改造人間 立花響のシンフォギア   作:一種の信者

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40話 悪夢の秋桜祭!殺人オーロラの恐怖!

 

 

秘密結社ショッカー

 

それは世界征服を企む悪の秘密結社である。世界中に網を張り巡らせているショッカーは現在、立花響を始めとする日本政府の特異災害対策機動部二課との戦いに明け暮れている。尤も、世界征服の作戦を悉く潰されてもいた。

 

そして、何の因果かマリア達はそんなショッカーのアジトに入りショッカー首領の言葉を聞いていた。

 

『死神博士の推薦を見たが、中々の物ではないか。その力我等ショッカーの為に役立てるがいい!』

 

マリアは、来たくて来た訳ではない。提案があると言ってウェル博士がマムと二人で話した後にマリア達のエアキャリアはある場所まで行き、カモフラージュされたドッグが開き基地の中に入って着地する。その後、迎えの人間が来て此処まで通されたのだ。そして、此処こそが秘密結社ショッカーのアジトの一つである。

 

首領が喋り終えると一人の人物がマリアたちに近づく。見た限り普通の人間に見えるが黒いマントの姿が不気味に映る。

 

「ウェルよ、前に言った通り貴様たちを首領に推薦したぞ」

「ありがとうございます、先生!」

 

マントの老人にウェル博士が頭を下げる。マリアはウェル博士の言葉に引っ掛かりを覚えた。

 

「…先生?」

「えー、先生です。僕の生化学及び()()()()()は先生…死神博士から学んだことです」

「それよりも、ウェル。例の物を」

 

そう言って死神博士はウェル博士の前に手を出し何かを催促する。それを見たウェル博士は、溜息をつくとポケットから小さなチップと調が取り戻したソロモンの杖を渡す。

 

「ほう、これが」

 

ソロモンの杖を握った後にマジマジと見た死神博士は、杖から明かるい緑色の光線を出す。その光線は床に当たると数体のノイズが現れた。通常のノイズなら戦闘員やマリア達に襲い掛かるがそのノイズ達はジッとしていた。

 

「素晴らしい、直ぐに解析にかかるぞ!」

 

ソロモンの杖の性能に死神博士も満足したようだ。

 

「待ちなさい、それは貴方達みたいなのが使っていい物ではないわ!」

 

今まで、黙って見ていたマリアがそう言い放つ。マリアの発言にその場の空気の温度が一気に下がった。

こめかみを押さえて溜息をつくウェル博士。

 

「…小娘どもの躾がなっていないな、ウェル。だから脳改造なり洗脳をしろと言っただろ」

「…申し訳ありません、先生」

「ウェル!私達を騙したの!?」

 

死神博士の言葉で謝罪するウェル博士。それをみて溜息をつくナスターシャ教授。自分達をショッカーに売り渡したと思ったマリアがウェル博士を今まで以上に睨みつける。

そして、マリアがペンダントのギアを握り、調と切歌も握りだす。何時でもシンフォギアを纏い脱出できるようにしたのだが

 

「…止めなさい、三人とも」

「マム!?」

 

それに待ったをかけるナスターシャ教授。マリアたちの目が信じられないといった反応だった。

 

「マム、どうして!?」

「アジトを失いネフィリムのエサも無くした私達には最早、ショッカーしか無いのです。なによりエアキャリアの補給と整備が出来るのは此処位しかありません。それにフロンティアまでの支援は約束してくれてます。そうですね、死神博士」

 

「フフフ、勿論だとも。ただし、戦闘データ及び身体データ、そして聖遺物のデータは貰うぞ」

 

そう言って、死神博士はウェル博士に渡された小さなチップを見せる。それを苦虫を嚙み潰したような顔で見るマリア。

 

その時、一人の戦闘員が入り死神博士に向けて報告する。

 

「イーッ!死神博士、結社から例の物が届きました!」

「やっと来たか。これで全てが揃った…フム、そうだな貴様たちに面白い物を見せてやろう。第三研究室で準備しろ!」

「イーッ!」

 

死神博士の命令に白衣を着た戦闘員が返事をして部屋から出る。マリアたちは一体に何をするのか疑問ではあったが、

 

