改造人間 立花響のシンフォギア   作:一種の信者

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19話 残酷

 

 

 

「あ…ああ…」

 

薄暗い路地裏、一人の人間が力なく倒れる。よく見ると人間は痙攣をしているが生きている。その人間の前には、

 

「ふぅー、なんとか怪人としての力を取り戻した」

 

人間の血を吸ったザンブロンゾが居る。クリスとの闘いの後、調査しに来た特異災害対策機動部二課職員を襲い吸血し怪人体へと戻った。

 

「おいどうした!」

 

倒れた音に気付いたのか声とともに何人かの足音がコッチに来る。当然、ザンブロンゾも気付いている。

 

「もう少し、血を呑んでおくか」

 

しかし、ザンブロンゾは身を隠すではなく戦闘中、また血液不足になっては堪らんと考え迫る足音の方に進む。その後、何人かの悲鳴と銃声の後に残ったのは何人かの昏睡した職員たちだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え?学校を休む?」

 

特異災害対策機動部二課本部から直接学校に来た響が携帯電話で話す。電話相手は未来だった。丁度、学校に着いたと同時に携帯がかかって来た。未来とはアジトを脱出した後に連絡のやりとりをしていたのだ。

 

『うん、学校に行く途中でクリスが倒れているの見つけたの。多分、ショッカーに襲われたんだと思う』

「そう…分かった。…先生には…私が言っとく。…私も…学校が終わったら直ぐに向かうよ」

『うん。場所はお好み焼き屋のフラワーのおばちゃんのお店だから。待ってるね』

 

会話が終わり携帯の電源を切る響。ぎこちないが未来との会話が出来て少し嬉しかった。それにしてもと響が考える。

 

「二課から出る前に師匠がイチイバルの反応が出たって言ってたけど、クリスちゃんショッカーと戦ってたんだ」

 

特異災害対策機動部二課でもクリスのイチイバルの反応をキャッチした。ノイズの反応が無い以上、相手はショッカーだろうと睨んでいた。弦十郎を始めとした職員が現場に行ってるそうだが大丈夫だろうかと心配になる。

 

「…師匠なら大丈夫か」

 

修行をつけてもらっている響は十分、弦十郎の強さを知っている。何より本部が襲撃された時、弦十郎は一対一で怪人を倒していると聞いている。心配はないだろうと思い直す。

 

響が職員室で担任に未来が休むと伝える。後日、未来には無断外泊と学校をサボった事で説教が確定するが響の知らぬとこであった。担任に伝えた響は教室へと入り席につく。

 

「あの…小日向さんは、今日もお休みなんですか?」

 

誰かが響に話しかけてきた。振り向くと安藤創世と寺島詩織と板場弓美の未来の友人の三人だった。

 

「う…うん、風邪ひいたらしくて…」

 

流石に本当の事も言えないので未来は風邪引いたと誤魔化す。その言葉に三人が少なからず驚く。その反応に響は疑問に感じるが少し話して三人が離れる。

 

「立花さん、雰囲気が良くなりましたね」

「うん、前のビッキーだったら知らないの一点張りだろうしね。昨日か一昨日に何かあったのかな?」

「…きっとアニメみたいな展開で仲直りしたのよ。川原で殴り合いとか」

「…今の時代にないと思います」

 

その後、響達は授業を受ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『イーッ!』『イーッ!』

 

            止めろ!

 

『大人しくショッカーに来るのだ!』

 

              嫌だ!

 

『貴様は改造人間となりショッカーの為に働くのだ!』

 

           アタシはそんな事望んじゃいない!!

 

『決定権はショッカーにある。貴様にはない!』

 

                誰か…誰か!

 

『…クリス』

 

         フィーネ!?助けてフィーネ、このままだとアタシはショッカーに…

 

『あなたは本当に役立たずね』

 

               フェーネ?何を言ってるんだよ

 

『もうあなたは要らないの、さようなら。永遠にね』

 

             待ってよ、フィーネ!置いていかないで……フィーネ!!

