親の役も演じよう。……それにしても、この小娘、ドブ川が腐ったような目をしおって…ショッカーに相応しい人材になってきたではないか

 

「ゾル大佐、ボスがお呼びです!」

「分かった、直ぐに行こう」

 

頭を撫でてる最中に戦闘員が俺を呼びに来た。ボスとは即ち首領の事だ。止め時を見失ってた俺としてはありがたい。…頭を撫でるのを止めた小娘が不服そうなのは無視しておく。…報告に来た戦闘員を睨むな!

 

「響、お前は死神博士の下で定期健診だろ。遅れるなよ」

「…はーい」

 

響が不服そうに返事をした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アジトの指令室に入ったゾル大佐は鷲のエンブレムの前に立つ。

 

「首領、お呼びでしょうか?」

『来たかゾル大佐。早速だが、聖遺物怪人の訓練は順調か?』

「まあまあと言ったとこでしょう。後一年ほど貰えれば立派な怪人として運用出来るかと」

『一年か、いいだろう。それまで待とうではないか。ノイズとの戦闘は如何だ?』

「それもほぼ完璧かと、以前装置が大型ノイズを呼び出しあわやノイズが暴れて基地が半壊するかと思われましたが聖遺物怪人が片付け難を逃れました」

 

一週間程前、アジトにて響のノイズ戦闘訓練が行われていた。ショッカーの開発したノイズを呼び出す装置により一日に一体だけノイズを呼べる。それにて響は定期的にノイズと戦いショッカーはデータを得ていた。そして一週間前、同じようにノイズを呼び出し響と戦わせようとしたが呼び出したのは大型のノイズ。それも分裂するタイプにより状況は一変する。ショッカーは過去に大型ノイズの分裂体と遭遇し大損害を出した。そのノイズとの同型が出た事で一部の科学陣と怪人が慌てるが、響がノイズを倒し事なきをえた。尚、戦闘の際、装置が破壊され修理に時間が掛かっている。

 

ゾル大佐の言葉を聞いた首領は満足したように通信が切れた。

 

 

 

 

それから、一年近くが過ぎた。

 

映像に青い髪の女性が映る。そして、その周囲には無数のノイズが居る。普通なら絶望的な状況だが女性は響と似たシンフォギアを纏い次々とノイズを倒す。不利と感じたのかノイズは一か所に固まり文字通り一つとなり女性を襲うが女性は巨大な剣を作り一気にノイズを真っ二つにし決着が付いた。

 

「これが、特異災害対策機動部二課のシンフォギア使いだ。何か質問はあるか」

「あの~、この人って風鳴翼さんですよね?」

「ああ、知っていたか」

 

モニターから流れる映像を見ていた響がゾル大佐に質問する。風鳴翼、ツヴァイウイングの片翼であり昔は響の憧れでもあった。そんな彼女がノイズと戦ってる事に困惑する響。

 

「…そう言えば、お前はあのライブに行っていたんだったな」

「…はい」

 

ゾル大佐の言う「あのライブ」とは恐らくツヴァイウイングの惨劇のことだろうと考える響。あの惨劇の所為で響は全てを失ったのだ。その反応を見て何かを考えて居たゾル大佐はおもむろに口を開く。

 

「…あのライブの事で少し面白い事が分かった」

 

そう言うと、ゾル大佐は手に持っていた書類の一枚を響に渡した。それを呼んだ響は信じられない物を見た反応をする。

 

「…これは…本当なんですか?」

「半分本当で半分憶測といったとこだ。我々の調査と協力者の情報で大まかな事は分かった。近い内に風鳴翼の襲撃が決まったぞ。目的は風鳴翼の拉致、或いは殺害だ。喜べお前の初任務だ」

「私の初任務…はい!」

 

一年半近くを戦闘訓練に費やした響がやっとショッカーの役に立てると喜ぶ。更にゾル大佐は響にある物を渡した。

 

「お父さん、これって」

「お前のベルトだ。お前の腰の後ろのシンフォギアの邪魔にならないよう作られた特注品よ。付けてみろ」

「はい!」

 

まるで誕生日プレゼントを貰った子供の様にはしゃぐ響は早速変身してショッカーベルトを付ける。響は銀色に輝くショッカーベルトを巻いてポーズを取ったりする。

 

「お父さん、似合う?」

「ああ、似合う似合う。一度付ければ変身した後もずっと付けてられるぞ」

「ありがとう、お父さん!」

 

