上杉とバナナと五つ子   作:フェンネル

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ヘルヘイム突入

「......長引いたな」

 

結果として、かなりの時間遅れて研究所へ向かった戒斗は中に入る前にバロンに変身し、集合場所へ足を進める。

 

「(……近くにあのマルオとかいう男の気配があった。あの二人に関しては、問題ないだろう)」

 

戒斗はあのまま二人を送り届けようとしていたが、捜索に来たマルオの気配を感じたことで、変に詮索されても面倒という理由から姿を消したのだった。

 

「(大方あの女が連絡したのだろうが......奴ら姉妹は危なっかしくて敵わん)」

 

集合場所に辿り着いたバロンが最初に見た光景は、中々におぞましいものだった。

 

「あ、遅かったじゃないか」

 

寝ているかどうか疑わしい、随分おかしな顔の凌馬が今の今までベルトを弄っていたであろう設備の前で椅子に座り、有能な博士宜しく待ち構えているというものだった。

 

「いかれているのか貴様」

 

「ヘルヘイムの森に行けば栄養は摂取できるじゃないか。案外大丈夫だよ」

 

「ま、今更戦極に常識は通じねぇだろ」

 

「私達のために頑張ってくれてるんです。悪くは言えないでしょう?」

 

そんな凌馬をフォローするように、先に到着していた勇也と零奈もバロンの前に姿を見せた。

 

「マルオはちょっと用事があったからよ、遅れてくるぜ」

 

「ああ......ともかく、準備はできたんだろ?」

 

「バッチリさ。主に耐久面を上げさせてもらったよ」

 

先日の作戦会議の通り、今回の戦いは生き残る方に重きを置いている。

不意打ちにも対応できるよう、凌馬はアップデートを施した。

 

「マルオが着き次第、ヘルヘイムへ向かおうか」

 

「おう!」

 

「ええ」

 

二人は凌馬から戦極ドライバーとメロンロックシード、ゲネシスドライバーとピーチエナジーロックシードを受け取る。

 

「後はマルオにも渡して、変身してから森へ行こう」

 

「そうだな」

 

「わかりました」

 

「すまない。遅れてしまった」

 

凌馬はマルオにゲネシスドライバーとメロンエナジーロックシードを投げ渡す。

 

「これで役者は揃ったね」

 

いつの間にか元気いっぱいに戻った凌馬は立ち上がり、それに続いて勇也、マルオ、零奈は横並びになった。

 

「さて、これから我々は命を懸けた決戦に向かう。各々抱負でも聞いておこうか」

 

「おい戦極。こんな時に変なことを言わないでくれ。抱負なんていらないよ」

 

「俺は敵を全員ぶっ飛ばす!そんで、家族には手出させねぇ!」

 

「おい上杉!」

 

「まあまあ良いじゃねぇか。変に緊張したって逆効果だろ?」

 

勇也にそう言われてため息を吐き、マルオは渋々自身の抱負を述べた。

 

「僕は奴らを殲滅する」

 

「おいおい。それだけかよ?」

 

「......そして、大切な人を二度と傷つけさせない」

 

この時マルオは零奈をチラリと見たのだが、横の勇也がやたらとニヤニヤしていたため、ロックシードを投げつけようとした。

 

「どわっあっぶね!そ、そんじゃ零奈先生も一発頼んます!」

 

「私は......強さを目指します」

 

「お?」

 

零奈らしくない物言いに勇也とマルオは目を丸くした。

 

「そして娘達の幸せを見届けるまで、精一杯生き続けます。その為にこの戦い......必ず生き延びます」

 

そう言い切る零奈を見た二人は、その変化が決して悪いものでは無いと感じ、互いに微笑む。

 

「いいね。熱いじゃないか。では私も」

 

意気揚々と名乗り出る凌馬。

その顔は実に楽しそうだった。

それぞれの顔を見た後、ニヤリと笑う。

 

「壊すためじゃなく、守るために戦おう」

 

その言葉に、三人は気合いを入れ直した。

自らの戦う意味を確認するように。

 

「おう!」

 

「無論だよ」

 

「最初からそのつもりです」

 

「ははっ、それじゃいこうか」

 

