改造人間 立花響のシンフォギア   作:一種の信者

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50話 死神博士、恐怖の罠

 

 

 

薄暗い屋内、幾つもの魚の遊泳を見ていた未来。水槽を見て行き交う人々の中、ただ一人だけ未来は立ち止まり、泳ぐ魚を見続けていた。その内、一匹のマンボウが未来の方に近づく。

 

「あなたも一人?」

 

ガラス越しにマンボウに触れようとするが当然触る事は出来ない。未来は現在、一人でスカイタワー設置された水族館に来ていた。

 

━━━本当なら此処には響と一緒に来る筈だったのに…

 

響が攫われてから数日、今日は以前に響に言っていた遊びに行く日でもあった。特異災害対策機動部二課に行く事が無くなったが引き籠りになる気もない。結局、未来は響と遊びに行こうとしていた場所を一人で回る事にした。

 

「響…今…何処に居るの…」

 

一年半、行方不明になりやっと会えたと思ったらまた目の前から消えてしまった。それが未来にとってショックだった。気付いた時にはマンボウも別の場所を泳いでいる。後ろ髪を引かれつつ未来はその場を後にする。

 

 

 

 

 

 

 

エアキャリアを止めている、とある森林地帯。そこの木の陰に切歌が座り込み何かを考えていた。

 

━━━リインカーネイション…もしも私にフィーネの魂が宿ってるなら…私の魂は消えてしまうデスか?

 

切歌は以前に工事現場で起きた不思議な力の原因を考えていた。結論は全て自分がフィーネの器なのでは?という物だった。

そこまで考えた切歌はそこでハッとする。

 

━━━でもおかしいデス。私がフィーネの器ならマリアは?

 

ナスターシャ教授やマリア曰く、フィーネの器はマリアの筈だ。その事に疑問に思う切歌だったが、他に理由らしい理由は考えられない。

 

「切ちゃん、ご飯の支度が出来たよ」

 

その時、昼食の用意を終えた調がエプロンを身に着けて切歌を呼びに来た。

 

「あ…ありがとうデス。今日のご飯は?」

「298円とオニギリ」

「ご馳走デス!」

 

調が来たことで戸惑う切歌だったが調にご飯の内容を聞き嬉しそうに立ち上がる。ただそんな気分も自分達を見張る戦闘員の姿が見え少し萎える。

 

「ドクターは?さっきから見当たらないけど」

「知らないデス。アイツの顔なんて見たくもないデス!ご飯ご飯♪」

 

ウェル博士の姿が無い事に気付いた調が切歌に聞くが切歌も知らなかった。戦闘員ならウェル博士の行方を知ってるかも知れないが、一人で戦闘員に喋る気にはならず調は切歌の後を追う。

 

「…?」

 

嬉しそうに移動する切歌を見て僅かな違和感を感じる調。何処か無理してるようにも見えて少し気になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これに異端技術とショッカーの情報が?」

「はい、私達が掴んだショッカーの情報です」

 

米国政府のエージェントがマリアから手渡された情報チップを見る。

 

「取扱いに注意してください。それから…!?」

 

ナスターシャ教授が喋ってる途中にエージェントは手渡されたチップを床に落とし踏みつぶす。チップは破壊され、外枠が壊れ中身が露になる。

 

「マム!?」

「…何のつもりですか?私の友人があなた方の上司だと知っての事ですか?」

 

いきなりの行動に二人が唖然とするがエージェントたちは懐から拳銃を抜きマリアたちに着きつける。

 

「お芝居はそこまでだ。ナスターシャ教授にマリア・カデンツァヴナ・イヴ、お前達を国家反逆罪で逮捕する!何よりこれは上司の命令でもある!」

 

「「!?」」

 

ナスターシャ教授もマリアもエージェントの言葉が理解出来なかった。

 

「どういう事ですか!?私達はただ…」

「まだとぼける気か?我々はとっくにお前達がショッカーに組してるのは知っている!今回の会合も我々を始末する為に来たのだろうが、そうはいかん!!」

「誤解よ、私達は!」

 

