改造人間 立花響のシンフォギア   作:一種の信者

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自分の書いた小説を読み返すと偶にもっと上手い人が書いていたらどうなるだろうと想像する作者です。もっと小説が上手くなりたい…


65話 翼とクリス 危機一髪!? ゴースターの灼熱地獄

 

 

 

「イーッ」

 

「邪魔だ!」

 

薄暗い通路。ウェル博士を脇に抱えた弦十郎の蹴りが戦闘員に炸裂し蹴り倒す。直ぐ近くには並走する緒川が別の戦闘員を倒していた。

穴に飛び込んだ直後、ウェル博士の案内で進む中、警備をしている戦闘員と何度も戦いうち倒している。

邪魔する戦闘員を倒した弦十郎たちは再び死神博士が居ると思われるジェネレーターの方に向かって走る。

 

「…ちょっと気持ち悪くなってきました…」

「大丈夫か?」

 

ずっと弦十郎の脇の下で揺れていたウェル博士の顔色が悪い。無理に弦十郎が連れてきたことで酔ったのかも知れない。

 

「全く、鍛え方が足りんぞ。ウェル博士」

「…アナタが異常だと僕は信じたい…」

 

途中で、脇の下から背中に負ぶられるウェル博士に鍛え方が足りんと苦言を言う弦十郎。少し顔色が戻ったウェル博士がそれに対して反論する。

 

それから暫く通路を走り続ける弦十郎たち。暫しの沈黙が辺りに流れるが、

 

「それでウェル博士、ショッカーの内情はどの位探れましたか?」

 

沈黙を破ったのは弦十郎に並走する緒川だった。特異災害対策起動部二課のエージェントであり情報を扱う者としてウェル博士の掴んだ情報に興味があるのだ。

 

「…ある程度としか言いようがありませんね。暫く、ショッカーのアジトにいましたがそれで全貌が分かるほどの自由な時間はありませんでした」

 

マリアたちが身を寄せたアジトでは常に戦闘員の監視が付いており中々自由に出来ず、聖遺物の研究と言ってショッカーのメインコンピューターを使った時もあったが、周りにはショッカー科学陣が居ての作業だ。それでショッカーの全貌を明かそうとすれば当然時間がかかる。

 

「そうですか…」

 

その言葉に緒川はガッカリした表情をする。今までショッカーに好き勝手され、やっとこっちがイニシアチブを握れるかと思ったが、ウェル博士の言葉を聞いて望みが薄いと感じたのだ。

 

「…とはいえ、全く成果が無い訳ではないんですよ」

「え?」

 

弦十郎の背中に負ぶられながら、したり顔をするウェル博士。

 

「ショッカーの日本でのアジトや海外にあるアジトの情報にショッカーに協力する政治家や権力者の情報が手に入ってます」

 

そう言って、懐からデータチップを取り出し緒川に見せる。一見、何の変哲もないデータチップだが、その中身の価値に緒川も息を飲む。

 

「協力者?ウェル博士、ショッカーに協力者がいるのか?」

 

ウェル博士と緒川のやり取りを聞いていた弦十郎が口を開く。人類抹殺を企み世界征服をしようという組織に協力する者がいることに疑念を感じたのだ。

 

「ええ、いますよ。献金と賄賂や脅迫…洗脳や始末して入れ替わりとかで世界中にショッカーの協力者がいます。あのナスターシャ教授の友人もそうでした。…僕が調べたところアメリカの上院も下院の議会の半分近くがショッカーの手の者となっているようです」

「アメリカ議会の…」

「半分もだと!?」

 

ウェル博士の言葉は弦十郎と緒川にとっても衝撃的だった。世界でも名高いアメリカの頭脳が半分近くも乗っ取られてる事に。そして、その情報は確実に世界が混乱するという事だ。

ショッカーの命協力に身震いした弦十郎たちは秒で上の政治家連中に投げる事を決断する。

 

「…ウェル博士、一つ聞きたい」

「何ですか?」

「ウェル博士は見たのか?ショッカーの首領を…」

 

衝撃的な話を聞いた弦十郎は以前から気になっていた事を聞く。

ショッカーの首領。嘗て、特異災害はゾル大佐が首領格だと睨んでいたがゾル大佐は大幹部の一人だった。その後、地獄大使や死神博士と言った大幹部が姿を現すがショッカーの首領だけは未だに姿を見た事はない。ショッカー壊滅の為にも首領の情報は喉から手が出る程欲しい情報であった。

