ストライクウィッチーズ2022 変わりゆく世界(改訂版) 作:軍曹
「―――あっー、もうっ! わかんないっ!」
第九○一飛行隊の部署が置かれている一室。一個飛行隊約十二名を想定しているため窓際の隊長席の他に事務机が六台固まった島が二つ作られているが、現在四名しかいない現状、一つの島は完全に使われておらず、もう一つの方も半分は空席となっている。
そんな環境の中、誰もが自身に与えられた業務を静かにこなしていたが、突然智代が大声を上げたことで中断した。
「・・・木佐貫、いきなり大声あげないでくれ。手元が狂う」
「だって、ここわかんないんだもん!」
報告書や消耗品等の補充申請書類を書いていた直人が抗議するも、彼女の不満は収まらない。
「えっと・・・ああ、連立方程式の問題ですか」
「若葉さんわかるの? 教えて下さい!」
「いいですよ。えっとですね―――」
「まったく―――ああ、有村の方はどうだ?」
若葉が智代に問題の解き方を教え始める。その光景を見て苦笑した直人は、同じようにその光景を眺めている郁に訪ねた。
「え? あ、大丈夫です。自力で解けます」
「そうか。それならいい。わからないことがあったら聞いてくれよ」
「はい」
郁はそう言うと再び自分の業務に―――文部科学省で定められた、学習指導要領に基づいて作成された課題を取り組み始めた。
―――ストライカーユニットという鋼鉄の箒を履き、ネウロイと戦うウィッチは極一部の例外を除き、十代の少女である。
日本の法律では未成年に分類されるだけでなく、六歳から十五歳までは義務教育という日本で生活する上で最低限必要な知識を学ぶ必要があるが、ウィッチは二十歳程度で魔法力が衰え、戦えなくなってしまう。そこで時の政府は自衛隊ウィッチ部隊設立に向けた法律改正を行い、ネウロイへの対抗手段を整えると共に、彼女達が引退した後も問題なく社会に溶け込めるようにしたのだ。
自衛隊に所属するウィッチは全員“未成年特別国家公務員”として扱われ、ネウロイとの戦闘に従事する傍ら、二十歳までに高校卒業程度の学力を得られるよう勉強することが義務付けられている。郁は十五歳、智代は十三歳とそれぞれ高校一年生、中学二年生として学校に通う年齢であり、その年齢に応じた課題をこなすことが業務となっている。
「なるほど、こう解けば良かったんだ! ありがとう若葉さん」
「いえいえ、後は頑張ってくださいね」
若葉に教えられて内容を理解したらしい智代。しばらく一心不乱に課題をこなすと、晴れ晴れとした表情で大きく伸びをした。
「よし、終わった! 隊長、これお願いします!」
「あいよ。そこ置いておいて」
彼女は課題を直人に提出する。別に彼が採点するのではなく、一時的に預かるだけだが。
「よし、じゃあ少し走ってきます!」
「あ、ちょっと待った。今のうちに渡しておくよ」
そう言うと、直人は机の引き出しから茶封筒を取り出して、智代に渡す。それは月に一度渡される給料明細だった。
「あ、そうだった。今日は給料日!」
「一応しっかり見ておけよ。不備があったら大変だからな」
「今月はいくらかな~」
席に戻る時間ももどかしく、その場で袋を開けて中の紙を引っ張り出した。色々とよくわからないことが多く書かれているが、「振込額」と書かれている所には一般的な社会人が稼ぐ何ヶ月分もの金額が記入されている。
「おお~! やっぱりウィッチって凄い」
「しっかり貯めておけよ。社会に出たら、こんなに稼げる仕事なんてそうそうないんだから。・・・ええと、そしてこれは有村の、こっちは北条さんか」
直人は残りの二人にも給料明細を渡す。二人のそれにも中々の金額が記入されていた。
「そうだ、隊長。今日外出したいんですけど、同伴お願いしていいですか? 外で買い物したいです」