マリアが弁解しようとするが、黒服のエージェントの一人が一枚の紙をテーブルに乗せマリア達の方に流す。その紙が手元に来たマリアとナスターシャ教授が覗き込む。瞬間、息を飲む。

 

それは一枚の写真であり、死神博士と怪人、そしてマリア達が映っている物だった。

 

「この写真は!?」

「我が国の諜報部を舐めるな!ショッカーの大幹部と目される男と改造人間にお前達が映っているのが最大の証拠だ!」

「違います!私達は…」

「問答無用!抵抗するなら射殺する!」

 

エージェントたちの怒気で本気だと気付くマリアは咄嗟にガングニールのペンダントを握る。最早一触即発の空気だった。

 

━━━何故…こんな事に…まさか、死神博士がすでに手を!?

 

そこまで考えた時だった。ふと外で何かが飛んでいる気配を感じて外を見る。そこには、

 

「ノイズ!?」

 

まるで渡り鳥の群れの様にノイズが飛び交っていた。その内に何体かが窓をすり抜けエージェントたちに襲い掛かる。

 

「うわああああああ!!」

「ナスターシャ教授め、やはり罠だったのか!!」

 

エージェントたち怒号と悲鳴が木霊する。ナスターシャ教授は唖然としているマリアに「逃げますよ」と言ってその部屋から脱出する。

 

━━━あの場でのノイズなどと…やはり死神博士が…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「出し抜くつもりが逆に出し抜かれる。実に滑稽だと思わんか?ウェル」

「は…はい…」

 

スカイタワーのよく見えるカフェテリア。客は二人の男性しか居なが其処からならノイズが飛び交うスカイタワーが観察できる。

その二人の人物こそ死神博士とウェル博士の二人だった。死神博士前にウェル博士の顔色が悪い。

 

「ナスターシャ教授め、貴様の古い友人はとっくに我々の手の者と入れ替わっている事に気付かんとはな」

 

注文したコーヒーを啜った後に呟く。ナスターシャ教授の言っていた古い友人は既に殺されショッカーの息のかかった者に変装させていたのだ。今回の事もナスターシャ教授の連絡を工作員が死神博士やショッカー本部に伝えたのが原因でもある。

 

「だが、まあいい。丁度、邪魔な連中も処理しようとしていたのだ。手間が省けたと思う事にしよう」

 

そして、ナスターシャ教授の行動を死神博士は逆に利用した。ショッカーの動きを邪魔しようとする米国政府の犬どもをマリア達の下に集めさて互いに潰し合わせようとしたのだ。目論見通り、策は成功した。マリアが嫌がろうが米国政府のエージェントたちはマリア達を捕縛するか射殺する流れになっている。そして、よりマリア達に疑いを持つようノイズも投入したのだ。

 

「し、しかし先生、このままではナスターシャ教授は愚かマリアまで炭素の塊になってしまいます」

「この程度で生き残れんようでは結果は同じよ。それにサンプルも手に入れている、問題ない」

 

死神博士がノイズを出したのはマリアたちを助ける為ではない。別段、マリアがにノイズに殺され炭素化しても構わない。調も切歌もそれで逆らう様なら殺害してシンフォギアのペンダントを手に入れてしまえばいい。何しろフロンティアの場所は既に掴んだ以上、生かして置く価値はない。

 

地獄大使がマリアの血液を大量に取り、必要とあればそこからクローンを作ればいい。それこそ立花響のように。それにショッカーには炭素化した人間を復活させる「スーパーXアルファー液」もある。既に目ぼしい人間の炭素も十分集め復活させている。唯一困るのはマリアの中のフィーネの魂が別の器に移動するくらいだ。

 

死神博士の冷酷な言葉にウェル博士の顔色は更に悪くなる。

 

 

 

 

 

 

 

「うわああああああ!!」

 

