薄暗い空間。此処はショッカーの数多あるアジトの一つ。広めの部屋に複数の人影が拘束されている。キノコモルグに誘拐された人達がいる。その中には雪音クリスと小日向未来の姿もあった。奇妙な機械音が耳に入る。
「う、う~ん」
雪音クリスが目を覚ました。
アタシは一体…確か二人の子供の父親を捜していて…そうだショッカーのキノコ野郎に捕まったんだ!変な機械音が聞こえる。…!?体が動かねえ!よく見るとアタシの腕と足に鎖が付けられている!アタシの他にも何人もの人が捕まってる。…!
「おい、未来!しっかりしろ未来!」
アタシの隣に未来も同じ姿にされていた。幸い裸にされてないが状況が良くなってる訳じゃない
「う…ううん」
「此処は…一体」
「…何で…縛られて…るんだ?」
アタシの声に未来以外にも目を覚ます奴が居た。どうやらアタシら以外の人も拉致されてたみたいだ。未来も目を覚まし周囲の確認や手足が拘束されてる事に気付く。アタシに何か聞こうとしたけど扉が開く音が聞こえアタシや他の人も視線を向ける
「ほう?もう起きたか」
扉からはあのキノコ野郎と戦闘員に白服に顔に緑色と赤色の男が入って来た。医者っぽいが…
「ば…化け物!?」
「な!?なんだお前らは!?」
「こ、此処から解放してください!」
アタシや未来以外の人達が恐怖し解放してくれと叫ぶ。だがキノコ野郎はそれを楽しそうに見てやがる
「ようこそ、ショッカーのアジトに!諸君らはショッカーの改造人間候補となった!」
医者っぽい奴が何か言いだした。改造人間候補って何だよ!?
「なんだよショッカーって!?」
「ショッカーって都市伝説のあれだろ!まさか本当に実在したのか!?」
「いいから此処から出してよ!」
医者の発言に困惑する人達。当然だ、アタシだってショッカーを知らずにこんな所に連れてかれてたら同じ反応をする。アタシと未来は声を出さず様子を伺う。シンフォギアが取り上げられた以上チャンスを待つしかない
「本来なら改造手術は知能と体力の優れた人間に行われる!しかし偉大なる支配者、ショッカーは君たちにチャンスを与えてやるのだ!諸君らはこれより肉体改造テストを受け合格すれば改造人間となりショッカーの一員に…なれる!!」
困惑する人達の言葉を無視し医者は自信満々になんの迷いも無く言い切った。クソッ!ああいうのが一番厄介なんだよ!自分の言葉に欠片も迷いが無い。だから酷い事が出来るんだ!
「ふざけんな!ショッカーに入った覚えはない!!」
「勝手に人を改造しないで!!」
「誰しもが最初はそう思う!そして、やがてはショッカーに感謝するようになる!」
アタシや未来の言葉にも医者はそう言い切る。狂ってやがる!アタシ達の言葉なんて聞こうともしない
「これよりテストを行う!!」
すると、部屋の中央が開き下から何かせりあがって来る。人一人くらいなら寝そべれそうな丸い台のようだ。医者が指示を出し、キノコ野郎がアタシの反対側の人を拘束を解いて丸い台に連れていく。その人は抵抗するがキノコ野郎には効果がない。そして、その人は台に寝かされ拘束される
「これより5万ボルトの電流が流れる、それに耐えられたら改造人間研究室へと送られショッカーの改造人間となる。もっとも並の人間なら黒焦げになって死ぬが貴様たちには既に予備注射を打っている。簡単には死なん」
「や、やめろ!やめてくれ」
台の上に拘束された人が止めるよう懇願する。しかし、ショッカーの連中は誰一人耳を貸さない。キノコ野郎は寧ろ笑っていた
「これより電流を流す!」
医者が台に付いているスイッチを弄る。途端に拘束された人が悲痛な叫びを上げ悶え苦しむ。見ていて気分が悪くなる。未来も顔を青くしている
「5万ボルトに到達、10万ボルトに上げる!」
電力を更に上げ、拘束された人は最後に悲鳴を上げガクッと首から力が抜ける
「もういい、死んだ」
医者は淡々と死んだと言い戦闘員に捨てるよう命じる。戦闘員も慣れてるのか拘束されてた人を退かしてキノコ野郎が別の拘束された人を連れていく。人をアッサリと殺しておいて、バルベルデの方がまだ人道的っだた気さえする。あそこには悪い奴も居れば良い奴も居た
「止めてください!私にはまだ幼い二人の子供が要るんです!私が死んだらあの子たちが!!」
中年の親父が必死に懇願する。二人の幼い子供って!?
