偽ルフィが本当にモンキー・D・ルフィに似ていたら   作:身勝手の極意

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オレは弱い──そう叫ぶのはいったい…。

そういえばふと思った。ロビンヒロインにしたら、モモの助くん大ピンチじゃない?←理由は分かるよね?



最悪で最悪な海賊団結成編
最悪の結成


 

 

 四皇"赤髪のシャンクス"の介入によって終結した頂上決戦。

 

 多くの者達の血が流れ、世界に与えた影響は大きい。

 

 世界は今、混沌と化している。

 

 戦争が終結してすぐ、すでに"白ひげ"エドワード・ニューゲートがナワバリとしていた島の幾つかが、一般市民相手の殺し、略奪を厭わない海賊達によって荒らされ始めてしまったようだ。白ひげという抑止力を喪ってしまった影響は果てしなく大きい。

 

 "火拳"ポートガス・D・エースの処刑には失敗したが、白ひげは死んだ。そこだけ見ると、海軍が勝利したように思えなくもないが、歴史がそうであるように、情報は巡るほどに削ぎ落とされる。海軍の勝利と、白ひげの死、頂上決戦の終結が海風に躍る。

 

 人々は気付かない───戦争の終結がもたらすものは必ずしも平和ではないのだ。

 

 エースの公開処刑がもたらした余波はとてつもなく大きい。赤髪のシャンクスと百獣のカイドウの小競り合いもその一つ。そして、エースを救う為に、大監獄インペルダウンに侵入したモンキー・D・ルフィが最下層"レベル6"から元七武海のジンベエとクロコダイル他、レベル5などから革命軍のイワンコフ、イナズマなど、大量の囚人達を脱獄させてしまうという前代未聞の集団脱獄事件も頂上決戦と同時に起きてしまった。

 

 だが、これはまだ可愛い方だ。

 

 何故なら、ルフィがインペルダウンを脱獄した後に、更なる大事件がインペルダウンでは起きていたのである。

 

 その主犯は"黒ひげ"マーシャル・D・ティーチ。七武海の権限を利用してインペルダウンに入り込んだ黒ひげは、世間からその存在を揉み消され、1人たりとも絶対に世に出してはならない世界最悪の犯罪者(レベル6の死刑囚)達を仲間に引き入れてしまったのだ。

 

 しかも、レベル6からの脱獄者はその者達だけではない。

 

 それと、気になる点がある。その一件がまったく公になっていないのである。最下層レベル6の囚人ともなれば、たった1人でもどこかの国に紛れ込むだけで人々への被害は甚大だというのに…。

 

 この一件は、明らかに意図的に隠されている。

 

 恐らく、世界政府による指示だろう。政府の信用に関わるという、下らない面子による隠蔽。実に下らない真似をしてくれるものだ。賢い者達はきっと気付いている。世界政府と海軍への信頼も皆無に等しいだろう。

 

 海軍は、この頂上決戦で勝利などしていない。そして、見方によってはこの混沌を招いてしまったのは海軍でもある。

 

 弱き者を守るはずの海軍がこの有り様。世も末───この世界に救いはあるのだろうか…。

 

 世界は大きく荒れ、誰にも止められない新時代が到来してしまった。

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 頂上決戦より1週間が経過した。

 

 

「よォ」

 

「え、ブラ男とレイリーのおっさん!?」

 

 

 場所は"凪の帯(カームベルト)"に存在する女ヶ島"アマゾン・リリー"。

 

 本来は男子禁制の島なのだが、アマゾン・リリーの女帝ボア・ハンコックの厚意によって、生き延びたモンキー・D・ルフィ、ポートガス・D・エースの兄弟2人は療養を目的とした滞在を許可されていた。

 

 その2人のもとに、"冥王"シルバーズ・レイリーと話題沸騰の新進気鋭の孤高の大海賊"赫猿"デマロ・ブラックが突如として現れた。頂上決戦終結後、シャボンディ諸島にいるレイリーのもとへ戻ったブラックは、ルフィが女ヶ島にいる可能性を聞き、一目その姿を確認する為にやって来たようだ。

 

 当然、"冥王"レイリーと、頂上決戦の暴れっぷりから"白ひげの後継者"として世界に名を轟かせたブラックの登場に、ルフィ以外のこの場所にいた一同は騒然としている。

 

 

「ん?

 お前は確か──トラファルガー・ローだったか?何でお前がここにいんだ?」

 

 

 ルフィとどういう接点があるのかブラックは知らないが、ルフィと同じルーキー海賊が女ヶ島に滞在している。

 

 "死の外科医"トラファルガー・ロー。懸賞金2億ベリー。

 

 ルフィの様子からして、命を狙われているわけではなさそうだが…。

 

 

「ブラ男!

