改造人間 立花響のシンフォギア   作:一種の信者

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22話 恐るべきG作戦!防人の歌

 

 

 

 

蜂女達の襲撃から10日。

翼のステージの準備は着々と進んでいた。

 

「リハーサル、良い感じでしたね」

「ありがとう」

「これなら本番もバッチリですよ」

「だと良いけど…」

「…気になりますか?ショッカーが沈黙してる事を」

 

翼が何か気にしてる事を悟った緒川がそう聞く。そして静かに頷く翼。蜂女たちの襲撃後、何度かノイズと戦ったがショッカーは不気味な沈黙を保っていた。弦十郎たちもショッカーの大規模な作戦が起こるのではないかと警戒を強めている。

 

「早く持ってきてくれ!」

「分かった、分かった!」

 

スタッフが忙しなく動いているもう直ぐ開演だ。急ぎつつミスがないよスタッフたちも慎重に仕事をしていた。

 

「緒川さん、あれは?」

「隠花植物ですね」

 

翼の目にある物が映り緒川に聞く。それは隠花植物であると緒川は言った。

 

「今回のフェスは自然と共存がテーマらしいですからね。多分それの一環かと。…でもあんな隠花植物見た事ないな」

「そう」

 

翼はスタッフが運ぶ植物を見る。その植物はどこか不気味に見えた。

その後、外国人のトニー・グレイザー氏と話し合う翼の脳裏に先程の植物の事は奇麗さっぱり忘れてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

もう直ぐ翼のステージが開演する。ステージの外にはファンが今か今かと待っていた。

そんな中、響は所用で遅れ急いで会場へと走る。と、突然響の携帯が鳴り取り出すと響の表情が強張った。

 

「はい、響です」

『響くんか?敵が出た!』

「…ショッカーですか?ノイズですか?」

『ノイズだ。まだ時間もあるから翼にもこれから連絡を…「師匠」…どうした?』

「現場には私一人でお願いします。今日の翼さんは自分の戦いに臨んでほしいんです。恐らくノイズの後にショッカーが仕掛けてきます。そうなったら間に合いません」

『…アイツらが仕掛けて来ると言うのか?』

「ショッカーが何かを狙っているのは確かです。それが何なのかは分かりませんけど…横やりの好きなショッカーの事です」

『やれるのか?』

「はい!」

 

 

響が現場へ急行する。その間に会場も人が入り満員となる。後は始まるだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

「チッ!」

 

響の向かう現場には多数のノイズと大型のノイズ、そして襲われてるクリスが居た。

クリスがガトリング砲を撃つが多勢に無勢で徐々に押されていく。大型ノイズが放つ弾丸の爆風に倒れこむクリスにノイズが飛び掛かる。そのまま攻撃を喰らうかと思った矢先、

 

「はあ!」

 

響の飛び蹴りが飛び掛かるノイズに命中し、そのノイズは灰となる。更に響は倒れたクリスの前に立ち腕の腕のギアを引っ張り一気にノイズの群れを吹き飛ばす。ノイズの大部分を倒した響に大型のノイズが襲い掛かろうとするが、クリスの放つ弾丸に阻まれる。

 

「貸し借りは無しだからな!」

「クリスちゃん…うん!」

 

その後、響とクリスが次々とノイズを倒し残るは大型のノイズ一つ。クリスや響が攻撃するが大型ノイズの巨体差もあって全く効いていない。

 

「固い!なら」

 

響が腕のギアを更に引っ張ろうとした。その時だった、

 

「必殺シュート!!」

 

突然大型ノイズが爆発を起こし半分近くが消し飛ぶ。クリスが突然の事に固まる中、響はやはり来たかと思った。そして何かが近づいてくる。

 

「ウルロロロロロロロロッ、つまらんテストだと思ってみれば小娘どもも居るな」

「あれは、立花響?会場に行ったのではなかったのか?…そうかノイズか」

 

ノシノシと歩く姿が二メートル近い怪獣の様に見える怪人ショッカー怪人では珍しくショッカーベルトを付けて居ない。白い頭に赤い花の様な物が咲いた植物のような怪人が現れた。更に、

 

「見つけたぞ、雪音クリス!」

 

「げっ!?」

 

空からもう一体の怪人、クリスの命をつけ狙うムササビードルが現れる。

 

「もう逃がさんぞ!今度こそ地獄に送ってやる!」

 