「あ、あなたの子供たちって…」
未来が中年の親父に話しかける。もしかして、此処に連れてかれる前に一緒に居た子供たちの…
「な、何故あなた達が私の子供を」
本当に親だった。つまり、あの兄弟の親ははぐれたんじゃなくショッカーに拉致されていた!その間にもショッカーはその父親を淡々と台に拘束する。少しはコッチに興味持ちやがれ!!
「おい、そいつの言ってる事は本当だ!解放してやってくれ!頼む!」
「クリス…」
アタシも、あの子供の父親を解放するよう訴える。この先、生きていくのに親無しなんて駄目だ!アタシみたいな人を増やしちゃいけないんだ!頼む、解放してくれ!!
「クックックック…そうかそうか」
だが、帰って来たのはキノコ野郎の笑い声だった。こいつ等に慈悲なんてない!分かっていた筈なのに!
「子供たちも心配だろ。生き残れるよう気合をいれるんだな」
「二人目のテストを開始する!」
医者は無慈悲にスイッチを入れる。父親の悲鳴が聞こえアタシや未来、他の人達も目を逸らす。悲鳴は数十秒ほど続いた後に静かになった。見ると、中年の男性はピクリとも動かない
「5万ボルトにも耐えられんか、期待外れだな」
「次だ!」
人間がアッサリ殺されていく。くそっ!くそっ!くそっ!!…此処は地獄だ!
ゾル大佐からのメッセージから既に3時間、工場跡地に響や翼、緒川が物陰に隠れ周囲を警戒していた。
「指令、ゾル大佐の言葉通りアジトの出入り口を発見。自動小銃を持つ戦闘員の数も多いですが…」
『…其処は何年か前にノイズ被害で捨てられた地帯だ。秘密のアジトを造るにはうってつけと言う訳か』
「後、通風孔らしき物を発見してそこからは入れそうです」
『すまんな、俺もアジトの乗り込みたかったが…皆に止められなければ』
弦十郎の悔しそうな顔に緒川は顔を引きつらせる。自分が留守の間に本部はショッカーに一時的占領されたと聞いて心配したが怪人との殴り合いに勝ったと聞いてホッとする。しかし、無傷の勝利とはいえず片腕の骨がまだ治ってない。他の打撲の怪我は数時間で治った。
「それでは手筈通りお二人が陽動で僕が潜入を」
「緒川さん、お願いです!私も連れて行ってください!」
「立花!?」
本来二人には外で戦闘員と戦って陽動、その隙に緒川が潜入して雪音クリスと小日向未来を助けて手順となっていた。しかし、立花響が「未来が攫われたのは自分の所為」と言い緒川の手伝いをしたいと言ってきたのだ。まだ、風鳴翼も病み上がりである以上響と一緒に外で戦ってほしかった。
「…響ちゃん」
「我儘だって事は分かってます。それでも…未来を…助けたいんです!例え嫌われてても!」
「立花…緒川さん、私からもお願いします」
響が土下座するような勢いで頼む姿に翼も根負けして緒川に連れていくよう頼む。
「…仕方ない」
緒川が折れた事で響が明るい顔をする。その後、軽い打ち合わせをして緒川と響が通風孔から潜入、その一時間後に翼がアジトの出入り口の戦闘員に仕掛ける。
潜入はアッサリ成功した。通風孔は人一人余裕で通れる広さだ。ショッカーはわざと僕達を侵入させてる事に気付く
「緒川さん、あれ」
響ちゃんが通風孔からアジトの内部を見る。何度か戦闘員の集団や科学者と思しき白づくめの戦闘員を見てきた。また、それかと思い僕も覗いてみる
「…戦車!?随分旧型のようだけど…」
通風孔の向こうには多数の戦車があった。あまり兵器に詳しい方じゃないけど第二次世界大戦時にドイツが使っていた奴だと思う。シンフォギア装者にとって敵でもないけど動き出すと厄介だな
「響ちゃん、ちょっと此処で待ってて」
通風孔の隙間から中に侵入する。何人かの戦闘員が居たけど気付かれる前に全員倒す。後は戦車が動かないよう細工をして……さすがショッカーだ、見た目は古い戦車だけど中身は随分と新しい。…これでよし。あ、それから…
「ただいま」
「お、おかえりなさい」
通風孔から戻ると響ちゃんが目をパチクリしながら見て来る。忍者の動きをしすぎたかな?それはそれとして僕は響ちゃんにある物を渡す。
「…戦闘員の服ですか?」
「内部に侵入するなら着といた方がいいよ」
僕が此処に戻る前に二人の戦闘員から服をかっぱらった。ちゃんと顔も隠れる覆面タイプだ。
「あの~これ付けるんですか?」
「無理言ってついて来た以上従ってもらうよ」
僕の言葉に渋々従う響ちゃん。後は適当な場所で通路に降りればいいともう少し移動した。
アレから何人もの人が殺された。男の人も女の人も皆、心なしか肉の焦げた匂いが漂ってる気がする、気持ちが悪い。残ってるのは私とクリスだけだ。こんな絵に描いたような悪が居るなんて!