 

「…残念ですが僕も首領の姿を見た事はありません。何時もショッカーのシンボルである鷲のエンブレムから命令を発するだけでした」

「そうか…」

 

ウェル博士も一度として首領の姿を見た事が無い。恐らく、地獄大使や死神博士といった大幹部ならば会ったことがあるかも知れない程度だ。

弦十郎たちに未だ姿を見せない首領に恐怖を感じつつ警備する戦闘員を蹴散らして奥へと進む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハッ!」

 

「グバアアアアアアアア!!」

 

翼の剣が蝙蝠男の胸を切り裂く。足元には既に何体もの怪人が倒れている。翼の背後ではクリスがアームドギアをガトリング砲にして怪人達を牽制する。隙を見たドクガンダーやアマゾニアが指先からミサイルを出すが悉くはクリスが撃ち落とす。

 

そして、やや離れた場所には響が数体の怪人の相手をしている。

 

「ヤーッ!」

 

「ちっ、以前よりも攻撃力が上がっている!?」

 

響の拳を受け後ろに退るアリガバリ。その様子にゲバコンドルが飛び掛かるが響は問題なく対処して蹴り飛ばす。

 

「ならば、これを受けて見ろ!必殺シュート!」

 

「そんなのもう効くもんかぁ!」

 

背後から響に向けて大岩を蹴り込むトカゲロンだが、響は直ぐに振り返って大岩を殴って破壊する。その際、土煙が上がるが響は腰のブースターで一気に駆けトカゲロンを殴り抜く。

 

「つ…強い!?」

 

響の拳がアッサリ貫通したトカゲロンは断末魔をあげ爆発する。爆煙が納まった後には響しか居なかった。

 

 

 

 

 

 

「アイツも強くなったな」

「嘗て、苦戦した相手にも勝てる様になったか。良い事だ」

 

響がトカゲロンを圧倒して倒したのを見てホッとする翼とクリス。チラッとだが動きを見た感想は本当に問題ないようだった。これなら共に戦えると判断する翼。

 

「余所見してる場合かい!」

 

背後からの女の声に翼は咄嗟に振り向く。振り向いた先には自分に迫る刺突剣が見え手に持ってるアームドギアの剣で受け止める。

激しい金属音と火花が散る。翼の目に改めて刺突剣を握る怪人が目に入る。

 

「蜂女!?」

 

「久しぶりだね、風鳴翼。あの時の借りを返させて貰うよ」

 

再生怪人として復活した蜂女は翼にリベンジする事を狙っていた。蝙蝠男との共同作戦で敗れ、カ・ディンギル攻防戦でも翼の捨て身の絶唱のエネルギーにより消滅して二度も煮え湯を飲まされた。

 

「私に二度も土を付けた貴様を今度こそ殺してやる!」

 

「ふざけるな!お前達の所為でどれだけの人が死んだと思っている!!」

 

最初に蜂女と戦い勝った後、結局特異災害はウイルスに感染した犠牲者を助けられなかった。その事を苦にした響は未だ思い出しては落ちこむし自身のファンであった娘も死んだ翼も辛かった。

だからこそ、これ以上ショッカーの犠牲が出ない様にする為に戦うのだ。

 

「知らないね、ムシケラが何匹死のうが私には関係ない!」

 

「!…貴様!」

 

そして、蜂女の返答は翼を怒らすには十分であった。冷静さを失った翼はクリスから離れ蜂女との鍔迫り合いを行す。

 

「お…おい!」

 

翼の行動にクリスが驚く。やり取りを聞いていた為、翼の怒りも理解していたが自分の前では比較的冷静だった翼が感情で動いてる事に呆れる。

見れば、蜂女との鍔迫り合いに夢中になている翼に何人もの怪人が近寄る。どうやら蜂女に夢中な翼に不意打ちしようとしてる事に気付く。

 

「ああ、もう!」

 

それゆえにクリスも動く。

 

 

 

 

 

翼と蜂女の鍔迫り合いは徐々に翼が主導権を握る。蜂女の刺突剣が翼の剣に押され、ほぼ防戦一方となる。

 

「どうした、蜂女。あの時の借りを返すんじゃなかったのか?」

 