合計三人の怪人が現れ響とクリスも臨戦態勢を取る。そんな中、半分消し飛ばされたノイズが動こうとしてる事に気付き見ると吹き飛ばされた部分を再生をしつつあった。

 

「まだ生きているのか、ならトドメだ!」

 

トカゲの怪人が何処からか取り出した黒いボールの様な物を取り出し地面に置く。

 

「必殺シュート!」

 

トカゲ怪人の蹴りで黒いボールが飛び大型ノイズに命中し爆発すし残っていた部分が消し飛ぶ。これで残ったノイズも全滅した。

 

前座(雑魚)はとっとと消えるんだな、ノイズ!」

 

「…嘘だろ、おい」

 

クリスが驚愕する。ノイズには位相差障壁があり通常なら物理干渉など出来ず此方の攻撃は一切通らない。それを無視して強制的に此方の世界の物理法則に引きずり込むのがシンフォギアシステムだ。しかし、ショッカーは最早歌も介さず大型のノイズをも蹴散らした。

 

「驚いたか?この『ノイズ破壊ボール』は偉大なるショッカーが新しく作り出した兵器だ!俺様はそのテストに来ていただけだが…丁度いい。このボールがシンフォギア装者にどの程度効くかこのトカゲロン様が試してやる!」

 

言い終えると共にトカゲロンが響達に向けノイズ破壊ボールを二つ同時に蹴り抜く。咄嗟に避けた二人だが早く正確なボールが二人の体を掠り後ろの建物に直撃し爆発を起こす。

 

「マジかよ」

 

トカゲロンの二つ同時に蹴り上げるノイズ破壊ボールの威力に唖然とするクリス。響も額から汗が流れる。その時、見ていた二人の怪人が声を荒げる。

 

「トカゲロン!雪音クリスは俺の獲物だ!勝手に手を出すな!」

「立花響もだ、風鳴翼と同じ俺の抹殺目標だ!」

 

「チッ!なら見せてもらうぜ。ムササビードル!トリカブト!ただしお前らがピンチになったら助けてやるよ!」

 

ムササビードルとトリカブトの抗議にトカゲロンが嫌味を言ってノイズ破壊ボールを手にし見物に回る。それを見て少なくともホッとするクリスと響。戦ってる最中にあのボールが蹴り込まれないだけでも大分助かる。

 

━━━それにしても…

 

響はトリカブトの言葉に引っ掛かりを憶える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「雪音クリス!今度こそ、その命貰い受けるぞ!」

 

「くっそ、空ばっかり飛びやがって!」

 

雪音クリスが空を飛ぶムササビードルにガトリング砲と小型ミサイルを撃ちまくるが碌に当たらない。今までにもクリスは空を飛ぶノイズとショッカー怪人ドクガンダーを倒している。しかし、ムササビードルのスピードは圧倒的だった。そして何よりクリスを苦しめたのはムササビードルの飛行速度から生まれるスリップストリームだ。ムササビードルが高速で通過した際に発生する真空に周囲に人間が居れば、その人間の内臓が破裂してしまう。その所為でクリスも近づけず遠距離から発砲するしかない。

 

だが、チャンスが無い訳ではない。ある程度飛んだムササビードルはまた上空にジャンプする為に一旦地上に降りる。

 

「今だ!」

 

「ぬ!?」

 

地上へと降りたムササビードルにクリスが攻勢をかける。取り回しの悪いガトリング砲からボーガンタイプへと戻しムササビードルに接近戦を仕掛ける。クリスはそこまで接近戦が得意という訳ではないが遠距離になればムササビードルは多少の被弾も無視して空を飛ぶ。ムササビードルの拳がクリスの腹にめり込むがクリスも負けじとボーガンでムササビードルの肩を撃つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハアッ!」

 

私の拳がトリカブトに打つが寸前のところで回避される。お返しとばかりに右手を鞭のようにして反撃し私はギリギリ防御した。

 

「溶けてしまえ!」

 

防御したと見たトリカブトが口から緑色の液体が噴出する。嫌な予感を感じた私は回避すると地面に降り注いだ液体が爆発を起こす。それを横目に私はトリカブトを睨みつける。

 

「トリカブト、私や翼さんが抹殺目標ってどういう事!?」

 

さっき聞いたトリカブトの言葉に私は思わず質問する。普通なら答えないと思うけど…

 

「知りたいのか!?良いだろう、地獄の土産に教えてやる!何より、貴様が此処に居るのなら会場を守る者は居ない!G作戦の成功は約束されたのだ!」

 

「G作戦!?」

 

やっぱりショッカーは何か仕掛けていた?それにしても怪人ってお喋りだな…

 

「ショッカーの開発した毒ガスを出す殺人植物が無事会場に搬入されたのだ!後は俺が持つ起動スイッチを押せば風鳴翼ごと観客どもは皆殺しだ!」

 

!? 毒ガス!?ショッカーの目的は会場での大虐殺!?直ぐに師匠に伝えないと!

