改造人間 立花響のシンフォギア   作:一種の信者

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42話 少女は悪を裏切る夢を見るのか

 

 

 

「なに!?マリア側の装者が味方してるだと!」

「はい、響ちゃんや翼さんの報告です!」

「学院側の防犯カメラにも二人が味方してるのが映ってます!」

 

あおいの報告後に本部のモニターにも監視カメラの映像が映る。

 

学院の秋桜祭がショッカーに襲撃されて二課本部でも慌ただしくしていた。警備に回っていた黒服の大多数は避難誘導をし何人かが未来たちの居る講堂に救援にむかう。周りの生徒や観客の目を退ける為に偽のノイズ警報を出して響達をサポートしていたが、視界を奪われたクリスや、クリスを守る為にカメストーンの攻撃を受ける翼。響も二人の事を気にしてユニコルノスに防戦一方で完全に装者達が押されていた。

 

そこに、マリアと一緒に現れた少女の装者が響達を助けたのだ。モニターにはユニコルノスに無数の赤い丸鋸を飛ばすピンクのシンフォギア装者とカメストーンに鎌で攻撃する緑のシンフォギア装者が映る。

 

「この際、味方してくれるのはありがたい。…ありがたいが…」

 

あの二人の少女が味方してくれてありがたいと考える弦十郎。同時にその少女が何故、ショッカーの大幹部である死神博士と一緒に居たのか疑問に感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほう、あの二匹が」

 

死神博士が切歌と調が反旗を翻した事に大して驚きもしない。少し考えてカメストーンとユニコルノスに命令を出す。

 

「その二匹を殺せ!私が許す」

「…宜しいので?」

「あの二匹を殺したのは立花響を始めとしたシンフォギア装者の所為にすれば済む話だ。仮に小娘や教授が真相に気付いても脳改造なり洗脳なりすればいいだけよ」

 

ショッカーに逆らった事で死神博士が切歌と調を抹殺するようカメストーンやユニコルノスに言い渡した事に戦闘員が死神博士に伺うが、死神博士は笑みを浮かべてそう言い放つ。

何より、ショッカーにとっても死神博士にとっても、切歌と調は翼やクリスたちに比べ適合率の低い出来損ないの装者だ。ウェル博士の要請がなければ即実験室で解剖されていた程、ショッカーも期待してない二人だった。

 

「計算上、あの二匹が加わった程度では怪人達の勝率は揺るがん。ならば、より良いデータを引き出す為に使う事にしよう」

 

翼やクリスと比べ弱く適合係数を上げるLiNKERすら打っていない切歌と調が響達に加勢してどの程度戦えるか興味が湧く死神博士。

二人の装者が加勢し戦いが再び起こる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「死神博士の命令も出た。死ねぇ!小娘!」

 

カメストーンが手に持っている刺突剣で切歌に斬りかかる。緑色の鎌で弾く切歌だが翼の目には会場での戦い程、動きのキレが無い事に気付く。

 

━━━動きがあの時より鈍い?…!まさか、この子もLiNKERを使っていたのか!?

 

切歌がLiNKERを使って戦っていた事に気付いた翼。その刹那、切歌の鎌が弾かれ態勢を崩した。

 

「う!?」

 

「出来損ないの装者が!今、地獄に送ってやる!」

 

そう言ってカメストーンが切歌を刺突剣で突き刺そうとする。切歌の脳裏に諦めの言葉が響く。

 

━━━こんな事なら、あのマッドから一二本くすねれば良かったデス

 

ウェル博士に頼んでLiNKERを貰ってればと後悔する切歌。そのまま刺突剣が切歌の体に突き刺さるかに見えた。しかし、聞こえてきたのは金属音だった。

 

「ぬ!?」

 

「あ…」

「貴様の相手は私の筈だろ、カメストーン!」

 

カメストーンの刺突剣を弾いたのは翼だった。更に、

 

「死にぞこないが!ガっ!?」

 

