改造人間 立花響のシンフォギア   作:一種の信者

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20話 立花響の隠し事

 

 

 

天羽奏。

嘗て、風鳴翼のパートナーであり相棒だった少女。ツヴァイウイングのライブにノイズと戦い死んだ。二年が経つが風鳴翼は未だに心に思い続ける。

メディカルチェックを受けてる最中にも翼は奏との思い出を振り返る。バイクの整備中に鼻歌を口ずさんでいたのを聞かれ軽く揶揄われまた聞かせてくれと言われた。何気ないやり取りだったが翼にとっては大切な思い出でもある。

 

「お疲れ様、チェック終了です。無事回復しました」

 

翼のメディカルチェックをしていた医者が無事に回復したと告げる。それを聞いた翼は静かに手を握りしめる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

特異災害対策機動部二課本部。

私立リディアン音楽院高等科の地下に作られた人類の砦。その多くは機密として扱われてる。その通路を二人の人間が歩いていた。

 

「へぇ~、学校の真下にこんなシェルターや地下基地が…ショッカーのアジトより明るいですね」

「あそこと比べられるのは心外ですね。此処は人類の砦なんですから」

 

未来と緒川が歩いていた。日を改めての事情聴取とある決定により未来は特異災害対策機動部二課本部の通路を歩いていた。

 

「あ、響さんと翼さんです」

「え?本当だ、響!」

 

丁度、緒川が通路の休憩スポットに居た立花響と風鳴翼、そして藤尭朔也が談笑をしていたのだ。未来の声に気付いた響が振り向く。

 

「未来!?どうして此処に!?」

「小日向さんは外部協力者として二課に委嘱登録されたんです」

 

響の疑問に答える緒川。それでも納得できない響。

 

「そんな、それじゃ未来もショッカーに狙われるんじゃ…」

「それは違うよ。響」

「え?」

「私はもうとっくにショッカーに狙われていた。少なくともゾル大佐には私の存在を知られている」

 

キノコモルグも未来の存在を知っていたしゾル大佐も気付いていた。つまり、二課に登録されようがされなかろうがショッカーに狙われるのは確実だった。

 

「そっか…ごめん、未来」

「響の所為じゃないよ。悪いのは全部ショッカーなんだから」

 

自分のせいで未来がショッカーに狙われてると思った響が自責の念にとらわれるが、未来がそれを否定して響の手を握る。

 

「でも…私がショッカーから逃げなければ…未来や皆が狙われる事なんて…」

「違うよ、響」

「そうだぞ、立花」

 

今まで話を聞いていた翼が口を開く。

 

「立花がショッカーから脱走しなければ我々はショッカーの存在に気付きもしなかった。そうなれば特異災害対策機動部二課本部(ここ)も無事ではすまなかっただろう」

「でも、私の所為で本部が襲われて…」

「ショッカーの事です、遅かれ早かれ本部の場所を特定していた可能性が高いです」

「最早、ショッカーにとってノイズは障害でもなんでもない。今までノイズがショッカーの動きを制限していたのは皮肉ね」

 

災害であり人類の敵だったノイズが同じ敵のショッカーにも抑止力になっていた。しかし、シンフォギアシステムを手に入れたショッカーにはもうノイズが抑止力になる事はない。最早、ショッカーの動きを止めれる者は居ない。

 

翼や緒川の言葉に頷く響。それを見て何処か安心する未来。

 

━━━やっぱり響は優しいな。少しネガティブになっているけど、根本的な所は変わってない

 

ショッカーに捕まり改造されようと優しいままの響に安心する未来。ただ、元はポジティブな性格もネガティブになってしまって居るが時間が解決してくれると考える未来。

 

「あら、良いわね。ガールズトーク」

「了子さん」

 

途中、通路の奥から櫻井了子が歩いて話に加わる。

 

「…あの…僕らも居るんですけど…」

 

緒川の言葉に藤尭朔也も頷く。しかし、了子は気にせず話を続ける。

 

「櫻井女史もそういうのに興味が?」

「もちのろん。私の恋話百物語を聞いたら夜眠れなくなるわよ」

「…それはどっちの意味でですか?」

 

了子の言葉に緒川が突っ込む。そして、了子の恋話に興味津々の未来。

 

「響、大人の女性の恋話だって!きっとドラマみたいなお洒落なお話が聞けるかも!」

「う…うん」

 

未来とは対照的に響は目を伏せて返事をする。興味が無い訳ではないのだが。

 

「そうね…遠い昔の話になるわね。こう見えて呆れちゃう位一途なんだから~」

「意外でした。櫻井女史は恋と言うより研究一筋かと…」

 

