偽ルフィが本当にモンキー・D・ルフィに似ていたら   作:身勝手の極意

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主人公の異名は赤猿。
懸賞金は初頭では異例の3(サ)億6(ル)000万ベリー。
黒ひげから得た情報が大きい。覇気使いの能力者。海軍と世界政府の認識では、麦わらのルフィに似てるが麦わらのルフィよりも危険度高め。



赤猿と麦わらと悪魔の子

 

 

 シャボンディ諸島。偉大なる航路(グランドライン)前半部(楽園)と、後半部の新世界を隔てる赤い土の大陸(レッドライン)の付近にある諸島で、この島に辿り着いたということは、つまり偉大なる航路を半分航海したということでもある。

 

 偉大なる航路のスタート地点である双子岬から、だいたい2ヶ月半くらいの期間で到達できるが、双子岬から七つに分かれているどの航路を選ぶか、その他にも航海士の腕前であったり、船の性能だったり、その時の気候だったりと、その時の状況によって大きく変わってくる為に、シャボンディ諸島に到達するまで倍の期間を要する場合もある。

 

 もっとも、シャボンディ諸島までの航海は序の口にしか過ぎない。本番はここからだ。

 

 海賊王を目指し、意気込んで新世界に乗り込む海賊達の多くが挫折を味わい、死んでしまう海。それが新世界。

 

 その新世界で生き残れた海賊は、世界に名を轟かせる。

 

 ただ、このシャボンディ諸島は海軍本部"マリンフォード"のすぐそばに存在する島だ。新世界に乗り込む前に、海軍に捕まる可能性も高いリスキーな島でもある。それでもこの島に海賊達が立ち寄るのは、立ち寄らなければならない理由があるからだ。

 

 新世界を目指す海賊達のほぼ全てが、このシャボンディ諸島で船にコーティングを施し、赤い土の大陸の真下辺りの深海1万メートルの位置に存在する"魚人島"を経由して新世界へと足を踏み入れる。

 

 船にコーティングを施さなければ、魚人島には行けない。

 

 つまり、そのコーティングを施している間に、海軍に捕まってしまう可能性もあるということだ。

 

 その上、シャボンディ諸島はこの世界で最も誇り高く気高き血族として世界の頂点に君臨する"天竜人"の庭でもある。もし、その天竜人の機嫌を損ねてしまったが最後、海軍本部大将率いる軍艦10隻が即座に派遣されてしまう。その挙げ句、人を人とも思わぬ天竜人の奴隷となり、人としての人生も終わってしまうこととなる。

 

 もし、天竜人がシャボンディ諸島を訪れた場合は、ほぼ全ての海賊達は沈黙を貫き、鳴りを潜める。腰抜けと言われようとも、これは海賊の世界でも鉄則なのだ。

 

 だが、何事にも例外が存在する。

 

 新世界に皇帝の如く君臨する4人の大海賊"四皇"達にとっては、天竜人はゴミクズも同然の存在だ。世界の常識など、四皇にはまったく関係ない。

 

 あとは、何も知らない無知な存在くらいだろう。

 

 そして、その無知な存在が天竜人をぶん殴るという前代未聞の事件を起こし、シャボンディ諸島に大将が派遣されるという傍迷惑な大事件が勃発してしまった。

 

 

「テメエのせいでオレの人生メチャクチャだ!いい加減にしろッ──()()()()()()()!!」

 

 

 その無知な存在というのが、ここ最近常に世間を騒がせている傍迷惑な問題児ルーキー海賊、懸賞金3億ベリー"麦わらのルフィ"だ。

 

 

「は!?誰だよお前ッ!!」

 

 

 ただ驚くべきことに、このシャボンディ諸島に偶然にも、麦わらのルフィにそっくりな海賊がいた。懸賞金3億6000万ベリー"赤猿"デマロ・ブラック。

 つい数日前に、海軍の面子を保つという理不尽な理由から指名手配されてしまった元冒険家兼トレジャーハンターである。

 

 それと、最大の元凶は海軍ではなく麦わらのルフィで、ブラックはようやくその元凶を見つけ出したようだ。

 

 どうやら、お取り込み中(緊急事態)のようだが…。

 

 

「とりあえず、話はそのバーソロミュー・くまに()()()()なヤツを倒してからだな。

 すまんが、ぶッ倒させてもらうぜ!」

 

 

 

 

 

霹靂鉄槌

 

 

 

 

 

