改造人間 立花響のシンフォギア   作:一種の信者

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一気に熱くなってパソコンが更に重くなった!


84話 驚異の幻影攻撃!? 海蛇男のプリズム・アイ

 

 

 

 

「海蛇男が雪音クリス及びマリア・カデンツァヴナ・イヴとの戦闘に入りました!」

「ハリネズラスが予定通り立花響二人に襲撃を行ないました!」

 

薄暗い部屋の中で戦闘員が幾つもの装置を操作する。

二つのモニターにはクリスとマリア、二人の立花響が映し出される。その両方ともただならぬ雰囲気が漏れている。

 

「フッ…予想より特異災害対策機動部二課の動きが早かったが…まぁ良かろう。生贄を調達する方法など腐るほどある。それにシンフォギア装者を片付ければ問題あるまい」

 

新しく造られたアジトにて、地獄大使は響達とクリス達の戦いを見物する。

どの怪人も更なる強化改造を受けた強豪だ。シンフォギア装者の小娘どもの抹殺など朝飯前だろうと判断する地獄大使。

 

「何より海蛇男には()()がある。小娘どもに敗れる道理はない」

 

そう言って地獄大使は横に目を向ける。其処には黒いガトリング砲にも見える装置が尖端の三つの光を交互に照らしている。

 

「時代が進み、より改良が加えられたプリズム・アイ。その力を身をもって思い知るがいい!」

 

地獄大使の表情からその装置への絶対の自信が伺える。

 

モニター内にて響達とクリスたちが動き出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ウルルルルルルル!死ねぃ、シンフォギア装者め!」

 

海蛇男の口から白いガスを噴き出す。そのガスは真っ直ぐマリア達へと向かうがマリアとクリスは何とか回避する。

 

「気を付けて、クリス!此奴のガスは人間を完全に溶かすわ!!」

「チラッと見えたから知ってる!!」

 

マリアの忠告にクリスはそう返事するとアームドギアを取り出しガトリング砲にして海蛇男に撃ち込む。

クリスのガトリング砲の弾は寸分狂わず全弾、海蛇男に命中する。しかし、

 

「どうした?今ので攻撃したつもりか?」

 

海蛇男の体には傷一つ付かなかった。

 

「嘘だろ、オイ!」

「耐久力は大型ノイズも超えているの!?」

 

先に戦った死神カメレオンもクリスのガトリングに多少のダメージはあったが、目の前の海蛇男には目立った傷も無くダメージすらない。

攻撃したクリスは勿論、海蛇男の耐久力に驚きを隠せないマリア。

 

「運転手が化け物になって女の子と戦い出したぞ!!」

「何がどうなってるのよ!」

「あの化け物、新しいノイズか!?」

 

突如、起こった戦闘に半ばパニックになる避難民たち。安全な場所にバスで送迎されると思えば変わった少女が運転手に問い詰め運転手が化け物になり取り囲んでいた自衛隊や黒服を白いガスで完全に溶かしてしまったのだ。まるでノイズのように、…いや、炭として残るノイズと比べても何も残さず溶かされ消滅した事で海蛇男への恐怖が勝る。

 

「彼女達の援護をするんだ!!」

「クソッ!誰か戦車砲でも持ってこい!」

 

混乱する彼らは右往左往するばかりで腰が抜けた者も多数いた。生き残った黒服や自衛隊員も何とかクリス達の援護をしようとするが手持ちの重火器では火力が足りないのかノイズ以上に効き目が薄い。

 

そして、それに気付くクリス。

 

「何してんだお前ら!早く逃げろ!」

「…悪いけどあなた達を守って戦えるほど相手は甘くないわ!…あなた達も!」

「「「ハイッ!!!」」」

 

クリスとマリアの声に避難民はやっと逃げ出す事を思い出す這ってでもこの場を離れようとする。

また、黒服や自衛隊員もマリアの気迫に援護を止め、避難民の誘導を図る。

そんな中、

 

 

 

 

 

