偽ルフィが本当にモンキー・D・ルフィに似ていたら   作:身勝手の極意

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さてはてヤマトは?



ラフテルへの導き

 

 

 自称"ブラック海賊団"に新たな仲間が加わった。

 

 

「信じられない、あのクソオヤジ!

 いや、もうアイツはボクの親なんかじゃない!本当に爆弾を仕掛けてたなんて!ねェ信じられるかィ、()()()()()()!?」

 

「信じられないな。

 それとな、ヤマト──オレはブラックだから」

 

「ボクのことは"おでん"と呼んでくれ!!」

 

 

 新たな仲間を求め、政府非加盟国にして四皇"百獣のカイドウ"のナワバリ"ワノ国"にまでやって来た"赫猿"デマロ・ブラックと"火拳"ゴールド・エースは、ブラックの目的通りにカイドウの娘ヤマトの勧誘に成功したようだ。

 

 ただ、当初の予定というか、言い出しっぺのエースの予定ではみっちり鍛え上げて1年後にヤマトを仲間に迎え入れ、そのついでにカイドウをブッ倒すという予定だったのだが、冒険行きたい病の末期症状を発症してしまったブラックの想定外の行動のせいで、予定が1年早まってしまったようだ。

 

 唯一の救いは、カイドウ率いる百獣海賊団が遠征中でワノ国を留守にしていたことだろう。おかげで、今この状況での正面衝突は回避された。とはいえ、ブラックとエースがヤマトを仲間に引き入れたことで、どのみち遅かれ早かれカイドウとの激突は必須で避けられない。

 

 

「ねェ、白吉っちゃん!まずはどこに連れていってくれるんだ!?」

 

「そうだなァ、どこにしようか…」

 

「まず拠点に戻る!それから修業だ!冒険は1年後からッ──異論は認めねェ!分かったか、ブラック、ヤマト!!」

 

 

 冒険のことしか頭にないブラックとヤマトに言い聞かせるエース。カイドウと戦うには戦力がまだまだ足りない。カイドウの懸賞金額はブラックとエースの懸賞金を足しても及ばず、たった3人で四皇一の武闘派海賊団を相手にしようなどあまりにも無謀だ。

 

 

「揃って嫌そうな顔してんじゃねェよ!!」

 

 

 だが、無鉄砲で知られるエースが常識人に思えてしまうほどの冒険バカが2人もいるおかげで、エースの予定が崩れつつある。せめて、1年間の修業計画だけは何としても守らなくてはと必死だ。

 

 己もブラックも海軍と政府、名を上げたい海賊達、賞金稼ぎにと多くの者達から狙われているのだから、今のままではいられないのである。

 

 

「冒険は絶対に逃げねェ!冒険はどんな時もお前達2人を待ってる!!」

 

 

 だから、エースは自分らしくないと思いつつ、冒険バカ2人を止めるべく声高々と言い放った。この2人を止める為なら恥ずかしさなど何のその。

 

 

「!?

 エース…お前、イイこと言いやがって。そうだな──冒険は逃げねェ。ヤマト、申し訳ないがまずは修業先決だ。お前もなかなか強いようだが、オレの見立てではエースと2人がかりでもまだオレには勝てないだろう。今のままじゃあ、カイドウをブッ飛ばすなんて夢のまた夢だ。まずは1年で今のオレよりも強くなれ!!」

 

「そうだね。冒険も楽しみだけど、クソオヤ…クソッタレのカイドウを倒すのもボクの目的の一つだ。その為にも強くならないといけない。それに、もう爆発する手錠もないんだ。ボクは自由だ。これまでの辛い年月を考えれば、あと1年くらいどうってことないよ」

 

 

 とりあえず、エースは安堵の息を漏らす。

 

 とにもかくにも、卑劣な海賊らしくも、親の風上にも置けないカイドウの所業(爆発する手錠)のおかげもあって、父親のカイドウ他、百獣海賊団の者達をあっさりと見限ったヤマトは、ブラックとエースの手を取り、2人の仲間になった。

 

 エースと同等の力を持つヤマトが仲間になってくれるのは実に力強い。まだたった3人。だが、たった3人なのにその戦力は計り知れない。1年間の修業を終えた後、ブラック達3人が表舞台に再び姿を表した時、ヤマトもすぐに賞金首になること間違いなしだ。もっとも、世界最悪の犯罪者と生き残った海賊王の息子が新たに立ち上げた海賊団にカイドウの娘まで加わるなど海軍と政府にとってはこの上ない悲報だろう。

 

 

「あ、白吉っちゃん」

 

「だからブラックな。で、何だ?」

 

