改造人間 立花響のシンフォギア   作:一種の信者

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某サイトで「シンフォギアXD」が「ひぐらしのなく頃に」とコラボするらしいです。
この調子で「超ヒロイン戦記」の続編出ないかな。

後、仮面ライダーコラボとかも無いかな?
敵はショッカー辺りで響達の反応とか見てみたい。


29話 暴走とカ・ディンギル攻防戦

 

 

 

 立花響の戦闘データは大いに役立った。聖遺物の兵器転用、改造人間に聖遺物の投与を含め、シンフォギア装者との戦闘はじつに実りがあった。怪人達の戦闘力も想定以上に伸び、特異災害は中々便利だ。だが、そろそろ消えて貰おうと考えたが、立花響のデータで気になるものがある。蜘蛛男への最後の攻撃が想定されていた数値を上回っていた。報告では、夜とはいえ立花響の顔はどす黒く変色していたそうだ。あの小娘の感情データから見てキレた可能性が高い

 

「目論見通りと言ったとこか」

 

俺の目の前に完全に黒く染まった立花響が咆哮を上げている。まるで獣のようだ、こんなんで更なる戦闘データが取れるのか?

 

 

 

 

 

 

「立花!?一体…」

「…融合したガングニールの欠片が暴走している」

「ガングニールが!」

 

響の突然の代わり様に焦る翼。フィーネが響に何が起こったのか話す。

フィーネは言葉を続ける。

 

響の感情が高ぶり、それが心臓にあるガングニールの欠片が反応し制御しきれない力が響を襲っている。このままではガングニールに意識が塗り固められ最後には…

 

「どうやら、私が想定していた以上に心臓とガングニールの欠片が融合しているようだ」

「そんな、止める手立ては!?」

「…そんなものはない。融合症例は立花響が初めてなんだ」

 

フィーネにも打つ手がない。その事を聞かされ翼は愕然とした。

 

「面白い、その状態でどのくらい戦えるのか見せて貰おうか!」

 

ゾル大佐の声に怪人達が響を囲む。もはや翼やフィーネを無視してる。

 

「!」

「迂闊に動くな、今の立花響に敵味方の判断が出来るとは思えん」

 

翼が動くのを止めるフィーネ。すると雄叫びを上げた響が怪人達に飛び掛かる。

 

「はああああああああああああ!!」

 

「は。早い!ぎゃああああああああああ!!」

 

ヤモゲラスが響に切り裂かれ爆発する。それを見ていたサボテグロンが響にサボテン棒を振り下ろす。

 

「死ねぇ!…!」

 

しかし、響はサボテン棒を受け止め握り潰し爪でサボテグロンを切り裂き返り討ちにする。

 

「…強い…だが…」

「…ああ」

 

「まるで動物だな、これでは期待外れもいいとこだ」

 

今の響は強いと言えば強い。しかし、それはゾル大佐の想定していた強さではなくガッカリしていた。

 

━━━この程度なら、最早利用価値も無いか

「総員、落ち着け相手はただの獣だ!」

 

早々に見切りをつけたゾル大佐の指示に怪人達も対応する。そんな中、響の赤い目がゾル大佐を捉える。咆哮を上げ飛び上がると、そのままゾル大佐に飛び掛かった。辺りに砂ぼこりと衝撃で出来た突風が吹き荒れる。

 

「やったのか!?」

「…いや!」

 

フィーネが響がゾル大佐を仕留めたのかと期待したが翼が否定する。土煙が晴れると其処には響の腕を掴む無傷のゾル大佐が要る。ゾル大佐は響の攻撃をアッサリと掴んでいたのだ。

 

「力もスピードもある程度上がってはいる。だがそれだけだ、本能のままに暴れる事なぞ誰だって出来る。立花響、最早貴様に価値はない!」

 

ゾル大佐の手にする鞭で響を殴りつける。怯んだ響はゾル大佐に更に追撃され地面に落とされるが即座に立ち上がる。しかし、響の呼吸が明らかに乱れ疲労が隠せなくなる。

 

「もう止せ、立花!これ以上は聖遺物との融合を促進させるばかりだ!戻れなくなるぞ!」

 

翼の言葉に響が振り向く。その目は未だに赤く光っていた。そして、翼をターゲットにした響が飛び掛かる。翼が咄嗟に肘打ちでぶっ飛ばすが態勢を立て直し再び翼へと飛び掛かる。

 

