「中国が軍を使ってショッカーと戦う!?」
「…向こうも随分と動いたわね」
ウェル博士の口から中国がショッカーのアジトを制圧しようとしてる事を聞いた響は驚きマリアも少し考えて言葉を発する。
何も言わないが調と切歌も大丈夫なのかという顔をしている。
「そう聞きました…尤も僕は時間でしたので結果とかは知らないんですが…」
会議の終えた直後にウェル博士はマリア達の居る独房に戻され結果は知らない。知らないがおおよその見当はつく。
━━━初期のシンフォギアでも戦車や戦闘機を圧倒したと聞きます。そして、ショッカーもシンフォギア装者との戦闘経てより力が増している。となれば…
結果は知らないと言っていたウェル博士だったが、シンフォギアと怪人の能力を把握すれば結果は見えていた。しかし、それを響達に伝える気はない。マリアは兎も角、響が聞けばいらぬ心労を与えてしまうかもしれない。現に響は中国軍がショッカーと戦うと聞いて目に見えてソワソワしだす。
━━━今後の事を考えれば僕が立花響の主治医みたいのもの。患者にいらぬ心配をさせるのはいけませんね
=特異災害対策機動部二課司令部の反応=
特異災害対策機動部二課の通路を走る三人の影がいる。一人は初期から所属している風鳴翼、もう一人はルナアタック後に正式加入した雪音クリス。そして最後の一人は響の親友であり神獣鏡のギアを纏い響の奪還に尽力した小日向未来だった。
「指令、状況は!?」
「…オッサン、あの…情報は本当か…よ!」
指令室に到着して扉を開けると翼が第一声を上げ、息も耐え耐えなクリスが喋る。
丁度、下校の自国で特異災害対策機動部二課へと戻ろうとしていた二人に司令部からの連絡が来て近くを通りかかった未来にも聞こえ三人は急いで仮設本部の潜水艦へと来たのだ。
「来たか、今ちょうど向こうさんが演説をしている」
翼やクリス達より先に戻った弦十郎が三人のほうを見た直後に視線を動かす。その視線を手繰った先にはモニターに映る髭の生えた偉そうなアジア系軍人がインタビューを受けている。
『我が国にとっても犯罪組織ショッカーを野放しには出来ません。世界がこんな状況だからこそ我々はショッカーの打倒を目指しているのです』
インタビューでは、模範的な軍人として答える中国の将軍らしき人物だが、特異災害対策機動部二課の面々の視線は冷たかった。
「…いけしゃあしゃあとよくもまあ」
「アメリカが直ぐに動けない以上、ショッカーを潰して世界情勢のイニシアチブを握りたいんでしょう」
「それだけではないでしょう。恐らく、中国はショッカーの技術も手に入れる気でしょう。ノイズとの戦闘やあの国の思想を考えればおかしくはないかと」
口々に中国の文句にクリスは面を食らう。仮には人類の守護を担う組織としては辛辣だった。見れば翼の視線もどこか冷たかった。未来もクリスのように周囲を伺っている。
そこで、クリスは翼に話しかける。
「…何で皆そんなに冷たいんだ。ショッカーと敵対してるならアタシ等にとって味方だろ?」
「あの国とは特異災害対策機動部二課発足初期に結構やりあったんだ。主に櫻井理論の時にな…」
「何より、あの国はここ数年パッとしなかったからな。強引な手段も何度やったか」
クリスの言葉に弦十郎も反応して答える。二年前に日本に帰ったクリスは知らないが特異災害対策機動部二課や公安は、水面下で中国と戦っていた。理由は翼の言った櫻井理論だ。
まだ公表されてなかった櫻井理論が何処からか中国に漏れ、水面下で中国は日本に櫻井了子の身柄を要求して日本政府は当然拒否。諦めなかった中国は工作員を送り櫻井了子を
