改造人間 立花響のシンフォギア   作:一種の信者

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56話 少女の歌には、血が流れる。 悪の歌には、何が流れる? 中編

 

 

 

「米海軍、被害甚大!既に第一~四艦の人員が全滅!」

「クリスちゃんが頑張ってますけど、ソロモンの杖から出るノイズの方が早いようです!」

 

特異災害対策機動部二課の仮説本部には、米海軍の被害報告が次々と入る。幾つかのショッカーの潜水艦を沈めたがそれ以上の人員の命が散ってしまった。

 

クリスが必死にノイズを殲滅しているが死神博士がソロモンの杖から呼び出すノイズの数は多く手古摺っていた。

 

被害報告が耳に入る度に弦十郎の顔に青筋が浮かぶ。ショッカーの所為で死ななくていい者が次々と殺されている。

 

「響ちゃんの限界時間は既に五分を切ってます!」

 

更には、響の残りの時間が気がかりでもあった。死神博士の送って来たデータが何処まで正しいかは分からないが響の限界は近い事は理解していた。

 

その時、

 

『指令、要救助者の確保完了しました!』

「緒川か!?よくやってくれた!」

 

理由は分からないがショッカーはマリア達の仲間である月読調を排除しようとしていた。翼が守っていたがあのままでは自由に戦えないとして緒川に調の保護を命じたのだ。上手くいけば調の口から情報も得られると考えて居た。

 

『ですが、少々問題が…』

「どうした?」

『僕が本部に戻ってる途中に余計なお客が…』

 

緒川がそこまで言った時だった。指令部に激震が走る。各所からサイレン音が響き職員も慌てる。

 

「何の揺れだ!?」

「…本部の甲板に怪人を確認!これは…ギリザメスです!」

 

あおいの報告に司令部の職員たちは冷や汗を流す。ギリザメス、忘れもしない廃病院の戦いでお披露目した潜水艦の仮説本部に大打撃を与えた怪人だ。補修はしたがまたギリザメスが暴れたら今度こそ海の藻屑になるかも知れない。

そんな不安を抱えた職員たちを見て弦十郎は意を決した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ガーブ!この潜水艦を奴等の棺桶にしてやる!」

 

ギリザメスが仮説本部の潜水艦の甲板に上り左腕のカッターで装甲を引き裂き内部にある電気系統のケーブルを嚙み千切る。その際、電流がギリザメスを襲うが気にせず装甲を引っぺがして仮説本部の潜水艦を破壊する。

 

緒川が調を中に入れて匿ってる事は知っている。ならば今度こそ、この潜水艦を破壊して海に沈め特異災害対策機動部二課と裏切者の摩擦がギリザメスの目的であった。

 

「裏切者だけでなく、邪魔な特異災害も始末できるとはな、まさに一石二鳥とはこの事だ!」

 

「そうは問屋が卸すか!ギリザメス」

 

突然背後からの衝撃にギリザメスがよろけながらも振り返る。そこにはショッカーの宿敵がいた。

 

「風鳴弦十郎、貴様が来たか!海の上で俺に勝てると思うか!?」

 

「やってみなければわからんだろう!」

 

現状、翼もクリスも居ない段階で特異災害で怪人と戦えるのは弦十郎だけであろう。緒川は要救助者を連れて戻ったばかりであり、攻撃力自体弦十郎の方が上だ。他の職員では怪人には勝てない。潜水艦を潜航させようにもサメの怪人であるギリザメスが海の中で潜水艦に纏わりつき攻撃されれば逃げ場などほぼ無い。

 

特異災害の仮説本部の潜水艦の上で弦十郎とギリザメスの死闘が起こる。

 

 

 

 

 

 

 

 

閃光…始マル世界 漆黒…終ワル世界

殲滅…帰ル場所ヲ 陽ダマル場所ヲ

 

風が吹く 見よショッカー

嵐が荒れる 力よショッカー

 

二人の少女が歌う。一人は親友を思い、もう一人は洗脳されて無理矢理従わされている。

未来が響に神獣鏡のレーザーを撃つが響は僅かな動きで悉く回避する。

 

流星…アノ日は遠ク 追憶…全テガ遠ク

返シテ…返シテ… 残響ガ温モル歌

 

世界は征服 威大なショッカー

怪人あやつる 恐怖だショッカー

 

━━━当たらない!なら!

