改造人間 立花響のシンフォギア   作:一種の信者

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最近、パソコンの挙動がおかしい。
5年過ぎてるし、寿命が近いのかも知れない。
コロナが終わるまではもってほしいけど…


59話 裏切られた約束!? ショッカー真の目的!

 

 

 

死神博士がフロンティアを飛ばす少し前、

 

「『助けてほしい』そう言ったのか?」

「はい、ショッカーに騙され利用されている仲間たちを止めてほしいと」

 

指令室のモニターに営倉のベッドに腰掛けている月読調の姿が映る。

調から話を聞いた緒川が調が言った「助けてほしい」と言う言葉を弦十郎に伝え、調のから預かったシュルシャガナのギアのペンダントも弦十郎に渡す。

 

「彼らはやはりショッカーに利用されてるのか」

「彼女からの情報だと、…気になるのはウェル博士が死神博士の事を『先生』と言っていたそうですけど」

「先生?」

 

緒川の言葉に驚く弦十郎。あの死神博士を先生と呼ぶウェル博士、二人の関係が師弟関係なのかと考える。更に、緒川は調から自分達とショッカーを会わせたのはウェル博士だという情報も得る。

 

「そうなると、ウェル博士はショッカー側と思った方が妥当か」

 

弦十郎はウェル博士を重要参考人として捕縛、マリアたちの保護を目的にする。可能なら、死神博士も捕縛したいがショッカーの大幹部だ、一筋縄ではいかないとも考えて居た。

その時、指令室の扉が開き、響と翼とあおいが入る。因みに響の服は入院服から攫われ元に戻った時の制服だが、洗濯が間に合わなかったのか磯臭い。

 

「響くん、まだ寝てないと駄目だろ!」

「ごめんなさい、師匠。でも死神博士が近くに居るのに寝てられないんです」

 

弦十郎が動く響に注意する。それに謝る響だがショッカーの大幹部、死神博士が近くに居る事に居ても立っても居られなく翼やあおいの説教も聞きつつ指令室に来たのだ。

 

「それにクリスちゃんが無事かどうかも分からないし…最悪、改造手術をされてる可能性も」

「確かにクリスくんの安否は不明だが、改造手術はされていないと思う。手術をやるには時間が足りないからな」

 

ショッカーがフロンティアに潜入して、まだそんなに時間は経っていない。改造手術はとにかく時間が掛かる。響の体を見れば一目瞭然だろう。しかし、時間を与えれば与える程、ショッカーがフロンティアでなにをするのか分かった物ではない。

 

「指令、事務次官の言っていたアメリカの艦隊を補足しました!」

「まだ、遠くですが反対の海域にロシアと中国の艦隊も補足しました」

 

弦十郎と響が話をした直後にオペレーターコンビが特異災害対策機動部二課の仮設本部の潜水艦に取り付けられているセンサーにアメリカやロシア、中国の艦隊の影を捕らえる。二つのモニターに幾つもの艦隊が映る。映像には真っ直ぐフロンティアへと向かっている。

 

「事務次官の不安が的中したのか、しかし何のために?」

 

ショッカーやフロンティアの危険性に気付いて攻撃しに来たのなら特異災害としても有り難い。領海侵犯云々の話はあるがそれは政治家の仕事だ。

フロンティアの奪取なら、最悪他国の漁夫の利を覚悟しなければならない。だが、それなら斯波田事務次官に動きがアッサリバレてる事が気になる。

そして、最悪は……

 

「フロンティアになるべく接近しろ。いざとなったら俺と翼でクリスくんを救出しに行く!」

 

最悪を想定した弦十郎がフロンティアへと接近するよう言う。

だが、その直後に特異災害の仮設本部の潜水艦が激しく揺れる。海流が突如、乱れたのだ。

 

「うお!?」

「一体、何が!?」

「フロンティア下層部より重力異常!広範囲に渡って海平が隆起!我々の直下からも迫ってきます!」

 

オペレーターの藤尭朔也の報告の直後に特異災害の潜水艦は浮き上がるフロンティアに激突した再び激しい揺れが起きる。

 

