改造人間 立花響のシンフォギア   作:一種の信者

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21話 卑劣なりし蜂女!蝙蝠ビールスの恐怖!

 

 

 

「ハア…ハア…ハア…」

 

一人の女性が路地裏を走る。顔の表情を見る限り何かから逃げてるようだ。

 

キーー

   キーーー

       キー

 

「ヒッ!?」

 

入ろうとした横の路地から聞こえた声に女性は立ち止まる。

 

━━━どうして…どうして私がこんな目に!?ミミもツッキーも襲われて私一人だけ…

 

女性は今日偶々友人たちとショッピングをして前から欲しかった風鳴翼のシングルを購入して人生の有頂天を感じていた。しかし、その直後怪しい人達に襲われる。友人たちが怪しい人達の犬歯に首筋を刺され苦しみだし自分だけ路地裏に入って逃げてしまった。路地裏を闇雲に逃げたが大通りに出ようとすると必ずあの変な声が聞こえて来る。

 

「今日の私の運勢はラッキーな筈なのに…」

 

どの位走ったのか?体力を消耗した女性が壁に凭れる。兎に角、何処かで大通りに出て警察に助けに求めなくてはと考えた。

 

「そうだ、携帯!」

 

何で今まで忘れてたのかと懐に入れていた携帯を取り出し警察に電話しようとするが、

 

「圏外!?噓でしょ!」

 

無慈悲にも画面には圏外と書かれていた。落胆した女性が天を仰ぎ見る。直後に真横から足音が聞こえ振り向く。

 

「え?ミミ?」

 

其処には友人であり怪しい人達に襲われたミミが居た。

 

「良かった無事だったんだ!私一人で心細くて…」

 

女性が友人に抱き着く。心細かった時に顔を知っている友人が来たのだ、それが嬉しくて仕方なかった。しかし、彼女は気付かない。昼間とは言え薄暗い路地では友人の顔に紫の斑点と伸びた犬歯に、

 

「キー」

「え?」

 

女性は、あの耳障りな声を耳元で聞こえると同時に首筋の痛みと共に意識が遠のく。

 

『貴様もショッカーの(しもべ)となるがいい』

 

意識が無くなっていく中、男の声が聞こえた気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日も大分傾いた夕方。カラオケの終えた翼、未来、響の三人が小高い丘にある公園へとやってきた。時間が時間なので子供の姿も居ない。その時、未来が翼と響の手を握りある場所まで連れて行く。

 

「ふぁ」

「…良い眺めですね」

 

その公園から街を一望できる所で街を見る。

 

「あそこの公園で待ち合わせしてあのモールで今日は遊んだの。こうして日常を送れるのは二人のお蔭です」

 

日が暮れる街並みに翼も響も息をのむ。その景色は何処までも美しかった。

 

「…そうか、これが奏の見てきた世界か」

「ショッカーやノイズを放置すればこんな景色も…」

 

二人がそれぞれの想いを胸にする。翼は嘗てのパートナーである奏の言葉を思い出し、響はこの日常を守ろうと誓う。そんな中、突然背後から声がした。

 

「ねえねえ、お姉さんたち俺達と一緒に遊ぼうぜ」

 

見るといかにもな若者が三人、此方に話しかけてきた。身なりからしてナンパだろうか。

 

「俺達と一緒に行こうぜ。此処より刺激的な場所があるんだよ」

 

「悪いが断る。時間も時間だし我々は帰らねばならん」

「ごめんなさい」

 

翼の断りと未来の謝罪で乗り切ろうとするが、

 

「ええ、良いじゃん行こうぜ」

 

男の一人が翼の腕を掴む。

 

「!ええい、放せ不埒者!」

 

翼が男の手を振り払おうとするが、翼が全力で振ろうが離れなかった。何かがおかしいと感じる翼。

 

「いいから行こうぜ。ショッカー本部に」

 

「「「!?」」」

 

男たち口からショッカーと言う言葉と共に牙が露出し翼たちに襲い掛かる。

 

「キィーーーーー!!」

 

「!」

 

翼は咄嗟に男の腹を蹴る。男は倒れその拍子に捕まれた手も離れる。

 

「何者だ!こいつ等、ショッカーと言ったのか!?」

「私も聞きました!」

「ならばショッカーの改造人間か!?」

 

Imyuteus amenohabakiri tron

 

翼が歌いシンフォギアを装着し立ち上がって襲い掛かる男の一人を剣で叩き伏せる。

 