 ブラックが見つけ出した麦わらのルフィは、一味揃って"王下七武海"のバーソロミュー・くまと戦闘中だったようで、数では圧倒的に有利な状況だが戦況は劣勢。しかも、ブラック曰くバーソロミュー・くまではない人物とのこと。そんな状況を素早く片付けるべく、ブラックが標的の頭上に瞬時に移動し、雷を迸らせながら指を組み、その両手を標的の脳天目掛けて振り下ろした。

 

 そもそも、麦わらのルフィ達がこのような危機的状況に陥っているのは自分達のせいなのだから、ブラックが助ける義理はない。律儀に火拳のエースとの約束を守る必要もないのだ。あれは火拳が一方的に頼んだだけなのだから…。

 

 

「本物はもっと強いはずだ」

 

 

 それでも、人がいいブラックは麦わらのルフィ達を助けた。火拳からの頼み以外に、ブラックが麦わらのルフィ達を助ける理由が偶然にもあったのが大きいところだが…。

 

 

「やれやれ。

 この程度倒せないようじゃ、新世界で生き残るのは無理だぜ──麦わらのルフィ」

 

 

 呆れた様子で告げるブラック。すると驚くべきことに、麦わらのルフィ達を劣勢に追い込んでいたそれの頭が陥没しており、大爆発を起こして崩壊してしまう。

 

 

「これは……クローン技術を駆使して作り出したサイボーグってところか…。バーソロミュー・くまに限りなく近い気配だったのはそれが原因だろうな。

 まァ、それはともかく、ようやく見つけたぜ」

 

 

 望まずして指名手配されたデマロ・ブラックと、海賊王を夢見るモンキー・D・ルフィ。

 双子の兄弟だと口にしたならば、誰も疑わないほどに瓜二つな2人がついに出会った。

 

 自分に似た麦わらのルフィにようやく出会えたブラックは、顔は笑っているのに目が一切笑っていない。

 

 

「お前、もしかしてオレの兄弟か?」

 

 

 そのブラックに対して、麦わらのルフィは開口一番これである。

 

 

「会いたかったぜ弟よ──って言うとでも思ったかクソッタレがァァァァァ!!」

 

「ぎゃあアァァァァァ!!」

 

 

 本来なら、打撃が一切効かないゴム人間の麦わらのルフィに、特大の(拳骨)が落とされた。

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 麦わらのルフィが"水の都"ウォーターセブンにいるという情報を掴むも、行き違いとなってしまったブラックは、新世界を目指す海賊達が必ず立ち寄るシャボンディ諸島へと向かい、ようやく麦わらのルフィと出会うことができたのだが…。

 

 

「サンジくんの手配書にそっくりなデュバルの存在以上に驚きだわ。ま、まさか、ルフィのそっくりさんがいるなんて」

 

「可愛いお嬢さん。

 オレ、こう見えて34歳だから。この顔の歴は麦わらの倍はあるから。オレが麦わらに似てるっての違うから、麦わらがオレに似てんの。そこんとこ気を付けて」

 

「34歳ッ!?」

 

 

 己達の船長にそっくりなだけでも驚きだというのに、年齢が倍だと聞かされ更に驚く仲間達。

 

 ちなみに、麦わらのルフィは大きなたん瘤をいくつも作って涙目である。一発だけのつもりが、ブラックのストレスは思っていたよりも溜まっていたらしい。

 

 しかも、麦わらのルフィ達を追ってこの場所に登場した大鉞を背負った大柄な体格で黒髪おかっぱ頭に赤い前掛けをした男を、腕を巨大化させて掴んで遠くにブン投げ、その男が引き連れていたバーソロミュー・くまそっくりなサイボーグを拳骨一発で破壊していた。

 

 そっくりさんを見ると怒りが爆発してしまうとのことだ。

 

 その光景を目の当たりにした麦わらのルフィの仲間達は、ブラックには絶対に勝てないと悟ったらしい。

 

 

「まァとりあえずオレが言いたいことを言わせてもらうが、頼むからこれ以上騒ぎを起こさないでくれ。

 お願いだから。お宝あげるから。お願いします」

 

「お宝ッ!?」

 

 

 そして、ブラックが言いたかったことというか、切実なまでの願いを聞き、麦わらのルフィが騒ぎを起こす度にブラックが迷惑を被っていたのだと理解し同情の眼差しを向けている。

 

 1人だけ、お宝に反応している可愛い女の子がいるが、お宝を貰えるのであれば大人しく従うのだろう。

 

 

「お前、こんなに強ぇのに海賊じゃねェのか?」

 

 

 麦わらのルフィは、己にそっくりな男が海賊ではないことに驚いているようだ。

 己と同じ顔なら、海賊王を目指しているのだろうと勝手にそう思っていたようだが、何故そう思ったのだろうか…。

 