 

レーザーが響に当たらない。いくら、ウェル博士等が開発したダイレクトフィードバックがあっても未来と比べれば響は今までノイズや怪人達と戦った歴戦の戦士といえた。操られてるとは言え素人同然の未来が早々攻撃を当てれる訳が無い。そこで未来は両腕付近にある帯を鞭のように動かし響の牽制をする。

 

指をすり抜ける キミの左手

私だってキミを 守りたいんだ…!

 

邪魔な相手は ゆるさんぞ

出撃 それゆけ 怪人軍

 

「無駄ダ」

「!?」

 

未来が鞭じょうにしていた帯を響が掴み取り無理矢理引っ張る。態勢を崩した未来は響の方に引っ張られる。その時、ダイレクトフィードバックに腕でガードしろとの指示で胸の部分を腕でクロスさせガードする。直後に未来の腕に衝撃と激痛がくる。

 

あの懐かしのメモリア 二人を紡ぐメロディーを

過去も今日も…そう、そして未来も!

 

人呼んで 悪魔のショッカー

人呼んで 悪魔のショッカー

 

衝撃は未来自身にも襲い、未来の体は甲板の壁に減り込む。

 

━━━響のパンチ!?ダイレクトフィードバックの指示で咄嗟にガードしてなきゃ危なかった

 

響に殴られた腕の痛みに未来はソッと腕を撫でる。骨から悲鳴が出てるくらいの痛みが未来を襲う。シンフォギアを纏ってなかったら、今頃両腕が粉砕されてただろうし、ガードしていなければ未来の胸の部分に攻撃がまともに入り意識を失ってたかも知れない。

未来の目には響が拳を繰り出した後の姿が見えた。仕留めきれなかったと判断した響は未来へと近づく。

 

 

 

 

 

 

 

 

「苦戦してるわね」

 

その頃、エアキャリアでは響と未来の戦いを見守っているマリアがそう呟く。ウェル博士は静かだが額から汗が流れ落ちる。

舐めていた訳ではない。怪人作りの名人と言われていた死神博士が最高傑作と言い放った聖遺物怪人。その力はスカイタワーで見た時よりも上がっている。

 

「神獣鏡のシンフォギアを以てしても苦戦してますか」

「マム!?」

 

その時、体調不良で寝ていたナスターシャ教授がマリアの乗るパイロット席の横から出て来る。

 

「あれは…神獣鏡は人の心を惑わせる力がある。やはり彼女には荷が重かったのでは?」

「…仕方ないでしょう。僕達に打てる手は少ない、それにアナタも承知していたでしょう」

 

現在、死神博士はノイズを出す為コックピット席には居ない。その為、ナスターシャ教授とウェル博士は打倒ショッカーの話をしている。

響の強さはウェル博士の想定以上と言えた。今はダイレクトフィードバックで戦えては居るが後何時まで持つかは…

 

「しかし、リディアン音楽院に通う生徒はシンフォギアの適合が見込まれた装者候補と言えますがLiNKERを使ったからってここまで戦えるとは…」

「いえ、LiNKERはそこまで便利な道具ではありませんよ。LiNKERを使ってホイホイ、シンフォギアに適合なんて出来ません。出来て居たら僕らも特異災害対策機動部二課もこんなに苦労はしていません」

「ならば、何故小日向未来は?」

「強いて言うなら……ですね」

「愛ですか…愛?」

 

ウェル博士の口から『愛』と言う言葉に引っ掛かるナスターシャ教授。エアキャリアを操縦しているマリアも口には出さないが視線をウェル博士に何度も向ける。マッドサイエンティストの部類に入るウェル博士の口から愛という言葉に反応してしまった。

 

「LiNKERが小日向未来の心にある級友を救いたいと言う思いを神獣鏡に繋げたんでしょう。麗しい、これを愛と呼ばず何を愛と呼ぶんですか!?」

「ハ、ハア…私としてはその愛がLOVEかLIKEかが気になりますがね…」

 

ナスターシャ教授としてはその愛が友への愛かどうかが気になった。同性同士が惹かれ合うのもそこまで珍しくはなくなった昨今だがナスターシャ教授としては普通の恋愛が常識と言えた。

 

━━━まあ、愛に関しては家の調と切歌も怪しいと言えば怪しいのですが…

 

 

 

 

「愛など下らん、そんな物で我等ショッカーに勝てるものか」

 