訓練するため部屋を出ようとしていた智代はふと思い出し、直人に告げる。
「いいよ。あ、どうせだから全員で外食でもするか」
「隊長の奢りで?」
「抜け目ないな・・・まあいいけど」
「やった! ご飯」
「早速お店を探します」
郁は早速目の前のパソコンで検索を始め、智代と一緒にお店を選び始める。
「いいんですか?」
「色々頑張ってくれているからね。むしろこんなことしか出来なくて、申し訳ないくらいさ」
心配そうに尋ねる若葉に、直人は苦笑しながらそう答えた。
「―――ここです! つい先日オープンしたばかりの焼肉屋!」
「国産黒毛和牛食べ放題です」
「おい待て」
終業時間になり、私服に着替えて外出した一同。
二人が選んだ店は、つい先日オープンしたばかりの焼肉屋であった。テーブルに設置されている炭火で焼いて食べる方式で、国産和牛の希少部位も豊富に取り揃えている。―――その分、お値段は高いが。
ついでにいうと時間あたりの食べ放題ですらない。どうやら郁が見た“食べ放題”とは、種類が一杯で色々食べられるという意味なのだろう。
「あの、ここってお高いんじゃ・・・?」
「全くもう・・・現金は無理か。カード払いだな」
「い、いいんですか?」
若葉は財布の中身を確認していた直人にそう尋ねるが、彼は軽く肩をすくめるだけ。
「確認しなかった俺が悪い。まあ、勉強代だと思って諦めるさ。ほら、北条さんも早く」
「は、はぁ・・・」
二人のあとに続いて直人もお店に入ったため、若葉もあとに続く。
店内は広々としており、まだ夕食時から早いからか、他の客の姿はない。三人は既にテーブルに案内され、智代と郁は嬉しそうに、直人はどこか悔しそうにメニューを眺めていた。
「おー、凄くいっぱい種類がある」
「ヒレ、ロース、タン―――どれからにしよう」
「せめてビール一杯でも―――いや、流石に保護者が飲むのは不味いか・・・」
若葉も席に座ると、店員がテーブルにやってきて網の準備を始める。注文は据え置きのタッチパネルから行う方式であり、早速郁達は色々注文を入れ始め、そして食事が始まった。
「おいしー!」
「―――」
どんどん網に肉を置いては、焼けたものを取っていく二人。智代はもちろんのこと、郁も無言ながらすごい勢いで食べている。
「お前達、肉だけじゃなくて野菜も食え、野菜も」
「直人さん。下手すると、野菜のほうが高くつきますよ・・・」
直人はそんな二人のペースを落とそうとあがくも、失敗に終わる。どこからともなく定期的にネウロイが出現する現在、海外との貿易は以前と比べて低調になり、世界中の経済が落ち込んでいる。日本も輸入品の高騰という形で影響が出始めており、食料品の価格は年々上昇傾向にあるのだ。
今食べている牛肉も、海外から飼料が手に入りづらくなったため生産数が減ってきており、一昔前に比べて二倍以上の値段になっている。むしろこの程度に抑えられていることを褒めるべきだろう。
「こんな良いお肉、お金があっても基地の外に出られなければ食べられないですから」
「そりゃ、まあ・・・な」
未成年のウィッチは、基本的に大人の同伴がなければ基地の外に出ることが出来ない。海外ではウィッチを狙った誘拐事件が多数起こっており、それを警戒しての措置なのだ。
厚木基地は在日米軍との共用基地であり、基地内には米軍関係者向けのお店もある。とはいえ基地内で寮生活をし、外出にも制限がある環境は彼女達に少なからず負担を与えているのは事実だろう。
「・・・はぁ。二人共、思う存分食っていけ」
「・・・はい!」
「さすが隊長、太っ腹!」
直人からの許しを得た二人は、更にペースを上げて食べ始めた。
「あー、美味しかった!」
「ご馳走様でした」
「二人でどんだけ食べたんだよ。全く・・・」
