改造人間 立花響のシンフォギア   作:一種の信者

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32話 決戦!ゾル大佐、悪魔の正体

 

 

 

「俺の本当の姿、今を見せてやる!」

 

直後に、ゾル大佐は鞭を下に振ると白い煙が出て、ゾル大佐の体を包む。

 

 

「ワオオオオオーーーーーン!!」

 

其処には牙を生やし獣のような姿。まさに金色に輝く狼男の姿である。これがゾル大佐の正体だった。

 

 

 

 

 

 

「あれが、ゾル大佐の正体?」

「何よ、響達にやられまくっていた狼男なんて今更敵じゃないわよ!」

 

ゾル大佐が黄金の狼男になったのを見て、先の戦いで響達が倒した量産型の狼男と大して変わらないと高を括る弓美たち。尤も、弦十郎は嫌な予感がしていたが。

 

「もう貴様らを捕らえる気はない。全員皆殺しだ!」

 

「やれるもんならやってみやがれ!!」

 

ゾル大佐…黄金狼男の言葉にクリスが先制攻撃を叩き込もうとしトリガーを引こうとした瞬間、クリスの目の前に黄金狼男が居た。

 

「なっ!?」

「クリスちゃん!」

「避けろ、雪音!」

 

「遅いわ!」

 

翼や響が気付き避けろと言うがクリスが避けるより早く、黄金狼男の蹴りはクリスの腹部に減り込み、弦十郎たちの方に飛ばされる。

 

「このー!」

「やあー!」

 

翼と響が即座に黄金狼男に切りかかるが、翼の剣も響の拳も平然と受け止める黄金狼男の姿が。

 

「くッ!強い!?」

 

「俺を今までの雑魚と一緒にするな!」

 

即座に翼の剣を弾き頭を握った黄金狼男は瓦礫の方に投げ、響の前に指を伸ばすとそのままロケット弾を撃つ。ゼロ距離からロケット弾を喰らった響が吹き飛んでしまう。

 

「嘘、何なのあの強さ!」

「耐久力も攻撃力も完全にあの量産型を超えている」

 

弓美や弦十郎が黄金狼男の戦いを見て茫然と呟く。

 

「そんなの、当然だ」

 

縄で縛られたハリケーン・ジョーの呟きに弦十郎たちが視線を向ける。ハリケーン・ジョーはまるで独り言の様に呟いていく。

 

「量産型は元々、ゾル大佐の黄金狼男のデータから生み出された劣化した物だ。その際に命令を出来るように狂暴性も戦闘力も落とされた、な」

「弱点とか無いんですか!?」

「そんなの知れねえよ…」

 

詩織の質問にもハリケーン・ジョーはそう返した。弦十郎が見た限りハリケーン・ジョーが嘘を言ってるとも思えなかった。すると、黄金狼男の目がハリケーン・ジョーに向けられた。

 

「ん?ハリケーン・ジョー。その姿…貴様失敗してオメオメ生きていたか」

「うっ…」

 

黄金狼男の言葉にハリケーン・ジョーが申し訳なさそうな顔をする。

 

「貴様はもう少し使える奴かと思えば…俺が買いかぶっていたようだな。まあいい、貴様を使う事にしよう」

 

そう言い終えると、黄金狼男はダッシュしハリケーン・ジョーを掴んで弦十郎たちから距離を取った。

 

「しまった!」

 

あまりのスピードに反応も出来なかった弦十郎。

 

「俺の体内のウルフビールスを貴様に流してやろう。量産型じゃなく実験用の狼男になるが戦力になるからな」

「わ…分かりましたゾル大佐…」

「恐れる必要はない。死んでもあの世で仲間に会えるぞ」

「!?俺の仲間はみんな解放したんじゃ!?」

「奴等はウルフビールスのいい実験材料になった。その事だけは感謝してやろう」

「騙してたのか…ずっと俺を騙していたのか!?ゾル大佐!」

 

ハリケーン・ジョーの叫びに黄金狼男は無視し牙を体に突き立てる。即座に苦しむハリケーン・ジョーに最早、視線すら向ける事のない。

 