「ついて来るがいい」

 

そう言い終えると死神博士が部屋を後にしウェル博士とナスターシャ教授も続く。流石にこの場に残されたくなかったマリアと調、切歌もそれに続く。

途中何体かの戦闘員とすれ違い、その度に警戒していたマリア達だが死神博士たちがある部屋に入り自分達もそれに続く。

其処には、

 

「だ…誰デスか、この人は?」

 

切歌が思わず喋ってしまう。丸い台の上に中年男性と思しき人物が寝ている。

 

「改造人間の素体よ、名は知らんでも良かろう。中々凶悪な男だぞ」

 

そう言うと、死神博士は持っていた書類をウェル博士に渡す。その書類には男の犯罪歴と性格が書かれている。

 

「…確かに凶悪な男ですね」

 

ウェル博士がそう呟くと渡された書類をナスターシャ教授に渡し、ナスターシャ教授も目を通す。

 

「何という凶悪な!?」

「ちょ、見せてマム!」

 

思わず声を荒げるナスターシャ教授にマリアも見せて欲しいと頼む。少し考えたナスターシャ教授だが書類をマリアへと渡す。書類を読むうちにマリアの表情も厳しくなる。

 

「なんて凶悪な男!!とても言葉じゃ言い表せないわ!」

「ちょ、マリア!私達にも見せて欲しいデス!」

「…見たい」

「あなた達は駄目!」

 

マリアたちの反応に切歌と調も見たいと言い出す。しかし、マリアはそれを拒否して書類をウェル博士に渡し、そのまま死神博士に帰した。二人の情操教育に悪いとマリアの判断だが、それはナスターシャ教授もウェル博士も同じ考えのようだ。仲間外れにされたと感じた切歌は頬を膨らませ、調は一言「残念」と呟く。流石に死神博士に頼む程の切歌も調も豪胆ではない。

 

っと、その時戦闘員が車付きの台を持って入って来た。その台の上には、

 

「石?」

「どちらかと言えば化石ですね」

 

マリアは、一見石のように見えるがウェル博士が化石だと言う。確かに化石の様にもみえるが、

 

「正解だ、ウェル。これは「ユニコルン」の化石であり聖遺物だ」

 

「ユニ…コルン?」

「ユニコルンとは嘗て伝説と言われユニコーンの原型だと思われる生物です。ですが、ユニコルンはあくまでも生物で、聖遺物とは言えないのでは?」

 

切歌の疑問にナスターシャ教授がユニコルンの説明をする。しかし、聖遺物とは、超古代の異端技術の結晶の総称であり幾ら伝説と呼ばれてもユニコルンの化石が聖遺物になる筈がないとナスターシャ教授もウェル博士も考えて居たが、

 

「確かに伝説とはいえ、ただの生物なら聖遺物とは呼べんだろう。だが、ユニコルンが生物兵器として造られたのならどうだ?」

 

「生物兵器!?」

 

死神博士の言葉に愕然とするナスターシャ教授とウェル博士。確かに生物兵器ならその化石は聖遺物と呼んでいいかも知れない。しかし誰がそんな物を作ったのか?

 

「我々の調査により、ユニコルンは嘗てカストディアンが造り出した生物兵器だという事がわかった。まあ、目的までは知らんが…よし、取り出す事に成功した」

 

化石を弄っていた死神博士は手に粉末状の物を取り出し満足気にしていた。マリアたちが不思議に思う中、死神博士は取り出した粉末を特殊な溶液に入れその溶液を寝ている男の腕に刺す。反対の腕には別の管が繋がれそこから男の血が流れている事に気付く。

 

「死神博士、一体なにを!?」

 

あまりの光景にナスターシャ教授は思わず死神博士に質問をする。男の罪状が本当なら別段死んでも構わないと思ってるがやはり目の前で死なれると後味が悪い上に切歌と調の情操教育にも悪い。ショッカーに入った時点で今更ではあるが

 

「男の血とユニコルンの取り出した粉末血液を入れ替えている。もう直ぐ新しい怪人が生まれるぞ」

 

死神博士の一言にマリア達は眠っている男の方を凝視する。男の顔色がドンドンと青くなる。マリアがチラッと死神博士の顔を見ると笑っていた。

 

━━━こんな事で本当に怪人が?…!

