偽ルフィが本当にモンキー・D・ルフィに似ていたら   作:身勝手の極意

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そういえば、尾田先生はONE PIECEの刀、業物達を全て出すつもりでいるのかな?

単行本ももうすぐ100巻だけど、最上大業物は十二本の内の三本、夜、むら雲切、初代鬼徹しか明らかになってないし、初代鬼徹は所有者不明。

大業物も二十一本の内、五本。
和道一文字、秋水、二代鬼徹、天羽々斬、閻魔。

良業物に至っては、五十本の内の三本のみ。

全て出るのか?



新時代。赫い猿皇帝

 

 

 最も排除すべき海賊。

 

 この大決戦で、海軍と世界政府に間違いなくそう認識されたデマロ・ブラックは、己が最も危険な状況でありながらも、火拳のエースと麦わらのルフィを無事にこの島から逃がす為に奮闘していた。

 

 だが、世界最強の海賊"白ひげ"エドワード・ニューゲートがついに死んでしまったことで状況が一変してしまった。

 

 白ひげにトドメを刺したのは、この決戦に唯一参加していなかった七武海のルーキー"黒ひげ"マーシャル・D・ティーチ。ブラックが賞金首になってしまった元凶───因縁深い敵だ。その黒ひげが、マリンフォードに姿を現したのである。

 

 しかも、その黒ひげが何故か白ひげの"グラグラの実"の能力を使っているではないか…。

 

 その瞬間、ブラックの中で何かがキレた。

 

 初めて心から憧れ、ブラックは白ひげに対して少年のような心でカッコイイと思った。その白ひげの能力をブタのような薄汚い男が使っているなど、ブラックが許せるだろうか…。

 

 答えは否。

 

 ブラックは引き返した。全力疾走ならぬ全力疾飛だ。

 

 

「よォ、黒ブタ野郎。会いたかったぜェ!」

 

 

 そして、白ひげの薙刀"むら雲切"(最上大業物)を手に取り、ブラックは黒ひげに突き刺した。

 

 ブラックは心の中で白ひげに謝罪する。長年愛用した薙刀を勝手に借りたことを…。それと同時に、心の中で勝手に誓う。白ひげの薙刀に相応しい男になることを…。

 

 

「薄汚ェブタが白ひげの力を使ってんじゃねェよ!!」

 

 

 黒ひげのせいで賞金首になってしまった───その一件に対して以上の怒りが爆発している。

 

 

「く、クソッタレがァ!猿の分際で調子に乗りやがって!」

 

 

 覇気を纏わせた薙刀と、振動を纏わせた拳。

 

 どちらも元々は白ひげの力。それらが別々の者の手に渡り衝突する。

 

 

「くたばりやがれ黒ブタァァァ!!」

 

「くたばんのはテメエだ赤毛猿!!」

 

 

 その瞬間、とてつもなく大きな衝撃が巻き起こり、辺り一帯が一瞬にして破壊されてしまう。

 

 あまりにも大きな衝撃は近くにいた黒ひげの仲間達すらも吹き飛ばしており、これでは当人同士達もただではすまないはずだ。

 

 いや、どちらかというならば、不利なのはブラックの方だったかもしれない。直撃すればどんな武装も意味を成さずに破砕する超人(パラミシア)系悪魔の実の中でも最強の攻撃力を有するとされている"グラグラの実"の振動エネルギーを間近で受けたのだ。

 

 大将相手に大きな傷も負うことなく生き延びたブラックも、覇気を纏わせた攻撃で応戦したとはいえ、白ひげの力を至近距離で受けてしまっては無傷なはずがない。

 

 

「ぐゥ…はァ、はァ、ゼハハハハ、さすが…この短期間で7億超えの賞金首になるだけあるぜ。

 効いたぜェ赫猿ゥ。だが、残念だったな。テメエじゃオレには勝てねェ──絶対にな、ゼハハハハ!!」

 

 

 土煙がまだ晴れないなか、響いた声は黒ひげのもので、土煙越しに見える体の大きさからも、黒ひげが倒れていないことは明らかだ。

 

 しかし、ブラックの姿はまだ確認できない。

 

 

「赫猿ゥ、もう一度だけ言うが…オレの仲間になれ」

 

 