「君に()()()()()()があるんだ。

 クソッタレのカイドウがいない今、君とエースがこの島に来たのはきっと偶然でも何でもない。運命で必然だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ワノ国の沿岸にある百獣海賊団の本拠地"鬼ヶ島"。

 

 ブラックはヤマトの案内でカイドウのいない敵の本拠地へと足を踏み入れている。カイドウが遠征中でワノ国にいないとはいえ、留守を任されている者達に気付かれないように、ブラックは獣型で小型化しヤマトの肩に乗っている。

 

 ちなみに、エースは会いたい人物がいるとのことで別行動を取っているようだ。

 

 

「コレを君に見せたかったんだ。

 君は古代文字を読めるんだろ?なら、コレはぜひ見ておくべきだ。偉大なる航路(グランドライン)の最終地点"ラフテル"に導く為の重要な石"ロード歴史の本文(ポーネグリフ)"」

 

 

 ブラックの目の前には、彼がこれまでの冒険で見た歴史の本文(ポーネグリフ)とは色が違う赤い石が存在している。これは、カイドウが所有する貴重なモノで、世界に4つしか存在していないとされる歴史の本文───その内の1つだ。

 

 

「こ、こりゃあ、すげェな。冒険の気配がビンビン伝わってくる。これを元に海図が描けるぞ」

 

「凄いッ、本当に読めるんだね!

 いいなァ、ボクにも古代文字が読めたら!!」

 

 

 ヤマトの情報では、百獣のカイドウは白ひげが死んだ今、白ひげがナワバリとしていた島の幾つかを手中に収めるべく、その為に遠征に出ているのだそうだ。

 

 そして、それ以外にも目的があり、その目的というのが古代文字を読めるデマロ・ブラックを仲間にする為、彼を探してるのだそうだ。過去800年に渡ってロジャー海賊団以外に誰も到達したことのない伝説の島"ラフテル"へ繋がる貴重な情報源を所有していながらも、解読できなければ宝の持ち腐れ。しかし、ブラックが仲間に加わってくれれば、ラフテルへと一気に近づく。カイドウはナワバリを増やすことよりも、何としてもブラックを仲間にする為に嬉々としてワノ国を出港したのだそうだ。

 

 しかし、歴史の本文(ポーネグリフ)を解読するのが目的ならば、実力的にもブラックに劣っているニコ・ロビンの方を仲間にする方が手っ取り早いはず。それなのにブラックを狙っているのは、古代文字を読める以外にも戦力として狙っているのか、実に武闘派らしい。

 

 ただ悲しいかな…。遠征に出ているこのタイミングで、その目的のブラックがワノ国にやって来ようとは…。

 

 

「一応、写し取ってくか」

 

「ぜひともそうしてくれ!!」

 

 

 しかも、大切なロード歴史の本文(ポーネグリフ)を写し取られようとは…。さらにはそれを手引きしたのが娘だとは、さすがのカイドウも予想外だろう。僅かながらも信じていた親の情を裏切られたヤマトの恨みはとてつもなく大きいようだ。親として最低の所業だったのだから致し方なし。

 

 貴重な情報を、解読できるブラックに写し取られてしまうのもその罰が当たったということだ。

 

 

「それとこのロード歴史の本文(ポーネグリフ)の残りの3つなんだけど、1つは"ゾウ"にあってミンク族が所有してるみたいだ。他の2つ、1つは魚人島にあったみたいなんだけど、現在は所有者、所在地不明。で、あと1つが厄介なんだけど、所有者は四皇"ビッグ・マム"シャーロット・リンリン。彼女が治める国"ホールケーキアイランド"にあるそうだ」

 

 

 ブラックも初めて目にしたロード歴史の本文(ポーネグリフ)に大興奮。あと、ついでのように残りの3つについての情報をヤマトが口にする。とてつもない情報なのに少し軽すぎではないだろうか…。

 

 

「なるほど。

 なら、帰りにホールケーキアイランドに行ってみるか?」

 

「え!?」

 

 

 簡単なノリでブラックは言っているが相手は四皇"ビッグ・マム"。そして、狙う獲物は"ラフテル"へと導く貴重なロード歴史の本文(ポーネグリフ)。おいそれと簡単に事が運ぶことは決してない。それを巡って頂上決戦並の戦いが勃発しかねない。

 

 ちょっと八百屋に買い物行ってくる並の軽いノリでブラックがそう口にし、ヤマトは好きなモノを買って貰えると期待する子供のように瞳をキラキラと輝かせている。エースはきっと、この場所に同行しなかったことを後で後悔することになるだろう。

