「ゾル大佐!貴様は特異災害の本部に行っていたんじゃ!?」
「お前を誘き出す為の芝居よ。さあフィーネ、大人しくカ・ディンギルの操作権を渡せ。そうすればお前を五体満足のままショッカー本部に連れっててやる」
「ほざけ!」、
ゾル大佐の言葉に怒った了子さんがネフシュタンの鎧の鞭で攻撃する
「ふん。アルマジロング!」
その鞭をアッサリ弾いたゾル大佐は傍に居た怪人の名を呼ぶ。直後、岩のような怪人…アルマジロングが体を丸めた
「弾丸スクリューボール!!」
その丸めた体で了子さんに体当たりしようとする。了子さんが直前に鞭を使ってバリアを作る。これなら、
「無駄だ!」
怪人の声を共にバリアが粉砕される!それならばと了子さんが鞭を剣の様にして受け止めようとするが、
「ギーゴー、俺が居るのを忘れるな!」
何時の間にか、了子さんの背後を取っていた黒い怪人が巨大な左腕で了子さんを殴り飛ばす。殴り飛ばされた了子さんだけど空中で姿勢を制御して私達の前に降り立つ。口の端から血を流す了子さんを見て私は決心した
「了子さん、一緒に戦いましょう!」
「「「!?」」」
私の言葉に三人が驚いた顔をする。当然か
「おい、良いのかよ!?」
「立花!?」
「私と共闘するだと?」
「少なくともショッカーは私達の敵です。なら協力し合える筈です!」
三人が呆れたような顔をする。そして、ゾル大佐達はそんな私達を黙って見ていた
「なに!?また誰か現れた!?ただでさえややっこしいのに!」
「しかも、トカゲじゃない化け物が二体…」
「何なのよ、学院に変な塔は立つし見るからに軍人みたいな人が来て…顔が明らかに味方じゃなさそうなんだけど」
揺れが納まった後、落ち着きを取り戻した創世たちは未来と一緒にモニターで外の様子を見ていた。フィーネと名乗る女性が月を破壊するだの先史文明がどうのと聞いていた弓美たちだが、二体の怪人を連れたゾル大佐の出現に困惑する。
「…奴の名はゾル大佐。我々がショッカーの首領格と睨んでいる人物だ」
弦十郎が淡々と説明する。その言葉を聞いてキョトンとする詩織たち。
「あいつがボス格なの!」
「つまり、あの男を倒すか捕まえればショッカーは壊滅する?そうでなくても機能不全に陥るかも!」
「立花さん、翼さん、負けないでください」
弦十郎たちは地下で戦いを見守る事しか出来なかった。
「…しょうがねえ、フィーネと組んでやるよ」
「そうだな、櫻井女史との決着はショッカーを倒した後にでも出来る」
「お前達…」
私の説得に翼さんとクリスちゃんが折れて了子さんと一緒に戦う事を納得してくれた。クリスちゃんが了子さんの方をチラチラ見て困惑する了子さんだったけど私の顔を見て溜息をついた。なんで?
「仕方ない、今回だけだ」
了子さんも私達と一緒に戦ってくれる
「話し合いは終わったのか?わざわざ待ってやったんだ。ありがたく思え。貴様らを片付けた後はカ・ディンギルの接収とシェルターに逃げ込んだ生徒どもを捕らえねばならんのでな」
「そんな事、こっちは頼んでいない!」
「生徒たちを捕らえてどうするつもりだ!?」
「無論、改造人間の材料にしてやるだけよ!」
翼さんの質問に答えるゾル大佐。皆を改造人間に!?
「なんでさ!?」
「理由は貴様が知っているのだろ?フィーネ。話してやったらどうだ?」
「…了子さんが…」
ゾル大佐の言葉に私達は了子さんの顔を見る。了子さんが汗をかき顔を見せている。知ってるんだ了子さんは、
「…リディアンに通う生徒は、シンフォギアの適合が見込まれた装者候補たちだ。聖遺物に関する歌や音楽のデータを生徒を被験者にする事で集めてた…」
「な…なんだと?」
!リディアンが!?
「よく考えれば分かる事だ。財政界の寄付金があるとはいえ、あそこまで学費を安くして生徒を集め音楽を中心に学ばせる。そして特起部二の本部がなぜ学院の地下なのか。特異災害の本部のデータから、これを見つけた時は笑ったもんだ。国も絡んでるとはいえ此処まで堂々とやっていたからな。だが、勝利者はショッカーだけで十分だ!全ての生徒もデータもショッカーが頂く」
じゃあ、未来もシンフォギアを纏う可能性が…駄目だ未来を巻き込むのは駄目だ!