 

「師匠!」

『こっちでも聞いている!会場は此方で何とかしてみる!』

 

師匠たちも直ぐに対応してくれる。これでショッカーの企みも…

 

「無駄だ!既に風鳴翼の歌は始まっている!下手に止めれば暴動ものよ!仮に無事止められても風鳴翼の経歴に傷もつくのは目に見えている!フッハハハハ!!」

 

! こいつ等、どうしてこんなに笑ってられるの!?何でそんな平気で笑ってられる!!

 

「…ねえ、何が可笑しいの?その人達がショッカーに何かしたの?」

 

この世界には悪い人達も沢山居る。それは分かっている、それでは話し合えば理解できる、分かり合えると思っていた

 

「今更それを聞くか!?ショッカーにとって人間どもなどムシケラも同然!目障りなムシケラを駆除して何が悪い!地球は我等ショッカーの物だ!」

 

でも無理だ。少なくともこいつ等とは話が出来ない。そもそもショッカーは話し合う気すらない。蜂女の時の様に人間をただの消耗品やムシケラとしか思っていない

 

「もういいよ。お前達にも少しは人間の心があると私が勝手に勘違いしていただけだから」

 

私は他人と競う事は苦手だ。それでもこれ以上、こいつ等(ショッカー)を野放しにしちゃいかない。…ならなってやる!ショッカーに逆らう嵐に!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

響とクリスが戦う中、特異災害対策機動部二課本部も蜂の巣をつついたように右往左往していた。

 

「指令、やはりライブを中止した方が!」

「…いや、既に翼が歌っている。それに下手に中止すればショッカーが何をするか分からん。殺人植物の方は如何した!?」

「今、緒川さんが確保しに行ってます……緒川さんから緊急連絡!ショッカー戦闘員と交戦に入りました!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「イーッ!?」

 

Justice空に掲げて 感情のままのイノセンス

輝いたメロディ 叶えてPraying

 

「さあ、早くその植物の処分を急いで!」

 

ワンオクターブ背伸びして 後ろ髪追いかけて

涙の行き場所を 探したEyes

 

クナイを片手に戦闘員の一体を倒して僕は顔見知りのスタッフに植物の処分を言う。スタッフも只事ではないと急いで植物を持って離れた。翼さんの歌も佳境に入る。観客の誰、一人にも気付かれずに植物を処分しないと

 

「イーッ!」「イーッ!」

 

消えないで… 嗚呼せめて…

胸の中の記憶は褪せずに

 

何処からともなく戦闘員が現れる。一体この会場にどの位入り込んでるんだか。あの植物を運んでいたスタッフもショッカー戦闘員だった

 

「特異災害で戦えるのが響さんや翼さんだけでない事を教えてあげましょう」

 

永久(とわ)のYour shine…宝石に…

片翼の羽根と 泣かないと誓うよ

 

指令ほどじゃないですけど僕も戦えるんです!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トカゲロンは退屈であった。

 

悲鳴も上げないノイズより悲鳴や命乞いをしそうな小娘が別の怪人の相手をしていた。赤いシンフォギアの小娘が歌うが興味も無い。裏切者の小娘の動きが報告より良くなってる事が気になる。トリカブトも押され出してるから見間違いなどではない。ムササビードルも空中にジャンプしようとするが悉く赤いシンフォギアの小娘に妨害され次々とボウガンの矢を喰らっている。口ほどにも無い奴等だ

 

「さて、そろそろか」

 

いい加減、退屈も飽きた。俺様も動くことにしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ムササビードルは焦っていた。初めて戦った時は完全に此方が有利であった。空の移動速度に雪音クリスは全く対応出来ていなかった。結局仕留めきれずに逃したがこの十日間、逃げ回るクリスを追いかけ何度も交戦しては寸前のところで逃げられていた。ムササビードルにとってクリスは最早敵ではない。…筈だった。

 

「雪音クリス!その動きは一体…!?」

 

「お前の動きはとっくに見切ったんだよ!」

 

