XDのレベル60越えのノイズが硬い…ボスはもっと硬い。
72話 もう一人の自分?
フロンティアでの死神博士との死闘、ショッカーの存在を世間にばらされ早や一週間。
流れ星作戦により破壊された街も少しづつだが復興に向けて動きつつある。そんな人々に気付かれぬよう動く政府の人間達。
幾つもの自衛隊の輸送トラックが道を走る。大体の人間は何処かの復興の手伝いにでも行ってるのだろうと疑問にも思わなかった。
「突入!!」
「イーッ!?」
絶妙にカモフラージュされた入り口を爆破して警官隊や自衛隊が雪崩れ込む。驚いた戦闘員が武器を持ち応戦するが狭い通路と人海戦術により押しつぶされ拘束されたり射殺され体が溶けていく。
現在、警察や公安に自衛隊はウェル博士の提供された情報により次々とショッカーのアジトを強襲して鎮圧している。危険な毒ガスに生物兵器、一般人の拉致など行うショッカーを政府が無視する事も出来ず、小さなアジトから次々と責めて陥落させている。
通常なら、そのアジトの防衛をしている怪人が相手をする処だが今は地獄大使による再編成の真っ最中であり、多くのアジトには怪人が居らず戦闘員だけの場合が多い。
戦闘員だけならば、警官隊や公安だけでも何とか鎮圧が出来る。中には脅迫する為に拉致された政治家や科学者の家族もいたが救出されている。
「〇〇博士、貴方を拘束します」
「政府がやっと動いてくれたか。しかし、私の娘が奴等に…」
「既に確保出来てます。貴方が無理矢理働かされていた事も、ご同行願います」
「…分かった」
多くの科学者は騙されていたり家族を人質にされ仕方なくショッカーに協力していた者達も多い。彼らは人質が救われた事を知れば喜んで投降していた。また、ノイズの出現により死んだとみなされていた民間人も多数保護する事になり一時期週刊誌を賑わすことになる。日本政府は順調にショッカーのアジトを次々と潰していた。
尤も、そんなアジトばかりではない。
「死ねぇ!殺人リング!!」
「うわあああ!?」
何人かの突入部隊が首にリングが巻かれ絞めつけられ倒れていく。彼らは必死に自身の首を絞めつける物を取ろうとするが次々と力尽きていく。彼らは不運にも怪人が居るアジトを強襲したのだ。そして、運の悪い事に怪人と交戦に入る。
地獄大使は、重要度の低いアジトには戦闘員しか配置しなかったが重要な物が保管されてるアジトには腕利きの怪人を配置させ防衛を任せていた。柿沼の奥地に作られたアジトもその一つだ。
「撃てぇ!撃てぇぇぇ!!」
自衛隊が距離を撮とって怪人に向けて銃で一斉射撃を行う。しかし、怪人は中国で見たようにいくら銃弾を浴びてもビクともしなかった。
その事に、全身魚のエラのような跡があり腹部の一部に何か細い物が蠢いている怪人が不敵に笑う。
「わざわざ柿沼のアジトをよく嗅ぎつけたな、人間ども!だがこのアジトはミミズ男である俺様が守っているのだ!大方、コバルト120で造ったコバルトミサイルでも嗅ぎつけたのだろうがお前達如きでは止める事は不可能だと知れぃ!!」
「コバルト120が此処に!?直ぐに装者を呼べ」
「了解!」
ミミズ男の発するコバルト120。従来の物より10倍の威力を持ち爆発時に放射能も通常の物より遥かに多い爆弾。ウェル博士の情報により日本政府が最優先で確保及び破棄を目指している危険物でもある。
