チートじゃ済まないin月世界   作:雨期

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3日目のアリーナはイベントがないので無理矢理色々と捩じ込みました。


1回戦 その7

 今日こそトリガーを手に入れてシンジに追い付こう。この階層のエネミーの行動は大抵把握した。問題はまだ戦っていない蜂型エネミーだけだ。あの先にトリガーはあるはず。

 

「そういや先生に竹刀を探してくれって頼まれてたな。あっちもついでにやっておこうぜ」

 

 そういえばそんなお願いをされていた。竹刀がこんな場所に落ちていればすぐに見つかるはずだ。もしかしたら他の参加者が既に見つけているかもしれないけど、探すだけ探そう。

 

「今回はオレ達以外にアリーナには人が居ないみてぇだし、のんびり行こうぜ」

 

「うん」

 

 昨日みたいな妨害がないのは有り難い。ゆっくり探索しながら…………ノービス? なんだか顔が青いけど。サーヴァントでも体調不良になるの?

 

「あ、ああ。魔力不足とかで性能が引き出せないのがサーヴァントでいう体調不良だろうな。だけど今は、そういのじゃなくてな…………行こう」

 

 こんなにオドオドしているノービスは初めてだ。何かに怯えているような雰囲気だけど、逃げようとする気配は感じられない。私を守ってくれている? それにしては私との距離が離れている。あ、戻ってきた。

 

「マスター、隣に居てくれ」

 

「何かあったの?」

 

「あった。マスターに被害はないから安心してくれ」

 

 その言い方だとノービスには被害があるようだけど。ノービスに問題があると私が困ってしまう。私の代わりに戦ってもらっているのだ。あまり無理はしないでほしい。何かあるなら言ってもらいたい。

 

「心配してくれてありがとよ。ちょっと気持ちが楽になった。あの人だって戦闘に支障が出るような事はしないさ」

 

「? 人が居るの?」

 

 最初にノービスは私達以外は誰も居ないって言ったはず。途中からおかしくなったノービスの様子を考えるに私達が入ってから現れたのか、もしくはノービスが気付かないほどに完璧に気配を絶っていたのか。何より気になるのがノービスがまるで知り合いの事を言うように言った事だ。

 

「はっきり言うけど知り合いだ。知り合いなんてレベルじゃないくらいに知り合いだ。とても非常識な、うおぁっ!?」

 

 飛ばされた!? 心霊現象みたいだったけど、おそらくノービスの知り合いらしき誰かのやった事だろう。漫画みたいに飛んでいったその様子は滑稽というかなんというか。でもサーヴァントを飛ばすなんて普通じゃない。流石はサーヴァントの知り合い。

 

「あたた…………おっ、これ竹刀じゃねぇか。こんなとこに落ちてたんだな」

 

 藤村先生が無くした竹刀が、ちょうどノービスが落下したところにあった。虎のストラップも付いているのだから間違えようがない。私が触れるとデータ化してアイテムとして収納された。

 

「残りの目標はトリガーだけだな。あの蜂型エネミーの後ろにあるキューブに入っていそうだな」

 

 他に比べたら強力なエネミーだというのは一目で分かる。でも負けるような相手ではない、と思いたい。

 少し近付いていくと、大きな羽音を立てて私達を警戒しているようだった。しかしそんな事で退く事などしない。こちらに戦う意志があると判断したのか、エネミーは真っ直ぐに突撃してきた。かなり動きが速く、人の顔ほどと的も小さい。どうやって戦う?

