改造人間 立花響のシンフォギア   作:一種の信者

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25話 ノイズVSショッカー リディアン音楽院の殺人大パーティー

 

 

未来が響に連絡する少し前。ノイズと戦ってる頃、未来たちは午後の授業をしていた。

 

「え~このように音楽が世界に与えた影響は…」

 

響が早退扱いで居ない事を除けば順調に授業が進む。生徒たちもノートを書いたり教科書を読んだり先生の話を聞いたりしていた。誰しもがこのまま時間が過ぎると思っていた。

 

♪~~~~~

 

「ん?何ですか?」

「音楽?」

 

授業の最中に突然、クラスに取り付けられているスピーカーから音楽が聞こえる。

 

「静かに、授業中よ。…それにしても何か放送があるなんて聞いてないけど…」

 

クラスの騒めきに静かにするよう注意する担任だが何事かとスピーカを見つめる。誰も聞いた事の無い音楽はそのまま進み歌詞に入った。

 

 

 

            ショック!ショック!ショッカー!!

ショック!ショック!ショッカー!!

 

 

 

「!?」

「しょっかあ?何よ、この歌」

「聞いたことないわ」

 

生徒たちの間に不穏な空気が流れる。男の声で不気味な歌を歌ってるのだ。生徒たちが不安になっていた。

 

 

 

            地獄の底から 地の底から

             生まれ出るショッカー 改造人間

 

 

 

「ねえ、弓美。あんたなら知ってるんじゃないのこの歌」

「私だって知らないわよ、こんな歌。こんな不気味なの私の好みじゃないし!」

 

誰も知らない不気味な歌、それが教室へと流れている。教室の中は面白がる生徒や不気味がる生徒など様々に騒めきが大きくなる。

 

 

 

               地球はショッカー われらのもの

               オー ショッカー オー ショッカー

 

 

 

「皆さん落ち着きなさい。落ち着くんです!」

 

教室の騒めきに教師が注意してスピーカーのスイッチを切る。これで不愉快な音楽は聞こえなくなる。…筈だった。

 

 

 

             ショック!ショック!ショッカー!!

 

 

「嘘、どうして」

 

スピーカーのスイッチは切った筈だった。それにも関わらずスピーカーから不気味な歌が聞こえて来る。次に音量調節を弄るが歌が小さくなる事はない。寧ろ大きくなってる。そして、教師が気付いた。この不気味な歌が学校中に響てる事に。

 

━━━何?この歌。まさかショッカーが!

 

一人、ショッカーの存在を知る未来の胸に不安が押し寄せる。響はノイズを倒しに行っていて不在。その隙にショッカーがリディアン音楽院に何しに来たのか?それは未来には分からない。

 

「先生!」

 

 

           ウ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

とにかく、未来は教師に避難を促そうとしたが、タイミング悪くノイズ発生の警報までなった。リディアン音楽院は混沌と落ちる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ノイズも現れたリディアン音楽院に自衛隊も駆けつけ銃を乱射しつつ生徒たちをシェルターに誘導する。しかし、通常兵器の効かないノイズに自衛隊は苦戦する。更には、

 

「弾丸スクリューボール!」

 

タイル状のような球体が銃を乱射する自衛隊諸共、装甲車を貫き爆発する。そして、爆発で発生した炎から誰か出て来る。

 

「ヴヴァッ、ヴァー!ショッカーの力、思い知れ人間ども」

 

球体を解除した怪人、アルマジロングが次の獲物を探す。

 

 

 

 

 

 

 

「何だ、コイツ!ノイズじゃないぞ」

「化け物だ!」

 

何人かの自衛隊の人間が一か所に銃撃する。ノイズのようにすり抜けたりせず命中はする。しかし、ダメージを与えてるようには到底見えなかった。

 

「ギ~ゴ~」

 

自衛隊の隊員に化け物と呼ばれた黒く目元の赤い怪人は大きな左腕で隊員たちを薙ぎ払う。アッサリとぶっ飛ばされ隊員たちに怪人は頭の方から垂れ下がる鼻のような部分から舌を出し隊員たちに突き立てる。

 

「お前達に耐えられるか?()()()()()()()が」

 