「動け!動けよ!」

「まだかよ!」

「エンジンが掛かってるのに何で動かねえんだよ!!」

 

無人化したバスに何人もの人間が乗り込み運転席に男が座り動かそうとするがクラッチを上げようがペダルを踏もうがビクともしない。

彼らは、海蛇男が持ってきていたバスに乗って避難しようとしていたのだ。

 

「アイツ等…済まねえ、マリア!」

「…時間稼ぎ位してやるわよ!」

 

クリスが海蛇男との戦闘を一時離脱する事にマリアは即座にクリスの目的が分かり頷く。

戦闘を離れたクリスは急ぎバスの方に向かい開いている出入口に向かって叫ぶ。

 

「お前ら早く逃げろよ!!」

 

クリスの声がバスの中に響くと同時に何人もの目線がクリスに向かう。

その目は怯えや焦り怒りも含んでいるがクリスは動じる事無く口を開く。

 

「このバスはショッカーが用意した物だ!危ないから急いで離れろ!」

「お…お袋が足を挫いて歩けねえんだよ!!」

「家は爺さんの持病で…」

 

バスに乗った避難民が次々とバスに乗った理由を話す。大体が逃げる途中、足を挫いたり体力の低い爺婆だったり子供を担いだ女性が多かった。

そう言われたクリスは周囲を見回した。

すると、このバスの様に少数の人間が別のバスを使って逃げようと乗り込んでいたのだ。

これにはクリスも頭を抱えた。

 

「いいから逃げろ!歩けないなら這ってでも進め!その方が早い!」

「は、はい!」

 

クリスの迫力にバスに乗っていた者達もそう返事をするしかなかった。自衛隊や黒服もバスに乗り込み負傷した避難民の手助けをして、全員がバスを降りようとする。が、

 

ガシャコン!

 

「おい、何してるんだよ!!」

「し…知らない!勝手に閉まったんだ!」

 

バスのドアが閉じ誰も外に出る事は出来なかった。クリスが力任せに引っ張るがドアはビクともしない。

それどころか、閉じ込められた避難民もドアを抉じ開け様とするが何人もの大の男が襲うが引っ張ろうがビクともせず、ならばとバスの窓を開けて逃げようとするが、どの窓も開くことは無かった。

ならばと自衛隊員が銃を使って窓ガラスを破ろうとするが、叩きつけようがヒビ一つ入らず、銃を撃てば跳弾して負傷する始末である。避難を誘導していた自衛隊や黒服もバスの扉に力を入れるが、やはりビクともしない。

 

「一体、どうなって…「馬鹿め、まんまと網の中に入るとはな!」!」

 

にっちもさっちもいかず如何すればいいか考えて居たクリスの耳にあの怪人の声が聞こえ振り向く。

其処には、マリアを軽くいなしつつ横目で此方を見ていた海蛇男が笑っていた。

 

「てめー…何をしやがった!!」

 

「ウルルルルルルル!そのバスは元々、人間どもを捕獲する為に作られた。当然、逃亡できない様に設計されている。後はだ!」

 

海蛇男が拳でマリアの腹に一撃を加える。衝撃によりマリアは腹を押さえて後ずさる。

そして、バスの方を見て指を鳴らした。

 

「何だ!?エアコンから白い煙が出てるぞ!」

「く…苦しい!」

 

「なっ!?」

 

すると、バスの内部にあるエアコンからガスが出てドンドン充満していく。避難民も自衛隊も黒服も苦しそうに窓を開けようとするが、やはり開く気配はしなかった。

直ぐに海蛇男を睨みつけるクリス。

 

「何をするつもりだ、お前!」

 

「言った筈だ、攫えんのならいらんとな。お前達は人間どもが死んでいくのを見物するがいい!!」

 

「「!?」」

 

その言葉に呆気に取られるクリスとマリア。

避難民たちを攫う事が目的だったが、自分達が阻止した事でアッサリと皆殺しに目的を変更したのだ。

人間をムシケラ扱いするショッカーらしいと言えばらしいが。

 