最終的には、キレた訃堂が護国挺身刀・群蜘蛛で中国の工作船数隻をぶった切って乗員を撫で斬りにして大人しくさせた。
時は、ツヴァイウイングの悲劇が起こる一年前まで中国がちょっかいを出していた。
その時以来、特異災害対策機動部二課は中国を敵視している。
=中国軍=
中国のとある省。ノイズの出現により一部が廃墟となった都市区画、本来ならホームレスや裏社会の人間が拠点にする場所に何人もの軍服を着た兵士達が行き来している。一部が封鎖されてるが野次馬好きの群衆が入っては叩き出されその様子を撮るマスコミも多くいた。
その内の一つに布で作られた簡易テントの司令部だ。
「総員、配備を完了しました。何時でも突入できます!」
「五分後に突入だ、マスコミに映像を撮らせろよ」
「ハッ!」
立派な軍服を着て幾つもの勲章を付けた初老の男の命令に若い軍人は返事をして仮設本部のテントから出る。それを確認して将軍らしき男は椅子にふんぞり返る。
「これが成功すれば我が国の国際的優位が高まる。小日本なんぞに負けるものか!」
ノイズに悩まされてるのは中国も同じだ。しかし、多少の人民が犠牲になろうが圧倒的多数の民族が生き残れば中国の勝ちだ。共産党の幹部が犠牲になれば席が空くというものよ。ノイズ被害がそれなりにあるが世界一の人口を誇る国家は伊達ではない。
そんな時に、数年前に日本に送っていた工作員が櫻井理論と呼ばれるノイズ対策を伝えられた。調べて見れば聖遺物と呼ばれるガラクタで女子供に鎧を纏わせノイズと戦えるそうだ。素晴らしい、直ぐに主席は日本に対してアメリカにバレぬよう桜井了子の身柄を要求したが日本が突っぱね、中国は多数の工作員を送る事になる。
櫻井了子を巡る攻防は暫く続き、日本の防人の当主と呼ばれる爺さんに工作船がぶった切られる事で大人しくせざる追えなかった。あれ以上やればアメリカ出て来る事が予想されたからだ。
「ショッカーというのが今一分からんが、我が国に連中のアジトがあるなら好都合。ノイズと十分戦える技術に日本が恐れる兵器、それらが手に入れば今度こそ小日本を叩き潰してやる!」
中国もまた、死神博士の流れ星作戦で打撃を受けたが、アメリカに比べれば微々たるものだ。寧ろ増え過ぎた人民を減らしてくれてありがたいと言える。だからこそ、どの国より早く立ち上がり国際情勢の流れを掴む事が急務と言えた。
国連経由で日本からのショッカーとの協力者も潰し、後顧の憂いを断ち後は中国内部にあるショッカーのアジトを接収して技術をそっくり手に入れるだけだ。
「新しい主席も我らの一族で、後は人民の不満を日本に押し付けるだけよ」
恐らく、ショッカーの技術を手に入れた中国は何れ日本やアメリカとも戦う事になる。そうなれば技術と人口の差で圧し潰せばいいだけだ。改造手術と呼ばれる技術は是非とも中国としても欲しかった。
その為に、軍でも精鋭といえる部隊をショッカーにぶつける。念の為に近くの基地には戦車や戦闘機も待機している。
将軍は、まだ突入もしていない内から勝利を確信して秘蔵の酒を飲む。その酒はやけに上手く…将軍の口にした最後の飲み物となった。
=軍隊VSショッカー=
何人もの重武装した軍人が建物の壁に張り付き、その時を待つ。そして間もなく隊長からのゴーサインにカモフラージュされていた扉を蹴破り中へと入る。
「ゴーッ!ゴーッ!ゴーッ!」
「俺ら中国の兵士なのに何で英語で合図するんだ?」
「作者が中国語の合図を知らないだけだろ」
メタ発言をしつつ兵士達は中へと侵入し奥へと進む。警戒しつつも銃を片手に地下一階から二階、三階と進んでいく。途中に古臭い機械や真新しい装置などを発見しては後続の部隊を呼び調査の名目で運んでいく。
