改造人間 立花響のシンフォギア   作:一種の信者

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38話 世界を狙う者、世界を守る者

 

 

 

街の外れ離島にある、とある廃病院。

人がほぼ消えた病院の中にて複数の機械音がする。マリアにマムと呼ばれた高齢の女性が明らかに外から持ち込んだと思しきパソコンを弄っていた。

パソコンのモニターには会場での響達の絶唱を使う姿が映っている。

 

━━━ショッカーの乱入と言う想定外がありましたが、無事に立花響達のフォニックゲインによりネフィリムを…天より堕ちたる巨人を目覚めさせた

 

モニターには何かを貪る獣の様に見える物が映る。

 

「これで、人類は救われる」

 

マムの言葉が部屋に流れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、特異災害対策機動部二課本部でもマリア達、フィーネに動きがないか監視していた。

 

「ライブ会場での宣戦布告からもう一週間ですね」

「ああ、ショッカーが一度行動してもう四日だ。その間にも動きがないか?」

「政府筋からの情報では、その後『フィーネ』と名乗るテロ組織が何だかの行動や各国との交渉も確認できないそうです」

「つまり連中の狙いはまるで見えないという事か」

「傍目には派手に動いて自分達の存在を知らせただけです。正直、ショッカーの方がまだ分かりやすいんですけど」

 

マリア達は会場で動いた後に不気味な沈黙を保っていた。その狙いが何なのか二課では掴むことが出来なかった。

朔也の言う通り世界征服という野望を持つショッカーの方がまだ分かりやすい。

 

「事を企む輩には似つかわしくないな。ショッカーのようになられても困るのは確かだが…」

 

ショッカータワーことラジオ局で働いていた数十人の行方が分からない。恐らくショッカーに消されたと二課は見ていた。この短期間に大勢の人間がショッカーの手によって殺されたのだ。

 

「今は彼女達よりショッカーを優先すべきだが…」

 

二課としても出来れば「フィーネ」よりショッカーの方を追いたかった。しかし、ノイズを操った者を放置する訳にもいかない。一応政府の方も二課以外に一部の機関や公安がショッカーを追っていたが聞こえてくるのは行方不明者になった機関や公安の職員たちの話くらいだ。

 

「歯がゆいものだな」

 

行方不明になった職員の中に弦十郎の公安時代の同僚と後輩は、まだ含まれてはいない。それでも時間の問題かと思うと弦十郎にも焦りが出てる。

 

「…!地獄大使の情報が出ました!」

「やっとか、どんな情報だ!」

 

あおいの報告に弦十郎がそう聞く。二課のモニターに二人の男の顔が映し出される一見同一人物にも見えるが、

 

「本名はダモン。アメリカ合衆国での犯罪歴あり、アルカトラズ刑務所にて収監されてたようですが脱獄したようです。眉唾ですが、顔そっくりの兄弟が居たらしく新興国家のゲリラ軍を率いていたとか、そこで戦死したという情報まであります」

アルカトラズだと!?また古いのが出てきたな」

 

響達や緒川が撮った地獄大使の顔からアメリカ合衆国の警察が管理する犯罪歴を扱っていたデータを調べていたところ、ある人物との照合が一致し、そこからダモンにいきついた特異災害対策機動部二課。情報が不確かな部分がありどこまで本当かは分からないが一先ず地獄大使の情報を得られた事にホッとする。

 

その直後に、二課の通信機から声がした。

 

『風鳴指令』

「緒川か、そっちはどうだ?」

『ライブ会場に放置されたトレーラーの入手経路からどうやら架空の企業から医薬品や医療機器も大量発注されていたようです。いま、とある反社会勢力の事務所ですが此処の人達が素直に吐いてくれました』

『これで全部だ!アンタらに渡すよう言われた物はこれで全てだ!!』

「言われた?誰にだ」

『な、名前は知らねえ。ただ、白髪の眼鏡をかけた胡散臭い奴だ!ノイズを出してきて、アンタらが此処に来た時に渡すよう指示されたんだよ!なあ、もういいだろ。組は解散するし務所にも入るから!』

『さっきからこればっかりで。…如何思いますか?』

「罠の可能性が高いが追いかけてみるか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リディアン音楽院。現在、響達のクラスは授業をしていたが響はボケーっと外を眺めていた。

 

━━━ショッカーが本格的に動き出した。これからの戦いはより一層激しくなるかもしれない。私達が頑張らないと…

 

ラジオ局での激戦に勝利した響だが不安が拭えない。新たなる大幹部、地獄大使がどう動くのかがまるで分からない。

 