 

マリアの心に疑問を感じる。瞬間、男の体に変化が起こる。顔が白く変わり体は深緑、足の部分が赤く、目が一つに角が生え口の部分が赤い。

 

「ガァァー、ルルッ!!」

 

実験室に怪人に変化した男の泣き声が木霊する。本当に怪人となった男の姿にマリアたちは愚か、ナスターシャ教授やウェル博士まで目を見開いている。

 

「フフフ、完成したぞ。貴様の名は「ユニコルノス」だ。聖遺物怪人2号の完成よ!!」

 

今此処に、ショッカーの新たなる怪人、その名も聖遺物怪人2号のユニコルノスが誕生した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

廃病院の戦いから数日、ドッグ入りした特異災害対策機動部二課の仮説本部である潜水艦の修復が行われる中、弦十郎は斯波田事務次官と通信でやり取りをしていた。

 

「…では、自らフィーネと名乗ったテロ組織は米国政府に所属していた科学者たちだと?」

『正しくは米国連邦政府聖遺物研究機関、「F.I.S.」の一部職員が統率を離れ暴走した集団らしい』

 

そう言い終えると事務次官はソバを啜る。それに気にせず弦十郎は言葉を続ける。

 

「ソロモンの杖と共に行方不明になり再び現れたウェル博士もまたFISの研究者だったと」

『こいつはあくまでも噂だが、FISってのは日本政府の情報開示以前より存在してるとの事だ』

「つまり、米国と通謀していた彼女(フィーネ)が由来となる研究機関ですか」

 

弦十郎の傍で立っていた緒川がそう聞いた。

 

『出自がそんなだからな。連中がフィーネの名を使う理由があるのかも知れん。…後、調べて分かったんだが、FISは以前にも謎の勢力に襲撃されたそうだ』

「襲撃?」

『生き残ってFISを辞めた元職員の話じゃ、そいつ等は黒い全身タイツを着た人間達と化け物らしい』

「!ショッカー!?」

 

事務次官の思わぬ情報に弦十郎は立ち上がる。全身黒のタイツ姿と化け物ならショッカーで間違いないだろうと弦十郎も判断する。しかし、そこで新たな疑問が生まれる、何故今回のショッカーの怪人はマリアたちを襲わなかったのだろうか?戦闘時の様子からして怪人たちはマリア達に攻撃する事は無く最低限の反撃しかしていなかった。

 

『どうも、フィーネの留守中に襲撃されたそうだ。運が悪い事に聖遺物の実験中で何人もの研究者や職員が死んでいる。後、何故かその施設に居た子供たちもな。…今回のFISにショッカー、存外周到に仕組まれてる可能性が高い。気を付けろよ』

 

弦十郎の疑問もに感じてるところ、ソバを啜りつつ事務次官は鋭い目をして弦十郎に忠告する。その言葉に弦十郎も緒川も思わず息を飲んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、リディアン音楽院では予定されていた学際の「秋桜祭」が行われており学院外からも大勢の客が来ていた。尤も、特異災害対策機動部二課から送られた黒服の職員が警備員として配備され内部にも何人かが目を光らせている。正直、評判はよくないが対テロ警備と言って押し切っていた。

 

そんな光景でも無事にリディアン音楽院に入った人たちはそれなりに楽しむ。中には家族連れや生徒の家族まで居る。

そんな様子を踊り場辺りで眺める響。しかし、響の脳裏では別の事を考えて居た。

 

━━━翼さんは、マリアさんが了子さんじゃないって言っていたけど…

 

思い出すのは先日に言っていた翼の発言だ。

 

『翼さん、マリアさんが騙りって…』

『何か証拠でもあんのかよ』

『…証拠としては弱いかも知れんが、マリアは常に怪人の事を怪物と言っていた。少なくとも櫻井女史は、怪人の事を怪人と言っていた。そこがどうしても引っ掛かってな…』

 

翼の発言に納得もする響。しかし、それ以上に引っ掛かる物も感じている。

 

━━━でも、マリアさんが嘘をついてるならどうしてそんな事をしたんだろ?

