ありふれた転生者は後ろにいる   作:新くさや

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んんん・・・?どうしてこうなったんだろう


第26話

「――なるほど。神山に大迷宮が……それに、神の使徒、か」

 

――んむ。最後に見た個体の魂魄量は南雲よりやや低い程度だったが、それが神の使徒の中でどの程度に位置するかも分からないし、どれだけの数がいるのかも分からない。オルクスで出来る限りの準備をしてきたとはいえ、油断出来る相手では無いと思う――

 

「うん。僕らの邪魔をするって言うのなら、排除するだけだけど……出来る限り気取られないよう慎重に、だね」

 

「ん……来ても、負けない」

 

――まあ生身で潜入するには難しい場所だし、帰還には関係無さそうな神代魔法だからな、後回しでいいだろう。それで、魂魄魔法についてだが……その男を貰ってもいいか?――

 

「うん? これ? いいよ。どうするの?」

 

――ちょっと体も借りるぞ。この魔法はその名の通り、生き物の魂魄に干渉する魔法でな。細かく説明すると長くなるんだが……出来る事の一つに、対象の記憶の走査がある――

 

 錬成借りて魂魄魔法用の魔法陣を作って……と。

 んー……こりゃあ中々の下種ですなあ。ロクな事してやがらねえ。

 だがまあ、好都合かな。元々この世界の人間族に対してかける良心なんて持ち合わせてなかったけど、コレなら壊しても平気だわ。

 実験がてら思想ぶっ壊して、ついでに奴隷狩りしてる奴見かけたら妨害するよう仕込んどこう。

 

――ふむん。捕まったハウリアだが、三日前に帝国に向けて三個小隊で移送したらしい。結構な人数を"絞った"らしいが、距離的にはまだ帝国に着いてはいないだろうな。どうする?――

 

「うーん、わざわざ助けに行こうとまでは思わないけど……契約内容的には問題無いかな?」

 

――若干微妙な所ではあるが、助けてくれと請われて、雇っている間の安全は保障する。だったからなあ……雇われていない奴らに関しては対象外でいいんじゃないか? 助けたところで、精々恩を重ねられて手足が増えるくらいだし――

 

「そっか。卯代さんとしては四十人いれば十分? もっといるようなら行ってくるけど……」

 

――案内だけならそれこそ一人で十分だし、それ以外の案は暫定だったからなあ……まあ、――

 

「あの! 精霊様とお話しのところすみません」

 

 ぬ? せいれい?

 

「シアさん。どうしたの?」

 

「もしかして、攫われた家族の事をお話しではありませんか? ――もしそうなら、お願いします! 助けてくださったなら、私に出来る事ならなんでもします! ハジメさんの奴隷にだってなっても構いません! ……だからどうか、私の家族を助けてください!

 

――ん? 今なんでもするって――

 

「んふっ……ちょっと卯代さん!?

 

「ハジメ殿。我らハウリア一同からもお願いします。どうか我らの家族を助けては頂けないでしょうか。もし助けて頂けたのなら、末代まで精霊様に仕える事を誓いますぞ」

 

「父様!? いえ、これは私だけで――!」

 

 精霊様ってなんやねん……でも、従順な部下が手に入るのは魅力的かなあ? 問題はどこまで本気かって事だけど……

 

「シア、これは我ら全員が納得しての事だ。それに私も族長として、一人でも多くの家族が助けられる未来を選ばなければならない。なに、私とて何の考えもなく、こんな事を言っているわけじゃない。精霊様の使いであるハジメ殿も悪い方ではないし、精霊様に仕える事でハウリア族が庇護を得られるかもしれん。これは我らハウリア族にとっての、生存戦略でもあるのだ」

 

 あら打算的。

 ……ふむん。結局のところ、契約の更新という話になるのかな? 精霊様云々は知らんが。

 実際、樹海までの案内は確約させてるが、それ以上の事はまだ説明もしていないからな。案内が終わった時点で放り出されたところで、行く宛もなく北の山脈地帯を目指していたと語っていた彼らには、庇護を得る事こそが光明に見えたのかもしれん。いやほんとに精霊様とか知らんが!

 

「ええ……? 卯代さん、どうする?」

 

――んー、今後動きやすくなるなら、小分霊くらいなら別に貸し与えても構わないが……貸し与えたところで、どの程度使えるようになるか、かねえ。労力に見合ったリターンに成りうるか……ふむ。よし、今回は私が動こう。南雲、適当に説明しておいてくれ――

 

「あ、うん。分かったよ――きっと何者にもなれなかった君達に告げる! 精霊様は君達の願いを聞き届けると約束した! 先立って君達には祝福が貸し与えられるが、今後の働き次第では、子々孫々に至るまで、君たちハウリア族は永き繁栄を享受する事になるだろう! その時初めて、君達は何者かになるんだ! 精霊様に――生命の大精霊〝卯代様〟に身命を捧げよ! さすれば与えられん!」

 

「おおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ! ウシロ様!! ウシロ様ぁぁぁぁ!!!」

 

――おい……おい! 南雲ぉぉぉぉ! 誰が生命の大精霊様やオラァ! 後で覚えとけよ!――

 

「え、駄目だった? 今こそイマジンの時かなって。ほら、生存戦略って言ってたし」

 

「いまじん……?」

 

――ここにピングドラムは無いんだよ! あーもう! とりあえず攫われたハウリアの血縁がいるか聞いてみて。そっから縁を手繰って分霊飛ばすから――

 

「卯代さん意外と詳しいね。とりあえず了解」

 

 

 

 ――はい、回収完了。いやあ帝国兵は強敵でしたね。

 分霊憑依させて強化したステータスで走らせてるから、まあ一日もあれば合流出来るかな。

 実験がてら攫われたハウリア達を兵士化したけど、複数人操作するのがちょっと難しかった。この辺は慣れか? んー……どうにか一部をシステム化出来ないだろうか。いい加減意識の分割にも慣れつつあるけど、きついものはきつい。

 今回はステータスのごり押しで押し通ったようなものだからな。戦力比一対四で切り抜けられたのは良かったけど。

 まあ今後要検討という事で。とりあえず今は……

 

「お、おやめくださいウシロ様! こんな、むごい……! ああっ!」

 

「あ、あぁっ! いけません! 駄目っ、私の身体、止まってぇぇぇ!」

 

「許してくれ……! 我らはこの身命を捧げると誓った! その覚悟を見せねばならんのだ……!」

 

 うるせえ。なんで魔物狩るのにそんな悲愴な顔で小芝居挟まないといけないんですかねえ。

 

「ああっ! お花さんが! ごめん、ごめんよお! うわああああああ!」

 

「虫さん! 踏んじゃう! 止まって! 止まってよー!」

 

 もうなんていうか……えー……これ使うの? 魂魄魔法で洗脳した方が早い気がしてきた。

 

 




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