そして、彼らは敵にも出会わず最奥の広間へと足を運ぶ。
「うへ~」
「これがショッカーのシンボルか、カルト宗教真っ青だな」
兵士達の目に両翼を開き左を向く鷲と鷲の下に描かれてる地球が書かれている。紛れもなくショッカーのシンボルだ。
「ところでよ、黒いタイツをはいた戦闘員ってのは何時でるんだ?」
「見た目が化け物だっていう改造人間も居ないぞ。本当に実在してるのか?」
周囲を探索している兵士達から次々と愚痴が出る。作戦を説明された時は国連経由の日本の情報で戦闘員と怪人のことを聞いていたが、アジトに突入しても人っ子一人居やしなかった。まさしくアジトはもぬけの殻だ。
「…逃げたか、日本に担がれたかな?」
「俺達の戦力を知る為に日本が騙したってか?あの日本が国連巻き込んでそれはないんじゃないか?」
「なら逃げたでいいか。将軍に何て言う?」
「敵は我が国の戦力を見て逃げ出しました。でいいんじゃねえ?」
最深部に到着した兵士たちは口々に喋る。気合を入れて制圧したアジトがもぬけの殻だった事で緊張の糸が解けたのだ。この任務についた以上特別ボーナスを保証されているので楽に終わるのなら文句はない。
隕石の影響で被災した家族のいる兵士としてもボーナスは死活問題だ。
後は、制圧したアジト内を探索して目ぼしい物を地上に持って行けばいい。兵士達はそう考えてた。
最深部の天井に潜む黒い影が舌なめずりをしてるのを無視すればの話だが、
アジトを制圧したという報告を聞いてウキウキの将軍だったが、数分後に凶報が伝えられる。
『援軍をッ!援軍をッ!!ノイズが…ノイズが!!』
『見たことないノイズが現れて交戦中!仲間が、仲間が化け物に!!』
簡易司令部に幾つもの無線が飛び交うがどれもが悲痛な叫びだった。先程までアジトの制圧を報告され楽観視していた将軍も額に汗が流れる。
「突入部隊の半数が音信不通!救援要請多数!!」
「敵アジトの一部が崩落し部隊が分断されてます!」
突然現れたノイズにアジトの各所で爆発が起き通路が分断されては部隊も浮足立つ。完全に罠に嵌められたのだ。その事を理解した将軍は頭をかき乱す。
「やられた!!ショッカーめ、アジトを囮に我々の戦力を削ぎ落そうというのか!!?全軍に撤退命令を出せ!!」
「りょ…了解!」
「……入口通路の見張りより緊急!バイクに乗った何かが来ます!!」
通信兵の報告の直後に、アジトの出入口の扉が爆発し破壊され、バイクに乗った人影が現れる。その人影は、ネコ科のような風貌に頭部には斑模様、腹部にはショッカーベルトに上半身の左肩部分には鎧の様な物をつけている。
「ば…化け物だ!撃てぇぇぇ!!!」
アジトの見張りをしていた部隊の体長が即座に撃つよう命令して十数人の兵士の持つライフルが一斉に火を吹く。
普通の人間ならばこれだけの銃弾を受ければ原形も保てず無残の姿となるが、その怪物にはどこ吹く風。次々と弾切れになる兵士の目に恐怖が宿る。
「ゆけ…」
それを確認した怪物は懐から黒い宝石の様な物が付いた杖を取り出して振る。直後に杖からドス黒いビームが兵士達の目の前の地面へと当たる。
「ノ…ノイズだ!!」
そのドス黒いビーム後から黒い人型ノイズが次々と現れる。突然の事に兵士達は弾切れの武器を放り出して逃げたり弾を込めようと悪戦苦闘したりする。その間にも怪物の出したノイズは次々と兵士に接触した。
「ウワアアアアアアアアア……ウオオオオオオオオ!!」
「死にたくねえ……ケケケケケケケケケケケケッ!!」