「ん?何だこの感触?」

 

翼が違和感を感じた。戦闘員とも怪人とも違う感触に一瞬戸惑う。横を見ると、変身した響が二人の男を拳で叩き伏せていた。男たちが立ち上がる気配が無い。代わりに男たちの顔に紫色の斑点が浮かんだ。

 

「…響、この人たちって…」

「ショッカーって言ってたから倒したけど、溶けも爆発もしないぞ」

「力も戦闘員以下、本当にショッカーだったのかな」

 

響が倒れてる男に触れようとした。

 

「ハハハハハ、当然さ!そいつ等は唯の人間どもだ」

「ただし、ショッカーの開発したビールスにかかっていたがな」

 

「「!?」」

 

翼と響が声のした方を見る。其処に遊具の上に立つ二人の怪人。

 

「蝙蝠男!?」

「あなたは蜂女!」

 

以前に最初の怪人戦で襲ってきた蝙蝠男と響の知る最後の怪人、蜂女が居た。

 

「人間蝙蝠だ!」

「そんな事は如何でもいいよ。立花響、よくも裏切ってくれたね!ショッカーは裏切り者を決して許しはしない!」

 

「ふざけないで!勝手に響を連れ去って勝手に改造人間にしといて!」

 

蜂女の言葉に未来が反論する。大事な親友にあのような仕打ちは未来として決して許せるものではなかった。

 

「だからどうした?ショッカーに選ばれたのなら、それはもうショッカーに入ったも同然。裏切りは決して許されない!」

 

「なッ!?」

「外道め!」

 

蜂女の言葉に未来は絶句し翼も憤慨する。ショッカーの身勝手な理論はこれまでも聞いて来た。しかし、今回のは翼も憤慨する程の自分勝手さだった。翼が剣を構え響も臨戦態勢を取る。

 

「慌てるんじゃないよ!」

「お前達の為に用意してやったんだ。出てこい!」

 

キー  

   キーー

     キーーーー

 

蝙蝠男が合図すると、公園の奥や階段から何人もの人達が此方にゆっくりとやって来る。その人達の顔には倒れた男達と同じ紫の斑点と鋭く伸びた犬歯がある。

 

「なに、この人たち!?」

「倒れた人と同じ紫の斑点…」

 

「驚いたか!?これこそが過去にショッカー科学陣が作り上げたビールスだ」

 

「ウイルス?まさかこの人たちは!?」

「そのウイルスに!?」

「…この人たちは唯の一般人?」

 

蝙蝠男に言葉に自分達に集まる人たちの正体に気付く翼と響そして未来。

 

「その通り、こいつ等は正真正銘の一般人さ。いいのかい?シンフォギアの力を使って」

「ウイルスに操られた人間達を貴様らは殺せるか!?」

 

蜂女と蝙蝠男の言葉に顔を引き攣らせる翼と響。ショッカーとは大分戦ってきたが此処まで堂々と一般人を巻き込むのは初めてだった。未来や人間狩りをしていた時もあったが人目の少ない場所でやっていた。心の何処かで油断していたのかも知れない。ショッカーもなるべく人目につきたくないと勘違いをしていたのかもしれない。

 

「やれぇ、お前達!その女達は敵だ!ショッカーの敵だ!憎むべき敵だ。殺せ!殺すのだ!」

 

蝙蝠男の言葉にウイルスに感染した人達が襲い掛かる。さっき倒した人たちも立ち上がり響達ににじり寄る。剣を構える翼だが、

 

「駄目です、翼さん!この人たちはショッカーに操られてるだけです!」

「…峰打ちで何とかするしか…」

 

「一つ良い事を教えてやるよ。ビールスに感染した人間は強い衝撃を受けると死ぬよ」

 

「「!?」」

 

蜂女の言葉に翼と響は絶句し未来も口に手を当てる。さっきは辛うじて手加減はしたが直ぐに立ち上がる。だが気絶するほどの威力ではこの人たちが死んでしまうかも知れない。感染してる人たちはざっと見ても十数人は要る。ショッカーは確実にシンフォギア装者の嫌がる事をやってのける。此処は撤退して態勢を立て直すべきかと考えた翼が小高い丘から柵の向こう側を見るが、

 

「逃げようなんて考えるんじゃないよ。逃げればこの人間達を街中に解き放つからね」

 

