「何すんのよ!」
「っ!」
二乃は五月の頬を叩き返した。
だが五月は変わらず怒りを込めて二乃を睨む。
「彼に、謝罪を」
「なんで私が......」
「このプリントを見てください。コピー機も使わず、この全てが彼らの手書きなんです」
「っ、私よりあいつを取るのね......」
部外者の二人を優先するという事実を、二乃は受け入れることが出来なかった。
「いいわ。こんな家、出てってやる......!」
「......おい、少し冷静になれ」
「そうです、そんなの誰も得しません」
戒斗と五月の言葉を無視して、五月を睨みつける二乃。
「未練がましく母親の代わりを演じるのはやめなさいよ」
「二乃、早まらないで」
「そうそう、話し合おうよ」
「話し合いですって?先に手を出してきたのはあっちよ」
遠目で見ていた一花と四葉も二乃を止めようとするが、トドメとばかりにこう続けた。
「あんなドメスティック肉まんおばけとなんていたくないわ!」
その言葉が心に刺さり、顔を赤くして怒りと羞恥の混ざった声で五月は自分が家を出ると言った。
「ド、ドメ......肉......っ、そんなにお邪魔なようなら私が出ていきます!」
「あっそ!勝手にすれば?」
「もー、なんでそうなるのよー!」
五月と争い、家族も風太郎と戒斗を受け入れろと言うものだから、二乃は家から姿を消した。平たく言えば家出をした。
時は進み次の日の朝、一花と四葉は外せない用事があり、五月も姿を見せないので風太郎と三玖と戒斗で二乃の捜索をしていたが、見つからずにいた。
「......仕方ない。この手は使いたくなかったけど......」
三玖は髪を二乃に寄せ、街ゆく人に聞いていく。
「こんな顔の人見ませんでしたか?」
「五つ子ってなんて便利なんでしょう」
「あら、私の泊まってるホテルで見た顔だわ」
「そいつが二乃だー!」
婦人にホテルへ案内してもらい、三玖が部屋に鍵を忘れたといえば簡単に開けて貰えた。部屋の中では、顔にパックを張ってグラス片手に優雅に過ごす二乃の姿があった。
「な、なんであんたら......てか鍵は......」
「部屋に鍵を忘れたって私が言ったら開けてくれた」
「ガバガバセキュリティ!!」
「二乃、昨日のことは───」
「出てって!私たちはもう赤の他人よ!」
二乃は馬鹿力で三人を室外へ追い出し、ドアを勢いよく閉めた。
戒斗はドアを掴み、閉められないように堪える。
「お、おい二乃!」
「お前は、誰よりあいつらが、あの家が好きだったんじゃなかったのか」
「知ったようなこと言わないで。こうなったのは全部あんた達の......あんたのせいよ」
戒斗はドアから手を離す。そして閉める際、二乃は忌々しげに呟いた。
「あんたなんて、この世から消えればいいのよ」
「っ、てめぇ───」
「......上杉、一時撤退だ」
「......分かった」
風太郎は奥歯を噛みしめて怒りを抑え、三玖と共にドアから離れた。
「これは仕方ないよ」
三玖に宥められ、三人は解散した。だが、戒斗は二人を見送って廊下に残っていた。
「あんた、いつまでここにいるわけ?」
「お前が家に戻るまでだ」
だが、粘り強く残ったところで警備員に連絡されてホテルから出される。もう一度入ろうとするが、入口前警戒されていたので入れずにいた。正攻法以外の手段を考えているとそのまま数時間が経過し、夜になった。
「こうなれば......奥の手だ」
暗くてあまり人には見られないことを確認し、ダンデライナーを使って二乃の部屋の窓まで上った。
窓を叩けば、二乃に驚かれるが、そのまま無視をされた。
そして戒斗は入れてもらえるまでぶら下がり続けており、根負けした二乃は仕方なく中に入れた。
「......ほら、さっさと出ていきなさい」
「ああ」
「(やけに素直ね......)」
