1話 狙われた少女
雨
空から強い雨が降り注ぎ、時間帯も遅い。
そんな中、一人の少女が傘も差さず歩いている。
━━━雨、強くなってきたな。傘も隠されて何処にも無かったし
少女は雨の中、トボトボと帰る。
既にずぶ濡れで走って帰る意味もない。
少女の名は、立花響。
数か月前に起きたツヴァイウイングのライブでの惨劇。
其処から、立花響の人生は狂わされた。
マスコミの根も葉もない情報に踊らされた人々は生き残った人間達に対する嫌がらせを始めた。
立花響も学校でのいじめ、仲が良かった筈の近隣住民の嫌がらせ、何より遠方からわざわざ来て罵詈雑言を吐いてくる輩まで。
「……へいき…へっちゃら、…へいきへっちゃら…」
響の口から先日、失踪した父の座右の銘が出る。
忽然と姿を消した父に失望もしたが同時に納得もした。
まだ、直接的な暴力は振るわれてないが、響の精神は一杯一杯になりつつある。
━━━未来が居てくれたらな……掃除を全部押し付けられなかったのにな
━━━このまま濡れてたら未来みたいに風邪引くかな…
一人だけの親友を思いを胸に少女は歩き続ける。
小日向未来。
彼女と言う親友が居なければ、全て投げ出して逃げ出すか、心が壊れてしまっただろう。
それぐらい、彼女の存在は響にとってありがたかった。
『うおおおおおおお』
「?」
声らしき物が聞こえ少女は辺りを見回す。
雨の上にこの時間帯では、少女以外人影は見えない。
気の所為かと思いまた歩く。
しかし、立花響は、まだ知らない
『うおおおおおおお』
また聞こえた。
即座に振り向き辺りを見るが、やはり自分以外だれも居ない。
世界征服を企んでいる悪の組織が
「誰か居るんですか!?」
少女の声が空しく辺りに響く。
怖くなった少女が急いで帰ろうと前を見るが、
自分を狙ってるなどとは
「蜘蛛の…おばけ…」
目の前に蜘蛛の姿をした怪人が居た。
━━━私って…本当に呪われてる
その日、一人の少女が消えた。
家族や親友が探すが、世間の協力も無く、警察の捜査の進展はない。
メディアも最初は、面白おかしく騒いでいたが暫くすれば別の芸能ニュースを取り扱いだす。
やがて、家族と親友以外の人々は立花響の存在を忘れていった。
それから、1年半以上が過ぎ…物語は動き出す。
一人の男が、小学生くらいの女の子を腋に抱え上げ何かから逃げている。
事案ではない。
赤毛が特徴の赤っぽい背広を着た男が走りながら後ろを振り返る。
其処には、やたら派手な色をした変な物が追いかけて来る。
ノイズ
特異災害と言われる人類の天敵。
触れれば炭素の塊になり命はない。
その大群に追われていた。
「くっそっ、通信機を忘れなければ!」
男はとある組織の司令官をしてる。
今日は、偶々外出していた時にノイズと遭遇。
途中に母親とはぐれた女の子を発見し保護した。
「おじちゃん、前にも!」
逃げてる先にもノイズが現れる。
狭い道を走っていた男は立ち止まり後ろを見る。
やはり、ノイズの大群が追ってきていた。
逃げ道は無いかと思われたが男が渾身の力でジャンプして二階建ての家の屋根に上る。
屋根から屋根へジャンプし、その場を離れようとするが、
「うお!?」
飛行型のノイズが男に体当たりしようと迫る。
足場の悪さに苦戦をしつつ逃げるが、下からの突き上げる攻撃に男は咄嗟にジャンプして林のある自然公園に着地する。
「しまった!」
周囲には無数のノイズが取り囲む。
空は、飛行型がうようよしている。ジャンプで逃げるのは得策ではない。
ジワジワと近づくノイズに男は死を覚悟したが、
「危ない!」
何処から飛び出したのか少女が男の前に現れ、ノイズへと向かっていく。
「ま、待つんだ!」
男も、咄嗟の事で止めるのが遅れた。
しかし、その生死も聞かず、少女はノイズに拳を振るう。
そして信じられないものを見た。
少女の拳はノイズを一撃で粉々にした。
「シンフォギアも無しに!?」