 ただ、黒ひげにはブラックの姿が見えているのか、バナロ島で出会った時と同じように、再びブラックを仲間に勧誘し始めた。今の攻防で、改めてブラックに対して殺すには惜しい男だと思ったからだろう。

 

 7億超えの高額賞金首。海軍大将とも渡り合える能力者で覇気使い。

 

 明らかに四皇幹部クラスの実力。いや、もしかしたら幹部クラスすらも超えつつあるかもしれない。

 

 

「殺すにゃ惜しい」

 

 

 しかも、古代文字まで読めるときた。

 

 海賊王を目指す海賊にとって、喉から手が出るほど欲しい逸材だ。

 

 

「テメエがいりゃあ、()()()()も手に入るからなァ」

 

 

 神の名を冠する古代兵器と呼ばれる存在は、島一つを消し飛ばすとも、世界を海に沈めるとも言われ恐れられている禁断の兵器でポーネグリフ(歴史の本文)にその在り処が記されているとされている。

 

 つまり、古代文字が読める者は、古代兵器の在処を知ることができるということだ。

 

 そして、古代文字が読めるのはこの世界にたった2人。ブラックとニコ・ロビンのみ。

 

 この海───世界の支配を目論む者にとって、古代文字を読める者は必要不可欠。その者が強いのなら尚のこと欲しいだろう。とはいえ、ブラックもロビンもそういった輩の仲間になるつもりなど決してない。

 

 だが、黒ひげは海賊だ。仲間にならないのなら無理矢理従わせるまで。ブラックを従わせるのは骨が折れるだろうが、女のロビンなら簡単だと思っているだろう。

 

 

「まァ、テメエはどうせまた断るんだろうがな。

 惜しい存在だが殺して、幻獣種の能力だけ奪わせてもらうぜェ。オレの仲間の誰かが有り難く使ってくれるだろうしな!古代文字もニコ・ロビンがいりゃあ、どうにかなる。かなりの美女って噂だから──オレの女にしてやるぜ、ゼハハハハ!!」

 

「あ?」

 

 

 それが、ブラックの逆鱗に触れてしまったことなど知らずに…。

 

 土煙がようやく晴れた先では、振動の衝撃波を受け怪我を負ったブラックが地に膝を突いていた。しかし、黒ひげに向ける瞳は怒りで満ち溢れている。

 

 

「ゼハハ、まだ闘志は消えてねェな。

 振動の衝撃波を受けてその程度の傷で膝を突いてるだけですんでるのは誉めてやるが、テメエじゃ何をしようともオレには勝てねェ!!」

 

 

 そのブラックを、黒ひげはもう一つの悪魔の実の能力で手元に引き寄せ、ブラックの胸ぐらを掴む。2メートルを超える身長のブラックだが、彼よりも1メートルも大きい黒ひげからしたら、持ち上げるのも余裕だろう。

 

 

「ゼハハハハ、オレに触れられたら──言うまでもねェよなァ。もうテメエは知ってんだからよォ」

 

 

 黒ひげが仲間殺しの末に手に入れた力。自然(ロギア)系"ヤミヤミの実"。悪魔の実の歴史上最も凶悪な力を秘めているとされており、その能力は自身の体から闇を展開することができ、その闇に触れたあらゆるものを、光をも逃さない強力な引力で引き込み、更には悪魔の実の力をも引き込むという特性───能力者に対して、能力そのものを無力化するという、ジョーカー染みた能力を持っている。

 

 ブラックもこの力をバナロ島で目にし、その身で味わっている。バナロ島では、エースが自ら囮となり逃がしてくれたことで事なきを得たが、代償としてエースが海軍に捕まってしまうという、ブラックにとっては非常に苦い記憶だ。

 

 ブラックはこの短期間で黒ひげとの因縁が多い。一度目の邂逅では得体のしれない力に敗北してしまった。しかもそれだけでは終わらず、黒ひげのせいで賞金首にされてしまった。

 

 そして今、二度目の邂逅では、ブラックが生まれて初めて心から憧れた白ひげの能力を黒ひげが奪い取り使っている。更に、黒ひげはロビンを求め、自分の女にしようなどと口にした。

 

 

「ん?」

 

 

 さて、ブラックはこれからいったいどうするのか…。

 