 

 

 

 

 

 

「はッ!」

 

夢か、…酷い悪夢を見た。アタシは路地でショッカーの襲撃を受けて撃退したけど疲労とかで倒れて…此処は!?アタシが周囲を見回す。路地じゃない、和室の部屋に布団が敷かれてその布団に寝かされていたようだ

 

「良かった、目が覚めたんだ」

 

直ぐ傍で聞いた覚えのある声が聞こえ振り向くと、

 

「…未来」

 

一緒に、ショッカーのキノコの怪人に捕まり脱出した未来が傍に居た。見ると、桶の中に水と手拭いがあり看病もされていたんだろう。体に違和感を感じて下を見るとアタシの服じゃない!

 

「ずぶ濡れだったから着替えさせてもらったよ」

 

胸にはデカデカと小日向と書かれてる。これ体操服ってやつじゃねえか!?

 

「勝手な事を!」

 

アタシは勝手に着替えさせられた事に文句を言う為に立ち上がった。…下半身がスースーする上に未来が顔をそらしてる。見ると案の定、下には何も着けられてなかった

 

「…下着の換えまではなかったの…ごめん」

 

恥ずかしくなったアタシは布団に包まった。…死にたい

その後、この部屋の持ち主のおばさん…お好み焼き屋のおばちゃんらしい…人がこの部屋と布団を貸してもらった上にアタシの着ていた服も洗濯してくれた。信用できる大人か分からないけど未来の様子を見る限り大丈夫だと思う。少しして、未来がアタシの背中をぬれタオルで拭いてくれた

 

「何も…聞かないのか?」

 

アタシの体の傷やどうして路地で倒れていたのか聞かれる覚悟はしていた。アタシの体は無傷じゃない。昔の傷もあるし、ショッカーに襲われたのもあるがフィーネに付けられた傷もある。アタシの体は傷だらけだ

 

「…うん。私は…そういうのが苦手みたい。前に私の事を避けてた娘が居てね、何かがあったんだろうとは思ってたの。事情を聞かずに昔みたいに仲良くしようとしてたの。でもある日、偶然その娘が戦ってる場面に遭遇して私を助けてくれたのに、私は体に機械があるからってその娘を偽物扱いして…剰え化け物って罵って!一番大切なものを自分で壊して…一年以上行方不明になっていた大事な親友だったのに!」

 

話し続けるけど段々未来の声に涙が混じっている。親友ってのは多分、融合症例のあいつだろ。ある日ってのはアタシとあいつ等とで共闘した時か…あれ?アタシの所為でもありそうな…

 

「あいつと喧嘩でもしたのか?」

「…喧嘩ですらないよ。私の一方的な勘違いが原因なんだから」

 

アタシと未来の間に沈黙が流れる。丁度その時におばちゃんがアタシの服が乾いたって持ってきてくれた。とっとと着替えていると玄関の方から「お邪魔します」と言う声が聞こえてくる。あの声って確か…

 

「あ、響だ」

 

どうやら癒合症例のアイツも来たらしい。それにしても喧嘩ですらないって分かんないな

 

「アタシにはよく分かんないな」

「友達と喧嘩した事ないの?」

「クリスちゃん、こんにちは。それで何の話?」

 

思わず口から出た言葉に未来が質問して来たばかりのアイツは何の話か分かっていない。未来が後で説明するって言ってる。友達か…

 

「友達居なかったんだよ」

「「へ?」」

「地球の裏側、南米のバルベルデって国でパパとママを殺されたアタシはずっと一人で生きてきた。友達どころじゃなかったんだ。たった一人理解してくれるって思った人もアタシを道具のようにしか思ってなかった。アタシの知ってる大人は皆クズばかりだ。挙句、ショッカーなんて連中も出てきやがって、テロや内戦もあいつ等が操っていやがった」