コックピットの扉が開くと同時に死神博士とノートパソコンを持つ戦闘員が入る。途中でウェル博士たちの会話を聞いたのか、その第一声にマリアもナスターシャ教授も振り向く。外には十分な数のノイズをばら撒いて来たのだろう。

 

「先生…」

 

「戦況は互角と言ったとこか、どれ少しテコ入れをしてやろう」

 

そう言うと、死神博士は戦闘員にノートパソコンを起動させキーボードを操作する。死神博士の邪悪な笑みにウェル博士は嫌な嫌な予感がしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ガーブガブッ!どうした?俺を倒すんじゃなかったのか!?」

 

ギリザメスの言葉が響が弦十郎の目にはギリザメスの姿が映らず浮上している潜水艦の周りの海面にはサメのヒレが猛スピードで移動していた。

そして、潜水艦の甲板には肩で息を切らす傷だらけの弦十郎の姿がある。元々赤かった弦十郎のシャツも血で更に赤く、ズボンにも垂れてきていた。

 

『指令、戻ってください!このままでは嬲り殺しにされる!』

「ハア、ハア…駄目だ。今、戻る訳にはいかない」

 

通信でオペレーターのあおいが指令室に戻る様訴えるがギリザメスを野放しに出来ない弦十郎は断る。

その時、

 

「また隙を見せたな!」

「グっ!」

 

弦十郎の死角の海面からギリザメスが飛び出すと共に弦十郎の体を左腕のカッターで切り裂き、再び海に直水し、また海面を泳ぐ。この戦法に弦十郎は苦戦を強いられていた。

弦十郎は、ギリザメスのヒット&アウェイの戦法に苦しんでいた。体は既に傷だらけだ、そこまで深い傷はないがギリザメスに何時、海に引きずり込まれるか分かったものではない。少しでも隙を見せれば左腕のカッターや鼻先のドリルに幾つもの鋭利な牙を持つ口が弦十郎の体を傷つける。

 

迂闊に潜水艦に戻ればギリザメスは躊躇いも無く潜水艦を破壊しようとするし、弦十郎が海に潜るのはもっと駄目だ。サメの改造人間であるギリザメスに水中戦を挑もうなど命知らずもいいところだ。海に潜れば一瞬で殺されるだろう。

 

━━━何か切っ掛けだ。ギリザメスが焦る何かが起きなければ俺に勝ち目はない

 

周りが海の完全な不利な戦いの弦十郎はひたすら耐える。ギリザメスが勝負を焦る何かが起きるまで致命傷を受ける訳にはいかなかった。それは奇跡にも等しい事だとは弦十郎も分かってはいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は絶対譲らない もう遠くには行かせない

こんなに好きだよ ねえ…大好きだよ

 

稲妻走る 光るショッカー

雷ひびく 起きよショッカー

 

未来は扇を円状にして響に細いレーザーを幾つも撃つがそれも殆ど躱される。逆に響の回し蹴りが未来の扇に当たり弾かれ手を離してしまう。

 

「ツ…」

 

蹴られた手を押さえて一旦距離を取る未来。それならばと海面を飛び、丸い鏡を小型機のように飛ばしつつレーザーで牽制する。

 

屈折…壊レタ愛 慟哭…傷ンダ愛

終焉…Lalala 歌ヲ Lalalala…歌ヲ

 

世界は征服 威大なショッカー

悪魔の使い 恐怖だショッカー

 

その時、丸い鏡から出したレーザーが響の腕と足に当たる。当たった部分のシンフォギアが泡立ち砕ける。

 

━━━やったー!神獣鏡が効いているんだ!

 

その様子に未来は心の中で喜ぶ。これで少しずつ響のシンフォギアを剥ぎ、最後に響の心臓のガングニールを対処する気であった。

 

━━━これなら響を助ける事も…!?

 

しかし、そんな未来の目論見も容易く崩れてしまう。神獣鏡のレーザーが当たった箇所のシンフォギアが再生してレーザーの当たる前に戻ったのだ。

 

「そんな…」

 

これには、思わず未来も声に出してしまう。

 

『フッハハハ、当てが外れたようだな小日向未来!』

 

「!?死神博士!」

 

未来の通信機に死神博士の声が強制的に流れ込む。その事に未来は奥歯を噛みしめる。

 

『大方、神獣鏡のレーザーを当てれば聖遺物怪人を戻せると考えてるようだが無駄だ。聖遺物怪人にはネフシュタンの鎧のデータを使い、再生力も付いているのだ。尤も、ネフシュタンの時より遥かに燃費は悪いがな』

 

「!?」

 

死神博士の言葉に未来は響の方をジッと見る。先程まで平然としていた響の息が乱れ体の熱も上がったように感じた。

 

━━━響の時間が縮まってる!?これじゃ神獣鏡の力が使えない!

