改造人間 立花響のシンフォギア   作:一種の信者

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51話 悪の歌を唄う少女

 

 

 

聖遺物怪人

 

聖遺物の確保に失敗し続けたショッカーが立花響を捕らえ、その体を調べた結果、発案され改造された響のショッカーでの通称。

 

怪人作りの名人の異名を持つ死神博士の英知を集めて作られた改造人間だ。動植物の能力は移植されなかったが完成度は高く、死神博士の最高傑作と言われている。

 

そして、翼とクリスの前に立つ響こそショッカーの聖遺物怪人の完成形といえた。

 

「お…おい、そんな変なベルトをするなんてお前らしくないぞ」

「待てッ!雪音!」

 

響の姿を見て唖然としていたが、アームドギアのボーガンを消して響に近寄るクリス。翼の静止も無視してドンドン響に近寄る。

 

「本当はショッカーから逃げてきたんだろ?そうだろ!」

 

響が此処に現れたのはショッカーから逃げ出して自分達と合流。脱出を悟られないよう腰にショッカーベルトを付けてるだけだと思いたかった。クリスの言葉を聞き翼の目に涙が流れる。翼もそうだったらどれだけ良かったかと思うほどに響の心配をしていた。

 

そして、気付く。響の僅かな動きが、

 

「何とか言えよ…な「雪音!」あ!?」

 

響に近づいていったクリスだが翼が咄嗟にクリスを抱き抱え地面に伏せる。

突然の行動に驚くクリスだが直後に自分の居た場所に強烈な風が走る。見ると響の拳がクリスの顔があった場所を殴り抜き、その風圧により周辺のビルの一つが崩れた。

 

「嘘…だろ…」

「しっかりしろ、雪音!今の立花は敵だ!」

「アイツは…敵じゃ…」

 

茫然とするクリスに両肩を持って揺さぶる翼。クリスが響は敵じゃないと言おうとしたが、響が一切の躊躇もせずクリスを殺しに来た。即ち、

 

「立花は…脳改造されたんだ!!」

 

翼の悲痛な声にクリスは愕然とする。響が一切の躊躇いも無くクリスを攻撃したのだ。クリスだって分かってはいる、響が殺意を込めて自分を攻撃する筈がない事ぐらい。以前、響が言っていた脳改造の話が本当な直す術は…存在しない。

 

「やるしか…ないのかよ…」

 

拳を避けた翼とクリスに目線を向ける響。意を決したように剣を構える翼にボーガンを向けるクリス。二人共、辛そうな表情であった。

 

『そうだ、殺し合え!殺し合うがいい!!』

 

翼たちの通信機には死神博士の歓喜の声が響く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突如発生した響と翼&クリスの戦闘だが翼たちが早々に苦戦を強いられる。

攻撃が効かないのだ。勿論、翼もクリスも響を攻撃するのを躊躇ってるのもある。だが、それ以上に響の耐久が圧倒的だった。

 

金属が圧し折れる音と共に翼が手元の剣を見る。刃が完全に折れていた。

クリスはボーガンやガトリングで響を攻撃するが響は回避行動も取らず真っ直ぐに歩く。勿論、矢や弾丸は命中するが響は怯みもしない。

 

「全然効かねえ!?」

「耐久力が今までの怪人の比じゃないぞ!」

 

『聖遺物怪人を今までの怪人と一緒にするでない!私の最高傑作なのだ!』

 

クリスと翼の言葉に死神博士が自慢げに言う。耳障りに思いつつ翼とクリスが響に集中攻撃をする。しかし、回避行動もしてない筈の響は幾つか攻撃をした後に逆立ちをし足を回転させる。

 

「あれは、私の!?」

 

それは、翼の逆羅刹に似ていた。尤も脚部にブレードは無く蹴りの一種でしかないが、ガードした腕に鋭い痛みが走り距離を取る翼。

 

「おい、今の技は!?」

 

『驚いたか!?聖遺物怪人には今までの貴様らの戦闘データも入れ一部を自分の物にしている!更に!』

 

逆立ちをしていた響は立ち上がると両腕を自分の前に持って行きポーズをとる。

 

「!?」

「ボクシングだと!?」

 

それはどう見てもボクシングのファイティングポーズだった。既に足先をジャンプさせステップも踏んでいる。

 

『驚くのはそれだけではない、今はそれだけだが、聖遺物怪人には様々な格闘術をインストールすれば自在に使いこなすことが出来るよう調整されている。私の最高傑作との戦闘を十分楽しめ!』