「内輪揉めか、面白い。お前達、手を出すな!このまま潰し合わせろ!…アリガバリ!」

「此処に」

「俺は暫く此処を離れる。指揮は貴様に任せるぞ」

「それは構いませんがどちらに?」

「カ・ディンギルに、な。あれ程のエネルギーは恐らく…」

 

翼を襲う響にゾル大佐は怪人達に手を出すなの指示を出す。怪人達の見物する中、響が翼を襲い続ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

モニターで見守っていた弦十郎や未来たちも響の突然の代わり様に驚く。

 

「どうしちゃったの響!元に戻って!」

 

未来の声が部屋に空しく木霊する。しかし、モニターには黒くなった響が構わず翼を攻撃し続ける。

 

「…やっぱり無理だったんだよ」

 

弓美が再び弱音を吐き涙を流す。皆が一斉に弓美の方を見て言葉を続ける。

 

「怪人もまだ一杯いるし、響もおかしくなって…」

「…無理じゃない、響も翼さんも頑張って…」

「怪人を放置して翼さんと戦う事が頑張っているの!?」

 

モニターから響が獣のように唸り、響と翼を見物する怪人達が映る。明らかに怪人達は響達の同士討ちを楽しんでいた。

 

「立花さん…」

「ビッキー…」

 

創世と詩織が響の名を呟く。そんな中、未来だけは真っ直ぐ響を見続ける。

 

「私は響を信じる。きっと正気に戻ってショッカーに勝つって」

 

断言する未来だが顔には僅かばかりの汗が流れる。

 

「…私だって響を信じたいよ、この状況をどうにかしてくれるって信じたい。…でも…でも…怪人がまだあんなに残ってるのに!もう嫌だよ、誰か助けてよ!ショッカーが怖いよ、改造人間になりたくないよ!!」

「板場さん」

 

弓美の泣き叫ぶ声が室内に木霊する。弦十郎たちも黙って見てるしか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

土煙が上がり煙の中から翼が飛び出る。肩の付近にあったシンフォギアの装甲が砕け散る。

 

「ハア、ハア、ハア…」

 

翼の息が上がる。響との戦いで疲労が蓄積していた。

 

「だいぶ息も上がって来たね。後何分持つかしら?」

「愚かな女だ、あの動きなら獣になった娘など切り捨てる事も容易いだろうに」

「仲間は切りたくないって奴だろ。人間らしい愚かさよ」

 

そんな、翼を見て怪人達が口々に勝手な事を言う。確かに力量から見れば翼が響を倒す事は出来るだろう。

 

「風鳴翼、もう無理だ。立花響を倒さねばお前は…」

「…私の剣は仲間を傷つけるものではない。必ず助ける」

 

フィーネの言葉もよそに翼は響を助けようとしていた。だが、次の瞬間カ・ディンギルが再び輝き出す。チャージに入ったのだ。

 

「カ・ディンギルが!?櫻井女史!」

「カ・ディンギルは最強最大の兵器として造った。必要がある限り何発でも撃ち放てる。その為に炉心に不滅の刃、デュランダルを取り付けてしまった」

「止める方法は!?」

「ない。月を破壊するまで撃ち込むようプログラムしているんだ。何より此処からでは操作も出来ない」

 

フィーネとしては月さえ破壊できれば後はどうにでも出来る筈だった。人類が一時的に混乱しようが聖遺物を持っている自分なら言葉が一つになった人類を纏める事が出来る。

最大の誤算はカ・ディンギルの情報がショッカーに漏れていた事だった。

 

「なら、私がカ・ディンギルを破壊する!」

「そんな事、私が許すとでも…」

 

そう言うと、翼は剣をカ・ディンギルへと向けフィーネはネフシュタンの鎧の鞭を翼に向ける。しかし、カ・ディンギルと翼の間に居た響が立ちあがり翼を睨みつける。

 

「立花…」

 

獣の咆哮を上げる響を見て何かを決意する翼。そして、響が翼へと襲い掛かるが翼は手に持っていた剣を地面に突き刺し無防備な姿をする。

 

「な!?馬鹿者!」

 

フィーネの叫びと共に響の手が翼の胸へと迫る。直後に鮮血と何かの破片が宙へと舞う。

 

「やったか!?」

 

シンフォギア装者が死んだかと歓喜した怪人達だが、紫色の鞭が響の体を縛り付けていた。

 

「櫻井女史!?」

「本当に馬鹿者だお前は!!私が押さえなければ立花響の腕はお前の胸を貫通していたのだぞ!!」

 

寸前でフィーネはネフシュタンの鎧の鞭を響に巻き付け威力を殺していた。もし、フィーネが手を出さなければ響は改造人間の力を暴走状態で繰り出し、翼は即死していただろう。