 

下手にレーザーを撃って響に当てても再生するなら意味がない。それに加えて響の核爆発へのタイムリミットが縮まっては意味が無い。

 

━━━どうやって響を助ければ…

 

『最後に良いものを見せてやろう』

 

未来が考え事をしてる時に死神博士が最後にそう言って通信が切れた。直後に、響が胸を押さえて苦しむ。

 

「アアア…ああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

 

「ひ…響!?」

 

響の断末魔に未来が近寄ろうとした時に異変に気付く。響の胸を中心に黒い物が溢れ出て響の体を包み込んだのだ。未来は知らないが、それはカ・ディンギル跡地での戦いの時の響の暴走に酷似していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハア…ハア…」

 

死神博士の出したノイズを粗方殲滅したクリスがイージス艦の一つに飛び降りる。大量のノイズとの戦いの疲労を回復する為だ。その時、クリスはある物を目にする。

 

「これって…」

 

それは炭化した兵士の持ち物だった。最初はドッグタグかとも思ったがそれにしてはカラフルに思えた。

ペンダントだ。それも中が開き自分の娘らしき少女と撮っていた姿は実に幸せそうだった。

 

「…ショッカーめ…いや、これもアタシが背負わなきゃならない十字架だ」

 

兵士達はショッカーの犠牲者と言えるがそもそもソロモンの杖を起動させてしまったのはクリスだ。その責任を感じていた。

 

 

 

「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

 

 

 

「何だよ…今の声!?」

 

その時、クリスの耳に聞き覚えのある断末魔の声が聞こえた。胸騒ぎのしたクリスは急ぎ声の発生源へと急ぐ。

 

「響…響…!」

「おい、何が起きてるんだ!?…これってあの時の…」

 

声の発生源はアッサリと見つかった。座り込み胸を押さえた響が獣のような咆哮を上げていた。熱で響に近づけない未来が必死に響の名を叫び、クリスとしても響の発する熱に「熱い」と呟く。その時、響は体が黒く染まっていく事に気付く。それはまさに、あの夜の再現と言えた。

 

━━━あれって!?

 

『ほう、雪音クリス。貴様も来たか』

 

「この声…クソ爺!!」

 

クリスの通信機からも死神博士の声がする。その声にクリスは怒鳴るように声を出す。クリスにとっては死神博士はこの戦いの元凶と言えたからだ。

 

「アイツに何をした!?言え!」

 

『見て分からんか?あの夜の再現よ』

 

その言葉を聞いてクリスは確信する。死神博士は響をワザと暴走させたのだ。

 

『ウアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!』

 

完全に暴走したのか、黒く目だけが赤くなった響が未来に突撃する。響の体から殺気が漏れ、その腕は槍の様な形状になっていた。

 

「響!」

「危ない!」

 

クリスが咄嗟に未来の体を抱いて伏せる。直後に何かが通り過ぎる気配と衝撃が来た。

 

「「!?」」

 

後ろを見たクリスと未来は息を飲む。そこにあったイージス艦が真っ二つに折れて沈んでいき、暴走した響が咆哮を上げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ククク…フッハハハハ!!」

 

エアキャリアのコックピットでは死神博士が笑い声を上げる。

反面、マリアやナスターシャ教授、ウェル博士は顔色を青くさせる程の衝撃だった。

 

「死神博士!彼女に何を!」

 

マリアが一人笑う死神博士に話しかける。その顔は相変わらず驚愕している表情だった。

 

「見ての通り暴走させたのよ、これで確実にあの小娘どもは死ぬ。…おっと、例の小型機を打ち上げて置け。上手くいけば神獣鏡の力を利用できるかも知れん」

 

