ありふれた転生者は後ろにいる   作:新くさや

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お茶濁し的な話


第20話 裏

 

 

「いやあ……さっきのエセアルウラネは強敵だったねえ、卯代さん」

 

――うん、まあ、面倒な敵ではあったが。現実逃避でこっちに話しかけるのはやめろ。ユエがむくれてるぞ――

 

「う……いや、だって、ユエも撃っていいって言ったし。卯代さんだって聞いてたでしょ?」

 

――聞いてた聞いてた。まあそれに関しては南雲は悪くないと思うぞ。私だったら、どうせ再生するんだしいいだろ。って、あいつの脅しなんて無視してただろうし――

 

「いや、それは僕も思ってたけど……ほら、仲間なんだし」

 

――そう思えるなら、微妙な乙女心ってやつも理解してやるんだな――

 

「えぇ……」

 

――ほら、そろそろ見てやらんと本格的に拗ねそうだぞ。それにこうして話している間は外への注意もおろそかになるんだから、程々にしておけ――

 

「あ。うぅ……せめて何かアドバイスを……! ……卯代さん? 卯代さーん!?」

 

 それくらい自分でどうにかしろ。

 

 まったく、幻聴だと思われなくなったのは良いが、事あるごとに話し掛けてくるのはどうなんだ。

 こっちから声を届けるのは大変って知ったら、今までのパターンから声の届きやすい状況に自分で気付いて、あっという間に交信状態を整えられるようになりやがるし。技能を同調させるために意識を近付けてるせいか、最初期ほど深く意識を沈めなくてもよくなってるからなあ……かといって今更解く理由も無いし。

 いっぺん憑依解いてみた時なんか、迷子になった子供みたいな顔してたからな。

 なんかこのままだと完全に依存されるような気がする。今は状況的に仕方ないかなーとは思うけど……もしここを出れたなら、ほどほどに自立を促した方がいいかなあ。憑依を解いて距離を取らないとどうしようもない気もするけど、憑依状態が常態化しすぎてて落差がヤバそう。

 うーん、うー……ん……よし、決めた!

 

 出れた時改めて考えよう!

 

 

 

 私、ミレーさん(分霊)。今、ユエの後ろにいるの。

 

 まあ例によって中なんだが。

 サソリ戦の時に生体大分使っちゃって、しかもユエに吸われた分、新しく分霊作るのが遅れちゃったんだよねえ。まあそれもしばらく前の話で、もうユエに憑依させてそこそこ経ってるけど。

 

――どうも初めましてユエちゃんさん。南雲の背後霊こと、卯代(うしろ)御麗さんだよ――

 

「……ぽかぽか……ミレイ? よろしく」

 

 ファーストコンタクトはこんな感じだったかな。

 どうも生体憑依のぽかぽか感? がお気に召したらしく、よく南雲にくっついてぽかぽか三重奏を堪能している。合体する時も混ぜてくれないだろうか。

 

「ミレイ……ハジメがひどい……」

 

――あー……うん、そうだねえ。何の躊躇いもなかったもんねえ――

 

「そう……! せめて、ためらう……べき!」

 

――うんうん。いくら撃ってって言ったとはいえねえ――

 

「……言った……! でも、ハジメ……ひどい……!」

 

 ……なんかループしてません?

 

――ユエだって女の子なのにねえ――

 

「髪の毛……ちりちり……」

 

――南雲は女の敵だねえ――

 

 女の愚痴はとにかく肯定して口を挟まないのが良いらしい。別に相談してるわけではなく、意見を求めてるわけでもないのだとか。三百歳超えてても女は女なんだなあ。

 

「……ミレイ、変な事考えた?」

 

――うん? ユエはいつも可愛いなって――

 

「……むう……」

 

 複雑そうにしながらも照れるユエも可愛いな。でも愚痴り相手はもう勘弁な。

 

 

 

――なるほど、じゃあ十二歳で固有魔法に目覚めるまでは魔法陣も使ってたんだね?――

 

「そう……全属性適性は、もともと……」

 

 うーん……魔力操作に目覚めて詠唱も陣もいらなくなったと言っていたが、やはり適性ありきという事だろうか。

 私達が受けた説明では、適性は先天的な体質だと言う話だったが……仮に分霊である今の私が、南雲の魔力操作を使って適性のある風属性魔法を使おうとしても、南雲の体質的に適正を持っていないから発動出来ない、という事になるのか? いや、逆に言うなら――

 

――ユエ、少しばかり魔法を使ってみてくれないか? 〝火球〟とかの小規模のもので構わないから――

 

「? ……わかった。〝火球〟」

 

 ふむん。感覚を完全に同調させて魔法の行使手順を観測していたが……属性だけでなく、威力や射程などの構成式まで想像で補っているのか。

 このレベルとなると、私には難しいな……かなりの時間を掛ければ出来なくもなさそうだが、ユエのそれはもはや技能と呼べる程の構成速度だった。これも先祖返りによって目覚めた才能だという事だろうか?

 

 とはいえ、これをただ才能によるものだ、と捨て置くには惜しい。

 使えないのなら使える人から見て盗めばいいのだ。幸いにもこの分霊という身体は他者の感覚を体感する事が出来るのだから。機会はこれからいくらでもある。

 ただ、仮に体得出来たとしても、憑依者の有する適性魔法しか使えないというのが残念な所だ……南雲ェ……

 

 ある程度魔法陣を省略する感覚に慣れたら、たまにユエの身体を貸してもらって練習しようかと思う……ところで魔力使ったら南雲が血を吸われるんですよね。分霊の生体も一緒に。これが食物連鎖……!

 

 




魔法陣関連の話あっちこっち原作探し回ってこねくり回しました
ユエは想像構成の技能が最初からあって、ハジメは派生技能で生えてきたっぽいですね
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