本来、ノイズに接触した者は例外なく炭素化して死亡してしまう。人間のみを殺す為に造られたノイズの目的だからだ。しかし、取り付かれた兵士たちは炭化せず、嘗て響達が倒した蜘蛛男やセラセニアンに変化し元仲間であった兵士達に襲い掛かる。
「あ…相棒が化け物になりやがった!!」
「来るな…来るなぁぁぁ!!!」
パニックになった兵士の銃撃音に再び場は混乱する。それでも蜘蛛男の毒バリが何人もの兵士を溶かし、セラセニアンの鞭が兵士の体を引き千切る。
耳をすませばこの場だけではない。他の場所でも銃撃音と悲鳴が聞こえる。
「どうした!?何がおこった!?」
「へ…兵たちが化け物と交戦!!」
「他の報告ではノイズに取り付かれた物が怪物になったそうです!!」
簡易指令室の方でも自国の兵士が化け物…怪人になって味方を攻撃し出す事を報告される。テレビを見れば現地に居る記者が化け物を映し襲われてる姿も確認できた。
「一体…これは…」
将軍としても訳が分からなかった。その理由は国連から提供された情報に偏りがあり翼やクリスが目撃したショッカーの杖とショッカーノイズの情報が防がれてたからだ。何しろ、二人が目撃してから日にちも立たず国連の情報部の混乱に流れ星作戦で各国の都市にダメージが深く、その間に中国はショッカーの技術を得る為に強行したのだ。
「す…直ぐに増援を送れ!戦車やヘリであの化け物どもを殺せ!マスコミもこれ以上好きにさせるな!」
「現場が混乱しておりこちらの命令が届きません!」
「増援が到着!戦闘に入りました!」
現場に到着した部隊は直ぐに怪人に向かって銃撃が開始。戦車砲も怪人に向かって砲撃する。一部の怪人は戦車の砲撃により倒されるが一部の怪人が戦車や歩兵に向かう。
「走れッ、稲妻!!」
エイキングの言葉と共に周囲から稲妻が飛び、歩兵部隊や戦車に襲い掛かる。電流を浴びた兵士たちは断末魔の叫びを上げると共に灰となり、戦車も次々と爆散していく。
その様子を見ていた武装ヘリも何とか仲間の援護をしようとするが大岩のような物が接近し幾つものヘリが墜落する。
「ヴアッ、ウアーッ!!」
「ミミミミミクァー、ウォーッ」
ヘリの殆どを撃墜した大岩は地面に転がると人型へと変わる。その正体はアルマジロングだった。すると、何処からともなくトカゲロンが現れ、人間の言葉を喋らず会話のような物をすると、再びアルマジロングは体を丸めてトカゲロンがそれを蹴りだす。
さっきのヘリの撃墜もこの方法を用いていた。
まさに現場は大混乱であり次々に簡易司令部に凶報が舞い込み撤退の指示を願う兵士も続出する。中には黙って逃げ出す者も出た。
その様子を廃ビルと廃ビルの間で観察する怪人が居る。先程、兵士達の射撃を受けながらもショッカーノイズを出したネコ科のような怪人だ。
「デモンストレーションとしては成功か…」
怪人はそう呟き、ノイズを出した杖を見る。杖はまるで経年劣化したかのようにボロボロとなり遂には砕け散る。その時、怪人の背後からバイク音が響き振り向くと黒ずくめの戦闘員がやって来る。
「C地区にノイズをばら撒き怪人を多数出現させました!」
「D地区も同じく。軍隊は怪人への対処で精一杯です!」
「将軍たちの始末は完了しました」
戦闘員が口々に作戦の完了を報告する。中国の作戦はショッカーに筒抜けであった。本来ならば将軍や主要人物の暗殺をして此方の手の者と入れ替えるが、死神博士が死んだ上に怪人も軒並み倒された事でショッカーにそんな余裕はない。
故に、地獄大使は今回の事でショッカーの杖のデモンストレーションに中国を利用した。何より派手好きな将軍が現地にマスコミを連れて来たのも地獄大使にとってありがたいと言えた。知られた以上、秘密結社に意味はない。