 

わざわざ、マリアがフィーネの名を騙る事に違和感を感じていた響。しかし、どんなに考えても響の脳裏に答えらしい答えも浮かばない。

 

「響」

「…未来、どうしたの?」

 

そんな時に響が横から声を掛けられ見ると未来が自分の近くに来ていた。

 

「「どうしたの?」じゃないわよ。もう直ぐ、板場さんたちのステージだよ」

「ええ!もうそんな時間!?」

 

未来の言葉に驚く響。友人のステージまでまだ余裕があると思っていたのだ。その後、未来に左手を掴まれて一緒にステージにいく事に、しかし、その背後には二人の少女の影が、切歌と調だ。その少女たちは響達に見つからないように移動をする。

何故、切歌と調が秋桜祭に来ているのか?それは凡そ昨日の事である。

 

 

 

『取り合えず、ショッカーから提供された聖遺物で凌ぐことが出来ました』

『だけど、ショッカーに借りを作ってしまったわ』

『それに関しては向こうと話が済んでいます。僕とナスターシャ教授の頭脳と君達の身体データと引き換えにすればお釣りが来ますよ』

『…要は私達はショッカーの傘下扱いじゃない!?』

『…同盟と言って欲しいですね。問答無用で君達が改造人間にされなかったのはそれが大きいんですから』

『マムは?』

『現在、先生の手で調整を受けています。なに、僕達に利用価値がある内は向こうも変な真似はしないかと』

『でも、何時までもショッカーに頼るのは危険よ』

『なら、僕達だけで聖遺物を集めますか?まあ、今時聖遺物の欠片なんてその辺にゴロゴロと転がってますからね』

 

そう言い終えるとウェル博士は切歌と調のペンダントを見る。その後、マリアが動こうとするが切歌と調が止め二人が翼やクリスのペンダントを奪いに来た。

 

「調、あれ美味しそうデス!!」

「…切ちゃん」

 

二人は翼とクリスのペンダントを奪いに来た。

 

 

 

 

 

しかし、この時響達は愚か、二人の少女も気付かなかった。

 

「あの、免許証か身文書の提示を」

「問題ない」

「いえ、ですから免許証か…」

「何も問題ない。いいな?」

「はい…問題ありません」

 

リディアン音楽院の出入り口に悪魔たちが来ていた事を。

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、あれ見てみろよ」

「なにかのコスプレかしら?」

 

学院内の一角、生徒や観客の目が三人の人物に集まる。二人はまだ気温も高い中、厚手のコートと帽子をかぶりサングラスとマスクを付けた怪しい人物でもう一人も気温が高い中、黒と赤の分厚いマントをつけ純白のスーツを着た老人である。その時、一人の観客らしき人物が老人へと近づく。

 

「死神博士、立花響が講堂へと入ったそうです。その講堂では歌のステージをしてるとか…」

「…そうか、なら講堂へ向かうぞ」

 

老人の言葉にコートを着込んでいた者も頷き講堂へと向かう。それを見ていた観客や生徒は老人が立ち去るとまた秋桜祭を楽しみ始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…まだ、フルコーラス歌ってないのに!二番の歌詞が泣けるんだよ!!」

 

歌っていた弓美がブーたれる。自信満々に歌っていたのに一番が終わった時点で鐘が鳴ったのだ。

これには見ていた観客も大いに笑いだし、見に来ていた響も釣られて笑い出す。

 

━━━やっぱり響には笑顔が似合うよ

 

その笑顔を見てホッとする未来。ショッカーが再始動してから響は何かに追い詰められたような表情が多くなり未来としては心配していた。これで、響も少しはリラックス出来ればと未来も考えてはいた。

 

それから暫く、歌が続きだいぶ時間も過ぎる。

 

「さて、次なる挑戦者の登場です!」

 

司会の女生徒がそう言って舞台袖に向けて手を向ける。少し間が空き押されたかのように出て来る一人の少女。

 

「響!あれって!」

「ウソ!?」

「雪音だ」

 