 

「感謝します!」

 

フィーネに感謝の言葉を言い終えると共に翼は響を抱きしめた。驚くフィーネと何をしてるのか分からない怪人達。

 

「お前の手はこんな事に使うものじゃないだろ」

 

優しく諭すように言い血に塗れた響の手を握る。すると翼は小刀を響の影に差す、響に影縫いを使い動けなくした。

 

「立花、奏から継いだ力をそんな風に使うな。これではお前は本物の怪人になってしまう」

 

その言葉に響の目から涙が出る。そして、ゆっくりと歩く翼は怪人達に剣を向ける。

 

(Ya-Haiya-セツナヒビク Ya-Haiya-ムジョウヘ)

(Ya-Haiya-Haiya-Haiya-ie チカラヨカエラン)

(Ya-Haiya-Haiya-Haiya-ie アメノハバキリYae-)

 

「待たせたな」

 

「チッ、最後まで役に立たない奴だ!」

「あれだけ押しといて止められるか」

「役立たずは所詮役立たずだって事だ!」

 

怪人達が口々に響に対して罵倒する。同士討ちとしてはソコソコ楽しめたがこんな終わり方は怪人達は望んでいない。そんな罵倒を無視する翼。

 

颯(はやて)を射る如き刃 麗しきは千の花

宵に煌めいた残月 哀しみよ浄土に還りなさい…永久(とわ)に

 

「其処を退け!私はカ・ディンギルを破壊する」

 

「ほざけ、死にぞこない!」

「あれは我等ショッカーの物よ!」

「折れかけの剣如きに何が出来る!?」

 

「今日日折れて死んでも、明日に人として歌う為に風鳴翼が歌うのは戦場(いくさば)ばかりでないと知れ!怪人ども!」

 

「ならば此処で死ねぇ!」

「走れ、イナズマ!」

 

ガマギラーの鎖鎌とエイキングの稲妻が翼に向かう。

 

慟哭に吠え立つ修羅 いっそ徒然と雫を拭って

思い出も誇りも 一振りの雷鳴へと

 

翼はこれをジャンプして躱す。そして、脚部のブレードを広げ怪人達が密集している場所に逆立ち状態で着地する。

 

「なに!?」

 

逆羅刹

 

そのまま回転し、死神カメレオンとコブラ男が切り裂かれる。ヒトデンジャーが弾き、翼は態勢を戻す。同時に切り裂かれた死神カメレオンとコブラ男が爆発した。

 

去りなさい!無想に猛る炎

神楽の風に 滅し散華(さんげ)せよ

闇を裂け 酔狂のいろは唄よ 凛と愛を翳して

 

そして、翼は剣を大型にし怪人達に向けて振りぬき青い斬撃を飛ばす。

 

蒼ノ一閃

 

「させるか!?」

 

ヒトデンジャーとモグラングが斬撃を受け止める。耐久力もあった怪人達と接触した斬撃が爆発し消滅する。それでも、ヒトデンジャーとモグラングに少ないながらもダメージを与えた。

そして、斬撃の爆発した煙が消えると風鳴翼の姿が何処にも見えない。

 

いざ往かん…心に満ちた決意 真なる勇気胸に問いて

嗚呼絆に すべてを賭した閃光の剣よ

 

「あの女は何処に!?」

「…!上だ!」

 

蜂女の言葉に怪人達が一斉に上を見る。其処には、丁度剣を投げつけ巨大化させその剣の柄を蹴り足のバーニアで加速させる。

 

天ノ逆鱗

 

「小癪な真似を!弾丸スクリューボール!!」

 

アルマジロングが体を丸め翼の天ノ逆鱗に突撃する。弾丸スクリューボールと天ノ逆鱗が激突する。激しい火花が散る中、翼の天ノ逆鱗が停止する。チャンスとばかりにアマゾニアとドクガンダーが翼に射程を向ける。

 

四の五の言わずに 否、世の飛沫と果てよ

 

「ま…負けん、お前達に負けてたまるか!!」

 

翼の脚部のバーニアの出力が上がる。そして、アルマジロングの弾丸スクリューボールが弾かれ地面へと迫る。逃げ損ねたカニバブラーとエジプタスが巨大化した剣の下敷きとなり爆発した。

 

「わがよ誰(たれ)ぞ常ならむ」と 全霊にていざ葬(ほふ)る

迷いを断ち切る術など 覚悟を牙へと変えるしか…知らない

 

