改造人間 立花響のシンフォギア   作:一種の信者

49 / 172
43話 悪魔の博士 その名は死神

 

 

 

「怪我人が何人か出ましたが被害者の殆どが回復しました」

「此方の守秘義務の手続きも概ね完了です」

 

特異災害対策機動部二課本部にて、カメストーンの殺人オーロラ光線の事件の後処理をしていたオペレーターコンビ。

 

「何とか片付いたが、ショッカーが直接学院を狙うか」

「…世界征服を狙ってるんだ。学院の人間なんてあいつ等には関係ないんだ!」

 

事態が治まりホッとする弦十郎だが、クリスは危機感を持ってそう言う。一般人を攫い奴隷にしたり改造人間にしたりするショッカーの事だ、今更学院の一つや二つの人間を虐殺する事なぞ何の躊躇もない。何よりカ・ディンギルの時にも学院を襲っている。

 

「私が気になるのは死神博士の言葉です。『特別な作戦が成功すればショッカーはもう隠れる必要がなくなる』と」

「特別な作戦だと!一体、どんな作戦なんだ」

「どうせ碌な作戦じゃないぜ」

 

翼や弦十郎にクリスがああでもないこうでもないと言い合う。元よりショッカーの作戦など予想も出来ない二課では憶測でしか言えず皆が頭を抱える。そんな中、翼が響の様子に気付く。弦十郎たちの会話に混ざらずただ俯いている姿に翼が声をかける。

 

「どうした、立花。何か考え事でもあるのか?」

「あ…いえ…」

 

翼の声に弦十郎もクリスも響の方を振り向く。三人に見られた響だが一息入れて何か言おうとした。その瞬間、本部に警告音が流れる。

 

「外部からの強制通信です!」

 

『聞こえるかね?特異災害対策機動部二課の諸君』

 

本部のモニターに突如老人の姿が映る。一見老人に見えるがその姿に誰もが息を飲む。

 

「…死神博士」

「あれが…」

 

その人物は間違いなく先程事件を起こしたショッカーの大幹部、死神博士だった。

 

『ふむ、聞こえてるようだな。ならば聞け、今日の○○時に暁切歌と月読調の処刑を行なう』

 

「「「「!?」」」」

 

死神博士の言葉にその場にいた響達以外の本部の人間も息を飲んだ。切歌と調の二人が響達に協力したのは事実だが、こうも早く処刑を決めるとは、

 

『処刑場所ぐらい教えてやる。助けに来るかは貴様ら次第だ』

 

そう言い終えると通信が途切れる。

 

「死神博士より場所が添付されました!此処は!」

「どうした!?」

「…東京番外地、特別指定封鎖区域!」

「!そこは!?」

即ち、カ・ディンギルのあった場所だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

響や翼、クリスが走る。死神博士が指定した時間まであまり猶予がない。カ・ディンギルの跡地は戦いの影響が残っており道が荒い。現在、カ・ディンギルの残骸は解体されようとしていたが、道の整備まではしていなく、運動の得意でないクリスが途中にへばったりしたが、

 

「うわああ!!」

「休んでる暇はないぞ!」

「師匠!?」

「叔父様!?」

 

疲れで動きが遅くなったクリスを担ぐ弦十郎の姿に驚く一行。司令官である弦十郎が本部を離れて良いのかと考えるが、

 

「ショッカーの事だ、どんな罠を仕掛けてるか分からんからな。お前達だけ戦わすのが大人ではない」

 

その一言に納得する翼や響。本部ではオペレーターたちが目を光らせ何かあった場合は直ぐに弦十郎に知らされる。万が一の時は事務次官などに根回しもしている。何をしてくるか分からないショッカーにもし三人で手も足もでなかった場合、弦十郎が命を賭けて戦う気だ。そうこうしてる内に死神博士が処刑場所と言った場所に着く。

 

「待ちかねましたよ」

「やはり着よったな」

 

その場所には二人に人影が居り、その一人が話しかるともう一人も話しかける。響達はこの声の主を知っている。

 

「ウェル博士に死神博士!?」

「その言葉、やはり罠か!」

 

死神博士とウェル博士の姿を確認する。死神博士の手にはソロモンの杖が握られている。

 

Balwisyall nescell gungnir tron

Imyuteus amenohabakiri tron

Killter Ichaival tron

 

三人がそれぞれ聖詠を歌いシンフォギアを纏う。その姿を黙って見ている死神博士とウェル博士。

 

「死神博士、調ちゃんたちを開放して!」

「処刑なんてさせねえぞ!」

 