 

通信が切れると舌打ちをする翼とクリス。響が戦わらされてるのもそうだが、完全に物扱いする死神博士に腹が立っていた。

 

「気を付けろ雪音、アレをもう立花と思うな!」

「本気を出さなきゃ駄目って事かよ…チクショーッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

颯(はやて)を射る如き刃 麗しきは千の花

宵に煌めいた残月 哀しみよ浄土に還りなさい…永久(とわ)に

 

挨拶無用のガトリング

ゴミ箱行きへのデスパーリィー

One, Two, Three 目障りだ

 

二人は歌う。歌いながら響と戦う。あわよくばこの歌で響が元に戻ればと思っても居た。

しかし、二人の歌を聞こうが響は変わらない。喜びも悲しみもない、目にはハイライトも無く戦う為に死神博士に作られた存在。

 

慟哭に吠え立つ修羅 いっそ徒然と雫を拭って

思い出も誇りも 一振りの雷鳴へと

 

ドタマに風穴欲しいなら

キチンと並びなAdios

One, Two, Three 消え失せろ

 

翼が前衛を、クリスが後衛を務め響と戦う。多少、翼の剣が響を傷つけるようにはなったが次の瞬間には回復して逆に翼の顔と腹部に響のパンチを受ける。僅かに体を逸らして致命傷を避けているが翼の口から血が飛び出る。

 

去りなさい!無想に猛る炎

神楽の風に 滅し散華(さんげ)せよ

闇を裂け 酔狂のいろは唄よ 凛と愛を翳して

 

撃鉄に込めた想い

あったけぇ絆の為

ガラじゃねえ台詞

 

それでも必死に歌を唄い戦う翼とクリス。全ては響を取り戻す為だ。

 

 

 

 

 

 

「フフフ…素晴らしいデータだ」

 

そして、ノートパソコンを弄る死神博士もご満悦な表情を浮かべる。今まで翼やクリスの戦闘データを取って来たが今回の戦闘では満足いく成果と言える。そんな、死神博士をよそにウェル博士はただガラス越しに翼たちの戦闘を見守っていた。

 

「聖遺物怪人にもまだ余裕があるな。…なら」

 

途中、響の体の状況を確認した死神博士が別のデータも得ようとする。

 

 

 

 

 

 

 

 

『聖遺物怪人よ、歌う事を許可する。…歌え』

 

「「!?」」

 

死神博士が響に歌えと命令を出す。その通信を聞いていた翼とクリスは驚愕した。歌う事を警戒して響と一旦距離を取る二人。只でさえ苦戦してるのに響に歌えと命令が出るとは思わなかったのだ。何より歌込みの響の強さはよく知っているからだ。

 

風が吹く 見よショッカー

嵐が荒れる 力よショッカー

 

「「!?」」

 

響くの口から何時もの歌ではない歌が唄われ翼とクリスは凍り付く。響は今までショッカーと言うフレーズで歌ったことなど一度も無い。即ち、

 

「ショッカーの歌かよ…」

「立花…」

 

二人は響の口から流れるショッカーの歌に絶望する。もう、響は元に戻る事が出来ないのではと考えてしまう。

 

世界は征服 偉大なショッカー

怪人あやつる 恐怖だショッカー

 

「…そんな歌、歌うんじゃねえ!!」

「立花、お前にそんな歌は似合わないぞ!!」

 

響の歌を阻止する為に翼とクリスが響に躍りかかる。それ程までに響の口からショッカーの歌を聞きたくもなく歌わせたくもなかった。

 

「わがよ誰(たれ)ぞ常ならむ」と 全霊にていざ葬(ほふ)る

迷いを断ち切る術など 覚悟を牙へと変えるしか…知らない

 

Hyaha! Go to hell!! さぁスーパー懺悔タイム

地獄の底で閻魔様に 土下座して来い

Hyaha! Go to hell!! もう後悔はしない

 

邪魔な相手は ゆるさんぞ

出撃 それゆけ 怪人軍

 

しかし、翼の剣が響に圧し折られ、クリスの腹部に響の蹴りが入る。翼とクリスが響と距離を取ると共に歌う声が大きくなったことに気付く。見れば、残っていた戦闘員達も響に続いて歌っていた。

 

「ちくしょう!」

 

その光景を見て悔しそうに呟くクリス。まるで本当に響がショッカーに入ったような錯覚さえする。

 

運命(さだめ)の悲劇の過去を 強く…強くなればいつか斬れると

何故か…何故か…何故か? 涙など要らぬのに

 

守るべき場所が出来たから…

もう逃げない!