そして、翼は巨大化した剣からジャンプし両手の剣と足先から炎を出しカ・ディンギルへと飛ぶ。

 

炎鳥極翔斬

 

「あの女、俺たち無視してカ・ディンギルを破壊するつもりだ!空を飛べる奴は追えぇ!」

 

アリガバリの言葉にエイキング、蝙蝠男、ムササビードル、ドクガンダー、蜂女、ゲバコンドルが即座に翼を追う。

そんな翼をフィーネは黙って見ていた。

 

 

 

 

「…何故だ、何故私は風鳴翼を攻撃しなかった?」

 

自分の掌を見て呟くフィーネ。長い時間をかけ、念願だった人類を一つにする。それがやっと叶う…その筈だった。カ・ディンギルを破壊すると言う風鳴翼を許す事など出来ない。それなのに、

 

運命(さだめ)の悲劇の過去を 強く…強くなればいつか斬れると

何故か…何故か…何故か? 涙など要らぬのに

 

「…まさか私はあいつ等を仲間だと思ってしまったのか?…ありえない。…それに今更過ぎる…!」

 

翼が飛んでいる所で爆発が起きた。フィーネが翼に視線を向けるとドクガンダーのロケット弾が翼へと直撃し再び爆発が起り飛行できる怪人が殺到する。

 

 

 

 

 

 

「私では…無理なのか…」

 

ドクガンダーのロケット弾が直撃した翼は一瞬意識を失いかける。その瞬間、翼は懐かしい気配を感じた。嘗てのパートナーで相棒だった天羽奏が翼を励ます。夢か幻か…それとも化けて出たのかは分からない。それでも翼には十分有難い激励だった。意識を戻した翼が目にしたのは、ゲバコンドルが自分に止めを刺そうとしていた所だった。

 

「死ねぇーーーーー!!」

 

今から、防御や回避は間に合わない。一撃を覚悟した翼だが悲鳴を上げたのはゲバコンドルだった。

 

「グアア!?」

 

「これはネフシュタンの鎧の鞭!」

 

紫色の鞭がゲバコンドルの体を貫いていた。出所を見ると自分でも驚いた顔をしたフィーネが鞭を握っていた。

 

「感謝します。櫻井女史!」

 

翼が再び両手の剣から炎を出す。そして、再びカ・ディンギルへと突撃する。

 

「止めろ!止めるんだ!」

「さっきより早い!」

「俺でも追い付けないだと!?」

 

怪人達が翼を止めようと攻撃するがその悉くが翼に当たらない。それでも必死に追う怪人達だったが、

 

「立花!!」

 

翼の叫びに響は涙を流し続け遂に翼はカ・ディンギルへと到達した。一瞬光ると同時にカ・ディンギルもあらぬ場所から光が漏れ出し爆発を起こす。

 

「しまった!!」

「ぎゃああああああ!!」

 

翼を追っていた怪人達は爆発するエネルギーをまともに受けて消滅。地上にいた者たちも次々と光に飲み込まれた。カ・ディンギルは破壊された。辺りはカ・ディンギルの爆発に包まれる。

 

「…カ・ディンギルが…」

 

一瞬悔しそうな顔をするフィーネ。そして、爆発が治まると響を止めていた小刀が霧のように消えてしまった。響の体が光るとシンフォギアの姿から制服の姿へと戻った。響は元に戻っていたが、

 

「あ…あ…翼さん…」

 

目元から涙が溢れ膝が地面へとつく。クリスも翼も失い響の心に絶望が訪れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、それは弦十郎たちも目撃していた。

 

「天羽々斬…信号途絶…」

 

オペレーターの朔也の報告に一同から嗚咽が漏れる。あおいは顔を手で覆い背中を向けて泣いていた。

 

「見事だったぞ、翼。カ・ディンギルを破壊してショッカーに奪われる最悪の未来は回避された。お前の歌は世界を守ったんだ。世界を守り切ったんだ!」

 

弦十郎たちにとってカ・ディンギルがショッカーに奪われていたら最悪だった。フィーネ以上に人の命を何とも思わないショッカーがカ・ディンギルという兵器を手に入れれば何をするか目に見えている。恐らくはカ・ディンギルを改造し世界中の主要都市を撃てるようにし、逆らう者たちを皆殺しにして世界を自分達の物にするだろう。それを防いだ翼は正に世界を守ったのだ。

 

「…分からないよ、どうして皆戦うの!?痛い思いをして怖い思いをして!死ぬために戦ってるの!?」

「分からないの!?」

 

弓美の言葉に未来は泣きながら弓美の肩に触る。

 