了子の恋話に未来は目を輝かせ翼は意外に思い。そして、響はそんな了子の恋話を羨ましそうに聞いていた。

 

「命短し恋せよ乙女っていうじゃない。それに女の子の恋するパワーって凄いのよ」

「…女の子ですか」

 

何か言いたそうな緒川だったら直後に了子の裏拳が顔面にヒットし倒れる。

 

「私が聖遺物の研究を始めたのも…!」

 

了子の言葉が途切れる。未来の期待の表情と響の視線に了子が我に返った。

 

「ま、まぁ、私も忙しいから此処で油を売る訳にもいかないわ」

「…自分から割り込んだ癖に…」

 

緒川の文句に了子が蹴りで返事をする。介抱していた藤尭朔也が緒川の名を呼ぶが内心「懲りない人だ」と思っていた。

 

「とにかく、出来る女の条件はどれだけいい恋をしてるかに尽きるのよ。ガールズ達も何処か何時か良い恋なさいね」

 

了子が良い話風に纏める。傍で悶える緒川の所為で台無しもいいとこだ。現に翼が冷めた目をしている。

 

「あの…了子さん」

 

そんな空気の中、響が了子に口を開く。

 

「どうしたの?響ちゃん」

「私も…恋が出来るんでしょうか?こんな体で恋なんて…」

 

響の言葉に一同は固まる。了子の蹴りで悶えていた緒川すら黙った。響の体は最早人間ではない。ショッカーに拉致され望まぬ改造人間にされ生身と言える部分が脳と心臓のみ。そんな体で誰かを愛する事が出来るのか?ましてや恋なんて、大分力の制御も出来る様になったが未だに集中してないと何かを破壊してしまう体だ。

 

「…響」

 

これには未来も何も言えない。未来もショッカーの恐ろしさ思い知った。出来るなら響を慰めたい。しかし、それは響に余計な苦痛を強いる事だとも分かっている。未来は了子がどう答えるか待った。

 

「…正直言って私にも分からないわ。でも、出来ないからって諦めたら本当に出来なくなる。それだけは忘れないで響ちゃん」

「…はい」

 

了子の答えにややガッカリする響。まぁ、気軽に「出来る出来る」と言われても困るが、

 

「ところで、弦十郎くん見なかった?ちょっと聞きたいことがあったんだけど」

「ああ、私達も探してるんですが何処にも」

 

露骨に話を逸らす了子に翼が答える。翼も現場復帰の報告で弦十郎を探し偶然通りかかった響と話していたのだ。

 

「そう、なら弦十郎くんが帰って来るまで研究に戻るわ。それじゃあね~」

「あ、聞きそびれちゃったね」

 

爽快に去っていく了子を見届けつつ残念そうに呟く未来。響も出来れば了子のロマンスを聞きたかったが残念に思う。翼はあまり興味が湧かなかった。

 

 

 

 

 

 

 

通路を歩く了子。周りには誰も居なく了子一人。

 

━━━らしくない事を言ったわね。私が立花響(あの娘)に同情でもした?それとも女としての優越感?…後者だとすれば私も落ちるとこまで落ちたわね。そんな女にだけはなりたくなかった筈なのに…

 

自分の中で問答する了子。自己険悪を感じつつもそのまま奥の通路へと進む。

 

 

 

 

 

 

「指令、まだ戻って来ませんね」

「ええ、メディカルチェックの結果を報告しなきゃいけないのに」

 

了子が去った後、四人は通路に置いてあるソファーのある休憩所で座っていた。尚、藤尭朔也は普通に仕事に戻った。

 

「次のスケジュールが迫って来ましたね」

「もうお仕事ですか?」

 

緒川が腕時計を見て仕事の時間が近づく事を知らせ響が翼がもう仕事をしてる事に驚く。

 

「少しずつよ、今はまだ慣らし運転のつもり」

「じゃあ以前のような無茶なスケジュールじゃないんですね。良かった」

 

以前の様な無茶なスケジュールではないと知ってホッとする響。それを見て翼が何か考えたようだ。

 

「そうね、そこまで忙しくもないし、三人でデートしてみる?」

「え?」

「デート?」

 

翼の突然のデート発言に固まる響と未来。翼の突然の思い付きに溜息をつく緒川。そして、三人のデートが決まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人気の無い廃マンション。雨の降る中、廃マンションの一室で少女が一人座り込んでいた。響と別れたクリスだ。クリスの周りにはコンビニで買ったと思しき弁当の箱やカップ麺の容器が散乱していた。それでも、時間が経ったのかクリスに空腹感が襲い腹の音がなる。直後に誰かが扉を開け廊下を歩く音に気付く。