四人はドライバーを腰にセットし、ロックシードを取り出す。

そして───

 

 

「「「「変身!!!」」」」

 

 

そう声高らかに宣言し、一斉に開錠した。

 

《メロン!》

 

《メロンエナジー......!》

 

《ピーチエナジー......!》

 

《レモンエナジー......!》

 

現れた四つのクラックから、メロン二つ、ピーチ、レモンが出現した。

そして各々のドライバーにロックシードを嵌め込み、施錠し、勇也はカッティングブレードを倒し、マルオ、零奈、凌馬の三人はシーボルコンプレッサーを押し込む。

 

《ソイヤッ!》

 

《ソーダ!》

 

すると上空に現れたフルーツは、それぞれ四人の頭に落ちた。

四人の体をスーツが纏い、フルーツが開き、果汁が飛ぶ。

 

《メロンアームズ!天下御免!!》

 

《メロンエナジーアームズ!》

 

《ピーチエナジーアームズ!》

 

《レモンエナジーアームズ!ファイトパワー!ファイトパワー!ファイファイファイファイファファファファファイト!!》

 

そんな音声が流れ、果汁が飛びきったかと思えば、四人がいた場所には

「アーマードライダー・斬月」

「アーマードライダー・斬月・真」

「アーマードライダー・マリカ」

「アーマードライダー・デューク」

の姿があった。

その中で一番最初に動きを見せたのは斬月だった。

 

「にしても、趣味悪い音声だぜ。露骨にレモンだけ贔屓しやがってよお」

 

自分のベルトを叩きながら、デュークに愚痴っている。

 

「君だって天下御免があるじゃないか」

 

「短ぇだろ!」

 

「長ければ長い程良いなんてものじゃないよ、上杉」

 

変な音声がなくて良かったと言わんばかりに腕を組む斬月・真。

そんな二人に対し、無理矢理話を逸らすようにデュークは手を叩いて視線を集める。

 

「とりあえず、戦いが終わったらご飯でも食べに行こうか。バロンも一緒に」

 

「何?おい───」

 

「良いなそれ!そんときはお前、顔見せろよ!」

 

止めようとするバロンと、ノリノリの斬月とデューク。

斬月・真もどちらかと言うと肯定派のようで、残されたマリカにバロンが視線を向けると、彼女は小声で言った。

 

「(戦いが終わった後なら、正体を知られても大丈夫でしょう?)」

 

「(そういう問題じゃないが......)」

 

「なんて、あーだこーだ話してちゃ進まない。さっさと森に入ろう」

 

「うし!」

 

「今回乗るやつはハンドルを捻るとすぐ森に行っちゃうから、振り落とされないようにしっかり掴まっといてくれよ」

 

ロックビークルを二台用意し、跨る斬月と斬月・真。

 

「誰でも良いから後ろに乗ってくれ!人数は二人と三人な!」

 

「零奈先生、僕の後ろに」

 

「ええ。失礼します」

 

マリカは斬月真の後ろに乗り、腰に手を回して掴まる。

 

「おっしゃー!戦極、バロン!来い!」

 

「ふざけるなよ貴様!」

 

「早く乗るよバロン!」

 

バロンは抵抗を無視され強引に三人乗りの形に持っていかれ、ほぼ引き摺られる形で森に入っていった。

 

「うおおおおおおああああ!」

 

男三人がやたら騒がしいのを見て、斬月は呆れると同時にマリカを気遣って最大限安全に森に侵入した。

 

 

 

 

 

○○○○○

 

 

 

 

 

「......よっしゃ!侵入成功!」

 

「貴様ら、ふざけた事を......!」

 

「ま、一先ず第一関門突破だね」

 

デュークが隣を見ると、既にロックビークルから降りた斬月・真とマリカの姿が。

 

「見た感じ、近くに敵の姿はない。良い距離を保ちながら森を散策するのが得策だと思うよ」

 

「一番後ろは上杉に、一番後ろはバロンに任せるよ」

 

「零奈先生、戦極の後ろに」

 

「ありがとうございます」

 

五人は前から斬月、デューク、マリカ、斬月・真、バロンの順で歩き始めた。

その並びで森を歩き進めている五人だが、敵が一向に見つからない。

 

