一号 赤いマフラー → 弦十郎たち
二号 白いマフラー → 響
三号 緑のマフラー → 翼
四号 青のマフラー → クリス
五号 紫のマフラー → マリア
六号 桃のマフラー → 切歌
七号 橙のマフラー → 調
響達の前に現れた六人の響達の情報は直ぐに本部へとも伝えられる。
「響ちゃんが7人!?どういう事!」
「それも身に纏っているガングニールも本物だ!」
オペレーターである藤尭朔也と友里あおいも、これには驚愕する。凶悪で醜悪な怪人がまた現れるかと思っていたが、出てきたのは二課所属のショッカーから奪還された立花響と同じ姿の少女だ。
立花響の顔は美少女とも言える顔立ちだが六人も揃うと威圧感を感じる。
いきなりの事でもデータを集めようと藤尭朔也はデスクで色々操作し友里あおいも未来に席を譲っているが己の職務を全うしようと動く。
「ちょっと待って、何か反応が…月の落下の影響で隕石が近いの?一応響ちゃん達に連絡を…消えた?大気圏に燃え尽きたのかしら?」
月の落下が阻止された情報は司令部にも上がっている。しかし、あおいは月が接近した影響か幾つかの月の破片が隕石となり地球に近づいてる事に気付く。念の為に響達に注意させようと思った、あおいだがセンサーから隕石らしき物体が消滅した事で響たちの様子を見る事にした。
「…響」
そして、モニターを見る未来は現場にいる親友の事が気がかりだった。しかし、モニター向こうでは死神博士が呼び寄せた響達がマリアや翼たちに襲い掛かる。
「ショッカー響!?完成していたんですか!!」
「知ってるんですか!?ウェル博士!」
脱がされたローブから現れた赤いマフラーをしたショッカーベルトを巻いている響の顔を見てウェル博士が驚愕の声を上げ、緒川がそれに反応する。
対峙する弦十郎は、目の前の響から視線を外さないがウェル博士の言葉を聞いていた。
「向こうの資料で呼んだ憶えがあります。立花響を改造人間にし摘出した臓器や血液、肉体からクローンを作るのが『響計画』。そして、その派生から生み出されたのは『SH計画』。言うなれば改造人間立花響の量産計画。眉唾でしたが目の前で見せられては…」
「響くんを量産だと!?」
ウェル博士の言葉に弦十郎も声を荒げる。
━━━年端も無い少女を拉致監禁だけでなくクローンを作って弄ぶ。ショッカーめ、許さん!!
そして、弦十郎は目の前のショッカー響を倒すのではなく保護しようと考える。
ショッカー響は、元々立花響の量産体として造られた。目的も各支部に出現したノイズの排除であり、そこまで強い怪人と言う訳ではない。ましてや今の響達は数多の戦いを潜り抜け、エクスドライブを使い戦う、まともに戦えばショッカー響に勝ち目はない。
しかし
「うわあああああ!!」
「雪音!?うわあああ!!」
クリスが悲鳴と共に地面に叩きつけられる。その様子に気を取られた翼の背後をショッカー響三号の蹴りが入る。
他でも腹に蹴りを入れられるマリア、イガリマでショッカー響六号の首を狙おうとするもショッカー響の顔を見て動きが止まり顔面に拳を喰らう切歌、頭部のユニットから丸鋸を出して戦うが丸鋸の攻撃で飛び散る血を見て吐きそうになる調。
響に至っては、
「こんな戦い止めてよ!アナタはショッカーに操られてるだけで私と同じ立花響でしょ!」
「………」
戦いつつショッカー響二号の説得を試みる。目の前の白いマフラーをしたショッカー響がどうしても自分と重ねてしまったからだ。
「ククク…予想通りだ」
そして、その姿を見てほくそ笑む死神博士。全ては死神博士の予想通りと言えた。
━━━シンフォギアを纏おうと所詮は小娘。懸念であった防人の家系の風鳴翼すらあの様だ