歓喜のあまりゾル大佐に抱き着こうとしたが、寸前でゾル大佐は響の頭を押さえ止める事に成功する。ショッカーベルトには裏切り防止の爆弾が取り付けられている。当然、響も知っているが裏切る気のない響にとって、それは嬉しいプレゼントであった。

 

「近い内に出撃する事になる。準備はしておけ」

「うん!」

 

ゾル大佐の言葉に響は元気よく頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

一週間後、風鳴翼は自然公園で一体のノイズと戦った。ノイズにしては珍しく単体だが、翼はアッサリと倒した。暫くの間、周囲を警戒したが後続のノイズは現れず本部から帰還するよう言われ帰ろうとしたが、

 

「何だ?もう帰るのか?」

「!?」

 

突然、若い娘の声に翼が林の方に振り向く。其処から白い鎧を身にまとった少女が出てきた。

 

「ネフシュタンの…鎧!?」

「へえ~、アンタ、この鎧の出自知ってんだ」

「…2年前、私の不始末で奪われた物を忘れるか!何より、私の不手際で奪われた命を忘れるものか!」

 

翼が言い切ると同時に剣を構える。

 

「面白れえ、配置した覚えのない場所にノイズの反応がしたから来てみれば!」

 

白い鎧の少女も構え一触即発の空気となる。

 

「あれ~、何か一人増えてるんだけど?」

 

何時二人が戦うか分からない空気の中、能天気の混じった少女の声がした。

 

「「!?」」

 

これには白い鎧の少女も驚き、二人は声した方を見る。明るい栗のような色した少女…響がこっちを見ていた。

 

「一般人か!?」

「此処は危険だ!直ぐに下がりなさい!」

 

白い鎧の娘が驚き、翼が此処から去るよう言う。

 

「ねえ、お父さん。こういう時はどうすればいいの?…うん…うん…」

 

しかし、翼の言葉も気にせず響は何かを呟いている。まるで電話で確認してるような…

 

 

「おい、関係ないお前は引っ込んでろ!こっちはいまから…」

 

「戦うんでしょ?私も混ぜてよ。お父さんもアナタの持つ完全聖遺物ってのが欲しいらしいの」

 

響はまるで新しい玩具を欲しがるような態度を見せる。訳の分からない乱入者に二人は苛立ちを隠せないでいる。そんな反応に響は笑みを浮かべ更に言葉を続ける。

 

「それに、私ね関係あるの。変身!」

 

響の体から光が溢れる。

 

 

 

 

 

 

 

「ノイズの反応とは異なる高出量エネルギー検知!」

「波形の照合!…まさかこれって…アウフヴァッヘン波形!?歌ってもいないのに!?」

 

特異災害対策機動部二課と呼ばれる場所にて職員たちが慌てていた。長年探していたネフシュタンの鎧を纏う少女に謎のシンフォギア装者の反応を持つ少女の乱入。

 

そして、本部のモニターに「GUNGNIR」の文字が浮かぶ。

 

「ガングニールだと!!」

 

本部の司令官である風鳴弦十郎の声が響き渡る。そして、弦十郎は即座に現場に行く事を決めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「嘘だろ、おい!」

「あれは…間違いなく奏のガングニール!!何故、お前が!」

 

本部でも混乱したが現場は更に混沌とする。歌も歌わずにシンフォギアを纏う事に驚く白い鎧の少女にそのシンフォギアは嘗てのパートナーの物だった翼。違いがあるとすれば響の腰に巻き付けた見たことないベルトくらいだ。翼は響に剣を向ける。

 

「じゃあ、皆も手伝ってね」

 

「みんな?何を言って「「「イーッ!!」」」る!?何だこいつ等!!」

 

響の言葉に反応するように白い鎧の少女や翼の周りに戦闘員が大量に出現した。翼たちは完全に囲まれている。

 

「何なんだ…お前達は一体何者なんだ!?」

 

「私達?私達はショッカー。世界を支配するもの」

 

翼の問いに答える響。黒影はとうとう表に出てきた。

 

 

 

 

 

 




とうとう翼たちにもショッカーの魔の手が。
この世界の響はシンフォギアを纏うとショッカーベルトもつけます。

冒頭の運転手や首領の発言は大体原作通りです。流石に怪人が違うのとセリフも少し変えてますが。

やっとジャスラックのホームページが使えるようになったので本編の方は明日あたり投下します。
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