 

「オレは冒険家兼トレジャーハンターだ。海賊になった覚えはないし、海賊だと語ったこともない。

 けど、海軍と世界政府は面子を守る為なのか、オレを指名手配しやがった。最悪だぜ」

 

 

 まったく可愛そうな話で、懸賞金の額の高さもブラックの不運さを強く物語っている。

 もっとも、懸賞金の額の高さに関しては、納得のいく強さなのだが…。

 

 

「政府ならやりそうだわ」

 

 

 ブラックの身に起きた話を聞き、麦わらのルフィの仲間達の中で誰よりも世界政府に被害を受けた美女がそう口にした。

 

 懸賞金8000万ベリー"悪魔の子"ニコ・ロビン。世界政府から20年もの間追われ続け、今も尚追われ続ける悲劇の考古学者である。

 そのニコ・ロビンに対し、ブラックは温かな笑みを向けており…。彼女本人はどうしてそんなに優しい笑みを向けられるのか分からずにいるようだ。

 

 

「ニコ・ロビン…君は()()()()()()()()()()()だな。こうして会えたことを嬉しく思う」

 

「!?

 は、母を知っているの!?」

 

 

 どうやら、驚くべきことにブラックとニコ・ロビンの間にはちょっとした接点があるようだ。接点があるのは、正確にはブラックとニコ・ロビンの母───ニコ・オルビアのようだが…。

 

 

「オルビアさんはオレが冒険家を目指そうと思ったきっかけでもある。ある日、"歴史の本文(ポーネグリフ)"の研究の為に航海していたオルビアさんとオレは出会った」

 

 

 それはかれこれ20年以上も前のことだ。

 

 

「オレは、オルビアさんに古代文字を少しばかり教わってな。別れの時に本も何冊か貰った。それからは古代文字を独学で学んだよ。だから、オハラの一件を知った時は本当にショックを受けた」

 

「あ、あなたも古代文字を読めるの!?」

 

「おう、苦労して覚えた。

 オレは冒険家だからな。色んなものを見たい。その一つが歴史の本文(ポーネグリフ)だ」

 

 

 ここでまさかの衝撃的な事実である。

 

 ブラックが危機的状況だった麦わらのルフィ達を助けた理由が、過去に世話になったニコ・オルビアの娘のニコ・ロビンがいたからというのは、話の内容からしても確かだろう。

 

 しかしまさか、ブラックも古代文字を読めるとは…。

 

 今や古代文字を読めるのはニコ・ロビンしか存在しないと思われていたのに、まさか他にも存在したなど、驚天動地で震天動地。それが麦わらのルフィに似ているブラックだというのだから、驚きは倍増し以上だろう。

 

 これがもし世界政府に知られたら、ブラックの懸賞金は更に跳ね上がる。寧ろこれまで、よく隠し続けてこれたものだ。それもこれも、やはり幻獣種の能力があったからこそなのだろう。

 

 麦わらのルフィが天竜人を殴り飛ばしたことで、海軍本部大将が派遣されてしまう大事件の真っ只中だが、それ以上にヤバい案件がここに転がっていようとは…。

 

 

 






色んな考察を読んでみたりしたのですが、ルフィ達の航海日数(シャボンディ諸島まで)って2ヶ月半くらいなんですね。

ウォーターセブンで行き違いになってしまったデマロ・ブラックは、それならばとシャボンディ諸島へ。
しかし、到着したら麦わらのルフィが天竜人を殴っていた。←頭を抱えるどころこ、殺意が湧いた模様。

けど、麦わらの一味にニコ・ロビンがいることを知り、そこで殺意が和らぐ。このデマロ・ブラックは、過去にロビンの母親と出会っており、歴史の話を聞いて、世界各地を回って色んなものを見てみたいと思うようになり、それで冒険家を目指したのである。オルビアに少し古代文字を教わり、そこから独学で古代文字をマスター。

ロビン以外で歴史の本文(ポーネグリフ)を読めるのコイツだけ。世界政府が何としてもブラックを排除せねばならないような理由が実はあるという、かなりヤバイ奴だった。


麦わらの一味全員で戦ってるのに劣勢だったパシフィスタ戦。ブラックが一撃で破壊。

霹靂鉄槌。
覇気と雷を纏ったダブルスレッジハンマー。

霹靂大鉄槌ってのもあるけど、こっちは覇気と雷を纏った踵落とし。

戦闘丸は巨大化した腕で掴まれてブン投げられてフェードアウト。

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