改造人間 立花響のシンフォギア   作:一種の信者

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15話 クリスと未来の危機 ショッカーの恐怖

 

 

装着した適合者の身体能力を引き上げると同時に体表面をバリアコーティングする事にてノイズの浸食を阻止する防護機能。更には、別世界にまたがったノイズの在り方をインパクトによる固有振動にて超越。強制的にこちら側の世界の物理法則に固着させ位相差障壁を無効化する力こそシンフォギアの特性である。同時にそれが人が扱えるシンフォギアの限界でもあった

 

「…だと言うのに」

 

ショッカーは、シンフォギアを使わなくてもノイズを倒した。私の開発したシンフォギアシステムの模倣だろうが、薬品工場での戦いにその力を垣間見た。私から見ればお粗末なシステムではある、しかしショッカーにとってノイズは最早敵ではない。立花響クラスの怪人なら攻撃が通るなら普通に殲滅も出来る。此方の優位性がなくなるのは正直厳しい。立花響の体を見る限りショッカーの技術は私の予想以上だろう。だが、それでもショッカーは私のシンフォギアシステムを欲しがっている。ゾル大佐の口ぶりを聞く限りショッカーは絶唱を利用したいようだ

 

シンフォギアから解放されるエネルギーの負荷は容赦なく装者を蝕み傷つけていく。その最たるものが絶唱。人とシンフォギアを構成する聖遺物とに隔たりがある限り、負荷の軽減は見込めるものではないと私の理論でも結論が出ている。だが、そんな負荷はショッカーにとって全く問題がないのだろう。使い捨て同然の戦闘員に負荷を押し付ければショッカーの怪人にとって絶唱の力による負荷などノーリスクだ。なるほど、ショッカーが欲しがる訳だ。けど、あの大佐の言葉でショッカーは絶唱をまだ再現出来ていないという事だ。これなら、此方にも十分アドバンテージがある。しかし、ショッカーは、人と聖遺物の融合体第一号立花響の心臓を手に入れようとしてるが何を企んでるのか?ノイズを倒したいだけならもう必要ない筈。より強い怪人を作りたいだけか?

 

人と聖遺物が一つになる事で、更なるパラダイムシフトが引き起こされるのは疑いようもない。人がその身に負荷なく絶唱を口にし、聖遺物の力を自在に使いこなす事が出来れば、それは遥けき過去に施されしカストディアンの呪縛から解き放たれた証。真なる言の葉で語り合いルル・アメル(人類)が自らの力で未来を築く時代の到来。過去からの超越。ショッカーの狙いはそれか?今この場で考えても仕方ない。…しかし、

 

「立花響の心臓の様子を見れんのが痛いな」

 

融合症例第一号の立花響の調査がまるで進まない。心臓を包んでいる未知の金属の所為だ。おかげで血液検査でしか判断が出来ない。データが足りなさ過ぎる。これでは「あの方にお会いしたい」という気持ちが強くなる一方だ。これ以上は待っていられん

 

「ぶっつけ本番…か」

 

転生を繰り返した私らしくない反応だな。心のどこかで私はショッカーを恐れてるのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦闘員の服を嫌々着る響ちゃん。僕もさっさと戦闘員の服を着て適当な場所で下に降りようとし、もう暫く通風孔中を進んだ。そして、

 

「響さん、あれが?」

「はい、ショッカーのシンボルです。でも私も此処まで大きいのは初めて見ます」

 

通風孔のダクトの中から大きな広場のような部屋を見る。其処は100人以上は集まれる程の広さだ。そして、その正面には巨大な地球とその上に立つ鷲のエンブレムが存在感を放っていた。此処から見たところ見張りの戦闘員は居ない。僕達は此処から下に降りる事にした。

 

「此処からは降りて侵入しよう。なに、堂々としていれば案外バレないよ」

「は、はい」

 

緊張してる響ちゃん。でも僕は構わず下に降りる。もう直ぐ翼さんが陽動をする筈だ。それにしても、僕達の予想通りこのアジトから妨害電波が出ている。翼さんとも本部とも通信が出来ないのは痛い

