チートじゃ済まないin月世界   作:雨期

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地元だし今度ufotable cafeにでも行ってこようかな。


1回戦 その4

 目を覚まして携帯端末を確認すると対戦相手が決定したとの報告が入っていた。どうやら2階掲示板にて発表されているらしい。早速掲示板まで行ってみると見慣れない紙が張ってあった。

 真っ白な紙に書かれているのは2つの名前。1つは自分。もう1つは…………

 

マスター:間桐慎二

決戦場:一の月想海

 

「まさか君が1回戦の相手とはね。本選に出場出来ているだけでも驚きなのに」

 

 いつの間にかシンジもやって来ていた。

 

「けど考えてみればおかしな事でもないかな。僕の友人に割り当てられていた以上、君も世界有数の魔術師(ウィザード)って事だもんな。格の違いは歴然だけど、友人をやっていたわけだし、おめでとうと言っておくよ」

 

『なんか生意気だな。このワカメヘアー』

 

 まあそれがシンジだから。むしろ生意気じゃないシンジなんてイメージ出来ない。

 

「そういえば君、予選をギリギリで通過したんだって? どうせお情けで通してもらったんだろ? いいよねぇ凡俗は、ハンデ付けてもらってさ。でも本選からは実力勝負だから、勘違いしたままじゃ良くないぜ?」

 

『安い挑発だな。気にするなよマスター』

 

「しかし主催者もなかなか見所があるじゃないか。いかに仮初の友情だったとはいえ、勝利のためには友をも手にかけなくてはいけないとは! 悲しいかな、これが主人公の運命というなんだろう。こればかりは僕も心苦しいよ」

 

 シンジは陶酔した顔で叫ぶと、いつものにやついた表情に戻って、私の肩を軽く叩いた。

 

「ま、正々堂々戦おうぜ。君だって選ばれたマスターだ。いい勝負になると思うぜ? それじゃあ次会う時は敵同士だ。僕らの友情に恥じないように、いい戦いにしようじゃないか! ハハハハハッ!」

 

 高笑いしながら去っていくシンジを眺めながら、シンジと戦うという事実を頭の中で復唱する。しかし実感が全く伴わない。記憶のないまま友人だった人間と殺し合うなんて、悪い夢のようだ。

 シンジがこの状況にうかれているのならば、私はこの状況にうなされている。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 夕刻になり、携帯端末から電子音が鳴り響く。

 

第一(プライマリ)暗号鍵(トリガー)を生成

第一層にて取得されたし

 

 なんだろうこれは。字面から察するに何かの鍵なのだろうが…………あの言峰という神父に聞いてみよう。携帯端末から送られてきた情報程度ならば教えてくれるはずだ。

 

『第一層といや、昨日行ったアリーナだな』

 

「言峰神父に質問しに行こう」

 

『それがいいな。あ、話題は変わるけどよ。昼間のワカメ君、なかなかの魔術師(ウィザード)だな』

 

 ? 何故見ただけでそれが分かるのだろう。サーヴァントの特殊能力か何かだろうか?

 

『そうだな。1つの基準にもなるし、歩きながらでいいからマスターも覚えておくといい。参加者の中には個性的な見た目をしているのが居るのは何度か見ただろう』

 

 そういえば大半の参加者は私と同じ月海原の制服で、顔なんかも似たり寄ったりな人が多い。それなのに凛やシンジは独自の見た目をしている。他にも探索中に変わった見た目の参加者を見てきた。

 

『あれはカスタムアバターと言ってな。かなり優れた能力がないと使えないものなんだ。だからあのワカメ君は性格は別として実力はあるマスターと言えるな。あの性格がなけりゃなぁ。勿体ない』

 

 ノービスは本当に勿体なさそうに言った。それだけ優れた魔術師(ウィザード)のシンジに私は勝てるのか。まだシンジこ殺し合う覚悟も出来ていないのに。

 そういえば言峰神父が見当たらない。あんなに濃い人だからすぐにでも見つかりそうなのに。

 

「お困りですか?」

 

「えっ…………はい、困ってます」

 

「私でよろしければ相談に乗りましょう。これも星の導きです」

 

 話し掛けてきたのは紫の長髪に褐色の肌をした、眼鏡を掛けた少女であった。服装も制服ではなく白衣のようなものだ。NPCといった雰囲気ではない。彼女も参加者の1人だろう。しかし私はそんなに困っているように見えたろうか。

 

「それでどのような事でお困りですか?」

 

 どのような動機かは気になるところだが、単純な親切なら疑うのは失礼というもの。私は暗号鍵(トリガー)について知りたくて言峰神父を捜していた事を彼女に話した。

 

「それならば私が説明しましょう」

 

「いいの? えっと…………」

 

「ラニ=Ⅷと申します」

 

「ラニ…………エイト? 私は岸波白野」

 

「ではミス・岸波。まずは暗号鍵(トリガー)についてでしたね。暗号鍵(トリガー)は7日目の決戦場を開くための、文字通り鍵となるものです。2つの鍵があって初めて相手マスターとの決戦が許されるのです。マスター選別のための簡単な試練(タスク)ですね」

 

「2つ?」

 

「はい。アリーナは第一層と第二層に別れています。なので生成される鍵も第一(プライマリ)暗号鍵(トリガー)と第二(セカンダリ)暗号鍵(トリガー)の2つがあるのです。生成され次第携帯端末に連絡が届くと聞いています」

 

 今はまだ1つしか鍵は生成されていないから探しても無駄という訳だ。では次はラニが何故私に話し掛けてきたのかを聞いてみるとしよう。

 

「私はある人物を捜しています。占星術でこの付近にその人が現れると結果が出たので来たところ、偶然困っている貴女に出会いましたので手助けをしたまでです」

 

 本当にただの善意みたいだ。なら私もお礼をしなくては。彼女の捜している人を一緒に捜してあげよう。

 

『んな余裕ねぇだろ』

 

「そのお気持ちだけ受け取っておきます。私が捜しているのは特定の人物という訳ではありませんから。私が実際に会ってみないと分かりません」

 

 居るかも分からない人を捜しているという事だろうか。

 

「それではまた機会があれば会いましょう」

 

 行ってしまった。それにしても変わった人だった。

 

「おや~、岸波じゃないか。こんなところで何をしているんだ? ああ、もしかしてトリガーを探しに行くつもりだったのか?」

 

 あっ、シンジだ。居たんだ。

 

「今この僕に対して凄く失礼な事を考えなかったか? まあいい。悪いけどトリガーは先に頂くよ。すっとろいお前に取れるかな。あはははは!」

 

『元気だなワカメ君。オレ達も行こうぜ』

 

 そうしよう。早めに見つけられるならそれに越した事はない。




どうでもいい話。

主人公のミコト君がマスターでオリジナルサーヴァントを従えた場合、真名が清姫。クラスはキャスター。そんな事をやるつもりだった。宝具やスキルも考えてあったり。
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