偽ルフィが本当にモンキー・D・ルフィに似ていたら   作:身勝手の極意

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赫猿は空飛ぶ海賊とも呼ばれるようになった。あれ?そんな異名の大先輩がにいたような?



ブラックの隠し名

 

 

 戦場と化した海軍本部マリンフォード。しかし、戦場と化したマリンフォードが静まり返ってしまう。

 

 そのマリンフォードの湾内に軍艦が一隻───巨大な赤い猿が軍艦を一隻、脇に抱えて空からゆっくりと舞い降りたのである。

 

 唖然とする両軍。実にド派手な登場だ。

 

 

「よっこいしょ」

 

 

 その赤い大猿が、人間の言葉を発しながら凍りついた湾に軍艦を置く。

 

 すると、その赤い大猿がみるみるうちに縮小していき、人間の姿へと戻っていく。これが意味するのはつまり、動物(ゾオン)系の能力者だったということだ。

 

 それも、空からゆっくりと舞い降りたということは、飛行能力も持ち合わせているということ…。

 

 いったい何者なのか…。人間の姿が露になり、海軍側に大きな動揺が走る。

 

 

「あ、あれはッ、懸賞金7億3600万ベリーの超大型ルーキー"赫猿"デマロ・ブラック!?」

 

 

 火拳のエースを手土産に七武海入りした黒ひげからの情報で、ブラックが幻獣種の能力者であることは伝わっていたが、黄猿は人型の状態のブラックと戦っただけで、能力のほんの一部しか見ておらず、獣人型の状態を直接目にしたわけではない。故に、飛行能力まで持ち合わせていたことを知らない。獣人型の状態を見たことがあるのも、黒ひげとその仲間達のみだ。つまり、海軍と世界政府、そして世間も、サルサルの実 幻獣種 モデル"ハヌマーン"の能力の全容を把握できていないということ…。

 

 悪魔の実の図鑑にも載っていなかったものらしく、詳しく知っているのはデマロ・ブラック本人のみなのだ。

 

 大監獄インペルダウンからの脱獄囚達を引き連れド派手に登場したブラックは一身に注目を浴びており、海軍はこれまで以上に強く警戒している。まだ他にも、隠された能力があるかもしれないと疑心暗鬼に陥り、精神的に追い込まれているのではないだろうか…。

 

 シャボンディ諸島でのブラックの所業もまた、彼がただのルーキーではないのだと思い込ませている。

 

 その証拠に、()()()がブラックに襲いかかってきた。

 

 

「会いたかったよォ──赫猿ゥ」

 

 

 初恋の相手に再会したかのような様子で、光の速度で襲いかかってきたのは因縁ある黄猿だが、醸し出される雰囲気は殺伐としており、黄猿から繰り出された蹴りはとんでもない威力。防いだブラックも苦悶の表情を浮かべている。もっとも、大将の攻撃を防ぎ、苦悶の表情程度で済んでいるのも、シャボンディ諸島でのブラックの所業が事実であったことを物語っている。

 

 

「オッサンにそんなこと言われても気持ち悪いだけだ!鳥肌たったわコンチクショウが!!」

 

 

 最早、デマロ・ブラックという存在は、大将案件になっているということ。

 

 

「ッ、こりゃ──マズい…ねェ…!」

 

 

 

 

 

霹靂一閃

 

 

 

 

 

 黄猿の脚を掴み、そのままブン投げたブラックは、お返しとばかりにブン投げられた黄猿に対して強烈な飛び蹴りをお見舞いした。

 

 しかも、足の裏に覇気を流し、体の外に大きく覇気を纏いながら繰り出された飛び蹴りによって、黄猿は弾かれたように激しく吹き飛んでしまう。腕を交差させて覇気を纏って防いではいたが、この覇気は()()()()()()()する。

 

 これまでの武装硬化と比べても、桁違いの威力を持つ更に上の武装色の覇気だ。

 

 ブラックの覇気がここまでの領域に達していたとは予想だにしていなかった黄猿は、前回と同様にまたしてもブラックに為て遣られてしまう。黄猿には油断も隙もなかったはずだ。だが、同じ轍を踏んでしまった。

 

 予想を遥かに上回るブラックの成長速度と、大将であるという傲り。それらが黄猿に同じ轍を踏ませた要因だろう。大したダメージは負ってはいなかったようだが、それは食らったのが黄猿だったからで、中将レベルだったら相当なダメージを受けていたほどのもの。戦闘不能に陥っていたかもしれない。

 

 

「おー、痛ててて。

 本当に厄介だねェ。お前さんはやっぱり、ここで殺しておかないとマズイねェ」

 

 