「ちっ、調子に乗る出ないよ人間如きが!」

 

蜂女の苦戦は翼の剣の腕前に押されてる事だった。挑発して翼を激昂させるまでは良かったが感情に流されようと翼は防人として鍛えられ戦ってきた。再生怪人に早々負ける事はない。

 

「これで終わりだ!蜂女!」

 

「その言葉そっくり返してやるよ!!」

 

ゆえに蜂女は待った。翼が自身に止めを刺す瞬間を、蜂女の読み通り翼は蜂女に止めを刺そうと大きく振りかぶる。それを待っていた蜂女は刺突剣で翼の剣の軌道をズラシ空振りさせた上に剣を弾き飛ばす。

 

「なっ!?」

 

「死にな!風鳴翼!!」

 

剣を弾き飛ばされた事に驚く翼に蜂女は逆に止めを刺そうと刺突剣を翼に突き出す。勝った。蜂女の脳裏に翼に勝利した自分を想像する。ゆえに見逃した、風鳴翼の笑みを。

 

「甘い!」

 

「!?」

 

蜂女の刺突剣が迫る中、翼はその場で逆立ちして蜂女の刺突剣を躱す。それだけではない、脚部のブレードを展開して逆立ちしたまま回転し足のブレードで蜂女を切り裂いた。

 

逆羅刹

 

「また…しても!」

 

逆羅刹で切り裂かれた蜂女は口惜しいとばかりに悪態付き倒れて溶けてゆく。その様子に一息つく翼。蜂女の腕は過去に戦った以上に伸びておりクリスとの訓練をしてなければ危うかったと感じる。

しかし、安心するのは早いと目の前の怪人に向け剣を向ける。その時、

 

「ウオオオオオオオ!!」

「とったぞぉぉぉぉ!!」

 

突如背後からの声に翼が振り向く。目の前には蜘蛛男とさそり男が自分へと迫って来ていた。

その時になって始めて翼は自分がクリスと離れていた事に気付く。だが、問題はない。直ぐに翼が剣を構える。が、

 

「痛っ!?」

 

脚に…太腿に鈍い痛みが走り思わず翼が自身の太腿に目を向ける。そこには一部の肉が抉られて血が湧き出ていた。

 

━━━いつの間に!?…蜂女の剣か!

 

翼の予想通り、翼は逆立ちして蜂女の刺突剣を回避したが完璧にとはいかなかった。翼が逆立ちするのを見て蜂女は僅かに刺突剣を動かして翼の太腿の肉を抉ったのだ。

蜂女の置き土産に気付いた翼は唇を噛みしめると同時に己の不甲斐なさに憤る。蜂女を舐めていたつもりは無かったが、何処か油断していた自分に腹が立つ。

幸い、派手に血が出ているが大事な血管は傷ついてないので直ぐに戦えはするが、翼が傷を見ている間にも蜘蛛男とさそり男が迫る。このまま構えを中途半端に崩した翼に攻撃するかと思えたが、

 

「やらせるかよ!!」

 

クリスの声と共に銃弾の雨が蜘蛛男とさそり男に降り注ぐ。さそり男はとっさに防御するが蜘蛛男は反応に遅れまともに銃弾の雨を浴びて爆散する。

 

「ちっ!」

 

蜘蛛男が敗れた事で一旦その場から逃げ出そうとするさそり男だが、銃弾が止んだ事で視界をクリスに向ける。其処には幾つもの小型ミサイルが自分へと向かっていた。

さそり男は断滅魔の悲鳴を上げる事も無く小型ミサイルの爆炎に消える。

 

ミサイルの爆風が翼の頬を撫でる。見ると、クリスが得意げな顔をして自分の前に降り立った。

 

「どうした?先輩。後輩にいいところ見せてくれよ」

「雪音…助かった、礼を言う」

 

クリスの軽口に翼は頭を下げて礼を言う。嫌味のつもりで言ったクリスの目がちょっと泳いだ後にゴホンと咳をする。

 

「…少しは反省しろよ。蜂女との因縁は終わったんだろ?」

「ああ…正直因縁って程でもないが、それより立花と大分距離が開いてしまった。合流した方がいい「させるか…」!?」

「!?」

 

この場を移動して響と合流しようと提案しようとした翼だが不気味な声がそれを阻む。周囲を見渡し何人もの怪人が自分達を取り囲んでおりその者の声かとも思ったが、

 