 トラ男はオレとエースを治療してくれたんだ!!」

 

「あー、そういやァ"死の外科医"とか言われてたっけか?」

 

 

 ルフィ達が軍艦で途中まで逃げ切った先にて、トラファルガー・ローは潜水艇で海上にいきなり現れ、ルフィとエースの治療を買って出てくれたそうだ。この男に、ルフィとエースを助ける義理はまったくないと思われるのだが、何を思って2人を治療したのかは彼本人しか知らない。

 

 

「とりあえず元気そうで何よりだ」

 

 

 自分が最後まで守り、マリンフォードから離脱する際も同行したかっただろうが、自分が一緒だと海軍からの攻撃が一向に収まらないと思ったブラックは、自分がマリンフォードに残り、ルフィとエースを先に逃がす選択をした。

 

 ブラックは、ルフィ達がちゃんと逃げ切れたのか心配だったのだろう。安堵の笑みを浮かべている。ルフィと出会うまでは、自分に迷惑をかける存在として怒りを覚えていたようだが、今では手のかかる弟のように思っているように思えてしまう。すっかり、ルフィのペースに巻き込まれてしまったのかもしれない。

 

 

「それとほら──この()()渡しに来た」

 

 

 安心したブラックは、わざわざ女ヶ島までやって来た目的の一つを果たす。

 

 

「あー!オレの帽子!!

 ブラ男が持っててくれたのか!?」

 

「拾ったのは赤髪のシャンクスだ。

 で、ルフィに渡してくれって頼まれた」

 

 

 戦争を終結させてくれた赤髪のシャンクス。

 

 マリンフォードに現れた赤髪に、ブラックはその見た目故に話しかけられたのだが、その理由を知った時はブラックも驚いたようだ。

 

 それと、まだ暴れたりないなら相手になると言われた時はさすがのブラックも顔を引きつらせていたらしい。

 

 

「お前が赤髪と知り合いだったとはなァ」

 

 

 自分に似た青年が、四皇の1人が期待するルーキー海賊だったとは…。なるほど、通りで大事件を頻繁に起こすはずだと妙に納得したものである。

 

 ルフィを守っていた姿を遠くから見ていたのか、その姿を見て、ブラックがルフィに会いに行くだろうと思ったからなのか、赤髪は麦わら帽子をルフィに渡してくれと託したらしいが、それならば自分で届ければいいのではないかと思って聞いてみたところ、まだ時期尚早と意味深な言葉を返されたそうだ。

 

 

「ありがとう!」

 

「気にすんな。

 それよりも──火拳は?」

 

 

 それはそうと、ブラックの本来の目的は同じく女ヶ島で療養中のエースの様子を確かめることだ。ルフィに麦わら帽子を渡したのはついででしかない。

 

 エースがルフィと一緒にこの島で療養しているのは功労者のルフィに対する配慮なのか、白ひげ海賊団の残党達と一緒にいては精神が休まらないというエースへの配慮なのか、恐らく後者の可能性が高いだろう。不死鳥のマルコ達に対して、自分のせいで白ひげが死んでしまったと自暴自棄に陥ってしまうのが火を見るよりも明らかだ。

 

 場合によっては、再び1人で黒ひげを追うかもしれない。そこまでバカだとは思いたくはないが、エースのこれまでの行動から考えると、まったく否定できないのが頭の痛いところだろう。だからこそ、エースを不死鳥のマルコ達と離し、超大型の海王類達の巣窟である凪の帯(カームベルト)に存在する女ヶ島で療養させているのである。凪の帯を超えて偉大なる航路(グランドライン)に戻るのは困難を極めるからだ。言うなれば、これは療養という名の軟禁だろう。

 

 そして、エースに対してのこの選択は恐らく間違ってはいない。

 

 

「数日前から1人にしてくれって。

 ジンベエが目を離さない方がいいって、様子を見てくれてるけど。オレ、エースの弟なのに何もしてやれてねェ」

 

「そうか」

 

 

 ルフィの言葉に短く答えたブラックは、落ち込むルフィの頭を優しく撫で、エースのいるであろう場所へと向かっていく。

 

 ただ、ブラックの腰には能力で縮小したのか、小型化してホルダーに収められた最上大業物"むら雲切"───白ひげの薙刀がある。不死鳥のマルコ達から、正式に白ひげの薙刀の後継者として認められたのだ。

 