内心驚きながらも顔には出さず、二乃は戒斗を部屋の外に出す。
廊下に出た後、戒斗は一言告げて帰った。
「次は明日だ」
「もう二度と会いたくないわよ」
二乃が話す気もなくただ追い出すだけでは無い、と知れただけでも戒斗にとっては収穫だった。そして帰り道の途中、風太郎からの着信がとんでもない数来ていることに気づいて電話をかけると、焦った声が聞こえた。
『か、戒斗!驚かずに聞いてくれよ。今家に食の化け物が───ぐはっ!』
「おい、上杉?」
風太郎が何者かに携帯を取り上げられたことだけは理解できた。そして次に聞こえた声は正真正銘食の化け物の声だった。
『戒斗さんですか!?』
「......何をしてるんだお前は」
『じ、実はですね、財布を忘れたので上杉君のお家に泊まろうかなと......あ!も、もちろん他意は無いですよ!?浮気とか、そういうのじゃなくて......!ほ、本当は戒斗さんのお家に行くつもりだったんです!でも知らなかったので───』
声の主、五月は彼氏に言い訳する彼女のようにあたふたと言葉を並べ立てる。
戒斗は早口言葉のように喋り続ける五月を落ち着かせる。
「俺とお前はそういう仲じゃないだろ」
『ハッ!そ、そうでした.....で、でもっ!本当にそういうことではないので!』
「分かったから落ち着け。お前がなぜそこにいるのかは聞かないが、戻ってこいよ」
『っ、今回ばかりは二乃が謝るまで帰りません!それではっ!』
一方的に通話を切られ、戒斗は面倒だとため息を吐いて家に帰った。
五月は風太郎に任せようかと思いながらも、不安が消えずにいた。
風太郎達は、夜道を歩いていた。
「で、どこに綺麗な月があるって?」
「少し曇ったせいで消えてしまいましたね......」
「まあどうでもいいけどな」
それを聞いた五月は風情がないですねと呆れた。
「はっ、あんだけカレーを爆食いしてた奴に風情を説かれたかねぇよ」
「し、仕方ないじゃないでしょう......一日ぶりだったのですから......」
「てか、明日には帰れよ。三玖も心配してた」
「......戒斗さんと話している時にも言いましたが、今回は私から折れることはありません」
風太郎は頭を抱えた。ただでさえ貧乏だというのに、よりによって五月が来ては食費が馬鹿にならなくなってしまうと。
「知らん。帰れ」
「も、もう少しだけいさせてください!なんでもお手伝いしますので!」
「じゃあせめて戒斗の家に行けよ!」
「そ、そうしたかったんですが、住所を知らないんです」
「どっちにしても、金持ちお嬢様がうちの生活に耐えられるとは思えん!戒斗の家は知らないけど、お前らより裕福ではないと思うしな!」
五月は問題ないと自信を持って告げた。数年前まで自分達も上杉家に負けず劣らずの生活を送っていたから大丈夫だと。
今の父と再婚するまでの五つ子たちは極貧生活で、母親は女手一つで育て上げたものの、無理をし過ぎたせいで体調を崩してしまい入院したという。
「その頃の私たちはまさに五つ子見た目も性格もほとんど同じだったんですよ」
だから自分が母親の代わりとなり、四人を導くと決めた。決めたはずなのに、うまくいかないのが現状だと窶れていた。
「母親の代わりか......なら俺は、父親の代わりになろう。戒斗にも頼もうか」
「え、ど、どういう意味で......?」
「こんな時お前らの父親は何やってんだって話だ。こういう時こそ父親の出番だろ!これも家庭教師の仕事として割り切るさ」
それを考えると、戒斗があんな態度をとるのも納得かと思い、今度電話する時戒斗に説教でもしてもらおうかなどと考えた。
「あの日京都であの子と出会い、いつか誰かに必要とされる人間になると決めた......俺は、そのために勉強してきたんだ」