「ショッカー…」

「サボテン野郎が言ってたんだ。バルベルデは数あるショッカーの実験場だって、多分パパとママが死んだのもあいつ等が関わってる筈だ」

 

あの日、初めてショッカーの怪人と戦った時聞いた事だ。あいつ等は何の悪びれた様子も無く、むしろ自慢するように吐き捨てた

 

「そうか、クリスちゃんも…ある意味私と同じなんだね」

「同じ?如何いう事だ?」

「響のお父さん、ショッカーの手に…」

「…そうか、お前もか…」

 

こいつのパパをショッカーに…許せない!やっぱりショッカーは倒さなきゃ駄目なんだ。じゃないと争いの無い世界なんて…待て、こいつがショッカーに狙われたのは心臓にガングニールがあったからだ。その発端になったのは2年前…!そう言えばあのゾル大佐(クソ野郎)が二年前のライブって…

 

「そんな…そんな事って…」

 

何だよ、全部アタシの所為じゃねえか…

 

「クリスちゃん?」

「どうしたの?クリス」

 

未来がアタシの手を握る。様子がおかしい事に心配してくれてるようだ。アタシにそんな資格はない。未来の手を振り払う

 

「アタシが原因なんだ…」

「え?」

「なに?」

「お前がショッカーに狙われたのはアタシが原因を作っちまったんだよ!」

 

2年前、アタシはフィーネに連れ出されてある実験を行った。ソロモンの杖と言う完全聖遺物の起動実験でそれがアタシの歌で覚醒した。ソロモンの杖はノイズの召喚と制御、これを使って2年前のライブの惨劇を起こしネフシュタンの鎧を奪った。そして、その惨劇で天羽奏は死に響の心臓にガングニールが食い込んだ

 

「ごめん…ごめんなさい…」

 

二人がアタシの話を黙って聞く。殴られるかも知れない、罵られるかも知れない。それでも構わない、これはアタシの罪だ。平凡に過ごしていた立花響(こいつ)がショッカーなんていう悪の組織に狙われたのは全部アタシの所為なんだ!

 

「…!?」

 

誰かがアタシを抱きしめた。目を開けると未来がアタシに抱き着いてる。融合症例はアタシ達を優しい目で見つめている

 

「クリスはやっぱり優しいよ」

「うん、クリスちゃんは悪くないよ」

「でも…でも、アタシの所為でお前はショッカーに…」

 

アタシは言葉を詰まらせる。あまりに残酷な現実、ショッカーに狙われる原因を作ったアタシの目が熱くなる。きっと涙が溢れてるんだ。そんな資格も無いのに!

 

「結果的に狙われたけど、裏で暗躍していたショッカーを表に引きずり出したって思えば良いと思うよ。実際に特異災害対策機動部二課や政府でも対策しようとしてるし。私が狙われてなかったら多分、誰一人ショッカーの存在に気付かなかったかも知れない。それはとても怖い事だよ、クリスちゃん」

 

そうだ、アタシもフィーネから聞かされ目の前に怪人が現れるまでショッカーの存在なんて知りもしなかった。でもだからって…

 

「…クリスが責任感じる事なんてないよ。どうしても責任を取るなら響の手助けをしてほしいの」

「え?」

「手助け?」

 

未来の言葉にアタシは驚く。…で何で此奴も驚いてるんだ?