 大将だからという傲りも、今の一撃で消え失せた。決して生かしておいてはならない脅威として、海軍大将がブラックの力を認めたのだ。黄猿はブラックをここで、本気で殺すつもりだ。

 

 火拳のエースの公開処刑を執行する為にも、ブラックを排除しなくてはならない。もしかしたら、白ひげに次いで危険な人物だと認識されたかもしれない。

 

 

「イワンコフ、それとジンベエ。

 すまんが、麦わらはアンタ達に任せる。どうも黄猿がオレを逃がしてくれなさそうだからな」

 

 

 さすがに黄猿を相手にしながら麦わらのルフィを守るのは無理だ。しかし、海軍の最高戦力をブラックが引き受けてくれるとなれば───しかも大将達の中でも、最も機動力に優れている黄猿がブラックに付きっきりとなれば、他が先に進みやすくなる。

 

 海軍側にとっても、ブラックは黄猿に任せるべきという判断だ。雷の速さに対応できるのは、見聞色の覇気が相当優れた者か、雷よりも速い光速の黄猿のみだからだ。ならば、因縁ある黄猿に任せておくべきで、これ以上強大化する前に確実に排除しておく為に黄猿に任せるのが一番だろう。

 

 

「今度は逃げねェぜ、黄色いお猿さんよォ」

 

 

 

 

 

天雷戦鎧

 

 

 

 

 

 雷の肉体活性。逆立った髪に、全身から迸る雷。ブラックの準備は万端だ。

 

 

「前回よりも速くなってそうだねェ。それとも、前回は全力じゃなかったのか…。怖いねェ、末恐ろしいねェ。まったく、お前さんは本当に──忌々しい」

 

 

 黄猿が再び光となり、ブラックへと襲いかかる。

 

 当然、ブラックはそれに反応し、ブラックの蹴りと黄猿の蹴りが衝突し、大きな余波が発生した。

 

 新進気鋭の孤高のルーキー海賊と、海軍最速の大将の第2ラウンドの幕開けだ。

 

 火拳の公開処刑の場が、新たな大海賊の御披露目の場へと変わりつつあるかもしれない。

 

 

「グララララ!

 時代はしっかりと進んでるってか…。面白れェガキがいやがるじゃねェか!」

 

 

 空から舞い降りた赫猿が大将と壮絶な戦いを繰り広げている。その光景を眺める大海賊"白ひげ"エドワード・ニューゲートは、己の全盛期の時代を思い出しながら、それと同時に確実に時代が進んでいることを感じ取り、愉快そうに笑い声を上げている。

 

 

「グラララ、だがこっちも負けてらんねェな。

 お前らァァァ、ガキに出番奪われてんじゃねェ!!」

 

 

 そして、この世紀の大決戦をよりド派手なものに…。世界最強の大海賊がルーキー海賊に刺激を与えられ、動き出す。

 

 

「ここまでデケェ戦いはいつ以来か…。

 これが()()()()の戦い──グララララ、最高の花道じゃねェか!!」

 

 

 ただ、世界最強の海賊も寄る年波には勝てない。これは自然の摂理であり必然。

 

 白ひげ自身がそれを理解しており、最後の戦いに身を投じる。己の時代が終わりを告げ、新たな時代が到来する。この戦争が、一つの終わりとなり、新たな始まりとなることを白ひげは理解しているのだ。

 

 だからこそ、新たな始まりとなる瞬間を、白ひげは海賊王ロジャーのように豪快に幕開けさせるつもりでいる。

 

 己の命を起爆剤にして…。

 

 海賊王の死と同時に大海賊時代が幕開けして22年。しかし、これまでの22年は序章にしかすぎない。

 

 いよいよここから始まるのだ。海賊王の座を賭けた、選ばれし者達の戦いが…。

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 火拳を奪還するべく攻める白ひげ陣営。それを阻止するべく立ち塞がる海軍と王下七武海。マリンフォードで繰り広げられる闘いは壮絶の一言に尽き、熾烈を極めている。

 

 海軍の三大将の1人である黄猿をルーキー海賊のブラックが相手取り、白ひげ側が有利のように思えるかもしれないが、戦いは拮抗したものだ。さすがは海軍最高戦力。黄猿以外の大将───赤犬も青雉も、四皇に引けを取らない強さで、海賊達を次々と葬っている。

 

 そもそも、ルーキー海賊が大将を相手に戦えているのがおかしいのだ。

 

 

「デマロ・ブラック、奴はいったい何者なんだ。

 高度な覇気を使える幻獣種の能力者。これほどの力を持った者がこれまでまったく知られることなく存在していたなど…」

 

 

