ちょこちょこ書いて行こうかと。
風牙さんを忘れかけてる。
始めなので短いです。
わけたほうがいいですかね。ご意見いただけたら。
ねえ、知ってる?
そんな言葉で始まる噂話を聞いたことがないだろうか?
例えば、学校の休み時間。例えば、塾の帰り道。
誰かが囁く噂話。
ねえ、知ってる?お犬様にお願いすると、どんな願いもかなうんだって。
「お犬様?」
「そうそう。まな、知らない?」
犬山まながそんなうわさ話を聞いたのは、学校でのことだった、昼休み、仲の良い友人たちと食事を共にしている時のこと、年相応に彼女らは楽しく噂話に興味じていた。
そんな中、誰かがそんなことを言い始めた。
注目を集めたことにご満悦であるらしい友人は、嬉しそうに誰も知らない情報を提供し始める。
白犬神社って知ってるでしょ?
そうそう、あの、狛犬じゃなくて普通の犬の像がある神社。
そこにね、お参りをするの。願い事を書いた紙を、社の近くだと、神木だとかの下に埋めてね。お参りをするの。
お犬様、お犬様、お願いしますって。
そうするとね、願いが叶うんだって!
はしゃいだ声をする友人に、皆はどこか胡散臭いものを見る目をする。
「えー、それ本当なの?」
「子どものおまじないじゃない?」
「本当よ!私、これで丁度予習したところがテストに出て満点取った子とか、好きな人に映画に誘ってもらった子とか知ってるもの!」
姦しく騒いでいる友人たちを眺めて、まなは苦笑する。そんな中、端に座っていた一人がやけに思いつめた様な顔をしていることに気づいた。
「あれ、どうしたの?」
「え、いや、その。」
「本当だ、どうしたの。そんな顔をして。」
やけに顔色の悪い彼女の様子に気づいたのか、全員の視線がそちらに向く。彼女は一瞬ためらったものの、思うことがあったらしく口を開いた。
「・・・そのおまじない、本当かもしれない。」
「え、どうして?」
「なになに?」
「・・・一週間前から隣のクラスの子が休んでるの知ってる?」
それにまなたちは顔を見合わせた、それが誰であるかすぐに分かったためだ。
隣のクラスの、名前もろくに知らない男子が一人休んでいる。さすがに一週間もとなれば誰だって知っていることだ。
「その人、私は塾が同じで時々話してたんだけどね。その子の親ってものすごい厳しいんだって。」
「厳しいって?」
「なんか、有名人らしいって。私は良く知らないけど。なんだっけ。あの、子育て論か何かでテレビにも出てるんだけど。そのせいでその子に対する期待もすごくてさ。」
テストで悪い点取った日にはもう、むちゃくちゃに怒られて。せっかく買ってもらったゲーム、壊されちゃったんだって。
友人の言葉に周りを含めてまなもうわあと引きつった顔をした。いくらなんでもやり過ぎだろうと、皆の顔が言っていた。
「それでさ、なんでもその子、この前の中間のテストの成績ものすごく悪かったらしくてね。私も見たけど、なんていうか、下から数えた方がいいぐらいの点で。もう、家に帰りたくないって。」
途切れた台詞に皆が顔を見合わせた。誰もが嫌な気配を察せられた。沈黙に当たりが包まれる中、おもいきったまなが口を開いた。
「・・・・それで?」
「わ、私。その時、そのおまじない、教えてもらったばっかりで。気休めになればって、教えてあげたの。それで、その次の塾の時ね。その子、休んじゃって。熱が出ても休ませてもらえないから、珍しいなって思って。それで、帰り道でね。」
泣いてるその子に会ったの。
段々と、語り口調と言えばいいのだろうか。怪談を聞いているかのような、ぞわぞわとした嫌な感触を覚える。
友人の口を止まることはない。もう、全て話してしまいたいという何か、鬼気迫るものがあった。
「私の知らない子に、手を引かれてさ。あの、学校の近くにある白犬神社の境内の中に駈けこんでいったの。私、それのこと追いかけたんだけど。見失って。」
その次の日から、あの子、学校に来なくなって。
沈黙は当たりを包んだ。誰もが友人が、見てはいけない何かを見たのではないかと言う、重苦しい沈黙に浸る。
それを、一人が遮った。
「き、気のせいだよ!大体、行方不明とかなら絶対学校にだって連絡が言ってるって!」
その言葉はある意味での説得力があった。そうして、それに縋りつきたいという感覚があったのだろう。皆は、確かになどと頷き合った。
そんななか、まなと彼女だけが暗い顔をしていた。
「・・・ここか。」
まなは学校からの帰り道。何となく、話題に上がっていた白犬神社にやってきていた。
地面よりも少しだけ高い場所にあるらしく、低い階段に、古ぼけた鳥居がある。そうして、白犬神社特有の、白い石で出来た犬の像が二体あった。
まなは好奇心か、はたまたもっとちがうものなのか、参道を通って境内の中に歩いて行った。
まさか、神社で危険なことに、とくに妖怪に会うなどないだろうと考えたせいもある。
神社の中は別段変わったところなどない。
社に手洗い場、うっそうとした木々に覆われているせいか、境内の中は外からは見えない。
(・・・・・・妖怪のせい、じゃないのかな?)