 

人呼んで 悪魔のショッカー

人呼んで 悪魔のショッカー

 

翼とクリスの攻撃も歌う響の力は圧倒的だった、天ノ逆鱗も拳に砕かれ影縫いも力技で突破し翼の纏うギアの一部を破壊。飛んでくるクリスの小型ミサイルどころか大型ミサイルを全て破壊しガトリング砲の一つも粉砕する。極めつけは翼に放った拳だ。顎にカスッただけで翼の脳が揺れて腰に力が入らず座り込んでしまう。

 

「おい!」

 

翼に駆け寄るクリスだが、体を引っ張ろうにもクリスの身体能力では遅すぎる。既に目の前には響が左腕の拳を振り上げていた。

翼を庇う姿勢を解かずクリスは目を瞑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「フフフ…素晴らしい!最早、特異災害対策機動部二課の装者など相手にもならん」

 

ノートパソコンで響の身体データ及び戦闘データを収集していた死神博士が満足そうに言う。歌を唄った響の力は死神博士の想定以上の成果を上げている。

後は、邪魔者である特異災害の装者を抹殺してフロンティアを手に入れるだけであった。

 

死神博士とは違い、窓の外から戦いを見守っていたウェル博士は翼とクリスのピンチに歯噛みする。ウェル博士としては今、翼やクリスに死んで貰っては困る。しかし、止めようにも此処からでは不可能に近く死神博士に頼もうにも理由を聞かれる。

 

━━━…駄目だ!二人を生かすのにショッカーの利になる事が一つもない!

 

最悪、翼とクリスを改造人間にススメる手はある。しかし、響の様に本当に改造されてショッカーの戦力になってしまえばマリアたちでも止められない。

人間の範疇を逸脱している風鳴弦十郎なら止めれるかも知れないが三人の改造人間にされた装者にどこまで抗えるか。ついでに行ってしまえばウェル博士も弦十郎は甘い性格であることを知っている。

 

━━━何か手は…アレは!?

 

ふと、響達の戦いの場に何かを見つけるウェル博士。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ショッカーの世界征服の為の礎になれ」

 

響の言葉とは思えない冷酷な言動にクリスは翼を抱きしめながら覚悟を決めた。しかし、何時まで経っても響の拳が来ない。

クリスが目を開けると、

 

「止めて、響!クリスや翼さんにそんな事しちゃいけない!!」

「…未来?」

 

クリスの目には響の左腕に抱き着く未来が必死に止めていた。響は煩わしそうに左腕を振り払い未来を引き離そうとするが未来は頑なに響の左腕を離さない

 

「お願い、何時もの優しい響に戻って!!」

 

「離せ、誰だお前は?目標ではないようだが」

 

響の冷たい言葉に未来はショックを受ける。分かってはいた、優しい響が翼とクリスに手を上げるどころか殺そうとまでしているのだ。ショッカーに何かされたのは目に見えている。

それでも未来は諦めない。何時かは優しい響に戻ると信じて。

 

『何をしている、聖遺物怪人。その小娘も殺せ』

 

何時までも翼とクリスに止めを刺さない事に業を煮やした死神博士が響に命令する。その命令は響に左腕を掴んでいた未来にも聞こえた。

 

「あなたが…あなたがこんな酷い事をしたんですか!?」

 

未来の独白が口から漏れる。聞いてるとも思えなかったし敵が答えてくれるとも思っていなかった。ほぼ八つ当たりに近い独り言であった。

 

『どうした、聖遺物怪人。さっさとその小娘を始末して特異災害の装者も殺せ!』

 

案の定、未来の言葉を無視した死神博士の命令が飛ぶ。それに答える様に響は開いていた右腕で未来の首を絞めて持ち上げる。

 

「う…グぐッ…」

 

未来の口から苦しそうな悲鳴が漏れる。その所為で握っていた左腕から手を放してしまう。

 

「止めろッ!未来はお前の親友なんだぞ!!!」

 

今にも未来の首を圧し折りそう響にクリスが絶叫する。そんな姿はクリスは絶対に見たくなかった。

しかし、そんなクリスを響は横目で見る。

 

「私に親友はいない。私は聖遺物怪人。ショッカーの改造人間だ」

 