「さっき変な音は聞こえたけどよ、敵が出てこねぇな......やっぱ少なくなってんのかな」

 

「だろうね。数が多くてもこちらが粘ればいずれ趨勢は変わる。それなら我々を倒せるよう個々を強化した方がいい。量より質だよ」

 

「なるほどなぁ」

 

「そりゃあどこかに潜んでいる可能性もあるけど、五人全員を欺くのは難しいんじゃないかな」

 

「確かに───!」

 

などと行っているそばから、どこからが攻撃が飛んでくる。

エネルギー弾の様なものが。

 

「甘いぜ!」

 

その攻撃をメロンディフェンダーで防ぐ斬月。

すかさず攻撃の飛んできた方を無双セイバーで銃撃する。

 

「隠れてねぇでさっさと出てこい!」

 

だが既に敵の姿はなく、銃撃は無駄に終わる。

それでも斬月は敵の位置を捉えたらしく、デュークから受け取ったソニックアローで矢を放った。

 

「ヤロー、中々素早いぜ」

 

「だが今ので全員、敵を目視で確認できた」

 

全員が見た敵の姿は、全身が緑且つ杖を持った他のインベスとは明らかに違う見た目の異形の存在。

 

「こんなに早く見つけられるとはなぁ、お頭さんよぉ!!」

 

「初めましてかな?オーバーロード......レデュエ」

 

斬月から返されたソニックアローを構えるデューク。

その隣で自身とデュークを守るようにメロンディフェンダーを構える斬月。

レデュエは特に戦いに備える様子もなく、一言だけ告げた。

 

「お仲間は良いのかな?」

 

斬月の耳元で。

 

「っ、オラァ!!」

 

レデュエの声が聞こえた瞬間、斬月はすばやく回転して無双セイバーを食らわせようと勢いよく振るった。

それをレデュエは瞬間移動で容易く回避する。

 

「チッ、すばしっこいヤローだな」

 

「(しかし、さっきの言葉......一体何の事を......)っ、上杉、周りを見ろ!」

 

「あ?......マジかよ、こいつは......!」

 

デュークの言葉に従って周りを見た斬月。

嫌な汗が流れるも、すぐにデュークと背中合わせになる。

 

「いつの間に......てめぇ!あいつらに何しやがった!」

 

「フフフ......お前達はいつ壊れるのかな?」

 

「こっちの話ィ聞きやがれ!!」

 

「私と遊びたかったら、先にそいつらを何とかしてみなよ」

 

斬月とデュークの周りには、二体の進化した、半オーバーロードとでも呼ぶべきインベスがいた。

 

「二人でね」

 

一体は腕が四本と羽の生えた敵。

もう一体はまるで筋骨隆々な蛇のような体に、無数の棘が生えた敵だった。

二体共に地球の言葉を発しておらず、咆哮を上げるだけだった。

更にその周りには、かなりの数のインベスがいる。

 

「(マルオや中野君。戒斗くんの敵の数も気になるところだが......そんな余裕は無いな)」

 

「強ぇ奴がいちまうと、雑魚の群れも結構まじーな......」

 

この状況では斬月も普段の様子ではいられずにいた。

脈が早くなっている。

 

「(っ、ヤベェ......)」

 

緊張感が全身に張りつめていた。

地球でこれ程の数のインベスが現れたことは無いので、斬月にとっては初めての数の暴力である。

 

「おい戦極、俺らは───」

 

「ま、元より出会った敵は全部倒すつもりだからね。上杉、覚悟はいいかい?」

 

「!」

 

圧倒的不利な状況ながら、デュークは弱気な様子を一切見せない。

そんな彼が横にいるからか、斬月は肩の力を抜くことができた。

 

「ヘッ、上等じゃねぇか!ぶっ潰してやらぁ!」

 

「いいね、いつもの君だ。それじゃ、宣戦布告だよ!」

 

《ロック・オン!レモンエナジー!》

 

デュークはソニックアローにロックシードを嵌め込み、圧倒的火力の一撃を、回転しながらインベスの群れに叩き込んだ。

ほぼ不意打ちに近いそれを食らったインベスはまとめて爆散し、大きな爆炎が立ち上った。

 