「既にミサイルの製造は完了した。後は世界中に打ち上げるだけよ!」
死神博士が死亡した事により、なりふり構わなくなったショッカーは今まで凍結していた様々な作戦を動かす事を決定した。ミミズ男の言うコバルト120もその一つである。ミミズ男はコバルト120を使った核ミサイルを世界中に撃ち出して地球を放射能まみれにし人類を皆殺しにする「放射能作戦」の指揮もとっていた。
「何としても止めるんだ!」
「銃身が焼き付くまで撃ち尽くせぇぇ!!」
「アブアブアブッ!!」
ミミズ男によるショッカーの作戦を聞いた自衛隊はなんとか止めようと、弾丸を補充してまたミミズ男に撃ち込む。それだけではなく携帯用のバズーカなども撃ち込み爆発が起きる。
幾つもの爆発が起き、煙でミミズ男の姿が見えなくなる。その事で一旦撃つのを止める自衛隊だが誰も銃を下ろしていないし誰もが汗を流し煙を睨みつける。
「こそばゆいぞ人間ども!ミサイルの発射の邪魔などさせん!殺人リング!」
まだ燻ってる煙から怪人の声がすると共に何かが煙から飛び出す。それは一見紐のようにも見えたがそれは正確に自衛隊の下に飛び首にまで接近するとリングのようになって巻き付くと一気に締め付ける。
「グワッ!?」
「おい、しっかりしろ!!」
首を絞められた自衛隊や警官は藻掻くように暴れ、無事だった者が壁にしている場所から手を伸ばしてミミズ男の見えない位置まで移動させて仲間の首を絞めつけてる物を外そうとする。
しかし、どんなに力を入れても紐は取れずナイフも使って千切ろうとするがナイフが欠けてしまう。
「何なんだ、これは!!」
「…外れない!!」
どんなに引っ張ろうが引き千切ろうがビクともしないリング。遂には首を絞められた自衛隊や警官が泡を吹き顔を青白くさせ息を引き取る。
「死んだ。殺されたぞ!」
「並みの銃弾じゃ傷一つつかねえ!」
「お前達も間も無く、そいつ等の後を追わせてやる。安心して死ねぇ!!」
そう言って、ミミズ男は物陰に隠れている自衛隊や警官を始末する為に彼らの隠れている物陰へと迫る。彼らも黙って殺される気はなく残った銃弾を浴びせ足止めを試みるが怯みもせず迫るミミズ男。
そして、とうとう隠れていた自衛隊や警官隊の前に立つミミズ男。
「気が済んだか?死ねぇ!」
今まさに、残った警官隊や自衛隊員を殺そうと鞭のような左手を振りかざすミミズ男。自衛隊がもう駄目かと諦めかけたその時、
「させるか!!」
少女の声と共に幾つもの弾幕がミミズ男を襲う。また警官隊や自衛隊の攻撃かと思ったミミズ男だがその弾丸は今までの物より遥かに威力が高い。そしてその弾丸は自衛隊や警官隊には一切当たらず全てがミミズ男へと命中する。その事に驚き警官隊や自衛隊と距離を取るミミズ男。
そして、警官隊とミミズ男の間に着地する一人の少女。両腕には二門のガトリング砲を持っている。
「待たせた、後はアタシに任せな!」
「貴様、裏切者の装者の一人。雪音クリスか!その首、ミミズ男が貰い受ける!!」
自衛隊の要請にクリスが救援に訪れミミズ男と対峙する。怪人の相手を出来るのは現状、シンフォギア装者の翼や響たちくらいしかいない。しかし、特異災害対策機動部二課はマリアたちを助っ人に出来ず三人だけで事に当たっている。だからこそ、仮設本部が潜水艦と言う点を利用し日本海付近を潜水して自衛隊や警官隊が相手に出来ない怪人が居る場合要請されれば直ぐにでも駆け付けるよう準備をしていた。