 果たして、それを見たエースがどう思うのか…。

 

 

「師匠、ちょっと行ってくる」

 

「ああ、そちらは君に任せよう。

 さて、ルフィくんは私と話をしよう。()()についての話を」

 

「わかった。

 ブラ男、エースのこと頼んだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 女ヶ島の森の中で、頂上決戦で左腕を失ったエースはただ暴れていた。メラメラの実の能力は一切使うことなく、残された右腕でただひたすらに何かを殴り、そして蹴り、破壊の限りを尽くしていた。

 

 

「荒れてんな──火拳」

 

「!?──ブラック」

 

 

 その瞳は、大きく曇っている。

 

 白ひげを喪った悲しみ、黒ひげに対する怒りと己の浅はかさに対する怒りと悔やみ。そして、己の無力さに対する絶望。様々な感情が激しく入り交じり渦巻いている。

 

 

「白ひげの遺体は赤髪のおかげで海軍に渡ることなく、白ひげの故郷に埋葬されることになった」

 

「…そうか」

 

 

 ブラックの言葉にもエースは短くそう答えるだけだ。きっと、己には墓参りに行く資格すらないと思っているのだろう。生きてこそいるが、せっかく助かった命を無駄にしかけた親不孝者だと思っているのかもしれない。

 

 その点に関しては、実際のところまったく否定できないのだが…。それが分かっていながらも、ブラックは何のフォローもしない。したとしても逆効果で、今以上に自暴自棄に陥りかねない。

 

 だからこそ、ブラックは下手な同情などせずに接する。

 

 

「一応、念の為に聞いておくが、これからどうするつもりだ?」

 

 

 それに、エースの今後は非常に大切な事案だ。海賊王ロジャーの息子であることが露見してしまったのだから尚のことである。懸賞金もブラックと同時に更新され、今までの倍額の11億ベリーに跳ね上がっている。

 

 ブラックよりも額が低いのは、ただ単純にエースの実力がブラックに劣っているからだ。実際のところ、今のエースではまだこの額に見合った強さを有してはおらず、これを言ってしまったらエースは激怒するだろうが親の七光りのようなものだ。

 

 ついでにいうと、手配書の名が"ゴールド・エース"に訂正されていたりもする。

 

 

「不死鳥のマルコ達と一緒に行動し、白ひげ海賊団を立て直すのか…。それとも独立するのか…。

 一つだけ確かなことは、お前は今まで以上に海軍と政府に狙われるってことだな」

 

 

 白ひげ海賊団の立て直しという言葉にエースは一瞬だけ反応を見せるが、己にその資格なしと思い込んでいることだろう。

 

 

「テメエにはまったく関係のねェことだ」

 

 

 やっとまともに口を開いたかと思えば、エースはブラックに冷たい態度でそう返す。

 

 しかし、ブラックからしたら関係ないことでもない。エース奪還の一番の功労者は間違いなくブラックだ。もっとも、助けたのだからそれで貸し借りなしで、その後のエースの動向など本来気にする必要も一切ないのだが…。

 

 だが、ブラックはお人好しだ。貸し借りなしでこれで終わりというわけにはいかないのだろう。

 

 

「不死鳥のマルコ達から、白ひげがナワバリにしていた島の幾つかも頼まれてる。

 ただ、オレ1人でできることなんて限られてる。でだ、オレは海賊団を立ち上げることにした。つっても、大人数は苦手だから少数の一味──火拳、オレの仲間になれ」

 

「……は?」

 

 

 白ひげがナワバリにしていた島を、不死鳥のマルコ達がブラックに頼んでいたことにエースは驚愕する。

 

 そして、仲間に勧誘されたことはそれ以上に驚きだろう。いや、驚きすぎて理解が追いつかず、間の抜けた声をあげている。

 

 

「あ、オレ船長とかには興味ねェから、お前が船長でいいからな」

 

「ふ──ふざけんなッ!!

 オレがお前と新しく一味を立ち上げるだと!?船長はオレ!?勝手に決めてんじゃねェよ!!」

 

「ならどうする?