 

 

 

外から、見ていた艦の人間も驚く。巨大な建造物のフロンティアがその下にある岩盤ごと宙に浮いてるさまを見たのだ。

 

「あれが…フロンティア」

「なんて…大きさだ…」

 

波で揺れる艦艇にしがみ付いてフロンティアを茫然と見る兵士達。予想以上の光景に息を飲む、噂には聞いていたがこの目で見るとやはり圧巻される。

その時、船のブリッジの扉が開き誰かが入って来る。

 

「どうやら、無事にフロンティアは起動したようだな」

「こ、これは地獄大使!わざわざこちらに?」

 

艦長と思しき船員が地獄大使に敬礼をする。それに倣い他のクルーも地獄大使に敬礼する。

横目でその様子を見た地獄大使は視線をフロンティアに戻す。

 

「他の艦隊も到着したようだな、死神博士に通信を繋げろ」

「はっ!」

 

地獄大使の命令に通信士が通信機を動かす。間も無く、通信機から老人の声が響き出した。

 

『地獄大使か?』

「そうだ、予定通り合流しに来たぞ。我々をフロンティアに上げろ」

 

地獄大使の言葉に返事をしなかった死神博士だが、フロンティアの力を使い地獄大使の乗る艦艇や他の艦隊を宙へと上げる。それは中国やロシアから来た艦隊も同様であった。その船はドンドン持ち上げられフロンティアへと載せられた。

 

 

 

 

 

「死神博士、あの艦隊は?」

 

その様子を見ていたマリアが死神博士に聞く。彼女たちの計画ではこのような事想定されていない。

 

「あれは、世界中に散っていた工作員と怪人の補充の為に合流した部隊だ。後、我々の息のかかった連中もいる」

 

フロンティアへと集まって来た艦隊は世界中に散っていたショッカーの工作員たちだった。中には催眠術で操られてる兵士もいるが、ショッカーに魂を売り渡した者達も乗っている。身体的に改造人間候補としてショッカーが連れてきているのだ。

そして、死神博士が艦艇事フロンティアに招いた理由は他にもある。

 

 

 

 

『急げ、急げ!』

()()()()()()()()の設置を急げ!』

 

連れてこられた兵士たちが急ぎ行動する。引き上げられた艦艇を解体し一部を土台として機関銃の様な物を設置していた。

 

「デンジャーライト」嘗て、白川保と言う名の天才物理学者が作ってしまった殺人光線を撃てる兵器だ。それを奪取したショッカーが航空機や飛行型ノイズを撃墜して制空権を手に入れる計画を立てていたがとある事情により頓挫していた。

 

そのデンジャーライトが航空機迎撃用としてフロンティアの周りに設置されていくのだ。設置が完了すれば航空機は勿論、戦闘機も近づく事が出来ない。

 

「なるべく急げ!早々に戦闘機が来れば面倒だぞ!…ん?」

 

作業に入っている戦闘員や兵士に檄を飛ばす地獄大使だったが、その視界にある物を捕らえた。

 

 

 

 

 

「ふむ、フロンティアのエネルギーは十分と言ったとこか」

『死神博士、面倒な客人だ』

 

ネフィリムと一体化した左腕でフロンティアを制御していた死神博士に地獄大使からの連絡が入る。

 

「客人だと?」

 

地獄大使の言葉に死神博士は、フロンティアを操作して、地獄大使の言っていたポイントの映像を映す。そこには、特異災害対策機動部二課の仮設本部の潜水艦がある。

 

「チッ、浮上する時について来たか。目障りな連中め!」

 

特異災害対策機動部二課の姿を確認した死神博士は、舌打ちをすると直ぐに戦闘員達に出撃命令を下す。さらにソロモンの杖からもノイズを出した。

 

「彼女たちも来たのね」

「こちらとしては有難いですよ」

 