 

 

 

 

 

 

 

 

「響…ごめんなさい、ごめんなさい…」

「アタシは…アタシは…」

 

「何やら様子がおかしいな」

「壊れたんでしょうか?」

 

ゾル大佐の言葉を聞き終えて、未来とクリスの様子がおかしい事に気付く。少し考えたゾル大佐は口をにやける。

 

「せっかくだ、此奴らも肉体改造テストを受けさせろ。なぁに、死んだら死んだで有効利用も出来よう」

「了解しました。この娘たちのテストを行う。先ずは白い髪の娘からだ!」

 

科学者の声に控えていた戦闘員がクリスに迫る。

 

「…嫌だ…嫌だ!…嫌だ!!」

 

心の折れかけていたクリスが逃げようと藻掻くが、シンフォギアもない状態ではろくな抵抗も出来ない。それでも暴れるクリスに戦闘員がクリスの顔を殴りつける。かつてのバルベルデの記憶が蘇ったクリスが抵抗を弱め台の上に乗せられ縛られる。

 

「もう止めて!私達はエサなんでしょ!?なら、もう用はない筈よ!!」

 

「そう、もう用済みだ。だから最後に役立って貰うぞ」

 

未来の必死の訴えもゾル大佐は笑いながら答える。生き残るなら良し、死んでも大した問題はショッカーにはない。手にする鞭を未来に向けるゾル大佐。

 

「ショッカーにとってお前達はもう必要のない人間。利用価値が無い者には死だっ!死にたくなければショッカーの求める人材となるのだな」

 

クリスの体に5万ボルトの電流が流れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…響さん、此処は?」

「…監房です」

 

私と緒川さんはアジトの内部を歩き回った。このアジトは私の知ってる物より大きく広い。其処を私達は手がかりも無しに未来とクリスちゃんをさがしていた。途中、本物の戦闘員と何度かすれ違ったが特に怪しまれてはいないと思う。何度か私の方を見る戦闘員が何人かいたけど…。そして、私達は内部が赤く塗られた檻の前に立っていた。その中には…

 

「…何人もの焼死体が…ショッカーは一体何を…」

「恐らく怪人の性能を実験する為の犠牲者です」

 

私は緒川さんに知ってる事を話す。ショッカーは強制労働をさせられていた何の罪も無い人達が疲労で働けなくなれば死刑と称して新兵器の実験台にされる事を

 

「…ショッカーはどこまで!」

 

珍しく緒川さんが怒った声を出し拳を握る、私も同じ気持ちだ。ショッカーを野放しにしてはいけない。何としても倒さないと……

 

ウ~~~~~~~

        ~~~~~~~~

                ~~~~~~~~~~~

 

アジトの警報が鳴った!?翼さんだろうか!?

 

「不味い、もう時間だ!急ごう、響さん!!」

 

私と緒川さんは急いでこの場を離れる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ…ああ…あ…」

 

台の上でクリスが白目を向いて泡を吹いている。体中から大量の汗を流すが生きている。断末魔の叫びを聞いた未来は目を逸らし、笑みを浮かべるゾル大佐。

 

「素晴らしい、5万ボルトどころか10万ボルトも耐えるとは、改造人間の素体としては申し分ない。…そうだ、聖遺物を心臓に移植し立花響のように改造しろ。イチイバルの調査も終えた、ガングニールとイチイバルの違いがあるのか見てみたい。直ぐに実行しろ!」

「し、しかし、ゾル大佐この娘はテストを終えた直後で体力を消耗しています!改造手術に耐えられるとは…」

「回復薬でも飲まして置け、まぁ死んだら死んだでそこまでの小娘ということだ」

 

科学者が焦りの進言をするが、何処までも冷たいゾル大佐の言葉。未来は今日何度目かの自分の耳を疑う。そして、ゾル大佐の命令に科学者と戦闘員が頷き、グッタリとするクリスを部屋から運び出す。

 

「もう…止めて…クリスに…酷い事は…もうしないで…お願い…します…」

 