また一人、エージェントがノイズに炭素にされる。マリア達を拘束しようとしていたエージェントたちの大部分は既に炭素化されてしまった。

そこまで見ていたマリアはようやく聖詠を口にする。

 

Granzizel bilfen gungnir zizzl

 

この胸に宿った 信念の火は

誰も消す事は出来やしない 永劫のブレイズ

 

ガングニールを纏ったマリアが次々とノイズを倒していく。丁度、最後のエージェントを襲おうとしていたノイズも倒しその場でのノイズは殲滅した。

 

「早く逃げなさい!」

 

助かったエージェントにナスターシャ教授が声をかける。このノイズの襲撃は間違いなくショッカーに自分達の行動が気付かれてると考え生き残ったエージェントに逃げるよう言う。しかし、生き残ったエージェントはサングラス越しにマリアたちを睨みつける。

 

いま例えこの身を焼き尽くそうと

信ず我が道の為なら 天になってもいい

 

「ふざけるな!どうせ俺も殺す気だろ!騙されないぞ!」

 

そう言って、マリアとナスターシャ教授に発砲するエージェント。マリアは咄嗟にマントでナスターシャ教授を庇う。銃弾はマリアのマントに弾かれ二人は無事だった。

 

「あなた…いい加減に…」

 

血を抜かれた影響かよろめくマリアだったが直後にエージェントの上からノイズが降りてきて最後のエージェントも炭素になる。エージェントたちは全滅した。

 

「マリア、直ぐに逃げますよ、ノイズが飛んでる以上第二派が来る可能性が高い」

 

ナスターシャ教授の言葉に頷くマリア。自動ロックされたドアをガングニールで突き破る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その衝撃はスカイタワーの展望デッキにも伝わる。

 

「何?」

 

丁度、展望デッキに居た未来が呟く。他の観光客も一旦足を止めて何事かと伺う。その時、空を飛び交う何かに気付く。渡り鳥でも飛んでるのかと思ったが、

 

「ノイズだッ!!」

「逃げろ。シェルターに避難しろ!」

 

誰かがノイズだと言うと展望デッキに居た観光客が一斉に逃げ出す。そんな中、未来はノイズを見て考え事をしていた。

 

━━━ノイズ!?もしかしてソロモンの杖の?ならショッカーが近くに…!

 

そこまで考えた未来は移動を開始する。スカイタワーの職員が誘導する階段とは別の場所から降りる未来。

 

「響…待ってて!」

 

目的は立花響を見つける事だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、マリアはナスターシャ教授の車椅子を押して移動していたが瓦礫に何度も足を取られマリアは途中でナスターシャ教授を肩に担いで移動する。

 

涙などいらない 無双の一振りよ

覚悟を今構えたら 誇りと契れ

 

道中、邪魔なノイズをガングニールの槍で次々と倒していくマリア。その活躍によりスカイタワーの各所から爆発が起こる。

 

 

 

 

その光景を茫然と見つめるウェル博士。各所から火の手が上がりスカイタワーの惨めな姿をしていく。更に飛行ノイズまで突撃して爆発する。

 

「フム、派手にやっているようだな。ならば選手交代といくか」

「…交代?」

「アメリカのネズミどもが武装して入り込んだ。ネズミ同士潰し合わせる、効率的だろ?」

 

死神博士は策略でマリアたちとアメリカ政府のエージェントを嵌めたのだ。エージェントたちに偽の情報を送りマリアたちと敵対させて潰し合わせる。どちらが勝とうと死神博士には痛くも痒くもない。

ウェル博士はただ黙ってスカイタワーを見守る事しか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

誰(た)が為にこの声 鳴り渡るのか?

そして誰(た)が為にこの詩―うた―は 在ればいいか?