特異災害対策機動部二課の潜水艦がフロンティアに乗っかってるのを見て、マリアとウェル博士が呟く。マリアが若干嬉しそうな表情をし、ウェル博士も少しだけ笑みを浮かべる。その言葉が耳に入らなかった死神博士は、迎撃部隊をだした事で一息つく。

 

「さて、では最後の目的を遂行するか」

 

「え、もう?」

「ナスターシャ教授の作業が終了するまで待つべきでは?」

『もう少しだけ待って貰えれば…』

 

死神博士の言葉にマリアが鳩が豆鉄砲を食ったよう表情をし、ウェル博士も制御室に居るナスターシャ教授を待つべきだと言った。

しかし、

 

「その必要はない、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

『!?』

「え?」

「…先生?」

 

予想だにしなかった死神博士の言葉にマリアもウェル博士も思わず固まってしまう。ナスターシャ教授は言葉すら出ない、その様子を横目で見た死神博士が不気味な笑みを浮かべる。

 

「ウェルに小娘、まさか私の目的がフロンティアを手に入れるだけだと思ってるのか?」

 

「…違うの?」

「!マリア!直ぐに先生を止め…」

『待ちなさい、死神博士!』

 

通信機の向こうからナスターシャ教授の止める声がし、何かに気付いたウェル博士がマリアに何か言おうとするが、

 

「私の真の目的は…これだ!!」

 

死神博士がネフィリムと一体となった左腕を丸い球体の操作盤に叩きつける。

直後に、フロンティアの最上部にある、二つの巨大な輪っかに、その間に挟まれた石柱のようなオブジェクトが光り輝き、二つの巨大な輪っかから火花が飛び出る。そして、二つの輪っかと石柱の天辺から光り輝く者が飛び出て来る。

 

その光りは空中を昇り糸のように絡み合い雲を消し去り一本のロープのようになり宇宙にまで飛び出す。しかし、その紐上の光は止まらずそのまま進み月にまで到達した。そして、光りは巨大な手のような形をし、月を鷲掴みにした。

 

「予想通りだ!落ちろ!」

 

その光りの手は、鷲掴みにした月を引っ張った後に消滅した。その影響か、ゆっくり地球に向かっていた月の速度が爆発的に上がる。

 

「死神博士、あなたは一体なにを!?」

 

「月を引っ張った、あと少しで月が地球に落下する。これで労をせず人類の抹殺が出来ると言う物だ」

 

『「「!?」」』

 

死神博士の言葉にマリアもナスターシャ教授もウェル博士も息を飲む。それは自分達の目的の間反対だったからだ。

 

「落下を早めたと言うの!?救世の準備は何も出来て居ないのに!」

 

マリアが急いでフロンティアを動かそうとするがうんともすんとも言わない。その状況に焦るマリア。

 

「せ…先生、落下を早めたとはどういう事ですか!?計画では僕達が月の落下を阻止して民衆にショッカーの存在をアピールする筈では…」

 

ウェル博士が汗を掻きながらも死神博士に説明を求めた。本来の計画では自分達で月の落下を阻止してショッカーが地球の英雄となり表舞台に立つと聞いていたのだ。

 

「ウェル、そんな与太話まだ信じて居たのか?」

 

「与太…話?」

 

「全てはフロンティアを手に入れ月を地球に落とす為のペテンよ。貴様たちは我々の掌の上で踊っていたに過ぎん!」

 

その言葉にウェル博士は愕然として床に膝を付ける。

ウェル博士は思い違いをしていた、死神博士やショッカーは人類文明やインフラを無傷で手に入れたいと思っていたのだ。ウェル博士の考えでは月の落下を阻止した英雄となり表舞台に現れて裏で暗躍しつつ民衆の信用を得ようすると考えて居たのだ。

 

そこで、自分達がショッカーの悪事を暴露して政府や特異災害対策機動部二課がショッカーを潰してショッカーの悪事を暴露した自分が英雄になるという発想だった。

 

━━━騙された!また僕は…僕達は死神博士に騙された!まさか、こうも簡単に人類も人類文明も見切るなんて、あれの効果が出るまで、まだ時間が掛かるのに!