「貴様は弦十郎たちを始末しろ」

 

そう言うと、黄金狼男は立ち上がりだした響達へと向かう。そして、入れ替わりに弦十郎と緒川がハリケーン・ジョーを介抱しようと近づいた。

 

「しっかりするんだ、ハリケーン・ジョー!」

 

「ワォーン!!」

 

弦十郎達が近づいた時には遅かった。ハリケーン・ジョーの体は青い狼男となり弦十郎たちを襲いだした。

 

 

 

 

 

「フフフ…待たせたか?」

 

「ゾル大佐、あの男はお前の仲間…部下じゃなかったのか!?」

 

黄金狼男が立ち上がった響達の前に来る。フラつきつつも翼がハリケーン・ジョーにやった行為を罵る。響もクリスも口では言わないが同意見のようだ。しかし、黄金狼男にとってはどこ吹く風。

 

「それが如何した?敗北した時点で奴の利用価値など最早無くなった。利用価値の無い者には死を。それがショッカーの掟だ!」

 

「本当にろくな組織じゃねえ!」

 

黄金狼男の言葉にクリスはほとほとショッカーに呆れかえる。それと同時に放置も出来ないと確信する。翼と響が再び黄金狼男に攻撃するが、またもや黄金狼男がその攻撃を防ぎ翼の剣と響の拳を握る。

 

「どうした!?馬鹿の一つ覚えみたいに攻撃を繰り出すか。そんな攻撃をしたとこで無駄だという事がまだ分からんか!」

 

「勘違い」

「するな!」

「本命はこっちだ!」

 

そんな、黄金狼男の発言に一瞬だけ笑みを浮かべた翼と響の発言にクリスがそう言い切る。見れば巨大なミサイルを此方に向け発射した。響と翼が素早く離れ、ミサイルが黄金狼男に迫る。

 

「こんなものが!」

 

避けるのが間に合わないと判断した黄金狼男は防御より拳をミサイルに叩き潰し大爆発を起こす。

 

「よっしゃ!」

「これなら…」

 

爆発炎上する光景に翼たちは黄金狼男を倒したかに思もえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、狼男になったハリケーン・ジョーの相手をしていた弦十郎たちも必死に説得していた。

 

「しっかりしろ、ハリケーン・ジョー!人間としてのお前を思い出せ!」

 

「ワオォーーーン!」

 

しかし、弦十郎の説得もハリケーン・ジョーには届かず獣のような咆哮を上げるだけだった。現状、狼男となったハリケーン・ジョーの手を取ってプロレスのロックアップの状態で拘束している。

 

「指令、もう無理です!人間としての意識が…」

「…やるしかないのか」

 

ハリケーン・ジョーはもう人間には戻れない。短い間だったが共に働き同じ釜の飯を食った間がらだ。何より弦十郎は非常にはなり切れない男でもあった。スパイだろうが仲間を手に掛けるのが気が引けていた。

 

「し…指令…」

 

「!?ハリケーン・ジョー、お前意識が!?」

 

しかし、其処で狼男の口からハリケーン・ジョーの声が漏れている。その事に一瞬喜ぶ弦十郎だが、

 

「指令…××の×…と○○の×…です」

「××?」

「其処が…俺の知る…ショッカーの…拠点です…本拠地かは…分かりませんけど…指令に…伝えておきます」

 

ハリケーン・ジョーは最後の最後に弦十郎達に自分の知ってるショッカーの拠点を伝える。一瞬、人間の目に戻った狼男も少しずつ獣の目に戻りつつあった。

 

「最後に…指令と…話せて…良かったです…ワオォーーーン!!」

 

目が完全に獣になった狼男は咆哮を上げ、弦十郎に嚙み付こうした。

 

「去らばだ、ハリケーン・ジョー。俺達は必ずショッカーを…ゾル大佐を倒して見せる!」

 

ハリケーン・ジョーの最後の言葉に弦十郎は打倒ショッカーを誓い、目の前の狼男に蹴りを放つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいおい…」