死神博士としては、ショッカー響にはあまり期待はしていなかった。実験用として先行量産型として調整も終わらない内に実戦投入され怪人としての強さも上級にはいかなくせいぜい中級の上程度、更には響達はいまエクスドライブモードに入り上級怪人でも手を焼く強さだ。本当なら占領したフロンティア内で最終調整する予定であった。
そこで、死神博士は響達の甘さを利用した。
━━━場数を踏もうが所詮は小娘だ。仲間である立花響と同じ顔を攻撃するの躊躇うのは当然か
以前の翼やクリス、マリア達ならショッカー響を攻撃するのを躊躇なのしなかっただろう。しかし、共に過ごし戦う事で連帯感が生まれ仲間として認め背中を任せる。
━━━それが貴様たちの弱点よ!仲間を思うが故に足元を掬われる。説得しようにもショッカー響の思考は世界中から選ばれた重犯罪者の思考をブレンドした物だ。オリジナルの立花響とはそもそも価値観も合わん
ショッカーではほぼありえない弱点である。故に死神博士はこれを狙っていた。
戦況は、説得を続けようとする響にショッカー響が両手を響に向けて指から無数のロケット弾を撃ち込む。
エクスドライブのおかげであまりダメージは無いが腕をクロスして防御する響。
「後は私の頭部に埋め込んだ装置の力を使えば、万に一つの勝ち目もあるまい」
そう言って、死神博士は空を見上げる。空から赤い物が降って来るのを確認し勝利を確信した。
「この、いい加減にしやがれ!!」
ショッカー響の猛攻を受けるクリスはアームドギアのボーガンを取り出しショッカー響に向ける。心苦しく感じるクリスだが引き金に指をかけた。
「…今度はそのボーガンで私を撃つの?
「!?…グハッ!」
初めて聞くショッカー響の声にクリスは思わずアームドギアを引っ込めてしまう。それを確認したショッカー響はオリジナルの立花響が決してしないような笑みを浮かべるとクリスの腹に拳を入れる。
「雪音!?ぐっ!」
クリスの蹴られる姿を見てしまい注意がそれた翼にショッカー響が襲い掛かる。
「よそ見していていいんですか?翼さん」
「くっ、その姿で私の名を呼ぶな!!」
ショッカー響に名前を呼ばれた翼がアームドギアの剣を取り出し一気に振り抜こうとする。そして、どういう訳かショッカー響は回避も防御も行わなかった。
「今度こそ、その剣で私を切るんですね。翼さん!」
「!?」
翼の脳裏に嘗て、響を邪険にしていた時の記憶が蘇る。
『これから一緒に戦えるようがんばります!』
『歌えないアナタが?』
『でも、そうね。戦いましょうか。私とあなたが』
『え!?…どう…して…』
「ハッ!」
正気に戻り視線を戻した時には視線に入ったのはショッカー響の足の裏だった。隙を付いたショッカー響が翼の顔を蹴ったのだ。
クリスと翼は響の姿や声を使い翻弄され、マリアたちも似たようなものだった。
「優しいマリアさんはもう戦ったら駄目ですよ」
「な…何を言って…」
「マリアさんのやってきた事なんて所詮無駄なんですよ。世界は必ずショッカーが支配するんですから」
「そんな事、私がさせるものか!」
「そう言って、また手を血で汚すんですか?気付いてます?マリアさんの手は血で汚れ切ってる事を」
「!?」
「マリアさんの足を引っ張ってる事を分かってるの?切歌ちゃん」
「!?なんデスか突然!」
「本当は分かってるんでしょ?お薬を使って適合値を上げなきゃ碌に戦えない役立たず。恥ずかしくないの?」
「お前に言われる筋合いはないデス!!」
「後、切歌ちゃんってデスデスうるさいね。キャラ作り?」
「それを言ったら戦争デスッ!!」
「アナタって裏切ってばっかだね、調ちゃん。次はどこで寝返るの?」
「………」
「黙秘するんだ、もしかして図星だった?またショッカーに入る?それともパヴァリア光明結社にでも…」
「よく回る舌。悪趣味極まりない!」