 

「ふざけないでっ!このままだと人類が絶滅しちゃう!!」

 

「たわけが、それが目的だ!邪魔なムシケラどもを根絶やしにすれば世界はショッカーの物よ!」

 

何より、ウェル博士の計算外は、既にショッカーが人類に見切りを付けて居た事だ。全人類を改造人間にして世界征服を目的としているショッカーが人類を根絶やしにしようとは考えてもいなかった。確かに全ての人類を根絶やしにしてショッカーの改造人間だけが残れば理論上、全ての人間は改造人間と言える。屁理屈以下だが。

 

「どうして…どうして私の操作を受け付けないの!?」

 

必死に動かそうとするマリアだが、やはりフロンティアの操作盤はうんともすんともいわない。その事に焦るマリア。

 

「…無駄です、マリア。恐らく、死神博士がネフィリムと一体化した腕で操作権を独占したのでしょう」

 

「正解だ、ウェル。現状、フロンティアを操作出来るのは私一人だ」

 

ウェル博士の言葉に死神博士も認める。そもそもショッカーは、フロンティアを独占するのも目的である。一々、他者に操作されては堪った物ではない。

 

「なら、ドクター!あの注射器を私にも!あれさえあれば私でもフロンティアを操れる筈よ」

「…ないんです」

「え?」

 

それならば、ウェル博士にもう一本の注射器を要求するマリア。自らの腕に打ち込み死神博士からフロンティアの操作権を奪う事を思いつくがウェル博士の答えは無常であった。

 

「もう一本なんて…ないんです。あれ一本作る為に調整が難航して一つだけです。いまから作るにしてもネフィリムの細胞は…それに時間も足りません」

 

あの一本の液体を作るのに所持していったネフィリムの細胞を使い切ってしまった。フロンティアのジェネレーターとなっている心臓から細胞を採取できても月の落下までのに間に合うかは微妙だった。

 

「な…なら、死神博士が協力して「断る」…!」

「何故、月を落とそうとする私が貴様らに協力すると思う?お前達の協力関係は終わった、フロンティアを手に入れた時点でな!人類は滅ぶ、もう直ぐな!」

 

死神博士の言葉にマリアは絶望をする。

 

━━━ショッカーが月の落下の阻止の手伝いが全て嘘だった!私は…私は何のためにフィーネの名前で…!

 

「私を…私達を騙したのか!死神博士!!…ウグッ!」

 

逆上したマリアが死神博士に掴みかかろうとするが、片腕で首を持ち上げられるマリア。死神博士の右腕がマリアの首を持ち上げ締めていたのだ。

 

「騙した?それはお互い様であろう、フィーネの名を騙った貴様がな!」

 

「「!?」」

 

ショッカーは既に、マリアがフィーネの名を騙る偽物だと気付いていた。放置していたのはフロンティアを手に入れ月を地球に落下させるためだ。その為に敢えてマリアたちは泳がされていたのだ。

 

死神博士は腕の力を強めマリアの首を更に締め上げる。息苦しさと首の圧力に命の危険を感じたマリアが必死の抵抗が効いたのか、単純に死神博士が飽きたのかマリアの首から圧力が消え床へと倒れる。

 

「ゴホッ、ゲホゲホッ!!」

「マリア、大丈夫ですか気を確かに!怪我はありませんか!?」

 

倒れながら咳き込むマリアを介抱するウェル博士。何とか、マリアの体を支え背中を摩ったりする。

 

「本来なら我々を謀った罪で殺してやるところだが、無事にフロンティアを手にれる事が出来た功績でプラマイゼロにしてやろう。せいぜい人類が絶滅した後の身の振り方でも考えるのだな。ショッカーに逆らい無駄に死ぬか、ショッカーに忠誠を誓うかだ。ナスターシャ教授、貴様もだ!」

 

『私は…私は何のために…セレナ…セレナ!」

『…』

 

