ありふれた転生者は後ろにいる   作:新くさや

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毎日投稿なんてなかった!(開き直り


第32話

「ほんで、早速やけどな……ライセン大峡谷の大迷宮が見つかったっぽいんやわ」

 

「えっ、もう? まだこっちに来て一週間も経ってないのに……」

 

「まあこの身体自体はそうやけどな。それはそれとして、もともと分霊単体やと大峡谷の特性で分解されるから無理やったんが、ハウリアに憑依させれたおかげで調査が一気に進んだわ」

 

 本当は憑依させた全員と意思の疎通が出来るんだから、もっと効率よくいけたと思うんだけどなあ。それだと神秘性が薄れるとかありがたみが薄れるとかで、族長とか長老だけがコンタクトを取れるようになったんだよな。これいつまで続けるの?

 

「そっか。とりあえず今日は準備を整えて、明日向かう……ってことで、いいかな?」

 

「ええんちゃうか? 私と恵里もここんとこまともな場所で休めてへんかったし、丁度ええわ……んで、あんま詳しゅう話してへんかったけど、改めて今後の事を突き詰めよかな思うけど、ええか?」

 

「今後……って言うと、ライセンの大迷宮を攻略した後の話、だよね?」

 

「ん。南雲のスタンスとしては、この先も残りの大迷宮を攻略していって、神代魔法で帰還出来る手段を探す。この世界の事には基本的に関わらない。エヒトに邪魔されたり、再召喚されるのに抗うために備える。そんなとこか?」

 

「……うん、そうだね。再召喚にどう抵抗するのかは、まだとっかかりも掴めてないし、エヒトの強さがどれほどなのかもまだ分かってないけど……それに関しては、神代魔法を手に入れる事で新しいアーティファクトを作ったり、各地の解放者の住処に何かいい資料があれば、って思ってるよ」

 

「で、ユエとしては、南雲と一緒に私らの世界に渡りたい。この世界にも未練は無い。基本南雲と方針は同じ。でええか?」

 

「ん……ハジメとミレイ、ずっと一緒にいる。そこが私の居場所」

 

 いやさすがに帰ったら南雲とは別れるが……言ったらまた話がややこしくなりそうだから今は黙っておこう。向こうでも分霊が作れるなら不可能では無いけども……

 

「んで……えーっと、シアは……」

 

「私は父様も申し上げた通り、ハウリア族一同、ウシロ様に大恩ある身。末代まで忠誠を捧げると誓った身ですぅ! ウシロ様のおられる所にハウリアあり! いつ、どこであろうと、ウシロ様に身命を捧げますぅ!

 

――おい南雲。南雲ォ! 目ぇ逸らしてんじゃねえぞおら!――

 

 駄目だ南雲は頼りにならない。助けて恵里。あ、こっちも駄目だめっちゃ楽しそうな目をしてる。もうやだこいつら。

 

「えっと………………はい。まあ、私らの目的が果たされるまではぎょうさん働いてもらうわ。頼むで」

 

はいぃっ!! お任せくださいっ、ウシロ様ぁ!」

 

「ほんで後は私と恵里やけど。恵里はなんかあるか?」

 

「僕かい? そうだね……僕は御麗さえ傍に居てくれるなら、別に帰れなくても構わないよ。孤児院(うち)の皆も気にはなるけど、僕らがいなくたって、悲しむかもしれないけど……死ぬわけじゃないし」

 

 まあそうだけどな。むしろ私がいなくなったら恵里がどうなるのか心配になるわ。

 

「でもね。エヒトって奴は気に食わない。上位者に怯えて顔色を窺いながら言いなりになるなんて……僕は、二度と(・・・)、ごめんだ。僕と御麗の……ついでに鈴の平穏を乱されたくない。そのために力が必要だって言うのなら、何だってしてやるさ」

 

「……そやな。私もまあ、南雲と似たようなもんかな。ただいっこ違うとするなら、まあ……クラスメイトの事や」

 

「クラス、メイト……?