ショッカー響の言葉に踊らされるマリアたち。これが並みの怪人ならばこのような事を言えばエクスドライブモードのシンフォギアに瞬く間に倒されるだろう。しかし、なまじ心を通わせた響の姿に顔、声といった、まるっきり響と瓜二つの少女に武器を使うのを躊躇われる。
完全に死神博士の術中に嵌っていた。
そして、更に、
「クッ、好き勝手しやがって…なんの音だ?」
先程からやられっぱなしのクリスが先に気付く、空から何かが降って来る音がしてショッカー響を警戒しつつ視線を音の方に向ける。それは、赤く燃える隕石だった。
「なっ!?」
咄嗟に避けるクリス。隕石はクリスを掠めてフロンティアに命中し爆発した。
「何だよ、これ!?…!」
あまりの事にクリスが空を見ると、更に赤く光る幾つもの点が近づく。気付けば自分以外にも翼や響にマリアたちにと隕石が落ちていく。
「うわああああああああ!!」
「きゃあああああああああ!!」
避ける者もいるが中には直撃する者も居る。エクスドライブのシンフォギアで何とか負傷せずにいられるが何時までも持つとは考えられない。降り注ぐ隕石を何とか回避する装者たち、クリスも隕石を回避する中、ショッカー響四号が襲い掛かる。
「何だって、こんな隕石が!?」
「この状況で都合がよすぎる、それに隕石は私達にだけ降り注いでいる!」
「ショッカーは隕石すら操れるの!?」
マリアの混乱に翼は隕石が自分達にのみに降り注ぎショッカー響たちや死神博士には全く振って来ない。直ぐに、この隕石がショッカーの仕業だと確信する翼と驚愕するマリア。
種は割れた。しかし、翼や響達が不利なのは変わることない事実だった。翼たちは隕石を気にしながらショッカー響と戦いを強いられている。
「翼さんもクリスちゃんもマリアさんたちも苦戦している。…私と同じ姿だから?」
響も降り注ぐ隕石を拳で破壊してショッカー響二号と戦いつつ説得を試みたが効果があるようには見えない。
「フフフ…もう直ぐ、皆死ぬのに無駄な抵抗を止めたら?」
「!?」
焦る響を嘲笑うかのようにショッカー響二号が嫌味を言って微笑む。今まで響の言葉を無視して沈黙していたからか、突然喋った事に響がビックリした。
「無駄なんだよ、全部。大人しくすればアッサリ殺してくれるのに…何で抵抗するの?抵抗すれば抵抗するだけ苦しむだけ」
「そんな事ない!確かに怪人も多いし死神博士いがいにも大幹部の地獄大使がいる。でも…」
ショッカー響二号の言葉に反論する響。ショッカー響の言葉は響にとって許せないものだった。即ち、大人しくショッカーに殺されろと言っているようなものだ。
「ショッカーの目的は世界征服、その為には邪魔な人間を排除しなきゃならない。だから、死神博士は隕石を利用する事を思いついた」
「…隕石を」
「そう、隕石を流れ星にして世界を破壊し尽くす。その為に私達は生み出された。皆死ぬよ、風鳴翼も雪音クリスもアンタの母親と婆さんも…後、小日向未来って奴もね」
「!?」
それまで、ショッカー響の言葉を聞いていた響の頭にプチンッという音が聞こえた気がした。次の瞬間には羽を使い一気にショッカー響に迫ると、その顔に拳をぶち込む。
「なっ!?」
殴られたショッカー響は意味が分からなかった。エクスドライブとの差を埋める為に装者の心理を揺さぶり満足に戦えなくして
分からないままショッカー響は浮遊する岩石にぶち当たり体がめり込む。そして、殴った本人である響は拳を震わせ涙を流す。
「…よく分かったよ、アナタは…お前は私じゃない!姿形だけそっくりに作られた只の偽物だ!翼さん!!クリスちゃん!!マリアさん!!切歌ちゃん!!調ちゃん!!」
「「「「「!?」」」」」