響とクリスの言葉に死神博士が笑みを浮かべる。

 

「処刑?なんの話だ。あの二匹にはまだ利用価値がある」

 

「如何言う事だ!?」

 

「分からないんですか?全ては君達を誘き出す為の罠ですよ」

 

弦十郎の質問に答えるウェル博士。全ては響達を此処に呼び寄せる為の罠だった。

 

「なら、調ちゃんと切歌ちゃんは!?」

「一体何を企んでいる!FISにショッカー!」

 

「企む?人聞きが悪い。僕達が望むのは人類の救済!」

 

翼の質問に答えるウェル博士はそう言って指を月に刺す。ルナアタックで欠けた月が尚も輝いていた。

 

「人類の救済?」

「嘘だ!ショッカーがそんな事考えるものか!」

 

「そうでもありませんよ、僕達の目的は月の落下にて損なわれる無辜の命を可能な限り救い出す事だ」

 

「「「!?」」」

「月だと!?」

 

ウェル博士の言葉から驚くべき事が言われた。月が落下すると言うのだ。

 

「月の公転軌道は各国で三カ月前から計測中!落下などと結果が出れば黙ってる訳が「装者というのは随分とマヌケだな」…なに!?」

 

翼の言葉を死神博士が馬鹿にする。翼が死神博士を睨みつけるが死神博士はそれを意にも返さず言葉を続ける。

 

「対処法の見つからん極大災厄など為政者なら誰が発表したがる?」

「これを愚民たちが知ればただ混乱するだけですよ。不都合な真実を隠蔽する理由など幾らでもありますからね」

 

「まさか、この事実を知る連中ってのは自分達だけ助かろうとしているのか!?」

 

「フフフ…愚かな人間らしいだろ?知らんのは貴様たちばかりだな」

 

クリスの怒気の混じった言葉に返答する死神博士。おかしくて仕方ないのか不気味な笑みを浮かべている。

 

「対して僕達はある一つの解決法を思い付きました」

 

「解決法だと!一体それは!?」

 

ウェル博士の言葉に翼が質問するが、

 

「貴様らが知る必要はない」

「イーッ!」「イーッ!」

「ついでだ」

 

死神博士が一方的に言い終えると四方八方に戦闘員が現れる。それも強化改造された骨戦闘員が学院の時よりも多く手には刺突剣や槍なども持っていた。更に、死神博士はついでにとソロモンの杖から何体ものノイズを出す。響以外が臨戦態勢を取る中、

 

「…最後の質問、何で学院を襲ったの?私だけを襲えばよかったのに!?」

「え?」

「おい…」

「響くん?」

 

翼たちが響の質問に目を丸くする。響の様子が何かおかしいという事には気付いてはいた。しかし、それを聞き出す暇がなく響はずっと抱え込んでいたのだ。

 

「あなた達が私を狙っているのは知っている。でも他の皆を巻き込むのは…」

 

響はずっと苦悩していた。ゾル大佐を倒してショッカーは機能不全に陥り後はそれぞれの国の警察の仕事だと思っていた。しかし、翼のライブの事件にショッカー首領の言葉、更に二人の大幹部が現れまた自分の命を狙って来たのだ。それ自体は響は構わないと思ている。だが自分の所為で他人が巻き込まれる事を望まない響には我慢が出来なかった。何より皆が楽しみにしていた秋桜祭が最後に滅茶苦茶にされた事も響には許せなかった。

 

「何を言っている?全ては貴様の所為ではないか」

 

「!?」

 

それ故に響の耳に死神博士の言葉がよく響いた。

 

「貴様がショッカーから逃げたのが全ての原因だろ。何を我々に責任を押し付けている?貴様が逃げなければ他の者達は巻き込まれず済んだものを」

 

「私の…私の…所為…」

「おい!?」「立花!?」「しっかりするんだ、響くん!」

 

響の様子がおかしくなっている事に気付いた翼たちが響に呼び掛けるが段々と響の耳に届かなくなり死神博士の言葉だけがハッキリと聞こえだす。

 

「そうだ、全てはお前の所為だ。お前が逃げた事で沢山の人間どもが人生を狂わされ殺されたのだ」

 

「私の…所為…」

━━━やっぱり私の所為なんだ。私がショッカーから逃げたから…

 

「さあ、立花響よ。全ての原因は貴様なのだ、これ以上犠牲を出したくなければ…分かるな?」

 

「はい…」

 

他がぼやけて聞こえる中、死神博士の言葉がハッキリと聞こえる。その声は響の脳裏や心に木霊して何十にも聞こえだす。

 

━━━そうだ、私は生きていちゃいけないんだ。早く死なない「立花!!」と…!?