 

 

 

 

 

 

━━━それにしても、お母さんの説得に苦労したな

 

響はラジオ局の戦いの後に母と祖母に会いに行っていた。ショッカーが現れた事を、家の周りだけでなく出掛ける時には注意するよう言う為に帰ったのだが…

 

『ショッカーが滅んでなかった!?』

『あの時はショッカーの首領格を倒したんじゃなかったのかい!?』

『それにつきましては申し訳ありませんでした』

 

母と祖母の前で説明の為に響と一緒に来ていた弦十郎が土下座して謝っていた。当初は家に帰って来た響を歓迎して弦十郎が持ってきた粗品も受け取っていたが響の口からショッカーが再度動き出した事を聞いて顔色が変わった。

 

『だからって、うちの娘をまた戦わせる気ですか?』

『…現状、ショッカーは再度響くんを狙う可能性が高く…我々の力不足です!」

『!帰ってください!』

 

弦十郎の言葉に堪忍袋の緒が切れた母は、弦十郎を家から追い出す。相手は民間人という事もあり素直に響の家から出る弦十郎。その際送った粗品も突き返されて今は弦十郎の手に戻っている。

そして、弦十郎を追い出した母と祖母は改めて響と向かい合う。

 

『響!一緒に逃げよう!誰も知らない場所に行って静かに暮らそう!あなたが戦う必要なんてないの!!』

『そうじゃ、なんだったらワシの古い友人が海外で一旗揚げたらしいしソイツに頼もう!ド田舎だろうと外国だろうと可愛い孫の為じゃ!』

 

母と祖母はこの町から日本からも逃げ出すつもりであった。ショッカーと呼ばれる危険な組織に何故響が戦わないといけないのか?今回の弦十郎の態度で愛想が尽きた母と祖母は響を少しでも安全な場所で一緒に生活をしたかった。例え生活が苦しくなろうと家族が一緒なら耐えられる。悪の組織に拉致された娘が帰って来たのにまた悪の組織と戦わされるなど認めたくもない。現状のノイズとの戦闘にも目を瞑って来た、響は十分戦った。もういいじゃないか、っというのが母と祖母の考えだった。

しかし、二人の言葉に響は首を横に振る。

 

『駄目だよ。ショッカーの怪人は更に強くなってて私が抜けたら翼さんとクリスちゃんだけになっちゃう。それにショッカーの影響力は世界中に広がってるって話だし外国も十分危ないと思う』

 

以前、緒川が調べた情報でショッカーの規模は世界中にあり世界中のテロや内戦を操作している。海外に行けば特異災害対策機動部二課の庇護も無くショッカーに襲われる危険性も高い。

 

『なら…』

『大丈夫、お母さん。私、悪い奴等になんて負けないから。きっとお母さんもお婆ちゃんも私が守るから』

 

 

 

 

 

 

━━━結局あの後もお母さん、泣きっぱなしだったな。でも、これ以上ショッカーの好きにさせる訳には…怪人は強いけど私達だって特訓して強くなってるんだ!

 

ギルガラスとの戦いの後、響と翼にクリス、そして弦十郎は訓練室でひたすら修行をしていた。主に響と翼の模擬戦。クリスの接近戦に三人がかりで弦十郎との闘いで少しずつだが三人と弦十郎の腕も上がってきている。たまに未来も参加して響を心配させているが。

 

ショッカーは関係ない一般人を殺す事を何とも思って居ない。そう考えれば未来も身の安全を守る為には必要だろう。それは翼とマリアのライブとラジオ局での戦いで思い知っていた。しかし、響の脳裏にマリア達の事が浮かぶ。

 

━━━マリアさん達は一体、敵なのかな?味方なのかな?宣戦布告をしていたとはいえ、一緒にショッカーの怪人と戦ったから味方と思いたいけど…ガングニールのシンフォギアが二つあるんだし戦う理由だって違うのかも知れない。でも出来れば一緒に戦って欲しいな…

 

ライブ会場では一時とは言え一緒にショッカーと戦ったのだ。向こうにとってもショッカーは敵の筈、それなら一緒に戦えるのではないか?と響は考える。

 

響は響で悩んでる。しかし、その姿は先生にも見られ説教をくらう事になるのは別の話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…でね、信じられないのはそれをご飯にかけたんデスよ」

 

場所は変わり、マムが居た廃病院のシャワー室。本来なら水も流れる訳が無いシャワー室ではお湯が流れ二人の少女が暖かいシャワーを浴びている。

マリアと一緒に逃げた調と切歌だ。

 

