偽ルフィが本当にモンキー・D・ルフィに似ていたら 作:身勝手の極意
恐れ多くも、日間とルーキー日間にランクインしてしまった。皆様ありがとうございますね。
プレッシャー半端ないけど、ボクガンバル。
ちなみにだけど、誉められたら伸びる子だと思うよ。きっと。
シャボンディ諸島にてデマロ・ブラックが海軍大将・黄猿から逃げ延び、それから一夜が明け…。
世間は、麦わらのルフィが天竜人を殴り飛ばした大事件にはまったく関心を示すことなく、世界の均衡を崩す大事件が
数日後、いったい何が起きるというのか…。白ひげ海賊団二番隊隊長"火拳"ポートガス・D・エースの公開処刑が海軍本部マリンフォードにて執り行われることが発表されたのである。
ただ、火拳の公開処刑が執り行われることを知った者達の脳裏を過ったのは、世界最強の大海賊の姿だろう。火拳の公開処刑を行う───それはつまり、海軍本部と白ひげ海賊団の全面戦争を意味してもいるのである。
かつてない大戦争がマリンフォードにて勃発し、多くの血が流れることとなる。
しかし、海軍も血迷ったことをするものだ。
白ひげは海賊だが、世界の均衡を守る為の抑止力。武闘派のカイドウ、癇癪持ちのシャーロット・リンリンとは違い、四皇内でも穏健派に位置付けられている"赤髪"のシャンクスと同様で、どちらかというならばピースメインに分類される海賊だ。
もっとも、白ひげも赤髪も海賊であることは事実で、一度暴れさせれば手に負えず、島一つ簡単に破壊してしまう力を持っているのだが…。
ただ、白ひげや赤髪がナワバリにすることで、平和が保たれている島が幾つも存在する。多くの一般人達が、白ひげと赤髪に守られているのだ。
もし、今回の一件で白ひげが死んでしまったら、白ひげに守られていた多くの一般人達にまで被害が及んでしまうこととなる。
白ひげが死んでしまったら世界がどうなるのか───火を見るよりも明らかだ。
世界がより混沌と化してしまう選択をするなど、正気の沙汰ではない。
だが、海軍と世界政府にも白ひげとの戦いを覚悟してまで火拳の公開処刑を執り行う理由があるのだろう。その理由がいったい何なのか───それはきっと、処刑日当日に明らかになる。
これから世界はいったいどうなってしまうのだろうか…。
それはそうと、火拳の公開処刑の発表で世間が大騒ぎしているなか、人知れずというか、火拳の公開処刑の衝撃が大きすぎて誰も気付いていないだけで、新たな大海賊が誕生していた。
それも、ルーキー海賊が異例の大出世である。
懸賞金7億3600万ベリー"赫猿"デマロ・ブラック。初頭で3億超えの懸賞金をかけられただけでも異例だというのに、この短期間で更に倍増しされるとは、海軍と世界政府がそれだけ危惧する存在だということだ。
少しタイミングがズレていたら、ブラックが話題の中心になってしまっていたかもしれない。懸賞金が倍増しにされてしまったのは遺憾だろうが、このタイミングは本人的には良かったことなのかもしれない。
「一気に倍増しとは、ますます君の未来が楽しみだ」
「冗談やめてくれよレイリーさん。
オレは海賊じゃないんだ。はあ、そんなこと言っても、もう誰もオレの話なんて聞いてくれないんだろうけど…」
しかしながら、この短期間で5億を超える賞金首になるとは恐れいる。海賊王の右腕"冥王"ですらも、感嘆の声を漏らすほどだ。ブラック本人にとっては、誠に遺憾なことだが…。
海軍大将・黄猿を相手に、為て遣ったりを成功させてしまったことで、海軍と世界政府に対するブラックの脅威度は増しに増したということだ。ブラックの手配書が破棄されることは、きっと未来永劫訪れることはない。
ブラックが冒険家兼トレジャーハンターと名乗っても、世間では自称という文字すらも付与されることはない。
デマロ・ブラックの世間一般での認識は凶悪な犯罪者───一匹狼の海賊なのである。
「君なら、あの"孤高のレッド"を確実に超える」
「嬉しくないから」
新進気鋭の孤高のルーキー海賊"赫猿"デマロ・ブラックの懸賞金がこれからどこまで増すのか、冥王レイリーはそれが楽しみで仕方ないらしい。
ブラックがどのように行動しようとも、海賊という運命が彼を逃すことがないことをレイリーは知っているのだ。どんなに抗っても無駄で、無駄な努力でしかない。不可能なことなど決してないという、そんな話ではないのである。
ちなみに、孤高のレッドというのは、海賊王世代の大海賊パトリック・レッドフィールドのことだ。孤高の異名の通り、誰とも組むことなく、たった1人で海賊王ロジャー、白ひげ達と渡り合った大海賊。
ただ、レイリーがブラックに対して、大海賊"孤高のレッド"を超えることができると明言するあたり、己達───ロジャーや白ひげ達と比べたらワンランク劣っていたのだろう。
そしてレイリーは、ブラックが全盛期の己達と同じ領域に必ず上り詰めることを確信しているようだ。
「君が違うとどれだけ口にしようとも、世界政府と海軍にとって脅威であることは確かだ。
そして、君は自ら嵐の中を進むつもりなのだろう?」
麦わらの一味が遥か彼方に、散り散りに飛ばされてしまったことをレイリーから聞かされたブラックは強い後悔に苛まれていた。だが、火拳のエースの公開処刑を知り、もう二度と同じ過ちを繰り返さないことを心に固く誓った。