軍隊をも圧倒する怪人の姿を見れば当然欲しがる俗物も出て来る。最早、秘密に出来ないのなら表立って行動して目立ち、より世界に恐怖を与える事も辞さない。
今は少数でも、何れはショッカーの杖を量産してブラックマーケットに流し誰もが怪人を使役すれば、最終的にショッカーが世界を握る事になる。
「よし、後はノイズの怪人モドキに任せて撤退する。目標は地獄大使の居る日本だ!!」
戦闘員達の報告聞いた怪人がバイクを吹かし飛び出すと戦闘員もそれに続く。
彼らにとって、ショッカーノイズから怪人になった者達は捨て駒でしかない。人間の魂もない彼らは本能に従い人間を襲う獣レベルでしかない。杖があればある程度は操れるが無くなった途端、杖の持ち主にすら襲い掛かる程の獰猛さだ。それらを無条件で操れるのは首領しかいない。
兵士を襲う怪人達は獲物が居なくなれば人間の居る方へと向かいまた襲う。
この日、中国のとある省は怪人によってとんでもない被害を出す事になる。
=様子を見ていた特異災害対策機動部二課=
「…酷い」
モニターには逃げ惑う兵士に襲い掛かる怪人の姿が映る。獣のような動きをする怪人は次々と兵士の生きたまま焼き殺したり、溶かしたりしている。その様子を見ていた職員の何人かは嘔吐している。
時間にして30分も経っていないが、怪人による虐殺劇が起きている。
「おい、このまま見てるだけかよ!?アタシ等が行った方が…」
「…無理だ」
「俺達に中国まで出動する権利はない。中国政府が日本政府に助けを求めれば別だが…」
口で言ってても、それはあり得ないと弦十郎も考える。
只でさえ、ショッカーのアジトの占領に失敗した上に、日本に助けを求めるのは中華のプライドや面子が許さない。例え、多くの兵や人民が死のうと日本に助けを乞う訳にはいかないのが中国の実情である。
「こんな時に、国連直轄なら確かに動けるかも知れんが…」
「アタシ等は見てる事しか出来ないのかよ!」
弦十郎の呟きにクリスは悔しそうに吐き捨てる。
結局、この騒動は中国の無差別爆撃により何とか鎮圧したが巻き込まれた人民や国連に問題視され中国の発言力は弱まる結果としかならなかった。
そして、世界中の国家がショッカーの怪人に恐怖する事となる。
=ウェル博士による響の体の説明講座=
「…この様に立花響は動植物の能力は有しず人間としての能力のみ上げられたと言う訳です。次に立花響に付けられてるプラスチック繊維製消化器官。通常胃がある場所に付けらてる装置ですね、計算上この装置のお蔭で立花響はあらゆる物を消化吸収する事が出来ます。毒キノコも毒虫だろうとね、それこそ日本人が好きなフグも丸ごといけます」
特異災害対策機動部二課が国連の直轄されるのが決まり二日。中国の失態もあり国連が特異災害対策機動部二課に期待する動きも活発な中、ウェル博士が特異災害対策機動部二課の職員や装者を集めていた。
ウェル博士の背後には大型のモニターがあり、ロボットのようなものが映し出される。
これこそ、響の体の中であり特異災害対策機動部二課でもお手上げ状態で見守るしか無かったが、国連の直轄となる前にウェル博士が響の体についての勉強会を開く。要は響についての理解の共有である。
これには、特異災害対策機動部二課専属の医者や科学者も挙って参加している。翼やクリスだけでなく本来来る必要のない未来もこれに参加している。
そして、始まるのは科学者や医者の質問攻めであった。
「ウェル博士、立花響の目の奥にある装置は?」
