改造人間 立花響のシンフォギア   作:一種の信者

20 / 172
16話 ショッカーアジトの戦い ゾル大佐の罠

 

 

 

日も暮れた工場跡地。普段は人影もない場所だが、一部で何人もの声が響く。黒いタイツ姿の男たちが青い髪の長髪女性に襲い掛かる。ショッカー戦闘員と風鳴翼だった。

 

「イーッ!」「イーッ!」

 

「何の!」

 

次々と襲い来る戦闘員。それを切り捨てていく風鳴翼。斬られた戦闘員が次々と緑色の液体となっていくが、廃工場の中から次々と戦闘員が沸いてくる。普段の翼なら戦闘員の相手など全く問題ない。しかし、翼は先日まで絶唱を使い反動で入院していた。まだ、完治もしていない。

 

「ハア…ハア…」

 

息の上がる翼。戦闘員は未だに無尽蔵な数が居る。少しづつ翼との距離をつめ取り囲もうとするが、数発の銃声がしたと同時に何人もの戦闘員が倒れる。倒れた戦闘員は緑色の液体となった。

 

「よし、この調子だ!少しでも風鳴さんを助けるんだ!」

「おうよ!あいつ等はノイズと違って銃弾は効くんだ!」

 

特異災害対策機動部二課の黒服の職員がスナイパーライフルを片手に喜ぶ。ノイズ戦ではハッキリ言って出番はない。シンフォギア装者のサポートや裏方が主な任務と言えた。ノイズにはシンフォギア以外の現行兵器は役には立たない。しかし、ショッカーはノイズと違い銃弾が当たる。戦闘員くらいならば頑張れば黒服でも倒せる。少しでも風鳴翼の負担を減らそうと黒服たちも支援していた。

 

「いいぞ!響ちゃん達が脱出するまで持たせ「邪魔だ、人間ども」て!?」

 

サポートしていた黒服の一人が地面に引きずり込まれる。黒服たちに緊張が走る。怪人が出現したのだ。黒服たちにとって怪人はノイズみたいな物だ。銃弾は当たるが対物ライフルクラスでないと傷つける事すら難しく、その力はシンフォギア装者以上であり、空を飛ぶ者も居れば銃弾以上に素早い者も居る。そして、ノイズと違い人間一人殺した程度では消えやしない。そして、また一人地面に引きずり込まれた。

 

「!」

 

翼も異変に気付く。あれだけ斬られようと構わず向かってきた戦闘員が突然距離を置きはじめた。まるで観戦するように。

 

「邪魔な人間は処理した。次はお前だ」

 

突然、地面が盛りあがり誰かが出て来る。全身が黒く右手が剣のようで左手がシャベル、ショッカーの一味が付けるベルト。怪人が現れた。

 

「俺の名はモグラング。ゾル大佐の命令によってお前を殺してやる!」

 

「くっ!」

 

モグラングが接近戦を仕掛ける。翼も迎え撃つが翼の剣は悉くモグラングの体に弾かれる。

 

「固い!?」

 

「俺の体の前ではお前の剣術など児戯にも等しいぞ!」

 

翼から見ればどの怪人よりもモグラングは隙だらけだ。しかし、剣の一撃が悉く弾かれモグラングに傷一つつける事が出来ない。

 

「それなら!」

 

翼がジャンプし手に持つ剣をモグラングに投げつける。剣は巨大化し、翼のシンフォギアにブースターが火を噴き剣に加速し巨大化した剣の柄を蹴り抜く。

 

天ノ逆鱗

 

かまきり男を倒した技だ。これならと翼は考えた。モグラングはその剣を見ても避けようともせず防御する姿勢もせずただ、その場に立つだけであった。そして、天ノ逆鱗はモグラングに直撃する。が、

 

「温いわ!!」

 

「なにぃ!?」

 

天ノ逆鱗がモグラングの体に接触した瞬間砕け散る。何とか地面に着地する翼はモグラングを見る。モグラングの体には傷一つ無い。

 

「改造人間を舐めると後悔するぞ!!」

 

モグラングの反撃が始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アジトに警報が鳴り響く。戦闘員達が各所に集まる。とある格納庫にも戦闘員が集まり持ち場に着く。仲間の見張りが居ないが誰も気づく事はなく止まっている戦車に乗り込み起動させようとした直後に轟音が響く。

 

 

「ん?何処かの格納庫がやられたか?だが構わん。どうせ破棄予定の兵器だろ」

 

アジトに轟音が響く事に気付くゾル大佐だが大して気にしない。大方、立花響か忍術を使う男が何かしたのだろうとあたりをつける。今は目の前の戦いの行方を観察する。

 