死神博士の言葉にマリアは泣き出しナスターシャ教授は、沈黙する。完全にしてやられた、ナスターシャ教授とウェル博士の脳裏にその言葉が浮かぶ。マリアを支えるウェル博士が睨みつけるが死神博士はそれを意にも介さず笑い声を上げながらフロンティアのブリッジから出ていく。

 

一旦、地獄大使との合流と首領にフロンティアを手に入れた事を報告する為だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、特異災害対策機動部二課の潜水艦内部では特異災害の潜水艦がフロンティアに乗り上げた事を知り、翼がフロンティアに行く事になる。翼がライダースーツを着てヘルメットを持っている。そして、翼の前に弦十郎と響、緒川が翼を見守っていた。

 

「行けるか?翼」

「無論です」

 

弦十郎と翼の僅かな会話だが、その短い会話で全てが詰まっていた。翼はこれより単独でフロンティアの建造物に入り、クリスと合流して死神博士の撃破に動こうとしていた。先程、観測したフロンティアのエネルギーが月を引き寄せた為、あまり時間はない。

 

「翼さん、やっぱり私も…」

「安心しろ、立花。私や雪音が必ずショッカーを撃破してみせる」

 

響は一緒に付いて行きたかったが、翼はそれを拒む。既に何度もこのやり取りをしているが翼は決して折れなかった。

 

その時だった、突如警報が鳴り響き指令室の部屋も赤い光で照らされる。

 

「戦闘員のバイク部隊を確認!こちらに迫ってます!」

 

あおいの報告と共に指令室のモニターに映像が映る。其処には何十台もの戦闘員の乗るバイクが特異災害の潜水艦へと迫って来ていた。死神博士の出した部隊だ。

 

「戦闘員だけなら俺達もいける。行くぞ、緒川!」

「はい!」

 

弦十郎の声に返事をする緒川、翼の邪魔となる戦闘員を自分達で相手をする気でいた。

しかし、

 

「待ってください、戦闘員のバイクにノイズの反応を確認!」

「なんだと!?」

 

朔也が報告と共にモニターにノイズを移す。その映像には戦闘員の背後にノイズがバイクに乗っていたのだ。これでは弦十郎たちでは相手を出来ない。

 

「ここは私に任せてください!」

 

それを確認した翼が急いで格納庫へと急ぐ。そして、格納庫に着いた翼はバイクに乗るとハッチが開き外へと飛び出す。

 

Imyuteus amenohabakiri tron

 

バイクに乗ったまま聖詠を口にしてバイクに乗ったままシンフォギアを纏う。そして、その前には戦闘員のバイク部隊が迫る。

 

「風鳴翼だ、殺せ!!」

「「「イーッ!!」」」

 

戦闘員の一人がバイクに乗る翼を発見して他の戦闘員にも伝える。数は圧倒的に戦闘員が多かったが翼は怯みもせずバイクの速度を上げ戦闘員のバイク部隊に突っ込んで行く。

その時、翼の足元から鋭い刃が出てバイクの尖端にドッキングする。

 

先に仕掛けたのは戦闘員の後ろに乗っていたノイズだった。体を細めて翼に突っ込んで行く。しかし、次の瞬間にはノイズが切り裂かれていた。

それは、戦闘員のバイク部隊も同じであった。

 

一つ目の太刀 稲光より 最速なる風の如く

二つめの太刀 無の境地なれば 林の如し

 

翼のバイクに接触した戦闘員のバイクは戦闘員諸共切り裂かれて爆発。棒等を投げて翼の走行を邪魔しようとするが剣を持った翼に叩き落され逆に切り捨てられる。

 

百鬼夜行を恐るるは

己が未熟の水鏡

 

ならばと、バイクを捨てて翼に飛び掛かろうとするが戦闘員の殆どが翼の剣に切り裂かれていく。翼の横に付けた戦闘員のバイク部隊も同じ運命を辿る。

 

我がやらずて誰がやる

目覚めよ…蒼き破邪なる無双

 