「これは、Cアイ。別名キャット・アイとも呼ばれてる超小型の複眼ですね。これを立花響の水晶体と繋ぐ事により猫の目のごとく真っ暗な場所も昼間のように見えたり赤外線も見る事が出来るらしいですね。更に立花響の視力は常人も超える4~5に相当するそうです」
「ウェル博士、立花響の頭部付近にある小さなでっぱりは?」
「Oシグナルと呼ばれているアンテナのようなものです。理論上、数百キロ先のあらゆる電波を受信出来るそうで特異災害対策機動部二課との通信もこれで感知してやり取りをしています」
「立花響の骨格はどのような素材が…」
「所謂、特殊金属というやつですね。ショッカーが開発した剛性と柔軟性を併せ持つ軽合金製の人口骨により体を作り通常の人間の数十倍の力を出せる人工筋肉によって戦闘を可能にしています」
モニターには響と怪人の戦う場面が映り、響が複数の戦闘員を倒す場面で止まる。
更に響の外骨格がズームで映りメーターのようなものまで出て来る。今まで調査しようにもお手上げ状態だった響の体の事がウェル博士により次々と明らかになる。
「…革新的だ…」
「ショッカーはこんな技術まで…」
「この技術が有れば、義手や義足の完成度もより発展するぞ」
ウェル博士の説明に改めて自分達以上の技術を持つショッカーに驚く科学者や医者たち。
翼やクリスたちにはチンプンカンプンな内容であったが、技術の分かる科学者や医者にしてみれば響の体はまさに異端技術の塊であった。言うなれば響の体はショッカーの技術の塊なのだ。
しかし、そんな状況を面白く思わない人物がいる。響の親友、小日向未来だ。
未来はまるで、響を見世物にしてる気がして席から立ちあがりウェル博士に一つの質問をする。
「ウェル博士!」
「…何ですか?小日向未来さん」
「響を…響を元に戻す方法は無いんですか!?」
未来の質問に誰もが押し黙る。彼等としても立花響の体を戻せるのなら人間の体に戻してやりたい気持ちはある。しかし、科学者や医者どころか医療関係に疎い筈の弦十郎や翼にクリスも奥歯を噛みしめている。
「…ハッキリ言いましょう。不可能です」
ウェル博士はハッキリとした口調で不可能だと返事をする。未来も何となく分かってはいたが、ウェル博士にハッキリ言われ膝から崩れ落ちるように椅子へと座る。
「これを見なさい。主要な臓器は全て取り除かれ、あるのは心臓と脳だけだ。その脳に至っても幾つのか電子頭脳を取り付ける為に一部分が切り取られている。人間…いえ、生き物としての大事な部分が無くなり機械に置き換えられている。心臓に至っては立花響の能力を維持する為に少しですが強化されてます。君が神獣鏡で響くんの脳改造を解いたのも奇跡レベルなんですよ」
改造人間である響の体は、死神博士にそうとう弄られていた。それこそ元に戻るのは不可能な程に。
幾ら、ウェル博士が生化学や生改造学に精通していようとこればかりは最早どうしようもなかった。それを聞いた未来は口元を押さえ咽び泣きクリスが傍に座り介抱する。
結局この日はこれで終わりとなった。
「え~と、久しぶり皆」
「やっと来たか、立花」
「…まったく遅えよ」
翌日、マリアたちの独房から出された響は特異災害対策機動部二課仮設本部の潜水艦へと護送され弦十郎たちの前に居る。響と別れてから時間にすれば一週間も経っていないが久しぶりに響の顔を見られてホッとする翼とクリス。
尤も、響の復学にはもう少し時間が掛かるが、
その時、響の目が何時も通りの赤いシャツにネクタイを胸のポケットに入れた弦十郎の姿を見るが右の裾から腕が出てない事に気付く。二日程の入院で即指令室に来たことで他の職員も心配はしていた。