「雑魚をいくら用意しても無駄だよ。オーバーロードともあろう者が、随分こちらを軽く見ていたようだね」

 

「流石だな、戦極!」

 

「まあね。さて、インベス諸君───」

 

爆炎の中、残った二体の半オーバーロードを見て、デュークは人差し指を立てて挑発した。

 

「始めようか」

 

 

斬月&デュークVS四腕羽&棘蛇、開戦。

 

 

 

 

 

○○○○○

 

 

 

 

 

「貴様ら、派手に動くな!」

 

斬月とデュークがいなくなったことに気づいた瞬間、斬月・真、マリカ、バロンの三人は動きを止めた。

 

「いつ別れたのか......いや、いつから幻を見せられていたのかは知らんが、少なくとも貴様ら二人は本物だと確信できる」

 

二組とも、互いがいつからいなかったのかすら理解出来ていなかった。

 

「ああ。分断されるとは思っていなかったが、幸い一人にはされていない。ということは、僕達にもやりようはある」

 

「ともかく、互いのそばを離れる訳にはいきませんね」

 

二人と同じように背中合わせで円形になり、敵の姿を見つけようと周囲を見渡す三人。

 

「敵の姿はどこに......ぐあっ!」

 

ソニックアローを構えていた斬月・真だったが、何者かからの見えない攻撃をもろに受けてしまった。

 

「中野君!......きゃあっ!」

 

斬月・真を心配した瞬間を狙われ、マリカも何者かの攻撃に吹き飛ばされてしまう。

 

「零奈先生!」

 

慌てて駆け寄る斬月・真。

マリカはすぐに起き上がり、ソニックアローを構える。

 

「私は大丈夫です。強化されているスーツのお陰か、ダメージは殆どありません」

 

「良かった......バロン!気をつけてくれ!敵は確実に、人体の急所を狙ってくる!」

 

「貴様らは互いを守れ!俺は問題ない!」

 

「っ、分かった!」

 

バナスピアーを構え、見えない敵の攻撃を警戒するバロン。

当たりをどれだけ見渡しても、敵の姿は”全く”見えない。

 

「チッ、こいつら───うぐっ!」

 

その時、バロンの体を無数の衝撃が襲った。

マリカと同じように吹き飛んでしまう。

そしてすぐに立ち上がり、攻勢に出ようとする。

 

「(どこだ......どこにいる!)......っ!」

 

だが、間髪入れずバロンへ向けて二度目の攻撃が始まった。

 

「っ、ナメるなあっ!」

 

衝撃を食らって仰け反るバロンだが、カッティングブレードを無理矢理一回倒した。

 

《バナナ・スカッシュ!!》

 

「零奈先生、飛んでください!」

 

「はい!」

 

辺り一面を薙ぎ払うようにスピアビクトリーを発動するバロン。

それに当たらないように上空に飛び上がるマリカと斬月・真。

その中で敵の感触が無いことを察した二人はソニックアローの弦を引き、さらに上空に向かって思い切り矢を放った。

すると矢は上空に向かう途中、何かに弾かれてしまう。

 

「間違いない。少なくとも上空に一体いる!」

 

「中野君。まずは上空の敵を見えるようにしなければ、恐らくは......」

 

敵の姿を確認するための策を三人が考え始めた途端、敵は姿を見せた。

 

「なに!?何故自分から───」

 

その姿はアルマジロに酷似しているものの、大きさは熊ほどはあろうかと言う巨大なインベスだった。

そんな怪物が、攻撃のため狙いを定めるような動きを見せている。

 

「(それにしてもこの怪物、相当厄介だ。バロンの考えを呼む知能に、あれ程高く跳べる身体能力......こちらの有利に持ち込まないと、まずいかもしれない)」

 

「(少なくとも、一対一ではこちらが断然不利。数的優位だけは確保しておかないと......)」

 

三対一であれば勝率は高いと考える二人。

だがその状況が作れないことは、薄々察していた。

 

 

「「「(この怪物とは別に、透明に見せている敵がいる!!)」」」

 

 

「零奈先生。申し訳ありませんが、敵の捜索をお願いします」

 

マリカの前に立ち、敵───クマジロを観察する斬月・真。

 