そう言い終えると響は空いた左手で未来の頭に狙いをつける。右手で首を絞めて左手で止めを刺そうとする。クリスが止めるよう必死に叫ぶが響は止まる気はない。そのまま右手で拳を握り未来に撃ち込もうとしていた。

これにはクリスも未来も目を瞑る。

 

「ひび…き…」

 

未来は悔しそうに親友である響の名を呟き、涙が流れる。

 

━━━響に殺されるのなら…それでもいいか…

 

響に殺される覚悟をする未来。直後に首の自由と地面に落下する感覚がした。尻もちをついて「痛ッ!?」と呟く未来。打ち付けた尻を押さえ瞼を開くと、

 

「アアああああああああアアア…ッ!!!!????」

 

「響!?」

 

未来の目に飛び込んできたのは頭を両手で押さえ片目から涙を溢れさせてる響の姿だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何が起こった!?この脳波の乱れは何だ!?」

 

響の突然の異常はノートパソコンで確認していた死神博士にも伝えられる。今まで正常だった脳波が突如乱れ、制御しようとする死神博士。しかし、響の脳波の乱れは収まる事はない。

 

「馬鹿な!?私の脳改造は完璧ではなかったというのか!?」

 

怪人作りの名人である死神博士にとって正に想定外と言える。

更に、ノートパソコンを弄って原因を調べていた死神博士にパソコンからの警告音が響く。調べると響の心臓に関するデータが波のようにきていた。体温も上昇しつつある。

 

「チッ、心臓がもう限界だと!?まだ一曲歌い切っておらんぞ。…仕方ない、撤退だ!」

 

見れば、スカイタワーの展望台付近も爆発し、マリアに仕込んでいた発信機もスカイタワーから離れている。死神博士は潮時だと判断する。

撤退を決めた死神博士は荷物を片付け席を立ちあがる。想定外の事態に薄ら笑いを浮かべていたウェル博士も表情を戻して死神博士の後を追う。

 

 

 

 

 

 

 

「あああああああアアア!!痛い…頭が痛い!?未…来…逃げ…て…!?」

 

響は未だに両手で頭を押さえて苦しんでいる。遂には立ってられないのか地面に蹲り始める。その声には未来に逃げろと訴える。

 

「響!?」

 

しかし、響の苦しそうな訴えも響を心配した未来が駆け寄ろうとするが立ち塞がるように戦闘員が阻止する。以前の未来なら腰が引けてたかも知れないが、今の未来は違った。

 

「私と響の邪魔をするな!!」

 

今の未来は戦闘員に怖気づく少女ではない。響程ではないが拳と蹴りで相手をする。時には戦闘員を投げて他の戦闘員に当てる器用さも見せつける。

しかし、幾ら戦えるとは言え多勢に無勢である事には変わらない。未来の背後から襲い掛かろうとする戦闘員だが、

 

「蒼ノ一閃!!」

 

大きな青い斬撃がその戦闘員に直撃する。未来が振り返ると其処には、アームドギアを握った翼とクリスが戦闘員に攻撃をしている。

 

「クリス!翼さん!」

 

心強い味方が復帰した事で安心する未来だったが、今まで空を飛んでいたノイズが突如攻撃し出す。

 

「危ない!?」

 

咄嗟に翼が未来の前に出て来るノイズを片っ端から切り捨てていく。ノイズが動き出した以上、未来も迂闊に動けなくなる。そうしてる内に怪人…ムササビードルが蹲る響を回収しジャンプして逃げていく。

 

「響…響!!」

 

回収される響を見て、未来は絶唱を上げる。クリスが咄嗟にムササビードルを撃とうとしたが、ノイズに阻止され内心苛立つ。

 

━━━よくも…よくもアイツを利用してくれたな、ショッカー!絶対許さねえ!アイツを奪うばかりかアタシ等の何もかも狂わせていく。アタシの居場所も!ノイズが鬱陶しい、ショッカーにソロモンの杖が渡っちまった所為かよ。ならアタシが悪いのか?アタシがソロモンの杖を起動させちまったから…何だ、全部アタシの所為か…

 

クリスと翼の活躍でその場に居たノイズは全滅した。

 

 

 

その少し後、スカイタワーの現場に警察及び、特異災害対策機動部二課の弦十郎たちも来ていた。

 

「米国政府が?」

 

緒川からの報告に弦十郎が眉を顰める。自分達の国で好き勝手に動かれたのだ、面白い訳が無い。

 