響の叫ぶ様に皆の名を呼ぶ。一瞬、ショッカー響がまた何か仕掛けたかと考えるが悲痛な叫びに近い声に視線だけ響に向ける。
「そいつ等は、私に似てるのは姿と声だけです!…だから倒しても問題ありません!戦いにくかったら私が代わりに…」
響はただ許せなかった。前々から皆と一緒に見たかった流れ星をあろうことか兵器にしたショッカーや死神博士。響が守りたい者達の名を使い皆殺しにすると言われ、何より親友である小日向未来の名を聞いた響の堪忍袋の緒が切れた。それこそ、翼たちが戦い難いのなら自分が代わりにショッカー響全員と戦う覚悟をするくらい怒りと悲しみが溢れる。
その響の悲痛な言葉と涙に翼たちは息を飲んだ直後に響の方に顔を向ける。
チャンスと思ったショッカー響たちが一斉に死角から襲い掛かる。しかし、ショッカー響の攻撃は悉く装者たちに防がれた。
「!?動きが変わりよった!?」
その動きを見た死神博士が思わず呟く。先程までならショッカー響の攻撃は確実に装者たちに致命傷を負わせる筈だった。だが、今ではショッカー響の姿も見ずに迎撃した。
「相変わらずだな、立花」
「アタシも焼きが回ってたな、アイツと同じ姿だから…どこか本物と同じだと期待しちまった」
「もう迷わないと決めたのに…恥ずかしくなるわね」
「私もデス」
「私達も心のどっかで、あの偽物を本物に重ねていたみたいね」
互いに顔を見合わせ笑いショッカー響の方に視線を見せると同時に攻撃した拳や足を撥ね退ける。吹き飛ばされたショッカー響が何とか体勢を立て直し翼たちを睨みつける。その目には憎悪が燃えていた。
「舐めるなぁぁぁ!!!」
ショッカー響達が一斉に手を翼たちの方へ向けると指から幾つものロケット弾が撃ち込まれ翼たちに命中して爆発する。攻めの手を緩めなかったショッカー響達は更にロケット弾を撃ちだし攻撃を続ける。
爆発で起こる煙で完全に翼たちの姿が見えなくなるがショッカー響たちは撃ち続ける。暫く経ってショッカー響達が撃つのを止め腕を引っ込める。並みの怪人ならば木っ端みじんになる程の爆発力だ。
「それで終わりか?」
『!?』
しかし、煙が晴れた後に居たのは無傷の翼たちだ。ショッカー響達の攻撃は確実に当たっていたがエクスドライブモードの翼たちを倒せる程の威力はなかった。
死神博士は、ショッカー響たちの動揺を感じていた。
━━━完全に形勢が逆転したか、通常時なら兎も角エクスドライブモード相手ではこの程度か。ならば!
「ショッカー響たちよ、今こそ『SHOCKER』を使えっ!」
『了解!』
死神博士の命令にショッカー響達が一斉に首のマフラーに手を入れる。
「ショッカーがショッカーを使う?何言ってんだ?」
「切ちゃん」
「…まさか」
突然の死神博士の発言にクリスが意味不明だと呟き翼も響もマリアも同意するが心当たりのある調と切歌が互いの顔を見る。そして、それは十中八九当たっていた。
ショッカー響達は首に取り付けられていた装置を使い自身にショッカーが開発したショッカー版LiNKERことSHOCKERを注入したのだ。
直後に、ショッカー響達に変化が訪れる。オリジナルの立花響と同じ姿だったシンフォギアがドス黒くなり顔もシンフォギアと同様に黒く変化し目が赤くなる。
「暴走か!?」
翼とクリスは肉眼で見た事がある。カ・ディンギル跡地での戦いで感情が暴走した響がシンフォギアを暴走させた姿を、身の前の光景と瓜二つだった。
「…あれが…」
響のその姿を見て翼の「暴走」発言に反応して呟く。客観的な視点で暴走する姿を見る響。
「暴走であって暴走ではない。SHOCKERを打ち込んだ事でショッカー響達のシンフォギアの力は数十倍に跳ね上がる。これならばエクスドライブとも十分戦えよう!」