忌々しそうに罵るカメストーンの体い赤い矢のような物が刺さる。見ればクリスがアームドギアのボーガンでこっちを撃ったのだ。一瞬、「赤いシンフォギア装者の目が見えるようになったか!?」と考えたカメストーンだが、片手で両目を押さえて痛みを感じてる事に気付きその線は無いと判断する。

 

ただの偶然か声のした方を狙ったのかはカメストーンには分からない。だが、未だに自分達が有利なのは変わらないと判断した。

 

「ムシケラどもが。とっとと死ねぇ!」

 

そう言って、再びカメストーンは背中の甲羅を投げつける。それを、切歌が躱し翼も今度はクリスの体を掴んで回避させる。それを見て舌打ちするカメストーン。

 

「…おい、アタシに策がある」

 

どう攻めたものかと考える翼と切歌にクリスが話を持ち掛ける。不安はあったが二人はクリスの話を聞く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私のα式のギアから出る丸鋸を出して、一つ目の怪人に攻撃してる。けど、

 

「ムシケラが一匹増えたところでどうにかなると思うな!」

 

怪人の体に当たるけど私の攻撃は一つ目の怪人、ユニコルノスには全く効いていない!それどころか私の攻撃を物ともせずこっちに来る

 

「なら、これなら!」

 

そう言って、私は今度は大きい回転ノコギリでユニコルノスを攻撃する。これなら…

 

「無駄だ!」

 

でも、その攻撃もユニコルノスの拳一つで砕け散り、ユニコルノスの蹴りが私に命中して後ろに飛ばされる。LiNKERが無いと私はここまで役立たずなの!?

 

「危ない!?」

 

壁に激突して背中の衝撃を覚悟した私だけど直後に誰かが私の体を受け止めてくれた。目を開いて後ろを見ると立花響が私の体を抱きとめていたのだ。正直、彼女の体は固くて痛かった。でも、また私は助けられた

 

「…ごめんなさい…」

「え?」

 

私の口からお礼より謝罪の言葉が漏れた。たぶん、あのイカれた死神博士の行動の所為だと思う

 

「…私達は…こんな大事に…する気なんてなかった。私も…切ちゃんも…皆の楽しみを…壊すつもりなんて…ごめんなさい…」

 

私の目から熱いものが流れそうだった。私達の所為でお祭りを台無しにして…。偽善者だと見下していた立花響にこんな話をするなんて…

 

「あなたの名前は?」

「…月読調(つくよみ しらべ)」

「そっか、じゃあ調ちゃんだね。調ちゃんは何も悪くないよ、悪いのはショッカーなんだから。調ちゃん達が来なくても死神博士は会場で殺人オーロラ光線を流していた筈だし」

 

立花響…彼女に元気づけられた。確かに、死神博士なら私達が居なくても作戦を実行していたかも知れない。だけど、

 

「…でも…私達は…ネフィリムの…食料として…風鳴翼と雪音クリスのギアの…ペンダントを奪おうとして…」

「うん…うん?」

 

私の言葉に彼女は言葉を詰まらせる。当然だろう、仲間のギアを奪おうとしていたんだから

 

「なに無駄話をしている!?二匹纏めて化石にしてくれる!」

 

私達の会話中にも攻撃を仕掛けて来る怪人、私と彼女はギリギリでジャンプして避けて何とか着地する。それにしても、この怪人も強い!

 

「色々言わなきゃいけない事や聞かなきゃいけないとは思う。でも今はユニコルノスを一緒に倒そう」

 

そう言って彼女は私に手を差し出す。少し考えて私は立花響の手を取った。ショッカーはFISより非道な組織だ、野放しにしてはいけない。…それにしても彼女の手に力が全く入ってなかったのはどうして?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふむ、中々良いデータではないか」

 

戦闘員が支えるノートパソコンを弄っている死神博士がそう漏らす。立花響や風鳴翼に雪音クリスだけでなく月読調に暁切歌のデータまで手に入れてるのだ。

 

「しかし…」

 

