偽ルフィが本当にモンキー・D・ルフィに似ていたら   作:身勝手の極意

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デマロ・ブラックではピンとこない方が多い?



3億と火拳と黒ひげ

 

 

 懸賞金1億ベリーのルーキー海賊麦わらのルフィにそっくりなデマロ・ブラックが海軍の勘違いを晴らすべく、麦わらのルフィを探し出す旅に出て数週間。

 

 

「麦わらの野郎ォォォ!!」

 

 

 麦わらのルフィの懸賞金が3億ベリーに更新された。

 

 たった数週間でこれだけ懸賞金が上乗せされるなど、いったい何をやらかしたのだろうか…。

 

 ブラックはなるべく騒動を起こさないようにひっそり行動していたというのに、これでは彼の苦労が水の泡である。もっとも、海軍、賞金稼ぎ、海賊達から何度か襲われてはいるようだが…。もちろん、襲ってきた者達は返り討ちにあっている。今までの楽しい人生から急転直下で、天国から地獄へと落とされてしまったブラックだが、麦わらのルフィが世界政府に正面から堂々と喧嘩を売ってしまったことで、麦わらのルフィの名は瞬く間に全世界に轟いてしまい、更なる苦境に立たされてしまっていた。

 

 エニエス・ロビー陥落という前代未聞の大事件。麦わらのルフィの知名度は、ルーキー海賊の中でも断トツだろう。

 

 だが、麦わらのルフィがきっかけとなり、別の事件が勃発しているのだが、世間はまだそれを知らない。

 

 その事件は、ブラックの滞在先で起きてしまう。

 

 

「数週間ぶりだな、ル──誰だお前?」

 

「アンタどっかで…あッ──()()()()()()か!?」

 

 

 バナロ島という島に滞在していたブラックが遭遇したのは、あの白ひげ海賊団二番隊隊長、懸賞金5億5000万ベリーの"火拳"ポートガス・D・エースである。

 

 偉大なる航路(グランドライン)の後半部"新世界"で活動する若き大海賊がどうして前半部にいるのか…。それは本人以外誰も知るはずがない。

 

 

「ルフィがオレよりもデカくなったと思って驚いたが、どうやら別人らしいな」

 

 

 その火拳のエースは、麦わらのルフィとあまりにも似すぎているブラックに驚いており、ブラックはその様子に深いため息を吐き出した。

 

 

「アンタ、麦わらのルフィの知り合いか?

 はあ、知り合いのアンタが一瞬見分けがつかなくなるくらいってことは、やっぱ似てんだな」

 

 

 麦わらのルフィの懸賞金が爆上がりした今、ブラックの道のりがこれまで以上に前途多難であることがハッキリと分かってしまったからだろう。

 

 

「その様子からして、ルフィに恨みがあるとかそういうことじゃなく、元からその顔ってことか」

 

「そうだ。そもそも、オレの方が先に生まれてるはずなんだがな」

 

 

 10代半ばにしか見えない見た目だが、ブラックはこう見えて34歳で、麦わらのルフィの倍の年齢だ。

 

 

「麦わらのルフィの手配書が出回ったせいで、オレの人生はメチャクチャだ。麦わらのルフィに勘違いされて、海軍に捕まりそうになるわ、賞金稼ぎや、名を上げたい海賊に狙われるわ。なるべく騒動を起こさないようにひっそりと麦わらのルフィの行方を追っていたら、麦わらは政府に正面から堂々と喧嘩売って3億ベリーの賞金首になりやがって、オレはますます大変な目に遭う」

 

 

 似ているだけで命の危機に晒されてしまう人間は少なくないが、ブラックほどに不運な星の下に生まれた人物はかなり珍しいだろう。そして、麦わらのルフィが騒ぎを起こす度、名を上げれば上げるほどに、ブラックは命の危機に晒されるのである。

 

 麦わらのルフィが世界政府相手にやらかしてしまった今、かなり危機的状況のはずだ。

 

 

「変装するなり整形するなり」

 

「ふっざけんなよッ!?