三人とも戦闘が終われば直ぐに他からの救援要請が来る為あまり休めないが、日本からショッカーを追い出す為に頑張っている。
尤も、戦ってるのは彼女たちだけではない。
日本一の高さを誇る富士山。冬になれば見事な白化粧を見せ心を癒してくれる山。
まさに日本の宝と言うべき富士山にもショッカーがアジトを造り世界征服の為の準備をしていた。しかし、そのアジトに襲撃する者がいる。
「イーッ!」
人影と交差した戦闘員の首が落ちると共に体も崩れ落ち緑の泡となって消滅する。既に何人もの戦闘員が敗れたが、未だに多くの戦闘員が一人の人物を囲み続ける。
「全員だ!全員でかかれぇ!!相手はたった一人の爺だぞ!!」
隊長らしき戦闘員が支持をして取り囲んでいた戦闘員が飛び掛かるが、老人は次々と持っていた刀で迎撃をして戦闘員は指一本老人に触れる事も出来ず緑色の泡となり消滅する。
「…美しき富士にこのような罰当たりな物を作りをって、貴様たちの首だけでは足りぬとしれぇ!」
「ほざけぇ!くたばり損ないの爺が、死ねぇ!!」
戦闘員が必死に老人へと迫り攻撃するが、老人は本当に老人なのかと疑うレベルの動きで回避し逆に攻撃してくる戦闘員を次々と切り捨てる。縦や横に切られた戦闘員は断末魔を上げ倒れて緑色の泡となる。
「イーッ!?」
最後の戦闘員が悲鳴を上げ倒れる。そのまま泡となって消え、老人が暫く警戒をするが増援は来そうにない。その時、何人かの黒服が現れ老人の下へと急ぐ。
「お怪我はありませんか!?」
「こんな雑魚どもに後れをとる程耄碌はしとらん。こんな施設、破壊して瓦礫に埋めてしまえ」
言葉遣いからして黒服たちは老人の部下のようだ。
黒服たちの言葉にそう返事をした老人はその場を後にする。
「…ふん、ついでに愚息の腕の仇も取れたろう」
老人…風鳴訃堂は、通路を歩き自宅へと戻る。
短期間の内にショッカーのアジトの全てを制圧など特異災害対策機動部二課の装者では到底足りない人手だった。ショッカーとしても黙って制圧される気などないのは明白だ。それゆえに護国の防人である風鳴の当主、風鳴訃堂にまでショッカーアジトの制圧を要請される事になった。
しかし、特異災害対策機動部二課を国連に派遣させる事を聞いた訃堂はこれに難色を示す。訃堂にとってこの行為は大切に育てた組織を国連に売り渡したかの如く所業である。関わった政治家を文字通り切り捨ててやろうかとご立腹だった。
そこで、政府は風鳴弦十郎や翼たちの説得、ショッカーが日本の富士にアジトを造っていた事を教えて説得し富士の巨大な要塞のみ手伝う事を了承した。
こうしてショッカーは日本にあるアジトは次々と陥落していく。
「指令、富士にあったショッカーアジトが陥落!」
「やってくれたか、親父…」
日本海側を潜航する特異災害対策機動部二課仮設本部の潜水艦の指令室より次々と情報が舞う。○○アジトの陥落や○○アジトに怪人出現など引っ切り無しだ。
指令室では、装者の中継地点としての役目がある。何しろウェル博士が入手した情報では北海道から九州までのアジトが確認され日本政府はそれらを一斉に摘発し、自衛隊や警官隊を送り込んだのだ。その結果、どのアジトに怪人がいるのか不明なのだ。其処で潜水艦として特異災害対策機動部二課仮設本部に白羽の矢が立つ。自衛隊や警官隊の要請があれば直ぐに駆け付けれるように日本海側を潜航しているのだ。