まなの脳裏には友人になった彼らの姿が思い浮かんだ。話を聞いた限り、ただのよくあるおまじないのように聞こえる。
(・・・・一応、猫姐さんに相談してみようかな?)
まながそんなことを考えているその時。
「なあ、お前さん。」
「きゃあ!!」
後ろから唐突にかけられた声にまなの肩が飛び跳ねた。彼女がばっと後ろを振り向くと、そこには目の覚める様な麗しい男性が立っていた。
墨で描いたような黒々とした髪は男性にしては珍しく腰まであり、一つにまとめて前に流していた。切れ長の瞳は薄く、琥珀色にも似た薄い茶色をしている。
その顔立ちは、男性にしては甘やかで女性的と言うには凛々しい、絶妙なバランスであった。
男性はゆるりと、まなに誰もが見惚れる様な麗しい笑みを浮かべる。
着てるのは上下ともに真っ黒であったけれど、そのシンプルさが男にはよく似合っていた。
くんと、甘い匂いが男から香った。
それは、不審者かと怯えるまなでさえも警戒心を解いてしまうものだった。
「あ、あの、えっと。」
「ふふふふふふ。」
突然叫んでしまったことが恥ずかしくなったまながおろおろと何かを言おうとすると、男は楽しそうにくすくすと笑った。
「いや、なに。すまないな。これはらうたしと思った子がいたものだから。つい、声を掛けてしまった。」
「らう、たし?」
どこか、この世のものではない様にさえ、男から現実感と言えるものを感じなかった。くすくすと笑ったその様は、まるで花咲く様に美しかった。
「とても可憐でかあいいと言ったんだよ。」
「え、可愛い!?」
まなは混乱した思考のまま目の前の、いっそのことテレビにでも映っていたって違和感のない存在からそんなことを言われてさらに動揺を重ねてしまう。
男はその慌てように余計にくすくすと笑った。まなは散々に動揺を重ねたものの、なんとか平常心を取り戻して目の前の存在を見る。
「あの、すいません。大声出しちゃって。」
「うん?いいさ。俺も急に話しかけて悪かったね。」
「いいえ、そんなことは。」
「そういえば、お前さん名前は?」
甘い匂いがする。心地がよくて、不快ではない匂いだ。まなはその心地の良さにするりと
名前を名乗りそうになったがそれを寸前で飲みこんだ。
さすがにそれはあまりにも無防備が過ぎると自分で喝を入れた。
「知らない人には名乗りませんよ。」
男はそれに一瞬だけ、眼を真ん丸にした。美しい男の間抜けな表情にまなは思わず見入るが、次の瞬間、男は心の底から愉快そうにくすくすと笑った。
「ふ、ふふふふふふふふふ。いや、すまんな。うん、いいな。そうか、へえ。」
男の薄茶色の瞳が、光の加減か金色に光った気がした。獣を前にしたような心境になったまなが後退る瞬間、男はまたにっこりと笑った。
「すまん、確かに怪しいな。名前は聞かんよ。」
男はまったりとそう言って高い背をぐっと屈めてまなを見た。
「俺が言えた義理じゃないけど。こんな所で何してるんだ?お世辞にもお前さんみたいなのには退屈な所だろうに。」
「そういうお兄さんは?」
「俺かい?俺は散歩の途中さ。いつも決まったコースがあるんだがね。見慣れない人がいたから何となく声を掛けたんだ。なんて、さすがに不審者過ぎるかい?」
「え、いや、そんなこと。」
まなの弁明に男はやっぱりくすくすと笑った。
それを見ながら、まなは不思議な人だとぼんやりと思った。
(・・・・なんでだろう?)