怪人が興味深そうに言うが10秒もせず隊員たちの体が溶けてきた。

 

「これだけ居ても耐えられんか。次だ」

 

アマゾンの呪いで死んだ者たちに一瞥もせず怪人、アリガバリは次の獲物を探しに行く。

 

更に戦闘員も多数現れ、自衛隊の隊員に襲い掛かっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こっちです!急いで」

 

ノイズや怪人が暴れる中、隊員たちの多くは生徒たちをシェルターに避難させる。それはリディアン音楽院の中でも行われていた。

 

「落ち着いて、シェルターに避難してください」

 

廊下で何人かの自衛隊の隊員と未来が生徒たちに避難を促す。窓の外では未だにノイズや怪人、戦闘員が暴れている。

 

「ヒナ!」

「皆」

 

避難誘導してる最中に自分のニックネームを呼ばれ未来が振り向くと友人の創世と詩織に弓美が心配そうに来ていた。

 

「どうなってるの?ノイズだけじゃなくてあの黒い人達なんなの?何で学校を襲うの?これじゃまるでアニメだよ」

「それだけじゃありませんわ」

 

詩織が学校の廊下に備え付けられたスピーカーを見る。

 

              地球はショッカー われらのもの

 

「この曲、ずっとリピートしてる」

「大体何なの!?この不気味な曲!」

 

学園中で流され続ける不気味な曲。何人かの教師が放送室へと向かおうとしたがノイズが出てそれどころではなくなった。

 

「とにかく、皆は避難して」

「小日向さんも一緒に」

「先に行ってて、私は他に人が残されてないか見て来る」

「ヒナ!」

 

三人が止める間も無く、未来は他の場所へと向かう。

 

「君達…」

 

未来が言った廊下の反対側から声がし三人が振り向くと自衛隊の隊員と思しき人がこっちにやって来る。尤も、片手で首を押さえて苦しそうだったが。

 

「急いでシェルターに…逃げるんだ。…ノイズ以外の…化け物も…校舎内に…うわあああああああああああ!?」

 

「え?ちょっと」

「だ…大丈夫ですか」

 

突如、苦しみだした隊員に三人が近づこうとしたが服が破れていく事に気付き立ち止まった。そして、見る見る隊員の体から青い体毛が生え口が大きく裂け鋭い牙が生える。

 

          

 

「ワァオーン!!」

 

 

 

目の前の隊員が青い体毛の狼男となった。何が起こったのか分からない。分かるのは目の前に怪物が居る事くらいだ。

 

「イ…イヤアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

 

弓美の悲鳴が廊下に木霊した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふん、順調と言ったとこか」

 

リディアン音楽院の屋上。学院を一望できる場所でゾル大佐は戦況を見続けていた。アリガバリを襲ったノイズが逆に返り討ちにされ灰となり、アルマジロングが自衛隊員諸共ノイズを弾丸スクリューボールで蹴散らす。そして、大型のノイズが此方に来るが、

 

「トカゲロン」

「あいよ、必殺シュート!」

 

ゾル大佐の護衛としていたトカゲロンが大型ノイズにノイズ破壊ボールを蹴り込み更にもう一発蹴り込む。大型ノイズが消滅したがゾル大佐は大して興味も無い。ゾル大佐の視線の先には一人の怪我をしている自衛隊の隊員が何人かの仲間が怪我の治療をしようと運ぶ姿だ。途中でその隊員は青い狼男となり他の隊員を襲いだす、その襲われた隊員たちも次々と青い狼男となっていった。

 

「おお、えげつねえ」

「ウルフビールスは順調なようだ。これで怪人狼男の量産も可能になる」

 

ウルフビールス。嘗て、ゾル大佐主導で開発したウイルス兵器。感染した人間を怪人狼男に変えてしまう悪魔の兵器だ。ゾル大佐はこれを使って怪人の大量生産を狙っていた。

 

その狼男がノイズに襲い掛かり次々と蹴散らす。しかし、中にはノイズの攻撃によって灰となる狼男もいた。

 

「即席の怪人ならこの程度か。もう少し改良が必要か?」

「人間相手なら十分だろ。これ以上は…ん?」

 