 

 

 

 

 

 

 

「アポロブラブラ」

 

「何言ってるか分かんないけど」

 

響がエジプタスの攻撃を避けつつ攻撃を当てていく。しかし、エジプタスは少しよろける程度であまり効いてる様子はない。

 

「アバラボロボロ!」

 

「!」

 

咄嗟に響は横へと逃げる。先程までいた場所に火炎が降り注ぐ。エジプタスが口から火炎を噴いたのだ。更にエジプタスが火炎を噴く。

 

 

 

 

 

 

「まだ忍者が生き残ってるとはな、この俺の前に跪け!」

 

「悪いけどそんな気はないよ!」

 

緒川はキノコモルグを相手にしていた。キノコモルグの持つレイピアに何度か刺されそうになるが『変わり身』で防ぐ。緒川も負けじと拳銃や小刀で戦うが刃物ではキノコモルグの方が強く拳銃程度では怪人には力不足だ。そこでふと、キノコモルグの目に端に居る二人の少女とエジプタスと戦う立花響が目に入る。

 

「あっちの方が面白そうだな。エジプタス、俺と変われ!」

 

キノコモルグがエジプタスに近づく。突然の事にエジプタスも慌てるがキノコモルグに押され相手を緒川に切り替える。響と緒川の相手が変わった。

 

「ポポピピプぺ!」

 

「危ない!」

 

緒川にエジプタスの吐く火炎が迫る。何度か影縛りをするが吐く火炎によって影の位置が変わりあまり効果がない。何より、『変わり身』を焼き尽くす火炎に緒川も苦戦を強いられる。

 

 

 

 

 

 

相手を立花響に変えたキノコモルグはレイピアを振り回し攻撃する。カスリはするが響は着実に避けている。

 

「攻撃事態はかわせる、これなら!」

 

「これなら何だ?言ってみろ」

 

「え?」

「響…」

 

自分の背後から声が聞こえ響は、視線を僅かに後ろに向ける。其処には戦いに巻き込まれないよう端の方で待機していた未来とクリスが居た。そこで初めて響はキノコモルグが笑ってる事に気付き誘導されていた事を知る。「何か仕掛けて来る!」っと身構える響。

 

「喰らえ!」

 

キノコモルグが口からキノコの胞子を出す。後ろに未来やクリスが居る以上下手に避けられない響はガードする。キノコの胞子は響の体が盾となり二人には届かない。僅かだが響は自分の体に異変が起こる事を知る。力が徐々に抜けていくのだ。キノコの胞子が響を蝕む。

 

「うっ!」

「響!」

「何だよ、吸った人間は仮死状態にするだけじゃないのかよ!」

 

響の苦しそうな反応に未来やクリスが心配の声を出す。

 

「馬鹿めぇ!俺が何時それだけだと言った!?俺は毒キノコの改造人間、体内にはもっと危険なキノコの胞子がある。それこそショッカー科学陣が作り出した人間が吸えば即死する程の胞子をな!」

 

「即死だって!」

「じゃあ、響は!?」

 

キノコモルグの言葉に未来とクリスは響に視線を向ける。響の体にキノコモルグの胞子が次々と付着し苦しそうにしていても響は一歩も動かず自分達を守ってる事が分かる。

 

「その胞子は人間は即死だが改造人間には別の効果がある!改造人間のエネルギーを徐々にだが吸っていく!そして最後は…クックックック」

 

キノコモルグは笑い声を上げつつキノコの胞子を吐き続ける。その胞子は着実に響の体を蝕む。

 

「響!」

「クッソ、卑怯だぞ!!」

 

「馬鹿が!世の中、勝てば良いんだよ!」

 

クリスの罵りもキノコモルグには効果が無い。クリスが苦虫を嚙み潰したような表情をする。

 

「正義の味方気取りも大変だな!足手まといを庇わなきゃいけないんだからな!!」

 

キノコモルグの言葉に未来とクリスはハッとする。自分達さえ居なければ響はもっと自由に戦えた筈だ。自分達が響の足を引っ張ている事に気付く。かと言って移動しようにもキノコモルグが見逃す筈がない。クリスが手元のイチイバルを見る。使うにはまだ体力が戻っていない。

 

「なんだったら、一人だけ助けてやってもいいぞ。黒髪の女か白い髪の女、どっちを助けて欲しい?」

 

そう言いのけるキノコモルグだが助ける気など欠片も無い。どっちか選び、選ばれなかった方が罵詈雑言を吐き憎しみを抱いたまま死に、自分達は助かったと思った奴等を裏切って殺す。キノコモルグは改造人間となる前から絶望する人間の顔がとても好きだった。