響の胸のガングニールをワザと暴走させた事を話す死神博士。その事にマリアは悔しそうにも悲しそうにも見える表情をする。

それでも、マリアはエアキャリアのコックピットにあるスイッチを押して幾つもの小型機を出す。それは夜の海に出した神獣鏡のレーザーを曲げたアンテナの様な物だった。神獣鏡のレーザーを出す未来の流れ弾を使い、それでフロンティアの封印を解く腹積もりである。

 

「ゴホッ、ゴホッ…!」

「マム!」

 

マリアが小型機をばら撒いた直後にナスターシャ教授が咳き込み押さえていた手に血がべっとりと付く。更には口の端からも血を流している。

 

「フン、私は手を離せん、ウェル…貴様が処置しろ、貴様の腕なら十分できよう」

「! 分かりました」

 

ナスターシャ教授の治療をウェル博士に押し付ける死神博士。ウェル博士はナスターシャ教授と共にコックピット席の下層部に移動する。それを見送った死神博士は、再びノートパソコンに集中しマリアは外やモニターに注目し、エアキャリアを操縦する。

 

「あ…そうそう…」

 

何かを思い出したのか死神博士は、切っていた通信機の電源を入れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ウアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

「響!」

「何なんだよ、一体…」

 

暴走し咆哮を上げる響は暴れ続ける。その姿に未来もクリスも息を飲む。響は戦艦をノイズを戦闘員を破壊し尽くす。

まるで目に見える物全てを破壊し尽くすように。

 

『フフフ…素晴らしかろう。これが我が最高傑作!聖遺物怪人・響だ!』

 

「死神博士!?」

「また、お前かよクソ爺!しつこいぞ!」

 

何度目かの死神博士の強制通信に嫌気がさすクリスに未来。今は暴れる響に集中したかった。

 

『なに、これが最後の通信だ。聖遺物怪人・響にはある一つの仕掛けをしてある』

 

「仕掛けだと!?」

「これ以上、響に何を!?」

 

最初は、死神博士の通信を無視しようとしたクリスだが「仕掛け」と言う言葉に引っ掛かりをおぼえた。それは未来も同じようだった。二人は目線を響に向けつつ死神博士の通信に集中する。

 

『聖遺物怪人が暴走する時に記憶の一部が蘇るようにしていただけだ』

 

「記憶を!?」

「…内容は?」

 

死神博士の言葉に一瞬喜ぶ未来だが、クリスは疑いを持っていた。

 

━━━死神博士は腐れ外道だ。きっと何か別の企みを持っている筈だ

 

今までの死神博士の所業に、きっとまだ何か隠している筈だと考えるクリス。そして、それは正しかった。

 

『ククク…蘇った記憶は立花響が迫害されてる記憶だけだ』

 

「「!?」」

 

その答えにクリスと未来は戦慄する。見ると響は暴れながらも目から涙を流して破壊活動をしていた。

 

『オ前達が…お前達ガ、私ヲ受け入れないのナラ…こんな世界…消エテしまエエエええええええええええええ!!!』

 

響の脳内の記憶はツヴァイウイングの悲劇の後の自分に何かがあった事しか無かった。

 

顔も名前も知らない同じ年の男女に罵られ、嫌がらせをされ自宅に石を投げ込まれおばあちゃんに抱き着いていた記憶。

最早、理由すら思い出せない。あるのは悲しみと理不尽に対するドス黒い怒り。その二つに支配された響は暴れ続ける。

 

「お前…お前!!」

「こんな酷い事を!」

 

『立花響に残された時間はあと少し、それまでに立花響を倒せなければ死ぬぞ。せいぜいどちらかが死ぬまで戦い続けるがいい!フッハハハハ!!』

 

未来とクリスの罵倒にも何処吹く風。死神博士は高笑いを上げて通信を切った。だが、これでクリスは確信する。死神博士は自分達に大して最大限の嫌がらせをしている事に。

 

 

 




ネフシュタンの鎧のデータは今までの戦闘記録とルナアタックの決戦時にゾル大佐が捕獲したフィーネの着ていたネフシュタンの鎧からもデータを取り本部に送っていた設定です。今回、死神博士が再現し少しだけ響に組み込まれてましたが怪人との相性が悪い設定です。

ギリザメスの戦法に苦戦を強いられる弦十郎に響に苦戦する未来。そこへクリスが援軍に、

そして、響を暴走させる死神博士。原作のウェル博士以上の悪行を行なうショッカー軍団。
果たして未来は響を救う事が出来るのか?
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