ショッカーが急務としていたのは特異災害対策機動部二課の他にエクスドライブの解明もあった。ゾル大佐が最後に送ったデータでエクスドライブモードはいずれ自分達の障害になると判断したショッカーは響のクローン体で実験を行い遂に新型のLiNKERこと『SHOCKER』を完成させることに成功した。安全性は皆無といえるが問題はない、特異災害対策機動部二課や装者たちを抹殺出来れば後はどうにでもなるとの判断だ。
一見、ショッカー響達もカ・ディンギル跡地での響のように暴走してるように見えるが死神博士の命令通り動くことが出来、戦闘力も飛躍的に上昇している。
両腕を槍のような形態にしたショッカー響たちが一斉に翼やクリスに襲い掛かる。
同じ頃、フロンティアのジェネレーターがあった場所でも弦十郎とショッカー響の死闘が起こていた。
「ちっ、人間のクセに!」
「人間だからこそ強くなれるんだ!」
ショッカー響一号のロケット弾を気合で撥ね退け肉弾戦に持ち込む弦十郎。赤いマフラーを靡かせ相手をするショッカー響。
ウェル博士の護衛として緒川は参戦しなかったが、戦いは徐々に弦十郎が押しているのが分かる。
「凄い戦いだ…」
「ショッカーが、風鳴弦十郎を狙った訳が分かりますね…」
腰のバーニアと脚部のジョッキを駆使して空中を飛ぶショッカー響に対して弦十郎は壁に向けてジャンプして対抗する。一見無茶にも見えるが弦十郎は、これで十分対応していた。
堪った物ではないのはショッカー響だった。データで弦十郎の強さは知っていたがここまで人間離れしてるとは思っていなかった。
「貴様、やはり改造人間だろぉ!我々を欺きよって」
「だから、俺は人間だ!!」
遂には、ショッカー響にも人間かどうか疑われ反論する弦十郎。それだけ、弦十郎の身体能力は異常と言えた。そして、遂に弦十郎の拳がショッカー響に届き出す。
「なっ!?」
「悪いがこのまま押し通るぞ!!」
弦十郎の拳が早すぎて分裂してるように見えたと同時に無数の拳の衝撃がショッカー響を襲う。頬、顎、腹、胸、などが弦十郎の拳に殴られショッカー響は碌にガードも出来ない。
「これで止めだ!!」
最後に弦十郎はより力を込めた拳をショッカー響に叩き込む。短い悲鳴を上げたショッカー響は拳の勢いでジェネレータールームの壁に激突、そのまま壁が砕けると共に瓦礫と共に落ちた。
「やったー!」
「た…倒したんですか!?」
その様子を見て純粋に喜ぶ緒川と改めて弦十郎の身体能力に驚くウェル博士。ウェル博士も弦十郎の身体能力はある程度把握しているがショッカー響を圧倒した事は純粋に驚く。
地面に着地した弦十郎はよっくりと崩れた壁に近づく。目的はショッカー響の保護である。
━━━あれだけ攻撃したんだ、気絶してくれればそのまま保護出来る。あんな娘に戦いを強要させてはいけない!
弦十郎は、良くも悪くも大人であった。未成年を戦力にしてノイズと戦わせているが出来る事なら子供は子供で過ごしてほしいと思っている。それは。雪音クリスや姪の風鳴翼にショッカーに拉致され改造人間にされた立花響にも出来れば戦わずに青春を送ってほしい。
そして、その考えは目の前のショッカー響にも思っていた。正直、ショッカー響を保護出来るか分からない、政治家たちがどう扱うかも分からないし、ショッカーの技術を欲しがる者だって居るかも知れない。無責任かも知れないと考える弦十郎だが、目の前の
━━━我ながら不器用だな、俺は…「痛い…痛いよ…」!!
涙交じりの少女の声に思わず立ち止まる弦十郎。その時、目の前の瓦礫が動き、誰かが出て来る。ショッカー響一号だ。
「痛いよ…此処は何処?お父さん、お母さん…帰りたいよ…」
先程までの機械的な声ではない。まるで幼い子供が泣きじゃくるような声だ。その声に弦十郎の足は駆けだす。
━━━ショッカーの呪縛が解けたのか!?