 

「ふ…けない…で…」

 

「何だ?」

 

「ふざけないでって言ったの!未来もクリスちゃんも私の大事な友達だ!」

「…響」

「お前…」

 

響の怒鳴り散らすような声にキノコモルグも少し驚く。未来は安心したように、クリスは友達扱いされ少し顔を赤くする。

 

「なら、足手まとい諸共死ねぇ!!」

 

キノコモルグは更に胞子を吐き続ける。状況は何一つ良くなっていない。このままではいずれ倒れるのは響だ。

 

━━━私が倒れたら未来やクリスちゃんが…

 

響の脳裏に最悪な結末が過る。なんとしても倒れる訳にはいかないと響は考える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「響さん!?」

 

響の苦戦は緒川の目にも入っていた。出来れば手助けしたがいエジプタスの火炎が邪魔をする。手持ちの手裏剣や小刀もエジプタスの火炎で溶かされ手持ちは存在しない。

 

━━━どうする!?どうすれば…僕が怪人を倒せる可能性は低い。かと言って響さんを見捨てる訳には…せめて火炎攻撃を何とかすれば…火炎!?

 

エジプタスの火炎を避ける緒川にあるアイディアが浮かぶ。

 

━━━はっきり言って賭けにも等しい!かと言ってこのままではジリ貧だ。僕達が負ければショッカーを止めれるのは指令達しか居ない。なら、

 

「エジプタスさん、貴方さては弱いですね?この程度の火炎しか吐けないなんて」

 

「アブラマシマシ!」

 

「本当に何を言ってるか分かりませんね。あ、でも知ってます?日本には「弱い犬ほどよく吠える」ってことわざがある事を」

 

緒川にはエジプタスの言葉は分からない。しかし、エジプタスの反応を見る限り日本語は知っているようだ。だから、緒川はエジプタスを敢えて挑発してみたのだ。

 

「アバラポロポロ!!」

 

結果は成功と言えた。エジプタスはさっき以上の火炎を緒川に吐きかける。最早、エジプタスは周りを見ていない。緒川は一世一代の賭けにでる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フフフ、後どのくらい持つ?せいぜい数分と言ったとこか?」

 

キノコモルグの胞子は、既に響を覆っている。付着してないのは背中くらいだ。響はもう立っている事すらつらい。響の頑張りで未来にもクリスにもキノコモルグの胞子を吸い込んではいないが、それも時間の問題と言えた。

 

「私は…私は…守るんだ…二人を…」

 

意識が朦朧とする中、響は二人を守ると呟く。響を立たせる原動力はもうそれしかない。

 

「お前に守れる者なんてある訳が…ん?」

 

キノコモルグが横から何か来ている事に気付く。胞子を吐き出す為、視線しか動かせないが何か明るい物と熱が迫る。

 

「なっ!?」

 

火炎がキノコモルグと響を飲み込む。エジプタスが吐いた火炎だ。

 

「おい!?」

「響!?」

 

突然の大惨事に未来もクリスも驚愕する。

 

「何をしている!エジプタス!?ぎゃああああああああああああああ!!!」

「エバラボロボロ!?」

 

断末魔の声を上げたキノコモルグが火を消そうと床を転げまわるが火は消えることなくキノコモルグの体が爆発した。自分の火炎が仲間のキノコモルグを焼いた事に焦ったエジプタスは緒川を睨みつける。目標である響も焼き殺したのだ。まだ挽回は出来ると判断したが、

 

「今です、響さん!」

「…はい!」

 

目の前の緒川の声に背後から焼いた筈の響の声が聞こえた。エジプタスが振り向こうとした視線には体についた胞子が焼き尽くされた響が、腕のジャッキが開いて一気に閉じて拳を握る。そして、エネルギーを纏ったパンチがエジプタスの背中を貫く。

 

「イバラ…ボロボロ…」

 

背中にまともに響の一撃を受けたエジプタスは数歩前に歩いた後倒れ爆発する。体から煙を上げつつも響は肩で息をする。未来とクリスが急いで駆け寄る。

 

「響!」

「おい、大丈夫か!無茶しやがって!」

「だ…大丈夫。…へいき…へっちゃら…だから…」

 

ふら付く響に肩を貸す未来とクリス。それに息も絶え絶えで答える響。そこに申し訳なさそうな顔をした緒川も合流した。

 

「すみません、響さん。エジプタスの火炎でキノコ怪人だけを倒そうとしたんですが」

「いえ、私は…大丈夫…ですから。…体に付いた胞子も…燃え尽きたし…それより…今は…」

 