その少女を見た響と未来は思うわず声を出す。その時、響達の隣の席に翼が座る。

 

「私立リディアン音楽院二回生の雪音クリスだ」

 

翼が言い終えると共に音楽が鳴りクリスが歌いだす。最初は恥ずかしそうにしていたが直に慣れたのか楽しそうに歌う姿に会場は魅了されていく。響や翼も楽しそうに眺める。

そんな中、

 

「…くだらん」

 

響達の反対側の席に座っていた死神博士はつまらなそうに言う。死神博士にとってクリスの歌など価値が無い物でしかない。

 

「死神博士、風鳴翼も講堂に入りました」

 

部下からの報告に口元をニヤケさせる死神博士。

 

「上手く出来れば一網打尽か、いいぞ。こういうのは飛び入りもある、その時には貴様が行け」

 

死神博士の言葉にコートを着込んだ物が頷く。

 

そして、クリスの歌が終わると万雷の拍手が鳴り響く。翼も響も未来も惜しみない拍手を送る。そして、それを冷めた目で見る死神博士。

 

「さあ!勝ち抜きステージ新チャンピオン誕生!」

 

司会の娘がそう言うとクリスにスポットライトが当たる。その事に驚くクリス。しかし、司会の娘の言葉は続く。

 

「さあ、次なる挑戦者は!?飛び入りも大歓迎ですよ!」

 

 

 

「飛び入りか、そろそろ頃間だ…「やるデス!!」ろ、む?」

 

 

会場に一人の少女が手を上げ其処にスポットライトが当たる。出番を盗られた死神博士は面白くないといった反応だが、その少女が二人立ち上がるのを見て目を光らせる。

 

「「「!?」」」

 

「ほう」

 

その少女を見てクリスや響が驚き、死神博士も声を出す。

それは紛れもなく切歌と調だった。

 

「チャンピオンに…」

「挑戦デス!」

 

切歌と調の姿を見て立ち上がる翼。事情をよく知らない未来が二人の事を聞き、マリアの一派だと知る。

 

━━━あの二匹、何処かに出かけたと聞いていたが此処に来ていたとはな、

 

「死神博士、如何しますか?()()

「歌が終わった後に保護してやれ。あの二匹にはまだ使い道がある」

 

死神博士が冷酷に言い、二人はステージへと向かう。途中、クリスに舌を出して挑発した後に二人が歌いだす。

 

 

 

 

同じころ、マリアたちのエアキャリアを保管している廃工場では戦闘員達がエアキャリアの整備を行っていた。そんな、エアキャリアの中でマリアとナスターシャ教授にウェル博士が待機していた。マリア達が地下のアジトで休憩するのを嫌がった為だ。

 

マリアの脳裏には昨日の切歌と調とのやり取りだ。自分を庇いマリアの為に動くと言った二人を思い出していたのだ。

 

「後悔してるのですか?」

 

そんな、マリアの様子を見兼ねた見兼ねたナスターシャ教授がそう聞く。控えてるウェル博士も口には出さないがマリアたちの様子を見ていた。

ナスターシャ教授の言葉にマリアが首を振る。

 

「大丈夫、私は私の役割を全うする」

「…役割ですか」

 

マリアの言葉にウェル博士が反応する。直後に通信が鳴りナスターシャ教授がスイッチを入れると一人の人物が映る。

 

「これは、地獄大使。どうかしましたか?」

 

通信相手は死神博士と同じショッカーの大幹部である地獄大使だった。

 

『ネズミどもが来たぞ、貴様らの知り合いか?』

 

そう言った直後に地獄大使が外の映像を見せる。その映像には銃を持った完全武装の兵士がこの廃工場を囲んでる姿が何人も映っている。

 

「本国からの追ってですか」

「此処が嗅ぎつけられたの!?」

「異端技術を使うとはいえ、私達は素人の集団。訓練されたプロに立ち回れるとは思わない方がいいです。マリア、排撃を出来ますか?」

「!排撃って、相手はただの人間。ガングニールの一撃を喰らえば…」

 

ナスターシャ教授の言葉にマリアは躊躇する。同じ人間である以上、マリアの甘さが最大の弱点と言えた。そして、その様子を黙って見守るウェル博士。

 

━━━ソロモンの杖を先生に渡したのは早計でしたかね?

