上杉とバナナと五つ子   作:フェンネル

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ハプニング

前日、仕事の一花を除いたは六人は林間学校に持っていく着替えを買いに出かけていた。

 

「よーし、上杉さんの服買いますよー!!」

 

「適当に持っていけば良いだろ」

 

「ダメですよそんなんじゃ。オシャレなとこ見せないと!」

 

そんなこんなで四人が買った服を試着させられ、二乃の用意した服に決まった。と言うよりは二乃のものを選ぶしか選択肢がなかったとも言う方が正しい。

 

三玖は和服が似合うと思ったから和のテイストを入れたと言ったが、和そのものの服を。

 

四葉は風太郎は地味な顔だから派手な服をチョイスしたと言ったが、その服は全体的にふざけていた。

 

二乃は本気で考え、とても洒落た服を選んでいた。

 

五月に関しては、男のことがよく分からないから男らしい服装を選んだと言ったが、どこぞのロックミュージシャンが着そうな服を選び、一瞬で却下された。

 

この四人の中で選べる選べないの前にまともな服が二乃しかなかったので、二乃の案を採用した。

 

「てかお前ら、服に一万二万って......俺の服40着は買えるぞ」

 

「こんなの安い方よ」

 

「はい、フータロー」

 

三玖は和服が入った袋を渡した。風太郎が金はないぞと言えば、大丈夫と返した。

 

「林間学校もいよいよ明日ですね」

 

「まだ買うものあるわよ」

 

「うーん、男の人と服を選んだり一緒に買い物するって───」

 

そして戒斗の服を選ぼうとした時、四葉の発した言葉が場の空気を変える。

 

「デートって感じですね!」

 

三玖は固まり、風太郎の方をチラチラと見ている。二乃は特に反応せず、五月は不服そうな顔になった。

 

「学生の間に交際だなんて不純です」

 

「あ、上杉さんみたいなこと言ってる」

 

「一緒にしないでください」

 

風太郎に詰め寄り、言い聞かせるように説いた。

 

「あくまで上杉君とは教師と生徒。一線を引いて然るべきです!」

 

「言われなくても引いてるわ!てか戒斗もだろ!」

 

「か、かか戒斗さんは......っ!」

 

戒斗の名前を聞いて三玖と同じように固まる五月。そしてすぐに二乃の後ろへ隠れた。

そんな時不意に四葉が風太郎の肩を叩く。

 

「上杉さん上杉さん!らいはちゃんにもお土産買いましょう!」

 

「お前最高だな!行くぞ!」

 

「あっ、フータロー、四葉!」

 

テンション高めな二人を三玖が追いかけ、その場には二乃、五月、戒斗の三人が残った。

 

「ほら、残りの買い物も済ますわよ」

 

「そ、そうですね。では、か、戒斗さんは待っていてください」

 

「荷物持ちくらいならやるが?」

 

「い、いえ......」

 

五月は何とか待たせるようにしようと言葉がしどろもどろになっている。

 

「そんなに服を買っていたら重くなるんじゃないのか?」

 

「そ、そのですね......下......」

 

「俺はここに来ただけで何もしてないからな。少しくらい───」

 

譲らぬ戒斗に二乃は大声で告げた。

それと共に風を切る右手。

 

「下着!買いに行くの!」

 

「なんだそういうことか。なら待とう」

 

「デリカシーのない男ってほんとサイテー!」

 

頬を腫れさせて静かにベンチに座る戒斗。しばらく待っていると、二乃と五月ではなく風太郎が焦りながら走ってきた。

 

「おい、どうした」

 

「か、戒斗......らいはが、倒れたって......!」

 

凶報を聞いて戒斗は背中に悪寒が走るのを感じたた。

 

「......すぐ行くぞ」

 

嫌な予感がしつつもデパートを飛び出してローズアタッカーに跨り、風太郎が後ろに乗ったのを確認して一気にアクセルを捻った。

幸い道路は人が少なく、すぐに上杉家に着くことができた。

 