翼のバイクに蹴りをいれようとする戦闘員の頭が宙を舞う。バイク部隊の戦闘員達は翼に触るどころかバイクに触れる事すら出来ず壊滅していく。戦闘員の誰も翼を止めれる者はいなかった。

 

 

その様子は、特異災害対策機動部二課の潜水艦にある指令室でも見られていた。戦闘員のバイク部隊が次々と爆発四散していくのを確認していた。

 

「流石、翼さんです」

「戦闘員のバイク部隊は壊滅!これでしばらくは安全かと…」

 

オペレーターコンビの報告に一同はホッと胸をなでおろす。怪人が居なかったとはいえ戦闘員の大部隊を片付けたのだ。少しだけ時間を稼げたと言える。

 

「しかし、此方の装者は翼さんとクリスさんの二人。クリスさんに至ってはショッカーに潜入したまま連絡がありません。この先、どう立ち回るか…」

 

特異災害対策機動部二課の戦力は風鳴翼と雪音クリスだけだ。弦十郎や緒川もいるが今回みたいにノイズを出されると厳しいと言わざるおえない。対してショッカーの戦力は未知数と言える、あの持ち上げられた艦艇に乗っていたのは間違いなくショッカーの部隊か息がかかってる者達だ。戦力が圧倒的に不足している。

 

「いえ、シンフォギア装者はもう一人います」

「ギアのない響くんを戦いには出さんぞ」

 

響が装者がもう一人いる発言をすると弦十郎がすかさず釘をさす。弦十郎もまた翼と同じく響を戦いに出したくないのだ。

 

「戦うのは私じゃありません」

「?」

 

響の説明を聞いて弦十郎が難色を示す。その内容は、

 

「それで、捕虜の私を戦わせるの?どこまで本気?」

「全部!」

 

営倉から出された調が手枷を外され弦十郎や響の前に立ってそう言った。そして、響が返した言葉に少しだけ眉を細める。

響の案、それは艦艇で緒川が保護して捕虜にした調の戦力化であった。正直、弦十郎も提案した響もあまり納得は出来てないがショッカーとの戦いは猫の手も借りたいのが本音だった。

 

「前の私なら、そんな態度のアナタを「正しさを振りかざす偽善者」って言うかも」

 

響から視線を外した調がそう呟く。最初の響の事情を知らなかった時、調は響をただの偽善者だと思ていた。しかし、響が捕まり死神博士による再改造手術を目の当たりにして、ナスターシャ教授から聞かされた響の運命に調の響への価値観は完全に逆転した。

ある意味、自分たち以上の過酷な人生に調は響に一目置いている。

 

「私、自分が正しいなんて思ったことはないよ。前に大きな怪我をして…リハビリを頑張って元気になればお母さんもお父さんも喜んでくれるって思ってた、でも家に帰った私に待ってたのは世間のバッシングとお母さんたちの暗い顔だった。…挙句に世界征服を企んでいる悪の秘密結社に狙われて…それでも私は自分の気持ちを偽りたくない。偽ってしまったらもう誰も私の手を繋いでくれないから…」

「手を?」

「だから私は、調ちゃんにもやりたい事をやりとげて欲しい。それはきっと私達も同じだと思うから」

「…私のやりたい事はマリアや切ちゃんを助ける事、その為ならショッカーの打倒にも協力する」

 

そう言い終えた調は響の手を取る。少し驚く響だが調の体温を感じ瞳から涙が出る。

 

「それにしても、元敵だった私にギアを返すなんて正気とは思えないわね」

「敵とか味方とか今はどうでもいい。子供のやりたい事を支えてやれない大人なんてかっこ悪いからな、それにこれ以上ショッカーに好き勝手させる訳にはいかないんだ」

 

調の言葉に弦十郎がそう返し握っているギアを調に渡す。その瞳はどこまでも真っ直ぐだった。

 

「こいつは可能性だ、俺はその可能性に賭けたい」

()()()()()()()()()()()

「甘いのは分かっている、それが俺の性分だ。…ん?」

 