 

「響と一緒にショッカーやノイズと戦って欲しいの。翼さんもいるけどショッカーの戦力に押される事が多いみたいだし」

 

アイツと一緒にショッカーやノイズと戦え?()()()()()()()()()()()上等だ!ショッカーはぶっ潰さなきゃいけないし、ついでにノイズも叩き潰してやら!アタシが静かに頷くと未来は喜び融合症例は複雑そうな顔をしている

 

「これで、クリスも私達の友達だよ。ね、響」

「え…う、うん…」

 

未来がまたアタシの手と融合症例の手を握る。融合症例の方は相変わらず複雑そうだ。というか無理矢理、友達にされたような気がするけど…まっ、いっか

 

ヴ~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

っと突然、街中から大きな音が響き出し融合症例が懐から携帯を取り出し部屋から出て行ったと思ったら店からも出て行った。外の騒がしさにアタシと未来、おばちゃんが外に出てみると皆、何かから逃げ回っている

 

「おい、一体何の騒ぎだ?」

「何ってノイズが現れたのよ!この音は警戒警報なの!」

 

何だって!?ノイズが出たからアイツも此処から出たのか。呑気にしてられねえ!

 

「お前達は避難しろ!アタシも行く!」

「うん。ほら、おばちゃん行くよ」

「ま、待ちなさい、あの娘は…」

 

おばちゃんがアタシの心配をするが問題ない。二人を見送ったアタシは逃げる群衆の逆の方に走る。アタシのやらかしは自分でどうにかするんだ!商店街の入り口まで走って正直しんどい。でも、これ以上関係ない奴らを巻き込めるか!多分、これはフィーネが出したノイズだ。アタシを見つけた途端、逃げる奴等を放置してアタシの方に来た。

 

「アタシは此処だ!だから、関係ない奴らの所になんていくんじゃねえ!!」

 

アタシが歌おうとした時だった。

 

「ひえ~~~~~~~~!!!」

 

老人の様な声の悲鳴が聞こえる。アタシが視線を向けると白髪の老婆が必死に逃げいる。逃げ遅れたのかよ!

 

「誰か助けておくれぇ~~~~!!もう直ぐ孫の誕生日なんじゃ!死にたくねえよ~~~!!」

 

アタシの体が咄嗟に動いた。見ず知らずの婆さんだったがこれ以上、関係のない奴が死ぬのはごめんだ!アタシは婆さんの手を取って走ろうとしたが婆さんの足がもつれてまともに走れない。仕方ないから婆さんを背負って安全な場所に行こうとしたが、

 

「!囲まれてる」

 

周囲はノイズに囲まれ退路は何処にも無い。今から歌おうにもノイズの攻撃が始まった。間に合わない

 

「はあ!!」

 

赤い服を着た厳ついオッサンが突然出てきて地面を踏みしめた。その所為かアスファルトが捲れてノイズの攻撃の盾になった!?見間違いかとも思ったがアタシの前で同じことをして、またアスファルトを盾にした。その直後にオッサンはアタシと婆さんを抱えてジャンプし近くのビルの屋上に着地した。このオッサンも改造人間か!?

 

「大丈夫か?」

 

アタシと婆さんをビルの屋上に下したオッサンがそう聞いた。でも今はノイズをぶっ倒すのが先決だ。アタシが歌おうとしたが

 

「おお、ありがとよ!お嬢さん。ありがとよ!」

 

アタシが助けようとした婆さんがアタシの背中にしがみ付いてお礼を言いだした。感謝されるのも悪くないな。でも今は…

 

「婆さん、感謝は後にしてくれ。今は…」

「アンタは良い娘じゃよ、本当に良い娘じゃ!良い娘すぎてチョロいね」

 

え?

 

「離れろ!!」

 

オッサンがこっちを見て血相を変える。アタシが婆さんの方を見る。其処には

 

                「ヒィーア!」

 

頭が花の姿をした一つ目が居た。婆さんはショッカーの怪人だった!?早朝に見た怪人じゃない!