 ブラックの怒りは今、頂点に達している。

 

 

「ぐあァァァァ!!」

 

 

 己の胸ぐらを掴むその腕をブラックが掴むと、薄汚い毛むくじゃらの腕から骨が折れた音がハッキリと聞こえた。

 

 ヤミヤミの実の能力で幻獣種の能力を封じ込められたブラックが、力で黒ひげの腕の骨を折ったのである。

 

 

「こ、この赤毛猿がァァァ!!」

 

 

 痛みで叫ぶ黒ひげはブラックを決して放さず、胸ぐらを掴んだ状態のままグラグラの実の力を叩き込もうと腕を振り抜く。

 

 

「んなッ!?」

 

 

 だが、その一撃をブラックは脚で防いでいた。

 

 しかも驚くべきことに、黒ひげの能力がまったく()()()()()()()、黒ひげはただ腕を振り抜いただけで、黒ひげ本人も何が起きたのかまったく理解できていない。

 

 すると、仕返しだと言わんばかりに、()()()()()()()()()ブラックが地に突き刺さっていた白ひげの薙刀を掴み、そのまま腕を戻して再び黒ひげへと突き刺した。

 

 

「ぎゃあァァァァァ!!」

 

 

 ブラックは今、黒ひげに触れられて幻獣種の能力は使えなかったはず…。それなのにいったい何をしたのか…。

 

 黒ひげも理解できていないようで、さすがに薙刀で再び突き刺されたのが効いたのかブラックを放してしまう。

 

 

「な、何をしやがったァ!?

 オレに触れられている間、能力者は能力を使えねェんだぞ!!」

 

 

 ブラックが黒ひげの腕を折った時に何をしたのか…。

 

 

「能力を過信しすぎだ。それと、能力に頼りすぎだ黒ブタ」

 

 

 いったい己の身に何が起きたのか理解できていない黒ひげは、ブラックに得体のしれない恐怖を感じているだろう。

 

 ブラックの身から放たれる覇王色の覇気に、黒ひげは背筋が凍る、身の毛もよだつ恐怖を感じている。

 

 

「ああ、まだ他にもあった」

 

「くッ、今ここでブッ殺す!!」

 

 

 振動の衝撃波を纏った拳を、再びブラックに向けて黒ひげが放つと、ブラックは黒い稲光のようなものを薙刀の刀身から迸らせながら振り抜き、真っ向から勝負を挑む。

 

 

 

 

 

極意・覇王武装

 

 

 

 

 

 武装色の覇気の高等技術"内部破壊"。

 

 武装色の覇気の基本でもある武装硬化を体得した者は新世界に多く存在するが、更にその先にまで至った者はきっと少ないだろう。ブラックが短期間でそれを体得できたのは、冥王レイリーの地獄の扱きがあったからで、彼自身がそれを乗り越えた努力の賜物でもある。

 

 敵や物体の内部に到達し、内側から破壊することが可能な強力な力。だが、この力には更に上があった。

 

 いや、正確にはブラックが自ら扉を抉じ開けたのだ。

 

 相手を威圧する覇王色の覇気を内部破壊の力に併せることで、ブラックは黒ひげの()()()()()した。

 

 

「言ったろ。テメエに白ひげの力は不釣り合いだってな。あ、ついでに言っとくが、ニコ・ロビンもテメエには不釣り合いだからな。オレの女にする?笑わせんな黒ブタ」

 

 

 ブラックは黒ひげのその身に宿った悪魔の実の能力を内部破壊と覇王色の覇気を併せた力で威圧し、能力を一時的に弱体化させてヤミヤミの実の能力封じの力から逃れたのである。

 

 だからブラックは、黒ひげに触れられていても能力を使って腕を伸縮させることができた。ただ、ここで雷の力を使って至近距離で大ダメージを与えなかったのは、ヤミヤミの実の力を弱体化させることはできたが、恐らく能力の一部の力しか引き出すことができず、雷の力は使えなかったからだろう。

 

 もっとも、薙刀による一撃も十分に大きく、黒ひげはこの薙刀───最上大業物"むら雲切"で本日三度突き刺され、更には斬り裂かれてしまう。

 

 二度あることは三度あり、四度目もある。

 

 

「ぐあァァァァァ!!」

 

 

 振動の力も内部破壊と覇王色の覇気の併せ技───極意・覇王武装で弱体化され、今度はブラックの薙刀が黒ひげを斬り裂き形勢逆転だ。

 

 

「その汚れた手でロビンに触れられると思うな。寧ろ触れさせねェがな。何かする前にその腕、斬り落としとくか?