だが、死神博士はパソコンのデータを見て首をかしげる。

 

「暁切歌と月読調の能力データが想定以上に高い。ウェルが渡したデータより上回っている?」

 

ウェル博士から渡されたデータチップに入っていたデータでは切歌と調の身体データ及び戦闘データでもここまでの伸びは無かった。一瞬、パソコンがバグってるのかと思った死神博士だが、調べてもバグの様な物は発見できずにいた。

 

「ゾル大佐が残したデータではシンフォギアは感情によって性能も変わると聞いたが…それを考えればユニコルノスの能力が想定以上なのも納得できるか?」

 

ノートパソコンのモニターに映るユニコルノスの能力数値が想定よりも上がっている。ユニコルノスはシンフォギアではなく聖遺物を流用して生み出された怪人だ。そのユニコルノスの力が想定よりも上がってる事に死神博士が何か考え付く。

 

「ん?」

 

その時、ノートパソコンから警告音が響く。何事かと調べた死神博士はそれがカメストーンの脳波が乱れてる事に気付き、立花響からカメストーンの方に視線を向ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「離せ!離せ、小娘!!」

 

「嫌デス!絶対に離さないデス!!」

 

カメストーンと切歌の言い争いが起きていた。よく見ると切歌がカメストーンの顔を体で遮るように抱き着いていた。これではカメストーンは前が見えない。

 

「貴様に恥じらいという物はないのか!?地味に暑苦しい!!」

 

「怪人に言われたくないデース!」

 

頭を振り回し切歌を振り払おうとするカメストーン。離れるかとカメストーンを顔をガッチリ掴み自分の胸部で目隠しする切歌。膨らみかけの切歌の胸がカメストーンの顔に当たるが、今更人間に興奮するカメストーンではない。足や腰に手をかけて引っ張ろうとしていた。

 

 

 

 

 

 

「何をしとるんだ、あの馬鹿は!?カメストーン、遊んでないでさっさとその小娘を始末しろ!」

 

切歌にいいようにされてると判断した死神博士が、カメストーンに改めて抹殺するよう命令する。大方、目の見えなくなった二人の装者を逃がす為の行動だろうと読む死神博士。その証拠に二人の姿が何処にも見えない。

 

「無駄な事を」

 

カメストーンの殺人オーロラ光線を見た者は確実に死ぬ。仮にこの場を逃げられても数日もしない内に激痛にのたうち回り、最後に溶けて死ぬのだ。そう死神博士は考えて居た。

しかし、死神博士は気付かなかった。カメストーンの背中の甲羅が外れていた事を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ええーい!こうなればこの剣で突き殺してやるわ!!」

 

死神博士の叱責に慌てたカメストーンが持っていた刺突剣で切歌の体に突き刺そうとした。切歌もカメストーンの刺突剣を見て息を飲むがカメストーンの顔を決して離しはしなかった。

 

「死ぬがい「死ぬのは貴様だ!!」い!…!?ギャアアアアアアアアアアアア!!!」

 

今まさに、切歌の体に剣が突き刺さろうとした瞬間、翼の掛け声と共にカメストーンは背中に激痛が走る。

 

「なに!?」

 

その戦いを見ていた死神博士が驚きの声を上げる。姿が見えず逃げたと思っていた翼が上から落下してきて持っていたアームドギアの剣を甲羅のないカメストーンの背中に突き立てた。

 

「風鳴翼、貴様逃げたのではなかったのか!?」

 

「防人が逃げる筈がないだろう!」

 

死神博士の疑問の声にそう反論する翼。事実、翼はカメストーンの一瞬の隙を待って行動に移していた。切歌が危険な役割を買って出て、この一撃に繋がったのだ。

 

「やるではないか。しかし、怪人の生命力を舐めて貰っては困る!」

 

「エエエーーー!!」

 

死神博士が言い終えると共にカメストーンも咆哮し、背中に手をまわして翼の剣を掴む。更にもう一本の手で切歌の頭掴む。

 