「そんな事、許さない!」
「数はこっちの方が有利なんだ!怪人が二体なら十分倒せる!」
ゾル大佐の言葉に私とクリスちゃんがそう返し翼さんも剣を向ける。確かに私達と了子さんなら怪人に二体くらい…
「ふん、数の利を押すか。丁度いい、お前達の為に用意していたものがある」
そう言い終えるとゾル大佐は手を上に向け指を鳴らした。一体何を…ウオオオオオオオオオオ…!
「な、何だこの声は!?」
イッヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ
「まだ別の奴が潜んでのか!?」
ギーーーーーーーーーーーーーーーーー
周りから不気味に聞こえる声に私達はお互いにカバー出来るよう背中を預け合う。その間にも不気味な声が増えていく
シュシュシュシュシュシュ
ヴヴヴヴヴヴヴヴヴ
フワフワフワ
そして、学校の残骸からそいつ等が姿を現す。あれは!
「嘘だろ、おい!」
「馬鹿な!?」
クリスちゃんも翼さんも驚愕の表情をしている。了子さんも汗を搔いている。正直私も…現れたのは間違いなく
「地獄サンダー!」「キノコモルグ!」「ガマギラー!」「蜘蛛男!」「カメレオン!」「エジプタス!」「エイキング!」「トリカブト!」「蝙蝠男!」「ザンブロンゾ!」「ドクダリアン!」「ムカデラス!」「クラゲダール!」「ムササビードル!」「ヒトデンジャー!」「モグラング!」「サボテグロン!」「ピラザウルス!」「さそり男!」「カニバブラー!」「ドクガンダー!」「サラセニア!」「蜂女!」「アマゾニア!」「コブラ男!」「かまきり男!」「ヤモゲラス!」「ゲバコンドル!」
それぞれの怪人が名乗り上げる。間違いない私達が倒してきた筈の怪人たちだ!!
「一体どうなってるんだ。アタシが倒した怪人が何で此処に!?」
クリスちゃんの声に私も翼さんも頷く。確かに私達が倒した筈なのに
「フフフ…ハハハハハハハハハハ!愚か者どもめ、改造人間は死なん!破損した部分を造り換えれば何度でも蘇るのだ!!どうだ、立花響!お前の兄妹たちだ!さあ、これだけの怪人軍団を相手に出来るか!?」
「私に…兄弟は…いない!」
ゾル大佐の言葉に反論するけど皆は茫然とする。改造人間は死なない…それって、私達に勝ち目はない?
「何か一杯増えたんだけど!?」
「数が多すぎる!」
「小日向さん、勝てますよね!?立花さんたち負けませんよね!?…小日向さん?」
弦十郎たちもモニターで怪人軍団が現れたのを目撃した。数が一気に増えた怪人達に不安を感じた詩織が未来に同意を求めるが、未来の様子がどうにもおかしい事に気付く。良く見ると弦十郎たちの特異災害の職員たちも信じられない物を見たような反応をする。
「嘘…うそ…」
「し…信じられない…」
「ど…どうしたの?」
事情の知らない弓美が未来に聞く。暫く口を閉じていた未来は重い口をゆっくり動かす。
「一部知らない怪人もいるけど、この怪人達は一度、響達に倒されてる。…爆発して死んでるの」
「死んでるって、まさか幽霊!?」
「いや、ショッカーの事だから何かある筈だ」
弦十郎が落ち着かせるよう言ったが、直後にゾル大佐が「改造人間は死なん!」の発言を聞いた。
「直せば復活するだと!?さしずめ再生怪人と言えばいいのか?」
「…もう終わりだよ、私達…」
モニターに映ったゾル大佐の言葉に弓美が呟く。その言葉に皆が一斉に弓美に視線を向ける。
「学院も滅茶苦茶になって、あんなに化け物が…勝てる訳ない…。あの男が言った通り私達も改造人間にされちゃう…」
「まだ終わりじゃない!響達だって私達を守る為に頑張っているんだよ!」
「そうだよ、私達も装者候補だって言ってたし戦えるかも…」
「頑張ってどうにかなるの!?あの数を見てよ!」
未来の言葉も弓美の叫びにモニターを見る。映像は響達が怪人達に囲まれていた。
「あれだけの数に勝てる訳ない!仮に勝てても怪人は何度も復活するんでしょ?倒しようがないよ。こんな事ならリディアンになんか通わなければ良かった…」
ゾル大佐の言葉が正しければ怪人を倒しても復活する。復活し続ける敵を倒す事なんて出来ないと弓美は考えた。
「…案外そうではないのかも知れない」
「え?」
しかし、少し考え事をしていた弦十郎の呟きに弓美や未来が振り向きモニターに目を移す。
「敵の言葉を鵜呑みにするな!」
翼さんもクリスちゃんも私も茫然とする中、了子さんの檄が私達を正気に戻す
「しかし、櫻井女史。怪人達が死なないなら私達の攻撃なんて…」
「馬鹿が!そんな直ぐに復活する訳が無い。直ぐに復活できるんだったら何故直ぐにお前達に差し向けなかった!?」
「「「!?」」」
了子さんの言葉に私達はハッとする。そうだ、直ぐに蘇るんだったら何で今まで出てこなかったんだろう。答えは…直ぐには蘇らない!