 

『貴様らが出来ないと言うなら、我等ショッカーがゴミ掃除をしてやろう。死神博士から貴様たちを守ってやれと頼まれたからな』

 

躊躇うマリアに業を煮やした地獄大使の言葉と共に入り口が爆破され何人もの兵士が入って来る。兵士達の目的はマリア達の殺害、或いは捕縛して本国に送る事である。経験も豊富な兵士達にとって楽な任務の筈だった。

 

「ぎゃあああああああああああああ!!!!」

 

一人の兵士の悲鳴が辺りに響く。何事かと声の方を向いた兵士達が見たのは、

 

「キーリー!」

 

虫のような人間大の化け物が何人もの兵士に火炎放射を振りまいている。

 

「ば、化け物だ!撃てええぇぇぇぇぇ!!!」

 

兵士達が銃を乱射する。外れもあるが殆どの銃弾が化け物に命中する。しかし、

 

「こそばゆいぞ!人間ども!!」

 

銃弾が直撃しようがダメージらしいダメージが無い。更に、

 

「殺人レントゲン!!」

 

エアキャリアの上に陣取っていた鳥のような怪物が一瞬、目から光を放つと何人もの兵士が骨だけになり、

 

「死ねぇい!」

 

怪物が首に巻き付いてる蛇の口からのガスを出し浴びた者は骨すら残らず溶ける。など大被害が出る。

 

そして、その様子はエアキャリア内のマリア達も戦々恐々で見ていた。

 

「…酷い!」

「…ウップ!!」

 

これは最早戦いではない。ただの虐殺だった。流石のウェル博士もこの様子に口元を押さえる。何も言わないナスターシャ教授だが、苦虫を嚙み潰したよう表情だ。

アメリカの特殊部隊は僅か数人足らずの怪人達にアッサリ壊滅する。怪人を倒したければ本格的な軍隊を連れて来るかシンフォギア装者か弦十郎を連れて来るしかない。

 

「ヒイ…ヒイ…」

 

一人生き残った兵士が何とか廃工場から逃げ出した。急いで本国と連絡しようとするが無線機が壊れていて動かない。こうなったら日本政府に泣きつくしかないと思った兵士だが、横を見ると、

 

「おじさん、大丈夫?」

「もしかしてサバゲーでもしていたの?」

 

突入時の爆発音が聞こえ様子を見に来た野球少年の何人かが兵士に聞く。

 

『君達、早く逃げなさい!化け物がいるぞ!!』

「「「?」」」」

 

その少年たちに兵士が叫ぶが生憎、英語で少年たちに伝わらない。なら、一緒に逃げようとしたが、

 

「何処へ行く気だ?」

 

足元からの声に下を見ると地面と同じ茶色い色をした腕と頭に緑色のした目をした怪物が兵士の足を掴んでいた。

直に後に穴に引き釣りこまれた兵士の悲鳴が響くが直に止み、穴から出た怪物が骸骨をその場に置く。口に血をしたたせながら。

これにも、少年たちも愕然とする。怪物を見たのもそうだが、大人の兵士がアッサリと骨にされたのが信じられなかった。

 

「?ガキどもか」

 

そして、少年たちの存在は直ぐに怪物に知られ、上司である地獄大使に通信を送る。

 

「目撃者です。どうしますか?」

『消せ』

 

即答で答える地獄大使。元よりショッカーは目撃者を消してきた。今回もそのつもりだ。

 

『待って、その子たちはまだ子供よ!』

 

マリアが止めるよう通信するが怪物…怪人達がマリアの言葉で止まる事はない。子供たちは逃げ出す間も無く怪人に殺された。それを見ていたマリアの口から慟哭が響きナスターシャ教授とウェル博士がそれを見届ける。

 

 

 

 

そして、怪人が兵士を皆殺しにした頃に切歌と調も歌い終わり観客たちもクリスの時のように惜しみない拍手が飛び交う。それを満更でもない表情で喜ぶ切歌と調。

 

「…良い歌でしたね」

「何故…歌う者同士が戦わねばならんのか?」

 