「本当に信じられませんよ。そしたら!」

 

シャワーを浴びつつ何かを語っていた切歌だったが調の様子がおかしい事に気付く。調はただ静かに暖かいシャワーを浴び続ける。

 

「まだ、アイツの事が気になるデスか?」

 

切歌の言うアイツとはギルガラスから自分達を助けた立花響の事だ。

 

『助けたかったから。じゃダメ?』

 

調の脳裏にあの時の響の言葉が蘇る。

 

「何も背負ってないアイツが人類を救った英雄だなんて私は認めたくなかった」

「うん。本当にやらなきゃならない事があるなら、例え悪いと分かっていても背負わなきゃいけない」

 

切歌がそろそろ出ようとシャワーのレバーを引き切歌のシャワーは止まった。

 

「…違う」

「え?」

「何も背負ってないってのは私の勘違いだったかも知れない」

 

目の前の壁を触って独白する。何も背負てない英雄気取りの馬鹿だと最初は思っていたし、所詮は恵まれた唯の運のいい少女でしかないと思っていた。しかし、ショッカーと呼ばれる組織の怪物たちと戦い何かが違うとも考える。

 

「調?」

「切ちゃんは見てないもんね、あの傷」

 

響から助けられた時にギルガラスの薙刀が響の肩を傷つけた。その時に調は目撃した、響の体の中にあった金属…機械を。

それから…

 

『…ごめんね』

 

思い出すのは響の済まなそうな表情と謝罪。あの謝罪の意味を考えると調の胸に得体のしれない物が駆け巡る。

そんな、調の様子を見ていた切歌はそっと調の手を取る。そして、そのまま切歌は調の浴びるシャワーに入り込み一緒に浴びだす。そんな中、全裸になったマリアがシャワー室へと入りそのままシャワーを浴びる。

 

「融合症例が何を背負って居ようと私達は私達の正義を貫くしかない。正直、迷って振り返る時間すら惜しいわ」

「マリア」

 

マリアの言葉に切歌がマリアの名を呟く。あの会場で宣言した以上もう戻る事は許されない。その事はこの場に居る三人もよく知っていた。何より会場での虐殺がマリアの所為にされてしまった以上、日常にも戻れない。

そんな、感傷に浸る中警報が鳴り響く。

 

 

 

警報がなる廃病院内の通路の隔壁が次々と閉じる。それも厳重なロック付きで。

マリアがマムと呼ぶ女性がモニターを凝視し其処には赤い文字でLOCKEDと書かれている。それを見て一安心したマムはモニターに別の映像を映す。前に何かを貪っていた獣のような奴だ。

 

━━━あれこそが、伝承に描かれし共食いすら厭わない飢餓衝動。やはりネフィリムとは人の身に過ぎた…

「人の身に過ぎた先史文明期の遺産。とかなんとか思わないで下さいよ」

 

マムが思考に浸ってるときに男の声が聞こえ振り向く。其処には、

 

「ドクターウェル」

 

在日米軍基地で爆弾テロに巻き込まれたと思われていたウェル博士だった。

 

「例え人の身に過ぎていても人類を救えればいいじゃないですか。それが英雄というものですよ」

 

ウェル博士は笑顔を浮かべてそう言い切った。確かにここで計画を中止する訳にはいかない。マリアたちももう動いている。

 

「マム、さっきの警報は!」

 

っとそこで、先程までシャワーを浴びていたマリアと切歌と調が急いで駆け付けた。急いで来た為、調も切歌も薄着でマリアに至ってはバスローブ姿ではあった。

部屋に入ったマリアはウェル博士の存在に気付く。

 

「次の花は、まだ蕾ゆえ大切に扱いたいものです」

「心配してくれたのね、でも大丈夫。ネフィリムが少し暴れただけ、今は食事を与えたから大人しくしくなるわ」

 

マムがそう言い切るが数秒もせずに建物が揺れ衝撃音も聞こえた。閉じ込めてるネフィリムが暴れてるのだ。

 

「マム!?」

「対応処置は済んでいるので大丈夫です」

「それよりもそろそろ視察の時間では」

 

マムとマリアの話を切ったウェルが視察の時間を知らせる。

 

「フロンティアは計画遂行のもう一つの要。機動に先立って視察を怠る訳にはまいりません」

「留守なら任せてください。ついでにネフィリムの食料調達でも考えておきますよ」

 

マムの視線にウェル博士は笑みを浮かべ言い切る。

 

「なら調と切歌を護衛に付けましょう」

「此方に荒事の予定はありません。それに彼女達も病み上がりです、寧ろマリアと一緒にさせるべきでは?」

 

その言葉にマムは暫くウェル博士の顔を見る。確かに調と切歌は病み上がりである。

 

「…分かりました。予定時刻には帰還します」

 

ウェル博士に留守を任せたマムはマリアたちと部屋を出る。それを見送ったウェル博士は別の事を考えて居た。

 

━━━さて、僕達の有用性を先生たちに見せなくては。蒔いたエサに獲物は掛かりますかね?