「凄い量を食べていましたよね」
食事を終え、買い物を済ませた彼女達は基地への帰路を進んでいる。空は真っ黒だが街灯のおかげで通りは明るく、仕事帰りの人々が少なからず往来していた。
「次からは俺が店を決めるからな。お前らが決めた所だと、いくらあっても足りなくなりそうだ」
「えー、隊長はケチだなぁ」
「誰がケチだ―――うん?」
基地の正門前近くまで来た時、不意に直人の携帯が震えた。ポケットから取り出して画面を見ると、一件のメールが届いている。
「どうかしたんですか?」
「―――いや、なんか近くまで来たから会わないかってね」
「お知り合いですか」
「ちょっとした腐れ縁のね。北条さん、悪いけど二人を寮まで送っていってもらえないかな?」
「わかりました」
「隊長、女の人?」
「残念、知り合いのおっさんだ」
智代の質問に一瞬不安そうな表情を浮かべた若葉だったが、彼の返答を聞いて安堵する。幸いその表情は誰にも気付かれなかった。
「それじゃあまた明日」
「お疲れさまです」
「お疲れさまでした」
「ごちそうさまでした!」
三人と別れ、直人は踵を返して再び街へと向かっていった。
「さあ、帰りましょうか。―――有村さん、どうかしたんですか?」
「あ、いえ―――」
郁がなにか考え込んでいたような表情を浮かべていたので、若葉は思わず尋ねる。郁は何でもないと首を振ったが、彼女の頭には先程携帯の画面を覗き込んだ時の直人の表情が浮かんでいた。
(隊長、一瞬だけど険しい顔をしていた・・・?)
基地近くにある小さな公園。
昼間ならば子供達が駆け回っているだろうが、今静まり返っている。途中近くのコンビニで缶ビールやツマミを買った直人は、中にある据え付けられたベンチに座った。
「―――月見酒ですかな?」
既にベンチに座っていた黒ずくめの男が話しかけてくる。新聞を広げているため、顔はよく見えない。
「知り合いから飲まないかと誘われましてね。―――飲みます?」
「残念ですが、まだ仕事中ですので」
「そちらから誘ってきたくせに」
誘いを断られた直人は肩をすくめ、一人で酒盛りを始める。缶ビールを開け、一気に口に流し込んだ。
「・・・本当に飲むんですか。一応、重要な情報を持ってきたんですが」
「さっきビールを飲めなかったのでね。知っているでしょ?」
「あなた、そこまでお酒強くないでしょうが。―――まあ、構いませんが」
どこか呆れたような声色の男は、そう言うと新聞を畳んだ。
薄気味悪い笑みを浮かべた東洋人―――だが、その目つきは鋭く、数々の修羅場を潜ってきたことが伺える。初めてあった時に“田中”と名乗っていたが、おそらく偽名であろう。
彼は日本で活動する“向こう側”の人間。扶桑皇国の諜報員で、時折会いに来ては様々な情報を教えてくれる貴重な情報提供者だった。
「―――多国間合同演習が、七月に行われるそうです」
「七月? 後二ヶ月もないじゃないですか」
「ええ、場所はアラビア海。アメリカはもちろんのこと、イギリス、フランス、インド等、相当数の国が参加するみたいです。さながらリムパックですな」
「当然空母を伴ってですか。このご時世に豪勢なことで」
ネウロイがゲリラ的に出現し、周囲に大きな被害を与えるのが日常となってしまった現在、世界経済は大きく落ち込み、当然各国の軍事予算も削減傾向にある。かつて日本の脅威として急成長を遂げていた隣国、中華人民共和国にいたっては度重なるネウロイの襲撃で大きな被害を蒙り、民衆や離反した軍による武装蜂起が頻発。現在は数え切れないほど無数の勢力が乱立している状況。整備していた艦艇群も、現在は岸壁の女王として朽ち果てていた。