トカゲロンが何かの気配に気づき空を見ると、飛行型のノイズが針の様に細くなり自分達に突撃してきた。もし人間が喰らえば貫通しノイズ諸共炭化する。

 

「けっ!」

 

しかし、トカゲロンは飛来するノイズを力任せに引き千切る。別のノイズがトカゲロンに突撃し突き刺さるが、ノイズの先端はトカゲロンの皮膚で止まってしまった。

 

「何かしたか?」

 

飛行型のノイズの攻撃も痛くも痒くもなかったトカゲロンはノイズを握り、また引き千切る。

トカゲロンの他にもゾル大佐にも飛行ノイズが襲うが手に持つ鞭で難なく叩き落す。直後、自分の掌を見るゾル大佐。

 

     ショック!ショック!ショッカー!!

 

「新しいシンフォギアシステムの実験も順調だな」

 

ショッカーの歌を聞きつつ手を動かす。全く炭化の兆候が無い事に満足気であった。

 

「歌わなくても炭化しないとは、便利な事で」

 

ショッカーは以前のシンフォギアシステムを更に改良し録音された歌でもシンフォギアのシステムを使えるよう改造されていた。これである程度、音楽を放送出来る設備又は機器があれば何処だろうとノイズを駆逐できる。更に、このシステムはバックファイヤーすら無効に出来る。半面、シンフォギアでのパワーアップは全く期待できない上に音楽を出す関係上隠密には向かない。それに相変わらずそれようの改造手術が必要であった。尤も、ノイズを駆逐するのを考えればそこまで面倒という事ではない。

これで飛び道具を持たない怪人もノイズ戦に投入出来る。

 

「常にショッカーは、一歩二歩先に進むという事だ。…そうそう」

 

何かを思い出したのかゾル大佐は通信機を取り出す。

 

「再度各員に通達する。軍人や教師は幾ら殺しても構わん。ただし生徒は上手くシェルターに逃がせ!生徒全員がシェルターに入れば俺が良いと言うまで手を出すな。奴等は大事な改造人間候補だからな!ただし、逆らう様なら殺して構わん」

 

それだけ言うとゾル大佐は通信機を切る。ゾル大佐の目的の一つ、それはリディアン音楽院に通う全生徒の拉致及び改造手術だった。シェルターにわざと逃がすのも他の出入り口を潰し袋のネズミにする為でもあった。

 

「しかし、本気かい?大佐。この学院には高等科だけでも千人以上の生徒が居ますぜ。しかも全員女、本気で改造人間にする気で?」

「入手した特異災害対策機動部二課本部のデータを洗い出してる時に面白い物を見つけてな。もし、そのデータが正しければショッカーのシンフォギア技術は更に伸びる筈だ。それに数が居るという事はそれだけ実験も出来るという事だ。それこそ、危険過ぎて立花響に出来なかった実験もな」

 

トカゲロンの質問にゾル大佐はそう返す。後は女狐が巣穴からお宝を持って出て来るのを待つだけだった。

 

「だが、その為にも…」

 

ゾル大佐の目にトカゲロンが映った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「誰か!残ってる人はいませんか!?」

 

学校の廊下を走り回る未来。片っ端から声を出して誰か残ってないか確認していくが直後に爆音と衝撃を感じた未来は窓から外を見る。外では最早自衛隊の影は無く、戦闘員や怪人がノイズと戦っていた。その影響か学校中の至る所が破壊され炎に包まれていた。

 

 

            地獄の底から 地の底から

 

 

「学校が!響の帰って来る所が!」

 

あんな立派だった学校が最早、廃墟寸前。入学してそんなに経っては居ないが未来にとって響や他の友人たちの大事な思い出がある。

 

「イーッ!」

 

「!戦闘員!?」

 

そして、運悪く未来は戦闘員と遭遇した。数は一人だが他にも居るかも知れない。戦闘員はゆっくりと未来に近づく。顔をペイントされてるタイプの戦闘員は未来を見て不気味に笑う。戦闘員としてはゾル大佐の命令通りシェルターに逃がす為に脅かすつもりであった。何人かの生徒も脅かしてシェルターに逃げさせている。そして、今回もそのつもりであったが、

 

「戦闘員が一人。なら私だって!」

 