「直ぐには蘇らない…」
「…少なくとも復活には時間が掛かるってことか」
翼さんもクリスちゃんも私と同じ結論にいったみたい
「…気付いたか、だが分かったところでこれだけの数を相手に出来るか?アルマジロング!アリガバリ!」
ゾル大佐の二体の怪人の名を呼び屋上から移動し私達の前に現れる。そして怪人達が一斉に吠える…不気味な事この上ない。私や翼さんにクリスちゃんが構える
「待て、ゾル大佐!一つ聞かせろ!」
そんな中、了子さんがゾル大佐に話しかける。今にも飛び掛かりそうだった怪人達が止まった?
「どうした?くだらん時間稼ぎなら付き合う気はないぞ」
「私が聞きたい事は一つだ。何故、この怪人達からもガングニールの反応がする?仮にライブ会場で破片を回収できてもこんなには無い筈だ!」
ガングニール?怪人達から反応?どういうこと?
「気付いていたか。そうだな…貴様たち装者への地獄の土産に教えてやる」
そう言うとゾル大佐は懐から一枚の紙を取り出す。どうやら写真のようだ。それを屋上から了子さん向けて投げ渡す。写真を受け取った了子さんが見た瞬間、了子さんが顔を引き攣らせゾル大佐を睨みつける
「ゾル大佐!貴様…!」
「何故貴様が怒る?お前にとって立花響なぞどうでもよかろうに。それとも同情か?」
私!?その写真、私に関係あるの!?
「了子さん、私にもその写真を見せて下さい」
「…止めとけ、ハッキリ言って胸糞が悪くなる」
私のお願いに了子さんは顔をしかめて断られる。胸糞が悪い?ショッカーの事だ、覚悟は出来ている
「お願いです、了子さん。その写真を見せて下さい!多分、私は見なきゃいけないと思います」
「櫻井女史、私からもお願いします」
「アタシからも頼む」
翼さんもクリスちゃんも私に加勢してくれる。お願いです了子さん
「…後悔するなよ」
了子さんが写真を渡してくれた。その写真を受け取り写ってる物を見る。翼さんとクリスちゃんも横から見た
「「「!?」」」
私だ!写真にはガラスのカプセルに入れられ液体に浮ぶ裸の私が写って居る。でもおかしい、それは一つではない
「これは一体…」
「…恐らく、クローン人間だ」
翼さんの呟きに了子さんが答える。クローン人間?よくSF映画に出る…でも何の為に…
「ショッカーが立花響の体を調べた時、面白い事が分かったと言っただろ?それである計画が立案されたのだ」
計画!?前に師匠が言っていた…
「響計画…」
私の呟きにゾル大佐はニヤリと笑う
「知っていたか、大方アジトで処理された書類でも見たのだろう」
「その計画は立花響を改造人間にするものではなかったのか!?」
「それはあくまでもオマケだ。本命はこの響計画にある」
了子さんの言葉にゾル大佐は言い切る。それだけ力を入れていた?
「さっきから何なんだよ響計画って!?」
ゾル大佐の態度に苛立ったクリスちゃんが大声をだす。でもそれも見てもゾル大佐は態度を変えなかった
「慌てるな、小娘。その面白い事と言うのは立花響の血液中に通常ではあり得ない物質が検出された」
「ありえない物質?」
「!まさか…」
「そう、ガングニールだ」
「「「「!?」」」」
ガングニールが私の血から検出された!?なんで!?