感嘆する五月だったが、風太郎が父親というのは少し嫌だと引いていた。それくらい我慢しろと風太郎が噛み付くと、二人の後ろの草陰からガサッと何かが動いたような音が聞こえた。
「今誰かがいたような......」
「怖いこと言わないでください!......あ、ほら見てください。雲が晴れましたよ。本当に今日は綺麗な満月ですよ」
月をバックに美しく微笑む五月を見て、風太郎は目に何の感情も宿さぬ無表情の中の無表情になった。
「やはり、お前はまだまだ勉強した方がいいな」
「な、なんでですか!」
「戒斗、おはよう」
「ああ」
「二乃はどうなった?」
「まだ閉じこもっている。が、話す余地はありそうだ」
「そうか。......五月の方もそんな感じだ。頑張ろうな」
二人は疲れた様子で教室に入った。放課後になり、二人は策を練る。
「俺は四葉をどうにかしねぇとな......ってあそこにいるじゃないか!」
陸上部達と準備運動をする四葉を見つけ、風太郎は全速力で向かっていった。
「戒斗、またな!おい四葉ァァァァ!!」
「ほぎゃあああああ!?!?」
戒斗は風太郎から聞いた四葉に陸上部を辞めさせるためにどうするべきかという課題を残し、二乃を探していた。
「見つけたぞ」
「何?帰れって言うんなら聞かないわよ」
「試験はどうするつもりだ?」
「どうでもいいわ、そんなもの」
二乃の声に起伏はない。ただ淡々と言葉を並べているだけ。話す余地があるとはいえ、連れ戻すのは絶望的かと考えた戒斗は、一旦そのことを頭から離し、五月との仲直りを優先することにした。
「あいつと喧嘩したままでいいのか。本当はお前も元に戻りたいんじゃないのか?」
「前も言ったけど、あんたたちみたいな部外者が立ち入っていい問題じゃないのよ。邪魔」
「お前たちを導く者としてこのままいられては困るんでな。立ち入らせてもらう」
「......そういうとこがいつも鬱陶しいのよ」
二乃の口から漏れた抑えきれない怒り。一瞬だけ出てきたそのドス黒い感情は、戒斗の動きを一瞬止めた。
「あんたなんか、死ねばいいのよ」
二乃はその言葉を残し、戒斗が動きを止めた隙に走って帰っていった。恐らくあのホテルだろうと思っても、入れなければ意味が無い。
「だが、こちらが折れなければどうということはない」
そのままマンションへ向かって走ると、まだ中に入っていない二乃を見つけた。そして戒斗が声をかけるも、睨まれて素通りされた。
「お客様以外の立ち入りはご遠慮願います」
「俺はあいつの家庭教師だ。おい、これからどうするつもりだ」
「あんたには関係ないでしょ。さっさと消えて」
その言葉を皮切りに警備員に道を塞がれてお手上げになってしまった。
「俺は諦めないぞ。お前が振り向くまで、何度だって来てやる」
マンションを出て、とりあえずは二乃が反応するまでは通い続けるという目的を作り、その日は窓から上らず帰宅した。
「おい、さっさと戻ってこい」
「消えて」
「お客様の迷惑ですので、立ち入らないようお願いします」
「いつになったら───」
「警備員さん、こいつストーカーなんで、これからは門前払いしてください」
「ということですので、ご退出願います」
「おい───」
「次来たら警察呼ぶわよ」
「ご退出願います」
「こいつですか?このお嬢さんのストーカーは」
「そうです。しかも常習犯なんです」
「おいお前、お客様の安全のために消え去れ。さもなくば───」
「上等だ。殴りたければ殴れ。だが俺は俺の目的を果たす!何と罵られようが、蔑視されようが、必ずお前を連れ戻すぞ!」
「......キモ」
それからというもの、戒斗は二乃の、風太郎は四葉の件を解決すべく奔走していたが、二乃には悉く追い返され、四葉には逃げられる始末だった。
二人は散歩道にて互いの近況を報告していた。どちらも進展がないことを知り、風太郎はため息を吐いた。