未来が片足を上げ構える。弦十郎の鍛錬は短い上に始めたばかりで心許無いが我儘は言ってられない。戦闘員も未来が戦る気と知り隠し持っていたナイフを握る。ゾル大佐の命令通り未来を始末するつもりだった。ジリジリと近づく戦闘員に未来の心臓が脈打つ。そして、一気に戦闘員が未来にナイフを突き立てる。

 

「やー!」

 

寸前で躱した未来は逆に戦闘員の体に蹴りと正拳突きを喰らわす。戦闘員に直撃したがそれでも倒せる程ではない。

 

「響みたいに上手くいかない!?」

 

「イーッ!」「イーッ!」

 

「嘘!?」

 

騒ぎを嗅ぎつけたのか別の場所を警備していた戦闘員たちが次々と合流する。一人しか居なかった戦闘員も倒せない未来は絶望した。最早、戦闘員たちに未来を捕まえる気はない、此処で始末する気だ。改造人間候補の生徒はシェルターにたっぷりと居る、一人死んだところで計画に支障は無いと戦闘員も判断した。ナイフや剣を持ち近づいてくる。

 

「逃げなきゃ!「イーッ!」!?」

 

戦闘員の居ない場所に逃げようとした未来だが振り返った先に戦闘員が飛び出してくる。未来の逃げ場は何処にもなかった。

 

「…ごめんね、響」

 

退路を断たれた未来は自分の死を覚悟し座り込んでしまった。戦闘員一人も倒せなければ響と一緒に戦うなど夢のまた夢だ。これでは寧ろ、響の足を引っ張ってしまう。未来はそう考えてしまった。

未来が抵抗を止めた事を確認した戦闘員の一人が警棒を伸ばし未来の頭に振り下ろそうとした。直後、エンジン音と窓ガラスの割れる音が響く。

 

「「「イーッ!?」」」

 

それから戦闘員の断末魔が聞こえ未来が顔を上げると一台の車が戦闘員たちを轢き壁に激突していた。

 

「すいません、未来さん。遅くなって」

「お、緒川さん!」

「ギリギリでしたよ、次上手くやれるかは…」

 

車のドアを開き男が一人降りてきた。未来も知る特異災害対策機動部二課の緒川だった。未来が緒川に何があったのか聞こうとしたが、

 

「イーッ!」「イーッ!」

 

車の音かガラスの音が聞こえたのか遠くにいた戦闘員が集まってくる。

 

「走りますよ、未来さん!」

「ええ!?」

「三十六計逃げるに如かず、と言いますからね」

 

戦闘員が集まる前に緒川は未来の手を引いて走り出す。目的地は本部に繋がるエレベーターだ。緒川がボタンを押し扉が開くと未来を先に乗せ通信機で扉を閉め下に降りる。扉が閉まった事で追跡を諦めた戦闘員たちだが他の場所に居た赤服の戦闘員が何かを命令した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふん、なるほど、そうか」

 

通信機で戦闘員からの報告を聞くゾル大佐。次に如何いう手を打つかは既に考えて居る。

 

「エレベーターの扉を爆破しろ。量産型の狼男も連れて行け。再び特異災害の本部を占領しろ!」

 

戦闘員達に命令を出したゾル大佐は通信機をしまう。

 

「戦闘員やあの量産型だけで本部を占領できるんで?」

「ふん、失敗しても構わん。全てはフィーネを燻り出す為よ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前達も気付いたという事はショッカーにも気付かれてると見ていいね」

 

「未来さん…逃げて」

 

緒川とエレベーターに乗った未来だが、緒川が通信機で弦十郎と話してる途中にネフシュタンの鎧をつけたフィーネが襲撃する。そのままデュランダルが保管されてる階に着き緒川をネフシュタンの鎧の鞭で捕らえ締め上げる。緒川が未来に逃げろと言う。

 

「止めて!」

 

フィーネの背中に抱き着き止めようとする未来。フィーネが鬱陶しそうに振り返る。

 

「今、ショッカーが攻め込んできてるのに…如何して?あなたも特異災害で一緒に働いてたのに…了子さん!」

 

「…悪いが特異災害は私の目的の為に利用しただけに過ぎん。それに、ショッカーが来てる以上時間もあまりな…ん?」

 

途中で、この階に止まる別のエレベーターが止まり中が開くと何人かの特異災害の職員が降りてきた。一瞬、弦十郎が寄越した増援かとも思ったが如何にも様子がおかしかった。

 

「ウウうう…ウ…ワァオーン!