ショッカーかと警戒するクリスだったが、

 

「ほらよ」

 

白いビニール袋を見せた後に素早く部屋に入り込む。あまりの早業にクリスも動けずにいた。

 

「応援は連れてきていない。俺一人だ」

 

素早く部屋に入ったのは弦十郎だった。

 

「…あんたかよ」

 

先程より警戒を解くが弦十郎を睨むクリス。変な動きをすれば即座に起動聖詠を歌うつもりだった。

 

「安心しろ、俺は本物だ」

「…如何して此処が分かった?」

「これでも元公安だからな、お手の物だ。…君の保護を命じられたのは、もう俺一人だ」

 

クリスの質問に答えた弦十郎がビニール袋を差し出す。

 

「差し入れだ」

 

弦十郎がクリスの為に幾つかの食料を買ってきたのだ。それを見て腹を鳴らすクリスだが、手を出さない。万が一、ショッカーの罠の可能性も十分ある。それを見ていた弦十郎は買ってきたパンの一つを開け食べて見せる。

 

「…何も盛っちゃいないさ」

「…ありがとよ」

 

弦十郎からパンを受け取ったクリスは口に運ぶ。久しぶりのパンに齧りつくクリスに弦十郎が喋る。

 

「バイオリン奏者、雪音雅律と声楽家の母ソネット・M・ユキネが難民救済のNGO活動中に戦火に巻き込まれ死亡したのが8年前。残った一人娘も行方不明となった。その後、国連軍のバルベルデ介入によって事態は急転する。現地の組織に捕らわれていた娘は発見され保護、日本に移送される事になった」

 

話してる最中にも弦十郎はおにぎりや小さいパックの牛乳を渡し平らげるクリス。

 

「…よく調べちゃいるが一つ訂正だ。パパとママの死はショッカーが関わってるそうだ」

「!?やはりそうか」

 

クリスの言葉に弦十郎も納得がいった。バルベルデの軍事力はそこまで高い訳ではない。しかし、介入した国連軍の死者や行方不明者が嫌に多く、生き残った国連軍の兵士の証言に「化け物を見た」というのまであった。弦十郎も最初は都市伝説か兵士の見間違いだろうと思っていたがショッカーの存在を知った今なら信じられる。

 

「ショッカーは内戦やテロを操ってると言う。ありえない話ではないか。それで、君はあの後ショッカーとは?」

「…何度か戦闘員とやりあっただけだ。あいつ等は突然現れるから気を付けた方がいいぞ」

「それは知っている。前にも本部に直接乗り込んできたからな」

「それで?わざわざこんな話をする為に来たんじゃないんだろ。何が目的だ?オッサン」

「俺の目的は君を救い出す事だ。引き受けた仕事をやり遂げるのが大人の務めだ。きみを二課で保護したい」

 

弦十郎の言葉にクリスは驚きながらも弦十郎から目を離さない。

 

「…その前に一つ教えろ。前に病院に運ばれ保護された男の子と女の子の兄妹はどうなってるんだ?」

「父親をショッカーに殺された子供たちか、それなら母親の方に引き取られてる。政府の方も支援する方針だ」

「そっか、なら安心だ。…大人は嫌いだけどオッサンの事はそれなりに信用してるつもりだ。でも…!」

 

弦十郎に何か言おうとしたクリスだったが突然の轟音に潰される。

 

「イーッ!」「イーッ!」

 

見ると、ドアを蹴破って戦闘員が雪崩れ込んでくる。

 

「オッサン!つけられてたなぁ!?」

「そのようだ!!」

 

二人は躊躇いも無くガラスを突き破り部屋を脱出する。弦十郎は直下の部屋のベランダの柵に捕まり落下するスピードを殺し更に下の階のベランダの柵に捕まる。それを繰り返して一階まで降りた。クリスは、

 

Killter Ichaival tron

 

落ちながらも歌いシンフォギアを装着して逃走する。屋根から屋根、時には屋上を飛び移る姿を見て安堵する弦十郎だったが空からクリスを追跡する者がいた。

 

「此処まで距離を開ければ大丈夫か?」

 

雨の中、途中の電柱の上で立ち止まったクリスが逃げたマンションの方に振り向こうとした。が、

 

「!?」

 

突然の衝撃波にバランスを崩したクリスが電柱の上から落ち雨で濡れる地面に落ちた。突風かとも考えたがクリスの前に何かが着地する。一見、齧歯類の顔をしていたが大きさは人間並みであった。

 