 

「ゾル大佐が言った通りだったね。反吐が出るぐらい甘い小娘だよ!」

 

あの老人は罠だったんだ!アタシが直ぐに歌おうとしたけど花の怪人が持っていたツタでアタシの首を絞めてきた

 

「馬鹿め、こんな密着して歌わせる訳ないだろう!ショッカーの調査でシンフォギア装者など歌わせなければその辺に居る只の小娘同然なんだよ!お前も動くんじゃないよ、風鳴弦十郎!下手に動けば私のツタがこの小娘の首をへし折るよ!」

 

怪人の言葉にオッサンも動けなくなった。アタシがショッカーの怪人に騙された所為で…ちくしょう!何やってんだよアタシは!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

抜かった!あの娘が助けた老婆が怪人だったとは!?雪音クリスくんが人質にされては迂闊に動けん。…!不味い、空飛ぶノイズが俺達に狙いを定めた!

 

「ウオァッウオァッ!」

 

茶色く細長いものが投げられ空を飛ぶノイズが次々と切り裂かれた。花の怪人を刺激しないよう視線を向けると花とは別の一見節足動物みたいな怪人が居る

 

「ドクダリアン!その娘は俺が先に目を付けたんだぞ!」

「煩いよ、ザンブロンゾ。取り逃がしておいてよく言えるね!」

 

怪人達が軽い口論をするが、その間にも壁をよじ登るノイズにもザンブロンゾと呼ばれた怪人が自分のウロコを剥がし投げつける。投げたウロコはノイズを切り裂く、さっきの空を飛ぶノイズもこれにやられたようだ

 

「ふん、まぁいいさ、なら俺はこの男を連れて行く事にしよう。あれだけの身体能力だ。怪人の素体に十分使えるだろう。念の為、手足は切り落としておくか」

 

ザンブロンゾがまた体のウロコを剥がし俺に投げつける。俺は咄嗟に飛んでくるウロコを叩き落した。…しまった!捕まっている雪音クリスくんの方を見るとドクダリアンが首を絞めてる最中だ

 

「あ…グぐ…」

「止めろ!」

 

「言った筈だよ、風鳴弦十郎。下手に動けばこの小娘の首をへし折るって。私らは別段、無理に生きたまま捕まえなくてもいいのさ。ショッカーには死人を生き返らせる技術も手に入れてるからね」

 

苦しそうにするクリスくんだが、俺はドクダリアンと呼ばれる怪人の言葉に驚く。死んだ者すら蘇らせるだと!?ただのハッタリだと思うが…ショッカーの技術は俺達の予想を超える物が多い。どうすれば…

 

「何だったら、試してみるかい!?」

 

「あ…が…」

 

ドクダリアンが首に巻いてるツタの力を入れた!クリスくんの顔色が悪い!このままでは絞殺される!本当にクリスくんを殺すつもりだ!

 

「…分かった。好きにしろ。その代わりそれ以上、彼女を苦しめるな」

 

俺は構えを解き怪人の前に無防備な姿になる。響くんは此処とは別の地区でノイズを掃討しているし翼も簡易検査でまだ病院に居る。緒川も居るし、彼女達だけでも無事ならまだショッカーと戦える筈だ

俺が無防備になるのを確認したドクダリアンはクリスくんの首のツタを緩める。苦しそうに咳き込むクリスくん。何が大人の務めだ!何も出来ない俺は大人失格だ!

 

「手間をかけさせやがって!」

 

「ぐっ!?」

 

ザンブロンゾが剥がしたウロコを俺の太ももに突き刺す。鋭い痛みに俺が声を出すとザンブロンゾは実に嬉しそうに笑った

 

「ついでだ、ザンブロンゾ。そいつの血も飲んじまいな。昏睡状態にすれば暴れられないだろう」

「…それもそうだな、あんまり旨そうな血じゃなさそうだが」

 

ドクダリアンの言葉にザンブロンゾは俺の首筋に噛みつき血を啜る。血を吸われるのは初めてだったが…気持ちが悪い上に頭がボーとしてきた。済まない皆…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ちくしょう…ちくしょう」

 

弦十郎がザンブロンゾに吸血されるのを黙って見ているしかないクリス。響や未来との約束も守れずクリスを助けようとした弦十郎もあの様だ。何も出来ない自分にクリスが悔しがる。

