改造人間 立花響のシンフォギア   作:一種の信者

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寒暖の差で風邪ひいた。頭が痛いと集中出来なくて困る。


55話 少女の歌には、血が流れる。 悪の歌には、何が流れる?  前編

 

 

 

「ウェル、如何言う事だ!?小日向未来の洗脳はどうなっている!?」

 

未来の突然の離反に死神博士が激怒する。その対象は当然、小日向未来の調整をしていたウェル博士に向かった。

 

「ああ何てことだ!?神獣鏡に影響しないよう最低限の洗脳が仇になってしまうなんて、先生が急かしたりするから!」

 

大袈裟に嘆くウェル博士に死神博士は苦虫を嚙み潰したようような表情を見せる。確かに死神博士はウェル博士を急かしたりしたが、こうも簡単に洗脳が解けて裏切ってくるとは考えて居なかった。

 

この時、ウェル博士は死神博士に気付かれないようマリアに向けてウインクしてマリアもそれに向けて静かに親指を立てた。

 

「ええい、やむを得ない。聖遺物怪人、小日向未来を殺せ!」

 

死神博士は、響に未来を殺すよう命令を出した。死神博士が企てた計画が音を立てて崩れ出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

「小日向!」

「未来、お前操られてないのかよ!」

「詳しい話は後でする!今は!」

 

未来が翼やクリスの下に行き、響の方を見る。響の方もギリザメスやフクロウ男が集まり未来たちと対峙する。

 

「死神博士カラの命令を確認・小日向未来の抹殺に入りマス」

 

「三対三、数はイーブンか」

「…待てッ!この気配は!」

 

「「イーッ!!」」

 

数が互角なら勝機はあると感じるクリスだが、妙な気配に気付いた翼は周りを警戒し出す。直後に何処からともなく戦闘員が現れ未来たちを囲う。そして一気に戦闘員達が襲い掛かる。

 

「こいつ等、まだこんなに居やがるのかよ!」

「潜水艦から次々と出てきてる!」

 

クリスがアームドギアをガトリング砲にして戦闘員を撃ちまくるがノイズ並みに現れる戦闘員に辟易する。同じく、扇を出して円状にしレーザーを出して戦う未来がショッカーの潜水艦から次々と戦闘員が出て来るのを確認する。その様子に響やギリザメス等は高みの見物をしていた。

 

「あいつ等、アタシ等を消耗させる気か!」

「だが、これでは切が無いぞ!」

 

今の翼たちには戦闘員はそこまで脅威ではない。しかし数で圧倒的にこられると消耗は避けられない。

その時、米艦艇に横づけされていた潜水艦の一つが轟音と共に爆発炎上する。

 

「イーッ!?」

 

爆発に巻き込まれた戦闘員が火達磨になり其処らを転げまわる。中に海に落ちる者まで居た。

 

「爆発だと!?事故か!」

「違ウ、アメリカのイージス艦を確認。潜水艦はアレにヤラレタようです」

 

フクロウ男の疑問に答える響。見れば炎上して沈む潜水艦の煙から何隻ものイージス艦が見える。

 

「本部から通達、アメリカの海軍が私達に協力してくれるようだ!」

「助っ人か、ありがてえ!」

 

翼の言葉にクリスは嬉しそうにする。世界最強と言われるアメリカ軍の協力があればノイズは兎も角、ショッカー軍団に対抗は十分できると言えた。現にもう一隻の潜水艦が爆発して沈んでいく。

 

 

 

 

 

 

 

 

「おのれ、ムシケラどもが!」

 

アメリカ軍の援軍に死神博士はエアキャリアのドアロックを開け持っていたソロモンの杖を掲げ光を出しイージス艦や護衛艦に当てる。そこから大量のノイズが現れた。

 

「ノイズだ!!」

「撃てぇ!撃てぇ!」

 

米海軍も突然現れたノイズに銃撃するが位相差障壁の前に銃弾は通り過ぎるだけ、兵士達は次々と炭化していく。

 

「このソロモンの杖がある限り人間どもに勝ち目などないわ!!」

 

船の地獄絵図に死神博士は、ソロモンの杖を見て笑みを浮かべる。潜水艦が何隻かやられたのは痛いが代わりに多数の米兵を抹殺出来た事に満足する。その光景に奥歯を噛みしめるマリアとウェル博士。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、艦艇に居た翼たちも死神博士の出したノイズに気付く。その中には飛行型のノイズも確認できる。

 

「ノイズを出したのか!?」

「! アタシが行く!」

「クリス!」

 

ノイズを確認したクリスは翼や未来の返事も待たず飛び出す。

 

━━━ソロモンの杖がバビロニアの宝物庫は開けっ放しって事か!