 

「なッ!?」

「え!?」

 

その内の一人が青い狼男となると他の職員も次々と狼男となっていった。ショッカーは既に職員にもウルフビールスを感染させていた。

 

「ちっ!」

 

襲い掛かる狼男たちに咄嗟に未来をエレベーター内に押してネフシュタンの鎧の鞭で迎撃する。一体二体と倒すが、次は戦闘員達が学校にあったエレベーターの扉を破壊して侵入する。その内の何人もの戦闘員がこの階にもやってきた。

 

「今更、戦闘員なんぞに」

 

ネフシュタンの鎧の鞭が何人もの戦闘員を切り裂く。更には、フィーネは蹴りやパンチも繰り出し狼男も次々と倒す。

 

「…凄い…」

 

その光景を未来はただ見ていた。そして、最後の狼男を倒してデュランダルの保管場所へ入ろうとしたが、

 

「…!チッ!!」

 

デュランダルの保管場所にはロックが掛かり特異災害の支給する通信機で開けられたがフィーネの持つ通信機は戦闘の影響か通信機が壊れて起動しなかった。

 

「当てが外れたか、了子」

「!?」

 

弦十郎の声が聞こえると共に天井の一部が破壊され弦十郎と狼男が落下する。

 

「ワァオーン!」

 

落下した狼男一声鳴いてドロドロに溶けていく。どうやら弦十郎が倒したようだ。

 

「くッ、急がねばならんというに」

「何をそんなに焦っている。了子」

「まだ私をその名で呼ぶか」

「信じたくはなかったがやはりお前だったか了子」

 

立ち上がった弦十郎がフィーネの方に向かい構える。

 

「女に手を上げるのは気が引ける。降伏するんだ了子」

「その様子だと私も一応疑ってたようだな」

「調査部だって無能じゃない。米国政府の丁寧過ぎた道案内、正直罠かと疑ったよ。それでも確信は持てなかったが…」

「甘い男だよ、相変わらず。そんなんで私を止められると!?」

「止めて見せるさ仲間として。だがその前に一つ聞きたい。お前もショッカーと敵対しているのか?」

 

弦十郎が如何しても聞きたかった事、それはフィーネが本当にショッカーと敵対してるかだった。本部が占領され了子が連れてかれ時に何かあったのではないかと気になっていた。

 

「心配するな、少なくとも私はショッカーは嫌いだ」

「それだけ聞ければ結構」

 

弦十郎とフィーネの戦いが始まった。フィーネがネフシュタンの鎧の鞭を使うが弦十郎は軽く避け拳を一気に突き立てる。フィーネも負けじと避けるが掠ったネフシュタンの鎧にヒビが入る。そして、二本の鞭を一気に振るが弦十郎は待ってましたとばかりに二本とも掴み一気に引き寄せ、ネフシュタンの鎧の無い腹部に一撃入れる。その威力に床に倒れるフィーネは弦十郎に視線を向ける。

 

「…完全聖遺物を退ける。相変わらず出鱈目の男だ」

「諦めろ、了子。お前の負けだ」

 

弦十郎は強い。それはフィーネも分かってはいた。しかしネフシュタンの鎧と一体になっても全く勝てないとは予想だにしていなかった。「あと少しで自分の願いが叶うはずなのに」と諦めないフィーネだが、

 

「指令、危ない!」

 

突然、緒川の声が響く。何事かと弦十郎が後ろを見ると、青い狼男が鋭い爪を振り回して飛び掛かって来る。討漏らしかと考えガードするが、

 

━━━…!違う、コイツの狙いは俺じゃない。了子くん!?

