ありふれた転生者は後ろにいる 作:新くさや
うーん……中々うまくいかないな。
「どうかしたのかい?」
「んにゃ、南雲がオルクスでしとった錬生がうまい事できへんなーって」
そうなのだ。最近までは戦闘訓練をゆったりとこなしていたのだが、ようやく生体が戻ってきたので、基礎以外の錬生の復習がてら色々と試していた。
一通り済ませた後、あーあれも出来るかなー? と練習中なう。
なお、うまくいかないもよお。
「へえ、南雲も錬生師だったんだ? というか御麗、また具合悪そうになってるよ? ほらやめやめ」
恵里は南雲に興味無さそうだもんなあ。というか男全体に不信感があるから未だに僕なんて言ってるわけだし。
具合悪いのはまた分霊作って色々してるから仕方ない。有効距離の測定もしてるんだけど、もう結構な距離移動させてるはずなのに同期外れないんだよなあ……どういう事?
「ところでレイレイ。結局生体エネルギーってなんなの~?」
「え、今更?」
いつもの如く私にあてがわれた部屋にダベりに来たかと思えば。うん、本当に今更、というか唐突である。まあ恵里の降霊術師が扱うものと同じで、一般的に使われるものではないようだから仕方ないとは思うけども。
「えぇ~、だって鈴は魔力しか使わないんだもん。レイレイが錬生使ってマッサージしてくれた後、調子が良くなるのは知ってるけど!」
「まあ人の天職なんてそんなもんやろなあ。もっとはよ聞いとっても良かったんちゃう? とは思うけど」
しかし、私自身も生体エネルギーについてはっきりと理解出来ているわけではない。整理がてら話しながらまとめてみるとしようか。
「せやなあ……この世界で信じられてる事と、私の考えの混ざった推論になるけども。まず人っちゅうんは肉体に魂が合わさって成り立っとんねん。まあこのへんは日本で聞くような考えと同じやな」
日本、というより中国の道教で言う
私はその内、魂に付随するものが、恵里の降霊術師が干渉出来る死者の残留思念と呼ばれるもので、魄に付随するものが、私や南雲の錬生師が干渉出来る生体のエネルギーではないか……と、思っている。
私達が天職の研鑽を続ければ、いずれは魂と魄そのものに干渉出来るようになるのではないだろうか。そうなれば死者の蘇生すら可能になるかもしれない。
「……? なるほどな~!」
鈴ェ……これは分かってない顔だな。
「あー……要するに、生体エネルギーっちゅーんは"気"やと思っとけばええわ。ほら、気功治療とか聞くやろ?」
ちなみにだが、魔力は魂魄が生み出す力らしい。要するに私達がそれぞれ扱っている力を混ぜ込んだものだという事だろうか? それとも私達があえて魔力の一要素を抽出して扱っているのか……というか地中にも魔力が流れているのだが、この星にも魂魄があるという事なのだろうか……?
あ。
南下させてたちび分霊二号がライセン大峡谷っぽい所にまで到達した。
ええ……? 相当遠いはずなんですけど? 何で同期外れてないんです? あの奈落マントルにまで到達してるんです?
なんだろ? 距離は関係無くて、何か他の要因で外れたって事なのか?
とりあえず引き続き南下させてみよう。さあゆけ、ちび分霊二号! あれ、外れた。
んん……? んー……あー……そういえば、今のがライセン大峡谷だとすれば、そこでは魔力が分解されて魔法が使えない、みたいな事を南雲からも聞いてた気がする。もしや生体エネルギーもそうなのだろうか。単純に同期が外れたのか、分解されたかはちょっと分からなかったけど。
って事は、奈落の底にも魔力を分解するか抑制するエリアがあるという事だろうか? なんか飛べるような魔法で降りてっても途中で落ちて死にそうだな。
とりあえず、分霊の有効距離がほぼ無制限って事が分かったのは僥倖か。
存在を認知する事が出来る人間もそうはいないみたいだし、そこだけ気を付けていれば情報を集めるのに便利そうだ。
体が複数あるみたいですごい混乱するって事を度外視すれば、の話だが。
仕方ないのでひたすら使い続けて慣れた。
ここしばらく訓練に精を出しながらも、省コストのちび分霊を昼夜問わずあちこち飛び回らせていたのだが……なんともいい感じに噂が広まっているようだ。
正直仕込みと言っても、交友関係の広い鈴に断片的な情報を吹き込んで、どっかでこぼしてくれたらそこから勝手に広まっていくだろうな。くらいの、成功すれば儲けものだと思ってた作戦だ。
鈴も陰口になるような噂話はあまり好きではないはずだが……まさかとは思うけど、私の思惑を察してあえて広めてくれたのだろうか? なんか妙に的確に広まってる気がする。
あくまで断片的に散りばめた情報を、聞いた側が勝手につなぎ合わせてストーリーを組み上げていっている。南雲が落ちた後に相当取り乱していたらしい白崎ちゃんの様子を見て、その気持ちを察した事がその想像の補強になったらしい。
「知ってる? あの訓練の前の日、白崎さんが南雲の部屋に入っていったんだって。まさか。って思ってたんだけど、あの白崎さんを見ると、ねえ」
「あ、それ知ってる。しかもそれ檜山が見てたんでしょ? あいつ白崎さんの事狙ってたし、超ショックだったんじゃない?」
「――そういやあの日、朝から檜山すごい南雲睨んでたよね」
「あ、そういえば私も見たー」
「あいつ、もしかしてわざと罠触ったんじゃ……それに、あの時魔法が当たったのだって!」
「いやいやいや、まっさかー……まさか、だよね?」
「でもあいつ、南雲が落ちた時笑ってるの見た子がいるって……」
「いや、そんなのありえなくない……? だって、そんなの、人殺しじゃん」
さて、どうなるかなー……
原作との兼ね合い考えると設定描写されてる所探し回らないといけないので無駄に大変
後から矛盾してるの分かったら頑張って修正します(涙目
最後のはちょっと強引かな・・・