謝罪する緒川に響は大丈夫と言い張る。未来とクリスが緒川を睨みつけたりするが、今はやるべき事があると、視線をショッカーのシンボルに目を向ける。其処には響達に向け拍手を送るゾル大佐がいる。

 

「エジプタスを倒すとはやるではないか。素晴らしい性能だ、立花響」

 

部下の怪人が倒された筈なのにゾル大佐は終始笑みを浮かべる。何か嫌な予感を全員が感じる。すると、どこからともなく「キュラ、キュラ」という音が聞こえ振動が起こる。

 

「ならばこういうのはどうかな?」

 

ゾル大佐が言い終えると共に壁が崩れ戦車が何台も入って来る。キュラキュラ音はキャタピラの音だった。

 

「戦車!?」

「なんで戦車が!?」

「そんな、戦車は動かないよう細工したのに!?」

 

未来やクリスは驚き、緒川は細工した戦車が正常に動いてる事に驚く。

 

「馬鹿め、ショッカーの戦車が格納庫一つだけだと思ったか!?このアジトには幾つもの戦車が保管され何時でも起動出来るようにされている!そして、この戦車は前の大戦のナチスの土産として俺が日本に持ち込んだ物だ」

 

緒川が潰した戦車などショッカーの保有している全体の一部に過ぎない。そして、このアジト以外にも戦車が幾つも保管されている。

 

「こんな物をどうする気だよ!」

「まさか、これで日本中の街を焼き尽くす気!?」

 

「無論だ。「ショッカー」の目的は世界征服。改造人間はその悲願達成する為の兵器…戦車と同様よ。立花響!貴様もそうだ!ショッカーが貴様を改造した恩を返すがいい!!」

 

その言葉に未来が反論する。

 

「ふざけないで!勝手に改造して何が恩よ!!」

「…確かに…この力は…兵器かもしれない…。でもね、ゾル大佐…この力は貴方達を倒す為に…使う!」

 

響が戦車の前に一歩踏み出すが、キノコモルグとの闘いの影響が残ってる体では厳しい。現に今も響の体はフラついている。しかし、ショッカーはそれを見逃さない。戦車の主砲が響に向けられる。

 

「愚かな選択をしたな。ショッカーに逆らった事を後悔して死んでいけ!」

 

Killter Ichaival tron

 

「え?」

「クリスさん?」

 

「なんだと?」

 

ゾル大佐が戦車に攻撃命令を出そうとした瞬間その場に歌が響く。クリスの歌だ、クリスの歌に皆が一斉にクリスを見る。起動聖詠によりシンフォギアを装着したクリスは目をカっと見開く。

 

「体力も十分回復した。次はアタシがやってやるよ!」

 

響の前に出てそう宣言する。アームドギアをガトリング砲に変形させ一斉掃射する。戦車が次々と破壊される中、戦闘員も戦いに加わる。しかし、クリスのアームドギアの前に次々と倒されていく。

 

「ふむ、此処までと言ったとこか」

 

その様子を見届けたゾル大佐は懐からスイッチを取り出し押す。その直後にアジト全体が揺れ出す。

 

「なにっ!?地震!?」

「これは…アジト全体が揺れている!?」

 

「自爆スイッチを押した。貴様たちはこのアジト諸共死ぬがいい」

 

ゾル大佐がそう言い放つとアジトの各所から爆発音が響く。ハッタリでもなんでもない、自分たち諸共アジトを爆発させる気だ。そして、何時の間にかゾル大佐の姿も消えていた。

 

「居ない!?まさか、奴だけしか知らない脱出路が?」

「おい、どうしたんだよ!?」

 

ショッカーの戦車と戦闘員を全滅させたクリスが何事かと聞く。未来が今の状況を説明すると、クリスは悔しそうに地面を踏む。

 

「してやられたのかよ!アタシ達!」

「脱出出来る所を探さないと、幸いこのアジト自体そこまで地中深くに造られたものじゃないんですが、それでも生き埋めにはなります。ゾル大佐が使ったと思しき脱出路を探そうにも時間も足りませんし僕達も使える保証がありません」

「ゾル大佐のこと脱出出来る場所は全部隔壁を降ろしてる可能性が高い。あれ改造人間でも壊せなくて…たぶんクリスちゃんも無理じゃないかな」

 

此処に来る前、響は隔壁を壊せないかと攻撃してみたが、少し凹ませるだけで効果があったとは言い難い。じゃなければゾル大佐の策に乗ったりはしない。崩壊していくアジトの中で響や未来が絶望を感じる。

 

「…なあ、アタシの策に乗らないか?」

 

クリスの言葉に響と未来、緒川が視線を向ける。クリスが三人に自分が考え付いた策を話す。

 

「そんな、無茶だ!」

「でも、此処に居るよりは…」

「クリスちゃん…自信ある?」

 

響の言葉にクリスは頷く。それを見て響はクリスに任せる事を決めた。大部屋の真ん中に立つクリス。

 

         なんでなんだろ? 心がグシャグシャだったのに

           差し伸ばされた温もりは嫌じゃなかった…

 

クリスは歌う。自身のシンフォギアの力を高める為に。

 

         こんなに…こんなに…こんなに溢れ満ちてゆく

               光が…力が…魂を…?