クリスも今まで無意味にムササビードルと戦った訳ではない。少しづつだがムササビードル動きや癖を覚え何とか反撃する事が出来た。クリスのボーガンがムササビードルの目を射抜く。

 

「ぎゃあああああ!!俺の目を…よくも…殺してやる…殺してやる!!」

 

ボーガンで射抜かれた目を押さえムササビードルは激怒しクリスに襲い掛かる。

 

「早い!?」

 

クリスも、もう体力が残り少なく疲労も隠しきれない。半面、ムササビードルはダメージを受けても尚クリスより未だに体力が多い。長期戦はクリスが圧倒的に不利だと言える。

 

 

 

 

「クリスちゃん、伏せて!」

 

トリカブトと戦っていた響の声にクリスは言う通り地面に身を伏せる。その直後に頭上に何かが通り過ぎムササビードルに直撃する。それは響と戦っていたトリカブトだ。後ろを見ると響がトリカブトの右腕の鞭の先端を持って立っていた。どうやらトリカブトの右腕を振り回してムササビードルに当てたようだ。

 

「今だよ、クリスちゃん!」

「よっしゃー!」

 

響の言葉を理解したクリスはボーガンを再びガトリング砲に変え小型ミサイルも出し二人の怪人に一斉射撃する。ムササビードルもトリカブトも回避できずクリスの一斉射撃が直撃す爆発に呑まれる。

 

「クリスちゃん、ナイス!」

「…お前もな」

 

響がクリスの前に手を出しクリスもその手にタッチする。辺りは燃え盛る炎に包まれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「トリカブトの撃破に成功しました!」

「会場から戦闘員が逃げていくようです!」

 

トリカブトの撃破は直ぐに特異災害対策起動部二課本部にも伝えられ職員はホッとする。装置を持っていたトリカブトが死んだ事で会場の危機は去ったと言っていい。緒川の方も殺人植物の処分は順調のようだ。

 

「当面の危機は去ったが…俺も響くんたちの方に向かう」

「指令!?」

 

会場での危機は去ったが、弦十郎は胸騒ぎを感じ何人かの黒服の部下を引き連れ響達の方へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

「お…己…己!!」

 

「「!?」」

 

炎の方から声がし見ると、満身創痍のムササビードルが炎に焼かれながらも、こっちに向かって歩いて来た。皮膜のボロボロでもう飛ぶことも出来ない見た目だったが、ムササビードルの執念に二人は息をのむ。

 

「…まだ生きてやがったのかよ!?」

 

「…改造人間がこの程度で「いや、そこは死んどけよ」!?」

「必殺シュート!」

 

トカゲロンの放ったノイズ破壊ボールがムササビードルに直撃し爆発する。その光景に響もクリスも言葉が出ない。

 

「負け犬はとっとと退場するもんだ、ムササビードル」

 

味方を殺したトカゲロンは平然として言い放つ。

 

「味方を殺した?正気かよ!?」

 

クリスが信じられない物を見たような顔をして言うが、

 

「あのまま生かしておいても、もうお前らには勝てんだろ。だから、俺が引導を渡しただけだ、ウルロロロロロロロロッ!」

 

味方殺しを何とも思っていないトカゲロンが平然と言い終える。同時にトカゲロンは再びノイズ破壊ボールを二つ蹴り込む。それを何とか回避する響とクリス。

 

「ふん、大分ボールに慣れたか。なら、これならどうだ!」

 

トカゲロンがノイズ破壊ボールを一つ蹴り込む。身構えた響とクリスだったがそのボールが自分達ではなく明後日の方向に飛んでいく。

 

「何だよ、蹴りそこないかよ。脅かしやがって!」

 

「ウルロロロロロロロロッ…」

 

クリスがガトリング砲を向けるがトカゲロンが笑っている事に気付いた響が明後日の方向に行くボールを見る。そのボールは弧を描いてる事に気付く。目標は…クリスだった。

 

「クリスちゃん!?」

「何だよ…え?」

 

響がクリスを突き飛ばす。直後にノイズ破壊ボールが響の背中に直撃し爆発する。

 

「痛ッ!何を…!」

 

クリスの目に飛び込んだのは、背中から黒煙を上げ倒れる響だった。急ぎ、響を抱き抱えるクリスはトカゲロンを睨み付ける。

 

「どういう事だよ!ボールは出鱈目に飛んで行ったんじゃないのかよ!?」

 

「バナナシュートも知らんのか?俺の素体となった奴はプロのサッカー選手だ。曲がるシュートはお手の物だ。こんな風にな!!」

 

今度はトカゲロンは響達の居る場所とは逆方向にノイズ破壊ボールを蹴り上げる。クリスがボールを見続けると信じられないという気持ちで一杯だった。そのボールはドンドン曲がっていき最終的には自分達の方に迫って来た。正確には自分の頭部へと、

 

「!?」

 

咄嗟に頭を下げてボールを通過させる。後ろから爆音が聞こえクリスの背中に冷や汗が流れる。

 

━━━こいつ、今までの怪人よりも強い!? アタシは勝てるのか?