「あぐっ!?」

 

途端、切歌の頭から骨のきしむ音と悲鳴が聞こえる。このままでは切歌の頭蓋骨が砕かれて殺される。その様子に気付いた翼が更に剣を突き立てる。止めようとするカメストーンだが、片手ではろくに翼の渾身の力を入れてる剣を止める事が出来ない。そして、翼の剣がカメストーンの胸から飛び出し貫通したのだ。断末魔の悲鳴を上げるカメストーン。

 

「今だ、雪音!」

「おうよ!」

 

「あの娘、あんな所に!?」

 

翼の声にクリスが草むらから姿を現す。その姿はボーガンのアームドギアがガトリング砲に代わり腰から小型のミサイルも展開して()()()()()()()()()()()()()()()それに驚く死神博士、片目が見えない翼なら兎も角、完全に盲目になったクリスは足手まといとして別の場所に移動させたと思っていた。

 

これが、クリスの考えた策だった。切歌がカメストーンの目隠しをして翼がカメストーンの隙を見つけ甲羅の取れた背中にキツイ一撃を入れる。そして、最後に自分の射程内にカメストーンを誘導して、そこで最後の一撃を加えるのだ。

 

「地獄に行って閻魔様に詫び続けろ!亀野郎!!」

 

目が痛む中、クリスのアームドギアのガトリング砲と小型ミサイルが一斉に火を噴き弾丸がカメストーンに迫る。当たる直前に翼は切歌の腕を取り共にカメストーンから離れる。

 

切歌が離れた事で視界が戻ったカメストーンだったがクリスの攻撃が目前に迫る。風鳴翼に一撃を喰らわされたとはいえこの程度の攻撃ならまだ避けられる。そう判断したが、

 

「!?」

 

避けようとしたが体が動かない。そこでふと自分の影を見ると短剣が一本突き刺さっていた。

翼の影縫いだ。離れる寸前に翼はカメストーンの影にアームドギアの短剣を刺し影縫いをしていたのだ。クリスの攻撃を避ける術がない。

 

「し…死神博士ええええぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

最後に、カメストーンが死神博士の名を叫ぶ。ただの断末魔か、死神博士に助けを求めたのかは謎だがクリスの攻撃が全てカメストーンに当たり大爆発を起こす。衝撃波と熱風がクリスに降り注ぎ翼に近くに着地する。それでもクリスはガトリング砲を下げる事無く構えたままにする。万が一、カメストーンを仕留めれなかった時に直に攻撃できるようにだ。だが、直ぐにその必要もなくなる。

 

「…!見える…見えるぞ!!」

「私もだ、雪音」

 

クリスの両目に光りが戻り、翼の片目も元に戻った。カメストーンが死んだ事で殺人オーロラ光線の能力も消滅したのだ。未来が居る会場でも目が元に戻る者が出始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「カメストーンがやられただと!?」

 

響と調と戦っていたユニコルノスが驚愕の声を出す。視力を完全に奪われた装者と半分奪われた装者に出来損ないと言われた装者。三人いるとは言えカメストーンの敵ではないと聞いていた。しかし、結果はカメストーンは装者の誰一人殺せず逆に倒されたのだ。その結果に茫然としてしまったユニコルノス。

 

その隙を逃す程、調も響もボケてはいない。

 

「今だ!」

「うわああああああああ!!」

 

調の声に響が反応し、腰のブースターを吹かして一気にユニコルノスに近づく。構えてる腕のギアは既に最大限引っ張り、何時でも打ち込む事が出来る。

 

「ユニコルノス!!」

 

「しまった!?」

 

カメストーンがやられた事に意識がいってしまったユニコルノスが響に意識を戻すと、既に響は腕を繰り出しユニコルノスの顔面に当てていた。更に響の腕のギアが一気に押し込まれ衝撃がユニコルノスに襲い掛かる。

 

「いけええええええええええええ!!!!」

 