 

クリスがジャンプし両腕にガトリング砲と腰の小型ミサイルを展開して回転して全方位のノイズに向けて引き金を撃つ。次々とノイズを殲滅する姿を翼に見せる。

 

「ノイズは雪音に任せる、私と小日向は、「翼さん、あれ!」!?」

 

クリスがノイズの掃討を担当するなら自分と未来が響の相手をしようとしたが、未来が突然指を指して声を出す。翼が見ると、調と切歌に武器を持った戦闘員と何時の間にか響の下から離れたギリザメスとフクロウ男が迫る。

切歌は調を守ろうとするが手に持っている大鎌、イガリマで戦闘員や怪人を追い払うだけで、戦ってるようには見えなかった。

 

「クッ…」

「…行ってください、翼さん」

 

何かしらの事情があるのだろうと感じた翼だが、自分が助けに行けばその間に未来は一人で響の相手をする事になる。怪人以上の強さを持つ響に未来一人ではと心配していた翼に未来は調たちを助けに行くよう言う。

 

「小日向…」

「あの二人とは碌に話してないけど、悪い子じゃない筈です」

 

未来がFISの中で喋ったのはマリアとウェル博士だけだった。それでもマリアの様子から調と切歌は悪い子ではないと判断する。未来の言葉に少し考えた翼は首を縦に振ると調たちの下へ行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

「大人しくその小娘を寄こせ!」

「我等、ショッカーを二度も裏切った。許すわけにはいかん!」

 

ギリザメスとフクロウ男が調と切歌の前後を固める。更には複数の戦闘員とノイズまで居る。数の上では切歌が圧倒的に不利であった。ついでに言えば調もシンフォギアが使えない状態だ。

 

「…切ちゃん」

 

「それとも何だ?お前も裏切るのか?それならそれで俺達が処分するだけだ」

 

ギリザメスの嫌らしい声に切歌は一瞬震える。このままでは自分達は殺されマリアやナスターシャ教授の身が危険だと感じた。

その疑いを晴らすには持っている大鎌…イガリマで調を斬りかかるしかないが、切歌はそんな事は死んでもごめんだ。

 

「どうすれば…」

 

「ああもういい!二人纏めて死ねぇ!!」

 

切歌の煮え切らない態度に左腕のカッターを振り上げたギリザメスは切歌と調に飛び掛かる。もうこの際切歌が裏切ってるかどうかなどどうだっていい。

 

━━━どうせ居ても大して役に立たないシンフォギアの装者だ、それにフロンティアを手に入れた後は死神博士の教え子以外は…

 

ギリザメスの左腕を切歌のイガリマで止めようとするが、怪人の力に押し負け弾かれる。辛うじて手放さなかったが切歌の目の前までギリザメスのカッターが迫る。恐怖に切歌が目を瞑ってしまう。だがその直後に金属音のような音が聞こえた。特に体に衝撃が来なかったので目を開けてみる。

 

「え?」

 

切歌の目が信じられない光景があった。

 

「グっ…邪魔をするか!?風鳴翼!!」

 

「当たり…前だ!!」

 

ギリザメスの左腕を翼の剣で弾き何度目かの鍔迫り合いが起こる。戦闘員が翼に飛び掛かろうとするが足でアッサリ蹴り飛ばされる。

 

「ええい、殺人レント「上に注意しなくていいのか?」ゲ…なにッ!?」

 

翼を殺そうと目から殺人レントゲンを出そうとしたフクロウ男だったが翼の言葉で迂闊に空を見た。翼の言葉をハッタリだと思っていたが空から無数の剣が降って来る。

 

千ノ落涙

 

「剣だと!?」

 

フクロウ男の声にギリザメスや戦闘員も空の方を見る。自分達に向かって振って来る無数の剣が同時に突き刺さる。

 

「ええい、こんな物!!」

 

無数の剣はギリザメスやフクロウ男に刺さるが強化された怪人にはあまり効果はない。しかし、戦闘員やノイズは怪人程の耐久力は無く次々と倒される。そして、調と切歌を取り囲んでいた戦闘員とノイズは全滅した。

その様子に息を飲む切歌。LiNKERも無しでここまで出来るのだ、羨ましいと思う反面恐怖も感じる。

 