 

その時、響の耳に翼の声と共に頬に鋭い痛みが走る。そして、目の前に何時の間にか翼が立って右手を翳していた。どうやら響は翼にビンタをされたようだ。

 

「翼…さん…」

「正気に戻れ、立花!敵の言葉に惑わされるな!!」

「そうだぜ。それに、どうせショッカーの事だ!お前が逃げなくてもあいつ等は行動を起こしていた!」

 

翼とクリスの声に響は正気に戻る。気付けば戦闘員もノイズも攻撃を仕掛け、ノイズはクリスが戦闘員は弦十郎が相手をしていた。

 

「何時の間に…」

「立花が死神博士の言葉を聞き出して直ぐだ。私達も戦うぞ」

「はい!」

 

 

 

 

 

「あわよくば同士討ちをさせようとしたが上手くいかんものだ」

 

響が正気に戻って戦闘員やノイズと戦いだす姿を見て呟く死神博士。響が学院が襲われた事に責任を感じている事に気付き得意の催眠術を響に一瞬でかけ自滅させようとしたが仲間の装者に助けられ死神博士の策の一つが失敗した。

戦況は翼とクリスがノイズを次々と倒し、戦闘員の槍を奪った弦十郎が戦闘員の集団を文字通り薙ぎ払い響も戦闘員を倒していく。既に戦闘員もノイズも数は当初の四分の一も残っていない。

 

「前哨戦としてはまあまあと言ったところか。お前達、出て来るが!!」

 

ガァァー、ルルッ!! ギエーッ!! ケケケケケケッ!!

 

死神博士が呼び寄せるとどこからともなく不気味な声が聞こえ、響や翼たちも死神博士の方を向く。そこに三体の怪人がいた。

 

「ユニコルノス!」

「また出てきたか!?」

「後の二体は見たことないぞ」

「あれは俺も初めて見る」

 

一体は昼間、学院を襲撃したユニコルノスだった。響に暗かれた顔の突起も既に治っており回復が終わってる事が分かる。もう一体は頭に二本の角が縦に生え顔の真ん中に赤い口のような物がある怪人で、もう一体は目が赤両生類のような顔をした怪人だ。

 

「サイギャング、ザンジオー。お前達は赤いのと青いの、それから風鳴弦十郎の相手をしてやれ!!」

 

その命令にサイギャングとザンジオーはジャンプし翼とクリス、そして弦十郎の前に降り立ち三人を襲う。

 

「翼さん!クリスちゃん!師匠!」

 

「お前の相手は俺だ!」

 

三人の心配をする響だがユニコルノスが再び響の前に立ち塞がる。

 

 

 

 

 

 

 

「死ねぇ!装者ども!」

 

「化け物め!」

 

ザンジオーの吐く火炎を辛うじて避ける翼とクリス。ザンジオーが放った火炎は地面を焦がしノイズを焼き尽くし岩をも溶かす。

 

「なんて威力だ!」

「まともに喰らえば骨すら残らんか」

 

ザンジオーの放った火炎の威力に冷や汗を流す二人。下手をすればシンフォギアも焼き尽くされてしまう。

 

「どうだ!?これが日本アルプスに住む人食いサンショウウオ、ザンジオー様の実力だ!」

 

「日本アルプス、どんな魔境だよ!?」

 

クリスは素早くアームドギアのガトリング砲でザンジオーを攻撃する。しかし、クリスの放った弾丸は当たらずザンジオーの体が泡状になり移動を開始する。

 

「な!?」

「に!?」

 

これには翼もクリスも驚く。怪人の大多数は常識が通用しないがこのザンジオーもまた奇妙な能力を持っている。

 

「俺の異名を教えてやる!エリート怪人。それが俺だ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「たあああーー!」

 

弦十郎の拳がサイギャングに命中する。並みの怪人なら吹き飛んだりするがサイギャングはビクともせず、逆に弦十郎が殴った手が赤くなりパタパタと振る。殴っただけで手に相当なダメージがきた。

 

「なんて硬さだ!?」

 

「人間にしてはやるようだが俺には敵わんぞ!」

 

サイギャングと弦十郎の激しい攻防が起こる。弦十郎のパンチが何発も入るがサイギャングは退くこともなく逆にサイギャングの蹴りや拳が弦十郎に命中する。その攻撃によろける弦十郎、その口の端から血が流れる。

 

「これで死ねぇ!」

 