 

「風鳴弦十郎と雪音クリスの捕獲は概ね完了。後は立花響を確保出来ればショッカーの初期目的は概ね達成される」

 

「…初期…目的…?」

 

まるで他にも目的があるような言い方にクリスが聞く。

 

「冥土の土産にいい事を教えてやる。ゾル大佐は他にも最大の目的があるのさ。それが成功すれば確実に世界征服が近くなるねえ」

 

それだけ言うと、ドクダリアンはチラっとビルの屋上から地上を見る。外には未だにノイズがひしめき合い道路を闊歩する。

 

「さて、私達もさっさと本部に戻るとするか」

 

「ま…待てよ、ノイズを放置したら他関係ない奴らが…」

 

「だから?ショッカーに何か関係あるのかい?」

 

クリスはドクダリアンの言葉に絶望する。ショッカーにとって人間など取るに足らない存在、何人死のうと関係も無い。例え改造人間に適合できる奴が死んでも運が悪かった程度だ。何より先程ドクダリアンが言っていた死人を生き返らせる技術があれば猶更だ。

 

「アタシは…アタシは…」

 

怪人に捕らえられ何も出来ず、守ろうとした弦十郎もショッカーの手にかかっている。クリスの心に絶望がのしかかる。

 

 

 

 

 

 

「クリスちゃんに手をだすなぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

 

 

 

 

突然の大声と共にドクダリアンの横っ腹に衝撃が走る。クリスはドクダリアンから解放され横を見ると、拳を突き出してる響が居た。

 

「ごめん、クリスちゃん。遅れた」

「お前…お前…」

 

クリスが涙を流す。今の響の姿にクリスが安堵した。

 

「何だ!?何が起こっグハッ!?」

 

響の登場に弦十郎から意識が外れたザンブロンゾの胸に弦十郎の掌底が叩き込まれる。突然の事に胸を押さえ後ずさるザンブロンゾの目に弦十郎の拳が映った。殴り飛ばされたザンブロンゾは倒れそうになるが踏みとどまる。

 

「馬鹿な!?貴様の血は何時失神してもおかしくない程吸ったんだぞ!何故、平気で立ち上がる!?」

 

「…だろうな、おかげで頭がボーとして仕方がない」

 

ザンブロンゾの問いに弦十郎はふら付きながらもそう答える。その答えに不服だったザンブロンゾは弦十郎に襲い掛かる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「立花響!貴様は別の場所でノイズと戦ってたんじゃないのかい!?」

 

「ノイズならもうとっくに片付けたよ。私の耳にクリスちゃんや師匠の悲鳴が聞こえて急いで来たんだ!」

「アタシの悲鳴?」

 

「悲鳴だと…そうか!改造手術によってお前の感覚はより研ぎ澄まされている。当然聴覚もね!」

 

ドクダリアンが手にするツタを鞭にして響に振り回す。響はドクダリアンの鞭を受け流し一気に近づく。

 

「クリスちゃんにやった事、絶対に許さない!」

 

「は、早い!?」

 

響はドクダリアンの腹部に弦十郎から習った掌底を繰り出す。勝負は一瞬、ドクダリアンが後ろに倒れビルから落下し地上まで落ちた。何とか受け身をとったドクダリアンだが響の一撃でろくに動けず周りには、

 

「ノ…ノイズ!?」

 

ビルに集まりつつあったノイズがドクダリアンの方にも来る。平時なら兎も角、今のドクダリアンでは対応が出来ない。

 

「くそっ!くっそ!立花響!貴様さえ来なければその娘も風鳴弦十郎も手に入ったものを!この恨み忘れんぞ!忘れ……」

 

恨み言を言うドクダリアンは一つ目で響達を睨みつける。そうしてる間にも何体ものノイズが取り付き声が聞こえなくなった。ノイズが去った後は炭の塊が風に流される。響とクリスはそれを見届けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「貴様の相方は倒されたようだぞザンブロンゾ」