 

 無表情で首傾げるな。怖いわ。

 

「南雲は思い出したくもないかもしれへんけどな。私は鈴くらいは助けたりたいねん」

 

「えっと、谷中さん……だっけ」

 

「谷口な。私やって他の奴らは正直どうでもええねんで? けどなあ、鈴だけっちゅうたらあん子も悲しむやろうから、ついでに連れて帰れそうやったら連れてったろ、てな」

 

「そ……っか」

 

「まあそれも南雲次第や。鈴に関しては譲るつもり無いけどな、他の奴らはあんたが嫌やっちゅうんやったら好きにしたらええわ。どうしたい?」

 

「えっと……うん、いいんじゃないかな。僕は別に――」

 

「ええんか? 南雲あんた、私の言う事気にしすぎてへんか?」

 

 奈落の底で縋れるものが、分霊の気配と幻聴だけだったと南雲は言った。ユエと会って私の存在に確信を持ってからは、それが顕著になった。

 南雲は分霊(わたし)に依存している。分霊が離れる事を恐れている。基本的に自分の目的に沿って動いてるように見えるが、ふとした時、不安そうに私の意見を窺うのだ。この道を往くのは間違っていないか? 私の意に沿わぬ事をしていないか? 奈落を出たからもう必要無いだろうと、自分を放っていってしまうのではないか? と。

 こんな状態の奴をいきなり放り出したりはしないが、憑依させ続けている限り、依存から抜け出す事は難しいかもしれない。孤児院(うち)ではチビどもがそうならないように気を付けてたんだけどな……恵里はこれでもましになった方だし。

 この世界にいるうちは、戦力を低下させたくないという意味で憑依を解くのは避けたいが……折を見て南雲が優先するものを私から外していかないといけない。

 

 ……でもこいつ私を精霊様に仕立て上げてたな? 気のせいだったかもしれない。あ、なんか思い出したらイライラしてきた。

 

「そんな…………ことは」

 

「まあこれに関しては無理に今答え出さんでもええ。猶予はまだまだあるからな。帰れるようになったらそん時また考えたらええわ」

 

「うん……ありがとう、卯代さん」

 

 ああでも、あいつの事だけは別だな。あいつなら鈴もまあ大して気にしないだろ。

 

「そうそう、檜山だけはほんまに好きにしたらええで。あいつに関しては南雲がどうしようと、誰も文句は言えん」

 

「ひやま……? 檜山……檜山! そうだ、アイツは……アイツは、僕を殺そうとした! ……アイツだけは……! 許 さ な い――あいたっ!」

 

「ここで殺気ばらまくんはやめえ。ここには味方しかおらんし、シアが……」

 

「ウシロ様の御前で、こ、こんな、粗相をするなんて……み、見ないでぐだざいぃぃ~!」

 

 恥ずかしがる美少女……アリだな。

 

「ご、ごごごごごめん!」

 

「はあ……とりあえず部屋出て頭冷やし。着替え終わったら呼ぶから」

 

 

 

「ほんで、どうする? あいつには常に分霊を監視につけとるから、いつでもおるところに連れてけんで」

 

「うん。卯代さん、ありがとう。アイツの事は……必ず、ケリをつける。でも、それは今やるべき事じゃない。その時までは、僕は僕がやるべき事に集中する……アイツなんかのために一秒だって無駄にしたくないからね!」

 

「……さよか。まあ気が変わったらいつでも言いや……さておき、おおまかな予定は再確認できたし、特に問題も無いみたいやから……今後は私らも一緒に大迷宮を攻略してく事にするわ」

 

「えっ。そういう事じゃなかったの……?」

 

「一応確認してからー思っとってな。ついでにアーティファクトたかりにきてん。私ら二人とも、生成魔法はそこまで相性悪くないんやけど、付与する素体がなあ」

 

「えぇ……いや、それくらい、いくらでも作るけど!」

 

 やったぜ。

 場合によっては別々に攻略していってもいいかなーと思ってたんだけど、オルクスみたいな戦闘能力さえあれば楽勝な大迷宮ばかりでは無いだろうしな。神山は異世界人には相性良かったみたいだけど、他の大迷宮も搦め手でこられるなら、頭数を増やした方がリカバリーが利くんじゃないかと思い直した。

 ……頭数だけ考えればいいなら、精霊の民()突っ込まして事前調査すればいいんだけどな。さすがに繁栄を約束しといてそれは仁義に悖る。

 

「ほんならよろしくな。ほら、恵里も」

 

「……しょうがないなあ。よろしく、三人とも」

 

「ん……ミレイ、エリ、よろしく」

 

「ウシロ様! エリさん! よろしくお願いしますですぅ!」

 

「うん、よろしく! 卯代さん! 中村さん!」

 

 ここにパーティーの結成を宣言する! 名前は"エヒトはっ倒し隊"! ……え? 駄目?

 

 




というわけで合流させる事にしました
別々に行動とか、ここまでの表裏だけでもあれだったのに・・・風呂敷広がりすぎてどう考えても作者の手に余る!いやまああれはあれで楽しかったんですけどね
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