ありふれた転生者は後ろにいる 作:新くさや
ええ……ちょっとまずくない? 檜山すごい表情してるんですけど。
白崎ちゃんが襲われでもしないかと思って一応見守ってたら、行き先が南雲の部屋って……白崎ちゃんが帰ったら警告した方がいいかなあ。あ、でもオールナイトだったらどうしよう。ちょっと覗いてみようか。南雲にはバレるかもしれないけど、むしろその方が軽傷で済むかもしれん。
もしオールナイトでフィーバーだったのが檜山に知られたらもうどうなるか分からんものね。決して覗きたいからとかでは無いです、よ?
『お邪魔しまー……す』
「それで、話したいって何かな。明日のこと?」
もうおっぱじまってるかと思ったがそんな事は無かった。お茶しばいてるだけやね。
あれ。分霊に反応無いな……? 話に集中してるのだろうか。
「明日の迷宮だけど……南雲くんには町で待っていて欲しいの。教官達やクラスの皆は私が必ず説得する。だから! お願い!」
随分と深刻な顔で話し始めたかと思えば……うーん。ここでハブとは白崎ちゃんも中々ひどいな。いやまあ真意は他にあるんだろうけど。
んん……悪夢の内容が示唆的だったから、とは。なんというか、女の子してるな。私から見ると占いに一喜一憂しているようで微笑ましくもあるようなないような。
「夢は夢だよ、白崎さん。今回はメルド団長率いるベテランの騎士団員がついているし、天之河君みたいな強い奴も沢山いる。むしろ、うちのクラス全員チートだし。敵が可哀想なくらいだよ。僕は弱いし、実際に弱いところを沢山見せているから、そんな夢を見たんじゃないかな?」
まあ夢が夢だって納得するようならわざわざ部屋まで来ないよなあ……頑張れ南雲。このままだと『不安だから添い寝して……?』なんて言い出しかねないぞ。
「あー、えっと……そうだ。僕、最近いろいろと調べてるんだ。ほら、これ」
「魔物図鑑……?」
南雲が手に取ったのは迷宮
「うん。僕は戦闘向きの天職じゃないし、本当に弱い。だから、少しでも知識をつけて、いつかメルド団長がいなくても大丈夫なくらい知識をつけて、皆をサポート出来ないかなって。錬成だってもっと鍛え上げれば装備面でもサポート出来るし、前に出て戦わなくても頼られるくらいになれば、きっと危険な事になんてならないよ」
まあ今日明日中には無理だろうけど、ステータスに恵まれないならそれが理想形ではあるのかな……ところで錬生で装備面のサポートってどういう事だろう? 明日にでも聞いてみるか。
白崎ちゃんも完全に納得したわけではないみたいだが、どうにか気持ちに折り合いをつけたかな? ……ほーん。中二から。不良に土下座。あ、鈴こら今いいとこだから本体にちょっかいかけるな。先に寝てなさい。
「――だから、私の中で一番強い人は南雲くんなんだ。高校に入って南雲くんを見つけたときは嬉しかった。……南雲くんみたいになりたくて、もっと知りたくて色々話し掛けたりしてたんだよ。南雲くん直ぐに寝ちゃうけど……」
え、なんで? どうやら肝心な所を聞き逃したようで、白崎ちゃんが情けない男が好き。みたいになってしまった。
「だからかな、不安になったのかも。迷宮でも南雲くんが何か無茶するんじゃないかって。不良に立ち向かった時みたいに……でも、うん――私達みんなで、南雲くんを守るよ」
「あはは。うん、よろしくね」
結局ベッドインしなかったな……じゃない。南雲は分霊に反応しなかったな。目の前で手を振ったりもしたのに、特に無反応を意識してる様子でもなく、見えていないようだった。
錬生で装備をどうのこうのと言っていたし、もしや――私とは違う派生のしかたをしているのではないだろうか。
私達に支給されている装備は、魔術陣に加えてアーティファクトも多いという話だし、生体エネルギーによってそういった特殊な効果を付与しているのかもしれない。
試してみれば私にも出来るようになるかもしれない。今度やってみて、駄目なら南雲にコツでも聞いてみるとしよう。
……っと、一応白崎ちゃんを見送っておくか。檜山が暴走しないとも限らないしな――ってうわ。白崎ちゃん、君の悪夢、現実になるかもしれんぞ……
香織スキーはごめんね!
ところでオリ主ちゃんはいつまで勘違いしているのだろう・・・なんかどこまでひっぱれるのか楽しくなってきた自分がいる