「雪音クリスだな?貴様の命、このムササビードルが頂く!」

 

目の前に新たなショッカーの怪人が現れた。ちょっと可愛いと思った自分を恥じるクリス。その後、その付近で突風によって家が壊れるといった事件や近くに居た人が突然の内臓破裂が起きる事件が発生した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雨も上がり快晴の日。響は一人、公園の橋近くに居た。翼達とのデートの待ち合わさせだ。特にやる事もなく響は暫く前から未来や翼を待っていた。

 

「響~」

「立花」

 

一人黄昏ていた響の耳に二人の声が聞こえた。見れば二人が急いでこっちに来る。時間はまだ十分余裕がある。

 

「響、珍しく早いね。何時もは寝坊して遅刻するのに」

「そ、そうかな…」

 

未来の言葉に響が苦笑いする。内心「そんな遅れてたかな?」と疑問に思いつつも言葉には出さない。

 

「それより、立花。何でまた制服なんだ?」

 

翼の言葉に未来も響の服装を見る。それは確かにリディアン音楽院の制服のままだった。そう言えばと未来は響の服装は何時も制服だった事を思い出す。あのアジトの脱出の時さえ響は制服を着ていた。

 

「…私、もうこれしか服が無くて…最初に来ていた服も駄目になって…」

「家に帰れれば響の私服もある筈だけど…」

 

響の服は制服を除けば弦十郎が用意したジャージぐらいしかない。他の服を買おうにも並みの服では簡単に破けてしまう。それに下手に家に帰れば母親と祖母がショッカーに狙われる可能性が高い。ショッカーの事だ平気で人質にしてくるのは想像に難しくない。それなら、特殊なワイヤーが仕込んでくれる起動二課の服の方が丈夫で良かった。

 

「…よし、今日は立花の服も買おう。後でワイヤーを付けて貰えば十分着れるだろう」

「そうですね」

 

翼の言葉に未来も賛成する。異論をはさむ余地も無かった響は釈然としなかった。

その後、響と未来、翼はショッピングモールへと足を運びウィンドウショッピングや映画を見たり楽しんだ。丁度、時間も経ち小腹が空いた一行はソフトクリーム屋で食べようとしたが、

 

「響は注文しないの?」

「あ、私さっき食べたばかりだから…」

 

その言葉に未来の中に疑問が生まれる。三人で遊んで大分時間が経つ、なのに響はさっき食べたといった。少なくとも()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。未来と翼の視線が合う。二人の脳裏に嫌な考えが浮かぶ。そこで、翼は一計を案じた。

 

「立花、一人で先に食べた罰だ。この唐辛子たっぷりのソフトクリームを食べろ」

「え?これをですか!?」

 

翼が響に真っ赤なソフトクリームを突き出す。響の目が未来に助けを求めるが、

 

「これは罰だよ響」

 

未来も笑顔で罰だという。助ける気がないと判断した響はソフトクリームを軽く舐める。

 

「辛っ!予想より辛いよこれ!舌が痺れるよ」

 

赤いソフトクリームを一舐めして辛いとリアクションをする響。普段の響なら気付けた筈だ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。ソフトクリーム屋のメニューに唐辛子のアイスなど置いてない事を。響の反応に二人は顔を青くする。

 

「響…」

「…立花…」

「どうしたの?…イチゴの匂い?…!」

 

響の名を呟く二人に響はやっと自分の間違いを知った。そして、翼は思い出した。響が機動二課に入って何か食べていた記憶など無い事を。水ぐらいしか飲んでいない事を。

 

「…バレちゃったか」

 

響が小さい呟きが二人には大きく聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

近くのベンチに座って翼と未来が響の話を聞いた。弦十郎や他の者にも話していない響の秘密を。

 

「何時頃からなんだ?」

「…改造手術された直後には、もう」

 

響の口から話す内容に翼も未来も眉を顰める。改造手術を終えた直後から響は戦いには関係ないとして味覚を抹消された上に胃に代わる新型のプラスチック繊維製消化器官も超小型の物しか付けられず、脳の満腹中枢も弄られ空腹を感じない体にされた。今の響には流動食しか受け付けない体だ。脳を機能させる栄養素は響の体に仕込まれた装置が行う。ショッカーが聖遺物とともに水だけでも数百年動き続ける事を目的とされ作られた改造人間の実験体。それが響だった。

 

「知ってます?匂いだけでも食べれるって嘘ですよ、五感の内味覚以外が軒並み強化された所為か口に入れただけで粘土みたいな感触がして気持ち悪いんです」

「…何で今まで黙ってたんだ?」

「言ってどうにかなるんですか?痛覚の一部も弄られて辛味すら感じられない私に何かしてくれるんですか?」

 