 

「そう難しく考えるな。戦いなんてのは攻めと守りの2択だ。あんな虫けら、さっさと潰して帰ろうぜ」

 

 そうだ、基本は変わらない。敵が少し変わっただけだ。慢心はしないけど、警戒しすぎる必要もない。周りを飛び回っているエネミーがノービスにその牙向けてくる。けど問題ない。作戦はただ1つ。飛び込んできたら迎撃する、だ。

 

「ホームラン!!」

 

 エネミーは棍棒になったノービスの武器によって弾き飛ばされた。だがダメージは少ない。相当強度があるようだ。

 

「そりゃぁっ!!」

 

 しかし体勢は崩れている。追撃には十分だ。ノービスは武器をハンマーに変化させてエネミーを叩きまくった。それはもう高速餅つきのように息もつかせぬ早業だ。エネミーのデータが擦り潰れるまで攻撃は続いた。

 強めのエネミーだと思ったのだけれど、いつもより動きが軽快だったノービスの前では他のエネミー同様に雑魚だったようだ。

 

「よしよし、これで邪魔する奴は居ないなそれにこんなか感じなら

 

「俺が安心すると思ったかボケカスが」

 

「ひっ!?」

 

 爽やかなのに異常なまでに恐怖を感じる、そんな声がアリーナに響き渡り、ノービスは今日一番の青い顔をした。そして何もなかったはずの空間から1人の男性が陽炎のように揺らめきながら現れた。頭が真っ白になる。体が震える。この人がノービスの言っていた人?

 

「ふん、この程度でビビるたぁ随分とちっぽけなマスターだな、ミコト」

 

「こ、こんなの大抵の生物が気絶しますって! 意識を保っているだけ優秀なもんですよ!」

 

「ミ、コト?」

 

「あっ」

 

「なんだ、名前すら教えていなかったのか? それほどまでに信用出来ない奴だったか。さっさと契約破棄しちまえ。いや契約破棄も出来ねぇくらいに弱体化してんのか。情けねぇなぁ。それでも一条かよ」

 

「これはマスターに情報の大切さを教えるためです! 後者ノーコメントで」

 

 なんだか分からないけど、ノービスの真名がミコトというのだけは分かった。貴方は一体何者なの?

 

「! なかなか順応性は高いようだな。いいだろう、教えてやる。俺は一条光。そこのボケカスの伯父だ」

 

 漫画家の?

 

「どうしてそう無駄話が好きなんだ、このボケカス!!」

 

「ひぎゃっ!?」

 

 触ってもいないのにノービスが吹き飛ばされた!? アリーナを縦横無尽に飛ばされた後に地面に顔面から落とされるノービスの姿は悲惨の一言に尽きる。

 

「連れ戻す気だったが、やめだ。サーヴァントである限り死にはしねぇみたいだし、ここで朽ちてろ」

 

 また揺らめいて消えた。連れ戻すって言っていたけど、それは…………

 

「いいんだよマスター。俺は最初からここに居るつもりだったんだ。それよりもう帰ろうぜ。おじさんのお陰で身体中が痛くてたまんねぇ」

 

「…………いつかちゃんと話してくれる?」

 

「そうだな。それなりに勝ち進んだら話してやる」




ちょっと大切(?)な話

今回出たミコト君の伯父、光(ひかる)君についての簡単な説明です。

見た目はミコト君に近いですが、ミコト君が長髪に対し、短髪で身長も175とミコト君よりも大きいです。今回やってきた理由はミコト君が心配だったからです。本編じゃ滅茶苦茶言っていましたが、ただのツンデレおじさんですね。
そして彼の力についてですが、コピーですね。一度見たものならば、例え画面越しでも完全にコピーして、更に自己流に強化します。ORT並みに特殊なものや、特別な道具なんかが必要な事はコピー出来ませんが、後者に関してはミコト君のイメージを現実化する力のコピーによりほぼ問題がなくなりました。ORTの力は完璧に使いこなしています。
実力は一条家トップと噂されていますが、本人は父である要にはまだ届いていないと感じています。もしやりあえば3割くらいの確率で勝てます。
漫画家をやっている理由は楽そうだったから。しかし売れてからは仕事が増えすぎて辞めたくなったとか。

Fate風ステータスに表すと
筋力:EX
耐久:EX
敏捷:A++
魔力:EX
幸運:A++
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