「蜂女の役割はお前達を此処に連れて来る事よ」

 

また声が聞こえた。どの怪人も笑い口が動いていたのでどの怪人が喋ったのか分からない。そもそも怪人は口自体動かさず喋る者がいるので判断しずらかったが、不意打ちを警戒して翼とクリスが背中合わせしてお互いの死角をカバーしあう。

 

━━━よし、これならどの怪人が動こうと…「アーブルッ!」な!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ウワアアアアアアアアア!!」

 

「え?クリスちゃん!?」

 

怪人達との戦闘の最中にクリスの悲鳴が響く。響が声のした方を見る。其処には、

 

「アーブルッ!捕らえたぞ。風鳴翼と裏切者の雪音クリスを捕らえた!」

 

「離せ!」

「ゴツゴツしやがって!」

 

クリスと翼を捕らえたゴースターが居た。二人の真横の地面から飛び出し不意打ち気味に捕らえることに成功した、翼とクリスの腰の部分に手をまわしてガッチリと捕らえられている。翼とクリスが暴れるがゴースターにはビクともしない。

 

「翼さん!クリスちゃん!…!」

 

響が急いで二人の救援に動こうとしたが、右腕と首に蔓や鎖が絡まり動きを封じる。

 

「ヒィーア!」

「風鳴翼や雪音クリスの救援に行こうとしても無駄だ。立花響!」

 

蔓はドクダリアン、鎖はかまきり男が操って響の動きを止めていた。これでは響も容易に動けない。

 

 

 

 

 

響が囚われた頃、翼とクリスは拘束されてない両手で何とかゴースターの拘束から脱出しようと足掻く。

 

「離せ!」

「この野郎!」

 

最初は素手でゴースターの体を殴りつけたりしたが、直にアームドギアを手に持ってゴースターを攻撃する。翼が剣を打ち込み、クリスがボーガンから拳銃タイプにし、果てにはガトリング砲に変えてゼロ距離から全弾ゴースターに撃ち込む。

 

「…固い!」

「なんて野郎だ…」

 

しかし、翼とクリスが目にしたのは、自分達の攻撃にビクともせず腰に回された腕も一向に怯みもしない。

 

「見たか!これが5000℃の高熱にも耐える俺の体だ!まとめて死ねぇ!」

 

「うわああ!!」

「あぐっ!!」

 

ゴースターは自慢するように言って翼とクリスの腰に回してる腕に力を入れる。ゴースターの力ならば二人纏めて背骨を砕くのも容易である。二人の口から悲鳴が上がった。

 

「翼さん、クリスちゃん!」

 

二人の悲鳴を聞いた響は足に力を入れる。僅かではあるが響は少しだけ進むことが出来た。

 

「ヒィーア!?」

「何だと!?」

 

驚いたのは響を捕らえていたドクダリアンとかまきり男だった。想定よりも響の力が上がっている、再改造されたとはいえ、それは自分達と同じこと。力はほぼ互角の筈だ。

しかし、幾ら響が動けても現状、亀の歩むスピード並みでは意味が無い。何より翼たちとは大分距離が開いている。

 

━━━これじゃ間に合わない!どうすれば…

 

『待て、ゴースター』

 

怪人に捕まりスピードが出ない事で焦る響だが、突如死神博士からゴースターに命令が出る。その言葉に従うようにゴースターは翼とクリスを抱く腕の力を抜く。

翼とクリスも途中まで悲鳴を上げていたが痛みと圧迫感が和らいだ事で何が起こったのか耳を傾ける。

 

「どうしました?死神博士」

『そのまま背骨を圧し折って始末も出来るが、それでは面白くも無い。ゴースター、貴様の体温でその小娘たちを焼き殺せ!』

 

「「!?」」

「!翼さん、クリスちゃん、逃げてぇぇ!!」

 

翼とクリスには意味が分からなかったが、響はゴースターが溶岩の改造人間だということを思い出し二人に逃げるよう訴える。尤も、逃げれるのなら二人共とっくに逃げてはいる。

 

「アーブルッ!!」

 

ゴースターは返事をする代わりに一声鳴く。そして、翼とクリスはゴースターの温度が上昇してる事に気付く。

 