「らいは!」

 

「あ、お兄ちゃん。戒斗さんも......」

 

中に入れば、布団の中でらいはが横になっていた。

風邪か熱か、顔を赤くして辛そうにしていた。

 

「お前は身体が弱いんだ。無理するな」

 

「色々買ってきたから、安静にしておけ」

 

二人は道中コンビニに寄ってゼリーや経口補水液を買っていた。

 

「......お薬、飲ませて」

 

「ああ」

 

命に別状はなさそうならいはをみて胸を撫で下ろし、薬の準備をする。

 

「......汗拭いて」

 

「ああ」

 

お湯で濡らしたタオルを準備する。

 

「あと学校の宿題やっといて」

 

「これでもかとわがまま言うな」

 

そしてツッコむ。

らいはの汗を拭いて薬を飲ませれば、顔色は良くなり少しは気楽な様子になった。

 

「......ありがと」

 

「親父は明日まで仕事で帰れないそうだ」

 

「......お兄ちゃんも戒斗さんも、明日林間学校だよね」

 

「......そうだな」

 

らいはは、もう一つだけわがままを言った。

 

「帰ったら楽しいお話いっぱい聞かせてね。私は一人で大丈夫だから、戒斗さんと、五月さん達と楽しんできて」

 

そう言って笑顔を浮かべるらいはの頭を撫で、寝るように促す。

 

「わかったから、ゆっくり寝ろ」

 

眠ったのを確認し、手を離す。隣では戒斗がお粥を作っていた。

 

「お前も食え。このままじゃ持たんぞ」

 

「......ああ、サンキュ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よかったのかい?」

 

「何がだ」

 

「林間学校の話だよ」

 

「いつクラックが出るか分からないだろう」

 

戒斗は上杉家から帰った後、研究所で凌馬に林間学校には行かないと伝えた。

そして林間学校の当日、今この時もクラックの閉鎖、インベスの撃破に時間を割いていた。

 

「俺が林間学校に行ってる間、無関係の人間を傷つける訳にはいかない」

 

凌馬は参加しても構わないと言ったが、戒斗はクラックの不安が抜けきらないらしい。

 

「......ふむ。少し提案があるんだが......」

 

「何だ」

 

「林間学校の間は私に任せたまえ。君にとっての貴重な休みだ。存分に楽しんできなさい」

 

断ることを許さない雰囲気の凌馬に若干押され、林間学校に行くことを決意する。

時刻は7時50分。バスはすでに出ている。

 

だが、戒斗にはローズアタッカーがある。

 

「あと一つ、─────────。まあ、心に留めておいてくれ」

 

「......わかった」

 

凌馬に見送られ、上杉家へと走り出した。

中では、やはり風太郎は林間学校に行かずらいはの看病をしていた。

 

「......やはりな」

 

「おお、戒斗。林間学校、いいのか?」

 

「貴様も行くんだ。準備しろ」

 

戒斗はゴミ箱に捨てられた付箋だらけのしおりを見つけた。

そして誰かがそれを取り出してゴミを払い、風太郎のリュックに入れた。

 

「そうだぜ風太郎。一生に一度のイベントだ。今から行っても遅くないんじゃないか?戒斗のバイクもあんだろ」

 

「だが......」

 

いつの間にか帰ってきていた上杉父、勇也は風太郎の背中を叩き、外に出そうとする。

 

「あー!らいは......お腹空いた!」

 

風太郎が渋る中、らいはが元気に目を覚ました。

 

「え、お前熱は......?」

 

「治った!」

 

「私はもう大丈夫だから、林間学校行ってきて。戒斗さんも昨日はありがとっ!」

 

らいはと勇也に背中を押されて二人は外に出される。

戒斗はローズアタッカーのエンジンを吹かし、風太郎に乗れと後部座席を親指で指した。

 

「......場所はわかるか?」

 

「しおりを見れば何とかなる」

 

そして発進して少し進んだ時、目の前に見覚えのある高級車が止まった。

 