「無傷だと」

 

クリスと翼は驚愕し響も額に汗が流れた。炎の中から黄金狼男が平然と現れたからだ。

 

「言った筈だ、俺をそこらの雑魚怪人と一緒にするなと。そろそろ貴様らとの戦いも飽いたわ!」

 

そう言い終えると、ゆっくりとクリス達に向かう黄金狼男。クリスが黄金狼男に向けてレーザーや銃弾を放つ。しかし、命中はするが黄金狼男の足を止める事は出来なかった。

 

「これが、ショッカーの…ゾル大佐の本当の力だと言うのか!?」

 

翼の言葉が響やクリスに重くのしかかる。誰しもがゾル大佐に勝てるのか疑問に感じる程、絶望的と言えた。だからこそ、

 

「三人とも何をしている。胸の歌を信じろ!!」

 

フィーネの言葉に誰もが反応した。

 

「胸の…」

「歌…」

「…そうか」

 

響も翼もクリスもお互いの顔を見つめ合った後、目を閉じた。

 

 

ぎゅっとほら…怖くはない

わかったの…これが命

後悔は…したくはない

 

 

「この期に及んでまだ歌か?下らん!!」

 

黄金狼男は響達に向けて両指を向けロケット弾を発射する。幾つものロケット弾が命中し爆発が起こりその影響で幾つもの衝撃波が突風となる。

 

「響ーーー!!」

 

その光景に未来は絶叫を上げ、他の皆も心配する。

 

 

「歌と共に死ぬ「夢、ここから始まる…さあ世界に光を…」!?」

 

 

黄金狼男が歌のした上を見ると三人が飛び、そのまま歌っていた。

 

止めどなく 溢れてく この力

これが想い合うシンフォニー

 

翼の飛ぶ斬撃が、クリスのレーザーが、響の拳が、黄金狼男に命中する。さっきと違うのは黄金狼男に確実にダメージを与えてる事だ。

 

「チッ、多少のダメージを与えたからと言って舐めるな!」

 

黄金狼男は先ず遠距離主体のクリスを潰そうと爪を振りかざし近づくが、

 

「やらせんよ!」

 

弦十郎の蹴りがそれを阻止した。一瞬、茫然とする黄金狼男だがその目は怒りに染まっていた。

 

「貴様は!ハリケーン・ジョーめ、足止めも出来んとは何処までも役立たずだ!」

 

「スパイだったとは言え、仲間の仇取らせてもらうぞ。ゾル大佐!」

 

闇を裂き 輝くよ 聖なるフレイム

全身全霊 いざ往かん往かん ありのまま

すべてを放とう!

 

響の拳が、翼の剣が、クリスの銃に弦十郎の拳が黄金狼男の体に命中する。明らかに黄金狼男が苦戦しだす。

 

「おのれ…おのれ!たかだか人間如きが!!」

 

『へ、その人間にいいようにやられてる癖に』

『人間を侮り過ぎたな、ゾル大佐!』

 

届け!一人じゃない 紡ぎ合うそれがLOVI SONG

伝え!胸の鼓動 原初の音楽よ

 

黄金狼男の言葉に念話で反論する翼とクリス。聞こえていたのか弦十郎もそれに頷く。響の拳が黄金狼男の顎に入り、よろける。しかし、黄金狼男は視界の端にあるものを捉えた。

 

「調子に乗るな、人間どもが!」

 

距離を取った黄金狼男が手を向けて指先からロケット弾を撃ち出す。一瞬、身を固める翼たちだったがロケット弾は翼たちを素通りする。

 

「素通り?」

「ノーコンか!?」

「…!違う奴の狙いは小日向たちだ!」

 

翼の言葉に全員が後ろを振り返る。ロケット弾は確かに未来や弓美たちに向かっていた。未来たちの足では避けようとしても間に合わない。

 

「お前達が守ろうとしたものが破壊されるのを指を咥えて見るがいい!!」

 

「未来!!みんな!!」

 