響の言葉に翼も未来も黙る。何より未来は響の好きな食べ物はごはん&ごはんと知ってる程ご飯が大好きだった。それが、響にとってどれ程の絶望だったか想像に難しくない。ショッカーによって全て奪われた響にとって食事の楽しみなど最早存在しない。

 

「でも、ショッカーは一体何の為にそんな改造を」

「…ショッカーは「水すら必要としない究極の改造人間の製造」を目的にしてるみたいです」

「!狂ってる」

 

ショッカーの目標の一つを聞かされ未来が吐き捨てるように呟く。改めてショッカーの非道さを垣間見た二人はこれ以上ショッピングとかする気になれずにいた。響の服は後日に買うと決めた二人。そこで空気を変える為に未来がある提案をする。

 

「そうだ、響も翼さんも良いところに行きましょ」

「良い?」

「ところ?」

 

未来の言葉に響も翼も茫然とする。そして、三人が来たのはカラオケ店だった。

 

「小日向!カラオケは…」

「ほら、響!前に響が好きって言っていた歌がやっとカラオケで配信されたんだよ!」

「え…そうなの?」

「待つんだ、立花は…」

「じゃあ、私予約してくるから」

 

止めようとする翼の言葉も聞かず未来はフロントの方に向かっていく。

 

「小日向」

「良いんですよ、翼さん」

「…立花」

「未来が私に気を遣ってくれてるのは分かってます。それに、あれから大分時間も経ちましたから、もしかしたら歌えるようになってるかも知れません」

 

響がそう言うが、翼の目には無理してるようにしか見えない。しかし、響が言うように歌えるようになってるかも知れないと考え未来の後に続く。

しかし、結果は、

 

「ゴホッ!ゴホッゴホッ…オエぇ…ゴホッ!」

「響!しっかりして!…響!」

「立花!ゆっくり息を吐くんだ!」

 

少しでも歌おうとした響に待っていたのは激しい咳き込みと頭痛、喉の不快感だった。予想外の事に未来が涙目になり、逆に予想していた翼は落ち着きつつ響の背中を摩る。

 

「ごめん…ごめんなさい!響。私そんなつもりじゃ!!」

「…いいよ、私も未来に説明してなかったし。それに無理に歌おうとしたのは私だし」

 

暫くして咳き込みと吐き気が治まった響に泣きながら謝る未来。響も自分が歌えない事を教えなかったと気にしてないが、

 

━━━私、何してるんだろ?空回りしてばっかり!響が何をしたって言うの!?何で響ばかりこんな目に…歌が好きだった響が…ショッカー…!

 

何とか響を励まそうとするが空回りばかりしてる自分に嫌になる未来。それと同時にショッカーへの怒りも増す。結局、響は聞き専として翼や未来の歌をゆっくり聞くことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな三人が居るカラオケ店を見張る二つの影。そして、その傍に居る何人かの一般人と思しき人達。しかし、その人達はどこかおかしかった。顔には幾つもの紫の斑点があり口からは異様に伸びた犬歯。そし、目が虚ろだった。

 

「風鳴翼、立花響があの店に入ったね」

「ほう、仕掛けるか?」

「待ちな、ここ等へんだと目立つ。仕掛けるならもっと人が減った場所で仕掛けるよ」

「…なるべく急いでくれよ。ムササビードルの奴が赤いシンフォギア装者を取り逃がしたそうだからな」

「その為にはもう少し肉壁を増やした方が良いわね。あれとか」

 

一つの影がある方向を指さす。其処には風鳴翼のシングルを片手に喜ぶファンが居た。

 

「あれか、お前達行ってこい」

 

その命令に一般人と思われた人達が一斉に動く。その人達の口から何か聞こえた。

 

きーー

   キーーー

        きーーーー

 

 

 

 

 




ショッカーのお蔭でクリスが原作よりも丸くなってます。
半面、響は原作よりもネガティブになってるので原作の明るい響の案は大体、未来や翼の提案になります。
因みに3話で「此処を出たらお母さんのご飯をお腹一杯食べよう」と言ってますがこれはあくまでも父の立花洸と話を合わせてただけです。


それでは、また次回予告などを、

我らが立花響を狙うショッカー本部が送った次なる使者は怪人蜂女。ショッカーの開発した恐るべきビールスに苦戦を強いられる響たち。卑劣な蜂女の策に追い詰められる響。
次回「卑劣なりし蜂女!蝙蝠ビールスの恐怖!」にご期待ください。
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