「そんな事、させるかよ!」

 

クリスは直ぐにアームドギアをガトリング砲にしてバスのドア部分を撃つ。

自衛隊や黒服も急ぎ退避した後、クリスの弾丸はドアに直撃する。しかし、

 

「!」

「無傷ですって!?」

 

クリスのガトリングの直撃を受けたドアは傷一つなく、避難民や自衛隊と黒服を閉じ込めて居る。

 

「無駄な事を!そのバスはショッカーがより改造を施し並みの装甲車すら圧倒できる堅牢さなのだ!貴様の豆鉄砲なんか効くものか!」

 

「!ならっ!」

 

CUT IN CUT OUT

 

ガトリング砲が駄目なら腰から小型ミサイルポッドを出して一斉にドアに向かってミサイルを発射する。

正直、生身の人間が閉じ込められた場所に撃つには躊躇われるが、このままでは毒ガスで死ぬ以上、クリスに選ぶ余裕もない。

ミサイルがバスのドア部分に直撃し爆発音と爆炎が上がる。これ程の爆発ならとクリスは考えたが、

 

「…」

「…マジかよ」

 

クリスとマリアの目は少し煤けたバスの開閉ドアが映るだけで閉じたままだった。

クリスの火力も通用しない事に絶望を覚えるマリア。そうこうしてる内にバスに乗っていた避難民たちは次々と倒れ、自衛隊員が持っていたガスマスクを子供に当てたまま死に、子供の方もマスクがボロボロと崩れ…

バスの中に居た人間達は全滅し、先の自衛隊や黒服と同じ運命を辿った。

窓側からしか見えなかったマリア達だが茫然と見るしか出来ず立ちすくんでいる。

 

「ウルルルルルルル!見たか!これぞショッカーの技術の結晶よ、貴様たち程度ではバスの一台すら破壊出来んのだ!!」

 

海蛇男の言葉にクリスとマリアが奥歯を噛み締める。

民間人をここまでアッサリ殺すショッカーもそうだったが、クリスの攻撃が悉く意味をなさなかった事にショックでもある。だが、何よりのショックだったのは目の前の人間を救えなかった自分達の無力さもあった。。

 

「…ちくしょう」

「…クリス、今は生き残った人達の事を考えなさい」

 

せめて、自衛隊や黒服が誘導して足でこの場を離れようとしている生き残りが無事に逃げ出せる事を願うしかない。

そう考えたマリアだが、避難民の誘導先に爆発が起きた。

何人もの人間が宙を舞い、阿鼻叫喚の悲鳴がクリスとマリアの耳にも入る。

 

「!一体何が…」

「見て、クリス!」

 

突然の事に茫然とするクリスだが、マリアの声に反応してマリアの言った方を見る。

 

「お前は…蛾野郎!」

 

「ドクガンダーだ、いい機会だ雪音クリス。お前を殺してやる!!」

「待て、ドクガンダー。二匹とも俺の獲物だぞ!」

「早い者勝ちだ!」

 

海蛇男の抗議にドクガンダーはそう言い放ち宙を飛んでいた。

 

その直後にバスの上に飛び降りたドクガンダーを見つけたが、問答無用でクリスを攻撃する。指からのロケット弾を何とか避けるクリスは、反撃でガトリング砲を撃つ。

 

「クッ…海蛇男だけでも苦戦してるのに!」

 

たった一人の怪人にも手古摺っている現状、ドクガンダーの参戦は二人にとってかなり厳しいと言える。

現にクリスはドクガンダーの空中からのロケット弾を避けるので一杯一杯になりつつある。

こうなれば、自分達の切り札を切るべきかと考えたマリアは胸元のシンフォギアのコアを握る。

 

「チッ!ドクガンダーめ、人の獲物を横取りするとはな。こうなれば早々に決着をつけてやろう!マリア・カデンツァヴナ・イヴ、俺の力を見せてやる!!」

 

だが、それよりも早く海蛇男は首に巻いている蛇をマリアの目線に合わせ光らせた。

 