「クリスちゃんより入電!…ミミズ男の撃破に成功!爆弾処理班が放射能爆弾を積んだミサイルの解体に入りました!」
あおいの報告に指令室内は沸き立つ。弦十郎も安堵の表情をしている。
「懸念されていた物の一つが片付いたな」
放射能爆弾は日本政府でも最も危険視されていた兵器だ。世界を十分に放射能で満たされては人間どころか殆どの生き物は生きれる訳が無い。だからこそ、重要な攻略といえたのだ。
それからも、指令室には次々と「攻略完了」の報告が舞い込む。しかし、中には自爆装置が作動した事により攻略を中止して退避する事になるアジトもあった。
「報告にあった半分近くのアジトは陥落したか」
「順調といえますが、やはり犠牲は出てますね」
「…大幹部の地獄大使の行方も分かっていません」
一見、順調のように見えるが自衛隊や警官隊の犠牲が出ている。怪人が殺したのもそうだが、戦闘員との戦闘やアジト内にある罠による犠牲も多い。そして、なによりショッカー最後の大幹部である地獄大使の行方がまったく掴めないのだ。
出来る事なら特異災害対策機動部二課としても地獄大使の捕縛或いは逮捕しておきたいのが本音である。
「…基地の攻略に参加していた自衛隊から緊急入電!」
その時、一本の通信が入りオペレーターの朔也から報告が入りモニターに作戦に参加していた自衛隊の隊員が映る。
「何かあったのか!…まさか怪人か!?」
『いえ、怪人ならオレンジ色のシンフォギアを使っていた少女が倒しました。問題は制圧した後です』
この部隊には怪人が出た事で響が派遣され、アジトの守備をしていた怪人を倒す事に成功し制圧した。そこまでは良かったのだがアジトの通信機が鳴ったのだ。
『こちら、地獄大使配下。これよりスーパー破壊光線砲による攻撃により日本を壊滅させる。繰り返す、これよりスーパー破壊光線砲による攻撃により日本を壊滅させる。衝撃にそなえよ!衝撃にそなえよ!』
「スーパー破壊光線砲!?そんな物使わないで!」
『…その声、立花響か。如何やら其処も制圧したようだが、まぁいい。ショッカーの開発したスーパー破壊光線砲の威力を教えてやる』
「…途中で地獄大使の声に代わって、その言葉を聞いて響くんが飛び出したのか!?」
『はい…ご丁寧に通信機から地図も出て居ました』
要は地獄大使の通信を聞いた響が、その作戦を阻止する為に地獄大使の居るアジトに向かった。それも自衛隊が止める間も無くだ。響の勝手な行動に自衛隊の一人が特異災害対策機動部二課の指令室に報告して判明した。
「響くんめ…」
「相変わらず思いっきりの良い子ですね」
響の勝手な行いに頭を抱える弦十郎にあおいが思わず呟く。正義感があるのはいいが独断で動かれるのは困るし政府上層部も嫌がる。
「それにしてもスーパー破壊光線砲か…」
「…一見、子供の考えたようなネーミングですけど」
「相手はショッカー、ただのハッタリでもないかと」
スーパー破壊光線砲という大層な名に呆れつつも寒気を感じる一同。名前はシンプルだが中身は恐ろしい物が多いのもまたショッカーだ。
「翼とクリスくんにも連絡を」
兎に角、手の空いたクリスと帰還中の翼に響の援護を命令しようとした時、異変が起こる。
「!?指令、東京を中心に関東で震度四の地震が発生!」