「師匠…その腕…」
「…油断しただけだ。気にするな」
そこで、初めて響は弦十郎が右腕を喪失してる事に気付いた。ソロモンの杖を投げた時は薄暗かった上に倒れた弦十郎が直ぐに医務室へと運ばれたからだ。余談ではあるが、翼とクリスも弦十郎が右腕を無くした事に最初は信じられない態度だった。
弦十郎の言葉に響は返事も出来ずただ頷くだけだった。
「…ただいま。未来」
「…お帰り、響」
翼とクリスと少し話し弦十郎ともやり取りした響は奥に居る未来に声をかける。お互い久しぶりな気持ちで会った事で二人に笑みが浮かぶが未来は先日のウェル博士の言葉に顔を伏せる。
「未来?」
「響くんが復帰する事になるが早速仕事だ」
未来の様子に響が声をかけるがそれを断つように弦十郎が喋る。響は未来を気にしつつも弦十郎の方を見直す。丁度、大型モニターに日本の地図が映り幾つかのポイントに矢印のような物が映っている。
「我々が間も無く国連直轄となり任務に入る事になるが、先に後顧の憂いを断たねばならん。現在、警察や公安が総動員してショッカーのアジトを制圧する予定となっている。俺達も怪人や最優先目標を叩く為に遊撃隊として同行する。残念だが響くんと翼にクリスくんはバラバラに動いて貰うことになる」
モニターに映る全ての矢印。そこにあるのはウェル博士が掴んだショッカーのアジトだ。政府はもう直ぐ国連直轄となる特異災害対策機動部二課を再編成する前に日本中にあるショッカーアジトを叩く気でいる。
とは言え、日本政府も中国の二の舞は御免である。だからこそ、響の釈放を急ぎ装者も同行しての制圧を目指している。本当なら監房に居るマリアたちにも手伝ってもらいたいのが日本政府の本音でもある。
「一斉に攻撃するつもりですか!?」
「無茶だ、アタシ等が居れば怪人とも十分戦えるけど、二十個以上のアジトの一斉攻撃なんて…」
中国の失態や怪人の強さを知っている翼とクリスが止めるよう言うが、日本政府には急がねばならない理由があった。
「…無茶は承知だ。だが、時間が無いんだ…これを見てくれ」
そう言って、翼とクリス、響は弦十郎から何枚かの書類を渡され目を通す。
「何だよコレ…毒ガス製造工場…ウラン貯蔵基地…ミサイル製造工場!?」
「…コパルト120による放射能爆弾!?…指令、これは!」
「ウェル博士が持ってきたデータチップを解析して出て来た情報だ。追い詰められたショッカーがなりふり構わず使えば大惨事だ」
ウェル博士が奪取したショッカーのデータで日本にあるショッカーアジトの場所はだいたい分かった。しかし、それと同時にショッカーが準備している恐ろしい作戦も政府は掴み先手を打とうとしていたのだ。
これらを見せられた翼やクリスに響は作戦を断る手立てはなかった。
特異災害対策機動部二課にとって中国は改造人間を作ってないショッカーみたいなものと思ってます。
シンフォギアは米帝やバルベルデ以外、あまり海外の話をしないので中国は完全に想像でしかありません。…北と合体してる気がするのは気のせいか?
仮面ライダーSPIRITSの9巻でも言われてますが飛び道具は威嚇にしかならず怪人を倒すには徹甲弾クラスか、SPIRITSでも書かれていた怪人用の装備が無いと辛いです。
中国の失敗を見ても日本政府は制圧作戦を実行します。ウェル博士の情報でのんびりしてられなく、一つ一つ攻略していたら時間が足りないので。その所為で翼たちは酷使されるのが決定。
響の体のスペックも一部判明。零した水が元に戻らないように響の体も…
次回から、シンフォギアXDの翳り裂く閃光編に入ります。