 

 

 

 

 

 

「どうした?雪音クリス。自慢の火力は如何した!?」

 

「クソっ!ちょこまかと…」

 

ドクガンダーを相手にしているクリスは苦戦を強いられていた。

クリスとて今まで多くの空を飛びノイズや並行世界の敵と戦って来た。ドクガンダーの飛行速度はそれほど早いというものでもない。だが、ドクガンダーは今までクリスが体験した事のない攻撃や動きでクリスを惑わせていた。

 

大型ミサイルを撃ってもドクガンダーのロケット弾で相殺され、ガトリング砲の弾は避けられ小型のミサイルもドクガンダーを倒せる程の威力はない。

クリスが一旦、マリアと合流するべきかと考えた。

 

「キャアアアアアアアア!!」

「! マリア!」

 

マリアの悲鳴が聞こえ、クリスが声のした方を見る。

其処には海蛇男の前で頭を押さえて蹲っている。急いでマリアの救援に行こうとする。

 

「ウルルルルルルル!!雪音クリスか。丁度いい、お前も俺様のプリズム・アイの威力を見せてやる!!」

 

「なっ!」

 

次の瞬間にはクリスの目が海蛇男の首に巻いている蛇の目の光を見てしまった。

直後にクリスの視界は周りの風景が居分を中心に回転し出し速度が上がっていく。

 

「な…何だこれは!?」

 

いきなりの事にクリスが焦る。何とか態勢を維持しようとするがクリスの足元はフラつき三半規管が悲鳴を上げ明後日の方向にガトリング砲を撃ってしまう。クリスは完全に自分の場所すら把握出来ずにいる。

 

「見たか?これがショッカーが開発していたプリズム・アイだ。もうお前達は逃げる事も出来ん!」

 

プリズム・アイ。

ショッカーが開発した装置であり、風景を操り人間を混乱させる物である。首に巻いている蛇の目の光を見せ海蛇男はクリスとマリアの死角を奪いまるで自分が高速回転してるかの如く風景を見せ三半規管を狂わせ二人に眩暈を起こさせたのだ。

ショッカーはこの装置を使い世界を大混乱にさせる計画を立てていた。

 

「目が…」

「クソ…方向感覚が狂う…」

 

とうとうクリスも立っていられなく腰を地面に付けて周りの風景を見ない様にした。目に入る木や山が頭の中で回転するので苦肉の策でしかなかった。

だが、これでは恰好の的にしかならない。

 

そこへ途中で獲物に逃げられたドクガンダーが海蛇男の横に立つ。

 

「よくやった、海蛇男。これで労せずシンフォギア装者を抹殺出来る」

 

そう言い終えるとドクガンダーは両腕の指をクリスとマリアに向ける。今なら楽に二人を殺せると判断したからだ。二人の絶体絶命かと思われたその時、

 

「待て、ドクガンダー」

「…何だ、まだ獲物を横取りするなと言うつもりか?」

 

ドクガンダーの片手を抑える海蛇男。

止めを邪魔されたドクガンダーが愚痴っぽくそう言う。一応、ショッカー内でも仲間殺しはご法度ではあるが、組織を裏切った場合は当てはまらない。

ドクガンダーから一触即発の緊迫感が出た時、海蛇男が続きを喋る。

 

「そうじゃない。俺にいいアイデアがある、それにアッサリ殺しては面白くなかろう」

「いいアイデア?」

「俺のプリズム・アイの更なる能力を見せてやる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「遅くなってしまったが二人は無事か!?」

 

ノイズの殲滅にやっと終わった翼が急ぎクリスとマリアの下に戻っている。

報告通りノイズの数は其処まで多くは無かったが一人で相手をするには時間が掛かる程ではあった。つくづく、翼は並行世界から来たクリスとマリアの有難みを痛感する。

 

━━━奏が生きていてくれていたら…よそう、今は一刻でもノイズを打倒しショッカーを殲滅する事を優先しよう

 

翼の脳裏に嘗てのパートナーであり、心強いシンフォギア装者だった赤毛の少女を思い出す。

彼女が死んで落ちこんだりもしたが今までは吹っ切れていたと思っていた。

しかし、並行世界から来たというクリスとマリアの共闘で翼が嘗ての相棒を懐かしむには十分過ぎた。

 

翼の前方で爆発が何度も起こり戦闘の激しさを実感し急いで現場に行く。

 

━━━あの爆発!余程の相手か、あのカミキリキッドでも出たのか!?