「試験まであと四日......どうしたらアイツらはまとまってくれるんだ......俺がこの池で溺れたら心配して集まってくれたり......」
「おい、考えが危なくなってるぞ」
「......だよな。そもそも、他人の家の姉妹の仲を取り持とうだなんて、俺達には過ぎた役割だったな」
何度も重く息を吐き、諦める以外の手段が見つからない様子の風太郎を見て、戒斗が鼓舞させようとした時、
「また落ち込んでる。やっぱり君達は変わらないね」
女の声が聞こえた。
「上杉風太郎君。駆紋戒斗君」
「ん?」
「誰だ」
二人が目を向けた先には、全体的に白い服にハットを被った髪の長い女がいた。
「久しぶり」
風太郎は目をぱちくりさせて、意識を女に向けた。
「あ、ああ久し......ぶり......だなっ、あ、俺今から用事あるからじゃあな!」
「全然思い出せてないでしょ。君は覚えてる?」
「......ああ」
目の前の女は、徐にお守りを出した。
「これならどう?思い出せた?」
「っ、それは......!」
お守りを見て、生徒手帳を取り出して中に挟んでる写真を出して確認すると、風太郎と戒斗ともう一人。
「京都の......」
「そ」
「え、えっと、元気そうで何より......」
風太郎は目を逸らし、女から逃げるべく駆け出した。
「どうして逃げるの?」
「俺はまだお前には会えない!」
意地でも逃げようとする風太郎の生徒手帳を引ったくり、返して欲しければ言うことを聞けと脅しをかけた。
「卑怯だぞ!」
「そうだなぁ......もう逃げられないように、あれ乗ろっか。君も、ね?」
「拒否権は?」
「戒斗、頼む。乗ってくれ」
後生だと付け加えて必死の形相で頼み込まれ、断れなくなった戒斗はさっさとボートに乗った。
「なあ、なんで戒斗が一人で漕いでるんだ?」
「私は君と話したいから。ほら、あそこに着いたら生徒手帳、返してあげるよ?」
「なんだそりゃ。まあいい、やってやるよ!」
ギーコ、ギーコとボートを漕ぐ音だけが聞こえる。戒斗は適当に漕いでいたが、体力の無い風太郎は数十秒で限界を迎えた。
「......てか、俺お前の名前知らねぇから教えてくれ」
「うーん、そうだな......じゃあ......零奈。私は零奈。五年ぶりだね」
そう言って零奈はニコッと笑った。
そんな時、隣のボートの男はというと、
「......あ?」
名前を聞き、戒斗は重く低い声を出した。
それを聞いた二人は思わず体が跳ねてしまい、ゆっくりと首を動かして戒斗を見た。
「ど、どうしかしたか?」
「......いや、なんでもない」
「そ、そうか。......と、ところで、零奈はなんでここに?」
「......今の君に会うため。聞いたよ。あれから頑張って勉強して学年一位になって今は家庭教師してるんだってね。凄いよ」
まるで経験者のように語る零奈に、風太郎は違和感を感じた。
「聞いたって誰に?」
「こ、細かいことは置いといて。どんな生徒さんなの?教えてよ」
「......信じてもらえるかはわからないが、教えてるのは同級生の五つ子で......」
「うんうん」
話し始めたばかりだが、零奈は食い入るように話を聞く。
「意外に驚かないんだな」
「......あ!い、五つ子って本当にいるんだ!ドラマでしか見たことないよ!」
「そいつらが困ったことに、馬鹿ばかりなんだ。戒斗、お前一花と二乃に関しては俺より詳しいだろ?教えてやってくれ」
「......構わないが」
零奈は戒斗と目が合うとすぐに逸らす。確かに、今の戒斗は怒っていると言われれば納得する程にはしかめっ面で、いつにも増して目付きが鋭くなっていた。
「......長女は、軽い調子で話しかけたりしてくるが、自分の中で確りと夢を追っていてな。叶う可能性は低いが、それでも根気強く追い続けている」