二人の歌を聞いていた響と翼も思わず漏らす。響も翼も戦いたいから戦う訳ではない。全ては打倒ショッカーの為だ。

 

「ふぁ~、やっと終わったか」

 

尤も、そのショッカーの大幹部は眠くてしかたなかったが。そしていよいよ切歌と調の得点が発表されようと言う時に切歌と調に通信が入る。

ナスターシャ教授からで、内容は先程襲撃を受けた事、此処を一時的に離れる為、一旦戻る様の趣旨だった。その命令に悔しそうにする切歌だが調が切歌の手を引っ張ってその場を後にしようとした。

 

「調!」

「マリアが居るから大丈夫だと思う。だけど…」

 

調の言葉を聞いて納得するしかない切歌。その時、前方にいたコートを着込んだ者に当たり二人はよろけてしまう。

 

「…ごめんなさい」

「気を付けるデス!」

 

穏便に済ます為に調が謝罪するが切歌がけんか腰で文句を言う。一瞬、焦る調だがコートを着込んだ者は二人に一瞥する事無くステージの方に向かていく。切歌と調を追おうとしたクリスも翼もその人物に注目し響は胸騒ぎを感じていた。

 

「あ、あなたも飛び入りですか?もう直ぐ、あの子たちの点数が発表されますからそれまで…きゃああ!!」

 

司会をしていた生徒がステージに上がろうとしていたコートの着込んでいた者に少し待ってもらおうとしたが返事は拳だった。

 

「おい、なんだよあれ!?」

「誰か警備員、呼んでこい!」

 

その光景に会場が騒めき出す。クリスも今切歌と調に接触するか迷う中、ステージに上がった者がコートを脱ぎ棄て帽子とマスクも脱ぎ去る。

 

「エエエーーー!!」

 

コートを脱いだ者の姿は亀の姿をしていた。

 

「なんだ?また電光刑事バンでも歌うのか?」

「さっきの女生徒より完成度高くない?」

「でも、電光刑事バンにあんなキャラ出てたかな?」

 

突然乱入した亀男を先程女生徒が歌っていた『電光刑事バン』のキャラだと思い込む観客たち。しかし、

 

「響、あれって!?」

「あのベルト、間違いない!ショッカーの怪人だ!」

 

響達は亀男をショッカーの怪人だと気付く、

 

「切ちゃん、あれって!?」

「あの時、居た怪人!?」

 

様子を見ていた切歌と調も驚いている。その時、自分達に近づく一人の男が、

 

「二人共、これを」

「え?」

「あなたは一体?」

「死神博士の命だ。死にたくなければ掛けるように」

 

突然、男に手渡されたのは二つのサングラスである。色々知りたかった二人だが、死神博士の名が出ると渋々掛ける。

 

「やれ、カメストーン。愚かな者どもに貴様の力を見せてやれ」

 

「貴様たちに素晴らしい物を見せてやろう!」

 

そう言うと亀男は右手を翳して何かを見せようとする。

 

「!?翼さん、見ちゃいけない!」

「きゃあ!?」

 

咄嗟に響は傍に居た未来を押し倒して床へと伏せる。言われた翼も手でガードしようとしたが、

 

「見るがいい!殺人オーロラをな!!」

 

その瞬間、電気のついた明るい講堂に奇麗なオーロラが見えた。

 

 

 

 

 

 

 




本当は、死神博士が撤退して響達が追跡して原作の切歌と調を取り囲んだようにそのまま戦闘に行こうとしたけどマリアたちとショッカーの絡みが思いのほか長くなった。



言うなればマリアたちはショッカーと同盟を組んだ感じです。
内容的にはショッカーはマリアたちのサポートをしてフロンティアに行きマリアたちはショッカーにシンフォギアのデータを渡すといった感じです。ショッカーが何処まで約束を守るかは不明ですが。

尚、今回アメリカの特殊部隊を殲滅したのはカミキリキッドにフクロウ男、海蛇男とドクモンドです。

話の都合上、ユニコルンがカストディアンの生物兵器に、
ユニコルノスを聖遺物怪人2号にするためです。
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