 

少し離れているが本部との連絡は未だに取れず現状どうなってるのかも分からない。

そんな翼だが協力者を放置して撤退など考えても居ない。翼の脳裏に「常在戦場」という言葉が過る。

 

 

 

 

 

 

 

そして、現場に付いた翼だが

 

「なっ!」

 

現場を見た翼は絶句した。何故なら

 

「ハアアアアアア!」

「この野郎っ!!」

 

()()()がガトリング砲を撃ち()()()がそれを避けつつ蛇腹状にした短剣を振り()()()のガトリング砲の一門に巻き付けた後に破壊。

直後にアームドギアを再び握った()()()がボーガンで牽制した後に近づいて来た()()()の腹に蹴りを入れる。

 

翼の目には仲間同士である筈のクリスとマリアが互い同士で戦っていたのだ。

 

「この海蛇野郎っ!!」

「海蛇男!覚悟!」

 

更に二人の言葉に翼は混乱を加速させる。

お互いの事を海蛇男と呼び倒そうとしていたのだ。

 

━━━どちらかが裏切った訳ではない!?一体これは…!

 

其処で翼はバスの上に立ちクリスとマリアの戦いを文字通り高みの見物をしている海蛇男とドクガンダーの存在に気付いた。

 

━━━あれは、確かドクガンダー? 奴まで来てるとは…。二人が争ってる原因は奴等の所為か!?

 

「見たか? これが俺のプリズム・アイの更なる能力よ」

「仲間同士での殺し合いか、面白い」

 

クリスとマリアの戦いは海蛇男の仕業である。

より改良されたプリズム・アイの光を見てしまった二人の目には互いの姿が認識出来ないのだ。

 

━━━海蛇男の蛇が異様に伸びる!? これも能力か! マリアが蛾野郎の足止めをしてる内にアタシが…

 

━━━海蛇男に飛び道具が!? クリスがドクガンダーを倒すまで私が足止めを…

 

二人は目の前で戦う相手を海蛇男と思わされ、殺し合う。完全にショッカーの術中に嵌っていた。

クリスが腰パーツから幾つもの小型ミサイルを吐き出しマリアは蛇腹状の剣で叩き落す。

翼の目から見ても徐々に疲労が二人の体に溜まって来てるのが分かる。

 

「くっ!卑劣な!」

 

飛び上がった翼が足のブースターで加速し回転するとバスの上に乗っている高みの見物をする海蛇男に剣を振り下ろす。

 

「ふん、風鳴翼か。貴様の相手はもう少し後にしてやる。それともお前も幻影を見たいか?」

 

「!?」

 

しかし、海蛇男は翼の剣を難なく受け止めると一瞬だけ翼に視線を向けた後に首に巻いている蛇が剣を伝い翼の腕に絡みつく。

蛇は舌をチロチロ出した後にシャーと言う威嚇までして翼の額に汗が流れる。

そして、それを詰まらなそうに見るドクガンダー。

この時、翼は海蛇男が自分に歯牙にもかけない態度に悔しさを滲ませる。

 

━━━駄目だ! 私では海蛇男を倒せる程の腕はない。 あの二人の協力が無ければ…!