 もし、デマロ・ブラックが海軍側だったならば、相手が白ひげといえども、海軍の勝利は決定的だったかもしれない。ブラックの力はそれほどの脅威で、元帥センゴクもそう思わずにはいられない。

 

 しかし、何を言ったところでもう後の祭りだ。

 

 無害な冒険家兼トレジャーハンターだったブラックに懸賞金を懸け、海賊にしたのは海軍と世界政府なのだ。今さら掌を返して、ブラックを引き入れようとしたところで、ブラックが味方になることはない。

 

 それにブラックがここまでの力を手に入れたのは、冥王レイリーの地獄の修業を乗り越えたからこそだ。

 

 だが、センゴクの中で一つの不安が過る。

 

 

「まさか──奴も"()"なのか?」

 

 

 センゴクが冷や汗を流しながら、強く警戒する"D"という文字。その文字がいったい何を意味しているのか、知っている者は少なく、センゴクはその内の1人だ。

 

 

「隠し名か…。もしそうなら…うむ、可能性はあるな。そうなってくると、奴自身も"D"について知っているということになるが、奴は自ら冒険家兼トレジャーハンターだと…黒ひげがそう聞いたと言っていたな」

 

 

 そのセンゴクは、"智将"と称えられる優秀な頭脳で、情報がほとんどないブラックの出自の謎を解いていく。

 

 センゴクの考えではこうだ。

 

 デマロ・ブラックの真の名は、デマロ・D・ブラック。もしくは、海軍本部中将"英雄"モンキー・D・ガープや、麦わらのルフィとは遠縁のモンキー・D・ブラック。デマロはDの名を隠す為の偽名ではないかと、センゴクは一つの可能性として考えている。

 

 Dの名が持つ意味にいつ気付いたのか、冒険の最中で知ったのか、それよりも前に身内から聞かされ知っていたのか、それについてはハッキリとした答えは出ないが、これまで隠してきた素性が麦わらのルフィの登場で隠しきれなくなってしまったのではないだろうか…。優秀なセンゴクの頭脳が、そのような答えを導き出してしまう。

 

 

「それならば奴の強さにも納得できる」

 

 

 納得してしまうセンゴク。

 

 ブラックもまさか、元帥センゴクがそのようなことを考えているとは思いもしないだろう。

 

 

「1人で何を納得しておるんじゃ、センゴク」

 

 

 1人納得するセンゴクを不思議に思い、声をかけるのは英雄ガープである。

 

 

「ガープ。

 デマロ・ブラックは貴様の知らない遠縁で、"D"の名を持つ者かもしれん」

 

「儂のひいじいちゃんがルフィっぽい顔をしておって、兄弟がいたとかいなかったとか聞いたことあったようななかったような。やっぱりそうなのかのう?」

 

 

 センゴクの言葉にあっけらかんとして衝撃的な言葉を返すガープ。

 

 

「貴様ァ!何故それほど大事なことを黙っておったァァァ!!」

 

「たった今ふと思い出したんじゃ。あやふやなんじゃから仕方あるまい」

 

 

 ブラックは本当に麦わらのルフィとガープの遠縁なのか…。そして、本当に"D"の名を持っているのか…。この点に関しては、実のところかなり重要な点らしく、センゴクも焦りを見せている。

 

 

「くッ、どちらにしろデマロ・ブラックは脅威だ。

 ここで排除せねば、間違いなく更なる脅威となるぞ」

 

 

 センゴクの視線の先では、光弾を機関銃の銃撃のようにして黄猿が放っており、ブラックが雷弾を同じく機関銃の銃撃のようにして放ち、相殺して渡り合っている。

 

 大将と渡り合える存在が四皇とその幹部の他に存在するなど、海軍にとって実に悩ましい問題だ。しかも、この戦場に現れるなど迷惑極まりない。

 

 センゴクは全兵に告げる。デマロ・ブラックを最優先で排除しろと…。

 

 

「"D"はいつも余計なことをしてくれる」

 

 

 ブラックは本当に"D"なのか…。彼の知らぬところで、またしても事態は悪い方向に動いている。

 

 

 






ガープとか青雉とかスモーカーとか藤虎との追いかけっこは楽しそう?だけど、相手が黄猿だとちょっと遠慮したいよね。


霹靂一閃
弾く覇気を付与した飛び蹴り。ダイナミック・エントリー。

雷公弾
技名は出てないけど、黄猿の八尺瓊曲玉(やさかにのまがたま)を相殺した技。サイヤ人の王子の連続エネルギー弾のような感じ放つ。


デマロはDの偽名だった?ガープも知らない遠縁だった?ガープのひいじいちゃんに兄弟がいたとかいなかったとか聞いたことあったようななかったような…。真実は如何に!!
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