目の前の男とは初対面であるはずだ。だというのに、何故だろうか。
妙に、男への親しみと言えるのだろうか。そんなものを感じる。まるで昔からの知り合いに会ったかのように男を疑う気持ちと言うものが失せていく。
それにまなは慌てて気を引き締めた。いくら優しそうだと言っても他人であることは確かなのだ。まながそう思いながら、視線を下に向けているとはるか上の視界で男はにやりと笑った。
「へえ。」
「え、何か言いました?」
「いいや。何も?それよりも、早く帰った方がいいんじゃないのか?」
「あ、はい。」
まなはそれに従って歩き出そうとしたけれど、それよりも男が言っていたことを思い出して、そっと聞いてみた。
「あの、すいません。いつもここに来るんですか?」
「うん?そうだね。時間はまちまちだけれど。この頃はそうだな。ふむ、何だい。また、俺に会いたいか?」
「ち、違います!」
男のお道化る様な言葉にまなは顔に朱を走らせながら気になっていたことを聞いた。
そうして、この神社で消えたという少年の話を男にした。
「うーん?さあ、少なくとも俺はここでは見てないな。」
「ああ、そうですか。」
しょんぼりとしたまなに男は少し考えた後に、そっと本殿の方を指さした。
「そんなにも心配なら、お犬様に頼んでみるかい?」
「え?」
男はまなを置いてすたすたと参道を歩いて行く。真ん中を、堂々と歩いて行く。
そうして、まなを手招きした。まなは、何故だろうか。それに素直に従って、男の後をついて行く。
「お前さん、ここの神様ってなんの神様か知っているか?」
「え?えっと、知りません。」
「あははは、だろうな。道行く神社の名前は知っても、祭られる神等知るものはなくさ。ここに祭られてる神。長ったらしい名前はついてるが、そこら辺はさほど重要じゃない。そんなものは所詮は、それがそれ成りえた後に決められたものに過ぎないからな。」
「えっと、よく、意味が分からなくて。」
何故か、頭がふわふわとする。意識をはっきりさせなくてはいけないのに、その甘い匂いにつられて眠気に似た何かに襲われる。
男の声が、まるで一種の音楽のように、聞こえる。
「この神社ってな、面白いことに分布してる地域が偏ってるんだよ。ある所にはあるし、ない所にはない。望んだとおりしてやったんだが、上手くいかないな。人間はよく分からん。かあいいんだが。」
声がする。心地がよくて。甘くて、柔らかな匂いがする。
本殿の前にたどり着いたまなは、男と隣り合わせになった。それでもなお、男から声がする。
「神っていうのは、良くも悪くもつかさどるものがある。だが、この神社の神はそう言ったものがないのさ。もちろん、建前はあってもな。白犬は、人が好きなんだ。だからな、お前がそう望むなら、その願いはかなうだろう。」
お前の願いは何だ?
「・・・・・私の、願いは。」
掠れた声で、何かを吐き出した。けれど、まなは自分でいったい何を言ったのか分からなかった。
「そうか!叶うといいな!」
突然聞こえてきたけたたましい声にまなは夢から覚める様にはっと気が付いた。いつの間にか本殿の前に立っていることに首を傾げていると、隣りから男が声を掛けてきた。
「そろそろ帰った方がいいぞ。日が暮れる。」
「え?わ、ほんとだ!?」
確かに先ほどまで太陽はまだ高かったというのに、男の言葉通りすでに日が暮れ始めていた。まなは慌てて参道を走ろうとしたときのこと、また男がまなに声を掛けてきた。
「お前さん!」
「え、あ、はい!?」
「参道の真ん中はあんまり通らない方がいいぞ。人は特にな。」
「え、わ、分かりました。」
まなは言われるままに道の端によってそのまま走り出した。走りながら、まなは、先ほどの男の言葉に引っ掛かりを覚えつつはてりと首を傾げた。
「・・・・風牙様。」
それに男は、風牙はくるりと声のする方に振り返った。そこには、ボロ布に覆われた小柄な何かが立っていた。
風牙はそれににっこりと、さきほどまなに向けた笑みを浮かべた。そのぼろ雑巾のようなそれは、ずりずりとはいずるように風牙に近づいた。
「一か。どうかしたか?問題でもあったか?」
「いえ、いやに熱心に見られていると思いまして。」
「ああ、そうだ!一坊、あの目を見たか?」
よく似ている。
一坊と呼ばれたそれはちらりと風牙を見た。彼はキラキラとした目で少女の走り去った方を見る。
一坊は、そんなふうに彼が見つめていた誰かのことを知っている。もう、だいぶ昔に黄泉の国の人間になってしまっているはずだ。