子供が泣いているのを、大人として見過ごせない弦十郎は急いでショッカー響の下に辿り着く。その目には涙を流して不安そうに弦十郎を見ていた。
「…アナタは誰?」
「俺は特異災害対策機動部二課の指令をしてる者だ。君を保護したい」
「保護?お家に帰れるの?」
「ああ。…直ぐにとはいかないだろうが必ず」
「…ありがとう!」
弦十郎の言葉にショッカー響が抱き着く。右腕の方に抱き着いて引っ張る事で子供らしいと思い頭を撫でた。
「…指令、良かったですね。ね、ウェル博士」
二人の様子を見ていた緒川がそう呟き笑みを浮かべてウェル博士の方を見る。しかし、ウェル博士の顔色は真っ白だった。
「ウェル博士?」
「何をしてるのです!直ぐにショッカー響から離れなさい!!」
何かに気付いたのかウェル博士は急いでショッカー響を引き離せと言う。その言葉に顔をポカンとさせる弦十郎と緒川。
「大丈夫だ、ウェル博士。この子はショッカーの呪縛から解かれたんだ」
「きっと指令との戦いで響さん本来の人格が戻ったんですよ」
二人はウェル博士が心配し過ぎだと判断した。今まで近くでショッカーを観察していたウェル博士が本来の人格に戻ったショッカー響を罠だと思った。そう考えて居た。
しかし、
「馬鹿ですかあなた達!ショッカーがそんな甘い訳ないでしょう、それにショッカー響に埋め込まれた意思はショッカーが選りすぐった重犯罪者の思考です!立花響の人格など欠片も無いんです!」
「「!?」」
ウェル博士の言葉に緒川は汗を掻き、弦十郎は未だに右腕にしがみ付くショッカー響に目を向ける。ショッカー響は未だに体を震わせている、最初は泣いてるのかとも思ったが違う。
「き…君…」
そっと左手でショッカー響の頭を再び触ろうとした時、しがみ付いていたショッカー響が顔を上げて弦十郎の顔を見る。その目にはハイライトが無く不気味に見えた。
「ありがとう…チョロくて…」
ショッカー響がそう呟いた直後、辺りに強烈な閃光と衝撃波に熱波が暴れた。
・
・
・
・
・
爆発の音が静まり辺りには打って変わって静寂に包まれた。熱と衝撃波も消えていくが爆発の影響で煙が辺りを舞う。
「指令っ!!」
緒川が急いで爆発した中心部に急ぐ。ショッカー響が爆発した…いや自爆したのだ。威力からして並みの爆発ではない、並みの人間ならそれこそ木端微塵に吹き飛んでいてもおかしくはない。
指令なら大丈夫だと心の中で思っていても緒川は安心できず弦十郎の姿を探した。
「指令っ!」
弦十郎はアッサリ見つかった。爆発の影響かトレードマークでもあった赤いシャツは破れネクタイも千切れて無くなっている。体中にも火傷の痕があり爆発の凄まじさが物語る。だが、緒川が何よりも注目したのは…
「指令…右腕が…右腕が!!」
弦十郎の右腕が二の腕部分から完全に無くなっていた。ショッカー響の自爆により消し飛んだのだ。
「指令っ!」
急いで駆け寄る緒川、必死に千切れた弦十郎の右腕の傷口を押さえて千切れた弦十郎の右腕を探すが何処にも見当たらない。緒川の手には生暖かい液体の感触がし、それでも傷口の出血を抑えようと必死だった。
「何してるんですか!?」
そこへ怒鳴り声が聞こえて振り向くとウェル博士が血相を変えて近づいてくる。
「ウェル博士!指令の…指令の右腕が!!」
「見れば分かります!アナタは取り合えずそのネクタイを取りなさい!…助けたいんだろ!!」
「は…はい!」
緒川は言われた通りに抑えるのを止め自身のネクタイを取りウェル博士に差し出す。緒川から差し出されたネクタイを弦十郎の右腕部分を縛るウェル博士。その後、ウェル博士が持っていた医療器具で応急処置をするが此処では限界があるとして急いで特異災害対策機動部二課の仮設本部である潜水艦へと戻る事にした。