「このご時世だからだそうですよ? “向こう側”は半世紀以上も前から一致団結してネウロイと戦っている。今こそ我々も一致団結して新たなる脅威に対抗すべきだ―――とね」
「一致団結って・・・まともに海軍ウィッチ隊を運用しているのってアメリカぐらいじゃ―――」
「そのアメリカで、新たな動きがありました」
不気味な笑みを浮かべていた田中が、呆れたように肩をすくめながら告げる。
「アメリカ合衆国空軍は数日後、議会に自軍へ航空ウィッチを集約させる提案を行うようです」
「それって―――!」
「ええ、陸戦ウィッチを除いた全ウィッチが対象。―――当然アメリカ海軍所属のウィッチも例外ではありません」
十年前のゲート出現以来、世界各地でウィッチが誕生しているが、その数は日本に比べて少なく、先進国ですら人員確保に苦労している。ウィッチの出現率は国によって変化がなく、政府を信用出来ない等の理由で秘密にしているだけではないかとの一説もあるが、例えそれが本当だったとしても、魔法力はウィッチの精神に大きく左右されるため、軍人になることを強制させられないのだ。
“こちら側”世界の覇権国家であるアメリカ合衆国のウィッチは日本と比べて少ないものの、それなりに纏まった人数を確保しており、既に複数の部隊が実戦任務に就いている。しかしアメリカの国土は非常に広大で、全域をカバーするには全く足りていない。少しでも多くのウィッチを確保するため部隊を集約するのは当然の動きといえよう。
「航空ウィッチを空軍で統括し、本土の防空体制を強化する―――アメリカは先の“北米紛争”が大きなトラウマになっていますからね。それは“北米紛争の英雄”であるあなたならわかると思いますが」
「・・・その名前で呼ぶのはやめてください」
「残念ながらそのネームバリューも関係あるんですよ。アメリカ海軍は“北米紛争の英雄”と共に肩を並べて戦っている、と宣伝するために時期を早めた―――我々はそう分析しています」
「自国の政治に、他国を巻き込こまないで欲しいなぁ・・・まったく」
話を聞いた直人は、大きなため息をついた。
―――北米紛争
八年前、アメリカ本土に突如ネウロイの巣が出現し、大きな被害を与えた戦い。当時交流のために“こちら側”に来ていた“向こう側”連合軍が援軍として参加し、直人も出向していた扶桑皇国海軍の一員として、上官だった若葉と共に戦っている。
アメリカ軍の攻撃は失敗した―――
当時はまだ相互理解が進んでおらず、ウィッチという存在もよくわかっていなかった状況。ネウロイの巣へ攻勢を仕掛ける際、ウィッチを主力とする提案をした“向こう側”連合軍に対し、自国領土での戦闘であることを理由に通常戦力での攻撃を選択したアメリカ軍は、幾ばくかの戦果を引き換えに壊滅的な被害を被った。
“向こう側”連合軍のウィッチ隊を主力とした部隊が援軍として投入されて撤退を支援したが、その際に直人は殿を務めて一時行方不明になるも、後日逸れたアメリカ陸軍部隊と合流し、共に帰還を果たす。
ネウロイの巣は人口希薄な砂漠地帯にあったことから、最終手段として核兵器によって破壊することになり、北米紛争は民間人の被害こそ殆どなかったものの、自国に核兵器を投下して汚染するという最悪の結果に終わった。アメリカ政府はこの時の失敗を誤魔化すため、英雄を作り出すことにする。それが当時“こちら側”世界唯一のウィッチである直人だったのだ。
「味方の撤退を援護するために殿を務め、一時行方不明になるも無事帰還する―――確かに実績としては十分。大衆が喜びそうな英雄像ですねぇ」
「おかげで、大手を振って街を歩くのが難しくなりましたよ、ええ」