「こんな事があああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

響が拳を一気に振り抜く。ユニコルノスが勢いを殺せず化石化した木に激突して更に他の木々もなぎ倒していく。

 

「ハア…ハア…」

 

渾身の力で殴った響の息が乱れる。ユニコルノスから少なくないダメージに渾身の力を使ったのだ。響もかなり消耗している。少しフラ付く響に調が駆け寄る。

しかし、響が調の前に手を出し制止するような仕草をする。

 

「動かないで…」

「え?」

 

響がただ一言そう言った。調には分からなかったが、響はまだ感じていた。自分達に対する殺意を。その時、一本の丸太が飛んできて響も調も躱す。躱した丸太は出店の一つに直撃して煙が上がる。その様子を見た調が汗を掻きつつ響に視線を戻す。やはり、響は前方を睨んでいた。

 

「殺してやる!殺してやるぞ!!小娘!」

 

殺意に満ちたユニコルノスの声がすると突然、響の前にユニコルノスが姿を現す。此方に向かって来た動きが一切見えなかった事に調も響も驚く。

 

「透明になっていた?」

「あるいは瞬間移動?」

 

ユニコルノスの動きに二人が予測を立てる。怒りのユニコルノスの顔にはヒビが入り左右対称になっていた顔の横の出っ張り部分も一部が欠けている事からダメージはあったと予想される。

響と調が構えて戦う姿勢を見せる。が、

 

 

 

 

 

 

「戻れ、ユニコルノス!」

 

「「!?」」

 

死神博士がユニコルノスに戻る様言い放つ。不満に思うユニコルノス何か言おうとするが、

 

「カメストーンが敗れ赤いのと青いのの目も回復する。これ以上の戦闘に意味はない」

 

その瞬間、空から黒い影が差し何かが降りてきた。それは調の知らない怪人だった。

 

「蝙蝠男にドクガンダー!」

 

その怪人達を知っている響が怪人の名を言う。死神博士の言葉に舌打ちをするが大人しく従うユニコルノスは蝙蝠男の足を掴んで空を飛び、死神博士もドクガンダーが回収する。

 

「逃がすか!?」

 

「貴様たちはこいつ等の相手でもしていろ!」

 

「イーッ!」「イーッ!」

 

死神博士が言い終えると同時に突然何体もの戦闘員が現れる。それも地獄大使の時に見た骨のマークの戦闘員だ。これでは死神博士を追う事は出来ない。

 

「こいつ等、何処に隠れてやがった!?」

「兎に角、戦闘員を倒すんだ!」

「デース!」

 

「翼さんにクリスちゃん!良かった…」

「切ちゃん!」

 

丁度、響達に合流した翼やクリスも戦闘員との戦いに入る。ショッカータワーの時いほど数も居ない戦闘員だったのであまり苦戦はしなかったが、少し時間が掛かり戦闘員が全滅した頃には死神博士が見えなくなっていた。直後に本部から講堂に居た観客や生徒の目が回復した事を知らされる。

 

 

━━━カメストーンが倒されたのは驚いたが、その分データも得られた。それにしても、ユニコルノスに一撃を入れた時の立花響の能力は想定以上だ。特異災害対策機動部二課に更に改造されたのか?あるいはフィーネにでも…

 

ドクガンダーに回収され空を飛ぶ死神博士は、響が想定以上に強くなってる事に内心驚いていた。

 

 

 

 

 

 

 

「本当に行くの?」

「なんだったら本部に保護も出来るぞ」

 

「ううん、もう決めたデス」

「私達が裏切ったって知ったらマリアやマムが危険」

 

戦闘員を全滅し本部から被害者の目が治ったと聞いた後に切歌や調が戻ると言い出す。ある程度事情を聞いた響達が止めようとするが二人の意志は固かった。本来なら自分達も一緒に行ってマリアやマムという人物を保護した方がいいのだろうが、作戦を失敗した死神博士がまた学院を狙わない保証がない以上戦力を割けれない。

 

結局、響達は切歌と調を見送った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

講堂では、目が完治した観客や生徒が外に出つつ喜びを分かち合っていた。何人かの救急隊員も来ており怪我をした人の手当てもしていた。その場に、制服に戻った響達も来て皆の様子を見てホッとする。

 

「響!」

「未来!」

 

響達の姿を見つけた未来が走り寄って来る。

 

「皆の目が元に戻ったの!」

「…良かった」

 

未来が嬉しそうに全員が回復した事を知らせ響が良かったと呟く。

 

━━━カメストーンを倒したからかな?