離散した麦わらの一味───その中でも、ニコ・ロビンのことを一番心配しているだろうが、ブラックにはやらなければならないことがあり、ニコ・ロビンは二の次。
彼女を後回しにしてまでブラックがやるべきことはいったい何なのか…。それは、火拳のエースの弟である麦わらのルフィを守ることだ。ブラックは律儀に、火拳から一方的に頼まれたことを今度は必ず果たすつもりでいる。
もっとも、レイリーからニコ・ロビンが無事だという情報を得ていなければ、ブラックは彼女を優先して世界各地を探し回っていたことだろう。その情報が本当に正しいのか、レイリーも証明する術がないようだが、冥王レイリーがブラックを騙したところで、得することなどない。
だからこそ、ブラックは冥王を信じ、まず第一に自分が為すべきことを為す覚悟を決めた。
「麦わらのルフィは必ず火拳を奪還する為にマリンフォードに向かう。だから、オレが向かうべき場所もマリンフォード」
━━ 弟には…ルフィには絶対知らせるな。
バナロ島にて、火拳がブラックを逃がす間際にそう呟いていた。だがそれは、自分が捕まったことを絶対に知られたくないという、捕まってしまったことを恥じての言葉ではなく、兄が捕まったことを知った弟がどのような行動にでるのか───それを危惧しての言葉だったのだろうと、ブラックは予測している。
麦わらのルフィのこれまでの大胆な行動から考えても、その予測は決して間違ってはいないはずだ。
「ルフィくんなら本当にやりそうだ。
そのルフィくんを君は守る為に行く。だが、行ってしまったが最後──君はもう、冒険家兼トレジャーハンターではない。世界に名を轟かせる孤高の海賊だ」
「はぁ、あまり悪いことはしてこなかったんだけどなァ。オレの人生、どこで間違えてこうなっちまったのか」
他人から影響を受けて、人生の転機を迎えることはあれど、ここまでマイナスの転機を経験したことのある者はなかなか存在しないだろう。
もう、後戻りはできない。
「公開処刑までまだ数日はある。
何もしないよりはマシだろう。何より、君ならばたった数日でも更なる成長が望めるはずだ。
かなり厳しくいくが、
火拳のエースの公開処刑まであと数日。
世界の均衡が大きく崩れ始めようとしている。
☆
冥王が動く。
「うおらァァァァァ!!」
「ふむ、やはり私の目に狂いはなかったようだ。
だが、まだまだ──もっと神経を研ぎ澄ませるんだ」
現役を退き髄分と時間が経つようだが、海賊王の相棒の力はまだまだ健在で、ルーキー海賊では敵うはずがなく…。
だが、数日後に巻き起こる世紀の大戦争───四皇の力は冥王すら凌ぐはずだ。
"白ひげ"エドワード・ニューゲート。海賊王ロジャー亡き後、名実共に世界一となり、"世界最強の男"、"世界最強の海賊"、"最も
ブラックにそっくりなルーキー海賊"麦わらのルフィ"と比べたら、約17倍である。
「ロジャーと白ひげはまだまだ先にいるぞ」
海賊王は更にその先。道程は果てしなく遠い。
だが、それでもめげずに進まなくてはならない。
「レイリーさんよォ、オレ──海賊王になる気なんてこれっぽっちもないって言ったよな?
もしかしてボケてきてる?大丈夫か?」
「マリンフォードに乗り込むのなら、白ひげに取って代わってやるくらいの意気込みがなくてはな」
「いやいやいや、海賊王にも世界最強の男にも取って代わるつもりなんてないって言ってんでしょうが」
シャボンディ諸島近くの無人島にて、ブラックは覇気の真髄を会得するべく、冥王シルバーズ・レイリーによる厳しい指導を受けている。
海軍本部マリンフォードで執行される"火拳"ポートガス・D・エースの公開処刑に乗り込む覚悟を決めたブラックだが、今の彼ではまだ生き残れる可能性が極めて低いからだ。それに、ブラックには絶対に生き残らなければならない理由があり、やらなければならないことがある。
火拳を奪還するべく、絶対にマリンフォードに乗り込む麦わらのルフィを、ブラックは守るつもりなのだ。
「マリンフォードには三大将、中将達の他に多くの海軍の猛者、恐らく七武海も全員揃っているだろう。
それに、ガープにセンゴクもいる。ロジャーが生きていたら、嬉々として乗り込んだだろうな。
君も思いっきり楽しんでくるといい」
「楽しめるかァァァ!!」
火拳の公開処刑が執行されようとしているなか、楽しめるはずもない。ただ、ロジャー海賊団出身の海賊はやはり普通ではないということだろうか…。
よくよく考えてみると、海賊王ロジャーがそうなのだ。当時、他の海賊達への見せしめの為に執り行われた公開処刑の場を、海賊王ロジャーは死に際のたった一言で"大海賊時代"の幕開けの式典へと一変させたのである。死の直前、残り数秒僅かに灯った命の火を、世界に燃え広がる業火へと変えた。
何事も派手で豪快に、それが海賊。
「君はもう海賊だ、ブラック。
自分の思うがままに進め」
デマロ・ブラックが海賊としての人生をようやく、どうにか受け入れて歩み始めようとしている。
火拳の公開処刑日───"赫猿"デマロ・ブラックとしてのスタートラインだ。
懸賞金倍増しと同時に、異名にも少し変化が。
懸賞金7億3600万ベリー。"
赫っていう字は勢いが盛んという意味を持ってますよねェ。