「熱ちい!?」

「何だ、この熱は!?」

 

『ゴースターはマグマの改造人間。体温を上昇させるなど簡単に出来る。お前達は何℃耐えられるかな?』

 

翼の質問に答えたのは通信越しの死神博士であった。その言葉に翼とクリスは再びアームドギアでゴースターを攻撃する。

二人にの脳裏に急いでゴースターの腕から脱出しなければと強く思う。死神博士は翼とクリスを嬲り殺しにする気だと気付いたからだ。

 

「ちくしょう…離しやがれ!!」

「…これなら」

 

ドンドン上昇していくゴースターの熱にクリスが再びガトリング砲でゴースターをゼロ距離で撃ち、小型ミサイルも撃とうとしたが、小型ミサイルを展開しようにも腰はゴースターの腕が邪魔をして展開も出来ない。

ならばと、翼はカ・ディンギル攻防戦でのフィーネを思い出す。ピラザウルスにベアハッグされ何度も背骨や尾骨を砕かれたフィーネが隙を付いてピラザウルスの目を攻撃して脱出した事を。翼も同じようにアームドギアの剣でゴースターの目を突き刺そうとした。

 

しかし、ガキィンという音と共に剣が弾かれてしまう。

 

「!馬鹿な!?」

 

通常の生き物なら目は弱点と言える。どんな猛獣も視覚を頼りにしており目を負傷するのは極力避ける筈、事実フィーネもピラザウルスの目を潰して脱出した。

しかし、ゴースターの目は予想を遥かに超える程の硬度を誇っていた。

 

「言った筈だ、俺は5000℃の高熱に耐えるとな、それに溶岩の中も自在に移動できる。当然、目も専用に改造されている!」

『フフフ…そう言う事だ、死ぬがいい!!』

 

「アアアアアアアア!!」

「グッグ…アアアアアアアア!!」

 

死神博士が喋った直後にゴースターの温度は更に高まる。翼やクリスが熱さのあまり汗が流れゴースターの表面に落ちるが瞬時にして蒸発する。辛うじてシンフォギアのバリアフィールドで守られてはいるが、とんでもない温度が翼とクリスに襲い掛かる。

 

「翼さん…クリスちゃん…」

 

「残念だね、立花響。お前は見てる事しか出来ないのさ」

「大人しく、あの二匹が死ぬのを見届けるがいい!」

 

翼とクリスが苦しむ姿を見て二人の名を呟く響。そんな響にドクダリアンとかまきり男の言葉に怒りが募る。

 

「こんな…こんな物!!」

 

歯を食いしばる響の目に右腕に絡まるドクダリアンの蔓が目に入り、それをを掴み引っ張る。

 

「ヒィーア!?」

 

ただの悪あがきと思っていたドクダリアンだが、響の力に徐々に引っ張られていく。最初は地面を踏み込んで耐えていたドクダリアンだが遂には響の力に負けて蔓ごと振り回される。

 

「なっ!?」

 

響は振り回したドクダリアンをかまきり男へとぶつける。ドクダリアンはかまきり男の持っていた鎌に、かまきり男はドクダリアンが当たった衝撃と鎌で爆発しそれに巻き込まれる。直後、響の右腕と首に巻き付いていた蔓と鎖が緩み響はそれを取り外した。

 

「翼さん!クリスちゃん!」

 

自由を取り戻した響が二人を助けようとゴースターの方に向かおうとし一歩大きく踏み出す。

 

 

 

 

 

「冷凍シュート!」

 

しかし、そんな響の体に幾つもの雹の塊が当たり足元が凍り付き動くことが出来なくなる。

 

「冷たっ!?これって!」

 

「ほう、人間ならば即座に凍り付き冷凍人間になる俺の冷凍シュートを受けて足先だけか。前よりも耐久力が上がっているか」

 

「…トドギラー」

 

響が冷たさと自分の足が凍り付いた事に驚いていると横から声がして振り向く。そこには嘗て自分を凍らせたトドギラーが不気味な表情で近づいてくる。

 

━━━足を凍らされた!…なら

 

脚が動かないのなら手で動こうと、体勢を横にした響は這ってでもゴースターに近づこうとする。凍った事で脚部のジャッキは動かないが腰のブースターもある。ある程度近づきブースターでゴースターに体当たりすれば翼とクリスを助けられると考える響だが、

 

