チートじゃ済まないin月世界   作:雨期

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現在コラボ募集中。初見さんでも大歓迎。詳細は活動報告にて。


1回戦 その12

 ふぅ、今日もまた1日が始まった。何度起きてもこの聖杯戦争が夢だったのではないかと思ってしまう。まだ現実から目を背けてしまっているんだな…………ノービス、居る?

 

「なんだマスター。悪い夢でも見たか?」

 

 この聖杯戦争が何よりも悪い夢だと思うけどね。

 

「違いねぇ。んで用事は?」

 

 特に何でもない。ただ近くに居るのか確認したかっただけ。今日はどうしようか。強化するならその方針は決めてあるから先にやってしまおうか。早くノービスに伸び伸びと戦ってもらいたいしね。

 

「気遣い感謝するぜ」

 

 じゃあ行こっか。

 

 マイルームから出ると参加者の空気がそれぞれ違うのが感じ取れた。決戦が明日に迫り緊張している人が多いが、シンジと同じく聖杯戦争をゲームと思って余裕ようにしている人も居る。中には賞金がどうのと話している人も居るようだ。

 でも気持ちは分からなくもない。人間は自分の目で見たものを一番信じるものだ。正直に言えば私だってまだ信じていない部分だってあるのだから。

 

『気楽なもんだな。案外あんくらいの気持ちの奴らが生き残っちまうもんだけどな』

 

 それは英霊としての経験?

 

『まだ英雄でも霊でもねぇっての。ただ戦場を駆け抜けた経験はあるからな。そっちの経験則だ。でもマスターも軽い気持ちでいてほしいってわけじゃねぇからな』

 

 分かったよ。でももし何かあったら、ノービスに頼ってもいいかな。

 

『いいに決まってんだろ。お前は俺のマスターなんだぜ。それに女の子に頼られて嫌な男なんていねぇんだから』

 

 ありがとう。協会にも着いたし、改竄をお願いしようか。

 

ーーギィィ

 

「いらっしゃい、ミコト君にお嬢ちゃん。明日には決戦ね。相手はマトウシンジ君だって?」

 

 知っているんですか青子さん。

 

「若くしてアジアのゲームチャンプになった子よ。それより魂の改竄よ。今回はどうしたい?」

 

「そういや今回はしっかり方針があるんだっけ? どんなのだマスター」

 

 以前思い通りの動きが出来ないような事を言っていたでしょ。だから敏捷を重点的に高めていきたいの。筋力があれば相手を早く倒せるかもしれないけど、そもそも攻撃が当てられないと意味がないから。

 

「いいんじゃない。ミコト君こっちおいで」

 

 ノービスの改竄が終わるまで長椅子にでも座って待つとしよう。そういえば橙子さんの姿が見当たらない。

 

「キョロキョロしてどうかした?」

 

 あっ、気になったらすみません。ただ橙子さんが居ないようですから。

 

「姉貴は今は客の相手をしているわ。私もあっちに行きたいのだけどねぇ」

 

「客? こんなとこに誰が来るんですか?」

 

「貴方のお母さんと伯母さんよ」

 

「えっ…………?」

 

「貴方の居る場所を見学したかったんですって。あ、心配はしていないみたいよ」

 

「そ、そうですか」

 

 へぇ、ノービスの家族がまた来たんだ。今度は直接会ったりしないんだね。

 

「いや、前回の伯父さんの事を考えると気配を完全に隠して近付かれていたかも」

 

「どうかしらね。ただ今は姉貴と桃の友情破壊鉄道ゲームをしているわ。はい改竄終わり。スキルの解放も上手くいったみたいね。1回戦最後のアリーナ、存分に暴れてきなさい」

 

「ありがとうございます、青子さん。マスター、何か準備はあるか?」

 

 強いて言えば昨日手に入れた財宝データの換金くらいだけど、それはいつでもやれそうだから今すぐでなくてもいいかな。アリーナに行こうか。

 協会から出ると藤村先生の姿が見えた。そういえばみかんを渡しておかないと。

 

「どうしたの岸波さん。あっ! みかん! 見付けてくれたのね! じゃあお礼に、タイガーランプ~♪」

 

 どこにあるんですかそんなもの。

 

「自動的にマイルームに送られるんだったわ。ともかくありがとね」

 

 相変わらず自由な人だ。仮想空間の教師だからいいけど、現実で教師だったらどうなっていた事か。

 

『知ってるかマスター。ここのNPCは全員リアルに居た人物をモチーフに作られているんだぜ』

 

 えっ?

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 アリーナ入り口の前で誰かが揉めているようだ。あれはシンジとそのサーヴァントだ。

 

「シンジぃ、最初に言ったはずだよね? アタシを働かせるには何が必要かってさぁ」

 

「ま、まだ金がいるっていうのか!? この強欲女!!」

 

「そうとも。アタシは雇われ海賊だからね。積まれた金が多ければ多いほど、やる気が出るってもんさ! それに昨日はあのお嬢ちゃん達がさっさとアリーナに来ちまったから、全部集めきれなかったしね」

 

「ちっ、分かったよ。ちょっと待ってろ…………またアリーナにハッキングして、財宝を増やしてやったから…………」

 

「おや、お嬢ちゃん。奇遇だねぇ」

 

「岸波!? ぬ、盗み聞きなんて卑怯だぞ!」

 

 別に隠れて聞いていたわけでもなければ、シンジ達の会話を聞くつもりでここへ来たわけでもない。それにそこのサーヴァントなら私に気が付いていたのでは?

 

「うん? 確かに気が付いていたね。でもシンジが何も言わないから無視していただけさ」

 

「な、なんだとぉ!? …………ま、まあいい。聞いての通り、アリーナに財宝を出現させたんだよ。僕のサーヴァントはお金を払えばそれだけ強くなるからね! 欲しければお前も取りに来たっていいんだぜ」

 

 昨日アリーナで手に入れた財宝データはそのサーヴァントの強化に必要だったわけだ。なら邪魔させてもらうしかない。

 

「いいやる気じゃないか、お嬢ちゃん。シンジもわざわざ誘うって事は、目の前で全部かっさらう算段だね。いや、どうしようもないねじ曲がりっぷりだ! 小悪党にもほどがある!」

 

「小悪党って言うな! この性悪サーヴァント! じゃ、じゃあな岸波。何なら、待ってやっててもいいぜ。同時に取り始めたって財宝は僕らが全部貰うからね!」

 

 笑いながらアリーナへと入っていく2人。喧嘩している時が多いけど、仲がとても良さそうだ。って感心している場合ではない。

 

『そうだな。下手に強化させるわけにもいかねぇ。さっさと取っ捕まえて阻止してやろうぜ。資金源も確保できて一石二鳥だ』

 

 がめつい事考えるね。でも全面的に賛成。シンジの余裕を完全に崩してあげよう。




どうでもいい話

ミコト君は幽霊、怪奇現象に対しては耐性があるものの、ホラーゲームは苦手。前者は自然現象と割り切れるが、後者は明らかにビビらせにきているためらしい。
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