「こいつは、僕とバロンで片付けます」

 

「わかりました。すぐに見つけ出します!」

 

すぐに戦闘から索敵へ切り替えたマリカ。

バロンは斬月・真の横に立ち、クマジロを見据える。

 

「近距離は君に任せきりになる。しかし、奴に急所のようなものが存在するなら、攻めようはあるのに......」

 

「フン、御託はいい。貴様はさっさと弱点を見つけろ」

 

そう言ってバロンはクマジロに立ち向かう。

だがその力は強大で、圧倒的な甲羅の防御力からバナスピアーは弾かれてしまう。

 

「(敵の力はアルマジロの甲羅と、あの巨体から繰り出す凄まじいパワー。力押しに特化した生物なのか......スピードもかなりのもの。バロンも凌げてはいるが、敵にダメージは与えられずにいる......)」

 

斬月・真は戦いを観察しながら、バロンの攻撃の隙間を縫うようにソニックアローを放つ。

 

「(狙うは四肢!)ハッ!」

 

斬月・真は四発矢を放った。

しかしクマジロは矢に当たる直前、体を丸めて巨大な球体になって矢を跳ね返す。

 

「攻撃が通じない......こちらの課題は火力不足ということか」

 

斬月・真はどんな形であれ、クマジロを無力化する方法を考える。

変わらずバロンのサポートをしながら。

クマジロは矢が通じないにしても必ず丸まって防御姿勢をとる。

 

「(一応、時間は稼げているはずだが......)」

 

つまりその分バロンが攻撃される時間は少なくなる。

その最中も斬月・真は弱点を探し続け、バロンはクマジロとの戦闘を続けている。

撃ち合う中でバロンはクマジロにそれ程の知能がないことを悟る。

 

「(力任せなだけだ!だが───)ぐあっ!」

 

それでも、その力任せが今はとてつもない脅威であり、ゴリ押しでバロンはどんどん消耗していく。

事実、防御はできても確実に削られてしまっていた。

 

「(くそっ、このままでは仕留めきれん!なら───)」

 

《デザイア・フォビドゥン・フルーツ!》

 

バロンはリンゴアームズに変身し、クマジロの攻撃を防御した上で、ソードブリンガーを思い切り振り下ろした。

クマジロが丸まってもお構い無しに、力一杯。

 

「ギャッ!」

 

すると驚くべきことに、クマジロの甲羅に切り傷ができた。

クマジロはたまらず甲羅を開き、怒りの咆哮を上げてバロンに攻撃を仕掛ける。

 

「つまり......こいつの弱点は斬撃か!フンッ!」

 

バロンは攻撃を食らう前にもう一度敵を───甲羅の内側、クマジロが丸まった時に隠れていた部分を切りつける。

ダメージを確信して。

 

「これなら───何!? 」

 

が、クマジロに斬撃のダメージを受けた様子はなく、驚いたバロンは攻撃を食らってしまった。

 

「ガハッ!」

 

アップルリフレクターが間に合わず吹き飛ばされ、地面を転がるバロン。

それを見た斬月・真は追撃させるまいとすかさず矢を放つ。

 

「グギャッ!!」

 

バロンに怒りを覚えていたのかクマジロは斬月・真に気づくことなくそのまま矢を内側に食らった。

すると一気に食らったことでダメージがあったのか仰け反り、そのまま倒れ込む。

 

「バロン、大丈夫かい?」

 

「問題ない。それよりも......」

 

「ああ、勝ち筋が見えてきたよ。都合良く、我々の武器が奴に刺さるらしいね。しかも、今まで攻撃してた場所の”反対側”に」

 

バロンはアップルリフレクターを構え、これから敵から受けるダメージを最小限にする且つ甲羅を切り刻むことに、斬月は敵の”内側”を矢で撃ち続けることに目的を絞った。

 

「甲羅に斬撃、内側に矢。つまり......挟み撃ちの形になるね」

 

「奴に大した知能はない。こちらの策を知ったところで暴れ回るだけだ。貴様に攻撃がいくことはないだろう。俺が奴の後ろに回る。貴様はその補助だ!」

 

「了解!!」

 

反撃開始の狼煙が、上がった。

 

 

 

 

 

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