 

エレベーターから次々と武装したエージェントが現れマリア達に銃弾の雨を降らせる。マリアたちもマントでガードしつつ、槍や足で武装したエージェントの意識を奪う。

 

「マリア、待ち伏せされてる可能性があります。上の階から逃げましょう」

 

もう何も失うものかと決めた…

想いを重ねた奇跡よ 運命―さだめ―を蹴散らせ

 

担いでいたナスターシャ教授の言葉にマリアは頷くと階段へと続くドアを蹴破って階段を昇っていく。

その道中にも何度か、武装した米軍と交戦するが銃弾の殆どはマントに弾かれてマリア達は無事だった。

 

鼓動打つ命達 戦うその背に

独奏―カデンツァ―の あるがまま 束ねよ愛を

 

しかし、そこで思わぬトラブルがマリアを襲う。米国政府のエージェントの銃弾にノイズから逃げていた一般人が巻き込まれる。

 

「うわ!?」

 

銃弾を背中から喰らった一般人は倒れ込む。これには米国政府のエージェントも「しまった!」や「shit!?」と呟き銃撃を一旦停止する。彼らとてワザとではなかった。銃撃の最中に一般人がマリアの方に逃げて流れ弾が命中してしまったのだ。一般人を巻き込む気など彼らにはなかった。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だがどういう訳か一般人の観光客が訪れ巻き込まれたのだ。

 

巻き込まれ射殺された一般人を見るマリア。その顔はとても驚愕してる表情だった。

 

「マリア…」

 

その姿を心配そうに見るナスターシャ教授。思わずマリアの名を呟くが、マリアの口から「……せいだ」と聞こえた。

その時、他の場所からこの階にきたエージェントが合流する。

 

「何をしている、撃つんだ!」

「し…しかし、我々は一般人を…」

「それがどうした!?あの女を放置すればアメリカも…世界も危ないんだぞ!!」

 

その言葉が効いたのかエージェントたちは再びマリアに向け銃弾を撃ち続ける。だが、その悉くはマントに弾かれマリアの体に届かない。

 

「全ては、フィーネを背負えなかった私の所為だ!!」

 

叫ぶように言うとマリアはエージェントたちに飛び掛かる。

其処からは最早一方的であった。マントや蹴り、ガングニールの槍で次々とエージェントを倒していく。しかし、その顔にはエージェントの出した血がクッキリと残っており、マリアの目から流れる涙と一緒に流れる。そして、マリアはナスターシャ教授を抱え更に上に行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ネズミが上へと逃げるか?だが直ぐに他のネズミも追っていくぞ。…チッ、思いのほか早いな」

 

マリアの動きを監視していた死神博士が舌打ちをする。

 

「先生、何が早いんですか?」

 

スカイタワー爆発を見ていたウェル博士がそう聞く。それに対して死神博士はただ「下を見ろ」と言うだけだった。言われた通り下の方を見るウェル博士。そこで見たのは、

 

 

 

 

 

 

 

 

時間は少し巻き戻る。

スカイタワーの出入口にショッカー戦闘員が集まる。目的はマリアが仕留め損ねた米国政府のエージェントの抹殺。そこに二体の怪人が姿を現し戦闘員に命令する。

 

「キイィィィッ!用意は済んだのか?」

「コカカカカカッ!要は邪魔する人間どもを殺せばいいんだろ!さっさと行こうぜ!」

 

一体は、廃工場の時にアメリカの特殊部隊を抹殺したドクモンド。もう一体はヘルメットの様な顔をしつつ緑色のカビを纏った怪人だ。

それぞれが、スカイタワーに入ろうとした時、「イーッ!?」と言う戦闘員の悲鳴が聞こえると共に自分達の背後に倒れる。戦闘員がドクモンドたちに手を伸ばすが直後に力尽き緑色の液体になり消滅した。

 

「チッ、敵襲か!?」

「お前達も散らばって敵を探せ!」

 

敵襲と判断した二体の怪人は周囲を見回すがノイズが出た影響で人っ子一人居ない。仕方なく戦闘員をバラけさせて探そうとしたが、

 

「ノイズが出たって急いで来て正解だったな」

「ああ、それに怪人も二体居る。これならアイツの情報だって…」

 

二人の少女の声に戦闘員や怪人が改めて周りを見回す。

 

