ありふれた転生者は後ろにいる   作:新くさや

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一人称難しいので初投稿です


第02話

 

 

 ――いかん、転げた。恵里は無事か? 強烈な光だったが目は……

 

「は?」「なにこれ」

 

 あ、恵里。大丈夫そう……ってどこ? ここ。なんだこいつらは。

 聖堂? 教会? 神官? わけがわからない、今まで私達は教室にいたはずだ。これではまるで――

 

「ようこそ、トータスへ。勇者様、そしてご同胞の皆様。歓迎致しますぞ。私は、聖教教会にて教皇の地位に就いておりますイシュタル・ランゴバルドと申す者。以後、宜しくお願い致しますぞ」

 

 誰かギル様喚んできて。

 

 

 

 ほう……ふむふむ。これはなかなか。

 

御麗……?

 

 っとこれはいかん。私が美少女メイドを視姦していたなどと誤解()されてしまう。

 

「ん、いや恵里にもあの服似合いそうやなって」

 

「そうかな? むしろ僕は御麗にこそ着せてみたいけど」

 

「え、じゃあ鈴は鈴は?」

 

 セーフ……? まあ否とは言わないが。鈴は、うん。まあ似合うといえば似合うのではないだろうか、メイド見習いみたいな感じで。

 

「はぁ? 鈴ぅ? スカート引きずっちゃうんじゃないのぉ? ぷーくすくす」

 

「ひどい!? エリリンだって鈴と大して変わんないでしょ~!」

 

 二人とも小声でやり合うのはいいんだけど、話始まりそうだしそろそろ止めようか。微妙に注目集めちゃってるし。

 

 

 

「さて、あなた方においてはさぞ混乱していることでしょう。一から説明させて頂きますのでな、まずは私の話を最後までお聞き下され――」

 

 へーなるほどーなんか種族がいろいろあってーずっと魔人族とやらと戦争を続けててー拮抗してたけど相手側が想定外の手段を手に入れて人間族が劣勢になってー滅びそうー?

 

「あなた方を召喚したのは〝エヒト様〟です。我々人間族が崇める守護神、聖教教会の唯一神にして、この世界を創られた至上の神。おそらく、エヒト様は悟られたのでしょう。このままでは人間族は滅ぶと。それを回避するためにあなた方を喚ばれた。あなた方の世界はこの世界より上位にあり、例外なく強力な力を持っています。召喚が実行される少し前に、エヒト様から神託があったのですよ。あなた方という〝救い〟を送ると。あなた方には是非その力を発揮し、〝エヒト様〟の御意志の下、魔人族を打倒し我ら人間族を救って頂きたい」

 

 いやざけんな滅んどけよダボが私はまだあの頑固者に恩の一つも返せてへんのやぞ巻き込むな殺すぞてかうちの世界神様おらんのか止めろや死ね何がエヒト神じゃ救いだっつって誘拐してる暇があるなら自分で勝手に救ってろハゲ!!!

 

「ふざけないで下さい! 結局、この子達に戦争させようってことでしょ! そんなの許しません! ええ、先生は絶対に許しませんよ! 私達を早く帰して下さい! きっと、ご家族も心配しているはずです! あなた達のしていることはただの誘拐ですよ!」

 

 ――そこだ。私達は帰れるのか? こいつらは還せるのか? いや、こいつは私達が"エヒトによって送られた"と言った。それは。つまり……!

 

「お気持ちはお察しします。しかし……あなた方の帰還は現状では不可能です」

 

 ――――ッ!!!

 

「先ほど言ったように、あなた方を召喚したのはエヒト様です。我々人間に異世界に干渉するような魔法は使えませんのでな、あなた方が帰還できるかどうかもエヒト様の御意思次第ということですな」

 

「御麗……」

 

「ッ……恵里……!」

 

 恵里……ひどく不安そうな顔をしてる。そうだ、一人でキレてる場合じゃない。

 

「うそだろ? 帰れないってなんだよ!」

 

 恵里に殺し合いなんてさせられない。それに、私が死んでも駄目だ。恵里のそばから誰かを失わせてしまったら……となると、鈴もだな。

 

「いやよ! なんでもいいから帰してよ!」

 

 どうすればいい……? 最悪は現状に加えて隷属化させられるような"処理"をされる事だが、向こうの手札を類推する事すら出来ない。逃げるにしてもこの世界の事を知らなさすぎる。

 

「戦争なんて冗談じゃねぇ! ふざけんなよ!」

 

 仮に逃げたとして、魔物がいるという世界でどれだけの事が出来るのか。

 

「なんで、なんで、なんで……」

 

 ああもううるさい。考えが纏まらない。机を叩くな。いや、静かになったのでヨシ。

 

「皆、ここでイシュタルさんに文句を言っても意味がない。彼にだってどうしようもないんだ。……俺は、俺は戦おうと思う。この世界の人達が滅亡の危機にあるのは事実なんだ。それを知って、放っておくなんて俺にはできない。それに、人間を救うために召喚されたのなら、救済さえ終われば帰してくれるかもしれない。……イシュタルさん? どうですか?」

 

 こんな異常事態に遭ってすら天之河は天之河(正義マン)か。

 

「そうですな。エヒト様も救世主の願いを無下にはしますまい」

 

 ……帰還を盾に脅迫されてるようにしか思えんな。その上確約するわけでもなく、誘拐の実行犯本人の証言ですらない。信用させる気があるのか……?

 

「俺達には大きな力があるんですよね? ここに来てから妙に力が漲っている感じがします」

 

「ええ、そうです。ざっと、この世界の者と比べると数倍から数十倍の力を持っていると考えていいでしょうな」

 

「うん、なら大丈夫。俺は戦う。人々を救い、皆が家に帰れるように。俺が世界も皆も救ってみせる!!」

 

 信用は出来ない。

 とはいえ、だ。帰還の望みが果たされないと絶対に言いきれるわけでも無い。仮にクラスメイトの誰かがこいつらの望みを叶えた時、非協力的だった者は帰還の権利が無い。などと言われたら? ……こいつらならば言いかねない。

 

 今はこの従順な馬鹿を隠れ蓑に情報を集め、力をつける。

 

「恵里。今は、黙って従っとこ」

 

「でも、御麗……」

 

 恵里も大概疑り深いからなあ。不安にもなるか。

 

「そんな不安がらんでもええ、恵里には私がついとる。ついでに鈴もつけたる」

 

「ちょっ、レイレイ! ついでとはなんだ!ついでとは~!」

 

「ふふ……しょうがない、ね。ついでに鈴も貰ってあげる」

 

「エリリン!?」

 

 最優先は恵里。次に自分、鈴。そして帰還。クラスメイトは二の次。

 恵里。私の大事な家族――絶対に二人、いいや、三人揃って元の世界に帰って見せる。

 

 




恵里なんでこうなったのか・・・
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