「はい、生き残りからの報告ですが、FISのマリアさんとナスターシャ教授の逮捕が目的のようでした」

「他人の国で好き勝手ばかり!!」

 

生き残ったエージェントたちの話を纏めた緒川の報告に毒づく弦十郎が車の屋根を叩く。こんな弦十郎珍しいと思う緒川。

 

 

 

 

 

その頃、特異災害対策機動部二課の車両の後部座席に乗っていた未来は考え事をしていた。

 

━━━どうして、私は響の手を離しちゃったんだろ…絶対に離しちゃいけなかったのに…

 

未来は響の左手を離した事を悔やんでいた。首を絞められ苦しかったとはいえ、大好きな親友の手を離した結果、響を取り戻す事が出来なかった。

 

「暖かい物、どうぞ」

 

考え事をしていた未来の様子を見兼ねたあおいがホットココアを差し出す。少し躊躇った未来だが受け取り少しずつ飲んでいく。

 

「…ありがとうございます」

「いいえ」

 

少し遅れて礼を言う未来に返事をするあおい。少しの沈黙が場を支配する。

どの位の時間が過ぎただろうか。沈黙していた未来の頬に水滴が流れると同時に嗚咽が混じる。

 

「未来ちゃん!?」

「…響は…私の太陽だったんです…とても温かくて…優しくて…でも…さっき会った響は違ってた…翼さんとクリスを…殺そうとして……どうしてこんな事に…」

 

未来の言葉にあおいは答える事は出来なかった。全ての元凶はショッカーで間違いはない、それでも特異災害対策機動部二課が響を守り切れなかったのは事実だ。

 

「…寮まで送るわ」

 

あおいはそれだけしか言えなかった。しかし、未来は首を横に振る。

 

「…一人で帰れます。今は…一人になりたいんです」

 

未来の言葉にあおいはそれ以上何か言う事が出来ず、車から降りた未来は一人その場を後にする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一人、帰る未来。辺りは夕方になり嘗ては賑わっていた商店街もノイズの襲撃やルナアタックの影響により今では数えるほどしか店は営業していない。未来たちのよく通っていたふらわーもその一つだ。

響との記憶が蘇りそうになり一筋の涙を流す未来。

 

「響…もう会えないのかな…」

 

未来の脳裏にショッカーに脳改造された響の姿が蘇る。未来にとってそれはショックな姿であった。しかし、心の何処かで響に会えた嬉しさもあった。

 

━━━私、あんな姿になった響に会えて嬉しかったんだ。…最低だ

 

喜んではいけない筈なのに響いに会えた事が嬉しかった自分自身に自己険悪を感じる未来。寮まであと少しの距離だと歩く未来だが、視界の端に何かを捉えると未来は路地裏に入って行った。

 

━━━あの姿は間違いない!

 

その姿は未来も嫌と言うほど見てきた姿だ。

路地裏を暫く進むと声が聞こえる。息を乱していた未来が聞き耳をたてる。

 

「死神博士の作戦は半分が成功したか、特異災害の装者を始末出来なかったのは残念だ」

「地獄大使、我々のどのように動きますか?」

「この付近に新しくアジトを造る。ワシはその下見よ」

 

未来が見たのは路地裏を徘徊していたショッカー戦闘員だ。未来は知らなかったが地獄大使はこの付近に新たなるアジトを造り、其処から特異災害対策機動部二課への牽制攻撃などを計画していた。

聞き耳を立てていた未来は息を整えて地獄大使たちの前に出る。

 

「イーッ!?」

「ん?貴様、聞いていたな!我々の姿を見たからには死んで貰うぞ!!」

 

未来の存在に気付いた戦闘員は直ぐに未来を取り囲む。地獄大使が始末するよう言おうとしたが未来が両手を上げて降参のポーズをとる。これに面食らう戦闘員達に地獄大使。

 

「お願いです、私を改造人間にして下さい!!」

 

少女の突然の言葉に戦闘員が停止し、地獄大使も未来を睨みつける。

 

━━━ごめん響、それに皆、それでも私は響と一緒に居たい

 

 

 

 




原作と比べ響と未来の立場が逆になってます。

そして、響が悪魔のショッカーを歌いました。シンフォギアと仮面ライダーのクロスでやりたかったネタでもあります。

そして、ショッカーの歌の中で一番有名な曲「悪魔のショッカー」。悪役ソングの中で個人的には名曲だと思う。
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