 

ある決心をした翼は海蛇男に捕まれた剣のアームドギアを解除し拘束から逃れると、そのままクリスとマリアの方に行く。

クリスとマリアは相変わらず互いに戦いミサイルや蛇腹状の剣が飛び交う。

 

「止めろっ!!」

「…アンタかアタシと一緒に海蛇野郎倒してくれるか!?」

「翼、アナタの力を私に貸てくれるかしら。それともクリスの方に援護に行ってくれる?」

 

二人を止めようと間に入る翼だが、二人の声に唇を噛みしめる。

何とか説得を試みようとした翼だが、クリスとマリアの目は尋常ではなく下手に止める事も不可能と悟ってしまう。

それでも、この世界では付き合いの短い二人だが何とか説得しようとする。

 

「二人共、止めるんだぁ! お前達は海蛇男の術中に…「させるかぁ!!」!?」

 

二人を説得しようとした翼だがそれよりも早く海蛇男が行動を起こした。

翼たちに向けて首に巻いてる蛇の顔を向けさせ目を光らせた。

二人を止める事に夢中になっていた翼はたまたま背中を向けていたがクリスとマリアの目には蛇が放つ光を見てしまう。

 

「一体何を…!」

 

一瞬、何をしたのか解らなかった翼だがクリスとマリアから漂う戦意に気付く。二人の翼を見る目が敵を見てる時の目になっていた。

 

「ドクガンダー!」

「翼に化けていたの!?」

「! ちがっ…」

 

クリスとマリアの口からドクガンダーの名前が出てパニックになる翼。

海蛇男は一瞬にして翼の姿をドクガンダーの幻影にしてしまったのだ。

 

「そら、互いに殺し合え! 殺し合って地獄に行くがいい!」

 

クリスの弾丸とミサイルが翼とマリアに発射され、マリアは蛇腹状の短剣で落としたりする中、クリスと翼にも攻撃を仕掛け、翼は避ける事に集中している。

経験の差か避けるので精一杯の翼だが頭の中ではこの状況の打開方を考えて居る。

 

━━━ 一時撤退するべきだろうか!? 駄目だ、私が離れてしまえば二人の殺し合いが再開してしまう。そうなればショッカーの思う壺だ。だが、この二人を正気に戻す方法なんて…

 

二人の幻影を解く方法。恐らくは元凶を叩くのが一番だと考える翼。しかし、直ぐに頭を振るう。

 

━━━私の渾身の一撃すら片手で防いだ海蛇男を私一人で倒せるのか? …無理だ、勝てる姿が想像できん

 

正直、翼には最早打つ手はない。海蛇男の力量を考えればクリスとマリアの協力は絶対と言えた。

翼が、何とかクリス達の攻撃を避けて打開策を考える。

 

「ええい、まどろっこしい! もういい面倒だ!」

 

だが、それよりも早く潰し合いを見るのに飽きた海蛇男が別の手に出る。

 

「走れ、スピードを上げてシンフォギア装者を轢き殺せっ!!」

 

その声と共に海蛇男の乗るバス以外のエンジンが掛かり無人のまま走行する。

誰も乗っていないのに自動で動くバスに翼は冷や汗を流した。

 

「そのバス…お前が動かしていたのか!?」

 

「その通りだ、貴様らはバスに潰されてしまえ!!」

 

数台のバスが自分に迫って来る事を確認する翼。海蛇男のいう通りスピードが上がり轢き殺そうと迫って来る。

辛うじて避けた後にアームドギアの剣を握り迎撃しようとするが剣が悉く弾かれてしまう。

 

「何だ、この硬さは!?」

 

「どうだ、ショッカーが改造した装甲バスは? 強度だけならば戦艦以上と言われている!」

 

海蛇男の言う通り翼のアームドギアではバスを破壊する事は出来ずにいる。ならばと、減速させようとタイヤを狙って攻撃するが、パンクもせずに走り回る結果だけ残った。

 

「ハア…ハア…」

 

何とかバスを避け続ける翼だが、段々と息が上がって来ており体力の限界が近い事が伺える。

それでも戦う姿勢を崩さない翼に海蛇男も感心の声を出す。

 

「貴様だけでよく頑張ったが此処までのようだな。それよりも他の二匹は放置していいのか?」

 

「!?」

 