「こんな時に地震だと!?」
「震源地は…東京湾です!!」
「おい、何だよありゃ!?」
「でけえのが浮かんできたぞ!!」
東京湾近郊。魚を釣りに来ていたり偶々観光で訪れていた人間達が地震により動かないでいたが突如海面から巨大な何かが出て来ると共に声を出して持っていたカメラで映像を撮る。
それは、大岩と言うにはあまりにも大きく、コンクリートで造られた団地上の建造物。そして一際目を引くのは山のような大きさの岩に象られた巨大な鷲の彫刻。
「すげぇ!何だよあれ!」
「もしかして古代遺跡とか!」
道の建造物に興奮冷めやらない人々。遠くの方でパトカーのサイレンが聞こえてくるが彼らにはどうでもよく手に持つ携帯のカメラでその建造物を映してネットに拡散している。
その時、建造物の外周から明かりが見えると共に彼らは炎の中に消えた。
「ウジ虫どもの排除は済んだか?」
「イーッ!設置した大砲で砲撃しました!生存者はなし!」
戦闘員の報告を聞いて笑みを浮かべる地獄大使。野次馬をしていた人間達を排除した事に地獄大使は満足気である。
此処こそ、東京湾に現れた巨大な建造物の内部であり、ショッカーの最大のアジトでもある。
「スーパー破壊光線砲のエネルギーチャージは!?」
「既に90%突破!何時でも撃てます!!」
「よし、砲撃準備!!」
作業をしていた戦闘員の報告を聞いた地獄大使の掛け声にアジトの地表付近にある団地が幾つも罅割れ崩れていく。土煙の舞う中、巨大な影が現れる。煙が晴れていく内にそれが巨大な砲身だということが分かる。
そして、その方針は東京に向けられている。
戦闘員達が最終チェックをし忙しなく移動する。砲身の先も徐々にではあるが光りだし発射の準備が整いつつある。
その時、一筋の光が東京から出てアジトに接近する。
「来たか、大砲で撃ち落とせ!!」
アジトの外周部分に取り付けられた大砲が一斉に光りに向かって撃ち出される。しかし撃ち出された弾は悉くが避けられて偶に爆発するが光りを撃ち落とす事は出来なかった。
「イーッ!?」
その光りはアジトの表面に辿り着くと武装した戦闘員を何人も蹴散らしやっと動きを止める。その光りの人物こそ立花響だった。
「間に合った?スーパー破壊光線砲は…あれかも!」
周囲を探る響は直ぐにスーパー破壊光線砲の砲身を見つけ壊そうとシンフォギアを掲げるが、
『止めて置け、立花響!』
「地獄大使!?止める訳ない、あんなのを東京に撃ち込ませはしない!」
『スーパー破壊光線砲のエネルギーはカ・ディンギルの比ではない。破壊すれば東京は丸ごと吹き飛ぶ!』
「!?」
地獄大使の強制通信に固まる響。ハッタリかも知れないが無理に破壊すれば東京は跡形もなく吹き飛ぶ。せっかく復興しかけている街の人間が大勢死んでしまう。そう考えただけで響の体が震えてしまう。
『分かったようだな。貴様は其処でスーパー破壊光線砲の威力を指を咥えて見えるがいい!!』
地獄大使の笑い声とともに通信が切れる。
既にスーパー破壊光線砲の発射は秒読みに入った。破壊も出来ない、方向転換も響一人では出来そうにない。響の頭に絶望という言葉が浮かび上がる。
━━━無理にスーパー破壊光線砲を破壊しても東京が…。翼さんやクリスちゃんが着く頃には多分もう撃たれてる。私一人で止めないと、でもどうすれば…カ・ディンギル?…そうだ、クリスちゃんの時みたいに!