愉快そうに笑う田中を直人はにらみつけ、そして再び大きなため息をつく。自国に核兵器を落とすという汚点を覆い隠すため盛大に宣伝された結果、彼の名前は世界中に轟いている。特にアメリカでは知らぬ者はいないほどで、厚木基地内でも時間があれば在日米軍関係者がしきりに面会を希望してくる。もしアメリカ本土に行ったらハリウッドスター並みの扱いを受けても可笑しくはなかった。
「本当に、なんでこんな事になっちゃったんだろうなぁ・・・十年前はただの自衛官候補生だったのに」
「ウィッチになってしまったから、としか言いようがありませんな。まあ戦歴に関してはあなたの努力の結果ですが」
ついでに性格も、と付け加える。いくら能力があっても、殿を務めるのは並大抵の人間では出来ない。
「我々も期待しているんですよ? “向こう側”でも非常に珍しい男性ウィッチであり、“あがり”を迎えてもなお最前線で戦い続けるあなたを。あなたがいる限り日本は安泰ですし、それは我が扶桑皇国にとっても有益ですからね」
「利害が一致しているなら何よりで。ただ、いつも思うんですけど、あなたは結構俺に肩入れしてくれているような気がするんですよね。今回の話も、扶桑皇国にはあまり関係ないんじゃ―――」
「―――ただでさえ我々はうら若き乙女達に頼りすぎています。男に出来ることは、少しでも彼女の負担を減らすこと。それだけしか出来ないんです」
直人の疑問に、田中は真剣な表情を浮かべてそう呟く。普段は自身の感情を見せないよう常に薄笑いを浮かべている彼だったが、珍しく素の感情が表に出ていた。
「せめて共に肩を並べて戦えれば―――男子なら一度は夢想する事です。しかしそれは叶わない。戦闘機に乗っても、戦艦に乗っても、戦車に乗っても、魔法力のない男は対ネウロイ戦では露払いしか出来ず、時には足手まといになるのが現実です」
技術力の進歩によりネウロイと戦う術は向上しているが、それらはウィッチと共に主力として戦えるものではない。残念ながら魔法力を持たない者は脇役に甘んじるのが定めなのだ。
「だから男性ウィッチは我々男性にとって、そんな夢を体現した存在。ウィッチと共に戦い、時に護る“
「だから、少しでも自分の夢を体現化する人のお手伝いをしたい―――と」
「案外男は馬鹿ですからね。時には自分の立場すら投げ捨てることすら厭わないですから。最も、その馬鹿は扶桑皇国に大勢いますが」
「よりによって、扶桑皇国公認なのか・・・」
呆れてものが言えないといった様子の直人に、薄笑いの表情に戻った田中が告げる。
「―――というわけで、 “こちら側”のウィッチ達が少しでも負担が軽くなるようあなたが動き続ける限り、我々は可能な限りそのお手伝いをします」
「そりゃあどうも。あの子達を無事親御さんの元へ返せるよう、
その言葉を聞いた田中は一瞬目を見開き、そして口元に笑みを浮かべた。
「ええ、お互い頑張りましょう。我らの
そう言うと田中は立ち上がり、公園を後にした。
(・・・しっかしまあ七月か。想定より二、三ヶ月は早いな)
立ち去る彼の後ろ姿を見送りながら、直人は残っていたビールを飲み干しつつ、思考を巡らす。
(俺も北条さんも問題はない。有村も、まあなんとかなるだろう。しかし木佐貫がなぁ・・・)
ベテランの域を軽く凌駕している直人と若葉はもちろんのこと、三年目になる有村も、万が一実戦になっても問題ないだろう。しかし今年入ったばかりの智代は少し不安が残る。元々九月以降を想定して訓練を行っていたのだ。余裕のあるスケジュールで組んでいたとはいえ、二ヶ月近くの短縮は完全に想定外である。
(今から洋上訓練を二回にするのは無理か。そうなると、一回で色々やらなきゃいけないな。今度の会議で通達されるだろうから、その時に掛け合ってみるか・・・)
面倒くさいことになったと言わんばかりに後頭をかく直人は立ち上がり、基地に戻るべく歩き始めた。
次話でようやく空を飛びます。