「あれだけ居て誰も耐えられんとは…情けない!」
「そう言うなよ、博士。俺は楽しめたぜ」
医者っぽい人が文句を言いつつキノコの怪人がフォローしている。何人も殺してきたのに全く悪びれる様子もない。この人たちは本当に人間だったの!?死んでいった人達の悲鳴がまだ消えない!フラワーのお好み焼き以外食べてない事が良かったなんて
「なんなんだよ……これだけの事をしといてお前達は何がしたいんだ!」
クリスが叫ぶように喋る。クリスの目から涙が溢れてる
「聞いていなかったのか?肉体改造テストと言ったのだ。この程度も耐えられんようなら到底強い怪人になれんわ!」
「まあ、俺としては人間が苦しんで死んでいくのが見たいだけだがな」
医者っぽい人はさも当たり前の様に答え、キノコの怪人は嫌な趣味を話す。その答えに愕然とするクリス。こんな組織じゃ響も話し合いを諦める…そうだ、響だ!
「響にもこんな酷い事をしたんですか!?」
「ひびき?」
私の言葉に医者っぽい人は分からない表情をする。響を改造したのはこの人じゃない!?
「立花響は、特別だ。このようなテストは行っていない」
扉が開き、アイパッチをした軍人風の男が入って来た。響が特別?如何いう事!
「ゾル大佐、わざわざ此方まで…如何しましたか?」
「なに、様子を見に来ただけよ」
医者っぽい人の反応でこの軍人の人が上司みたいだ。名前は…ゾル大佐?それより、
「響が特別ってどういう事!?」
「貴様は、立花響がライブで死にかけた事を知っているか?」
「ライブ?」
クリスが何か反応しけど私はゾル大佐という男に意識を集中する。響がライブで死にかけた?当然知ってる。あのライブは私が誘ったんだから!
「その死にかけた時に立花響の心臓に聖遺物、ガングニールが付着した。勿論、手術はしたが全てを取り切る事は不可能だったようだ。一部が心臓に残り、我々はその情報を手に入れた。そして、ライブの事件の半年後に我々が立花響を拉致したのだ」
半年後!?響が突然行方不明になった時と一致している!?
「響が一年半前に行方不明になったのは貴方達の仕業ね!!…響になにをしたの!?」
「最初は単純に心臓の聖遺物が目的だった、即ち心臓以外捨て聖遺物を取り出す手筈だ。しかし立花響の体を調べ思わぬ情報を手に入れた。聖遺物が立花響の心臓と融合を起こしていたんだ」
融合?そう言えばクリスも響の事を融合症例って…
「そこで我々は考えた、このまま立花響から心臓を取り出すより改造人間として観察した方がいいのではないか。その結果、立花響から心臓を取り出すのを止め改造人間にし実験データを得る事にした。何よりも聖遺物が改造人間にどれだけの力を与えるかも知りたかったからな」
そんな理由で響を!私の太陽を、許せない!
「そうして、立花響はショッカーの技術の粋を集めた最強の改造人間となる…筈だった。しかし、立花響は我々に協力するどころか逆らってばかりだったのでな。聖遺物が脳改造の影響を受けるのではと後回しにしたのが響いたようだ」
脳改造。また知らない単語だけど言葉からして碌でもない物だろう
「半年前と一年半前で…二年前?ライブ?…まさか」
クリスが何か呟いてるけど私はゾル大佐を睨みつける
「そ、それで響は何処に!?」
「後はお前も知ってるのではないか?一月以上前にショッカーから逃走し特異災害対策機動部二課に保護された。我々の調べではリディアン音楽院に通ってるそうじゃないか」
そ…それじゃああの響は本物だった…!私を巻き込まない為にあんな嘘を!…なのに私は何てことを!?
「ゾル大佐、喋り過ぎでは?」
「フフフ、構わん。どうせこの二人はエサだ、そしてこのアジトが立花響たちの墓標となる」
医者ことショッカー科学陣の一人が俺に進言するが別段構わん。どうせこのアジト諸共この小娘たちも死ぬ。最初からこの二人は立花響を誘き寄せる為の餌よ。まぁ、仮に生き残ったところでこんな小娘どもに何ができる?
クリスと未来、ショッカーの洗礼を浴びる。
目指せ、シンフォギア作品系の一の悪役を。
ゾル大佐が喋りすぎ問題。
ショッカーのアジトのイメージは「新仮面ライダーSPIRITS」の一巻に出てきたアジトです。