 

溜息をついたウェルはそう考える。全ては英雄になる為に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕刻、授業の終わったリディアン音楽院に残った生徒はだいぶ少なくなっていた。そんな学院の通路を走る生徒が居た。まるで何かに追われてるように走る生徒は角を曲がった。瞬間、ぶつかった音と何かが落ちる音がする。

 

「脇見しつつ廊下を駆けるとはあまり関心出来ないな」

「いてて…」

「雪音?」

 

廊下を駆けていた生徒はクリスで丁度荷物を持っていたのは翼だった。立ち上がって荷物を拾いつつクリスを見る翼。

 

「何をそんなに慌てて…」

「奴等だ、奴等に追われてるんだ!もう直ぐ其処にまで」

 

立ち上がったクリスがそう言って廊下の壁にへばり付く。クリスの言葉に警戒する翼。

 

「奴等?まさかショッカーか!」

 

翼は何時でも起動聖詠を出来るようペンダントを握る。ショッカーの事だ、生徒の一人や二人を人質にする事など造作もないだろう。しかし、翼がいくら警戒しようと怪人や戦闘員も現れない。数人の女生徒が走っていくだけだった。

 

「それで、雪音。ショッカーは何処だ?」

「…アタシが何時ショッカーだって言ったよ。上手くまけたから別にいいけど」

 

一安心と溜息をついたクリス。そのの返答に警戒を解いた翼。

 

「ショッカーでないなら誰に追われてたんだ?」

「ああ、なんやかんや理由をつけてアタシを学校行事に巻き込もうとするお節介なクラスの連中だよ」

「…なんだ」

 

クリスの返答にちょっとだけ笑う翼。そう言えば遠くの方で「雪音さん」という声も聞こえる。

翼が床に散らばったガムテープやカッターを拾っているとクリスが言葉を続ける。

 

「再び動き出したショッカーに「フィーネ」を名乗る武装集団、アタシ等にそんな暇は…何してんだ?」

「見ての通り雪音が巻き込まれている学校行事の準備だ」

 

 

もう直ぐ、私立リディアン音楽院では秋桜祭という学祭が行われる。

共同作業や連帯感で共通の思い出作りがメインで生徒たちが懐く新生活の戸惑いや不安を解消することを目的に企画されている。そして、一般の民間人も楽しめるよう来場できる。

それの準備で生徒たちは忙しい中、盛り上がってもいた。

 

 

そして、とある教室で翼とクリスは学際用の花を紙から作ていた。

 

「なんでアタシまで手伝わされてるんだよ」

「少しくらい付き合ってもいいだろう?」

「その少しって、後どの位だよ」

 

文句を言いつつもクリスは次々と紙の花を作っていく。そこでふと翼がクリスに聞く。

 

「少しはこの生活にも馴染んでるか?」

「お陰様で、だいぶ馴染んでいるよ。…そういえばアイツはどうした?」

「アイツ?…ああ、立花か。立花も十分馴染んでるそうだ。さっき見かけたがクラスでの荷物運びも率先としてやっている」

「そうか、まあアイツに細かい作業とか苦手そうだしな」

 

この場に居ない響の事を話し合う二人。因みに響が今どうしてるかと言うとハンマーが見当たらないということで釘を指で押し込み未来の顔を引き攣らせていた。

 

「なあ」

「ん?どうした」

「学際の間、ショッカーが大人しくしてると思うか?」

「正直、分からんな。ライブの時のように何か仕掛けて来るかも知れない。叔父様から警備の人間を何人か配置するらしいがどこまで有効かは…」

 

学際と言うイベントをショッカーが見逃すとも思えない。警備員として黒服が何人か学際の警備に回されるが、怪人と戦えるのはシンフォギア装者以外だと弦十郎と緒川くらいだ。

最悪、黒服たちが避難誘導をして自分達が戦う可能性が高い。

 

「平和に終わるといいな」

「そうだな」

 

そうして黙々と花を作っていると翼のクラスメイトが入って来て手伝いをする。クリスは翼が青春してるのを目撃して自分ももう少し頑張ろうと考えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜、響達は廃病院の前に立っている。通信機から弦十郎が「今日中に終わらせるつもりで行くぞ」と言う。