クリスの悲鳴を聞き続けた未来が憔悴し泣きながら止めるが、

 

「他人の事を心配してる場合か?次はお前の番だ」

 

ゾル大佐の言葉に戦闘員が近づき、未来に触れようとした。

 

「響…」

 

ウ~~~~~~~

         ~~~~~~~~~~~

                     ~~~~~~~~~~   

 

警報が鳴りだし別の戦闘員が部屋に入る。

 

「アジトの出入口に剣を使うシンフォギア装者が接近!戦闘に入りました!」

「…敵は一人か?」

「今のところ、特異災害対策機動部二課らしき黒服の人間が複数ですがそれだけです!」

     

その報告にゾル大佐が少し考えた。

 

「立花響は、既に潜入してるだろう。剣を使うシンフォギア装者にはモグラングを行かせろ!キノコモルグ、所定の位置につけ!エジプタスと共に立花響を殺せ!」

「…了解。…アイツの言葉分かんないんだよな」

 

キノコモルグが愚痴を呟きつつ部屋から出る。

 

「…響!」

 

憔悴しきった未来はゾル大佐の立花響という言葉に反応する。

 

「俺も所定の位置に付こう。お前達は小日向未来の肉体改造テストを行なえ!」

 

ゾル大佐は命令を出し部屋を後にする。残された戦闘員は言われた様に未来を台の上に寝かす。憔悴しきった未来に抵抗する力は残っていなかった。未来の口から「響…ごめんなさい」と言う言葉が何度も流れる。しかし、戦闘員は一切に気にせず準備を終え、5万ボルトのスイッチに手をかけた。

 

「小日向未来の肉体改造テストを開し「待ってぇ!!」!?」

 

今まさにスイッチが入ろうとした時、部屋のドアが破壊され戦闘員の服を着た響が乱入した。

 

「ひ…響?」

「それ以上、未来に触れるな!!」

 

戦闘員が響の迎撃をしようとするが、響にアッサリとやられてしまう。最後の一人を倒した響は急ぎ未来の下に行く。そして、未来に付けられていた鎖の拘束も引き千切る。

 

「未来!大丈夫!?あいつ等に酷い事されてない!?」

「響…響!!」

 

響の顔を見た未来が泣きながら響に抱き着く。未来の口からひたすら「ごめんなさい!」と言う声が漏れる。

 

「ごめんなさい…響!私何も知らなかった!ショッカーに何をされたのか、私分かってなかった!!」

「未来…」

 

未来は泣き続ける。ショッカーの邪悪さは未来の予想以上であり響はそんなショッカーから自分を守ろうとしていた事に気付く。響が未来の体をソッと触る。なるべく力を入れず丁寧に、未来の体が震えているのが分かる。恐らくは響の想像以上の怖い目にあったのだろう。

 

響が未来を見つけたのはほぼ偶然だった。通路を歩いている時に一つの部屋からキノコの怪人とあの日、風鳴翼が絶唱を使った後に出てきた軍服の男を偶然発見。念の為部屋のドアに聞き耳を立ててみた。そして、戦闘員の小日向未来の言葉で響は部屋に突入した。少し遅れて緒川も合流した。

 

「良かった、未来さんは無事ですね。雪音クリスさんは何処に?」

「!響、クリスが連れて行かれたの!聖遺物を心臓に移植して響との違いを見るって!」

「!?」

 

クリスは、此処とは別の場所に連れて行かれた事を知る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これより、雪音クリスの改造手術を行う」

 

アタシの周りに何人ものショッカーの科学者が囲んでいる。手には大き目な注射器やメスやハサミも持っていた。これからアタシを怪人に改造手術をする気だ。傍には、電動ノコギリと一緒にアタシの心臓に移植する為のイチイバルもある。正直逃げる方法を考えたいけど、あの電撃の所為で頭が上手く動かない

 

「嫌だ…嫌だ!放せよ…放して!パパ!!ママ!!」

 