調との会話で弦十郎が違和感を感じる、まるで長い事一緒に仕事をしてきたような感覚だった。その直後に案内と言う名目で響が共に格納庫へ向かい調がシンフォギアを纏い巨大な丸鋸をリングにして出撃する。

更に、

 

「反応がもう一つ…バイクに乗った響ちゃんです!」

「何だと!?」

 

映像にはシンフォギアのギアで移動する調と翼の予備のヘルメットを被った響がゾル大佐に廃棄予定の基地に誘い出された際に持って帰ったあのバイクに乗っていた。

 

「何をしている、響くんに戦わせる気はないと言った筈だ!それに免許もまだ取ってないだろ!」

『ごめんなさい、師匠。それでも私は死神博士と決着をつけたいの!それにマリアさんも助けたい』

「気持ちは分からんでもないが戻るんだ!ギアの無い響くんでは…」

 

何とか呼び戻そうとする弦十郎だが、何台ものバイクが現れ響達を取り囲む。戦闘員のバイク部隊だ、翼と戦った戦闘員とは別の部隊の様である。

 

「戦闘員が出現!さっきの部隊の別動隊と思われます!」

『師匠、ごめんなさい!通信を切ります!』

「待つんだ、響くん!響くん!!」

「戦闘員部隊、二人に襲い掛かりました!!」

 

通信が途切れるとあおいの言葉で映像を見る弦十郎。映像には響と調に襲い掛かる戦闘員の姿が映る。調は器用に体を動かし頭部のユニットで小型の丸鋸を出して迎撃して、響もバイクに乗りながらも横蹴りで戦闘員のバイクを薙ぎ倒していく。

 

「なんて数の戦闘員だ!」

「下手すればノイズより多いわね」

 

響達を襲う戦闘員の数を見て思わず呟くオペレーターコンビ。さっきまで翼の活躍で壊滅した戦闘員達がいたのに、また響や調に大勢の戦闘員が襲い掛かっているのだ。特異災害対策機動部二課も慣れてきていたが戦闘員の数の多さに未だに驚く。

 

「…こういう無理無茶無謀は俺の役目だったろうに」

「帰ってきたらお灸ですか?」

「説教だ、拳骨入りのな!」

 

その言葉に一同は響に同情する。いくら響が改造人間でも弦十郎の拳骨は相当答えると感じた。

 

「翼に連絡だ」

「はい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふん、戦闘員どもとノイズだけでは、やはり役に立たんか」

「やはり何体かの怪人達も同伴させるべきだったな」

 

フロンティアのとある階層。戦闘員や兵士が動き回る中、死神博士と地獄大使が話をしている。作戦通りに事が運んでるのかの確認であったが死神博士は予想だにしない報告を聞く。

 

「本部と通信が繋がらん?」

「各支部ともだ、どうやらフロンティアの力の影響で長距離との通信が出来んのだろう。ワシが連絡できたのは近くだったからだろうな」

「ふむ、フロンティアに内蔵されている通信機を後で試してみるか」

 

現状、首領に報告できないと知った死神博士と地獄大使だが、そこまで重要視はしていなかった。フロンティアを手に入れたのだ、首領を此処に迎えてフロンティアをショッカー本部にするのもアリだろうと考える。

 

その時、戦闘員の一人が死神博士と地獄大使に近づく。

 

「イーッ!テレビ局のヘリが近づいています!」

「ほう、地殻変動を感じて取材にも来たのか?怪人に始末させろ、多少姿を見せても構わん」

 

その言葉に戦闘員は、「イーッ」と答えその場を後にする。

 

「テレビ局はこの際どうでもよかろう、問題は風鳴翼だ」

「それも問題はない」

 

地獄大使に言葉にそう返す死神博士。その後ろから誰かが来る、二人の戦闘員と、

 

「とっとと歩け!」

「離せよ!」

 

戦闘員に肩を小突かれ前に行くよう促されるクリスだった。それを見て地獄大使も何気に気付いたようでゆっくりと頷く。

 

「小娘、早速仕事だ。ここに近づく風鳴翼を殺せ、首を持ち帰り我等に見せろ」

 