 こちとらこの顔で34年生きてんだよ!それに、何も悪さしてねェのに、どうしてオレがコソコソと隠れて生きなきゃなんねェんだよ!オレは早く、世間に公表したいんだよ!麦わらのルフィと似てるだけってことをな!!」

 

 

 ごもっともである。ブラックは海軍相手に過剰防衛とも取れる行動を起こしてしまってはいるが、海軍がまったく話を聞いてくれなかったのも事実。

 

 海賊からお宝を盗んだこともあるが、それはまあ海賊相手だから罪にはならない。一般市民相手に悪さをしたことなどないのである。

 

 ブラックはただ、麦わらのルフィと並んで新聞の一面を飾るなりして、自分と麦わらのルフィが似ていることを世間に知ってほしい───ただそれだけだ。

 

 その為に、ブラックは麦わらのルフィを探している。

 

 麦わらのルフィを捕まえて海軍に身柄を渡したりするつもりは一切ないようだ。一発だけぶん殴ろうと思ってはいるようだが…。

 

 

「あー、弟が何かすまねェ」

 

「は?麦わらのルフィがアンタの弟?」

 

 

 ただ、麦わらのルフィにはまだ会えてはいないが、その身内には会うことができた。

 火拳のエースが麦わらのルフィの兄だったとは驚きである。

 

 それを聞いたブラックが望むのはただ一つ。

 

 

「麦わらのルフィのとこに連れてってくれ。

 オレが1人で行くよりも、兄のアンタが一緒だと話もすんなり終わりそうだ」

 

 

 火拳のエースが同行することだ。

 

 確かに、ブラックがいきなり1人で麦わらのルフィの前に現れても怪しまれるだけ。

 だが、兄のエースが一緒にいれば、幾分か警戒心は薄れるだろう。麦わらのルフィ本人だけではなく、仲間達からの警戒心も同様に。まず、開口一番斬りかかられることはないはずだ。

 

 

「悪いがそりゃ無理だ」

 

 

 もっとも、エースがそれを承諾してくれるとは限らない。そもそも出会って間もない、弟にそっくりな男をいきなり信用するなど普通は無理だろう。

 

 

「オレはこの島に用があってな。

 まァ、それが終わった後なら構わねェが」

 

 

 どうやら、疑われているわけではないようだ。ブラックも騙すつもりもなければ、真実しか言っていないのだから、これは当然の結果だろう。いや、エースが疑り深い性格ではなかったからなのかもしれない。

 

 ブラックはエースの返答に満足そうな笑みを浮かべている。

 

 

「邪魔じゃなけりゃあ、オレもその用事ってのを手伝うぜ?その方が早く終わるだろ」

 

「いや、これはオレが1人でやらなきゃならねェことだ。けど、ありがとな。とりあえず、用が終わるまで待っててくれ」

 

 

 だが、ブラックはこの後に後悔することになる。

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 白ひげ海賊団二番隊隊長、懸賞金5億5000万ベリーの"火拳"のエースが無名の海賊に敗北。

 

 いったい、誰がこのような事態を想定できただろうか…。

 

 だが、バナロ島での戦いはまだ終わってはいない。

 

 

「ゼハハハハッ、今日は最高にツイてるぜ!

 エースだけじゃなく、テメエの首も政府への土産にできるんだからなァ──3億の首を寄越せ()()()ァァァ!!」

 

「ちくしょうがッ、覚えてろよ麦わらァァァ!!」

 

 

 火拳のエースを討ち取った無名の海賊と、冒険家兼トレジャーハンターのデマロ・ブラックの死闘が繰り広げられている。

 

 

「こっち来んな黒ブタッ!!」

 

 

 

 

 

万雷拳

 

 

 

 

 

「ぐおォォォ!!」

 

 

 ブラックが拳を黒く染めて硬化させ、更に雷を纏わせて音速の500倍程の速さで連続で腕を伸縮させながら無名の海賊───黒ひげをタコ殴りにする。

 

 多種多様な能力を持つサルサルの実 幻獣種モデル"ハヌマーン"の力と、新世界の海賊との戦闘経験から磨きあげられた覇気。この力が、これまでブラックが生き残ってこられた所以だ。

 

 

「は、覇気だと!?

 麦わら、テメエすでにこれほどの覇気をッ!!」

 

「だからッ、オレは麦わらのルフィじゃねェって何度も言ってんだろうが黒ブタ!オレはデマロ・ブラックだ!!

 つか、火拳を返しやがれ!!」

 

 

 そもそもこのような事態になってしまったのは、火拳が負けてしまい、連れ去られそうになったのを見過ごすことができずに、ブラックが自ら黒ひげという海賊の前に出てしまったからなのだが、そこはまあ致し方なし。

 

 ブラックのこれからの人生の為にも、ここで火拳を連れ去られるわけにはいかない。

 

 

「ゼハハ、ウソ言ってんじゃねェよ」

 

「船長、そいつが言ってることは本当かもしれない。

 麦わらよりも身長が高く、何より麦わら帽子を被っていない。それと、麦わらの仲間は間違いなくこの島にいない」

 

「初めてまともに話聞いてくれるヤツに会えた!!」

 

 