 

 カイドウの他に、ビッグ・マムとの激突もきっと避けられない。もっとも、カイドウがブラックを狙っているということは、ビッグ・マムも狙っている可能性もある。どちらにしろ、これは必然なのかもしれない。

 

 

「正直なところ、今すぐ行きたいところなんだがエースに怒られるからな。1年後にしよう」

 

「そ、そうだよね」

 

 

 何事にも、準備期間が必要だ。楽しい反面、命がけの冒険になるのだから当然である。ブラックはそれも楽しさの1つと笑いながら言うのだろう。どうやら、勘違いから始まった己の理不尽なこの状況も、すでに受け入れきれたようだ。

 

 

「そう落ち込むな。ビッグ・マムが所有してんのなら、盗まれることもないだろうし、赤い石は逃げねェ。

 まァ、どこかに移動したとしても見つけ出してやろうぜ!冒険、お宝探しは自分で情報を集めて、見つけ出すからこそ楽しんだ!あ、だからこれ以上オレに貴重な情報は寄越すなよ。楽しみが減るからな」

 

 

 最初から答えの分かっている冒険などしたくない。答えが分かっていたら楽しくない。そんなの冒険とは決して言えない。今回はヤマトがどうしてもとこの場所に連れてきたことでロード歴史の本文(ポーネグリフ)を見ることができ、他2つの所在も知ることになってしまったが、ブラックはこれ以上の情報をもう望まない。

 

 

「ヤマト、お前がおでんに憧れるのを否定しているわけじゃない。オレもある女性(ニコ・オルビア)に憧れて、それで冒険家兼トレジャーハンターになったからな。気持ちは分かる。

 だが、オレとエースと共に冒険に行くのなら、"()()()()()()()()"の情報はもう二度と口にするな。お前も自分のその目で見て、自分で感じろ!それこそが冒険だ!!」

 

「う、うん、絶対に口にしない!

 あ、けどクソッタレのカイドウに見つからないようにというか、奴の手に渡らないように肌身離さず持ち歩くのはいいよね!?」

 

 

 ヤマトの情報源は、彼女にとってのバイブル"おでんの航海日誌"という古びた日誌らしいのだが、実はそれがとんでもない日誌だったりする。

 

 何と、そのおでんという人物は、白ひげ海賊団の初代二番隊隊長で、つまりはエースの先代だ。そして何と、白ひげ海賊団からロジャー海賊団に移籍し、海賊王ロジャーと共にラフテルまで辿り着いた人物なのだそうだ。

 

 それが意味するのは、おでんの航海日誌にはラフテルについての情報が書き記されているということ…。

 

 下手したらロード歴史の本文(ポーネグリフ)以上に貴重で、危険な代物ではないだろうか…。

 

 コレがカイドウの手に渡っていたら、カイドウは間違いなく海賊王になっていたはずだ。そんな貴重な日誌をカイドウに知らせず、隠し続けてきたヤマトの行動は称賛に値する。ヤマトがこの日誌の存在をブラックに明かしたのは、きっとブラックがこの日記を悪用しない人物だと感じ取ったからなのだろう。そしてそれは正しい。ブラックは答えの分かった冒険など冒険ではないと豪語する男なのだ。

 

 

「大切なモノなんだろ?だったら、お前の好きにすればいいさ。オレがとやかく言う権利はねェ。

 あ、けどそれが原因で危険な状況に陥るってんなら、とっとと燃やして捨てろ」

 

「ええ!?も、燃やせないよ!!」

 

「ならオレが燃やす。オレにとっちゃ、その日誌よりもヤマトの命の方が大切だ。これは譲れねェ。オレの仲間は誰も死なせねェ」

 

 

 威厳ある船長の顔つき。先程までの少年のような顔つきとはまったく違った強い男の顔つきに、ヤマトの胸が大きく高鳴る。普段は抜けているが、いざという時は誰よりも頼りになる。だからこそエースも船長として認め、仲間になることを決意した。ヤマトも今この瞬間、それを理解したのだ。

 

 

「まァ、そうならないようにオレが守ってやるから安心しろ。ただ、常にどんな時も最悪の事態は想定しておくこと!そして、自分の命を一番に考えろ!」

 

「う、うん」

 

「さァて、そんじゃエースと合流して帰るとするか」

 

 

 ヤマトは今、冒険に行くこと以上に胸を高鳴らせている。ここまで胸が高鳴るのは、きっと"おでんの最期"を目にした時以来だろう。だからこそ、早くブラックと冒険に行きたいと強く思っているはずだ。ただ、おでんに憧れる感情と、ブラックに対する感情が違うことにヤマトはまだ気付いてはいない。きっと、これから振り回されることになるだろう。それもまた、人生の楽しさの1つだ。