黄金狼男の言葉に響が未来の名を叫ぶ。今から迎撃しようにも間に合わない。このままではロケット弾が未来たちに直撃するかと思われた。しかし次の瞬間、ロケット弾が全て撃ち落とされた。

 

「僕が未来さん達を守ります。皆さんはゾル大佐を!」

「緒川さん!」

 

銃と短剣を持った緒川が黄金狼男のロケット弾を全て撃ち落としたのだ。忌々しそうにそれを見た黄金狼男が歯ぎしりをする。

 

その後、響達の連携で確実に追い込まれていく黄金狼男だが、未だに響達が黄金狼男に決め手を与えられないでいる。

 

「最後は私が!」

 

響が両腕のギアを引き上げ黄金狼男に腰のブースターで突撃する。トカゲロンを倒した時の技を使う気であった。しかし、黄金狼男はそれを間一髪で避けた。

 

「簡単に当たると思うな!「いや、当たってもらう」なに?」

 

ジャンプして、弦十郎たちの背後に回ろうとした黄金狼男だったが、自分の足に紫色の鞭が絡まっているのを見つけた。フィーネが黄金狼男の行動を邪魔したのだ。思う通りにジャンプ出来なかった黄金狼男が着地し足に絡まるネフシュタンの鎧の鞭を引き千切る。

 

「こんなもの、俺の動きを一瞬だけ止めるのが精一杯だ!」

 

「その一瞬で十分だ。立花!」

 

「!?」

 

翼の言葉に黄金狼男の動きが止まる。自分の影を見ると其処には小太刀が刺さっていた。翼の影縫いだ。そして、翼の言葉通り、響が迫って来た。

 

「ゾル大佐、これで終わりだーーーー!!!」

 

「しまったーーー!!」

 

響の両腕が黄金狼男の胸に入る。そして、両方のギアが下がると共に黄金狼男の体に凄まじい衝撃がはしる。その衝撃に黄金狼男は吹き飛ばされ瓦礫に埋もれた。

 

「ハア…ハア…ハア…」

 

響が疲れたように息をする。いや、響だけではない。翼もクリスも弦十郎も皆疲れていた。皆が皆、全力を出し切った。そんな戦いだったのだ。

 

「立ち上がるな…立ち上がるな…」

「そこでくたばってろ…」

「お願い…もう立ち上がらないで…」

 

翼もクリスも響も正直限界に近い。もう一度、ゾル大佐との闘いなど考えたくもなかった。

 

しかし、黄金狼男が埋まった瓦礫が動き出すのを見て三人に緊張が走った。もう一戦覚悟したが出てきたのは人間体となっていたゾル大佐だった。

 

「グフッ、見事だ…」

 

口から血を吐くと同時に片膝を地面に付けたゾル大佐。最早、戦えるようには見えない。響達が勝利した皆がそう思う中、ゾル大佐は不敵に笑う。

 

「聞け、この戦いは俺の負けだ、それは認めよう。もう直ぐ俺も死ぬ。…だが一人では死なん、貴様らも道連れにしてやる!!」

 

「なにっ!?」

「へ、満身創痍で何が出来るんだ!」

 

翼や響、弦十郎が構えるがボロボロの状態のゾル大佐を見てクリスがそう言い放つ。それ程、ゾル大佐は満身創痍で立ち上がる事も出来ない程ダメージを負っていた。しかし、クリスの言葉にゾル大佐は笑みが崩れない。

 

「フフフ…嘘だと思うならフィーネの方を見てみるんだな!」

 

ゾル大佐の言葉に皆が一斉にフィーネに視線を向ける。そんな中、フィーネは月に向けてネフシュタンの鎧の鞭を伸ばしていた。

 

「フィーネ!?」

「了子さん!一体何を!?」

「私にも分からん!体が勝手に!?」

 

フィーネ自身も訳が分からなかった。ゾル大佐が「道連れ」と言った途端、体が勝手に動きネフシュタンの鎧の鞭を月へ投擲していた。そして、慌てる響達にゾル大佐が勝ち誇った声を出す。