 

クリスとて結構な数の怪人と戦ってきた。しかし、目の前のトカゲロンは今までの怪人との異質さにクリスの本能が逃げろと訴える。

 

「…クリスちゃんは逃げて…」

 

クリスの腕に抱かれた響が立ちあがりクリスの前に立つ。一瞬頼もしくもあったが、響の背中はボロボロで立ってるのが精一杯に見える。

 

「ほう」

 

「無茶だ、やめろ!」

「…平気、へっちゃら…だから…」

 

トカゲロンが感心したように声を出し、クリスは無茶だと響を止める。しかし、響も譲らない。目の前のトカゲロンは倒さなければならないと感じていた。

 

「面白い、一発譲ってやる。こい!」

 

響の反応を面白がったトカゲロンは先手を譲ると言う。響は拳に意識を集中し腕のギアが開くと同時にジャンプしトカゲロンに迫る。

 

「ハアーーーーーー!!」

 

響の拳がトカゲロンの胸に命中し腕のギアも一気に押し込まれる。確かに響の拳はトカゲロンに直撃した。が、

 

「生温いぞ!!」

 

「へ?」

 

トカゲロンが胸に力を入れると響の拳が弾かれると共に響は空中へと弾き飛ばされる。

 

「必殺ってのはこういう風にやるんだよ!必殺シュート!!」

 

空中へと放り出された響にトカゲロンは容赦なくその体にノイズ破壊ボールを蹴り込む。受け身も取れない響はボールの直撃を受け爆発に巻き込まれクリスの近くに落ちる。

 

「…お…おい…しっかりしろよ…」

 

クリスが介抱しようとするが響の体は所々ボロボロで片腕のギアも破壊され機械が露出する。クリスに出来る事は何もない。

 

「弱い、弱いぞ!このトカゲロン様の前では改造人間の装者などこの程度よ!!」

 

辺りにはトカゲロンの勝ち誇った声が響く。この日、立花響はトカゲロンに敗北した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

響達が戦っていた場所、一台の車が猛スピードで到着し弦十郎が降りる。後ろからも特異災害対策機動部二課の車が続々と到着する。

 

「響くん!」

「…おっさん」

 

其処でクリスに抱き抱えられていた響を見つける。

 

「…怪人は?」

「…こいつを倒したら満足して帰っていったよ」

 

止めも刺さずに帰った?と疑問に思う弦十郎だが、今は響が優先だと急いで病院に運ぶよう指示をだす。

 

「し…師匠…」

 

完全にボロボロになっていた響の口から師匠という言葉が聞こえ弦十郎が響の顔を覗き込む。響は薄く目を開けて弦十郎に何か言おうとしている。

 

「ご…ごめん…なさい…師匠。…私…負けちゃい…ました…」

「!?今は少しでも休むんだ、響くん」

 

弦十郎の言葉に響は「はい」と返事をし意識を手放す。響は担架に乗せられ急いで病院に運ばれた。

 

「君も俺達と一緒に来るか?」

 

一人その場に残ったクルスに話しかける。しかし、弦十郎の言葉にクリスは首を横に振る。

 

「アタシはまだ駄目だ。まだケジメをつけていない」

 

そう言い終えると、クリスは路地裏へと消える。

この後、特異災害対策起動部二課では響が負けた事で騒ぎとなる。

 

 




メインはトリカブトではない、トカゲロンだ。
原作のトカゲロンも仮面ライダーを倒している強豪怪人です。トドメも差さずアッサリ帰ってます。

最後に、ノイズ破壊ボールの設定でも、

ノイズ破壊ボール
ショッカーが長年研究していた爆弾。
ノイズの位相差障壁を無効にしてノイズの除去を目的として造られた。立花響のデータを得て完成する。破壊力は大型ノイズも二発で沈む威力。足で蹴りだす必要があり一部の怪人しか使えない。
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