「分からないの?戦わないとショッカーが世界を支配してしまう。…そうなったら多分、地獄だよ」

「!」

 

未来の言葉に気付いたのか弓美は大きな声で泣いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「翼さん…クリスちゃん…」

「元に戻ったか、立花響」

 

地面に座り込み二人の名を呼ぶ響にフィーネが話しかける。響の首がフィーネの方向に向く。

 

「了子さん…」

「私をまだ、その名で呼ぶか。死んだ魚のような目をしおって!…まぁいい、正直如何でもよくなった」

 

フィーネの表情は悔しそうであり、残念そうであり、どこか吹っ切れたように見える。フィーネが響に横に移動する。

 

「少し、昔話につきあえ」

「…昔話?」

「もうずっと遠い昔、あの方に仕える巫女であった私は、何時しかあの方を…創造主を愛するようになっていた。だが、この胸の内を告げる事は出来なかった。その前に私から…人類から言葉が奪われた。バラルの呪詛によって唯一創造主と語れる統一言語が奪われたのだ。私は数千年に渡りたった一人、バラルの呪詛を解き放つ為、抗ってきた。何時の日か、統一言語にて胸の内の想いを届ける為に…」

「胸の想い?…だからって、こんな事を…翼さんも…クリスちゃんも…」

「…恋心も知らん小娘には分からんだろうな。今更だが二人には悪かったと思うが謝罪はしない。あと少しで私の願いが叶う筈だったんだ。それが風鳴翼とショッカーの所為で台無しだ」

 

口では悔しそうに言うが、やはりどこかスッキリしているように見えるフィーネ。

 

「…これから如何するつもりですか?」

「そうだな、このまま弦十郎たちから逃げて旅にでも出てみるか」

 

 

 

 

 

 

「いや、ショッカーの為に働いてもらう」

 

 

 

 

 

 

 

「「!?」」

 

後ろからの突然の声に二人が振り向こうとしたが。が、

 

「ウッ!?」

 

フィーネの後頭部が捕まれ振り向くことが出来なかった。だから、振り向いた響が相手の名を言う。

 

「ゾル大佐!!」

 

ゾル大佐が何時の間にか自分達の背後に居たのだ。響の声も無視してゾル大佐は言葉を続ける。

 

「フィーネ、貴様の頭脳ショッカーの為に使わせてもらう」

 

「ふざけるな!誰が…!?」

 

拒否しようとしたフィーネだが、頭に電流が流れると共に違和感に襲われた。

 

━━━何だ!?私の意識が…塗りつぶされて…いく………

 

口を開き目の焦点が合わないフィーネは地面へと力なく座り込む。

 

「了子さん!!ゾル大佐、了子さんに一体何を!?」

 

響の声にゾル大佐はフィーネの頭を掴んでいた掌を見せた。掌には小さな機械がある。

 

「?」

 

「強制洗脳装置よ。これでフィーネを洗脳した」

 

ゾル大佐は響に説明し出す。洗脳と聞いて響は苦虫を嚙み潰したような顔をする。

 

「本来なら、ムカデラスの催眠電波で操る手筈にしていたが…念のために用意したこれが役に立った。カ・ディンギルが破壊されたか、まぁ良いだろう。フィーネの頭脳があれば幾らでも作れる」

 

「今まで…何処に…」

 

「フフフ…これを取りに行っていた」

 

そう言って、ゾル大佐は片方の手に持っていた金色に輝く剣を見せた。

 

「!デュランダル!?」

 

それは紛れもなく完全聖遺物のデュランダルだった。響の驚く声にゾル大佐は笑い出す。

 

「フフフ…手に入れた…手に入れたぞ!ソロモンの杖!デュランダル!ネフシュタンの鎧!フィーネ!そして、後はお前の心臓だ!これでショッカーが世界を支配する日が近くなった!!」

 

「ギーゴー!」「ヒィーア!」「シュシュシュ!」

 

ゾル大佐の笑い声に瓦礫から怪人達が出て来る。かまきり男。アマゾニア。さそり男。モグラング。ヒトデンジャー。クラゲダール。ドクダリアン。ザンブロンゾ。トリカブト。ガマギラー。キノコモルグ。アリガバリ。アルマジロング。

13体の怪人まで現れた。

 

 

 

 

 




フィーネがまさかの洗脳。ショッカー大勝利か!?

ゾル大佐の最大の作戦。それは、完全聖遺物とフィーネの確保。カ・ディンギルは失敗したが、他は概ね成功。後は響の心臓とクリスを回収できるのか?
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