「冷凍シュート!」

 

「!?」

 

それをショッカーが見逃す程、甘くはない。トドギラーの冷凍シュートが響の両腕を、ブースターを、頭意外全ての場所に冷凍シュートが放たれ、響は完全に氷漬けになってしまう。

 

「どうだ?これで動けまい」

『貴様は其処で二匹の羽虫が死ぬのを見ればいい。そして絶望を果てに己の無力さを思い知れ!』

 

「つ…翼さん…クリス…ちゃん…」

 

トドギラーの放った冷凍シュートにより猛烈な寒さを感じる響だが、今はそれよりも翼とクリスの二人が苦しむ姿を見る方がよっぽど辛かった。死神博士は、二人が死ぬのを響に見せつけた後に更なる改造を施そうと考えて居た。それでまた正気に戻ろうが二人を助けられなかった自責の念により響の心は圧し潰され廃人になる。死神博士は、そう予想していた。

 

 

 

「あ…ああ…」

「う…」

 

ゴースターに焼かれた翼とクリスの動きが次第に鈍くなりぐったりしてきた。汗も出た瞬間から蒸発する事で二人の周りの温度の高さが分かる。間違いなく二人は熱中症になっているようだ。

 

『もう叫ぶことも出来んか?ならば、ゴースター止めを刺してやれ!!』

「アーブルッ!」

 

「止めて…止めて!!」

 

死神博士の命令に響の悲痛な叫びが木霊する。このままでは翼もクリスも殺される、助けに行きたい響だが体は完全に凍り付き動くこともできない。

このまま、ゴースターに二人共焼き殺されるかと思われた。その時、

 

 

 

 

 

 

「ちょっと待った!デス!!」

 

「「『!?』」」

 

少女の声と共にワイヤのような物がゴースター首の部分にかかり、肩のイガリマを断頭台の刃にした切歌が肩のブースターで一気に加速させゴースターの背中を切りつけようとする。

刃は見事にゴースターへと命中した。しかし、

 

「!思った以上に硬いデス!?」

 

ゴースターの体には火花が上がるだけでそれ以上斬り込む事は出来ない。それでもゴースターはその衝撃により翼とクリスを放してしまう。

 

「切歌ちゃん…」

 

『暁切歌だと!?プラノドンめ、しくじったか!』

 

思わぬ援護に響は切歌の名前を呟き、死神博士はプラノドンが敗北した事を悟る。更に、

 

「ぬっ!?何だこれは!?」

 

夥しい数の小さな丸鋸がトドギラーに襲い掛かる。振り返ったトドギラーの目にはもう一人の装者が頭部ユニットから幾つもの小さな丸鋸を出し攻撃していた。

 

「ちっ、裏切者の小娘か!お前程度のシンフォギアじゃ俺を倒せんぞ!!」

 

「…そう、私一人じゃアナタを倒せない。…だから目標はアナタじゃない…」

 

「?…!?」

 

調の言葉に一瞬、意味が分からなかったトドギラーだが、直ぐにその意味に気が付き急いで氷漬けの響に目を向ける。

 

「…ありがとう調ちゃん」

 

トドギラーが目を向けると調の攻撃で響の動きを阻害していた氷が砕かれ、響は自由を取り戻す。調の目的は最初からトドギラーではなく、その後ろに居た氷漬けにされた響だった。射線上に居た為、調の攻撃がトドギラーに届き、トドギラーが自分への攻撃だと勘違いしたのだ。

 

「オノレェ!!」

 

一杯食わされたと思ったトドギラーが再び響に冷凍シュートを放ち動きを止めようとした。しかし、響はそれよりも早く、腰のブースターを吹かしてトドギラーに迫る。

 

そして、そのままトドギラーの口に拳を食らわせ、更に響がトドギラーに回し蹴りをする。丁度、足のジャッキも一気に撃ち込まれ響の蹴りの威力が何倍にも増す。

 

「グワアアアアアアアア!!」

 

響の蹴りの威力に吹き飛ばされ岩肌に何度もバウンドしたトドギラーは遂に爆散する。

 

 

 

 

 

「小娘め、よくも邪魔をしよって!」

 

「そんな攻撃が当たるかデス!」

 