 

「洗脳が溶けたと思ったか、マヌケ!!フィーネには俺が負けた時にある行動をするように細工していたんだ!」

 

フィーネの体が勝手に動いた理由。それはゾル大佐が赤い竜の時にフィーネにマインドコントロールをしていた。内容は「ゾル大佐が敗北した時、考えれる限りの最悪の手を打て」であった。

響達もフィーネを止めたかったが戦闘の疲労とゾル大佐の方を向いていた事で反応が遅れ止める前にネフシュタンの鎧の鞭が月の掛けた部分に突き刺さりフィーネがそれを一本背負いで一気に引っ張る。その際、ネフシュタンの鎧が粉々となりフィーネの動きが止まった。

そして、フィーネの行動を理解したゾル大佐は高笑いを上げる。

 

「フッハハハハハハハハ!月の欠片を落とすか、いいぞ!これで貴様らの勝ちは無くなった!この場にいる者、全員死ぬのだ!…俺は先に地獄で待っているぞ。…グッ!」

 

限界が訪れたのか最後に大笑いしたゾル大佐が倒れると大爆発を起こし、発生した風が響達の髪を撫でる。その場に居る皆は唖然と月の方を見る。心なしか月の欠片が大きくなってる気がした。

 

 

 

 

「…軌道計算出来ました。…このままでは直撃は避けられません」

 

藤尭朔也の報告を皆が静かに聞く。ゾル大佐を倒したというのに、場の空気は最悪となっていた。

 

「ゾル大佐め、とんでもない置き土産を残しやがって」

 

クリスの発言が皆の耳に届く。せっかく、ショッカーに勝ったのにその余韻に浸ることすらできない。

 

「すまなかった…」

 

フィーネの謝罪が辺りに響く、その声に響達もフィーネの方を見る。

 

「私は最後までショッカーにいいように利用されてしまった。何が終焉の巫女だ」

「…気に病む事はありませんよ。全部ショッカーが悪いんです」

 

響がゆっくりとフィーネに近づく。その目には何か決心したようにも見える。

 

「ところで、了子さんにお願いがあるんです」

「お願い?」

「了子さんは何度でも蘇るんですよね。なら私の代わりに皆に伝えて下さい。世界を平和にするのに力なんて必要ない事を。言葉を超えて私達は手を握り合える事を。例え、ショッカーみたいな組織が出来ても皆と手を取り合えば…取り合えば怖くなんてない。私には伝えられないから…了子さんにしか出来ないから」

「おまえ…」

 

響の言葉に何かを感じ取ったフィーネ。

 

「了子さんの為にも私が今を守ってみせます。ショッカーが勝つのは絶対嫌ですから」

 

その言葉を聞いてフィーネは少し笑った。そして、瞳の色が変わった。

 

「なら、最後のアドバイス、胸の歌を信じなさい。クリス、後はあなたの自由に生きなさい!」

「!?」

 

クリスがフィーネの言葉に思わず涙ぐみ。しかし、そう言い終えたフィーネの体が白くなり砂の様に風に舞い散る。それを見届けた響は月の方を見る。

 

「それじゃあ、ちょっと行ってきます」

「響?」

「待ってよ、その状態で行く気!?」

 

響の言葉に未来が呼び止めようとする。それは弓美たちも同じだった。

 

「大丈夫、ちょっと行って月の欠片を壊してくるだけだから」

「無茶ですよ、立花さんの体はもうボロボロなんですよ!」

「ヒナも止めてよ!」

 

弓美たちが必死に響を止めようとする。それだけ響の体は傷だらけで直ぐに手当てをした方がいいように思えた。だから創世も未来に響を止めるよう言うが、

 

「響…必ず帰って来てね。約束だから」

 

未来は泣きながらも響を行かせる事にした。元より響は頑固でもある。

 

「うん、約束。大丈夫、改造人間の体は頑丈だから…私だって諦めない。だから皆も生きるのを諦めないで」

 

未来達に言い終えると響はジャンプし、翼を広げ月に向かって行った。響の姿はアッと言う間に見えなくなる。

 

Gatrandis babel ziggurat edenal

Emustolronzen fine el baral zizzl

 

響は絶唱を歌う。絶唱の力で月の欠片を破壊する為に

 

Gatrandis babel ziggurat edenal

Emustolronzen fine el zizzl

 

その歌声は地上にも聞こえ、未来は涙を流す。

 

「響…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

月の欠片へと向かう響はアッサリと大気圏突破をする。そして、横目で少しだけ地球を見た。

 

━━━奇麗な星だな…皆が居るんだ、守らないと!