頭が動かないアタシは錯乱して必死に逃れようとし、もう居ないパパとママを呼んじまった!裸にされてショッカーに見られるのが悔しくて悲しかった。尤も、ショッカーの連中はアタシの裸に全く興味がない素振りで淡々と手術の準備をしている。そして、注射がアタシに向けられた。アタシが諦めて目を瞑った

 

「生きることを諦めないで!!」

 

その声にアタシが首を動かして扉の方を見る

 

「立花響!!」

「裏切者を殺せーー!!」

 

科学者どもが慌てふためく。其処にはシンフォギアを装着した融合症例の立花響が居た。何時もだったらお節介な奴と思うが今はとても嬉しく、そして後ろめたさの気持ちが溢れる。その後、立花響は護衛の戦闘員と科学者を蹴散らしてアタシの繋がれてる鎖を引き千切る。アタシが引っ張ってもビクともしなかったのに

 

「…」

「その様子なら間に合ったみたいだね。もう直ぐ、緒川さんと未来が来るからクリスちゃんは脱出して私「あのさ」は、ん?」

「…あのさ…ありがと…そして…怪人だとか改造人間なんて言って…ごめん」

 

アタシの口からアイツに謝る声が漏れる。他にも言わなきゃいけないのに…でも、何も知らなかった自分が許せなかった。融合症例とショッカーがグルだと勝手に思い込んでいた。しかし、ショッカーに囚われ改造されかかった今なら分かる。此奴は改造人間になりたくてなった訳じゃない。寧ろ逆だ。なのに…

 

「…謝る事なんて無いよ。だって事実だし…」

 

なんでそんな悲しそうに言うんだよ!アイツは何処からか取り出したシーツでアタシの体を覆う。まだ体の自由がきかないアタシにはありがたかった。丁度その時、未来とアタシより年上の青年が入って来た。…危なかった

 

「クリス!良かった。無事だったんだね!」

「…お互い無事なようだな」

「後は脱出するだけですが…通路の一部に隔壁が降りていて進めませんね。通風孔にも大勢の見張りが立ってます」

「隔壁の降りてない所を通りますか?」

 

そういう事になった。まだ体の自由がきかないアタシは未来に肩を貸して貰いついていく。正直、未来も体力を消耗してる筈なのに…

 

「イーッ!」

 

「邪魔です!」

 

あの青年忍者だったのか!?数人の戦闘員をアッと言う間にやっつけた。アイツも追ってくる戦闘員を次々とぶちのめしていく。これなら逃げれるかもしれない。アタシはそう思ったけど

 

「やはり誘導されてますね」

「…此処通った通路ですからね。しかもこの先は…」

 

緒川っていう青年とアイツが話してる。この先に何があるんだと思いつつ通路を進むアタシ達。そして、到着したのは、

 

「うわ~」

「大きいね」

 

巨大な鷲と地球のエンブレムが飾っていた。そして、その前には…

 

「待っていたぞ立花響!後ついでにオマケも居るようだな」

 

ゾル大佐(クソったれ)が居た

 

「ゾル大佐!僕達を此処に誘導したのは貴方ですね」

 

アイツの代わりに緒川って奴がゾル大佐に聞く。

 

「その通り、そして此処が貴様たちの墓場となる!」

 

           ヴェ、ヴァヴァー

             アポロボロボロ

 

ゾル大佐が鞭を振り上げるとアタシ達の目の前に二体の怪人が姿を現す。一体はあのクソったれなキノコ野郎、もう一体はエジプトの王様がつけるような仮面みたいな顔をした怪人だ

 

「このアジトこそ貴様たちの処刑場となる!」

 

「そんな事、させるもんか!!」

 

アイツがアタシ達の前に出る。二体の怪人と睨み合いアイツが動く。体力の回復してないアタシと未来は見守るしか出来ない。あ、緒川って奴も助太刀にはいった。電撃の所為で未だに体が痺れてるアタシはイチイバルを握る。体力が回復したらシンフォギアを使ってアイツらを助けてやる。例え大嫌いな歌を歌っても。




緒川は響がシンフォギアを装着した時に戦闘員の服を脱いでます。

フィーネはエジプタスと会話できそう。
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