 お前、マルコ達のとこに戻って、以前みたいに白ひげ海賊団の一員として一緒に生活できるのか?」

 

「ッ!?」

 

 

 その指摘に、エースは動揺してしまう。何も言い返せずにいる。何故なら、ブラックの指摘通りに、エースはきっと以前のようにマルコ達と共に生活することなどできないからだ。仮にエースが戻ったとしたら、マルコ達はきっと温かく迎え入れてくれるだろう。傘下の海賊達も同様にだ。

 

 しかし、今のエースにはそれが何よりも辛い。深い自責の念に囚われてしまっている。

 

 エースの責任ではないと言ったところで、エースはその言葉を決して受け入れきれない。

 

 

「戻れる…わけ…ねェ」

 

 

 それでも何時かまた、以前のように戻りたいのだろう。俯いたエースの悲痛な姿がその想いを強く物語っている。

 

 

「だったらよ、やるべきことは一つだ。

 テメエが胸張って仲間(家族)達に会いに行けるように、がむしゃらになって前に進むしかねェ。立ち止まってる暇なんかテメエにはねェぞ。白ひげに救われた命を無駄にすんな。あんなカッケェ男に、テメエは未来を託されてんだ」

 

「!」

 

 

 白ひげにとって、エースだけが特別ではない。

 

 しかし、白ひげの命と引き換えにエースの命があることは事実だ。ならば、その命は決して無駄になどはできない。していいわけがない。

 

 白ひげが偉大な海賊であり続ける為にも、エースは立ち止まることを赦されない。

 

 何故なら、エースという存在こそが、白ひげが最強であり続けた証なのだ。

 

 

「オレは…弱ェ」

 

「そうだな」

 

「ルフィに助けられて、ルフィはオレを助けに来たせいで殺されかけて、オレはルフィを守ることもできなかった。

 オレのせいでティーチがオヤジの力まで得て──オヤジは殺された。全部…オレが弱いからッ、全部オレのせいだ!!」

 

 

 大粒の涙を溢しながら、エースが己の想いを吐き出す。

 

 きっと、ルフィが相手だったら兄というプライドが邪魔して想いを吐き出すことはできなかっただろう。

 

 マルコ達では、どうして己を責めないのかとますます己を赦せず、最悪の言葉を口にしていたかもしれない。

 

 ブラックが相手だったから、何の遠慮なく責めてくれるブラックだからこそ、エースは己の想いを全て吐き出すことができるのだろう。

 

 

「だったらッ──強くなれエース!!」

 

 

 泣き叫ぶエースに対して、ブラックは腰のホルダーから抜き取った薙刀を己に見合った大きさに巨大化させ、柄尻を地面に叩きつけて叱咤激励する。

 

 その様が、どこか白ひげと重なって見えたのかエースは大きく目を見開いていた。

 

 

「白ひげが守ってきたモノを、白ひげに代わって守れるように強くなってみせろ!

 それが恩返しで──親孝行ってもんだろうが!!」

 

「ッ、う…うう…うあァァァァァ!!」

 

 

 勝利も敗北も知り、惨めに逃げ回って涙を流して、そんな情けない過去があったとしても、それでもそれをどうにか乗り越えて男は一人前になる。

 

 泣くことは決して悪いことではない。生まれ変わる為に必要なことなのだ。

 

 エースは頂上決戦で味わった敗北を決して忘れない。この日の涙を決して忘れない。

 

 更なる高み───偉大な大海賊を超える為に…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ブラック、ありがとよ。

 おかげで少しスッキリした。まだ、マルコ達に会いに行く決心はつかねェ。けど、胸張って堂々と会いに行けるように──お前の仲間に加えてくれ」

 

「そうか。

 これから宜しく頼むぜ──()()

 

 

 その顔は憑き物が落ちたかのようにスッキリとしている。その瞳も濁ってはいない。

 

 ただ真っ直ぐ、白ひげの為にも生きるのだと、激しくも輝かしい命の火が灯っている。

 

 

「お前が立ち上げるって言ったんだからテメエが船長だろうがッ!!嫌そうな顔すんじゃねェよ!!

 "ブラック海賊団"──これで決まりだ!!」

 

 

 ここに、世界最悪の犯罪者と世界最悪(海賊王)の血筋の海賊団が結成された。これもまた、頂上決戦が及す影響の一つで、もしかしたら最悪の影響かもしれない。

 

 






エースがもし生きてたら、恐らく手配書の名がゴールド・エースに訂正されてるよね。
サンジもヴィンスモーク・サンジに訂正されてたし。さすがに、ロジャー同様でゴール・D・エースにはならない。
額は倍額の11億だけど、海賊王の息子にしては低いかな?けど、今のエースはこの額に見合ってないし、ブラックが鮮烈デビュー果たしてるし…。

エースの今後、非常に悩んだ。マジで悩んだ。これが正しいのかも分からない。けどブラックと切磋琢磨させたかった。白ひげに憧れる者同士、幻獣種の厄介な能力と古代文字読める世界最悪の犯罪者と海賊王の息子。最悪のタッグである。
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