ノイズもターゲットを少女に変更したのか男と女の子を無視して少女へと迫る。
戦い方はどう見ても素人だが、次々とノイズを蹴散らしていく姿に男は唖然とする。
しかし、ノイズの数は未だに無数に居る。
少女の体力は目に見えて落ちて息も乱れる。
「君、直に逃げるんだ!今なら逃げ道もある!」
少女がある程度ノイズを倒した事でノイズの数は減り上手くいけば逃げれるかも知れない。
だが、男に言葉に少女は目を瞑る。
「変身」
少女が一言言い終えると、少女の体が光る。
そして其処には、
「ガ…ガングニール!?」
変身した少女の姿だった。
それから間もなく、ノイズは少女が全滅させ辺りが静まり返る。
それを確認してから少女は歩きだすが、
「待ってくれ!それを一体何処で、それに君は誰なんだ」
男の問い掛けに立ち止まる。
ゆっくりと男の方に振り向く。
「私は…「イーッ!!」!?」
「な、何だ此奴ら!」
声をした方を見るとベレー帽を被り目の部分が開いたアイマスク、全身黒タイツ姿の男たちが何時の間にか居た。
「戦闘員」
少女がボソリと呟く。
「貴方達は逃げて!こいつ等の目的は私だ!」
そう言って、赤髪の男から離れる少女。
黒タイツの男たちも少女を追う。
男と少女はその様子を見続ける。
男達が少女へと襲い掛かる。どう見ても味方ではない。
少女の戦いに先程のキレがない。
素人とはいえ、ノイズに出してたパンチもキックも出さず、男達に攻撃を避けるだけ。
「君、暫く其処の木に隠れてなさい」
男が何か決意すると、女の子に隠れろと言う。
女の子も何か分かったのか言う通りに木に隠れる。
「イーーーッ!」「イーーーッ!」
「しつこい!」
戦闘員の攻撃を避けつつ距離を取ろうとする。
しかし、
「イーッ!」
「くッ!」
逃走経路を悉く塞がれてしまう。
拳を握るが、戦闘員の一人を押しのけ様ともがく、
「イーーッ!」
「わあ!?」
別の戦闘員が響にタックルする。
倒れた響に戦闘員が取り囲む。
逃げ場はない。
その時、
「女の子に何をしてるんだ!」
さっきの赤い髪の男が戦闘員の一人を殴り飛ばす。
いきなり攻撃された戦闘員は、男の方を向く。そして、少女も。
「貴方は…どうして…」
「何、さっきの御礼だ。それに、こいつ等は俺でも対処ができる!」
更に、もう一人の戦闘員の顔面を殴り飛ばす。
それからは、一方的だった。
取り囲もうが、奇襲しようが男の拳や足に次々と戦闘員が倒れていく。
「おらああ!!」
更には、戦闘員を投げ飛ばし別の戦闘員にぶつけるなどもやった。
男の周囲を再び取り囲んだ戦闘員だが、何かに気づき撤退の合図を出す。
戦闘員達は、倒れた仲間を放置し逃げていく。
男は、追わなかった。
ガングニールを纏った少女と木に隠れた女の子を残しておく訳にはいかなかった。
暫く、警戒してると背後からバイクのエンジン音が聞こえる。
振り向くと、よく知ってる顔の少女が此方に来てる事がわかった。
「叔父様、無事ですか!?」
余程、急いで来たのだろう。ヘルメットを取った少女は息を切らせていた。
「…叔父様、これは一体…」
周辺を見回した少女が倒れている戦闘員達に気づく。
「ノイズの後に襲ってきてな。気絶させただけで「叔父様!」!」
少女の言葉に男が見る。
視線の先には緑色の液体を出しながら溶けていく戦闘員達だった。
「な、何だ!?」
突然、人間が溶けてる姿に驚く。
一瞬、ノイズの事を考えるが、ノイズは人間を炭素にする。溶けたりはしない。
「機密保持…それが奴等のやり方です」
二人が声のした方を見る。
最初に出会った頃に姿が戻った少女が居た。
「あなたは…」
「待て、翼君。…君のおかげで助かった。俺は風鳴弦十郎、君は」
「…立花…響です」
シンフォギアの設定がいまいちわからん。
取り合えず生身の響がノイズを倒したのは改造されたからということで。
歌と言えばショッカーの歌も好きです。特に「悪魔のショッカー」が