 

 

「これからよろしく──船長!!」

 

「おう!!」

 

 

 ブラックとヤマトは固い握手を交わした。

 

 自称"ブラック海賊団"3人目の仲間。白ひげ海賊団初代二番隊隊長にして、ラフテルに唯一辿り着いたロジャー海賊団の一員だった"おでん"の航海日誌を所有するカイドウの娘───ヤマト。海軍と政府にとって、またしても厄介な存在がブラックの仲間に加わってしまった。そもそも、ブラック海賊団の立ち上げすら把握されていないのだが…。

 

 ヤマトがワノ国から脱走したことをカイドウが知るのはこれより1ヶ月以上も後のこと。死人に口なし。ヤマトの旅立ちを邪魔し、これまでヤマトを閉じ込めてきた者達は全滅し、手引きした者が存在したのかも全ては謎。

 

 百獣海賊団も大きく荒れることとなる。

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 ヤマトが仲間入りしてから3ヶ月。

 

 ブラック達はブラックの拠点───現在は自称"ブラック海賊団"の拠点となっている島に2ヶ月程前に無事に戻り、冒険に行きたい病を約2名必死に抑え込みながら修業に明け暮れていた。

 

 

「くッ、ボクよりも圧倒的に目立ってて、ボクよりも圧倒的に強いなんて、君達の存在はボクにとって害悪だ!万死に値する!」

 

 

 簡単な報告になってしまうが、ワノ国から拠点に戻る際に仲間がもう1人増えたりもしている。

 

 名はキャベンディッシュ。"海賊貴公子"の異名で世の女性達を虜にする海賊(ナルシスト)だ。懸賞金額は2億8000万ベリーとそこそこに高いようである。

 

 途中でバッタリと遭遇したブラック達とキャベンディッシュ率いる"美しき海賊団"という実にふざけた(ナルシスト)ネーミングの海賊団。

 

 ブラック達は気にすることなく通り過ぎようとしたらしいのだが、ブラックとエースに並々ならぬ一方的な憎悪を燃やしていたキャベンディッシュが戦いを挑んできたのだそうだ。もちろん、その結果は言うまでもないだろう。ただ、その後どうしてキャベンディッシュがブラック海賊団の仲間入りを果たしたのか───能力者じゃない仲間が欲しいと思っていたブラックが、能力者じゃない仲間は欲しいが探すのが面倒だからと、即戦力にもなるだろうと本人の承諾なしで仲間に引き入れてしまったのである。

 

 ちなみに、美しき海賊団の他の仲間達に関してだが、元々はブルジョア王国の兵士達で、"人気ありすぎの罪"という理解不能な罪状で国外追放処分されたブルジョア王国の王子だったキャベンディッシュの護衛として、望まぬ形で海賊をやっていたとのこと。それを聞いたブラックは、その者達のみブルジョア王国に帰還させた。"白ひげの後継者"として名を轟かせるブラックが相手では仕方なく、ブルジョア王国の国王も数十名の兵士が無事に帰って来たことを遠い目をして、迎え入れてくれているはずだ。

 

 そんなこんなで、戦力底上げの為の修業にキャベンディッシュも加わり、ブラック海賊団はいつの間にか4人になっていた。キャベンディッシュはブラック達から親しみを込めて"キャベツ"と呼ばれているそうだ。

 

 

「それとブラック!君が船長をそこまで拒むならボクが船長になる!!」

 

「いいぞ」

 

「よくねェよ!一番弱いヤツが船長になっていいわけあるかッ!」

 

「ボクも反対だなァ。キャベツが船長って何かやだ。

 何より、黒吉っちゃんが船長じゃないとボクは嫌だな」

 

 

 海軍、政府、海賊───この海が大きく荒れ、変わり行くなか、ブラック海賊団は人知れずに大きくなりつつある。

 

 彼らが世界に旋風と業火の炎を灯すまであと僅か…。

 

 

 






赤い石、ロード歴史の本文(ポーネグリフ)。カイドウも所有してることが明らかになってますが、所在地までは明らかになっていない。多分、鬼ヶ島にあるってことであってるのかな?

ヤマトから見てのブラックは、日誌に出てくる白ひげに見えたり、おでんに見えたり、ロジャーにも見えたりしてるかな。そしてその強さを目の当たりにして、どんどん惚れ込んでく?

ついでのようにいつの間にか4人目の仲間ゲットだぜ!!やっぱ無能力者の仲間は欲しいところだよね。
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