海蛇男の言葉に翼は咄嗟にクリス達の方を見る。

其処には相変わらずクリスとマリアが戦っていたが二人に迫るバスを見つける。その時になって翼はやっと海蛇男が遊びで自分達の相手をしていた事に気付いた。

気付いたが、翼はそんな事をお構いなしにクリスとマリア達の下に行き、

 

「!」

「なっ!」

 

丁度、接近戦をしていた二人の体を押して回避させる事に成功した。

尤も、

 

「うわああ!」

 

翼は無傷に済まずバスの掠った肩に傷が出来、僅かながらの血が流れた。

その血は、丁度クリスとマリアの顔に掛かり二人の動きが止まる。

その姿に海蛇男が拍手する。

 

「素晴らしい、狂った仲間を身を挺して守るか。 実に愚かなお前達らしい行動だ、では今度こそ死んで貰おうか!」

 

海蛇男が再びバスを動かして動けない翼たちを殺そうとするが、一発の銃声が聞こえると共に海蛇男の頭に何かが当たった。

 

「? 豆鉄砲か…!」

 

自分を攻撃したのが銃だと気付いた海蛇男が翼たちの方を凝視する。見たいのは翼ではない、長距離用のアームドギアを持つ聖遺物イチイバルのシンフォギア装者

 

「ちっ、不意打ちでも効かないか」

「迂闊だったわね、幻影使いと戦うのは初めてじゃないのに…」

 

クリスが銃の形態に変化させたアームドギアを握っている。そして、マリアは負傷した翼はガードレールまで運び傷の応急手当をする。

 

「プリズム・アイの効果が切れたか」

「…結局こうなるのかよ」

 

海蛇男が自身のプリズム・アイの効果が切れた事に気付く、ドクガンダーが呆れた声を出す。

幻影が切れたのなら止めは自分達で刺せばいい。クリスとマリアは同士討ちでの消耗もある、今ならば楽勝だと考えて居た。

だからこそ気付かない、クリスとマリアが本気で怒っている事を

 

「アタシも不甲斐ないな、あんな蛇野郎の術中に嵌るなんて…」

「そうね、ならそろそろ私達の反撃の時ね…」

「ま…待て、二人だけであいつ等には勝てない。 私も…」

 

二人が海蛇男とドクガンダーと戦う事に気付いた翼が自分も参加しようとする。マリアの応急手当で出血は止まったがやはり痛みは続いていたのか、翼の額から汗が流れる。

 

「アンタは其処で休んでろよ」

「心配しないでいいわ。 見せてあげる、私達の切り札の一つを!」

 

翼に「休んでいろ」と言った後に二人は胸元にあるシンフォギアの赤いペンダントを握る。

その目には今までにない程の決意を感じて翼は見る事しか出来ない。

 

「フフフッ…死にぞこないが、消耗した貴様らが俺達に勝てるか?」

「プリズム・アイの幻影で殺すのも良いが、俺様のガスで骨も残さず溶かしてやる」

 

「へっ言ってろ」

「あなた達に見せてあげる、私達の本当の力を!」

 

そう言うと、二人は握っていた胸元のペンダントを外し上に掲げカチっとペンダントの出っ張りを押す。

 

「「イグナイトモジュール! 抜剣!!」」

 

今、二人の反撃が始まる。

 

 

 

 

 

 




あまり視点を変えすぎるとごちゃごちゃしそうだったので、今回は海蛇男がメインで。ドクガンダーの乱入がありましたが。
海蛇男の決着後、響のほうをやる予定です。

仮面ライダーの劇中だと相手の目に風景を回転させてましたが時代が進んだ事で人物を違う人物に見せかける事も出来る設定です。

幻影を使う敵ってシンフォギアだとガリィくらいしか思い浮かばない。
そして、ショッカーには相手を洗脳できる怪人が一杯いる。

ところで、響達ってゴキブリや蛇とか平気なんですかね?劇中だとそういうエピソードは無かったと思うし。そして、怪人の中でも見た目のインパクト絶大のシラキュラスにどう反応するか?
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