 

「街のすぐ外れの廃病院にマリアさん達が潜んでたなんて」

 

此処は、マリア達が潜む廃病院であった。緒川が入手した情報を調査してこの場所を割り出した。

 

『二カ月前から少しづつ物資を搬入していたようですがここ数日で活発にやっていたようです。罠の可能性もあるので注意してください』

「罠だとしても防人として行かなければなりません」

「尻尾を出したなら後は引きずり出すだけだ!」

 

クリスが走り出しと翼と響も廃病院に走る。特に妨害も罠も無く廃病院に入るが、

 

 

 

「さて、先ずはおもてなしといきますか」

 

モニターで響達の動きを見ていたウェル博士がパソコンのキーを操作する。途端に廃病院の通路から赤い煙みたいな物が噴出する。

 

 

 

「…!止まってクリスちゃん、翼さん!」

 

異変に一番先に気付いた響が二人を呼び止める。

 

「なんだ?ビビってるのか?」

 

クリスが冗談交じりで言うが響が視線を少し動かした後に口を開く。

 

「廊下中に赤い煙のような物が出てます。注意してください」

「赤い煙だと!?」

 

響の言葉に翼とクリスが口元を押さえつつ廊下を見回すが暗い中で赤い煙など見える訳が無い。

 

「…毒ガスの可能性は低いと思います」

「赤い煙は分からんが出迎えは来たようだ」

 

翼の視線の先にノイズが何体も歩いて来ていた。

 

Killter Ichaival tron

 

クリスが先に聖詠を口にしてシンフォギアを纏いアームドギアをガトリング砲にしてノイズを倒していく。遅れつつも翼と響もシンフォギアを纏いノイズを相手にする。

 

「このノイズ…制御されていますね」

「なら操ってる者がいる筈だ!」

 

響達は何時ものようにノイズを倒していく。ショッカーの怪人に比べればノイズは十分倒せる程の強さしかない。しかしどうにもおかしい、何時もより体力が消費されてる上にノイズを倒しきれず再生し始める。

翼もクリスもノイズを完全に倒せないでいる。唯一、響だけがノイズを倒してるが何時もよりも力を出してる事は響も分かっていた。

 

「何でこんなに手間取るんだ!?」

「…ギアの出力が落ちている!?」

「まさか、この赤い煙の所為!?」

 

翼がシンフォギアの出力が落ちていることに気付く。更に二課の方でも適合数値が落ちている事が確認された。

それでも、ノイズを倒していく翼たち、少し息が乱れた響だったが暗闇から襲い掛かる何かに拳を振るう。しかし、その何かは殴られても直ぐに態勢を直して次に翼へ襲い掛かる。翼も素早くアームドギアの剣を握り迎撃する。だが、それは翼の剣に切られた筈なのに上手く着地する。

 

「アームドギアが効かない!?」

「まさか、ノイズじゃなく怪人か!?」

 

アームドギアの攻撃で炭化しないのならショッカーの怪人の可能性が高い。と考える翼。

 

━━━もしや、マリアの情報は私達を誘き出す為の…

 

翼が其処まで考えた時、奥の方から一人の人間が出す拍手のようなものが聞こえてきた。

暗闇の中、その人物は近づいてくる。地獄大使かと考えた翼とクリスだが、

 

「!ウェル博士!?」

「なに」

「マジかよ!」

 

響の言葉に翼とクリスも一瞬、固まる。そうこうしてる内に拍手する人物が翼やクリスにも分かる程の距離になる。その人物は確かに、響とクリスが護衛をしていたウェル博士、その人だった。

 

「本当にウェル博士だ」

「だが、ウェル博士は在日米軍基地の爆弾テロで…」

 

「トリックですよ。いやあ、ルナアタックの英雄も案外大した事ありませんね」

 

メガネを触るウェル博士博士を睨みつける響達。ウェル博士の手にはソロモンの杖も握られておりさっきのノイズもウェル博士が使役していた事で間違いない。

ウェル博士が敵になったと分かった響達は構える。ウェル博士を捕まえソロモンの杖を取り戻す為に、

 

 

しかし、響達は知らない。廃病院の遥か地下にて自分達を監視している者たちがいる事を…

 

 

 

 




地獄大使の情報で兄弟と言ってますが正しくは従兄弟ですね。古い情報ですので齟齬が生じたという事で。

調が響の事情を感づいて来てます。
そして、リディアンでは原作通りもうすぐ学際。果たしてショッカーは動くのか?
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