 

「了子くん!」

「!?」

 

狼男の狙いがフィーネと分かった瞬間、弦十郎はフィーネの下に行き狼男の爪から守った。弦十郎の背中から鮮血が舞い狼男が雄叫びを上げる。しばし、茫然としていたフィーネも意識を戻しネフシュタンの鎧の鞭で狼男を始末する。

 

「指令…」

「いやああああああああああああああ!!」

 

弦十郎はそのまま倒れ緒川は指令と呟き、未来は悲鳴を上げる。

 

「何故…何故私を助けた!答えろ!」

 

背中から流血し床に倒れた弦十郎にフィーネが掴みかかって聞く。

 

「…仲間…だからだ…」

「!だから甘いと言ったんだ」

 

弦十郎はそれだけ言って気を失い、フィーネはその言葉を聞いてちょっとだけ笑い弦十郎の持つ通信機を取り出す。

 

「興がそがれた。逃げるなり治療するなり好きにしろ」

 

フィーネは保管室の扉を開けそう言って中に入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

倒れた弦十郎は急ぎ、指令室へ戻り治療を受けた。友里あおいが弦十郎の背中に包帯を巻く。その間に友里あおいの席を緒川が座り代わりに操作する。

 

「ショッカーが続々本部内に侵入しています。新しくつけた警備システムに足止めを喰らっていますが何時まで持つか。…さらに桜井了子も敵に」

「何だって!?」

「そんな」

 

指令室の温度が一気に下がる。天才科学者で特異災害では何人もの人間が了子に世話になっていたのだ。それが敵に回るというのだから士気も下がる。

 

「響さん達に回線を繋ぎました」

 

コンソールを弄っていた緒川は響の通信機に回線を繋げ未来に視線を送る。未来は頷き一歩前に出る。

 

「響!?学校が…リディアンがショッカーとノイズにしゅ…」

 

            地球はショッカー われらのもの

 

襲撃されたと言いたかった未来だが通信が途切れ指令室の電源も落ちショッカーの歌が流れる。

 

「なんだ!?」

「これは…本部内とリディアン音楽院からのハッキングです!」

「こちらの操作を受け付けません」

 

何とかしようとする職員たちだったがモニターやコンソールに砂嵐になり操作が不可能になる。

 

「リディアン音楽院という事はショッカー?」

 

『聞こえるかね?特異災害の諸君』

 

砂嵐の中、ゾル大佐の顔がモニターに映し出される。誰もが息を飲みそれを見る。

 

『既に地上に居たノイズは全て片付けた。後は諸君らだけだ、だが直ぐには殺さん。諸君らには我等ショッカーの恐ろしさを骨身にしみこませてから殺してやろう。それまで我らの作った歌でも聞いて震えるがいい』

 

通信が終わるとモニターは再び砂嵐となりショッカーの作った歌がエンドレスで流れる。外の状況も分からない助けも呼べない。職員たちに絶望の二文字が過る。

 

「響…」

 

未来は親友の名を一言呟いた。

 

 

 

 

 

 




フィーネが原作よりマイルドです。悪行の殆どはショッカーがやってますから。

そして、リディアン音楽院に流れた曲は「オー!ショッカー!」です。聞いた事ない人は一度は聞いて欲しい曲ですね。

ウルフビールスをばら撒き狼男を量産するゾル大佐。

一応設定などを、

量産型狼男

ゾル大佐が実験用狼男から得たデータでウルフビールスを改良し誕生した怪人。ビールスに感染する事によって即席の怪人を作れるようになった。感染力はそこまで強くはないが嚙まれえると確実に感染する。
実験用狼男より狂暴性を落とし戦闘員の命令も聞くようになったが戦闘力も一緒に落ちてしまい初期怪人レベルの力しか持たない。ビールスの特性上、女が感染しても狼男となる。量産型ゆえか実験用にはあったショッカーベルトは量産型には無い。狼男になったら最後、元に戻る方法はない。




それから、新しく出たショッカー版シンフォギアシステムの設定も

ショッカー版シンフォギアシステムⅡ

ショッカーが以前のシンフォギアシステムを改良しより効率化を目指し完成させたシステム。録音された歌を再生させる事でノイズの炭化能力を無効にし位相差障壁も一方的に無視できる事に成功する。バックファイヤーも無くなる半面、シンフォギア装者のようにパワーアップは完全にしなくなってしまった。後、音楽を流すとやはり目立つ。
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