 

地球を見る偶にちょっとだけ止まった響は決心を改め月の欠片へと向かおうとした。

 

『おいおい、アタシ等を忘れるなよ!』

 

━━━!?

 

突然の念話に響が後ろを振り返る。翼とクリスが響を追って飛んできたのだ。

 

『こんな大舞台で歌えるとはな、立花には驚かされてばかりだ』

『翼さん!クリスちゃん!どうして…』

『お前にばかりいい恰好なんてさせねえよ』

『一人より二人、二人より三人。そうだろ立花』

『でも、私は改造人間だから、まだ助かる可能性がありますけど二人は…』

『そんな事、気にするな』

『アタシ達はお前の手を握ってやるって言っただろう。素直に受け取れよ』

 

翼とクリスの念話に響は頷いた。そして、三人は歌い月の欠片に接触した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本日未明、月の欠片は消滅。装者は行方不明との事です」

 

日本某所、薄暗い部屋の中に戦闘員が二人の人物に報告をしていた。一人は外側が黒く中が赤いマントを羽織った初老の男。もう一人は顔の部分が開いたツタンカーメンのような物を被り物をした男が居る。そこへ、ショッカーのシンボルから光と共に声がし出す。

 

『ゾル大佐が敗れたか。それで()()()()、データは?』

「想定以上に素晴らしいデータを得られました。これで怪人達の更なる強化も出来ます」

「首領、装者どもは間違いなく生きてるかと。今のうちに日本占領作戦を進めては?」

『慌てるな、()()()使()。特機部二どもはゾル大佐をショッカーの首領と思っている。今の内に怪人達の強化改造を急ぐのだ』

「全ての怪人達を強化するのに三カ月は必要かと。構いませんか?」

『いいだろう。三か月後に思い知らせてやればいい。我等ショッカーの恐ろしさを。ハリケーン・ジョーが喋った拠点も大して価値がない。仮に特機部二や公安がガサ入れしようが痛くも痒くもない』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一つの戦いが終わりゾル大佐は敗北した。三週間後に立花響たちも無事に未来との再会を果たす。

しかし、ショッカーは滅びず闇に隠れ蠢く。彼らが動くのは三カ月後、そして、響たちは思い出す。ショッカーの恐ろしさを。

 

 

 

無印 完

 

 

 

 

 




これで、無印は完。

ゾル大佐が普通に強いですが上級怪人ですからね。昭和の悪役、ショッカーの魅力が少しでも書けてればいいんですけどね。
Gでは死神博士と、とあるキャラクターがクロスオーバーする予定。その前に閑話か絶唱しない話をするつもりですけど。



最後に出しそびれたハリケーン・ジョーの設定でも、

ハリケーン・ジョーはプロレスラーになり小さいながらも団体を立ち上げて試合をするも時代の流れもあり閑古鳥ばかりで借金が膨れ上がり首が回らなくなって解散になりかけるがショッカーのスカウトによりハリケーン・ジョーは大金を得ることになった。
内容は戦闘員の戦闘訓練が主だが偶にスパイとしての活動もしていた。…スパイはあまり出番は無かったが。
その際に、ハリケーン・ジョーの裏切り防止として彼の仲間が何人かが人質になっていたが後に開放されたと言われる。しかし、実際はゾル大佐のウルフビールスの検体として使い潰され死亡。
ハリケーン・ジョーは、既に居ない元仲間の為に頑張り続けていた。


こんな感じですね。
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