翼とクリスの止めを邪魔されたゴースターは目標を切歌に変えて幾つもの火炎弾を撃ち込む。最初はマグマに驚いた切歌だが、素早さをいかしゴースターへのヒット&ウェイで一撃離脱を繰り返す。正直、切歌の攻撃はゴースターには対して効いてはいないが、切歌にはこれで十分であった。

 

 

 

「二人共しっかり、水よ」

「…ありがてえ…」

 

ゴースターから解放された翼とクリスの下に近づく者がいた。その者は倒れていたクリスと翼にペットボトルに入った水を渡す。

 

「一気に飲むのは駄目よ。少しづつ飲みなさい」

「…あいよ」

「…礼を言う、マリア」

 

言われた通り、少しづつ水を飲む二人。翼は水をくれたマリアに礼を言う。切歌がゴースターの注意を引いてる間にマリアが翼とクリスに駆け寄り介抱した。シンフォギアのおかげでそこまでではないが大分水分を失っていた二人にはありがたいと言える。

 

ミミーン

      アララララララララ

               ケケケケケケ

 

しかし、何時までも注意を引ける訳ではない。翼やクリスに止めを刺そうと別の怪人が取り囲む。

 

「人気者ね、あなた達。どういう訳か倒された怪人までいるわね」

「気を付けろ、こいつ等は大体アタシ達が一度倒した奴等が殆どだ」

「死んだ怪人を再生怪人として蘇らされた化け物どもだ」

 

翼の言葉にマリアは「再生怪人」と呟く。マリアの脳裏にザンジオーの「改造人間は死なん!」という言葉が蘇る。

 

「マリア、お前は逃げろ」

「シンフォギアもないんじゃこいつ等とは戦えないぜ」

 

翼とクリスはマリアを守るように怪人達を睨みつける。マリアのガングニールは響が使い今のマリアは丸腰だ。二人共、ゴースターとの戦いで体力がそこまで戻ってはいない。マリアを守りながら戦うのは厳しかった。

 

「いえ、私も戦う」

「マリア!?」

 

マリアの発言に翼が驚く。何とか止めようと考えた翼だが、マリアの目には力が宿ってることに気付く。

 

『ほう…貴様のような小娘が戦うと言うのか』

 

「!死神博士!!」

 

通信機から死神博士の声が響きマリアは死神博士の名を呼んだ。その声はマリアを明らかに侮辱している。

 

『ガングニールもない役立たずが、我等ショッカーに歯向かうとはな。後悔して死ぬがいい!!』

 

「マリア、逃げろ!」

「…私はもう逃げない!」

 

翼の逃げろの言葉にマリアはハッキリと逃げないと言う。マリアに何があったのかは知らないが気合だけで怪人を相手にするのは無謀と言えるがマリアの目にはその覚悟が見えた。

 

「私はもう逃げないし迷わない!だってマムが命がけで月の落下の阻止をして、ドクターは特異災害の司令官と一緒に死神博士を追っている!!」

「!アイツが!?」

 

マリアの言葉に反応したのはクリスだった。少しだけFISやショッカーに入っていた時に見たが、ただの死神博士の腰巾着と思っていたからだ。少しだけウェル博士の事を見直すクリスだが、怪人達が刻一刻と近づいてきている。

 

『意気込みだけは買ってやろう、だがシンフォギアもない貴様に怪人達を相手に出来るか?フッハハハハ…』

 

「シンフォギアなら…ある!」

 

『ハハハ…なに!?』

 

勝利を確信していた死神博士だったが、マリアの言葉に息を飲む。そして、マリアは懐からシンフォギアのペンダントを翳した。それはマリアの妹セレナの形見でもある。

 

Seilien coffin airget-lamh tron

 

マリアが聖詠を口にする。瞬間、その場に光が満ちる。

 

 

 

 

 

 




ゴースターが強敵ですが、仮面ライダーの原作でもライダーの二人がかりで倒したから。
死神博士が余計な命令を出さなければ翼とクリスは死んでました。

メキシコだけでなくアメリカも何気にショッカーに乗っ取られかけてます。というか日本以外だいたいヤバい。…原作通りです。仮面ライダー本編だと日本の制圧が特に遅れてるそうですから。

因みに汗を掻いたら水分補給と塩分を摂取した方がいいらしいです。完全に時期外れだけど…

マリアって死神博士に小娘呼ばわりされてるけど21だったような。死神博士からすれば小娘か。
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