 

「し…信じられん!あれ程優勢だった俺達が何故!?」

 

弦十郎の言葉に焦りだすザンブロンゾ。何より大量出血して失神寸前の弦十郎に押されてる時点で最早、ザンブロンゾに勝ち目はない。動揺したザンブロンゾの反応を弦十郎は見逃さなかった。

弦十郎の拳がザンブロンゾの胴体を捕らえる。衝撃波がザンブロンゾを貫き響達にも届く。

 

「…これだけの血を吸ったというのに、人間に負けるというのか…!」

 

致命傷を受けたザンブロンゾは倒れ徐々に体が溶けていき残ったのは三葉虫の化石だけだった。

 

「ザンブロンゾ。…普通に恐ろしい相手だった」

 

体力の限界が来たのか弦十郎はそのまま地面に腰を下ろす。大量出血と疲労によって滅茶苦茶疲れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、行こうか。クリスちゃん」

「分かってるよ」

 

響とクリスがビルの屋上から外を見る。未だにノイズが大量に居る。

 

Killter Ichaival tron

 

クリスが歌いシンフォギアを装着する。早速、クリスが近づいてきた飛行型ノイズを撃ち落とす。

 

「さすが、クリスちゃん。私も」

 

屋上から飛び降りた響が地面に着地すると共に拳で何体ものノイズを叩き潰す。二人の前にノイズが次々と消滅していく。

 

「結局、俺は何も出来なかったのか」

 

ビルの屋上でノイズが掃討されていくのを見ていた弦十郎が呟く。クリスの助けた婆さんが怪人で人質にされもう一人の怪人に吸血された。響が来なければ二人共、ショッカーにそのまま拉致され改造人間にされてたかも知れない。弦十郎はこれほど自分が情けないと思ったのは初めてだ。そして、そのまま弦十郎の意識は闇に落ちた。

 

 

 

弦十郎の目が覚めたのは日が暮れて夕方になっていた時だった。屋上ではない、担架に乗せられて救急車に乗せらる寸前だった。

 

「指令!良かった、目が覚めたんですね!」

 

声のした方を向くと緒川が弦十郎の顔を見て喜んでいた。首筋には包帯が巻かれ点滴もされている。

 

「戦闘は終わったのか?」

「はい。出現したノイズは全て駆逐出来ました。…ただ、僕の部下たちの何人かは昏睡状態で…」

「…そうか」

 

緒川の部下のエージェントの内何人か怪人に襲われ昏睡状態となり緊急入院となった。ショッカー相手に命があるだけマシと言えるが

 

「あ、師匠。良かった目が覚めたんですね」

 

響も弦十郎の目が覚めた事に気付いて近寄って来た。

 

「響くん、すまんな。頼りないところを見せてしまって」

「そんな事言わないでくださいよ。ショッカーまで襲ってきたんですから仕方ないですよ」

 

弦十郎の言葉に響は笑って返す。こんな子供に戦わせてしまった事に罪悪感を感じる弦十郎だが、

 

「ところで、クリスくんは何処に?」

「クリスちゃんはノイズを倒した後に離れて行っちゃって。ショッカーの目標を分散させるって」

 

クリスはあの後、響たちとは別行動をとった。一か所に固まるより分散してショッカーの気を逸らそうとした。尤も、クリスはまだ大人が信じきれない上に怪人にいいようにされた事で顔を会わせずらかったのもある。

 

そして、風鳴弦十郎は救急車で運ばれ入院。尚、飯食って寝たら一日で回復した。

 

「弦十郎くん、本当に人間?」

「…人間だと言っている…」

 

 

 




未来とおばちゃんは普通に避難出来ました。

そして、ショッカーがクリスへの騙し討ち。
悪の組織がやる変身などさせるかが発動。

でも、シンフォギアって普通に宇宙でも歌ってるな…
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