蜂女の警告に翼は顔を歪ませる。ショッカーの作り上げたウイルスが街中に解き放たれれば大パニックは必然だ。何よりショッカーは労せず感染した人々を戦力に出来る。通信で機動二課に救援を求めようかとも考えたがミイラ取りがミイラになる可能性もある。なにより弦十郎が感染すれば目も当てられない。ならばと翼は考えた。

 

「立花、お前は蝙蝠男を倒すんだ。私はあの蜂女と戦う」

「…翼さん、分かりました」

 

ウイルスを操る怪人を倒せば光明が見えると考えた。翼はジャンプして蜂女の下へ行き、響も未来を抱えてジャンプしビールスの感染者の包囲網から脱出させて蝙蝠男と向き合う。

 

「未来は暫く逃げてて、幸いあの人たちの動きは遅いから」

 

響の言葉に頷く未来。事実、感染者の動きはかなり遅い。元陸上部の未来なら十分に逃げられるだろう。

 

「貴様が俺の相手だと!?貴様にも俺のビールスを味合わせてやる。立花響!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあ!」

 

翼が剣を蜂女に切りかかる。しかし、蜂女の持つレイピアに弾かれる。

 

「風鳴翼、此処が貴様の墓場となる!」

 

「人類守護の防人としての使命、今果たす!」

 

蜂女と翼の間に何度も火花が散る。蜂女のレイピアと翼の剣が何度もぶつかる。途中何度か感染者が翼を掴もうとしたがギリギリ避ける。しかし、蜂女はそんな感染者ごと翼を切り捨てようとし何人も突き殺す。

 

「!?貴様!!」

 

「惜しかったねぇ」

 

蜂女に刺された感染者が溶けて消滅していくのを見た翼が激怒するが、蜂女には涼しい顔をしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「蝙蝠男、この人たちを元に戻す方法は!?」

 

「簡単に話すと思うか?マヌケ!」

 

響の攻撃を躱し高くジャンプして距離を開ける蝙蝠男。そしてそれを追う響。途中、感染者が行く手を阻もうとするが何とか避けて蝙蝠男に近づくのを繰り返す。

 

「それとも、またくだらん話し合いでもしようと言うのか?ショッカーでは誰もお前の話など聞かなかったがな、キッヒヒヒヒヒ!!」

 

「!?」

 

響の脳裏にショッカーに捕らわれて時の記憶が蘇る。最初は改造人間にされたのに絶望もしたがショッカーの非道を止めようとショッカー科学陣に怪人や戦闘員と話し合おうとした。しかし、響に待っていたのは孤独だった。効率よく人を殺す事を考える科学陣は勿論、ショッカーに忠誠を誓うよう脳改造されてる怪人達には響の言葉は意味が無く、戦闘員も「イーッ!」としか喋れない者が圧倒的に多くそもそも喋れる者も響との会話などするつもりもなかった。響の理想などショッカーとはとことん相性が悪かった。

 

「それでも私は!」

 

「ショッカーは力こそが全てだ!そして逆らう者は決して許しはしない!此処で死ねぇ!!」

 

「!?」

 

響から距離を取るばかりだった蝙蝠男が反転、今度は響との肉弾戦をする。蝙蝠男の突然の行動に一瞬体の動きが握り蝙蝠男の一撃を受けたが直に姿勢を戻し蝙蝠男との戦いに集中する。

 

「キー」

 

「え?」

 

耳元で声がし響が振り向くと感染者が響の肩を掴んだ。

 

「貴様もビールスに感染しろ!」

 

振り解こうとする響だが他の感染者が拘束する、その間にも感染者の牙が響の首筋に迫る。

 

「響!」

「未来!?」

 

「なんだと!?」

 

未来が響を襲う感染者に体当たりをして響を解放する。拘束の解けた響は自分の首筋に迫る牙の感染者との距離を離し蝙蝠男に向き直る。響が蝙蝠男と肉薄に持ち込む。

響と蝙蝠男の肉弾戦は蝙蝠男の態勢が一緒んだけ崩れた、響がそれを見逃さず腕のシンフォギアが開くと同時に閉じ蝙蝠男の体を打ち抜く。

 

「ぐわあああ!!」

 

腕から蒸気が出ると共に蝙蝠男が倒れ、同時に感染していた人達も倒れていく。

 

「これで…ウイルスが…消えるといいけど…」

 

蝙蝠男が倒れたのを見た響が呟くが、

 

「…馬鹿め」

 

「!?」

 

「貴様は最悪な選択をしたのだ。せいぜい後悔するんだな…グはッ!」

 