口から火炎を吐き弦十郎に止めをさそうとするが咄嗟にジャンプして躱す弦十郎。

 

「お前も火炎を吐くのか?」

 

「そうだ。お前の死体も火葬してやるよ!」

 

そう言い放つとサイギャングが再び弦十郎に火炎を吐く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今度こそ殺してやるぞ!立花響!!」

 

ユニコルノスが響に向け持っている鉄棒で襲い掛かる。ガードして反撃する響いだがユニコルノスの棒術に苦戦を強いられ腹部に重い一撃が入れられる。

 

「よし!…グフッ!?」

 

しかし、響も一方的にやられてはおらずユニコルノス顔面にカウンターの蹴り入れる。これに逆上するユニコルノスは更に攻撃をするが動きが単純化し響の攻撃が次々と入る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やはり、立花響の力が想定以上に高まっている。ユニコルノスも伸びてはいるが…」

 

死神博士が、戦闘員の用意したノートパソコンでそれぞれの怪人並び装者のデータも解析する。ゾル大佐から送られたデータと響の改造データを並べつつ比べてみると響の能力が想定を超えてる事に改めて気付く。

そして、ユニコルノスのデータを見て笑みを浮かべる死神博士。

 

「二課の装者も中々やりますね」

「ユニコルノスめ、不甲斐ないものだ。ウェル、例の物は?」

「何時でもいけますが」

「ならばやれ」

 

死神博士の言葉に頷くウェル博士。その口元は歪んでいた。

 

 

 

 

 

「さて、皆さん!僕が先ほど言った解決策をお話ししましょう!」

 

ウェル博士の声が木霊する。怪人と戦っていた翼もクリスも響に弦十郎も怪人を警戒しつつウェル博士に注目する。

 

「それは…ネフィリム!!」

 

その瞬間、地響きが起き地面から何か飛び出してユニコルノスの背後に着地する。

 

「あれは!?」

 

その姿を見て驚く響。それは紛れもなく廃病院で自分が殴り飛ばした化け物だったからだ。尤も体の大きさは響の伸長を超えており体中に黄色い光がある。

 

「人々を束ね、そしきをあみくにをかけて命を守護する!ネフィリムはその為の力!」

 

新たに現れたネフィリムが獣のような咆哮を上げる。翼もクリスもその気迫に汗を流す。

 

「フッハハハ!お前達はもう終わりだ!お前達のシンフォギアはネフィリムのエサとなるのだ!」

 

ユニコルノスが響に指さしてそう宣言する。その声は実に嬉しそうだった。

 

「エサ!?」

 

「そうだ、お前達ごとシンフォギアをエサにすればネフィリムは更に成長するのだ!」

 

そう言い終えるとユニコルノスは狂った様に笑う。もう直ぐ忌々しい立花響や翼にクリスもネフィリムに食い殺されると思ってるからだ。

 

「そんな事、させると…!?」

 

弦十郎がネフィリムを止めようとするがサイギャングが道を塞ぐ。同時にザンジオーも翼とクリスの足止めをしようとする。

 

「各個撃破するつもりか!?」

 

翼の叫ぶような声に死神博士は笑みを浮かべたままだった。ユニコルノスが笑い続けネフィリムが動き出す。その刹那、何かを引き千切る音が辺りに響いた。

 

「へっ!?」

 

違和感を感じたのはユニコルノスだった。腕が一瞬引っ張られた感覚がして、更にエサ候補だった響やクリスに翼と弦十郎が信じられない物を見たような表情をしている。試しに引っ張られた腕の方を見ると肘の先から無くなっており()()()()()()()()()()()()()()()事に気付いた。

 

「ネ…ネフィリム…貴様!?」

 

自分の腕が食われた。その事実に気付くのにあまり時間はかからなかった。

 

「ユニコルノスよ、貴様は一つ勘違いをしているな」

「勘違い…だと!?」

「ネフィリムのエサは貴様だ!」

 

死神博士の口からとんでもない言葉が飛び出しネフィリムの咆哮が響き渡る。

 

 

 




死神博士は洗脳が得意というので響との会話で一瞬で洗脳して自滅させようとしました。その為に、翼たちにお戦闘員やノイズで襲い掛かりましたが弦十郎とクリスのアシストで翼が響にビンタをして正気に戻しました。

そして、ユニコルノスは二度の響との戦いで死神博士に見切られネフィリムのエサにされた設定です。その為にユニコルンを聖遺物にしました。

明日辺り、シンフォギアの動画であるネタを見てちょっとやってみたくなったので小ネタを投下します。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。