「ふーん、応援してるんだ?」
「ああ、全力でな。そして二女だが......奴はやたらと身内を贔屓する。とはいえ、他人に対して最低限の情は持っているらしい。時たままともに接する時があるが、普段はとんでもない女だ」
二乃を思い浮かべて以前の怒りがぶり返し、ぷるぷる震えている風太郎だが、ボートを漕ぐ際に少しだけかかった水で少し冷静になった。
「とんでもないか......」
「......だが、それは家族を思う故の行動だろうと思う。三女と四女は上杉に聞いてくれ」
「ああ、任された。三女は卑屈でな。最初は覇気のない顔をしてたんだが、今は見る度に生き生きしていて安心している。あと行動力も持ち合わせているから、いざという時は驚かされる。だが馬鹿だ」
良いこと言っているように聞こえたが、最後の馬鹿発言でずっこける零奈。
「そして四女だ。やる気もあって頼りになるが、一番の悩みの種だ。それに......いや、俺の思い過ごしか。こいつはただひたすらに正直で優しい。人が良いと言おうか。だがその良さを利用されるところもある。俺はあの性格をあいつの美点だとは思うが、もう少し嘘をついてもいいんじゃないかと思う。だが馬鹿だ」
「ふむふむ。あ、次で最後だね」
「五女か......」
零奈は、五女の話になった途端、二人揃って少し気分が下がったように見えた。
「ど、どうしたの?」
「いや、五女は戒斗に任せる」
「おい」
「頼んだ。あいつの話をすると食費のことが......」
いい天気の空を見て、五女、五月のことは完全に頭から離した風太郎。戒斗は今の風太郎に声をかけても意味が無いことを悟った。
「五女は真面目で、やたらと飯を食う」
「......そ、それだけ?」
「......暴走すると、止められなくなる。最近は消えてきたが、傷をつけられてな」
「わ、わぁ......そうなんだ......二人とも、真剣に向き合ってるんだね。きっと君たちは、もう必要とされる人になれてるよ」
褒められたものの、風太郎はその言葉を素直に受け取れなかった。
「......いや、俺はあの日から何も変わってない」
「そっか。じゃあ......君を縛る私は消えなきゃね」
「?なんて......」
聞こえなかった言葉を聞こうとした時、噴水の水が勢いよく飛び出た。
「普通に危ねぇ......」
「冷たーい、逃げろー!」
「また俺任せかよ!」
「風太郎君おそーい!」
「少しは手伝え!」
戒斗は、隣のボートで楽しそうに笑う二人を見て、さっさと目的地まで向かった。
「はぁ、はぁ、疲れた......」
「お疲れさま。じゃあ約束通りこれは返すね。でも......これは返してあげない」
零奈の指には、あの写真が挟まれていた。
「なっ、どうして......!」
「私はもう君には会えないから」
「俺を呼び止めておいてどういうことだ!待ってくれ!頼む!」
「......自分を認められるようになったらそれを開けて」
その言葉と意味を聞こうとしたが、零奈は何も言わず立ち去っていく。
風太郎は、零奈を追いかけようとボートの縁に足をかけた時、滑らせてしまった。
「......さよなら」
「おい!!」
だが幸運にも、戒斗がいたおかげで池に飛び込まずに済んだ。
「って、戒斗!」
「お前は奴を追いかけろ!聞きたいことがあるんだろうが!」
風太郎は戒斗の元を離れて辺りを捜すがすでに零奈の姿はなく、戒斗も池に飛び込んでしまった。
綺麗とは言えない水中に沈みながら、戒斗は落ちる瞬間、零奈が言った言葉を考えていた。
「(五つ子を知らないだと......!?ふざけるなよ、あれは間違いなくあいつらの誰かだ!母親の名前を名乗って何を考えているかは知らないが......次会った時は、その化けの皮を剥いでやる!)」