最後に響に不気味な言葉を残した蝙蝠男はそのまま溶けて消えてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、蝙蝠男を倒したか!」

 

翼は響が蝙蝠男を倒した事に喜ぶ。少なくとも感染者がもう増える事はない。

 

「蝙蝠男が…、クククク…ハハハハハ!そうか倒したか馬鹿な奴!」

 

「貴様、自分の仲間を!」

 

突如、笑い出す蜂女に翼が剣を向けるが、

 

「勘違いするでないよ。私が言った馬鹿な奴は蝙蝠男じゃない。あの失敗作の事さ」

 

「失敗作?…立花のことか」

 

「そうさ、アイツは自分で感染した人間どもの死刑執行のサインをしちまったからね」

 

丁度、蝙蝠男を倒した響と未来も翼も下に来たが蜂女の様子に尻込みする。そして、蜂女は響にレイピアを向け言い放つ。

 

「最後に教えてやる。このビールスには血清があるんだよ。それがないとビールスは決して取り除けれやしない!」

 

その言葉と先程の蜂女の反応に嫌な予感がする翼。

 

「その血清は何処に!?」

 

翼の代わりに響が血清の在り処を聞く。それを見て蜂女は笑みを浮かべる。

 

「血清は蝙蝠男の羽の付け根にある『目覚めの棘』という小さな棘だ」

 

「なっ!?」

「え?」

 

蜂女の言葉に響は愕然とし蝙蝠男の溶けた場所を見た。そこにはもう何も無い。蝙蝠男の居た痕跡すら完全に消えてしまっていた。

 

「血清は蝙蝠男諸共完全に消え去った。そして、蝙蝠男が死んだことで感染者どもは間も無く死ぬ。良かったね、お前が蝙蝠男を倒したから皆死ぬんだよ!」

 

蜂女は実に楽しそうに語る。人を助けようとした響達にこれ以上ない程の現実を教え絶望させる為に。

 

「…私の…私の所為で…また人が…」

「響!?」

「立花!?」

 

蜂女の言葉にガクッと力が抜ける響に未来が支え翼が声を掛ける。響はそのまま意識を失ってしまった。

 

「ハッ、この程度で意識を失うなんてね。本当に失敗作だね」

 

「…べるな…」

 

「あれで本当に最強の改造人間なのか疑わしいね。所詮はただの実験体だろうに」

 

「…べるな…」

 

「まぁ、精神が脆弱な人間のままだからだろうね。脳改造もされてないままでは宝の持ち腐れだね」

 

「喋るなと言っている!!」

 

響を侮辱する蜂女の言葉に翼が激高して切りかかる。予想通りといった反応で迎えうつ蜂女。

 

「あんな挑発でキレるとはね。これだから脆弱な人間は…!」

 

怒りに燃える人間ほど単純な者は居ないと蜂女が返り討ちにしようと待ち構え翼の剣が迫る。予想通りの剣筋にほくそ笑む蜂女。弾いた直後にレイピアで止めを刺そうとしたが、

 

「フェイント!?」

 

翼の剣が蜂女の予想外の動きをしレイピアを空振りさせ思わず蜂女は立ち止まってしまう。その一瞬の隙があれば翼には十分だった。気付いた時には翼は蜂女の後ろで剣をしまう。剣を納めたと同時に蜂女の体が切り裂かれていた。それを茫然と見る未来。

 

「…激高したフリをして私の油断を誘ったのかい?」

 

「これでも防人だ。感情で流されたりはしない…つもりだ」

 

翼が言い終えると共に蜂女は倒れ蝙蝠男の様に溶けて消える。僅かな静寂の後に翼が本部に連絡して迎えを寄越してもらった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何だこれは!?」

「先生、何か分かったんですか?」

 

翼からの報告で響や感染者が病院に運ばれ検査された。響は気を失ってるだけで問題は無かったが問題はウイルスの感染者だった。弦十郎が驚く医師に聞くが、

 

「感染者の血液から未知のウイルスが検出されました。信じられない事にこのウイルスには頭脳があるようだ」

「ウイルスに頭脳!?」

 

本来、ウイルスには頭脳は存在しない。しかし、現にこのウイルスには頭脳が確認された。

 

「それで、先生。血清は作れるのでしょうか?」

「こんなウイルスが居る事さえ信じられない。血清を作るには時間が掛かり過ぎる」

 