一つのアイデアが浮かんだ響は腰のブースターと足のジャッキを使い無理矢理飛ぶと砲身の前に行く。
「衛星のからの映像出ました!」
同じ頃、特異災害対策機動部二課の指令室でも東京湾の異変の情報が舞い込み現在の東京湾の様子を衛星からの映像で知る事になる。
「!これは……」
モニターを見た弦十郎は思わず呟き、他の職員も絶句する。
映像には東京湾に小島並みの大きさの陸が浮かび地表にある団地のような建物が崩落して、そこから巨大な砲身が飛び出し東京に向けられている。
「…確認しましたが、ウェル博士が入手したデータにこんな要塞は存在しません!」
「ウェル博士も把握していないアジトか!?」
幾ら、ウェル博士でもショッカーのトップクラスのデータを入手する事は出来なかった。その証拠にショッカーの本拠地の場所も入手する事は出来ていない。つまりは、あの東京湾の要塞もショッカーのトップシークレットということだ。
「…高エネルギーを探知!」
「これは…カ・ディンギルに匹敵するエネルギーです!」
「カ・ディンギルだと!?あれが、スーパー破壊光線砲なのか!?」
嘗て、フィーネが月を穿つ為に造った兵器。それと同等に武器が東京に向けられている。阻止しようにも自分達は日本海側に居て止めることなど実質不可能。翼やクリスを向かわせようにも仮設本部に帰る途中。現場へと単身向かった響しか居ない。
「…ガングニールの反応確認!響ちゃんが砲身の前に移動しました!」
その時、カメラが響が腰のブースターと足のジャッキを使って無理矢理飛ぶのを確認する。
「響くん?何をするつもりだ?」
その様子を見ていた弦十郎が思わず呟く。彼らから見てもスーパー破壊光線砲のチャージは完了し何時でも発射できる。そんな砲身の前に響は立ち塞がったのだ。
「!響ちゃん!?」
「絶唱を使ってスーパー破壊光線砲の砲撃を止める気!?」
「無茶だ、響くん!幾ら絶唱でも響くん一人では…!」
響が歌っているのは間違いなく絶唱だった。
絶唱の歌が指令室にも流れ響の狙いに気付いた弦十郎たちが叫ぶ様にいう。幾ら絶唱とはいえ響一人の絶唱ではあのエネルギーを受け切るのは不可能に近い。カ・ディンギルの時でさえクリスが命がけの絶唱で月への直撃を防ぐのが精一杯だった。
「貴様一人の絶唱で防げると思うか!?無駄な抵抗をしおって!まぁいい、絶唱諸共この世から消え失せろ!!」
アジト内にある指令室にて響が絶唱を歌ってる事に気付き響諸共日本を焼き払おうとする地獄大使。
砲身の先から光りが溢れ出し響へと迫る。
━━━ごめんなさい、師匠。無茶だって事は分かっている、それでも私は守りたい…皆を。あの時、クリスちゃんも命懸けで月の破壊を止めたんだ。私だって!!
響の脳裏にカ・ディンギル攻防戦でのクリスの行動を思い出す。自分の出したミサイルに乗って大気圏付近でカ・ディンギルの射線で絶唱を歌い月への砲撃を逸らしたあの動きを。
他者の絶唱を束ねる事が出来る響も今回は一人。それでも、あの時のクリスの行動を真似してスーパー破壊光線砲の一撃を止めようと響は試みる。
絶唱を歌い切った響のシンフォギアにエネルギーが高まる。
両手の籠手部分を右手に集約して一つの形にした響はスーパー破壊光線砲の砲身を睨みつけ、間もなく膨大なエネルギーが地震へと津波のようにせまる。
「これが私の…ガングニールだあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
その膨大なエネルギーを殴りつける響。スーパー破壊光線砲から撃たれた膨大なエネルギーは拡散して線香花火のように散らばり、響も腰のブースターを吹かし押し出されないようにしてる。
「ちっ、スーパー破壊光線砲すら止めると言うのか!?出力を最大に上げろ!」
「し、しかしこれ以上となると二度目を撃つのに時間が掛かります!!」
「構わん!今は立花響の排除を優先させろ!!」
地獄大使の命令に操作していた戦闘員はスーパー破壊光線砲の出力を最大に上げる。それと同時に周りにある計器類が悲鳴を上げるが地獄大使はそれを無視する。