 

響の視線が翼とクリスに向かう。翼は救急隊員に何かしらの指示を出し、クリスは泣いている子供の世話をしていた。その姿を響も何か手伝えないかと思った。が、

 

「もう、ノイズまで現れるなんて!」

「秋桜祭が台無しよ」

「私の出店壊されてる!皆と一緒に作ったのに!!」

 

「…」

 

カメストーンの殺人オーロラ光線の被害者の生徒たちが談笑をするが、自分達の出店の様子を見に行った生徒が壊されてる事を知って泣きながら戻って来た。他の生徒たちが眺める中、響は拳を握りしめ歯を食いしばる。

 

「響の所為じゃないよ」

 

その様子に気付いた未来が響の拳をソッと触る。未来は響がショッカーが襲って来た責任を感じてる事に気付いてそう励ましたのだ。響もそれに首を縦に振るがやはり悔しそうであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日も傾きかけた夕方、嘗てリディアン音楽院があり今はフィーネの作ったカ・ディンギルの残骸が解体される現場近くに一機の大型ヘリ「エアキャリア」が止まっている。

 

そして、エアキャリアの外に二人の人間が居た。マリアとナスターシャ教授だ。切歌と調の待ち合わせ場所は此処に指定され二人が来るのを待つマリア達。尤もマリアの顔色は優れなかったが。

 

「マリア!」

「マム!」

 

二人の少女…切歌と調の声がして見ると二人が急いで此方に向かっていた。

 

「…遅かったわね」

「二人共遅刻ですよ」

 

予定の時間より遅れた事に切歌と調に小言を言うナスターシャ教授。

 

「う…」

「…ごめんなさい」

 

二人の謝罪にマリアは溜息をつくと二人を抱きしめた。

 

「心配したんだから」

 

内心、時間になっても来なかった二人の身を心配していたマリアは二人の無事を純粋に喜んだ。

 

「マリア!」

「良かった。マリアの中のフィーネもまだ覚醒してないのね!」

 

三人が喜びあい、その様子を見ていたナスターシャ教授も少しだけ笑みを浮かべる。しかし、

 

「イーッ!」「イーッ!」

 

それに水を差すように戦闘員が三人の周りを取り囲む。

 

「なに!?何のつもり!」

 

二人を守るようにマリアが戦闘員に立ち向かう。切歌と調は戦闘員の姿を見て渋い顔をする。

 

 

 

 

「何のつもりは此方のセリフだ」

 

 

 

 

エアキャリアから誰かが降りて来る。鞭を片手に笑みを浮かべてるが目が笑っていない。

 

「地獄大使」

「ゲッ!」

「地獄大使も一緒に…」

 

マリアが地獄大使の名を呟き切歌と調も嫌なの物見た反応をする。

 

「死神博士から連絡があったぞ。その二匹の小娘は作戦の邪魔をし、あまつさえ特異災害対策機動部二課の装者に協力して怪人の撃破を手伝ったのだからな」

 

「…何ですって!」

 

地獄大使の言葉にマリアは驚き二人の顔を見る。二人が顔を逸らしたりした所為でそれが事実と分かるマリア。

 

「我等、ショッカーに逆らった以上、その二匹は処刑する」

 

そう言い終えると同時に、取り囲んでいた戦闘員がマリアたちに近づく。マリアの顔色が青くなる。

 

このまま、切歌と調はショッカーに処刑されるのか!?

 

 

 

 

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