「あ?」

 

「は?」

 

二人が進路を塞がれて苛立ちながらも避けようとする。

すると車のドアが開き、中野姉妹が出てきた。

 

「フータロー、戒斗、おはよう」

 

「二人共おそよー」

 

「おはようございます!」

 

「ったく、バス見送るなんて何考えてんのよ」

 

「肝試しの実行委員ですが、あなたが来なかったせいで私が任されかけました。オバケは怖いですから、あなたがやってください」

 

そう言って早く乗れと座席を指す。戒斗は自分はバイクで行くと言って風太郎を強制的に車に乗せた。それを見た一花に車の中へと引きずり込まれた。

 

「戒斗くんも一緒に、ね?」

 

拒もうとしたが、一花の楽しそうな顔を見て、言いづらくなってしまった。

 

「はぁ......仕方ない」

 

「ちょっと詰めてねー。私は戒斗くんの隣に......」

 

「なにやってんの。あんたはこっち」

 

助手席に三玖。一つ後ろに二乃、四葉、燃え尽きた一花が座り、一番後ろに風太郎、戒斗、五月が座った。

 

「いや、ギリギリすぎねぇ?」

 

「だからバイクで行こうとしたんだがな」

 

「もー、こういうのは皆で行くから良いの!」

 

一番後ろは二人用なので人数ギリギリで面積的にも危ないところではあるが、何とか堪えている。三人共動かずとも肩が当たる位には面積がない。

 

「(ち、近い......!)」

 

そのため五月は気が気では無かった。

 

「(いーなー、五月ちゃん)」

 

それを見て羨ましがる一花だが、風太郎の様子を見てその羨ましさは消え失せた。

 

「おい上杉、大丈夫か?」

 

「あ、ああ......」

 

風太郎はほとんど窓に張り付いている状態だった。

戒斗が何とか安全を確保しようと動けば、五月に触れてしまう。

少し触れれば五月の体がびくんと跳ねる。

 

「すまん」

 

「い、いえ......(あああ、今肩が、肩が......!)」

 

それからも少し触れる度に五月が慌てふためくので、戒斗は迂闊に動けなくなった。

五月は盛大な勘違いをしてから、戒斗を意識してしまい、肩が触れるだけで赤面していた。

 

「(あれ?五月ちゃんってそうだったの?)」

 

一花はそんな五月の様子を見て、戒斗のことが好きなのではないかと感じた。そしてこの間五月にされた質問を思い出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一花は、何故好きな人と付き合うと思いますか?」

 

「......そりゃあ、その人のことが好きで好きでたまらないからだよ。あと───」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それと同時にある気持ちが自分の中で渦巻く。

 

「(取られたくないかな)」

 

今までどんなことも五等分してきた姉妹達。今の一花の気持ちは今までのどの感情より黒く染まりつつあるものだった。

五月は一花の言葉を思い出す。

 

「(相手を、戒斗さんを独り占めしたい......)」

 

そして戒斗が誰かと恋仲になることを考える。すると、胸がズキンと痛んだ。

 

「(一花はそんなことしないはず。私たちは五等分だから......)」

 

その痛みの正体に五月はまだ気づかなかった。

 

「(ま、五月ちゃんがどう思ってても私は......)」

 

一花と五月がそんなことを考えている中、四葉や三玖は風太郎にとって思い出に残る三日間にしようと張り切った。

 

「(私がこの三日間を上杉さんの思い出の一ページにしてみせます!)」

 

「(フータローと楽しく過ごせたら良いな......)」

 

そして二乃はバナナの騎士に想いを馳せていた。

 

「(旅館とか肝試しの森の中で出会えたりしないかしら......って、そんな偶然ないわよね)」

 

そして男二人は、こんなことを考えていた。

 

「(タダ飯食えてフカフカの布団で眠れて、最高かよ!)」

 

「(......頼むぞ、戦極凌馬)」

 