 それとも、ロビンに何もしねェように去勢でもしとくか?玉でも潰しとくか?どれがいい?」

 

 

 ロビンを自分の女にすると宣ったのが黒ひげにとっては運の尽きだったのかもしれない。決して言ってはならなかった。

 黒ひげは、虎ならぬ猿の尾を踏んでしまったのだ。それも凶悪な猿の尾を…。

 

 

「つっても、白ひげの薙刀でテメエの汚いモンを斬り落とすのも気が引けるな」

 

「く、クソッタレがァァァ!!」

 

 

 しかし、この状況が受け入れられない黒ひげは、怒り任せに大気を殴りつけ、大気にヒビを入れ大きな衝撃波を放つ。それをブラックは覇気を纏った薙刀で斬り裂き、黒ひげの胸に深い斜め十字の傷を刻みつける。

 

 

「ゴワアァァァ!!

 アァァァァァ、い、痛ェェ、こ、このクソ猿がァァァ!」

 

「テメエじゃ白ひげを超えられねェよ──絶対にな」

 

 

 己の身長よりも遥かに大きい薙刀を手に、ブラックは柄を地に叩きつけ強く言い放つ。

 

 そこに立っているのが白ひげだと錯覚してしまうような、その立ち姿が白ひげを彷彿とさせる。

 

 同じ白ひげの力を受け継いだ者でも、どうやらその差は天と地の差があるらしい。

 

 黒ひげは最強の力に焦がれ、白ひげから奪い取ったが、白ひげのように世界を滅ぼすほどの力を引き出せずにいる。

 

 しかし、ブラックはどうだろうか…。白ひげの薙刀を手に、白ひげを彷彿とさせる姿を見せつけている。グラグラの実の力は白ひげの力の一端に過ぎないのだと語っているかのようでもある。

 

 全てに於いて、黒ひげは白ひげに及ばない。

 

 

「船長!?」

 

 

 黒ひげのもとに戻ってきた部下達も、グラグラの実の力を得たにも関わらず追い込まれている黒ひげを目の当たりにし、驚かずにはいられなかっただろう。

 

 このまま、ブラックが雪辱戦を制するのか…。

 

 駆けつけた部下達もボロボロの状態だ。しかも、ブラックと黒ひげの激突の余波で吹き飛んだ際にそうなったというわけではなく、それに駆けつけたのではなく逃げてる真っ只中だったようだ。

 

 黒ひげ海賊団に新たに加入した大監獄インペルダウン最下層"レベル6"の脱獄囚4人と、インペルダウンを裏切った元看守長を海軍が見逃すはずもない。

 

 元帥センゴクと英雄ガープの他、海兵達に追い込まれ、撤退を余儀なくされている。

 

 

「!

 チィ、センゴクとガープかよ。さすがに伝説2人の相手はテメエ等が揃っててもまだ無理か」

 

 

 黒ひげ海賊団、崩壊の危機。

 

 そして、このままトドメを刺すのはブラックなのか…。

 

 

「このまま大人しく──!?」

 

 

 頂上決戦も終幕間近。だが、終わってみるまで結果は分からない。事態は急激に変化するのだ。

 

 あともう少し。

 

 ただ悲しいかな───研ぎ澄まされた状態の見聞色の覇気が危機を察知してしまう。

 

 

「くそッ、()()()()()()()()かよ!!」

 

 

 獲物を前にブラックは選択を迫られる。

 

 






覇王色って、威圧以外に何かないのかと思い、色々と考えてみました。

極意・覇王武装
武装色の内部破壊との併せ技だけども、相手の内部にまで至った威圧感が悪魔の実の能力を一時的に弱体化させる。

黒ひげ戦、リベンジは果たせそう!!と思いきや、まだ大将3人が執拗に誰かを追っており、ブラックはどう動くか選択を迫られ…。

次で頂上決戦編は一区切り。

頑張るので感想と喜ぶ評価よろしく!!

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