「ん?ジェネレータールームに配置していた一号の信号が途切れた?」
地上に居た死神博士のセンサーがショッカー響一号の反応が消えた事を知らせた。
━━━敗れたか?一人か二人くらいは殺してるといいのだが…いや、今はそれより…
一号の信号が消えた原因を考えた死神博士だが、直ぐに視線を戻す。視線の先には地面に倒れるショッカー響たちだった。
「うわああああああああっ!!」
「その動きはとっくに見切ってるんだよ!」
黒染めとなったショッカー響がクリスに襲い掛かるが、攻撃を避けたクリスがガトリング砲を出してショッカー響の胸をゼロ距離で撃つ。無数の弾丸がショッカー響を撃ち抜き倒れる。そして、それが最後のショッカー響でもあった。
「よし、これでラストだ!」
クリスに撃ち抜かれたショッカー響が動くことは無かった。直後、倒れていたショッカー響たちの体が爆発四散する。
「無事倒せたか、しかし…」
「どうにも落ち着かないわね」
翼とマリアが喋る。彼女たちもまたショッカー響を倒していたがその表情は優れなかった。やはり仲間と同じ姿をした少女を切るのは心にくるものがある。
「解せんな、出力だけならエクスドライブモードと同等な筈だが…」
そんな中、ショッカー響がアッサリ全滅した事に今一納得できない死神博士。計算上ならばSHOCKERを使えばエクスドライブモードの装者とも十分戦える筈であった。
「いくら出力が上がっても歌の無いシンフォギアではその程度だ!」
「歌を軽視し続けるお前らには分かんねえだろうな!」
SHOCKERを注入し戦うショッカー響たちは歌わず翼たちは歌い続け戦った。それでだけであった。それだけだったが勝敗を見事に分けた。
「ふむ…フォニックゲインのエネルギーをもう少し有効に使うべきだったか?今後の課題だな」
「お前に今後なんてあると思ってるデスか!死神博士」
「アナタが行くのは牢獄、覚悟して」
今後のショッカー響の運用と改造を考える死神博士だが、マリアと翼たちに周囲を囲まれる。最早、死神博士は逃げられないと考える装者たちだが、死神博士は不気味に笑う。
「フフフ…死ぬのは貴様らだ。私自らが相手をしてやろう」
右手で器用に自身のマントを外す死神博士。今まさに悪魔の正体を見せようとしていた。
精神攻撃は基本(ドヤ)
ショッカー響がアッサリ倒されましたけど翼たちがエクスドライブモードを使ってますから。そもそもエクスドライブの戦闘は大規模な奴が多い。
そして、弦十郎が大変な事に。
弦十郎はXVでも外道と化した訃堂にすら情けをかけましたからね、少女のフリをするショッカー響の罠にかかったということで。
「もっと早く教えろよウェル博士」と思うかも知れませんがウェル博士も弦十郎がショッカー響を保護しようとしてるのは知らないので。もし保護すると言って居ればショッカー響の思考の話をして諦めさせてました。
最後にショッカー響の設定でも、
ショッカー響
シンフォギアのショッカーライダー。
響計画の派生であるSH計画によって生み出された。見た目は完全に立花響の姿をしてるが頭脳はショッカー選び抜いた犯罪者たちの思考がブレンドされ、ショッカー好みの性格をしている。
本来は、ノイズとの戦闘を想定して作られたが、他にも潜入、暗殺、破壊活動などの多岐にわたる知識を持たされ戦闘能力もオリジナルの立花響と遜色ない出来である。
別の計画としてはショッカー響が一般人を襲いオリジナルの立花響と特異災害対策機動部二課の評判を貶める事も想定されている。強力な自爆装置も内蔵されており下手に捕獲しようとするのは危険。
尚、一体のショッカー響を作るのに十体以上の立花響のクローンを磨り潰す為、コストはあまりよくない。