「雑魚を蹴散らした程度で図に乗るな!!」

「足手まといを抱えてどこまで戦える!」

 

戦闘員やノイズが全滅したが、今の調はシンフォギアを纏う事は出来ない。即ち戦えないという事だ。翼がチラッと調の方を見る。切歌に守られているが怪人達の猛攻を受ければ一溜まりもない。何より、切歌自身が怪人達への攻撃を躊躇っている。

 

━━━怪人一体ならどうにでもなる。だが、二体ではあの子を守り切れない

 

今の翼なら怪人一体なら調を守りながらも戦える。しかし、二体では難しいと言えた。

 

その時、海上からまた水飛沫が上がり誰かが飛び出す。

 

「またか!?」

「次は何だ!?」

 

何度目かの乱入者に怪人は苛立ちもしつつ見ると、茶髪の背広を着た青年が何時の間にか調をお姫様抱っこしている。

 

「早い!?」

 

青年が一瞬で調を抱えてる事に驚く怪人。飛び掛かろうとするが青年はまたも一瞬で翼の横に移動する。

 

「緒川さん!」

「人命救助は僕達に任せて、翼さんは怪人達の撃破を!」

「お願いします!」

 

調を保護した緒川はそのまま艦艇から離れ仮説本部の潜水艦委戻ろうとする。が、ギリザメスが易々と見逃す気はなく追うが、

 

「逃がすか!って海の上を走ってるだと!?負けるか!!」

 

調を抱えて海の上を走る緒川を追うギリザメス。緒川も早いがギリザメスの泳ぐ速度も速かった。

 

━━━調も無事に逃げられたデス。これで…

 

調が緒川に連れられて逃げていくのを確認した切歌は、ある決心をしイガリマを逃げる。

 

「これで後顧の憂いは消えた。後は…「ハアッ!」!?」

 

緒川に調を任した翼がフクロウ男に剣を向けようとするが、突然の背後からの声にもう一本の剣を出すと衝撃が来る。怪人に警戒しつつそっちを向くと大鎌のイガリマを握った切歌が斬りかかっていた。

 

「何のつもりだ!?」

「悪いデスけど少し付き合って貰うデス!」

 

翼と戸惑いの声に切歌は短く答えてイガリマを振り回す。調を生かしマリアを守る為の切歌の決意。まだショッカーを裏切る訳にはいかず翼を攻撃しフクロウ男が困惑する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クリスも翼もこの場を離れ、響と向き合う未来。暫し顔を見た後に未来が切り出す。

 

「響、一緒に帰ろ。響の居るべき場所は其処じゃないよ」

 

ショッカー…死神博士に操られている以上、説得は無意味かも知れない。それでも未来は今の響と話したかった。

 

「創世や詩織、弓美たちも心配してるよ。私と一緒に帰ろ!」

「帰ル?何を言ってイル、私が戻らねばならない場所ナンテもう無い。私はお前を殺シタ後に最後ノ任務をハタサナケレバならない…」

 

未来の説得も空しく、響は死神博士が下した最後の任務を行なおうとする。即ち自身の心臓のガングニールを暴走させて大暴れして最後に胸の核動力炉を暴走させて核爆発させ翼とクリス、そして裏切者を亡き者にする計画だ。響の脳裏に自身の死など考えて居ない。

 

「そんな事ない!皆が待っている、指令も緒川さんもオペレーターの人達も待ってる!翼さんもクリスも…私も響が帰って来るのを待っている!」

「コレ以上の問答はスル気はない。お前達ガ死二ふろんてぃあヲ手に入レレバしょっかーノ世界征服は確実な物二ナル。邪魔はさせん」

「ショッカーが世界を!そんなの私嫌だ!そんな世界間違ってる!」

 

ショッカーの理想を否定する未来。何より未来が望む世界は響と一緒に笑っていける温かい世界だ。ショッカーが支配する世界など願い下げだ。

 

━━━絶対に響を元に戻して見せる。その為にも…お願い神獣鏡。私に力を貸して!