「!?」

 

死神博士に任務を言い渡されたクリスは思わず絶句する。仲間の翼を殺して首を持ってこいと言われたのだ。下手に逆らう事も許されない。

少し間をおいてクリスが頷く。

 

「…分かった、代わりにアタシの頼みを聞いてくれよ」

 

「ふん、良かろう。聞くだけ聞いてやろう」

 

クリスの頼みを聞く死神博士。その表情はどこまでも邪悪であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「未来、今日も来なかったね」

「無事だといいんだけど…」

「まさか、立花さんと同じように…」

「滅多なことを言わないでよ、詩織」

 

丁度その頃、学校帰りの安藤創世と寺島詩織、板場弓美が歩道を歩く。会話の内容は未来の行方不明の話であった。詩織が嫌の予感がしたのか冨吉な事を言って創世が窘める。

 

『臨時ニュースです!臨時ニュースです!』

 

その時、街頭の大型モニターからニュースの知らせを聞く。創世達は愚か他の道行く人々も街頭の大型モニターに注目する。

 

「なんだ?なんだ?」

「どこかでノイズでも出たの?」

 

人々は皆興味本位で立ち止まり口々にどんなニュースか話していく。そんな中、創世たちだけ固唾を吞んで見守っていた。

 

『現場の○○さん、何が起こったか教えてください!』

『はい、現場の○○です!』

 

モニターにはスタジオで話をするニュースキャスターからヘリの乗っているレポーターに代わる。

 

『現在、我々は大規模な地殻変動の起きた海域にて我々は信じられない物を見ました。ご覧ください!』

 

レポーターがそう言い終えるとカメラがヘリの窓から外を撮る。そのカメラは確実にフロンティアを捕らえていた。

 

『巨大な島が浮かんでるのです!政府は未だ発表がありませんがアレは何なのでしょうか!?』

 

映像には確かにフロンティアがデカデカと映る。その様子に誰もが息を飲む、中には特撮と疑う者までいた。

 

『我々も出来るだけ近寄って…『何か来たぞ!』!何かが近づいて来たようです!」

 

カメラマンの声だろうか?レポーターの声とは別の声がし何かが近づいて来たことを話す。そして、カメラにはその姿がしっかりと映っていた。

 

『何でしょうかアレは!蝶?…いえ、まるで蛾のような生物です、でも大きい?まるで人間並みの…』

 

レポーターの報告はそこまでだった。蛾のような生物、怪人ドクガンダーのロケット弾がヘリへと降り注ぎ取材班のヘリが撃墜されカメラの映像も途切れる。

映像には花畑の映像が映りテスト放送と書かれている。

 

「何だよ、アレ」

「怖~い化け物?」

「特撮だろ、特撮。俺詳しいんだ」

 

映像を見ていた人達は本物かどうか話、中には特撮だと言って「こんな物に騙されるかよ」と言って呑気にしていたが、創世たちの額に汗が流れる。

 

「ねえ、あれって…」

「チラッとしか見えなかったけど、アレって旧リディアンでビッキー達が戦った…」

「怪人、ドクガンダー…本物でしょうか」

「海の上でショッカーが何か企んでるのかな。響や未来が無事だといいんだけど」

 

モニターを見て創世たちは響達の無事を願う。ショッカーを打倒して無事に帰ったら一緒に遊びに行こうと誓った。

 

 

 

 

 




響、まさかの無免許運転。非常時だし大丈夫か?

ショッカーなら喜んで月を地球に落とすと思う。
ウェル博士、痛恨のミス。原作のウェル博士とは違い、ショッカーは完全に人類の抹殺が目的です。

ショッカーも随分と戦力を集結させました。世界中に散らして潜入させていた部下や工作員や信奉者を集めてフロンティアを大要塞にしようとしてます。
裏を返せば、これに失敗すればショッカーの弱体化は避けられません。

デンジャーライトは仮面ライダーの劇中で、旅客機を落として制空権を得ると言ってますからきっと対空能力が高いんでしょう。
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