「外灯だ、外灯の上に!」

 

戦闘員の一人が指を指す。他の戦闘員と怪人が見ると二本の外灯の上に二人の少女を見つける。それは紛れもなく風鳴翼と雪音クリスだった。

 

「貴様は、特異災害対策機動部二課の装者か!?」

 

「お前らに名乗る気はねえ!」

「立花の居場所を吐いて貰うぞ!」

 

「ええい、小娘どもを殺せッ!!」

 

 

外灯から降りると同時に戦闘員達が翼とクリスに襲い掛かる。

 

 

 

 

 

 

 

 

スカイタワーの前に居た戦闘員達を次々と倒す翼とクリス。その様子に舌打ちする死神博士。ウェル博士は翼たちの戦いに自然と拳を握る。

 

「忌々しい小娘どもだ!この短期間で更に力を上げている」

 

ノートパソコンを広げデータを翼とクリスのデータを取る死神博士。戦闘員は新型が多かったが次々と倒されドクモンドと()()()()()も翼とクリスの相手をする。

 

━━━この力量では強化怪人でも危ういか…ならば、アレを試すことにしよう

 

死神博士はデータを取ると同時にある所に連絡を送る。

 

 

 

 

 

 

 

「ハアッ!!」

 

「イーッ!?」

 

翼の剣が戦闘員を切り捨てる。既に何体もの戦闘員を切った剣は未だに輝いていた。

 

「死ねッ!小娘」

 

そこで、カビビンガが自身のカビを千切り翼に投げつける。咄嗟に剣で弾くが、弾いた部分からカビが広がりだす。

 

「なにッ!?」

 

「驚いたか!?俺の殺人カビは人体でなくても浸食し広げる事が出来る。例えそれが聖遺物でもな!」

 

カビビンガは文字通りカビの改造人間だ。それもショッカーが開発した殺人カビと呼ばれるカビであり、人間以外のもカビが繁殖するよう改良を受けている。

 

「なら!」

 

剣に広がるカビを見ていた翼は剣をアームドギアの柄に戻し、別のギアの剣を握る。一瞬驚くカビビンガだがまた体からカビを引き千切り翼に投げつける。しかし、今度は剣で受けたり弾く事もせず脚のブースターで全てのカビを避ける。

 

「何だと、これならどうだ!」

 

カビが全て避けられるのならと隠し持っていた手裏剣を翼に投げつける。その行動に驚く翼だが手裏剣を全て避けてカビビンガへと迫る。手には既に別のアームドギアの剣を握っていた。

 

「初見で避けただと!?」

 

「お前の手裏剣など緒川さんと比べれば児戯に等しい!」

 

特異災害対策機動部二課のエージェントである緒川の教えを受けた翼にはカビビンガの手裏剣など止まって見える。咄嗟にカビビンガが剣を抜こうとしたが、

 

「遅い!」

 

それをよりも早く翼の剣がカビビンガを切り裂いた。剣にはカビビンガを切った拍子に付いたカビがあったがカビビンガが爆発すると付いていたカビも消滅した。

 

 

 

 

 

 

 

 

同じ頃、クリスが戦ってるドクモンドは得意の穴掘りで身を隠しクリスに攻撃を仕掛ける。

 

「コイツ、コンクリートも関係なしかよ!?」

 

「俺にとってコンクリートなど、少々固い土も同然よ」

 

何時の間にかクリスの周りに幾つもの穴が開き、そこからドクモンドが口から糸を飛ばして来る。この糸でクリスを捕らえ穴の中に引きずり込もうとしていた。

 

「これじゃモグラ叩きだ!…待てよ」

 

穴に一々隠れて此方を攻撃してくるドクモンドに苦戦していた時、クリスの頭に一計が思い浮かぶ。

 

「これなら…」

 

 

 

 

「俺の攻撃で披露した頃を見計らって足元から出て俺の穴に引きずり込んでやる」

 

ドクモンドの狙いは穴から穴に移動しつつクリスに攻撃して疲れさせてから足元に穴を作って襲いかかるつもりであった。

 

━━━穴に引きずり込めれば此方のもの。あの小娘の柔らかそうな肉を食ってやるぜ!