 冷静沈着そうな、黒ひげの仲間の狙撃手であろう人物がブラックが麦わらでないことを証言し、事態はとりあえず一時的に落ち着きを見せることになる。

 

 それと、麦わらのルフィに勘違いされるようになって以来、初めてちゃんと話を聞いてくれる人物に会えたことにブラックはかつてないほどに感激しているようだ。

 

 

「オーガー、テメエがそう言うんならそうなんだろうな。

 ゼハハハハ、しかし強ェな…お前。

 どうだ?オレの仲間になる気はねェか?」

 

 

 ただ、一難去ってまた一難。戦闘は中断されたが、今度は黒ひげからの勧誘が始まってしまう。

 

 火拳を討ち取った黒ひげから勧誘を受けるということは、ブラックの強さがそれだけ魅力的だということ。

 

 

「オレは冒険家兼トレジャーハンターのデマロ・ブラック。海賊にはならねェよ」

 

「そいつァ、残念だ」

 

 

 当然のことだが、ブラックは黒ひげからの誘いを断り───それが再び合図となり、死闘が再開されてしまう。

 

 

 

 

 

雷槌脚

 

 

 

 

 高く飛び上がったブラックは脚を巨大化させ、雷と覇気を纏ってそのまま地に振り下ろす。

 金槌を振り下ろす───いや、その様は天から落ちる雷の如く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数日後。

 

 

「はあァァァァァ!?」

 

 

 バナロ島にて、黒ひげと激闘を繰り広げたブラックは、麦わらのルフィが"水の都"ウォーターセブンにいるという情報を掴み訪れるも一足遅く、だが衝撃の事実を知り、驚きのあまりに叫び声を上げていた。

 

 数日前の激闘で、ブラックは火拳のエースを取り戻すことができず、しかも目を覚ました火拳から麦わらのルフィを守るようにとお願いされてしまったのである。

 

 火拳のエースは自らが囮となりブラックを逃がし、黒ひげの手によって海軍に引き渡された。

 

 その情報は、ブラックが今読んでいる新聞にデカデカと載っており、黒ひげが火拳のエースを手土産に"王下七武海"の仲間入りを果たしたことも載っている。

 

 だが、ブラックが驚いているのはそれが理由ではない。世間からしたら、火拳のエースが捕まったことは大スクープだろうが、ブラックにとってはそれ以上に驚くべきことがあった。

 

 

【ドッペルゲンガー事件】

 麦わらのルフィのそっくりな男が出現!?

 

 

 このような見出しで、ブラックの顔が小さくではあるが載せられている。

 

 それと、()()()まで…。

 

 

「ど、どうして…ハッ、まさか黒ひげの野郎の仕業か!?」

 

 

 火拳のエースの他に、最近海軍を悩ませる麦わらのルフィにそっくりで強いヤツの情報。

 

 海軍は、デマロ・ブラックの存在を勘違いで済ます気がないようだ。海軍の面子の問題でもあるのだろう。

 

 

「ふ、ふっざけんなァァァァァ!!」

 

 

 懸賞金3億6000万ベリー。"赤猿"デマロ・ブラック。

 

 海軍が受けた被害と、黒ひげからの情報が加味されたことで、晴れて犯罪者となってしまった。

 

 






新世界での冒険の経験もあり、新世界の海賊相手に泥棒もやってたから覇気も扱える。バナロ島にいたらエースと遭遇し、黒ひげとも遭遇。エースはお兄ちゃんだからどうにか気付けた。でも、一瞬間違えそうなほどにそっくりで、ルフィが数週間で身長が伸びて自分よりも大きくなったと思ったり。

黒ひげは案の定襲いかかってきた。けど、エースと黒ひげの戦闘を見てたおかげで、ヤミヤミの実の恐ろしさを知っておりどうにか対抗。ヴァン・オーガーのおかげで、勘違いは晴れるも勧誘され、断ったら殺されそうになり、目を覚ましたエースが囮となり逃げることに…。

七武海入りを果たした黒ひげが余計な情報を流したおかげで、麦わらのルフィから受けたと思ってた被害がデマロ・ブラックによるものだと発覚し、海軍の勘違いだけど海軍の面子の為にと指名手配されてしまう。黒ひげの情報で覇気が扱えることも明らかになった為に、ルーキーでは異例の3億超え。

猿神ハヌマーンの能力に、雷のような咆哮というものがあるらしいので、雷も扱えるようになってます。

万雷拳。
ルフィで例えたらゴムゴムの銃乱打(ガトリング)
ただ、雷と覇気を纏っててルフィのより圧倒的に速くて威力も上。

雷槌脚。
ルフィで例えたらゴムゴムの斧。

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