感染者たちの体力はもう少ない。即ち手の施しようがなかった。この日十数人の人間が死亡した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…じゃあ、あの人たちは皆死んでしまったんですね」

「…そうだ」

 

医務室にて弦十郎は目を覚ました響に結果を教えていた。結局、蝙蝠男や蜂女にウイルスを感染させられた人たちは誰一人助からなかった。政府はこれを病死として片付ける事にした。

 

「私が…私が…蝙蝠男を倒した所為で…」

「そんな事…ないよ…」

「そうだ。あれは明らかにショッカーの罠だろ」

 

蝙蝠男を倒した事を後悔する響に傍にいた未来が慰め弦十郎もあれが罠だと言った。しかし、それで響の心が軽くなる訳が無い。

 

「いえ、ショッカーは明らかに私を狙ってました。あの人たちは私の所為で!」

 

響に再び自責の念に駆られる。ショッカーから逃げたからこんなことになったのか、あのツヴァイウイングの惨劇で生き残った所為か、もう響には分からない。

 

「あの時、奏さんの代わりに私が死んでいれば…」

「響!」

「響くん!」

 

━━━もし、私じゃなくて奏さんが生きていたらショッカーも簡単には手が出せなかったんじゃ…

 

響の言葉に未来と弦十郎は思わず響の名を言う。しかし、互いに響を慰める言葉が出てこない。悪の組織から逃げ出しその所為で追われる響にどう言葉を駆けていいのか?暫しの沈黙が流れる。

 

「立花、そんな事言わないで欲しい」

 

医務室の扉が開き翼が中に入る。

 

「翼さん」

「奏が命を懸けてお前を守ったんだ。そんな事言わないで」

「でも、その所為であの人たちが…」

「あれは私の所為でもある。怪人を倒せばあの状況を打開できると思った私の責任だ」

 

そう言うと、翼は懐からひび割れたCDケースを取り出す。

 

「これは今日の被害者の持ち物だ。後で遺族に渡しに行く。あの中に私のファンが居たんだ。私はそんな事も気付かずに蜂女と戦っていたんだ。そして、その娘を蜂女が…」

「…」

「その娘は死体どころか灰すら無かった」

 

翼の目から涙が落ちる。響も未来も弦十郎もただ黙って見ていた。その直後に響は医務室を後にする。

 

 

 

 

「…復帰ステージ…ですか」

「アーティストフェスが10日後にな。そこに急遽ねじ込んでもらったんだ」

 

翌日、響は未来と一緒にリディアン音楽院の屋上で翼が復帰をすると聞く。それと同時にチケットを手渡された。チケットをマジマジと見る響はステージの場所を見る。其処は昔ツヴァイウイングがライブしノイズが襲撃してきた場所だった。

 

「…此処は」

「立花にとっても辛い思い出の会場だな」

「…そうですね。でも何時までもウジウジしてられないのも事実です。それにこの復帰ステージ、あのファンだった娘の為でもあるんでしょ?」

「…そうだ。せめて私が出来る事をしようと思ってな」

 

翼が響に向け笑顔を見せる。それに不慣れながらも響も笑みを見せ未来はそれを見守っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

薄暗い部屋の中、ゾル大佐の耳にも風鳴翼のステージの話が入る。

 

「ほう、風鳴翼の復帰ステージか、是非ショッカーも祝ってやらないとな」

「祝う?何か送るのでしょうか?」

 

戦闘員の言葉に笑みを浮かべるゾル大佐。

 

「ああ、とっておきの物をな。G作戦の準備に入れ!」

 

ショッカーが再び動き出す。

 

 

 

 

 




仮面ライダーもモブにはとても厳しいです。大体溶かされるか白骨化させられます。

仮面ライダーの二話の蝙蝠男も感染したルリ子も遅かれ早かれ死ぬと言ってるんで感染者は死んだ流れです。
原作の仮面ライダーだと、アッサリ血清の場所を喋った蝙蝠男も首領の命令も無かったので普通に喋りませんでした。ウイルスには詳しくないのでこれ以上書けません。

当初の予定ではナンパしてきた感染者を誤って殺してしまう流れでしたがその後の展開や響の心情が思いつかずに変更しました。

次回予告
我らが立花響を狙うショッカー本部が送った次なる使者は怪人トリカブト。風鳴翼の復帰ステージで人間の大虐殺を企むショッカーに響の怒りが炸裂!響はG作戦を阻止出来るのか!?
次回「恐るべきG作戦!防人の歌」にご期待ください。
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