風太郎は喜び、戒斗は不安に胸をざわつかせる。

それぞれの思惑を胸に、高級車は勢いよく前進した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

車に乗っている間、風太郎は親指に一花、小指に五月といった風にそれぞれの指に五人の名前をつけ、隠した手から伸びる指を見て、誰なのか当てる「五つ子ゲーム」をしていた。

風太郎はまさに今予想を外したところだった。

 

「くそー!次俺な!」

 

「やけにハイテンションですね」

 

「お前らの家を除けば外泊なんて小学校以来だ。もう誰も俺を止められないぜ!」

 

とは言ったものの、とんでもないほどの積雪のせいでかれこれ一時間以上足止めを食らっていた。

 

「上杉、席を変わるか?」

 

「そっ、そのままにしてください!」

 

「あ、ああ。戒斗、そういうことだから」

 

そして根気強く待っていれば、旅館に到着した。

車は午後からの仕事で帰り、今夜は七人で四人部屋で寝泊まりすることとなった。

 

「おおっ!中々いい部屋だな!」

 

「でも四人部屋ですよ?」

 

「ねぇ、本当にこの旅館に泊まるの?こいつらと同じ部屋なんて絶対に嫌!」

 

「団体のお客さんが急に入ったとかで一部屋しか空いてなかったんだもん。仕方ないよ」

 

不満げな二乃はさておき、風太郎と戒斗は荷物を下ろして何をして遊ぶかを話していた。

 

「てか、らいはが手紙とミサンガくれた。戒斗の分もあるぞ」

 

「貰おう」

 

手紙を黙読し、追伸の部分に”お土産期待してます”と書かれているのを見てらいはの強かさを実感した。

 

「......少しくらい良いか」

 

「てか、やっぱトランプじゃねーか?」

 

「それが無難なところだな」

 

そんな中、二乃は姉妹を集め、男と一晩同じ部屋で過ごすとはどういう事かを説明した。

 

「あいつらも男だから......ね?」

 

「......そ、そんなことありえませ───」

 

「やるぞ」

 

 

「「「「「!!!」」」」」

 

 

「なんだ?......まあいいか」

 

”やる”という言葉を聞いて五人は一斉に部屋の隅に逃げ込む。戒斗はこの反応を拒否の意だと解釈し、風太郎と二人でトランプを始めた。

 

「大富豪か?」

 

「それじゃお前が勝つだろ。公平にババ抜きだ」

 

「公平か。イカサマトランプを持ってきてそれを言うか?」

 

その言葉を聞いた瞬間風太郎の体が固まり、ギクリと聞こえた。心做しか動きがぎこちない。

 

「な、何の話ですか?イカサマだなんて戒斗さんったらお上手ですね......」

 

などと五月のような話し方をしながら、さりげなくトランプを回収しようとする風太郎の手を掴み、戒斗は強者の笑みを浮かべた。

 

「やってやるが、負けたらどうなるかわかるな?」

 

「あっ、終わった」

 

そこから戒斗は風太郎の目線の動きを観察してカードを把握し、ババ抜きで無双した。一対一となると勝負は単純かつ短時間で終わるので何回でも出来たが、風太郎は尽く敗れ去っていった。

 

「イカサマという巫山戯た行為をしようとした事、心より陳謝申し上げます」

 

何連敗したか分からない風太郎は、イカサマしたことをそれはそれは綺麗な土下座で謝罪し、普通のトランプを使ってババ抜きをやり直したが、勝敗は変わらなかった。

 

「うーん、神経衰弱もありじゃないか?」

 

「記憶力ならお前に分があるかもな」

 

「よっしゃあ!」

 

勘違いをしたせいでババ抜きや神経衰弱に参加できなかった五人は、楽しそうな二人を見てトランプをしたくなってしまった。

 

「......なんか、楽しそうだね」

 

「私たちがハブられてる感じするわね」

 

「......私もやりたい」

 

「よし、入れてもらおう!」

 

「夕食を賭けましょう!」

 