 

『アタシのイチイバルの特性は長射程広域攻撃。それを一か所に狙いを定めて此処の天井の一部にぶっ放す』

『そうする事で天井に穴を開けて脱出すると?無茶です。天井に穴を開けた瞬間に瓦礫が降り注ぎ僕達は圧し潰されてしまう。それに、そこまで深くないとはいえイチイバルだけでは…』

 

                ぶっ放せッ!

            激昂、制裁、鼓動!全部

             空を見ろ…零さない…みつけたんだから

 

『まさか、絶唱を使う気?クリスちゃん』

『…アタシの命はそこまで安くねえよ』

『なら、どうやってです?』

 

             嗚呼ッ二度と…二度と!迷わない

                 叶えるべき夢を

 

『ギアの出力を引き上げつつも放出を抑える。行き場のなくなったエネルギーを臨界まで溜め込み一気に解き放ってやる』

『なるほど、もう戦闘員も壊滅した今ならチャージもし放題ということですか』

 

            轟け全霊の想い

             断罪のレクイエム

               歪んだFAKEを千切る

 

『そういう事だ。後はアタシが出すミサイルの一つに乗っていけば穴が塞がる前に出られる筈だ』

『ミサイル!?』

 

               My song未来の歌

                 やっと…見えたと…気づけたんだ

                 きっと届くさ…きっと

 

『アハハハ…過激だね、クリスちゃん』

『で?どうすんだ。乗るか乗らないか?』

 

          なんでなんだろ? 世界は何も変わらなく

            とても綺麗な太陽の火は何を意味するの?

 

『…乗るよ。何よりクリスちゃんの提案だし』

『響が乗るなら私も』

『…仕方ありませんね。あまり時間もないようですし』

 

           今から…ここから…いつでも笑ってもいいのかな?

              湧き出る…すべてが…止まらない

 

歌い続けるクリスのシンフォギアにエネルギーが溜まっていく。響と緒川は念の為とクリスの護衛をする。突発的に戦闘員が現れるが問題なく対処をしてクリスに近づけさせない。しかし、この場所にも爆発が起こり壁が崩れていく。

 

             ぶっ飛ばせッ!

             ありのままの道に正義を翳し

           生きてゆく…生きている…もう先を向こう

 

エネルギーが十分になったのかクリスのシンフォギアからガトリング砲と小型ミサイル、そして大型ミサイルが4基が出て来る。そして、クリスがガトリング砲と小型ミサイルを先に天井に撃つ。天井がどんどんと崩れるが同時に周りも崩壊していく。アジトの電気などとっくに止まっている。今周りを照らしてるのは戦車の残骸の炎とクリスのシンフォギアから出る光くらいだ。

 

「よし、本命!いくぜぇ!!」

 

4基ある内の3基の大型ミサイルが発射される。大型ミサイルは寸分狂わずクリスが集中攻撃した天井に吸い込まれるように着弾。僅かだが月明かりが見えた。

 

「今だ!乗れ!!」

 

チャンスを見逃さなかったクリスが合図を送る。緒川と未来を抱えた響がミサイルに捕まる。最後のミサイルに火が付く、ミサイルに乗った響が手を伸ばしクリスが掴みそのまま引き上げる。爆発していくアジトから脱出できる。誰もがそう思ったが、

 

「…あ…」

 

一瞬、気が抜けた響は疲労もあってか飛んでいくミサイルから落ちる。緒川もクリスも咄嗟の事に動けなかった中、

 

「響!!」

 

未来だけが響を追ってミサイルから落ちる。

 

「ば、馬鹿!!」

 

クリスが反応した時にはミサイルは天井の穴から外に飛び出した後だった。崩壊するアジトに響と未来が取り残された。




悪の組織名物、このアジト諸共死ね!発動。

響達の受難はまだ終わらない。

シンフォギアってミサイルに乗る印象が強いと思います。

原作の10話の前に「繋いだ手だけが紡ぐもの」がフライングで歌われる事に。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。