 

未来はシンフォギアを纏う前のウェル博士とのやり取りを思い出す。

 

 

 

 

『しんしょうじん?』

『神獣鏡ですよ。フィーネが奪った聖遺物です』

 

檻の中に居る私に神獣鏡のギアのペンダントを渡すウェル博士。それをマジマジと見る翼さんやクリスの持つペンダントとそんなに変わらない。暫く観察した後にウェル博士に返す

 

『本当にそれで響を元に戻せるんですか?』

『残念ですが改造された体は望みが薄いですが、彼女の脳なら戻せる確率があります。神獣鏡には『魔を祓う』と言う伝説もあります。ようはアナタの心次第としか』

『私の心…』

 

『シンフォギアの特性は装者の心の強さにも比例する言われてます。それに僅かながらのデータで神獣鏡には聖遺物由来の力を分解できるそうですからね』

『聖遺物の分解?』

 

聖遺物の分解という言葉に私は疑問を感じる。なぜ、今その話を自分にしたのか解らないのだ。いや、心当たりが一つあった

 

『ん?その様子では、二課に教えられてないのか?二課もまだ掴めてないのか?…まあこの最どちらでもいいでしょう。よく聞きなさい、小日向未来。立花響の心臓にはガングニールの欠片が刺さっているのは知っていますね』

『は、はい!』

『それが立花響のシンフォギアの力の源ではあるんですが、我々が調べたところ、その聖遺物が暴走して立花響の命を脅かしています。電気ナマズ怪人との闘い…覚えていますか?』

 

その言葉に私は頷く。忘れもしない、自分達が人質になり響が攫われた時だ。確かに、あの時の響はどこかおかしかった気がする

 

『体内にあるガングニールが浸食と増殖を繰り返して力を与えてはいますが、それも長くは続きません。立花響の体内にある装置にまで浸食し機能不全にさせているんです。それこそ先生…死神博士が匙を投げるくらいには』

 

そして、そんな響を使って死神博士が何か企んでる事も聞く。私の脳裏に響の死が過るが先程のウェル博士の言葉を思い出す

 

『聖遺物の分解って事は!』

『ええ、神獣鏡なら心臓のガングニールを取り除き、立花響を助ける事が出来るかも知れません。残念ですが神獣鏡のシンフォギアの実験データは碌に無いので絶対とは言えません。まさに雲をつかむ話でしょ』

 

絶対に響が助かると言う可能性はかなり低い。それでも私の心に決意に満ちていた

 

『やります!私をシンフォギア装者にして下さい!!』

 

私の決意に今まで黙っていたマリアさんが複雑そうな目をし、ウェル博士を眼鏡のレンズを光らせ表情を悟られないようしてるようだ

私の決意にウェル博士は持てる技術の限り未来の体を神獣鏡に合わせる。液体の満ちたガラスの中に下着で入る。正直ちょっと恥ずかしかったけど、これも響を助ける為だ。頭に何か取り付けられ意識が混濁する私にウェル博士は話しかけつつ作業に没頭する

 

『君には、以前僕らが開発した脳へのダイレクトフィードバックを使い可能な限り戦闘のサポートを行います。どう動けばいいかは装置が判断してくれます。…これが英雄のやる事なんですかね…』

 

最後の言葉らへんだけ弱気な言葉だった。きっと自分のやっている事に後悔してるのだろう、ウェル博士はよく英雄になりたがっていたし

 

『少なくとも私にとってはアナタは英雄です。響を助けれる力をくれたんですから』

 

あの後、意識を失った私は目を覚ました直後にお礼と今の話をした。最初は何の話か分からない表情をしたけど直ぐに思い当たったようだ

 

『…聞いてたんですか…ほぼ独り言だったんですが。なら頭部の装置はなるべく守りなさい。それが君の生命線です、ダイレクトフィードバックに従えば立花響とは互角に戦える筈です。…何でしたら旗色が悪くなったら逃げても構いません。特異災害の装者が来てる以上、司令部である潜水艦も近くにある筈ですから』

 

その会話の直後に私はエアキャリアから降りて聖詠を口にして神獣鏡を使った。ウェル博士はああ言ってたけど私も引く訳にはいかない

 

「絶対、響を元に戻して見せる!」

 

響の前で決意を口にする。操られてる響は不思議そうな顔をしていた

 

 

 

 

 




タイトルで歌と書いてますけど歌うのは後編ですね。

原作でのウェル博士の悪行も死神博士が率先してやってるので、ウェル博士が善よりになってます。

正直。未来が何を歌うか迷ってますね。原作通り歪鏡・シェンショウジンにするか、XDでグレ響に歌った永愛プロミスにするか。

そして。原作アニメでは何時の間にか集まってノイズの餌食になったり装者の足場の価値しかなかったアメリカの海軍の軍艦ですが少しだけ活躍。尚…
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