 

穴に引きずり込まれ命乞いをするクリスの肉を食い千切り悲鳴を想像するドクモンドだったがそこである音に気付く。シューと言う何か燃えるような音が聞こえる。

 

「苦し紛れに火でも放ったか?」

 

並みの火ではドクモンドを殺すどころか火傷すら負わない。酸欠狙いでも問題ない、酸素の薄い地面の中を活動できるように改造されてるのだ。多少、呼吸が出来なくても活動は出来る。

 

「…音が近づいている?…!?」

 

音が徐々に大きくなってる事に気付いたドクモンドは自分の掘った穴を見続ける。直後に後方に火の明かりがついた何かが自分の方に迫っていた。

 

「小型ミサイルだと!?」

 

 

 

 

 

 

「追尾式だ、馬鹿」

 

地上ではクリスが腰部のアーマーを展開して幾つもの小型ミサイルをドクモンドの掘った穴に撃ち込んでいく。

 

「幾つもの穴から出れるって事は全部繋がってるって事だろ?なら戦りようは幾らでもある」

 

直後に地面が吹き飛ぶと共にドクモンドの悲鳴が聞こえた。

 

「アタシ等の勝ちだ」

 

クリスが横目に翼がカビビンガを切り捨てた姿を捉える。今回は翼たちの勝利といえた。

 

「雪音、そっちは片付いたか」

「ああ、アイツの居場所を聞けなかったな」

「それは仕方ない、戦闘員がまだ居る。アレに尋問してみよう」

 

クリスが怪人に響の事を聞けなかったが翼が残った戦闘員に尋問しようとする。多数の戦闘員と怪人を失ったが、まだ多数の戦闘員が翼たちの前に立ち塞がる。ショッカーが何の目的でスカイタワーに来たのかは知らないが響の情報が得られえると思った。

 

『そんなに会いたければ会わせてやろう!』

 

突如、翼とクリスの通信機から不気味な老人の声がする。

 

「死神博士!?」

 

翼が一瞬で声の主を言い当てる。忘れたくても忘れられない響を攫った元凶だ。

直後に自分たちの背後に轟音が響く。何かが上から降って来たのだ。

翼とクリスが振り向く。最初は土埃でろくに見えなかったが風邪が吹き土埃が消える。

 

「「!?」」

 

翼とクリスが息を飲む。そこにはショッカーに攫われた筈の立花響が制服姿で立っていた。

 

「お前…無事だったのかよ!」

 

クリスが響に近寄ろうとするが翼が手で制止する。クリスは気付かなかったが翼は響の様子がおかしい事に気付く。制止されたクリスが翼を睨みつけたりするが、

 

「目標、風鳴翼及び雪音クリスを確認…殲滅します」

 

響の淡々とした口調にクリスは目を見開く。嫌な予感が当たった翼も直ぐに言葉も出てこない。

 

「変身」

 

その間にも響はシンフォギアを纏う。歌えるようになった後からは全く言わなくなっていた「変身」と言ってシンフォギアを纏う。

 

 

「「!?」」

 

 

翼とクリスは響の姿に息を飲む。

響のシンフォギアは何時も通りと言えた。オレンジ色を主体とした響のシンフォギア。

 

 

違いがあるとすれば響の腰に金色に輝くショッカーベルトがある事だろう。

 

 

 

 




死神博士が上手だったもよう。
原作とは違い、アメリカのエージェントたちは正義感が強く死神博士に利用された設定です。

歌を邪魔されたマリアが今度はちゃんと歌えたもよう。

ドクモンドとカビビンガがアッサリ倒されましたがその分、翼たちがパワーアップしてることで。公式ではカビビンガが一番弱い怪人らしいです。

そして、翼たちの前に予想だにしない敵が…
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