「・・・・望まれるなら攫ってまいりましょうか?元より、以前から彼女のことを探っておられたでしょう?」
「いいや、しなくてもいい。契約はもらったしなあ。」
「お珍しいですね。風牙さまがわざわざそのようことをするなど。」
「偶然ではあるがなあ。」
風牙はとんと軽く地面を蹴り、社の屋根の上に飛び乗った。そうして、ぐるりと、久方ぶりに帰って来た祖国を見回した。
「いやはや、久方ぶりに帰って来たが、昔も今も変わることなく、変わらないなあ。」
醜いものも、美しいものも、賢しいものも、愚かなものも、下らないものも、面白いものも、ひしめき合って、寄せ集まって生きている。
「・・・昔よりもだいぶ、暗闇に対して鈍くなったように思いますが。」
「いいさ。無知な奴は一等にかあいいだろう?」
いつの間にか自分の隣りに立つボロ布に風牙は朗らかに言った。
「そう言えば、白縫に頼んだのはどうなった?」
「ええ、噂は順調に広がっております。そうして、順調に願うものも増えているようです。」
「よいよい、人はそうでなければな。」
にこにこと笑う風牙に一は不思議そうに問うた。
「・・・・風牙様。」
「何だ?」
「わざわざこの国に帰って来てどうされるおつもりで?他の国でも遊べることは数多くあるかと存じますが?息子君も大きくなられて。殺生丸さまも今はこの国にはおられぬはずでは?御母堂様には定期的に会われておられるでしょうし。」
「ああ!聞いてくれるか、一!」
風牙はおよよよと、わざとらしく崩れ落ちた。それに一坊は恭しく首を垂れる
「ご随意に。」
「ああ、そうだ!聞いてくれ!幽霊族のあれがいただろう?今は目玉の親父と名乗っているんだが。」
「ああ、風牙様の気に入りの。」
「そうだ、そうだ!あれはな、俺から散々逃げてな。まあ、俺も鬼ではないのだ。嫌がる猫に構いすぎて嫌われるのも不本意だからな。少しの間距離でもかと大陸の方に遊びに行ったんだ。」
だというのに!
風牙は頬をぷくりと膨らませて子どものように怒りを表現する。
「俺に黙って嫁を取り、あげくに息子までこさえるとは!まったく、出産祝いぐらいさせてくれてもいいと思わないか?」
「おっしゃる通りです。」
「ああ。お前はわかってくれるな。あれは昔から慎み深すぎるのだ。望むなら、嫁を生き返らせてやるぐらいはしてやったというのに。」
はあと嘆く風牙に一坊は戸惑いなく同意の言葉を口にした。彼にとって、風牙以上の正しさなど存在しないのだから。そうして彼はふうとため息を吐き、楽しそうに微笑んだ。
「まあ、いいか。あれにあとで挨拶をしに行くとして。子どもたちの様子はどうだ?」
「・・・好きに過ごしておりますよ。どれも、二度と家には帰りたくないと言っています。」
「そうか。まあ、帰りたいと言えば返してやれ。逃げてきたらまた受け入れてやればいい。」
「このまま子どもたちは育てられるので?」
「当たり前だろう?」
助けを請われるのならば、俺は助けてやるし。拒絶されるのなら手を離す。それだけの話だろう?
無邪気な言葉と笑みに、一坊はそうですねと頷いた。今も昔も変わることなく、彼の王はただ、ひたすらに助けを求める誰かの伸ばされた手に真摯であってくれる。
あの日、自分を助けてくれたように。
そんな一坊の思惑など気にも留めずに、風牙は己の手で体を払った。
すると、その衣装が、髪が、瞳が、まるでページを送るかのように変わっていく。
黒いシンプルな服装な、見事な刺繍のされた絹の衣装に。真っ黒な髪は月光のような銀色に。そうして、薄い、琥珀のような瞳は満月のような黄金色に。
そうして、顔には薄い化粧が施されていた。
「いやはや、にしても。時を超えようがどうしようが。人とはかあいいものだねえ。」
風牙
少しの間日本を離れてた。観光気分でいろんな国を回って、いろんな国で色々してた。自称、目玉おやじの親友。叢雲牙は色々あって一旦は手放したが、結局未だに風牙の元にある。珍しく、叢雲牙についてはほんとに手放したがっている。
この時代だといい年な為子どももちゃんといる。久しぶりの故郷にはしゃいでる。
犬山まなは諸事情でいろいろ調べてた。
隠居状態だったので死んだと噂が立っている。
殺生丸
今の時代でも一応存命。日本にはおらず、別の国にいる模様。ただ、隠居しているため風牙同様死んだと噂が立っている。
年も取って落ち着いている。風牙のストッパーを嫌々してる。
犬夜叉
子孫は存命
目玉のおやじ
寒気がしてる。
風牙さんの息子に関しては出そうか迷い中です。風牙さんのヒロイン、誰にしよう。