その甲斐あってスーパー破壊光線砲のエネルギーは更に上がり、その威力により響も押され出す。
「ぐっ……負けない…絶対に……生きる事を諦めない!!」
嘗ての恩人の言葉を口にした響は自身のシンフォギアが輝くと同時に押されていたスーパー破壊光線砲の砲撃に耐え逆に前へと進む。
「何だと、これだけのエネルギーで消し飛ばんとは…まさかエクスドライブ!?」
「…立花響から探知したエネルギーを照合したところエクスドライブにはなっておりません!」
本来なら、単独の立花響なら消し炭になる程のエネルギーを受け切る響に地獄大使は「エクスドライブ」かと警戒するが戦闘員の報告により響はエクスドライブではない事を知る。それでも単身、スーパー破壊光線砲の砲撃を拳で拡散し続ける響の始末を考える地獄大使。
「緊急事態です、地獄大使!!」
その時、エネルギーの計器を見ていた戦闘員が慌てて地獄大使に報告する。
本来なら、響の始末を考えて居た地獄大使だったが慌てる戦闘員の様子に只事でないと判断して戦闘員の下へ赴く。
「何事だ?」
「アジト周辺の空間に歪みが発生しています!恐らくはスーパー破壊光線砲のエネルギーと立花響のエネルギーがぶつかった所為かと!」
「何だと?ノイズでも出て来るというのか?」
フロンティアの戦いの後にノイズが出て来る事が皆無となる。死神博士に投げつけられたソロモンの杖でバビロニアの宝物庫が閉じた所為と思われる。日本政府もその情報を得て今回のアジトの一斉検挙に乗り出したのだ。
「いえ、これはまるで…」
そこまで戦闘員が言った時だった。アジト内にある警報が鳴り響き、響を中心とした虹色に輝くエネルギーが辺りを包みだす。それは壁の向こうだろうと四方を囲まれていようとお構いなくアジトまでも飲み込み中に居た地獄大使や戦闘員も含め、全てを虹色のエネルギーが包み込む。
そして、光りが治まると
「き…消えた?」
「響くんは!?響くんの反応は!?」
「わ…分かりません。完全にロストしました…」
モニターには巨大なショッカーアジトも、響も影も形も消え海しかなかった。
後に、自衛隊や海上警備隊が東京湾を探したが響の姿は何処にも発見出来なかった。それどころかあれ程巨大なショッカーアジトの痕跡すら消えてしまっていた。
「はあ~海を見ても空しいだけか」
深夜、少女が海岸沿いで海を見ている。暗い中、灰色のパーカーを来た少女は気晴らしに夜の海を見に来ていた。単なる暇潰しでしかなかったが、
━━━あの妙な揺れ、ノイズが出たのかと思ったけど一匹も見ないし警報も鳴らない。外れかな…
少女は一人でノイズと戦ている。自分から全てを奪ったノイズが憎くて仕方なかった。その所為で政府の機関に睨まれているが、まだ一触即発という空気ではないのが少女としてはありがたい。
「…寮に戻ろ」
暫く、暗い海を見ていた少女が踵を返そうとする。幸い、翌日は休日で学園は休みの為、寝坊と心配はないが、生活のリズムを崩すのはよくないと考える少女。そのまま自分の寮に戻ろうとした時、視界の隅に何かを見つけた。
「え…」
一瞬、見間違いかとも考えた少女だが胸の鼓動により海岸へと降りて浜を走る。そして、視界の隅にとらえていた物をハッキリと見る。
「これって…」
その正体は、浜に打ち上げられていた立花響だった。ショッカーとのスーパー破壊光線砲との攻防で力尽き海に落ち浜辺に打ち上げられたのだ。
月明かりが浜辺を照らし響の傍に寄った少女にも明かりが当たり、少女の姿がハッキリと見える様になると深くかぶっていたフードを取る少女。その目には驚愕の色が見え隠れする。
「…
倒れてる響を見てそう呟く
結論、響先走る。
ミミズ男の殺人リングは仮面ライダーも苦戦したので死人が多いです。
怪人達が現れるとこき使われる装者たち。
尚、ショッカーにとって翼以外は全員裏切者扱いです。
東京湾に現れたアジトですが、新仮面ライダースピリッツ9巻にも出て来る首領が放棄して沈めたというショッカー最大のアジトです。
漫画で見る限り軍艦島をイメージしてもらえれば。