そして途中乱入という形で参加した。

二人は五人が来たことで神経衰弱がより盛り上がると考え、罰ゲーム等を考えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕食時になり、机には豪勢な料理が所狭しと並んでいた。

五月が目を輝かせる中、風太郎はタッパーに入れて持って帰りたいと心から思っていた。

 

「あれ?これ六人分じゃない?」

 

「あ、ほんと......って、戒斗!あんたご飯は食べなさいよ!」

 

「いらん」

 

戒斗は事前に夕食は六人分でいいと従業員に話しており、風太郎や五人はそれに気づいていなかった。

 

「あんたね、今食欲が湧かないとか言ったら張り倒すわよ!」

 

「......戒斗さん、今くらいは一緒に食べましょう?」

 

「いや、俺は......」

 

何かを言いかけ、五月の寂しげな顔を見て口を噤んだ。

 

「......少しだけだ」

 

「......はいっ!」

 

「ほら、口開けなさい!」

 

二乃に箸と共におかずを口の中に入れられる。また「無意識のあーん」をされ、食べ歩きのトラウマが戒斗の背に悪寒を走らせた。

 

「まったく、こうでもしないとろくに食べようとしないんだから......はいこれも!」

 

「...........(あのクレープとケーキはまさに拷問だったな......)」

 

一通り食べさせられた後、五月と一花の間に座らされる。そして余分に用意されていた箸を取り、一花からおかずを貰おうとする。

 

「戒斗くん、お姉さんもあーんしてあげよっか?」

 

ほれほれとからかうように天ぷらを持ってくる一花。

戒斗は一花の腕を掴み、天ぷらを口に入れた。自分でやっておきながら一花もこの行動は予想してなかったらしく、激しく動揺していた。

 

「すまんな」

 

「......フ、フータロー君、席変わってくれない?」

 

「......別にいいが」

 

「(い、今のはずるいって......あんなのされたら顔見れないよ......!)」

 

それから一花は大人しく夕食を食べていた。

二乃は戒斗の方を凝視しながら食べており、五月は自分も戒斗に「あーん」をした方がいいのではないかなどと考えていた。

 

「......戒斗さん。これどうぞ」

 

「......んぐっ!」

 

そして刺身を箸で掴み、戒斗の口に入れた。

戒斗はしばらく目を閉じて刺身を噛んでいた。表情を変えぬまま風太郎の天ぷらを一つ頂戴した。

 

「......上杉、少し貰うぞ」

 

「ああ、それくらいなら」

 

「おい、口を開けろ」

 

「へっ?」

 

その天ぷらを五月に向ける。だが一口では入らず、小さな口に少しずつ入れていく。

 

「戒斗、まだ食べるわよね?」

 

「.....くそ。食えばいいんだろう」

 

「あ......」

 

二乃の強い語気を感じてやけになった戒斗は、五月が食べている天ぷらをつい口に入れてしまった。戒斗も気づいたようですぐさま五月に謝罪した。

 

「今のそれ五月が食べてたでしょ!自分で食べさせといて......」

 

「すまない......食ってしまった」

 

「い、いえ、大丈夫ですよ(今のってもしかして......い、いえ、偶然かもしれません!ってそんなの関係ないですよ!間接......関接......!)」

 

五月もこの行動は予想外だったようで、一花のように大人しくなった。

二乃と戒斗が食べる食べないの心理戦を繰り広げるている間、二人は耳まで赤くしながら黙々と食事をしていた。

 

「戒斗、お前そんなに少なくて大丈夫か?」

 

「ああ。問題ない」

 

「もっと食べるわよね?」

 

二乃は圧力をかけつつ目が笑っていない笑顔を向ける。そして拒否はまずいと悟った戒斗は、小さい天ぷらを一つ口に放り込んだ。

 

「(二乃の奴、急に鬼のオーラを出しやがった......)」

 

風太郎は二乃の雰囲気に戦慄したが、とても美味しい夕食を食べてすぐに忘れ去った。

夕食が終わるまで、一花と五月は一言も話せなかった。

 

 

 

 

 

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