「馬鹿な、私が調べた時はそんな物出なかったぞ!」
「貴様らの
「聖遺物を量産!?」
「無茶苦茶だ!」
「そんな事、出来る訳がない!?」
了子さん達がゾル大佐の発言に反発する。確かに聖遺物を量産するなんて滅茶苦茶だ
「ショッカーの科学力を舐めるな。…っと言いたいが出来上がったクローンはどれもオリジナルに比べ聖遺物の反応は脆弱、これではノイズへの対抗にもならんかったのは事実だ。だから、計画の一部を変更した」
「変更だと」
「弱いのなら強化すればいい。クローンで作り出した立花響を材料にして加工する事にした」
「加工?」
「何十、何百という立花響を生きたまま刻みバラバラにし溶かし圧縮してやっと完成した。それが『ショッカー・ガングニール』だ!これが、響計画…またの名を『ガングニール量産計画』の真意よ!」
フハハハハハ…ワッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!
ゾル大佐は本当に素晴らしい物を作ったように自慢する。同調した怪人達も笑い出す
「…狂ってやがる!」
「人の命をなんだと思っている!?」
その反応に翼さんやクリスちゃんが怒る。それが私には嬉しくて…そして悲しい
「魂も無い人形に命など笑わせる。もういいだろう、かかれぇーー!!」
ゾル大佐の声に控えていた怪人達が一斉に襲い掛かってきた。私達はショッカーに勝てるの?
「…如何いう事?どうしてあの写真にたくさんの響が写ったの?」
未来たちもモニターで偶然、写真の内容が見え弓美や創世が混乱する。
「小日向さんなら何か知ってますか!?」
「………」
詩織の質問に未来は押し黙る。響に断りもせず伝える事に罪悪感を感じて黙るしかなかった。
「何で黙ってるのよ!?まさか響もあいつ等の元仲間なの!?」
「!ちがっ」
未来のおかしな態度に弓美が響は元ショッカーだったのではないかと言う。即座に否定したかった未来だが、否定した後どう説明すればいいか分からなかった。
「それは違う」
だから、未来の代わりに弦十郎が話す。一年半程前に起きた立花響を襲った悲劇を。後で響に恨まれるかも知れない、しかしこのまま友達に悲しい勘違いをさせるべきではないと弦十郎は判断していた。
弦十郎の話を聞く三人は当初は疑いの目をしていたが、話が進む連れて三人の目から涙が溢れていた。
「ビッキーがそんな目に…酷いよ!」
「拉致されて無理矢理改造人間に…立花さん!」
「…何よ、アニメでもこんな酷いストーリーなんて無いわよ!ショッカーの馬鹿ーーーー!!」
「響のお父さんがそんな最後を…」
弦十郎から語られる内容は未来としても初耳だった。響のお父さんが死んだ事は知っている。でもそれが
部屋に暫く少女たちの泣き声が響く。そして、モニターには怪人達が一斉に響達へと向かったところだった。
フィーネ、まさかの響たちと共闘。…尚、カ・ディンギルは動き続けてる模様。
仮面ライダーで当たり前の再生怪人軍団が出現。響達に再生怪人達が名乗り上げるところが、この作品で一番やりたかったネタです。
後は、今回出てきた設定など改めて。
『響計画』
またの名を『ガングニール量産計画』。ショッカーが拉致した立花響の体を調べ、血液中に未知の物質を確認。以前から観測されていた天羽奏のガングニールの反応と一致してショッカーは響作戦を立案。内容は立花響を改造人間にして取り出した臓器や肉体、血液からクローンを作り出しガングニールを量産しようと目論んだ。しかし、出来上がったクローンは確かにガングニールの反応はしたが、オリジナルの響に比べ遥かに低く対ノイズとしても使い物にならないと判断される。
そこで、ショッカーは計画の軌道修正を行う。ガングニールの濃度を上げる為、立花響のクローンを文字通り加工して「ショッカー・ガングニール」の作製に成功した。
『ショッカー・ガングニール』
ショッカーが作り上げた聖遺物モドキ。数多くの立花響のクローンを磨り潰して完成させた。これだけしてもオリジナルの響のガングニールを遥かに下回るがノイズへの対抗には十分と判断されている。大きさは卓球のピン球程度しかない。更にこの状態で生命反応もある。
尚、外気に触れたままでは消滅してしまう為製造されたら怪人か戦闘員、拉致した人間の体内にしまわれる。
これがショッカーが響を改造人間に本当の理由です。